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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008103
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/06 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A47F3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109671
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敦
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110FA02
3B110JA09
3B110JA13
(57)【要約】
【課題】ケース本体の大型化を招来せずに商品収納数の拡大を図ること。
【解決手段】ケース本体1の内部に前方に向けて左右一対のデッキブラケット21がケース本体1に設けられたエンドフレーム9に載置された状態で配設され、左右一対のデッキブラケット21の互いに近接する側の面である内面213bにスライダ24を介して取り付けられた補助側壁部材22にデッキ板25が支持されることによって、デッキ板25が前後方向に沿ってスライド移動可能なデッキ棚20が構成されたショーケースであって、左右一対のデッキブラケット21は、内面213bがエンドフレーム9よりも内側に形成されるよう構成された。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体の内部に前方に向けて左右一対のブラケット部材が該ケース本体を構成する構成要素に載置された状態で配設され、前記左右一対のブラケット部材の互いに近接する側の面である内面にスライダを介して取り付けられた補助側壁部材にデッキ板が支持されることによって、前記デッキ板が前後方向に沿ってスライド可能なデッキ棚が構成されたショーケースであって、
前記左右一対のブラケット部材は、前記内面が前記構成要素よりも内側に形成されるよう構成されたことを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記左右一対のブラケット部材は、
前記構成要素に載置される基部と、
前記基部における他のブラケット部材と離隔する側である外側の端部より上方に向けて延在する外側上延部と、
前記基部における他のブラケット部材と近接する側である内側の端部より上方に向けて延在し、かつ前記内面を有する内側上延部と
が一体的に成形されて構成されたことを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記構成要素は、前記ケース本体における前記デッキ棚の下方側となる底面部を補強するためのエンドフレームであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、前面に開口を有したケース本体の収納室に商品載置棚が複数段設けられ、各商品載置棚に商品が載置されて陳列されたオープンショーケースと称されるショーケースが知られている。
【0003】
このようなショーケースでは、ケース本体の内部であって収納室の外部となる個所に、収納室の内部空気が通過する通風路が形成されている。通風路は、入口となる吸込口が収納室の下部に形成されるとともに、出口となる吹出口が収納室の上部に形成されており、その途中には蒸発器が配設されている。この通風路を通過する空気は、蒸発器で冷却され、その後に吹出口より吹き出される。吹出口から吹き出された空気が吸込口に吸い込まれて循環することにより、収納室におけるケース本体の前面開口の近傍に冷気のエアカーテンが形成され、商品載置棚に陳列された商品が所望の温度に冷却される。
【0004】
上記ショーケースにおいては、収納室の底部近傍にデッキ棚が設けられており、デッキ棚にも商品載置棚と同様に商品が載置されて陳列されている。このデッキ棚は、最も後方となる収納位置と最も前方となる補充位置との間で前後方向に沿ってスライド可能に設けられており、収納位置に配置される場合に、前端部に形成された通風孔部が吸込口に連通している。そのようなデッキ棚においても、上面に載置された商品が上記冷気のエアカーテンにより所望の温度に冷却される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図8は、従来のデッキ棚の要部を拡大して示す断面図である。この図8にも示すように、デッキ棚50は、デッキブラケット51及び補助側壁部材52を備えて構成されている。デッキブラケット51は、前後方向が長手方向となる長尺状のものであり、ケース本体60に設けられた補強部材であるエンドフレーム61に載置される基部511と、この基部511の外側部分より上方に向けて延在する外側上延部512とを有した縦断面がL字状を成すものである。外側上延部512の後端部分には棚支柱62に形成された係止孔62aに挿入される挿入片512aが形成されている。この外側上延部512の内面512bにはスライダ54が取り付けられている。
【0006】
補助側壁部材52は、上記スライダ54を介してデッキブラケット51に取り付けられており、該デッキブラケット51に対して前後方向に沿ってスライド可能である。この補助側壁部材52は、上面に商品を載置させるデッキ板55を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-202328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記デッキ棚50においては、スライダ54がデッキブラケット51の外側上延部512の内面512bに取り付けられていたので、スライダ54はエンドフレーム61の上方域に設置されることとなり、結果的に、デッキ板55はエンドフレーム61よりも十分に高い位置に配置されている。そのため、デッキ棚50の上下寸法を十分に確保する必要があり、これにより収納室における商品載置棚の設置スペースは相対的に小型化し、ケース本体を大型化しない限り商品収納数の拡大を図ることが困難であった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、ケース本体の大型化を招来せずに商品収納数の拡大を図ることができるショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るショーケースは、ケース本体の内部に前方に向けて左右一対のブラケット部材が該ケース本体を構成する構成要素に載置された状態で配設され、前記左右一対のブラケット部材の互いに近接する側の面である内面にスライダを介して取り付けられた補助側壁部材にデッキ板が支持されることによって、前記デッキ板が前後方向に沿ってスライド可能なデッキ棚が構成されたショーケースであって、前記左右一対のブラケット部材は、前記内面が前記構成要素よりも内側に形成されるよう構成されたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記左右一対のブラケット部材は、前記構成要素に載置される基部と、前記基部における他のブラケット部材と離隔する側である外側の端部より上方に向けて延在する外側上延部と、前記基部における他のブラケット部材と近接する側である内側の端部より上方に向けて延在し、かつ前記内面を有する内側上延部とが一体的に成形されて構成されたことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記構成要素は、前記ケース本体における前記デッキ棚の下方側となる底面部を補強するためのエンドフレームであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、左右一対のブラケット部材は、スライダが取り付けられる内面が該ブラケット部材を載置するケース本体の構成要素よりも内側に形成されるよう構成されているので、スライダが構成要素よりも内側に配置される結果、デッキ棚の上下寸法の小型化を図ることができ、ケース本体の大型化を招来せずに商品収納数の拡大を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態であるショーケースを模式的に示す断面側面図である。
図2図2は、図1に示したデッキ棚の外観構成を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示したデッキ棚の外観構成を示す斜視図である。
図4図4は、図2及び図3に示したデッキ棚を構成する要部の分解斜視図である。
図5図5は、図1に示したショーケースの要部を拡大して示す斜視図である。
図6図6は、図5に示した要部を断面で示す断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態であるデッキ棚の参考例を模式的に示す模式図である。
図8図8は、従来のデッキ棚の要部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るショーケースの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態であるショーケースを模式的に示す断面側面図である。ここで例示するショーケースは、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において商品を収容するものである。
【0017】
このショーケースのケース本体1には、底面部1A、後面部1B及び天面部1Cが設けてあり、これら底面部1A、後面部1B及び天面部1Cによって囲まれる部分に前面及び両側面が開口した収納室2が構成してある。
【0018】
上記ケース本体1には、上記収納室2と区画される態様で、通風路3が設けてある。通風路3は、底面部1A、後面部1B及び天面部1Cの内部に形成されており、下側通風ダクト3a、後側通風ダクト3b及び上側通風ダクト3cを備えている。
【0019】
下側通風ダクト3aは、底面部1Aにおいて、収納室2の底面を構成する底面板4aよりも下方となる部分に構成してある。底面板4aの前端部分には、左右方向に沿って延在する吸込口5が形成してある。
【0020】
後側通風ダクト3bは、後面部1Bにおいて、収納室2の背面を構成する背面板4bよりも後方となる部分に構成してある。この後側通風ダクト3bは、下端部分が下側通風ダクト3aの後端部分と連通している。
【0021】
上側通風ダクト3cは、天面部1Cにおいて、収納室2の天面を構成する天面板4cよりも上方となる部分に構成してある。天面板4cの前端部分には、左右方向に沿って延在する吹出口6が形成してある。
【0022】
上記通風路3の内部には、蒸発器7aや送風ファン7bが設置してある。蒸発器7aは、図示せぬコンデンシングユニットとともに冷凍サイクルを構成し、通風路3を通過する空気との間において熱交換を行うものである。
【0023】
このショーケースでは、コンデンシングユニット及び送風ファン7bを駆動すれば、蒸発器7aを通過した空気が通風路3を通じて収納室2に循環供給され、収納室2が所望の冷蔵温度に維持されることになる。
【0024】
収納室2には、上下に沿って複数段(図示の例では6段)の商品載置棚10が設けてある。商品載置棚10は、背面板4bの左右両側部に設けられた棚支柱8(図5等参照)に取り付けてあり、商品を載置して陳列させるものである。また収納室2には、最下段の商品載置棚10よりも下方側であって底面板4aの上方側に、すなわち底部近傍に、デッキ棚20が設けてある。
【0025】
図2及び図3は、それぞれ図1に示したデッキ棚20の外観構成を示す斜視図である。ここで例示するデッキ棚20は、デッキブラケット(ブラケット部材)21と補助側壁部材22とを備えて構成してある。
【0026】
デッキブラケット21は、左右一対のものであり、それぞれの前後方向が長手方向となる長尺状のものである。以下においては、左右一対のデッキブラケット21における互いに近接する側を「内側」と称し、互いに離隔する側を「外側」と称して説明する。また左右一対のデッキブラケット21は互いに左右方向の構成が異なるだけであるので、以下においては、右側のデッキブラケット21及びその周辺構造について説明し、左側のデッキブラケット21及びその周辺構造についての説明は適宜割愛する。
【0027】
デッキブラケット21は、例えば板金等を加工して構成されたもので、図4に示すように、基部211と、外側上延部212と、内側上延部213とが一体的に成形されて構成してあり、前方から見た場合にU字状を成している。基部211は、水平方向に延在する水平延在部分である。
【0028】
外側上延部212は、基部211の外側端部より上方に向けて延在する平板状部分である。この外側上延部212は、後端部が基部211の後端部よりも後方に向けて突出しており、その後端部分には、複数(図示の例では2つ)の挿入片212aが形成してある。
【0029】
内側上延部213は、基部211の内側端部より上方に向けて延在する平板状部分である。この内側上延部213の外面は、外側上延部212の内面に対向している。かかる内側上延部213には、複数(図示の例では3つ)の取付孔213aが形成してあり、これら取付孔213aを内側から取付ネジ231が挿通することにより内面213bにスライダ24が取り付けてある。ここでスライダ24は、従来公知のものであり、外側構成要素24aに対して内側構成要素24bが前後方向に沿ってスライド可能に設けて構成してある。
【0030】
そのようなデッキブラケット21は、図5及び図6に示すように、挿入片212aが棚支柱8の任意の係止孔8aに挿入しつつ、基部211がケース本体1に設けられたエンドフレーム9に載置された状態で固定ネジ232を介して固定してある。そして、デッキブラケット21は、内側上延部213がエンドフレーム9よりも内側に形成されるよう配置してある。ここでエンドフレーム9は、ケース本体1の底面部1Aを補強するケース本体1の構成要素であり、左右一対となる態様で設けられている。かかるエンドフレーム9は、前後方向が長手方向となる長尺状のものである。
【0031】
補助側壁部材22は、例えば板金等から形成されたものであり、前後方向が長手方向となる長尺状部材である。この補助側壁部材22は、スライダ24の内側構成要素24bに取り付けてあり、これによりスライダ24を介してデッキブラケット21の内側に取り付けてあり、デッキブラケット21に対して前後方向に沿ってスライド可能である。この補助側壁部材22は、上面にデッキ板25を載置するものである。デッキ板25は、板金等を加工して形成されたものであり、上面が販売商品を載置する矩形状の載置面を構成している。
【0032】
これによりデッキ棚20は、デッキ板25が最も後方に配置される収納位置と、デッキ板25が最も前方に配置される補充位置との間で、前後方向に沿ってスライド可能である。
【0033】
また補助側壁部材22の前端部分にはアーム部26が取り付けてある。アーム部26は、補助側壁部材22の前端部分同士を連結する態様で構成してあり、左右方向が長手方向となる長尺状のものである。このアーム部26には、通風孔部26aが形成してあるとともに、フェンス部27が設けてある。
【0034】
通風孔部26aは、デッキ棚20が収納位置に配置される場合に、アーム部26における吸込口5の直上域となる部分に形成された略矩形状の開口であり、該吸込口5に連通している。かかるアーム部26には、該通風孔部26aを閉塞する態様でフィルタ部材28が設けてある。
【0035】
フェンス部27は、例えばアクリル樹脂等の樹脂材から構成された光透過性を有する平板状部材であり、左右方向が長手方向となる長尺状部材である。このフェンス部27は、アーム部26における通風孔部26aの前方側において立設してある。
【0036】
以上のような構成を有するショーケースにおいては、左右一対のデッキブラケット21が、スライダ24が取り付けてある内面213bがエンドフレーム9よりも内側に形成されるよう構成されているので、スライダ24がエンドフレーム9よりも内側に配置される結果、デッキ棚20の上下寸法の小型化を図ることができる。よって上記ショーケースによれば、収納室2における商品載置棚10の設置スペースを相対的に大型化させることができ、ケース本体1の大型化を招来せずに商品収納数の拡大を図ることができる。
【0037】
上記ショーケースによれば、左右一対のデッキブラケット21が、エンドフレーム9に載置される基部211と、基部211の外側端部より上方に向けて延在する外側上延部212と、基部211の内側端部より上方に向けて延在し、かつスライダ24が取り付けてある内面213bを有する内側上延部213とが一体的に成形されて構成してあるので、内側上延部213の取付孔213aを挿通する取付ネジ231のネジ先が外側上延部212により露出されることを抑制でき、見栄えを向上させることができる。
【0038】
図7は、本発明の実施の形態であるデッキ棚20の参考例を模式的に示す模式図である。この図7に示すように、デッキ板35を前後方向にスライド可能に支持するデッキ支持部35Aが、リンク機構40により、ケース本体41における収納室42の前面開口の下縁部を構成する前方立上部41aよりも下方となる収納位置と、前方立上部41aよりも上方となる補充位置との間で変位可能に構成してある。このデッキ支持部35Aは、補充位置に配置される場合に、デッキ板35を前後方向に向けてスライド可能である。
【0039】
そのような構成を有するデッキ棚20においても、デッキ支持部35Aを補充位置に配置させる場合に、収納室42における図示せぬ商品載置棚の設置スペースを相対的に大型化させることができ、ケース本体41の大型化を招来せずに商品収納数の拡大を図ることができる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施の形態及び参考例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0041】
上述した実施の形態では、デッキブラケット21が前方から見てU字状を成すものであったが、本発明においては、左右一対のブラケット部材が、スライダが取り付けられる内面がエンドフレームよりも内側に形成されるよう構成されていればよく、例えば前方から見てH字状やZ字状を成していてもよい。
【0042】
上述した実施の形態では、デッキブラケット21がエンドフレーム9に載置されるものとして説明したが、本発明においては、デッキ棚を構成するブラケット部材がエンドフレームに限られずケース本体を構成する構成要素に載置されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…ケース本体、1A…底面部、1B…後面部、1C…天面部、2…収納室、3…通風路、5…吸込口、6…吹出口、9…エンドフレーム、10…商品載置棚、20…デッキ棚、21…デッキブラケット、211…基部、212…外側上延部、212a…挿入片、213…内側上延部、213a…取付孔、213b…内面、22…補助側壁部材、24…スライダ、25…デッキ板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8