(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081015
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】端子装置
(51)【国際特許分類】
H01H 73/20 20060101AFI20240610BHJP
H01H 73/02 20060101ALI20240610BHJP
H01H 71/08 20060101ALI20240610BHJP
H01R 13/707 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H01H73/20 B
H01H73/02 B
H01H71/08
H01R13/707
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194421
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和記
(72)【発明者】
【氏名】下岡 達矢
【テーマコード(参考)】
5E021
5G030
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC38
5E021KA09
5E021MA20
5G030XX04
5G030XX18
5G030YY12
(57)【要約】
【課題】差込端子が適切な位置まで差し込まれていない状態のまま使用されてしまうことのない端子装置を提供を提供する。
【解決手段】本体ケース4内に、検知用スイッチ16、16・・と、制御基板27と、端子空間14内への電線10の差し込み方向に沿ってスライド可能なスイッチ操作部材21、21・・とが設けられているとともに、各スイッチ操作部材21に、自身のスライドによって検知用スイッチ16を操作する操作片24と、差し込まれた電線10によって押圧される被押圧部23とが設けられており、負荷側端子3への電線10の差し込みに伴い、電線10の先端が被押圧部23を押圧してスイッチ操作部材21がスライドするとともに、当該スライドによって操作片24が検知用スイッチ16をON操作するようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込端子を差し込むことにより電気的な接続が実施される端子装置であって、
前記端子装置の本体ケース内に、検知手段と、制御手段と、所定方向へスライド可能な操作部材と、前記端子装置内の電路を遮断するための遮断機構部とが設けられ、
前記操作部材に、自身のスライドによって前記検知手段に検知/非検知される検知部と、差し込まれた前記差込端子によって押圧される被押圧部とが設けられており、
前記差込端子の差し込みに伴い、前記差込端子が前記被押圧部を押圧して前記操作部材がスライドするとともに、当該スライドによって前記検知部が前記検知手段に検知/非検知され、
前記制御手段は、前記検知手段による前記検知部の検知結果に応じて、前記遮断機構部を動作させることを特徴とする端子装置。
【請求項2】
差込端子を差し込むことにより電気的な接続が実施される端子装置であって、
異常を報知する異常報知部が設けられているとともに、前記端子装置の本体ケース内に、検知手段と、制御手段と、所定方向へスライド可能な操作部材とが設けられ、
前記操作部材に、自身のスライドによって前記検知手段に検知/非検知される検知部と、差し込まれた前記差込端子によって押圧される被押圧部とが設けられており、
前記差込端子の差し込みに伴い、前記差込端子が前記被押圧部を押圧して前記操作部材がスライドするとともに、当該スライドによって前記検知部が前記検知手段に検知/非検知され、
前記制御手段は、前記検知手段による前記検知部の検知結果に応じて、前記異常報知部を動作させることを特徴とする端子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば回路遮断器や開閉器、電源コンセント等の差込端子を差し込むことにより電気的な接続が実施される端子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、差込端子を差し込むことにより電気的な接続が実施される端子装置の一例である回路遮断器としては、端子部として所謂速結端子を採用してなるものがある(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の端子装置では、電線等の差込端子が速結端子における接続に適切な位置まで差し込まれているか否かが分かりにくい。そのため、差込端子が適切な位置まで差し込まれていない状態のまま、端子装置が使用されてしまう可能性があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、差込端子が適切な位置まで差し込まれているか否かを判定することができ、ひいては差込端子が適切な位置まで差し込まれていない状態のまま使用されてしまうことのない端子装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、差込端子を差し込むことにより電気的な接続が実施される端子装置であって、前記端子装置の本体ケース内に、検知手段と、制御手段と、所定方向へスライド可能な操作部材と、前記端子装置内の電路を遮断するための遮断機構部とが設けられ、前記操作部材に、自身のスライドによって前記検知手段に検知/非検知される検知部と、差し込まれた前記差込端子によって押圧される被押圧部とが設けられており、前記差込端子の差し込みに伴い、前記差込端子が前記被押圧部を押圧して前記操作部材がスライドするとともに、当該スライドによって前記検知部が前記検知手段に検知/非検知され、前記制御手段は、前記検知手段による前記検知部の検知結果に応じて、前記遮断機構部を動作させることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、差込端子を差し込むことにより電気的な接続が実施される端子装置であって、異常を報知する異常報知部が設けられているとともに、前記端子装置の本体ケース内に、検知手段と、制御手段と、所定方向へスライド可能な操作部材とが設けられ、前記操作部材に、自身のスライドによって前記検知手段に検知/非検知される検知部と、差し込まれた前記差込端子によって押圧される被押圧部とが設けられており、前記差込端子の差し込みに伴い、前記差込端子が前記被押圧部を押圧して前記操作部材がスライドするとともに、当該スライドによって前記検知部が前記検知手段に検知/非検知され、前記制御手段は、前記検知手段による前記検知部の検知結果に応じて、前記異常報知部を動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、端子装置の本体ケース内に、検知手段と、制御手段と、所定方向へスライド可能な操作部材とを設けるとともに、操作部材に、自身のスライドによって検知手段に検知/非検知される検知部と、差し込まれた差込端子によって押圧される被押圧部とを設けており、差込端子の差し込みに伴い、差込端子が被押圧部を押圧して操作部材がスライドするとともに、当該スライドによって検知部が検知手段に検知/非検知されるようにしている。また、請求項1に記載の発明では、端子装置内の電路を遮断するための遮断機構部を設ける一方、請求項2に記載の発明では、異常を報知する異常報知部を設けており、それぞれ制御手段が、検知手段による検知部の検知結果に応じて、遮断機構部や異常報知部を動作させるようにしている。そのため、たとえば差込端子が適切な位置まで差し込まれないことで操作部材がスライドしなかったり、操作部材の移動量が不十分であったりする事態を検知することができ、またそのような事態が検知されると遮断機構部や異常報知部を動作させるように構成することができる。したがって、差込端子が適切な位置まで差し込まれていない状態のまま端子装置が使用されてしまう事態を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】回路遮断器の本体ケース内部を左側から示した説明図である。
【
図3】
図2中の負荷側端子における最も下側の端子部を拡大して示した説明図である。
【
図4】回路遮断器の本体ケース内部を右側から示した説明図である。
【
図5】
図4中の負荷側端子における最も下側の端子部を拡大して示した説明図である。
【
図6】電線と検知用スイッチとスイッチ操作部材との位置関係を示した斜視説明図であり、(a)は後側から、(b)は前側から夫々示している。
【
図7】電線によってスイッチ操作部材が検知用スイッチをON操作している状態を左側から示した説明図である。
【
図8】電線によってスイッチ操作部材が検知用スイッチをON操作している状態を右側から示した説明図である。
【
図9】電線によってスイッチ操作部材が検知用スイッチをON操作している状態を示した斜視説明図であり、(a)は後側から、(b)は前側から夫々示している。
【
図10】電線の差し込み判定に係る制御機構を示したブロック図である。
【
図11】コンセント装置とプラグとを示した斜視説明図である。
【
図12】コンセント装置の差込口部分での水平断面を示した説明図である。
【
図13】刃受け金具の刃受けバネ部分を拡大して示した斜視説明図である。
【
図14】プラグが差し込み接続された状態におけるコンセント装置の差込口部分での水平断面を示した説明図である。
【
図15】プラグの差し込み判定に係る制御機構を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例となる回路遮断器について、図面にもとづき詳細に説明する。
図1は、回路遮断器1を示した斜視説明図である。
図2は、回路遮断器1の本体ケース4内部を左側から示した説明図である。
図3は、
図2中の負荷側端子3における最も下側の端子部を拡大して示した説明図である。
図4は、回路遮断器1の本体ケース4内部を右側から示した説明図である。
図5は、
図4中の負荷側端子3における最も下側の端子部を拡大して示した説明図である。
図6は、電線10と検知用スイッチ16とスイッチ操作部材21との位置関係を示した斜視説明図であり、(a)は後側から、(b)は前側から夫々示している。
図7は、電線10によってスイッチ操作部材21が検知用スイッチ16をON操作している状態を左側から示した説明図である。
図8は、電線10によってスイッチ操作部材21が検知用スイッチ16をON操作している状態を右側から示した説明図である。
図9は、電線10によってスイッチ操作部材21が検知用スイッチ16をON操作している状態を示した斜視説明図であり、(a)は後側から、(b)は前側から夫々示している。
図10は、電線10の差し込み判定に係る制御機構を示したブロック図である。
【0010】
回路遮断器1は、合成樹脂製の複数のケース部材を組み立ててなる本体ケース4を有しており、本体ケース4の後部には、プラグイン方式の3つの端子が上下方向へ一列に並べられてなる電源側端子2が配置されている。一方、本体ケース4の前面は、前側へ向かって下降傾斜する傾斜面に形成されており、その傾斜面には、3つの端子が上下方向へ一列に並べられてなる負荷側端子3が配置されている。そして、負荷側端子3における各端子は、傾斜面に開設された端子孔11に電線10を差し込むだけで、電線10と本体ケース4内における端子孔11の内側に設置された速結端子金具12とが接続される速結端子として構成されている。また、本体ケース4の上面には、本体ケース4内に配設された電源側端子2と負荷側端子3とを繋ぐ電路をON/OFF操作するためのハンドル5が、左右方向を軸として前後方向へ回動可能に設けられている。さらに、本体ケース4の上面における前部寄りとなる位置には、負荷側端子3に接続されている電線10を抜き取るための解除レバー6が、左右方向を軸として前後方向へ回動可能に設けられている。
【0011】
ここで、本発明の要部、つまり負荷側端子3において電線10が適切に接続されているか否かを判定する構成について具体的に説明する。なお、負荷側端子3のいずれの端子においても同様の構成を採用しており、ここでは最も下側の端子について説明する。
本体ケース4内の前部左寄りとなる箇所で、端子孔11の内側となる位置には、端子孔11を介して電線10を差し込み可能な端子空間14が設けられている。また、端子空間14内には、負荷座15が配置されているとともに、負荷座15上に速結端子金具12が載置されている。さらに、端子空間14の後部で、端子空間14内に差し込まれた電線10の先端が干渉可能な位置には、後述するスイッチ操作部材21が電線10の差し込み方向に沿った方向へスライド可能に設けられている。加えて、本体ケース4内の前部右寄りとなる箇所で、端子空間14の裏側となる位置には、スイッチ操作部材21によりON/OFF操作される検知用スイッチ16が設置されている。なお、検知用スイッチ16としては、リミットスイッチが採用されている。また、26は、スイッチ操作部材21のスライドを案内するガイド孔であって、端子空間14の右側を覆う壁に、電線10の差し込み方向に沿った長孔として開設されている。
【0012】
スイッチ操作部材21は、前後方向へ延びる板状のガイド部22と、ガイド部22の後部から下方へ延びる板状の被押圧部23とを一体的に備えてなる。また、ガイド部22には、ガイド部22の後端から右方へ突出する操作片24と、ガイド部22の後端から後方へ突出する取付用突起25とが設けられている。一方、被押圧部23は、ガイド部22よりも左右幅が狭い板状部であり、左端面がガイド部22と面一となるように設けられている。
【0013】
上述の如きスイッチ操作部材21は、ガイド孔26内にガイド部22が差し込まれ、端子空間14内に被押圧部23が、端子空間14の裏側に操作片24が夫々位置するように取り付けられている。そして、そのように取り付けられたスイッチ操作部材21は、端子空間14内に差し込まれた電線10の先端により被押圧部23が後側へ押圧されると、ガイド孔26に沿って電線10の差し込み方向に沿って後側へスライドするようになっている。また、上記取り付けに伴い操作片24の移動軌跡上に検知用スイッチ16が位置しており、スイッチ操作部材21の後側へのスライドによって、操作片24が検知用スイッチ16をON操作するようになっている。なお、スイッチ操作部材21は、取付用突起25に取り付けられたコイルバネ20により前方(初期位置側)へ付勢されており、電線10が差し込まれていない状況では、操作片24が検知用スイッチ16から離隔して検知用スイッチ16をOFF操作した初期位置で保持されている。
【0014】
また、本体ケース4内には、電線10が適切に接続されているか否かを判定するための制御基板27が設置されている。制御基板27は、電源側端子2からの電源供給に伴い作動するもので、検知用スイッチ16、16・・と接続されているとともに、本体ケース4に設けられている遮断機構部7及び異常報知部8と接続されている。なお、遮断機構部7は、ハンドル5に連係して設けられた従来周知の機構部である。また、異常報知部8としては、所定の態様で点灯若しくは点滅するLEDや、異常音を報音するスピーカ等が考えられる。
【0015】
そして、上記回路遮断器1では、次のようにして電線10が速結端子金具12との接続に適切な位置まで端子空間14内へ差し込まれているか否かを判定する。
まず回路遮断器1の負荷側端子3への電線10の接続は、回路遮断器1に電源を投入する前に行う。この電線10の接続にあたっては、端子孔11を介して電線10を端子空間14内へ差し込むだけでよい。このとき、電線10が端子空間14内へ適切な位置まで差し込まれると、電線10の先端が被押圧部23の前面に当接して被押圧部23を後側へ押圧する。そのため、スイッチ操作部材21は、ガイド孔26に沿って(すなわち電線10の差し込み方向に沿って)後側へスライドする。したがって、操作片24が検知用スイッチ16側へ移動し、操作片24によって検知用スイッチ16がON操作される。一方、電線10が適切な位置まで差し込まれなかった場合、電線10の先端が被押圧部23まで到達しておらずスイッチ操作部材21がスライドしない、若しくは、電線10の先端が被押圧部23を押圧することによるスイッチ操作部材21の移動量が不十分といった状況となる。したがって、操作片24が検知用スイッチ16側へ移動しない、若しくは、僅かに移動するものの操作片24が検知用スイッチ16に到達しないこととなり、検知用スイッチ16はON操作されない。
【0016】
上述したように負荷側端子3における3つの端子全てに電線10を接続した後、回路遮断器1に電源を投入する。すると、制御基板27は起動し、3つの検知用スイッチ16、16・・の状態を検知する。そして、3つの検知用スイッチ16、16・・の全てがON操作されている場合のみ、制御基板27は電線10の接続状態は正常であると判定し、遮断機構部7及び異常報知部8を作動させることなく、回路遮断器1の使用を許容する。一方、ON操作されていない検知用スイッチ16が1つでもあると、制御基板27は電線10の接続状態が異常であると判定し、遮断機構部7を動作させて回路遮断器1内の電路をOFFするとともに、異常報知部8を動作させて電線10の接続状態が異常である旨を周囲に報知する。なお、電線10を抜き取る際には、解除レバー6を回動操作すればよい。すると、電線10と速結端子金具12との係止状態が解除され、電線10の抜き取りが可能となる。そして、電線10を抜き取ると、スイッチ操作部材21はコイルバネ20の付勢力によって初期位置へ移動する。
【0017】
以上のような構成を有する回路遮断器1によれば、本体ケース4内に、検知用スイッチ16、16・・と、制御基板27と、端子空間14内への電線10の差し込み方向に沿ってスライド可能なスイッチ操作部材21、21・・とが設けられているとともに、各スイッチ操作部材21に、自身のスライドによって検知用スイッチ16を操作する操作片24と、差し込まれた電線10によって押圧される被押圧部23とが設けられており、負荷側端子3への電線10の差し込みに伴い、電線10の先端が被押圧部23を押圧してスイッチ操作部材21がスライドするとともに、当該スライドによって操作片24が検知用スイッチ16をON操作するようになっている。そして、回路遮断器1への電源投入時に3つの検知用スイッチ16、16・・のうちON操作されていない検知用スイッチ16が1つでもあると、制御基板27は電線10の接続状態が異常であると判定し、遮断機構部7を動作させて回路遮断器1内の電路をOFFするとともに、異常報知部8を動作させて電線10の接続状態が異常である旨を周囲に報知するようにしている。すなわち、たとえば電線10が適切な位置まで差し込まれないことでスイッチ操作部材21がスライドしなかったり、スイッチ操作部材21の移動量が不十分であったりする事態を検知することができ、またそのような事態が検知されると遮断機構部7や異常報知部8を動作させるようになっている。したがって、電線10が適切な位置まで差し込まれていない状態のまま回路遮断器1が使用されてしまう事態を確実に防止することができる。
【0018】
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施例となるコンセント装置について、図面にもとづき詳細に説明する。
図11は、コンセント装置31とプラグ51とを示した斜視説明図である。
図12は、コンセント装置31の差込口33、33部分での水平断面を示した説明図である。
図13は、刃受け金具35の刃受けバネ36部分を拡大して示した斜視説明図である。
図14は、プラグ51が差し込み接続された状態におけるコンセント装置31の差込口33、33部分での水平断面を示した説明図である。
図15は、プラグ51の差し込み判定に係る制御機構を示したブロック図である。
【0019】
コンセント装置31の本体ケース32の前面には、プラグ51の栓刃52、52を差し込み可能な差込口33、33が開設されている。また、本体ケース32内における各差込口33の内側となる位置には、栓刃52を差し込み可能な端子空間34が設けられている。さらに、端子空間34内には、本体ケース32内に設けられている電路と電気的に接続された刃受け金具35に備えられ、栓刃52を左右から挟持可能な刃受けバネ36が配置されている。そして、コンセント装置31は、差込口33、33にプラグ51の栓刃52、52を差し込むだけで、栓刃52、52と刃受けバネ36、36、ひいては本体ケース32内の電路との電気的な接続が実施される端子装置として構成されている。
【0020】
ここで、本発明の要部、つまりコンセント装置31に対してプラグ51が適切に接続されているか否かを判定する構成について具体的に説明する。
各刃受けバネ36は、従来周知のものと同様、前方へ開口する略U字状に金属板を折り曲げてなる。そして、各刃受けバネ36内で、栓刃52の先端が干渉可能な位置には、後述するスイッチ操作部材41が栓刃52の差し込み方向に沿った方向(ここでは前後方向)へスライド可能に設けられている。加えて、端子空間34における刃受けバネ36の更に後側となる位置には、スイッチ操作部材41によりON/OFF操作される検知用スイッチ37が設置されている。なお、検知用スイッチ37としては、リミットスイッチが採用されている。
【0021】
スイッチ操作部材41は、前後方向が厚み方向となる板状の被押圧部42と、被押圧部42の後面から後方へ突出する操作片43とを一体的に備えてなる。このようなスイッチ操作部材41は、被押圧部42を前方へ向けた姿勢で、刃受けバネ36の基部(U字状に湾曲している部分)に開設された操作窓38を介して操作片43が刃受けバネ36の後方へ突出するように取り付けられている。そして、そのように取り付けられたスイッチ操作部材41は、端子空間34内へ差し込まれた栓刃52の先端により被押圧部42が後側へ押圧されると、栓刃52の差し込み方向に沿って後側へスライドするようになっている。また、上記取り付けに伴い操作片43の移動軌跡上に検知用スイッチ37が位置しており、スイッチ操作部材41の後側へのスライドによって、操作片43が検知用スイッチ37をON操作するようになっている。なお、スイッチ操作部材41は、図示しないバネによって前方(初期位置側)へ付勢されており、栓刃52が差し込まれていない状況では、操作片43が検知用スイッチ37から離隔して検知用スイッチ37をOFF操作した初期位置で保持されている。
【0022】
また、本体ケース32内には、プラグ51が適切に接続されているか否かを判定するための制御基板44が設置されている。制御基板44は、商用電源からの電源供給に伴い作動するもので、検知用スイッチ37、37と接続されているとともに、本体ケース32に設けられている遮断機構部39及び異常報知部40と接続されている。なお、遮断機構部39は、本体ケース32内に設けられた電路を強制的にOFFするための従来周知の機構部である。また、異常報知部40としては、所定の態様で点灯若しくは点滅するLEDや、異常音を報音するスピーカ等が考えられる。
【0023】
そして、上記コンセント装置31では、次のようにしてプラグ51が適切に差し込まれているか否か、すなわち栓刃52、52が刃受けバネ36、36との接続に適切な位置まで端子空間34内へ差し込まれているか否かを判定する。
まずコンセント装置31へのプラグ51の接続は、コンセント装置31に電源を投入(たとえば、コンセント装置31に設けられている電源スイッチをONする等)する前に行う。このプラグ51の接続にあたっては、差込口33、33を介して栓刃52、52を端子空間34、34内へ差し込むだけでよい。このとき、栓刃52が端子空間34内へ適切な位置まで差し込まれると、栓刃52の先端が被押圧部42の前面に当接して被押圧部42を後側へ押圧する。そのため、スイッチ操作部材41は、栓刃52の差し込み方向に沿って後側へスライドする。したがって、操作片43が検知用スイッチ37側へ移動し、操作片43によって検知用スイッチ37がON操作される。一方、栓刃52が適切な位置まで差し込まれなかった場合、栓刃52の先端が被押圧部42まで到達しておらずスイッチ操作部材41がスライドしない、若しくは、栓刃52の先端が被押圧部42を押圧することによるスイッチ操作部材41の移動量が不十分といった状況となる。したがって、操作片43が検知用スイッチ37側へ移動しない、若しくは、僅かに移動するものの操作片43が検知用スイッチ37に到達しないこととなり、検知用スイッチ37はON操作されない。
【0024】
上述したようにプラグ51の両栓刃52、52を接続した後、コンセント装置31に電源を投入する。すると、制御基板44は起動し、2つの検知用スイッチ37、37の状態を検知する。そして、2つの検知用スイッチ37、37の両方がON操作されている場合のみ、制御基板44はプラグ51の接続状態は正常であると判定し、遮断機構部39及び異常報知部40を作動させることなく、コンセント装置31の使用を許容する。一方、2つの検知用スイッチ37、37の両方がON操作されていなかったり、どちらか一方の検知用スイッチ37がON操作されていなかったりすると、制御基板44はプラグ51の接続状態が異常であると判定し、遮断機構部39を動作させてコンセント装置31の電路をOFFするとともに、異常報知部40を動作させてプラグ51の接続状態が異常である旨を周囲に報知する。なお、プラグ51をコンセント装置31から抜き取ると、スイッチ操作部材41はバネの付勢力によって初期位置へ移動する。
【0025】
以上のような構成を有するコンセント装置31によれば、本体ケース32内に、検知用スイッチ37、37と、制御基板447と、端子空間34内への栓刃52の差し込み方向に沿ってスライド可能なスイッチ操作部材41、41とが設けられているとともに、各スイッチ操作部材41に、自身のスライドによって検知用スイッチ37を操作する操作片43と、差し込まれた栓刃52によって押圧される被押圧部42とが設けられており、プラグ51の差し込みに伴い、栓刃52の先端が被押圧部42を押圧してスイッチ操作部材41がスライドするとともに、当該スライドによって操作片43が検知用スイッチ37をON操作するようになっている。そして、コンセント装置31への電源投入時に2つの検知用スイッチ37、37のうち何れか一方でも検知用スイッチ37がON操作されていないと、制御基板44はプラグ51の接続状態が異常であると判定し、遮断機構部39を動作させてコンセント装置31内の電路をOFFするとともに、異常報知部40を動作させてプラグ51の接続状態が異常である旨を周囲に報知するようにしている。すなわち、たとえばプラグ51が適切な位置まで差し込まれないことでスイッチ操作部材41がスライドしなかったり、スイッチ操作部材41の移動量が不十分であったりする事態を検知することができ、またそのような事態が検知されると遮断機構部39や異常報知部40を動作させるようになっている。したがって、プラグ51が適切な位置まで差し込まれていない状態のままコンセント装置31が使用されてしまう事態を確実に防止することができる。
【0026】
なお、本発明に係る端子装置は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、端子装置の全体的な構成は勿論、差込端子の差し込み判定に係る制御機構等の構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0027】
たとえば、上記実施形態では、端子装置として回路遮断器とコンセント装置とについて詳述しているが、本発明は、差込端子を差し込むことにより電気的な接続が実施される端子装置であれば、開閉器や感震リレー、コンセントバー、タンブラースイッチのような他の端子装置についても好適に採用することができる。すなわち、差込端子は、実施形態に記載の電線及びプラグの栓刃のみならず、銅バー等であってもよい。
また、上記実施形態では、操作部材が差込端子の差し込み方向に沿ってスライドするとしているが、たとえば操作部材上に電線が乗り上がる等することで、操作部材が上下方向へスライドするように構成することも可能であり、操作部材をどの方向へスライドさせるかについては適宜設計変更可能である。
【0028】
さらに、上記実施形態では、遮断機構部と異常報知部との両方を動作させるとしているが、このように両方を動作させるのではなく、異常報知部を設けずに遮断機構部のみを動作させるとしたり、遮断機構部については動作させず異常報知部のみを動作させるとしてもよい。なお、遮断機構部と異常報知部との両方を動作可能であるものにおいて、どちら一方のみを動作させるか、それとも両方を動作させるかを切り替える切替手段を設けることも可能である。
加えて、操作部材の形状等は言うまでもなく設計変更可能であるし、検知手段についても、リミットスイッチ以外のセンサを採用する等、その種類や設置位置について適宜設計変更することができる。
【符号の説明】
【0029】
1・・回路遮断器(端子装置)、4・・本体ケース、7・・遮断機構部、8・・異常報知部、10・・電線(差込端子)、12・・速結端子金具、14・・端子空間、16・・検知用スイッチ(検知手段)、21・・スイッチ操作部材(操作部材)、23・・被押圧部、24・・操作片(検知部)、27・・制御基板、31・・コンセント装置(端子装置)、32・・本体ケース、34・・端子空間、36・・刃受けバネ、39・・遮断機構部、40・・異常報知部、41・・スイッチ操作部材(操作部材)、42・・被押圧部、43・・操作片(検知部)、44・・制御基板、51・・プラグ、52・・栓刃(差込端子)。