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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081030
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】治具および電池パッケージ製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 67/10 20060101AFI20240610BHJP
   B65B 45/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B65B67/10 Z
B65B45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194450
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花村 恵実
(72)【発明者】
【氏名】仁藤 宗一
【テーマコード(参考)】
3E057
【Fターム(参考)】
3E057AA09
3E057BA10
3E057BB10
(57)【要約】
【課題】電池パッケージを容易に形成する。
【解決手段】実施形態によれば、複数の筒型電池を並べて収納するブリスター部を形成する正面側の紙部材と、背面側の紙部材とを圧着して電池パッケージを製造する工程に用いる治具であって、治具の圧着面側において、ブリスター部の形状に合わせた折り目またはミシン目を有する正面側の紙部材を挿入した上で、複数の筒型電池を挿入することで、正面側の紙部材に対して複数の筒型電池の端子方向を同じ向きに並べて収納した状態とする穴部と、正面側の紙部材に対して複数の筒型電池を収納した後の、穴部の周囲に延在する正面側の紙部材と、背面側の紙部材とを合わせて圧着を受ける圧着受け部と、を備え、正面側の紙部材に対して複数の筒型電池を収納した後の、穴部における複数の筒型電池の端子方向の内壁面と、正面側の紙部材との間に、圧着時の圧力を受けた正面側の紙部材の外方向への湾曲を許容する隙間を有する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の筒型電池を並べて収納するブリスター部を形成する正面側の紙部材と、背面側の紙部材とを圧着して電池パッケージを製造する工程に用いる治具であって、
前記治具の圧着面側において、
前記ブリスター部の形状に合わせた折り目またはミシン目を有する前記正面側の紙部材を挿入した上で、前記複数の筒型電池を挿入することで、前記正面側の紙部材に対して前記複数の筒型電池の端子方向を同じ向きに並べて収納した状態とする穴部と、
前記正面側の紙部材に対して前記複数の筒型電池を収納した後の、前記穴部の周囲に延在する前記正面側の紙部材と、前記背面側の紙部材とを合わせて圧着を受ける圧着受け部と、を備え、
前記正面側の紙部材に対して前記複数の筒型電池を収納した後の、前記穴部における前記複数の筒型電池の端子方向の内壁面と、前記正面側の紙部材との間に、圧着時の圧力を受けた前記正面側の紙部材の外方向への湾曲を許容する隙間を有する、
ことを特徴とする治具。
【請求項2】
前記内壁面は、前記穴部の入り口から奥に向かって広がる斜面部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記正面側の紙部材と、前記背面側の紙部材とは、1つの紙部材を折り返して形成され、
前記圧着受け部は、前記穴部の周囲に延在する前記正面側の紙部材に、折り返された前記背面側の紙部材とを合わせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の治具。
【請求項4】
複数の筒型電池を並べて収納するブリスター部を形成する正面側の紙部材と、背面側の紙部材とを圧着して電池パッケージを製造する工程に用いる治具の穴部に、前記ブリスター部の形状に合わせた折り目またはミシン目を有する前記正面側の紙部材を挿入した上で、前記複数の筒型電池を挿入することで、前記正面側の紙部材に対して前記複数の筒型電池の端子方向を同じ向きに並べて収納した状態とする工程と、
前記正面側の紙部材に対して前記複数の筒型電池を収納した後の、前記穴部の周囲に延在する前記正面側の紙部材と、前記背面側の紙部材とを合わせて圧着する工程と、を有し、
前記正面側の紙部材に対して前記複数の筒型電池を収納した後の、前記穴部における前記複数の筒型電池の端子方向の内壁面と、前記正面側の紙部材との間の隙間により、前記圧着する工程において、圧力を受けた前記正面側の紙部材の外方向への湾曲が形成される、
ことを特徴とする電池パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、治具および電池パッケージ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池の端子部が包装容器に接触しない構造とすることにより、高い湿度の環境下において包装材料が水分を吸湿した場合にも、端子部が包装材料と離れていることによって、端子部に錆が発生することのない電池用包装容器が知られている。このような電池用包装容器については、包装材料のリサイクルや廃棄処理の容易化のために、紙状部材を用いる従来技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-240049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、紙状部材を手で折り込みながら電池の端子部が紙状部材と離れるように形成して電池をセットした上で、プレス機により紙を圧着してケース状にしている。このように、従来技術では、電池の端子部が紙状部材と離れるように形成するために手で織り込むような製造工程が多く且つ煩雑であるという問題がある。
【0005】
1つの側面では、電池パッケージを容易に形成できる治具および電池パッケージ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの案は、複数の筒型電池を並べて収納するブリスター部を形成する正面側の紙部材と、背面側の紙部材とを圧着して電池パッケージを製造する工程に用いる治具である。治具は、圧着面側において、穴部と、圧着受け部とを備える。穴部は、前記ブリスター部の形状に合わせた折り目またはミシン目を有する前記正面側の紙部材を挿入した上で、前記複数の筒型電池を挿入することで、前記正面側の紙部材に対して前記複数の筒型電池の端子方向を同じ向きに並べて収納した状態とする。圧着受け部は、前記正面側の紙部材に対して前記複数の筒型電池を収納した後の、前記穴部の周囲に延在する前記正面側の紙部材と、前記背面側の紙部材とを合わせて圧着を受ける。前記正面側の紙部材に対して前記複数の筒型電池を収納した後の、前記穴部における前記複数の筒型電池の端子方向の内壁面と、前記正面側の紙部材との間には、圧着時の圧力を受けた前記正面側の紙部材の外方向への湾曲を許容する隙間を有する。
【発明の効果】
【0007】
電池パッケージを容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかる電池パッケージの外観を例示する斜視図である。
図2図2は、実施形態にかかる電池パッケージを構成する紙材の展開図である。
図3A図3Aは、実施形態にかかる電池パッケージの製造に用いる治具の表面外観図である。
図3B図3Bは、実施形態にかかる電池パッケージの製造に用いる治具の裏面外観図である。
図4A図4Aは、実施形態にかかる電池パッケージの製造工程の一例を説明する説明図である。
図4B図4Bは、実施形態にかかる電池パッケージの製造工程の一例を説明する説明図である。
図4C図4Cは、実施形態にかかる電池パッケージの製造工程の一例を説明する説明図である。
図4D図4Dは、実施形態にかかる電池パッケージの製造工程の一例を説明する説明図である。
図5図5は、実施形態にかかる電池パッケージの製造工程における治具の裏面外観の説明図である。
図6A図6Aは、実施形態にかかる電池パッケージのサイド部の外観を例示する斜視図である。
図6B図6Bは、実施形態にかかる電池パッケージ内の筒型電池の収納状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態にかかる治具および電池パッケージ製造方法を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する治具および電池パッケージ製造方法は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0010】
図1は、実施形態にかかる電池パッケージの外観を例示する斜視図である。図1に示すように、電池パッケージ1は、複数の筒型電池を並べて収納するブリスター部20を形成する正面側の紙部材10と、背面側の紙部材10aとを圧着し、糊を溶融させて紙部材10、10aを接合することでケース状としたものである。電池パッケージ1の上部には、商品棚のフック等に掛けるためのフック用穴11が形成されている。
【0011】
ブリスター部20は、台紙となる背面側の紙部材10aと、正面側の紙部材10により形成された正面部21と、上部22と、サイド部23と、底部24とで内部を覆う構成である。このブリスター部20において、複数の筒型電池は、正極および負極の端子方向を横向き、すなわち端子方向をサイド部23に向けて収納される。なお、以後の説明において、正面部21に向かって右側および左側のサイド部23(図示例では右側が描かれてる)を区別する場合は、右側をサイド部23a、左側をサイド部23bと呼ぶものとする。
【0012】
図2は、実施形態にかかる電池パッケージ1を構成する紙部材の展開図である。図2に示すように、電池パッケージ1を構成する紙部材3は、1枚の厚紙に複数の折り目30~37をつけたものである。なお、折り目30~37は、紙部材3の折り曲げ加工を容易とするものであればよく、例えば、一部または全部の折り目はミシン目であってもよい。例えば、折り目30~37の一部または全部の折り目をミシン目とした場合は、そのミシン目での破断を容易に行うことができる。
【0013】
この紙部材3において、複数の折り目30~37の中の折り目37で折り返す上側が正面側の紙部材10に相当し、下側が背面側の紙部材10aに相当する。すなわち、電池パッケージ1における正面側の紙部材10と、背面側の紙部材10aとは、1つの紙部材3を折り返して形成される。
【0014】
正面側の紙部材10は、ブリスター部20の形状に合わせた折り目30~37を有する。具体的には、折り目30、31は、ブリスター部20における正面部21から上部22にかかる形状に合わせた折り目である。
【0015】
折り目32a、33a、34aは、ブリスター部20における正面部21からサイド部23aにかかる形状に合わせた折り目である。ここで、折り目32aから折り目34aに至る長さ(寸法)は、筒型電池の直径よりも長くなっている。このため、折り目32aから折り目34aの紙部材10により、ブリスター部20の厚みが筒型電池の直径と同程度となるようにサイド部23aを形成した場合、サイド部23aは膨らみを帯びる(外方向へ湾曲)こととなる(詳細は後述)。
【0016】
折り目32b、33b、34bは、ブリスター部20における正面部21からサイド部23bにかかる形状に合わせた折り目である。折り目35、36、37は、正面部21から底部24にかかる形状に合わせた折り目である。折り目32aから折り目34aに至る長さ(寸法)と同様に、折り目32bから折り目34bに至る長さ(寸法)も、筒型電池の直径よりも長くなっている。このため、折り目32bから折り目34bの紙部材10により、ブリスター部20の厚みが筒型電池の直径と同程度となるようにサイド部23bを形成した場合、サイド部23bは膨らみを帯びる(外方向へ湾曲)こととなる(詳細は後述)。
【0017】
紙部材10aの裏面(図2では裏面側が示されている)には、全面に圧着時に溶解して接合する糊が塗布されている。これにより、紙部材10aは、折り目37等により折り返して紙部材10aの裏面と接するところが圧着により接合される。
【0018】
電池パッケージ1の製造工程では、治具を用い、複数の筒型電池を並べて収納するブリスター部20を形成する正面側の紙部材10と、背面側の紙部材10aとを圧着して電池パッケージ1を製造する。具体的には、電池パッケージ1の製造工程では、紙部材3における正面側の紙部材10を治具の穴部に嵌め込んでブリスター部20の形状を整えた上で、そのブリスター部20内に複数の筒型電池を横向きに並べて収納する。ついで、折り目37より折り返した紙部材10aと、治具の穴部の周囲に延在する正面側の紙部材10とを合わせて圧着することで、複数の筒型電池をブリスター部20に収納した電池パッケージ1を製造する。
【0019】
図3Aは、実施形態にかかる電池パッケージ1の製造に用いる治具の表面外観図である。図3Aに示すように、電池パッケージ1は、プレス機等による圧着を行う表面101側に、穴部102と、圧着受け部103、105a、105bと、サイドフラップ係止部104a、104bと、フック部106とを有する。
【0020】
穴部102は、ブリスター部20の形状に合わせた折り目30~37を有する正面側の紙部材10を嵌め込む(挿入する)ことで、ブリスター部20の形状を整える。この穴部102の深さは、筒型電池の直径と同程度である。穴部102においては、正面側の紙部材10を挿入した上で、複数の筒型電池を挿入することで、紙部材10に対して複数の筒型電池の端子方向を同じ向きに並べて収納した状態とする。
【0021】
圧着受け部103、105a、105bは、穴部102に正面側の紙部材10を嵌め込んでブリスター部20の形状を整えた上で、複数の筒型電池を挿入した後に、穴部102の周囲に延在する紙部材10と、背面側の紙部材10aとを合わせてプレス機等の圧着を受ける板材である。
【0022】
具体的には、圧着受け部103は、折り目30より穴部102の上部側に伸びた紙部材10と、紙部材10aとを合わせて圧着を受ける板材である。圧着受け部105aは、折り目32aより横に伸びた紙部材10であるサイドフラップ40a(図4C参照)と、紙部材10aとを合わせて圧着を受ける板材である。圧着受け部105bは、折り目32bより横に伸びた紙部材10であるサイドフラップ40b(図4C参照)と、紙部材10aとを合わせて圧着を受ける板材である。
【0023】
この圧着受け部105aと、圧着受け部105bとの間の寸法は、筒型電池の筒長方向における長さ(端子部を含む)と同程度である。したがって、ユーザは、圧着受け部105aと、圧着受け部105bとの間を介して複数の筒型電池を挿入し、複数の筒型電池の端子方向を同じ向きに並べて収納した状態とすることができる。
【0024】
サイドフラップ係止部104a、104bは、紙部材10と、紙部材10aとを圧着する際に、サイドフラップ40a、40bを外側にずれないように係止する板材である。この板材には、例えば、耐熱性硬質ゴム、通常のゴム等、弾性のある素材を適用できる。具体的には、サイドフラップ係止部104a、104bは、表面101方向において圧着受け部105a、105bよりも高くなっている。このため、紙部材10と、紙部材10aとを圧着する際には、サイドフラップ40a、40bの縁がサイドフラップ係止部104a、104bに当接し、それ以上外側にずれることがない。
【0025】
フック部106は、プレス機等で圧着する際に、フック用穴11を掛けるための棒材である。プレス機等で圧着する際には、正面側の紙部材10と、背面側の紙部材10aとフック用穴11に掛けることで、位置合わせを行う。
【0026】
図3Bは、実施形態にかかる電池パッケージ1の製造に用いる治具100の裏面外観図である。図3Bに示すように、穴部102は、治具100の裏面110まで至る構成となっている。このため、治具100に紙部材3および複数の筒型電池をセットした後にプレス機等で圧着する際には、治具100の裏面110側を固定された台の上に載せた上で、治具100の表面101側に対して可動式の鉄板等により圧力を加えるとともに、熱を加える。
【0027】
また、穴部102の内壁面111は、横方向、すなわち複数の筒型電池を収納した際に、その端子部が向く端子方向において、十分な広がりを有している。具体的には、圧着受け部105aと、圧着受け部105bとの間の寸法(筒型電池の筒長方向における長さと同程度)よりも横方向に広がりのある寸法となっている。より具体的には、内壁面111は、穴部102の表面101側の入り口における圧着受け部105aの縁から、穴部102の奥(図3Bの手前方向)に向かって上記の寸法が広がるような傾斜部111aを有する。同様に、内壁面111は、穴部102の表面101側の入り口における圧着受け部105bの縁から、穴部102の奥(図3Bの手前方向)に向かって上記の寸法が広がるような傾斜部111bを有する。
【0028】
このため、治具100は、正面側の紙部材10を穴部102に嵌め込んだ上で複数の筒型電池2を収納した後の、横方向の内壁面111と、紙部材10との間に、圧着時の圧力を受けた紙部材10の外方向への湾曲を許容する隙間を有する。
【0029】
図4A図4Dは、実施形態にかかる電池パッケージの製造工程の一例を説明する説明図である。
【0030】
図4Aに示すように、電池パッケージ1の製造工程では、まず、正面側の紙部材10における正面部21を治具100の穴部102にセットする。
【0031】
ついで、電池パッケージ1の製造工程では、図4Bに示すように、正面部21に複数の筒型電池2を横向きに並べて押し込むと同時に、フック部106に正面側のフック用穴11を掛けて位置合わせを行う。
【0032】
ついで、電池パッケージ1の製造工程では、図4Cに示すように、穴部102から横に伸びたサイドフラップ40a、40bを圧着受け部105a、105bに合わせた上で、紙部材10aを折り返す。
【0033】
ついで、電池パッケージ1の製造工程では、図4Dに示すように、折り返した紙部材10aのフック用穴11をフック部106に掛けて紙部材10aの位置合わせを行う。ついで、ユーザは、治具100をプレス機などに挿入する。具体的には、ユーザは、プレス機の固定台に治具100の裏面110側を載せる。ついで、ユーザは、プレス機を駆動させ、治具100の表面101側に対してプレス機の可動式の鉄板等により圧力を加えるとともに、熱を加える。
【0034】
図5は、実施形態にかかる電池パッケージ1の製造工程における治具100の裏面外観の説明図である。図5に示すように、上記の圧着により、複数の筒型電池2の端子部を覆う紙部材10(サイド部23a、23b)が外方向へ湾曲し、ブリスター部20内に収納した複数の筒型電池2の端子部が紙部材10と離れる(接触しない)ようにブリスター部20が形成される。
【0035】
また、圧着後に、表面101側の穴部102からブリスター部20を引き抜く際には、外方向へ湾曲した紙部材10が傾斜部111a、111bにより狭まる。したがって、外方向へ湾曲した紙部材10が穴部102の入り口にある圧着受け部105a、105b等に引っかかることなく、ブリスター部20を引き抜くことができる。
【0036】
図6Aは、実施形態にかかる電池パッケージ1のサイド部23aの外観を例示する斜視図である。図6Aに示すように、複数の筒型電池2の端子部を覆うサイド部23aは、外側に湾曲した形状となっている。より具体的には、サイド部23aは、筒型電池2の端子部の直径を底辺とし、折り目33aを頂点として外側に出っ張った三角形状となっている。なお、逆側のサイド部23bについてもサイド部23aと同様の形状となっている。
【0037】
図6Bは、実施形態にかかる電池パッケージ1内の筒型電池2の収納状態を説明する説明図である。図6Bに示すように、複数の筒型電池2の端子部を覆うサイド部23a、23bは、筒型電池2の端子部の直径を底辺とし、折り目33a、33bを頂点として外側に出っ張った三角形状となっていることから、端子部がサイド部23a、23bの紙面に直接接触することがない。したがって、電池パッケージ1は、内部に収納する筒型電池2の端子部に錆が発生することを抑止できる。
【0038】
以上のように、治具100は、複数の筒型電池2を並べて収納するブリスター部20を形成する正面側の紙部材10と、背面側の紙部材10aとを圧着して電池パッケージ1を製造する工程に用いる治具である。治具100は、圧着面(表面101)側において、穴部102と、圧着受け部103、105a、105bとを備える。穴部102は、ブリスター部20の形状に合わせた折り目30~37を有する紙部材10を挿入した上で、複数の筒型電池2を挿入することで、紙部材10に対して複数の筒型電池2の端子方向を同じ向きに並べて収納した状態とする。圧着受け部103、105a、105bは、紙部材10に対して複数の筒型電池2を収納した後の、穴部102の周囲に延在する紙部材10と、背面側の紙部材10aとを合わせて圧着を受ける。治具100において、正面側の紙部材10に対して複数の筒型電池2を収納した後の、穴部102における複数の筒型電池2の端子方向の内壁面111と、正面側の紙部材10との間に、圧着時の圧力を受けた正面側の紙部材10の外方向への湾曲を許容する隙間を有する。
【0039】
これにより、治具100は、正面側の紙部材10と、背面側の紙部材10aとを圧着した際に複数の筒型電池2の端子部を覆う紙部材10(サイド部23)が外方向へ湾曲し、ブリスター部20内に収納した複数の筒型電池2の端子部が紙部材10と離れる(接触しない)ように電池パッケージ1を製造できる。すなわち、治具100を用いて電池パッケージ1を製造することで、手で織り込むような製造工程を経ることなく、容易に、複数の筒型電池2の端子部が紙部材10と接触しない形状とすることができる。
【0040】
また、穴部102における複数の筒型電池2の端子方向の内壁面111は、穴部102の入り口から奥に向かって広がる傾斜部111a、111bを有する。これにより、圧着後に正面側の紙部材10を穴部102から引き抜く際には、外方向へ湾曲した紙部材10が傾斜部111a、111bにより狭まる。したがって、引っかかりなく正面側の紙部材10を穴部102から引き抜くことができる。また、引き抜く際に挟まった紙部材10の折り目33a、33b部分は、引き抜いた後に、紙の復元力により元の三角形状に復元される。
【0041】
また、正面側の紙部材10と、背面側の紙部材10aとは、1つの紙部材3を折り返して形成される。圧着受け部103は、穴部102の周囲に延在する正面側の紙部材10に、折り返された背面側の紙部材10aとを合わせる。これにより、治具100は、1つの紙部材3から電池パッケージ1を製造することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…電池パッケージ
2…筒型電池
3…紙部材
10…紙部材
10a…紙部材
11…フック用穴
20…ブリスター部
21…正面部
22…上部
23、23a、23b…サイド部
24…底部
30~37…折り目
40a、40b…サイドフラップ
100…治具
101…表面
102…穴部
103、105a、105b…圧着受け部
104a、104b…サイドフラップ係止部
106…フック部
110…裏面
111…内壁面
111a、111b…傾斜部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B