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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081022
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】クイックコネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/091 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
F16L37/091
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194435
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宏幸
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106BE25
3J106EA03
3J106ED02
3J106ED05
(57)【要約】
【課題】ハウジングへのパイプ挿入前の状態において、押込部材に外力、例えばパイプの挿入方向側及びその反対側からの外力が作用しても、ハウジングから押込部材が外れるのを抑制可能な技術を提供する。
【解決手段】クイックコネクタは、ハウジングと、リテーナと、ハウジングの外周部に装着されパイプが拘束位置まで挿入されると押し込み可能となる押込部材と、を備え、ハウジングの外周部の両側面にはそれぞれパイプ挿入方向に複数の第一嵌合部が設けられると共に引掛口が設けられ、押込部材は、ベース部と、外周部を両側面側から挟む一対の脚部と、一対の脚部にそれぞれ設けられ複数の第一嵌合部の各々とパイプ挿入方向に対して交差する方向に移動可能に嵌まり合う複数の第二嵌合部と、一対の脚部にそれぞれ設けられ引掛口からハウジング内へ入り込み、パイプが拘束位置まで挿入されるとスプール部により引掛口から押し出されるフック部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプール部を有するパイプが挿入されるハウジングと、
前記ハウジング内に装着され、挿入された前記パイプのスプール部を拘束する爪部を有するリテーナと、
前記ハウジングの外周部に装着され、前記スプール部が前記爪部で拘束される拘束位置まで前記パイプが挿入されると前記パイプの挿入方向と交差する方向に沿って第一位置から第二位置へ押し込み可能となる押込部材と、
を備え、
前記外周部の両側面にはそれぞれ、前記挿入方向に複数の第一嵌合部が設けられると共に引掛口が設けられ、
前記押込部材は、ベース部と、前記ベース部から延びて前記外周部を両側面側から挟む一対の脚部と、一対の前記脚部にそれぞれ設けられ、複数の前記第一嵌合部の各々と前記交差する方向に移動可能に嵌まり合う複数の第二嵌合部と、一対の前記脚部にそれぞれ設けられ、前記引掛口から前記ハウジング内へ入り込み、前記パイプが前記拘束位置まで挿入されると前記スプール部により前記引掛口から押し出されるフック部と、を有する、
クイックコネクタ。
【請求項2】
前記複数の第一嵌合部は、前記外周部の側面に前記挿入方向に間隔をあけて設けられ、前記側面から突出すると共に周方向に延びる複数のリブであり、
前記複数の前記第二嵌合部は、前記脚部に前記挿入方向に間隔をあけて設けられ、前記脚部の延在方向に延び、前記複数のリブがそれぞれ挿入される複数のスリットである、請求項1に記載のクイックコネクタ。
【請求項3】
前記複数のスリットの各々は、前記脚部の延在方向の中間部に設けられている、請求項2に記載のクイックコネクタ。
【請求項4】
前記脚部において隣接する前記スリット間に形成される板状部には、前記延在方向の根元部側に薄肉部が設けられている、請求項2に記載のクイックコネクタ。
【請求項5】
前記板状部の外面側に凹部が設けられており、
前記板状部における前記凹部に対応する部分が前記薄肉部である、請求項4に記載のクイックコネクタ。
【請求項6】
前記フック部は、前記脚部の先端部でかつ前記挿入方向の中央部に設けられている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のクイックコネクタ。
【請求項7】
前記フック部の内面には、前記引掛口が引っ掛かる窪み部が設けられている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のクイックコネクタ。
【請求項8】
前記外周部の両側面には、それぞれ一対の前記リブが設けられており、
前記一対の脚部には、それぞれ一対の前記スリットが設けられている、
請求項3~請求項5のいずれか1項に記載のクイックコネクタ。
【請求項9】
前記脚部において隣接する前記スリット間に形成される第一板状部の厚みよりも、前記脚部の幅方向の端部を形成する第二板状部の厚みが薄い、請求項8に記載のクイックコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、クイックコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングと、リテーナと、結合確認部材とを有するクイックコネクタが開示されている。ハウジングには、スプール部を有する相手方のチューブの端末が挿入されるようになっている。リテーナは、スプール部をロック爪で拘束し、相手方チューブとハウジングとを結合するようになっている。結合確認部材は、スプール部とリテーナとが完全に結合する位置までチューブが十分に挿入されたことを確認する機能を有する。この結合確認部材は、平行に一対の脚部が延びるU字形部材からなる。また、脚部の先端には、ハウジングの側面に開口する引掛穴に係合する鉤部が形成されている。この鉤部の外側面には、引掛穴の下縁に係止するための凹部が形成されている。結合確認部材は、ハウジングの半径方向から押し込む方向にのみ移動可能なようにハウジングに仮組み位置で係合している。ハウジングにチューブを結合位置まで挿入し、スプール部をリテーナのロック爪に完全に係合する位置まで到達させることにより、スプール部により確認部材の鉤部が引掛穴から押し出される。その後、結合確認部材が仮組み位置から押し込める状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4954752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたクイックコネクタでは、ハウジングの側面に結合確認部材の脚部が収まる一対のリブが形成されている。一対のリブは、脚部の外れと脚部を押し込む際の移動の案内をする機能を有している。しかしながら、仮組み位置にある状態で係合確認部材がチューブ挿入方向側及びその反対側から外力を受けた場合、脚部が一対のリブ間から抜け出る、すなわち、脚部が一対のリブによる規制から外れる虞がある。
【0005】
本開示は、ハウジングへのパイプ挿入前の状態において、押込部材に外力、例えばパイプの挿入方向側及びその反対側からの外力が作用しても、ハウジングから押込部材が外れるのを抑制可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様のクイックコネクタは、スプール部を有するパイプが挿入されるハウジングと、前記ハウジング内に装着され、挿入された前記パイプのスプール部を拘束する爪部を有するリテーナと、前記ハウジングの外周部に装着され、前記スプール部が前記爪部で拘束される拘束位置まで前記パイプが挿入されると前記パイプの挿入方向と交差する方向に沿って第一位置から第二位置へ押し込み可能となる押込部材と、を備え、前記外周部の両側面にはそれぞれ、前記挿入方向に複数の第一嵌合部が設けられると共に引掛口が設けられ、前記押込部材は、ベース部と、前記ベース部から延びて前記外周部を両側面側から挟む一対の脚部と、一対の前記脚部にそれぞれ設けられ、複数の前記第一嵌合部の各々と前記交差する方向に移動可能に嵌まり合う複数の第二嵌合部と、一対の前記脚部にそれぞれ設けられ、前記引掛口から前記ハウジング内へ入り込み、前記パイプが前記拘束位置まで挿入されると前記スプール部により前記引掛口から押し出されるフック部と、を有する。
【0007】
第1態様のクイックコネクタでは、スプール部を有するパイプを拘束位置までハウジング内に挿入すると、リテーナの爪部によってスプール部が拘束される。すなわち、挿入されたパイプ部がハウジングから抜け出るのが阻止される。また、パイプが拘束位置まで挿入されると、引掛口からハウジング内へ入り込んでいるフック部がスプール部によって引掛口から押し出される。ここで、押込部材は、複数の第二嵌合部の各々が、複数の第一嵌合部の各々とパイプの挿入方向と交差する方向に移動可能に嵌まり合っている。そのため、フック部が引掛口から押し出されることで、押込部材がパイプの挿入方向と交差する方向に沿って第一位置から第二位置へ押込み可能となる。そして、押込部材を押し込むことでベース部が外周部に近づく。これにより、パイプがハウジングに対して所定の位置(拘束位置)まで挿入されていることを例えば目視で確認することができる。
【0008】
また、第1態様のクイックコネクタでは、ハウジングの複数の第一嵌合部の各々と押込部材の複数の第二嵌合部の各々とが嵌まり合っている。このため、ハウジングにパイプを挿入する前であって押込部材が第二位置にある状態で、押込部材にパイプの挿入方向側及びその反対側から外力が作用しても第二嵌合部が第一嵌合部から外れる(嵌め合いが解消される)のが抑制される。すなわち、クイックコネクタによれば、ハウジングへのパイプ挿入前の状態において、押込部材に例えばパイプの挿入方向側及びその反対側から外力が作用しても、ハウジングから押込部材が外れるのを抑制することができる。
【0009】
本開示の第2態様のクイックコネクタは、第1態様のクイックコネクタにおいて、前記複数の第一嵌合部は、前記外周部の側面に前記挿入方向に間隔をあけて設けられ、前記側面から突出すると共に周方向に延びる複数のリブであり、前記複数の前記第二嵌合部は、前記脚部に前記挿入方向に間隔をあけて設けられ、前記脚部の延在方向に延び、前記複数のリブがそれぞれ挿入される複数のスリットである。
【0010】
第2態様のクイックコネクタでは、脚部に複数のスリットを設けていることから、脚部が弾性変形(開脚)しやすくなる。すなわち、パイプを拘束位置まで挿入したときに、スプール部によってフック部が引掛口から押し出されやすくなる。そして、押込部材を押し込むときに必要な押し込み荷重を低減することができる。さらに、脚部に複数のスリットを設けるため、脚部を形成する材料(樹脂)の使用量を減らすことができる。これにより、クイックコネクタの重量も軽くなる。
【0011】
本開示の第3態様のクイックコネクタは、第2態様のクイックコネクタにおいて、前記複数のスリットの各々は、前記脚部の延在方向の中間部に設けられている。
【0012】
第3態様のクイックコネクタでは、複数のスリットが脚部の延在方向の中間部に設けられているため、例えば、複数のスリットが脚部の先端部に設けられる構成と比べて、脚部が先端部において分割されないため、脚部の先端部における剛性低下を抑制することができる。これにより、ハウジングへのパイプ挿入前の状態において、押込部材にパイプの挿入方向側及びその反対側から外力が作用しても、ハウジングから押込部材が外れるのを更に抑制することができる。
【0013】
本開示の第4態様のクイックコネクタは、第2態様又は第3態様のクイックコネクタにおいて、前記脚部において隣接する前記スリット間に形成される板状部には、前記延在方向の根元部側に薄肉部が設けられている。
【0014】
第4態様のクイックコネクタでは、脚部における板状部の延在方向の根元部側に薄肉部が設けられていることから、例えば、板状部の延在方向の先端部側に薄肉部を設ける構成と比べて、脚部が曲がり(開脚し)やすくなる。さらに、板状部に薄肉部を設けるため、脚部を形成する材料(樹脂)の使用量を減らすことができる。これにより、クイックコネクタの重量も軽くなる。
【0015】
本開示の第5態様のクイックコネクタは、第4態様のクイックコネクタにおいて、前記板状部の外面側に凹部が設けられており、前記板状部における前記凹部に対応する部分が前記薄肉部である。
【0016】
第5態様のクイックコネクタでは、薄肉部を板状部の外面側に設けていることから、例えば、薄肉部を板状部の内面側に設ける構成と比べて、薄肉部を起点に脚部が曲がり(開脚し)やすくなる。
【0017】
本開示の第6態様のクイックコネクタは、第1態様~第5態様のいずれか一態様のクイックコネクタにおいて、前記フック部は、前記脚部の先端部でかつ前記挿入方向の中央部に設けられている。
【0018】
第6態様のクイックコネクタでは、脚部の先端部でかつパイプ挿入方向の中央部にフック部を設けていることから、フック部がスプール部によって引掛口から押し出される際に、脚部が捻じれにくく、安定して開脚する。すなわち、上記クイックコネクタによれば、例えば、脚部の先端部でかつパイプ挿入方向の端部にフック部を設ける構成と比べて、開脚時において脚部が捻じれにくく、押込部材をハウジングに押し込みやすくなる。
【0019】
本開示の第7態様のクイックコネクタは、第1態様~第5態様のいずれか一態様のクイックコネクタにおいて、前記フック部の内面には、前記引掛口が引っ掛かる窪み部が設けられている。
【0020】
第7態様のクイックコネクタでは、フック部の内面に引掛口が引っ掛かる窪み部を設けていることから、押込部材に押し込み方向と反対側の外力が作用した場合、フック部の窪み部に引掛口が引っ掛かり、引掛口からフック部が抜け出るのが抑制される。これにより、スプール部が拘束位置に到達していない状態において押込部材がハウジングから外れるのが抑制される。
【0021】
本開示の第8態様のクイックコネクタは、第3態様~第7態様のいずれか一態様のクイックコネクタにおいて、前記外周部の両側面には、それぞれ一対の前記リブが設けられており、前記一対の脚部には、それぞれ一対の前記スリットが設けられている。
【0022】
第8態様のクイックコネクタでは、外周部の両側面にそれぞれ一対のリブを設け、一対の脚部にそれぞれ一対のスリットを設けることから、例えば、3つ以上のリブと3つ以上のスリットを設ける構成と比べて、簡単な構造で、ハウジングから押込部材が外れるのを抑制することができる。
【0023】
本開示の第9態様のクイックコネクタは、第8態様のクイックコネクタにおいて、前記脚部において隣接する前記スリット間に形成される第一板状部の厚みよりも、前記脚部の幅方向の端部を形成する第二板状部の厚みが薄い。
【0024】
第9態様のクイックコネクタでは、第二板状部の厚みを第一板状部の厚みよりも薄くすることで、ハウジングから押込部材が外れるのを抑制する効果と、脚部を曲げやすく(開脚しやすく)する効果を両立することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本開示によれば、ハウジングへのパイプ挿入前の状態において、押込部材に外力、例えばパイプの挿入方向側及びその反対側からの外力が作用しても、ハウジングから押込部材が外れるのを抑制可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の一実施形態に係るクイックコネクタの側面図である。
図2図1のクイックコネクタをパイプ挿入方向から見た図である。
図3図2のクイックコネクタの3X-3X線断面図である。
図4図2のクイックコネクタの4X-4X線断面図である。
図5図1のクイックコネクタにパイプを挿入した状態を示す側面図である。
図6図5のクイックコネクタの分解側面図である。
図7図5のクイックコネクタの分解斜視図である。
図8図1のクイックコネクタで用いるタブの斜視図である。
図9図8のタブの正面図である。
図10図8のタブの側面図である。
図11図10のタブの11X-11X線断面図である。
図12図8のタブの下面図である。
図13図1のクイックコネクタの13X-13X線断面図である。
図14図5のクイックコネクタの14X-14X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0028】
図1図14には、本開示の一実施形態に係るクイックコネクタ20が示されている。本実施形態のクイックコネクタ20は、配管の継手であり、チューブ100(図1参照)とパイプ110を接続する機能を有する。
【0029】
図1に示されるように、チューブ100は、例えば、金属製、樹脂製又はゴム製のチューブである。本実施形態のチューブ100は、一例として樹脂製のチューブである。
【0030】
パイプ110は、例えば、金属製又は樹脂製のパイプである。本実施形態のパイプ110は、一例として金属製のパイプである。このパイプ110は、先端部にスプール部112を有している。スプール部112は、パイプ110の先端部にスプール加工を施すことにより、先端面から所定距離だけ離れた位置に、外周部を周回するように形成される。
【0031】
図1図6及び図7に示されるように、クイックコネクタ20は、ハウジング30と、リテーナ50と、押込部材の一例としてのタブ60と、を備えている。
【0032】
〔ハウジング30〕
図6及び図7に示されるように、ハウジング30は、筒状に形成されている。本実施形態のハウジング30は、一例としてL字状に曲がる筒状であるが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、ハウジング30は、直線状に延びる筒状でも、その他の形状でもよい。ハウジング30の軸方向の一端側(図1では下側)は、チューブ100が接続されるチューブ接続部32を構成している。チューブ接続部32をチューブ100内に圧入することでチューブ100がチューブ接続部32に接続される。なお、ハウジング30の軸方向を図中矢印Xで示す。
【0033】
ハウジング30の軸方向の他端側(図1では右側)は、パイプ110が挿入されるパイプ挿入部34を構成している。なお、パイプ挿入部34に対するパイプ110の挿入方向を図中矢印Iで示す。また、以下では、パイプ110の挿入方向を適宜「パイプ挿入方向」と省略する。なお、本実施形態では、パイプ挿入部34における軸方向とパイプ挿入方向は同じ方向である。
【0034】
図4に示されるように、パイプ挿入部34の内径は、チューブ接続部32の内径よりも小径とされている。すなわち、ハウジング30の内部流路(内部空間ともいう)は、軸方向の他端側が一端側よりも広くなっている。
【0035】
また、パイプ挿入部34は、パイプ挿入方向の奥側が小径部36とされ、パイプ挿入方向の手前側が小径部36よりも径が大きい大径部38とされている。パイプ挿入部34の小径部36にはパイプ110の先端が挿入される。一方、パイプ挿入部34の大径部38にはリテーナ50が装着されると共にパイプ110のスプール部112が挿入される。パイプ挿入部34の小径部36と大径部38との間には段差40(図3参照)が形成されている。
【0036】
図5及び図6に示されるように、パイプ挿入部34の外周部には、複数の第一嵌合部42と、引掛口46とがそれぞれ設けられている。具体的には、パイプ挿入部34の外周部における両側面34Aにはそれぞれ、軸方向Xに複数の第一嵌合部42が設けられると共に引掛口46が設けられている。なお、パイプ挿入部34の外周部における両側面34Aとは、外周部において軸方向Xと直交する第一方向に形成される壁面を指す。なお、ハウジング30の第一方向を図中矢印Hで示す。すなわち、両側面34Aはパイプ挿入部34の外周部において第一方向Hで互いに反対側の壁面を指す。
【0037】
各複数の第一嵌合部42は、パイプ挿入部34の外周部における両側面34Aにそれぞれ設けられている。各複数の第一嵌合部42は、タブ60が有する各複数の第二嵌合部70にそれぞれ嵌まっている。具体的には、各複数の第一嵌合部42と各複数の第二嵌合部70が互いに嵌まり合っている。
【0038】
図5図7に示されるように、本実施形態の各複数の第一嵌合部42は、パイプ挿入部34の両側面34Aのそれぞれに軸方向Xに間隔をあけて設けられた複数のリブ44である。これらのリブ44は、両側面34Aからそれぞれ突出し、パイプ挿入部34の周方向に沿って延びている。軸方向Xに隣接するリブ44間の間隔は、パイプ挿入部34の周方向で略均一とされている。また、以下では、パイプ挿入部34の周方向を適宜「パイプ周方向」と省略する。本実施形態では、一例として、各複数の第一嵌合部42は、パイプ挿入部34の両側面34Aのそれぞれに軸方向Xに間隔をあけて設けられた一対のリブ44である。なお、本開示はこの構成に限定されない。両側面34Aにそれぞれ形成されるリブ44の数を3つ以上としてもよい。
【0039】
図6及び図13に示されるように、引掛口46は、パイプ挿入部34の外周部における両側面34Aにそれぞれ設けられている。各々の引掛口46には、タブ60が有する一対のフック部80がそれぞれ引っ掛かっている。各々の引掛口46は、パイプ挿入部34を貫通する貫通孔である。引掛口46は、側面視で(言い換えると、第一方向Hから見て)、側面34Aにおいて、軸方向Xに隣接するリブ44間、本実施形態では、一対のリブ44間に形成されている。また、引掛口46は、側面視で、軸方向X及び第一方向Hとそれぞれ直交する第二方向の中央部に位置している。なお、ハウジング30の第二方向を図中矢印Vで示す。
【0040】
両側面34Aの一対のリブ44間には、フック部80が引っ掛かる引掛部47がそれぞれ設けられている。この引掛部47は、引掛口46から押し出されたフック部80が引っ掛かる部分である。具体的には、引掛口46からフック部80が押し出された後、さらにタブ60を押し込むことでフック部80が引っ掛かる側面34Aに形成された段差である。なお、後述するタブ60は、ハウジング30の第二方向Vに沿って押し込まれる。
【0041】
両側面34Aの一対のリブ44よりもパイプ挿入方向手前側には、開口48がそれぞれ形成されている。これらの開口48は、パイプ挿入部34を貫通する貫通孔であり、後述するリテーナ50の一対の爪部52がそれぞれ引っ掛かるようになっている。パイプ挿入部34の大径部38にリテーナ50が挿入された状態で各々の開口48にリテーナ50の一対の爪部52が引っ掛かることで、リテーナ50がパイプ挿入部34に装着される。
【0042】
図3に示されるように、パイプ挿入部34の大径部38には、パイプ挿入方向の奥側から順にOリング90、スペーサ92、Oリング94、ストッパ96が配置されている。Oリング90及びOリング94は、パイプ挿入部34に挿入されたパイプ110の外周面に接してパイプ挿入部34とパイプ110との間をシールする機能を有する。なお、Oリング90及びOリング94は、挿入されたパイプ110において先端からスプール部112までの外周面に接する。スペーサ92は、環板状の部材であり、Oリング90とOリング94とを軸方向Xに間隔をあけて配置するための部材である。ストッパ96は、大径部38の内面に取り付けられる環状の部材であり、Oリング90、スペーサ92及びOリング94の軸方向Xの移動を阻止する機能を有する。また、ストッパ96にはリテーナ50が接する又は近接している。
【0043】
本実施形態のハウジング30は、樹脂の一体成型品であるが本開示はこれに限定されない。複数部材を溶着等で接合してハウジング30を形成してもよい。またハウジング30を金属材料で形成してもよい。
【0044】
〔リテーナ50〕
図3図6及び図7に示されるように、リテーナ50は、筒状に形成され、ハウジング30内に装着されている。具体的には、リテーナ50は、パイプ挿入部34に挿入されて装着されている。より具体的には、リテーナ50は、パイプ挿入部34の大径部38に挿入され、両側面34Aにそれぞれ形成された開口48に後述する爪部59が引っ掛かることによってパイプ挿入部34に装着されている。なお、パイプ挿入部34に装着されたリテーナ50にパイプ110が挿入される。すなわち、パイプ挿入部34に装着されたリテーナ50にパイプ110を挿入することでパイプ110がパイプ挿入部34に挿入される。
【0045】
リテーナ50は、挿入されたパイプ110のスプール部112を拘束する爪部52を有する。具体的には、爪部52がパイプ110のスプール部112に引っ掛かることにより、パイプ110がパイプ挿入部34から抜け出るのを抑制する。すなわち、本実施形態のクイックコネクタ20は、ハウジング30のパイプ挿入部34にリテーナ50を装着した状態でパイプ110をパイプ挿入部34に挿入すると、爪部52がスプール部112に引っ掛かり、リテーナ50を介してパイプ110がパイプ挿入部34に接続される。
【0046】
図7に示されるように、リテーナ50は、リング部54と、一対の側枠部56と、上記の爪部52とを有している。
【0047】
リング部54は、外径がパイプ挿入部34の小径部36よりも大径とされている。また、リテーナ50は、図3に示されるように、リング部54を先頭にしてパイプ挿入部34に挿入される。リテーナ50がパイプ挿入部34の大径部38に挿入された状態で、リング部54はパイプ挿入部34内に配置されたストッパ96に接する又は近接する。このリング部54がストッパ96に接することによって、リテーナ50の挿入し過ぎが抑制される。
【0048】
側枠部56は、リング部54から軸方向Xに沿って延びている。言い換えると、側枠部56は、リング部54からパイプ挿入方向と反対側に向けて延びている。側枠部56は、リング部54に周方向に間隔をあけて設けられている。本実施系形態では、側枠部56は、リング部54に一対設けられている。
【0049】
側枠部56は枠状に形成された部位であり、内側に弾性脚58が設けられている。弾性脚58は、リング部54と反対側に位置する枠部56Aからリング部54に向けて延びる板部である。この弾性脚58は枠部56Aに対して弾性変形可能とされている。具体的には、弾性脚58は、先端部が自由端とされ、枠部56Aを起点に先端部がリテーナ50の径方向内側及び外側へ弾性変形可能とされている。なお、リテーナ50をパイプ挿入部34に装着した状態では、両側枠部56の各弾性脚58は、各枠部56Aを起点に各先端部が互いに接近及び離れる方向に弾性変形する。なお、本実施形態では、各弾性脚58の先端部が互いに接近及び離れる方向は、ハウジング30の第一方向と同じ方向である。また弾性脚58の先端部が爪部52を構成する。
【0050】
図7に示されるように、弾性脚58の外面において爪部52よりも根元側には、爪部59が設けられている。この爪部59は、開口48に引っ掛かるようになっている。具体的には、リテーナ50をパイプ挿入部34に挿入した状態では、一対の側枠部56の爪部59がそれぞれ開口48に引っ掛かる。
【0051】
本実施形態のリテーナ50は、樹脂の一体成型品であるが本開示はこれに限定されない。複数部材を溶着等で接合してハウジング30を形成してもよい。またハウジング30を金属材料で形成してもよい。
【0052】
〔タブ60〕
タブ60は、パイプ挿入部34に対してパイプ110が所定位置まで挿入されていることを確認するための機能を有する。具体的には、図1及び図5に示されるように、タブ60は、パイプ挿入部34の外周部に装着されている。そして、タブ60は、スプール部112がリテーナ50の爪部52で拘束される拘束位置までパイプ110が挿入されると、側面視でパイプ挿入方向と交差する方向に押し込みが可能となる。より具体的には、タブ60が第二方向Vに沿って第一位置から第二位置へ押し込み可能となる。なお、パイプ110においてスプール部112がリテーナ50の爪部52で拘束される拘束位置は、例えば、図3に示される位置である。タブ60の第二方向Vに沿った第一位置は、図1及び図13に示されるように、タブ60のフック部80が引掛口46に引っ掛かっているときのタブ60の位置を指す。また、タブ60の第二方向Vに沿った第二位置は、図5及び図14に示されるように、タブ60が第一位置から押し込まれてフック部80がハウジング30の引掛部47に引っ掛かっているときのタブ60の位置を指す。
【0053】
タブ60は、ベース部62と、一対の脚部64と、複数の第二嵌合部70と、一対のフック部80とを有する。
【0054】
(ベース部62)
図8に示されるように、ベース部62は、板状に形成されている。ベース部62は、一対の脚部64をつなぐ部分である。また、ベース部62は、タブ60をハウジング30に対して押し込む際に、作業者が押し込み力を加える部分である。
【0055】
(脚部64)
図8図10に示されるように、一対の脚部64は、板状に形成されており、ベース部62の両端部からそれぞれ延びている。具体的には、一対の脚部64は、ベース部62の両端部からベース部62の厚み方向に沿って延びている。本実施形態では、一対の脚部64はパイプ挿入部34の外周部を両側面34A側から挟んでいる。なお、以下では、一対の脚部64が互いに対向する側を脚部64の内側といい、その反対側を脚部64の外側という。
【0056】
(第二嵌合部70)
図8及び図10に示されるように、複数の第二嵌合部70は、一対の脚部64にそれぞれ設けられている。各複数の第二嵌合部70は、各複数の第一嵌合部42と互いに嵌まり合う。また、各複数の第二嵌合部70は、第一嵌合部42に対してパイプ挿入方向と交差する方向の移動が許容されている。具体的には、各複数の第二嵌合部70は、各複数の第一嵌合部42に対して第二方向Vの移動が許容される。言い換えると、複数の第二嵌合部70は、複数の第一嵌合部42の各々と第二方向Vに移動可能に嵌まり合っている。
【0057】
各複数の第二嵌合部70は、それぞれ複数のスリット72である。複数のスリット72は、脚部64に軸方向に間隔をあけて設けられている。複数のスリット72は、脚部64の延在方向に延びている。なお、本実施形態では、脚部64の延在方向は、ベース部62の厚み方向と同じ方向であり、タブ60がハウジング30の第一位置及び第二位置にある状態では、第二方向Vに沿った方向である。
【0058】
また、複数のスリット72は、脚部64の延在方向の中間部に設けられている。すなわち、スリット72は、脚部64の延在方向に延びる長孔である。本実施形態では、一例として、一対のスリット72が脚部64に設けられている。一対のスリット72には、ハウジング30の側面34Aに設けられた一対のリブ44が嵌まるようになっている。
【0059】
図10に示されるように、脚部64には複数のスリット72によって隣接するスリット間に幅が狭い板状部66が形成されている。本実施形態では、脚部64に一対のスリット72が形成されるため、一対のスリット72間に一つの板状部66が形成されている。この板状部66のベース部62側には薄肉部68が設けられている。具体的には、板状部66のベース部62側で且つ外面側(脚部64の外)に凹部69が設けられている。この凹部69は板状部66の肉抜き部であり、板状部66において凹部69に対応する部分が薄肉部68とされている。
【0060】
図8及び図11に示されるように、脚部64の板状部66の厚みは、脚部64の幅方向の端部を形成する板状部67の厚みよりも厚くなっている。言い換えると、板状部67の厚みは板状部66よりも薄い。本実施形態では、各々の脚部64の内側でかつ幅方向中央部には、各々の先端部からベース部62に向けて延びる凸部74がそれぞれ形成されている。このため、板状部67の厚みが板状部66よりも薄くなっている。そして、ベース部62の脚部64側には隆起部62Aが設けられている。この隆起部62Aはベース部62において一対の脚部64間に設けられている。またベース部62の脚部64側には隆起部62Aの両側面62Bから対向する脚部64へ向けて凸部63がそれぞれ延びている。これらの凸部63によって隆起部62Aと各脚部64の凸部74とがそれぞれ連結されている。
【0061】
(フック部80)
図8及び図9に示されるように、フック部80は、一対の脚部64にそれぞれ設けられている。具体的には、各々のフック部80は、一対の脚部64の先端部でかつ内側にそれぞれ設けられている。また、フック部80は、脚部64の幅方向の中央部に設けられている。本実施形態では、フック部80は、凸部74から突出している。
【0062】
図13に示されるように、一対のフック部80は、タブ60がハウジング30に対して第一位置にあるとき、ハウジング30の引掛口46に引っ掛かっている。このときフック部80は引掛口46を貫通して先端部82がハウジング30内に入り込んでいる。そして、パイプ110がパイプ挿入部34に拘束位置まで挿入されると、スプール部112によって引掛口46から押し出される。ここで各々のフック部80の先端部82にはスプール部112と接することで、パイプ110の挿入力を一対の脚部64を弾性変形(開脚変形)させる力に変換する斜面が形成されている。
【0063】
一対のフック部80の内面には、それぞれ引掛口46が引っ掛かる窪み部84がそれぞれ設けられている。各々の窪み部84には、引掛口46を口壁が引っ掛かるようになっている(図13参照)。
【0064】
本実施形態のタブ60は、樹脂の一体成型品であるが本開示はこれに限定されない。複数部材を溶着等で接合してタブ60を形成してもよい。またタブ60を金属材料で形成してもよい。
【0065】
次に本実施形態の作用並びに効果について説明する。
本実施形態のクイックコネクタ20では、スプール部112を有するパイプ110を拘束位置までハウジング30内に挿入すると、リテーナ50の爪部52によってスプール部112が拘束される。すなわち、挿入されたパイプ110がハウジング30から抜け出すのが阻止される。また、パイプ110が拘束位置まで挿入されると、引掛口46からハウジング30内へ入り込んでいるフック部80がスプール部112によって引掛口46から押し出される。ここで、タブ60は、複数の第二嵌合部70(本実施形態ではスリット72)の各々が複数の第一嵌合部42(本実施形態ではリブ44)の各々と第二方向Vに移動可能に嵌まり合っている。そのため、フック部80が引掛口46から押し出されることで、タブ60が第二方向Vに沿って第一位置から第二位置へ押込み可能となる。そして、タブ60を押し込むことでベース部62が外周部に近づく。これにより、パイプ110がハウジング30に対して所定の位置(拘束位置)まで挿入されていることを例えば目視で確認することができる。なお、第二位置に押し込まれたタブ60は、フック部80が引掛部47に引っ掛かることにより位置が拘束される。なお、チューブ接続部32にチューブ100を接続することで、クイックコネクタ20を介してチューブ100とパイプ110が接続される。
【0066】
また、クイックコネクタ20では、タブ60の複数の第二嵌合部70の各々とハウジング30の複数の第一嵌合部42の各々とが嵌まり合っている。このため、ハウジング30にパイプ110を挿入する前であってタブ60が第二位置にある状態で、タブ60にパイプ挿入方向側及びその反対側から外力が作用しても第二嵌合部70が第一嵌合部42から外れる(嵌め合いが解消される)のが抑制される。すなわち、クイックコネクタ20によれば、ハウジング30へのパイプ挿入前の状態において、タブ60にパイプ挿入方向側及びその反対側から外力が作用しても、ハウジング30からタブ60が外れるのを抑制することができる。
【0067】
本実施形態のクイックコネクタ20では、各々の脚部64に複数のスリット72を設けていることから、各々の脚部64が弾性変形(開脚変形)しやすくなる。すなわち、パイプ110を拘束位置まで挿入したときに、スプール部112によってフック部80が引掛口46から押し出されやすくなる。そして、タブ60を押し込むときに必要な押し込み荷重を低減することができる。さらに、各々の脚部64に複数のスリット72を設けるため、各々の脚部64を形成する材料(本実施形態では樹脂)の使用量を減らすことができる。これにより、クイックコネクタ20を軽量化できる。
【0068】
本実施形態のクイックコネクタ20では、複数のスリット72が各々の脚部64の延在方向の中間部に設けられているため、例えば、複数のスリット72が各々の脚部64の先端部に設けられる構成と比べて、各々の脚部64が先端部において分割されないため、各々の脚部64の先端部における剛性低下を抑制することができる。これにより、ハウジング30へのパイプ挿入前の状態において、タブ60にパイプ挿入方向側及びその反対側から外力が作用しても、ハウジング30からタブ60が外れるのを更に抑制することができる。
【0069】
本実施形態のクイックコネクタ20では、脚部64における板状部66の延在方向の根元部側に薄肉部68が設けられていることから、例えば、板状部66の延在方向の先端部側に薄肉部68を設ける構成と比べて、脚部64が曲がり(開脚し)やすくなる。さらに、板状部66に薄肉部68を設けるため、脚部64を形成する材料(本実施形態では樹脂)の使用量を減らすことができる。これにより、クイックコネクタ20を軽量化できる。
【0070】
本実施形態のクイックコネクタ20では、薄肉部68を板状部66の外面側に設けていることから、例えば、薄肉部68を板状部66の内面側に設ける構成と比べて、薄肉部68を起点に脚部64が曲がり(開脚し)やすくなる。
【0071】
本実施形態のクイックコネクタ20では、脚部64の先端部でかつパイプ挿入方向の中央部にフック部80を設けていることから、フック部80がスプール部112によって引掛口46から押し出される際に、脚部64が捻じれにくく、安定して開脚する。すなわち、クイックコネクタ20によれば、例えば、脚部64の先端部でかつパイプ挿入方向の端部にフック部80を設ける構成と比べて、開脚時において脚部64が捻じれにくく、タブ60をハウジング30に押し込みやすくなる。
【0072】
本実施形態のクイックコネクタ20では、フック部80の内面に引掛口46が引っ掛かる窪み部84を設けていることから、タブ60に押し込み方向と反対側の外力が作用した場合、フック部80の窪み部84に引掛口46が引っ掛かり、引掛口46からフック部80が抜け出るのが抑制される。これにより、スプール部112が拘束位置に到達していない状態においてタブ60がハウジング30から外れるのが抑制される。
【0073】
また本実施形態のクイックコネクタ20では、ハウジング30の両側面34Aにそれぞれ一対のリブ44を設け、一対の脚部64にそれぞれ一対のスリット72を設けることから、例えば、3つ以上のリブと3つ以上のスリットを設ける構成と比べて、簡単な構造で、ハウジング30からタブ60が外れるのを抑制することができる。
【0074】
本実施形態のクイックコネクタ20では、板状部67の厚みを板状部66の厚みよりも薄くすることで、ハウジング30からタブ60が外れるのを抑制する効果と、脚部64を曲げやすく(開脚しやすく)する効果を両立することができる。
【0075】
実施形態のクイックコネクタ20では、第一嵌合部42がリブ44であり、第二嵌合部70がスリット72であるが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、第一嵌合部42がハウジング30の外周部の周方向に延びる溝であり、第二嵌合部70が脚部64から内側へ突出し、前記溝に移動可能には嵌まる突起(例えば、リブ)であってもよい。
【0076】
以上、実施形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本開示の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
20 コネクタ
30 ハウジング
34A 側面
42 第一嵌合部
44 リブ
46 引掛口
50 リテーナ
52 爪部
60 タブ
62 ベース部
64 脚部
66 板状部(第一板状部)
67 板状部(第二板状部)
68 薄肉部
69 凹部
70 第二嵌合部
72 スリット
80 フック部
82 先端部
84 窪み部
110 パイプ
112 スプール
I パイプ挿入方向
V 第二方向
H 第一方向
X 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14