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特開2024-81034MEMSセンサおよびMEMSセンサの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081034
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】MEMSセンサおよびMEMSセンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20240610BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20240610BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20240610BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G01L9/00 305A
G01L9/00 305B
B81B3/00
B81C1/00
H01L29/84 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194457
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 正広
【テーマコード(参考)】
2F055
3C081
4M112
【Fターム(参考)】
2F055BB05
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE25
2F055FF38
2F055GG11
3C081AA01
3C081AA17
3C081BA04
3C081BA22
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA53
3C081CA02
3C081CA14
3C081CA28
3C081CA29
3C081CA40
3C081DA03
3C081DA27
3C081DA29
3C081DA30
3C081EA03
4M112AA01
4M112BA07
4M112CA01
4M112CA16
4M112DA03
4M112EA02
4M112FA01
(57)【要約】
【課題】圧力を良好に検出できる静電容量型のMEMSセンサを提供する。
【解決手段】MEMSセンサ1は、第1面3および第2面4を有し、キャビティ6を有する半導体基板2と、第1面3において、キャビティ6を密閉するメンブレン7と、キャビティ6の底部6eに形成された第1導電型の第1領域11と、メンブレン7に形成され、キャビティ6を挟んで第1領域11に対向する第2導電型の第2領域12とを含む。半導体基板2は、第2導電型である。第1領域11は、キャビティ6の底部6eだけでなく、キャビティ6の側部6fにも形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有し、キャビティを有する半導体基板と、
前記第1面において、前記キャビティを密閉するメンブレンと、
前記キャビティの底部に形成された第1導電型の第1領域と、
前記メンブレンに形成され、前記キャビティを挟んで前記第1領域に対向する第2導電型の第2領域とを含む、MEMSセンサ。
【請求項2】
前記半導体基板が第2導電型であり、
前記第1領域は、前記キャビティの前記底部および前記キャビティの側部に形成された領域を含む、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項3】
前記第1領域において、前記キャビティの前記底部を形成する部分の濃度と、前記キャビティの前記側部を形成する部分の濃度とが等しい、請求項2に記載のMEMSセンサ。
【請求項4】
前記第1領域は、前記キャビティの前記底部を形成する第1濃度の第1部分と、前記キャビティの前記側部に形成された前記第1濃度よりも低濃度の第2部分とを含む、請求項2に記載のMEMSセンサ。
【請求項5】
前記第1領域において前記キャビティの前記側部を形成する部分が、前記第2領域の周囲を取り囲んでいる、請求項2~4のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項6】
前記第2領域が、前記第1面で露出しており、
前記第1領域が、前記第1面で露出している、請求項2~4のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項7】
前記第1面において前記第1領域に接続された第1コンタクトと、
前記第1面において前記第2領域に接続された第2コンタクトとをさらに含む、請求項6に記載のMEMSセンサ。
【請求項8】
前記半導体基板が第1導電型である、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項9】
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する半導体基板の前記第1面に第1導電型の不純物を導入することにより、第1導電型の第1拡散層を形成する第1拡散層形成工程と、
前記第1拡散層の内部に、前記第1拡散層により周囲が取り囲まれたキャビティを形成し、かつ前記キャビティを密閉するメンブレンを形成するキャビティ形成工程と、
前記メンブレンに第2導電型の不純物を導入することにより、前記キャビティの底部の前記第1拡散層に対向するように、第2導電型の拡散層を形成する第2拡散層形成工程と、を含む、MEMSセンサの製造方法。
【請求項10】
前記キャビティ形成工程は、
前記第1拡散層に、前記第1面から凹む複数の穴を形成する穴形成工程と、
前記複数の穴を介して前記第1拡散層を等方的にエッチングすることにより、前記複数の穴の下方に連結キャビティを形成する連結キャビティ形成工程と、
前記複数の穴の周囲の前記第1拡散層の半導体材料を部分的に移動させることにより、前記複数の穴を塞いで前記連結キャビティを密閉することにより前記メンブレンを形成し、前記キャビティを形成する穴閉塞工程とを含む、請求項9に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項11】
前記複数の穴の側壁および前記複数の穴の底壁に保護膜を形成する保護膜形成工程と、
前記複数の穴の前記底壁から前記保護膜を除去する保護膜除去工程とをさらに含み、
前記連結キャビティ形成工程は、前記複数の穴を介したエッチングを行うことにより前記連結キャビティを形成するエッチング工程を含む、請求項10に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項12】
前記エッチング工程の後に、前記複数の穴の前記側壁から前記保護膜を除去する第2保護膜除去工程をさらに含む、請求項11に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項13】
前記第1拡散層形成工程は、第2導電型のベース基板の表面に第1導電型の不純物を選択的に導入することにより、第1濃度を有する第1濃度拡散層を形成する工程と、前記第1濃度拡散層を覆うように第2導電型のエピタキシャル層を形成する工程と、前記エピタキシャル層の表面に第1導電型の不純物を導入することにより、前記第1濃度よりも低い第2濃度を有する第2濃度拡散層を形成する工程とを含み、
前記キャビティ形成工程は、底部に前記第1濃度拡散層が形成され、かつ天部および側部に前記第2濃度拡散層を有する前記キャビティを形成する工程を含む、請求項9~12のいずれか一項に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項14】
前記キャビティ形成工程は、
前記第2濃度拡散層に、前記第1面から凹み、前記第2濃度拡散層内に底壁を有する複数の穴を形成する穴形成工程と、
前記複数の穴を介して前記第2濃度拡散層および第1濃度拡散層を等方的にエッチングすることにより、前記複数の穴の下方に前記第1濃度拡散層と前記第2濃度拡散層との境界よりも第2面側に底部を有する連結キャビティを形成する連結キャビティ形成工程と、
前記複数の穴の周囲の前記第1拡散層の半導体材料を部分的に移動させることにより、前記複数の穴を塞いで前記連結キャビティを密閉することにより前記メンブレンを形成し、前記キャビティを形成する穴閉塞工程とを含む、請求項13に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項15】
前記キャビティ形成工程は、
前記第1拡散層に、前記第1面から凹む複数の穴を形成する穴形成工程と、
前記複数の穴の周囲の前記第1拡散層の半導体材料を部分的に移動させることにより、前記複数の穴を塞ぎ、前記キャビティを形成する穴閉塞工程とを含む、請求項9に記載のMEMSセンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、MEMSセンサおよびMEMSセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、キャビティと、キャビティ上を閉塞する可動部とを備えたMEMSセンサを開示している。キャビティ内の圧力変動に伴う可動部の移動に基づいて、MEMSセンサに生じる圧力が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-025966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態は、圧力を良好に検出できる静電容量型のMEMSセンサおよびMEMSセンサの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態は、第1面および前記第1面の反対側の第2面を有し、キャビティを有する半導体基板と、前記第1面において、前記キャビティを密閉するメンブレンと、前記キャビティの底部に形成された第1導電型の第1領域と、前記メンブレンに形成され、前記キャビティを挟んで前記第1領域に対向する第2導電型の第2領域とを含む、MEMSセンサを提供する。
【0006】
本開示の一実施形態は、第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する半導体基板の前記第1面に第1導電型の不純物を導入することにより、第1導電型の第1拡散層を形成する第1拡散層形成工程と、前記第1拡散層の内部に、前記第1拡散層により周囲が取り囲まれたキャビティを形成し、かつ前記キャビティを密閉するメンブレンを形成するキャビティ形成工程と、前記メンブレンに第2導電型の不純物を導入することにより、前記キャビティの底部の前記第1拡散層に対向するように、第2導電型の拡散層を形成する第2拡散層形成工程と、を含む、MEMSセンサの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態に係るMEMSセンサによれば、メンブレンに形成された第2導電型の第2領域が、キャビティの底部に形成された第1導電型の第1領域と、キャビティを挟んで対向する。メンブレンが第1面側から圧力を受けると、キャビティの内部と外部との間に差圧が生じることによってメンブレンが半導体基板の厚さ方向に変形する。メンブレンの変形により第1領域と第2領域との間隔が変化し、第1領域と第2領域との間の静電容量が変化する。メンブレンによってキャビティが密閉されているので、キャビティ内を真空に保つことができ、キャビティ内部への水分等の湿気の侵入を防止することができる。そのため、水分等に起因する第1領域と第2領域との貼り付きを防止できる。導電型の互いに異なる第1領域および第2領域を電極部として用いることで、これらの電極部の間の静電容量の変化に基づいて、圧力を良好に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係るMEMSセンサの模式的な平面図である。
図2図2は、本開示の第1実施形態に係るMEMSセンサの模式的な断面図であって、図1のII-II断面を示す図である。
図3A図3Aは、本開示の第1実施形態に係るMEMSセンサの製造工程の一部を示す図である。
図3B図3Bは、図3Aの次の工程を示す図である。
図3C図3Cは、図3Bの次の工程を示す図である。
図3D図3Dは、図3Cの次の工程を示す図である。
図3E図3Eは、図3Dの次の工程を示す図である。
図3F図3Fは、図3Eの次の工程を示す図である。
図3G図3Gは、図3Fの次の工程を示す図である。
図3H図3Hは、図3Gの次の工程を示す図である。
図4図4は、本開示の第2実施形態に係るMEMSセンサの模式的な断面図である。
図5A図5Aは、本開示の第2実施形態に係るMEMSセンサの製造工程の一部を示す図である。
図5B図5Bは、図5Aの次の工程を示す図である。
図5C図5Cは、図5Bの次の工程を示す図である。
図5D図5Dは、図5Cの次の工程を示す図である。
図5E図5Eは、図5Dの次の工程を示す図である。
図5F図5Fは、図5Eの次の工程を示す図である。
図5G図5Gは、図5Fの次の工程を示す図である。
図5H図5Hは、図5Gの次の工程を示す図である。
図5I図5Iは、図5Hの次の工程を示す図である。
図5J図5Jは、図5Iの次の工程を示す図である。
図6図6は、本開示の第3実施形態に係るMEMSセンサの模式的な断面図である。
図7図7は、本開示の変形例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本開示の一実施形態に係るMEMSセンサ1の模式的な平面図である。図2は、本開示の一実施形態に係るMEMSセンサ1の模式的な断面図であって、図1のII-II断面を示す図である。
【0010】
MEMSセンサ1は、静電容量型のセンサである。MEMSセンサ1は、たとえば、気圧センサ、圧力センサ等の各種センサに適用できる。MEMSセンサ1は、半導体基板2を備えている。本実施形態では、半導体基板2はp型(第2導電型)半導体基板である。本実施形態では、半導体基板2は、シリコン基板である。半導体基板2は、第1面3およびその反対側の第2面4を有している。半導体基板2の第1面3および第2面4は、それぞれ、半導体基板2の表面および裏面と称してもよい。また、半導体基板2は、端面5を有している。本実施形態では、半導体基板2は、平面視四角形状に形成されている。端面5は、平面視において半導体基板2の4辺を形成する4つの端面5を含む。半導体基板2の端面5は、半導体基板2の側面と称してもよいし、第3面と称してもよい。また、半導体基板2の厚さは、たとえば、100μm以上775μm以下である。
【0011】
半導体基板2は、キャビティ6と、第1面3に形成されたメンブレン7と、固定部8とを有する。キャビティ6は、半導体基板2の内部に形成された空洞である。メンブレン7は、たとえば膜状であり、キャビティ6の開口部に配置されて、キャビティ6を密閉している。固定部8は、メンブレン7を支持する部位である。本実施形態では、半導体基板2のうち、キャビティ6およびメンブレン7を除いた部位が、固定部8である。
【0012】
キャビティ6は、図1に示すように、平面視略四角形状に形成されている。キャビティ6は、平面視において、第1辺6A、第2辺6B、第3辺6Cおよび第4辺6Dを有している。キャビティ6の深さDは、たとえば、0.5μm以上20μm以下である。キャビティ6の深さDは、メンブレン7の対向面7aからキャビティ6の底部6eまでの距離であってもよい。
【0013】
メンブレン7は、一定の厚さを有している。メンブレン7の厚さは、たとえば1μm以上30μm以下である。より好ましくは、メンブレン7の厚さは、たとえば7μmである。メンブレン7は、キャビティ6の底部6eに対向する対向面7aを有している。メンブレン7は、キャビティ6に対して変形可能である。メンブレン7と固定部8との境界線は、平面視略四角形状であり、平面視でキャビティ6の4つの辺6A~6Dに揃っている。キャビティ6はメンブレン7によって密閉されているため、キャビティ6内は、真空に保たれている。メンブレン7は、真空に対する周囲の大気圧の差の変動に伴って半導体基板2の厚さ方向に変形する。
【0014】
半導体基板2は、n型(第1導電型)の第1領域11と、p型(第2導電型)の第2領域12と、p型の第3領域61とを備えている。第2領域12は、第1領域11に対し、半導体基板2の厚さ方向にキャビティ6を挟んで対向している。第3領域61は、半導体基板2において第1領域11および第2領域12を除くp型領域により形成されている。本実施形態では、p型の第3領域61が半導体基板2の第1面3から第2面4まで厚さ方向の全体にわたって形成されている。第1領域11がキャビティ6を取り囲むように第3領域61の表層部に選択的に形成され、さらに第2領域12が、第1領域11よりも内側の領域において第1領域11の表層部に選択的に形成されている。
【0015】
第1領域11は、キャビティ6の底部6eを形成する第1部分11aと、キャビティ6の側部6fを形成する第2部分11bとを含む。第1部分11aが平面視四角形状に形成されており、第2部分11bは、第1部分11aの周縁部の全体にわたって平面視環状に形成され、キャビティ6を取り囲んでいる。第2部分11bは、第1部分11aの周縁部を起点にして第1面3まで延びている。第1部分11aの下面(第2面4側の端面)と第2部分11bの下面(第2面4側の端面)は、第2面4に沿う横方向に面一である。第1部分11aおよび第2部分11bは、いずれもn型の拡散層によって形成されている。第1部分11aおよび第2部分11bのn型の不純物濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1019cm-3以下であってもよい。
【0016】
第2領域12は、メンブレン7の厚さ方向において対向面7aから第1面3まで形成されており、対向面7aおよび第1面3に露出した面である。第2領域12は、第1面3に沿う横方向において、メンブレン7の中心からメンブレン7の周縁(メンブレン7と固定部8との境界14)にまでメンブレン7の全体にわたって延びている。第2領域12の周囲は、第1領域11の第2部分11bによって取り囲まれている。換言すると、第1領域11の第2部分11bが、第2領域12の周囲を取り囲んでいる。第2領域12の外周は、第2部分11bに接している。図1に示すように、第2領域12と第2部分11bとの境界13は、メンブレン7と固定部8との境界14(つまり、キャビティ6の外周縁)よりも、外側(4つの端面5側)に寄っている。
【0017】
これにより、第2領域12は、キャビティ6の4つの辺6A~6Dよりも横方向外側に引き出された引き出し部62を有している。引き出し部62は、図1に示すように、4つの辺6A~6Dの全周にわたって環状に形成されている。引き出し部62の一部は、対向面7aよりもキャビティ6の底部6e側にキャビティ6の側部6fに沿って突出しており、キャビティ6の側部6fの上端部を形成している。
【0018】
第2領域12は、p型の拡散層によって形成されている。第2領域12は、メンブレン7の全域に形成されている。第2領域12のp型の不純物濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。
【0019】
第3領域61は、半導体基板2の第2面4を形成する第1部分61aと、半導体基板2の端面5を形成する第2部分61bとを含む。第1部分61aが平面視四角形状に形成されており、第2部分61bは、第1部分61aの周縁部の全体にわたって平面視環状に形成され、第1領域11を取り囲んでいる。第2部分61bは、第2面4から第1面3まで延びている。第1部分61aの下面および第2部分61bの下面は、面一に形成されて第2面4を形成している。
【0020】
図2を参照して、半導体基板2の第1面3には、絶縁層15が形成されている。絶縁層15は、たとえば、酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiN)からなっていてもよい。絶縁層15は、メンブレン7および固定部8を覆っている。より具体的には、絶縁層15は、第1面3の全体を一体的に覆っている。
【0021】
図1を参照して、MEMSセンサ1は、さらに、金属端子16,17と、コンタクト18,19とを含む。金属端子16,17は、第1金属端子16と、第2金属端子17とを備えている。金属端子16,17は、絶縁層15上に形成されている。金属端子16,17は、平面視において、半導体基板2の端面5に沿って互いに間隔を空けて配置されている。コンタクト18,19は、第1コンタクト18と、第2コンタクト19とを備えている。第1コンタクト18の一端は、絶縁層15に形成されたコンタクト穴20(図2参照)を介して、第1面3において、第1領域11の第2部分11bに接続されている。第1コンタクト18の他端は、第1金属端子16に接続されている。第2コンタクト19の一端は、絶縁層15に形成されたコンタクト穴21(図2参照)を介して、第1面3において、第2領域12に接続されている。第2コンタクト19の他端は、第2金属端子17に接続されている。
【0022】
なお、図示はしないが、絶縁層15上には、第1および第2金属端子16,17ならびに第1および第2コンタクト18,19を覆うパッシベーション膜が形成されていてもよい。
【0023】
前述のように、MEMSセンサ1は、静電容量型のセンサである。第1および第2金属端子16,17にバイアス電圧が印加されると、第1コンタクト18および第2コンタクト19にバイアス電圧が与えられる。これにより、第1領域11の第1部分11aと第2領域12との電位差が一定になり、導電型の互いに異なる第1領域11および第2領域12が電極部として機能する。
【0024】
図3A図3Hは、本開示の第1実施形態に係るMEMSセンサ1の製造工程の一部を示す図である。
【0025】
MEMSセンサ1を製造するには、たとえば、図3Aに示すように、シリコン基板からなる半導体基板2が準備される。半導体基板2は、p型の半導体ウエハである。
【0026】
半導体基板2の第1面3に、n型の不純物が選択的に導入される。これにより、半導体基板2の第1面3に、n型の第1拡散層31が形成される(第1拡散層形成工程)。
【0027】
次に、図3Bに示すように、第1拡散層31に、第1面3から凹む複数の穴32が形成される(穴形成工程)。複数の穴32の形成は、たとえば、深堀りエッチング(ボッシュ法等)により行われる。ボッシュ法では、形成される複数の穴32は、深さ方向の直角の断面積が一定である。
【0028】
次に、図3Cに示すように、CVD等の手法により、第1面3と、複数の穴32の側壁33と、複数の穴32の底壁34とに、保護膜35が形成される(保護膜形成工程)。これにより、第1面3、複数の穴32の側壁33および複数の穴32の底壁34が保護膜35によって覆われる。保護膜35は、たとえば酸化シリコン(SiO)である。
【0029】
次に、複数の穴32の底壁34から保護膜35が除去される(保護膜除去工程)。これにより、複数の穴32の内部において保護膜35から底壁34が露出した状態になる。
【0030】
次に、図3Dに示すように、第1拡散層31を等方的にエッチングする。このエッチングは、エッチングガスを複数の穴32を通して、複数の穴32の底壁34の周囲の半導体材料に作用させることにより行われる(エッチング工程)。これにより、複数の穴32の下方に、連結キャビティ36が形成される(連結キャビティ形成工程)。
【0031】
次に、図3Eに示すように、エッチングにより、保護膜35のすべてが除去される。つまり、複数の穴32の側壁33からも、保護膜35が除去される(第2保護膜除去工程)。このエッチングは、たとえば、酸化シリコン(SiO)を選択的に除去し得るエッチングである。
【0032】
次に、図3Fに示すように、複数の穴32が塞がれる(穴閉塞工程)。具体的には、熱マイグレーションを用いて、複数の穴32の周囲の第1拡散層31の半導体材料であるSiを部分的に移動させることにより、複数の穴32が塞がれる。これにより、第1拡散層31により周囲が取り囲まれたキャビティ6が形成され、かつこのキャビティ6を密閉するメンブレン7が形成される(キャビティ形成工程)。メンブレン7は、Siのみからなる部位であり、同じくSiからなる固定部8と、接合部を介することなく一体的に繋がった構成になる。
【0033】
熱処理(熱マイグレーション)の前に等方性エッチングを施すことで、形成後のキャビティ6の深さD(図2参照)を所望の深さにでき、メンブレン7の厚さを所望の厚さにできる。
【0034】
なお、図3C図3Eに示す工程を省略し、図3Bの穴形成工程において形成された複数の穴32に熱マイグレーションを施してもよい。熱マイグレーションにより、複数の穴32の周囲の第1拡散層31の半導体材料であるSiを部分的に移動させることにより、複数の穴32が塞がれ、かつ第1拡散層31により周囲が取り囲まれたキャビティ6が形成される(キャビティ形成工程)。
【0035】
次に、図3Gに示すように、メンブレン7にp型の不純物が選択的に導入される。これにより、p型の第2拡散層37が、メンブレン7に、キャビティ6の底部6eの第1拡散層31に対向するように形成される(第2拡散層形成工程)。第2拡散層37が、第2領域12になる。第1拡散層31のうちp型の不純物が導入されなかった残りの領域が、第1領域11になる。
【0036】
次に、図3Hに示すように、たとえば、CVD法によって、半導体基板2の第1面3上に絶縁層15が形成される。次に、たとえば、スパッタ法およびパターニングによって、絶縁層15上に、金属端子16,17およびコンタクト18,19が形成される。その後、半導体基板2が個別のチップサイズに切り分けられる工程を経て、MEMSセンサ1が得られる。
【0037】
図1および図2を参照して、MEMSセンサ1では、メンブレン7に形成されたp型の第2領域12が、キャビティ6の底部6eに形成されたn型の第1領域11の第1部分11aと、キャビティ6を挟んで対向する。メンブレン7が第1面3側から圧力を受けると、キャビティ6の内部と外部との間に差圧が生じることによってメンブレン7が半導体基板2の厚さ方向に変形する。メンブレン7の変形により第1部分11aと第2領域12との間隔が変化し、第1部分11aと第2領域12との間の静電容量が変化する。たとえば、第1コンタクト18および第2コンタクト19にバイアス電圧が与えられると、第1領域11の第1部分11aと第2領域12との電位差が一定になり、導電型の互いに異なる第1領域11および第2領域12が電極部として機能する。電極部である第1領域11と第2領域12との間の静電容量の変化に基づいて、MEMSセンサ1に生じた圧力を検出できる。
【0038】
また、メンブレン7によってキャビティ6が密閉されているので、キャビティ6内を真空に保つことができ、キャビティ内に水等が存在しない。そのため、電極部として機能する第1領域11と第2領域12とが貼り付くのを防止できる。また、キャビティ6内に水等の他の異物が侵入しないので、キャビティ6内の誘電率が一定に保たれる。これにより、MEMSセンサ1に生じた圧力を精度良く検出できる。
【0039】
また、静電容量型のMEMSセンサ1は、電極部への通電時間が限られているため、消費電力が少ない。消費電力を少ない静電容量型のMEMSセンサ1によって、圧力を精度良く検出できる。
【0040】
また、p型の半導体基板2に、拡散層からなるn型の第1領域11が形成されている。半導体基板2から第1領域11を分離しているので、第1領域11の電位を、半導体基板2から独立して固定でき、これにより、第1領域11の濃度を、電極部として機能させるのに適当な濃度に定めることができる。
【0041】
図4は、本開示の第2実施形態に係るMEMSセンサ201の断面図である。また、第2実施形態では、第1実施形態と主に異なる部分のみを説明し、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
MEMSセンサ201は、第1領域11(図2参照)に代えて第1領域211を備える。第1領域211は、キャビティ6の底部6eを形成する平面視四角形状の第1部分211aと、キャビティ6の側部6fを形成する環状の第2部分211bとを含む。第2部分11bは、第1面3に露出している。第3領域61は、半導体基板2において第1領域111および第2領域12を除くp型領域により形成されている。第1領域111がキャビティ6を取り囲むように第3領域61の表層部に選択的に形成され、さらに第2領域12が、第1領域111よりも内側の領域において第1領域111の表層部に選択的に形成されている。
【0043】
第1部分211aおよび第2部分211bは、いずれもn型の拡散層によって形成されている。第1部分211aのn型の不純物の濃度は、第1濃度である。第2部分211bのn型の不純物の濃度は、第2濃度である。第2濃度は、第1濃度よりも低い。第1濃度は、1.0×1016cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。第2濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1019cm-3以下であってもよい。
【0044】
第1部分211aは、キャビティ6の底部6eの全体にわたって形成されている。第1部分211aは、キャビティ6の側部6fの下端部にも形成されている。第1部分211aと第2部分211bとの境界212は、キャビティ6の底部6eにおいてメンブレン7の対向面7aとキャビティ6を挟んで対向する面(つまり、キャビティ6の底面)よりも、メンブレン7側に寄っている。第1部分211aの外周縁213は、第2部分211bの外周縁214よりも、外側(4つの端面5側)に寄っている。言い換えれば、第1部分211aの外周縁213は、第2部分211bの外周縁214よりも横方向外側に引き出された引き出し部であってもよい。
【0045】
図5A図5Jは、本開示の第2実施形態に係るMEMSセンサ201の製造工程の一部を示す図である。
【0046】
MEMSセンサ201を製造するには、たとえば、図5Aに示すように、シリコン基板からなるベース基板40が準備される。ベース基板40は、p型(第2導電型)の半導体ウエハである。ベース基板40は、表面41を有している。ベース基板40の表面41にn型(第1導電型)の不純物が選択的に導入される。これにより、ベース基板40の表面41に、第1濃度を有する第1濃度拡散層51Aが形成される。第1濃度は、1.0×1016cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。
【0047】
次に、図5Bに示すように、第1濃度拡散層51Aが形成された表面41からp型シリコンをエピタキシャル成長させることによって、第1濃度拡散層51Aを覆うように、p型のエピタキシャル層42が形成される。
【0048】
次に、図5Cに示すように、エピタキシャル層42の表面43にn型の不純物を選択的に導入することにより、第2濃度を有する第2濃度拡散層51Bが形成される。第2濃度は、第1濃度よりも低い。第2濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1019cm-3であってもよい。
【0049】
これにより、半導体基板2の第1面3にn型の第2濃度拡散層51Bが形成され、第2濃度拡散層51Bに対し第2面4側に第1濃度拡散層51Aが形成される。第1濃度拡散層51Aおよび第2濃度拡散層51Bは、n型の第1拡散層51に含まれる(拡散層形成工程)。
【0050】
次に、図5Dに示すように、第2濃度拡散層51Bに、第1面3から凹む複数の穴52が形成される(穴形成工程)。複数の穴52の底壁54は、第2濃度拡散層51B内にある。複数の穴52の形成は、たとえば、深堀りエッチング(ボッシュ法等)により行われる。ボッシュ法では、形成される複数の穴52は、深さ方向の直角の断面積が一定である。
【0051】
次に、図5Eに示すように、CVD等の手法により、第1面3と、複数の穴52の側壁53と、複数の穴52の底壁54に、保護膜55が形成される(保護膜形成工程)。これにより、第1面3、複数の穴52の側壁53および複数の穴52の底壁54が保護膜55によって覆われる。保護膜55は、たとえば酸化シリコン(SiO)である。
【0052】
次に、複数の穴52の底壁54から保護膜55が除去される(保護膜除去工程)。これにより、複数の穴52の内部において保護膜55から底壁54が露出した状態になる。
【0053】
次に、図5Fに示すように、第2濃度拡散層51Bおよび第1濃度拡散層51Aを等方的にエッチングする。このエッチングは、エッチングガスを複数の穴52を通して、複数の穴52の底壁54の周囲の半導体材料に作用させることにより行われる(エッチング工程)。これにより、複数の穴52の下方に、連結キャビティ56が形成される(連結キャビティ形成工程)。連結キャビティ56の底部56aは、第1濃度拡散層51Aと第2濃度拡散層51Bとの境界44よりも第2面4側にある。
【0054】
次に、図5Gに示すように、エッチングにより、保護膜55のすべてが除去される。つまり、複数の穴52の側壁53からも、保護膜55が除去される(第2保護膜除去工程)。このエッチングは、たとえば、酸化シリコン(SiO)を選択的に除去し得るエッチングである。
【0055】
次に、図5Hに示すように、複数の穴52が塞がれる(穴閉塞工程)。具体的には、熱マイグレーションを用いて、複数の穴52の周囲の第1濃度拡散層51Aの半導体材料であるSiを部分的に移動させることにより、複数の穴52が塞がれる。これにより、第1拡散層51により周囲が取り囲まれたキャビティ6が形成され、かつこのキャビティ6を密閉するメンブレン7が形成される(キャビティ形成工程)。メンブレン7は、Siのみからなる部位であり、同じくSiからなる固定部8と、接合部を介することなく一体的に繋がった構成になる。また、形成されたキャビティ6には、底部6eに第1濃度拡散層51Aが形成され、かつ天部6gおよび側部6fに第2濃度拡散層51Bが形成される。
【0056】
熱処理(熱マイグレーション)の前に等方性エッチングを施すことで、形成後のキャビティ6の深さ(メンブレン7の対向面7aからキャビティ6の底部6eまでの距離)を所望の深さにでき、メンブレン7の厚さを所望の厚さにできる。
【0057】
次に、図5Iに示すように、メンブレン7にp型の不純物が選択的に導入される。これにより、p型の第2拡散層57が、メンブレン7に、キャビティ6の底部6eの第1濃度拡散層51Aに対向するように形成される(第2拡散層形成工程)。第2拡散層57が、第2領域12になる。第1濃度拡散層51Aが、第1領域211の第1部分211aになる。第2濃度拡散層51Bのうちp型の不純物が導入されなかった残りの領域が、第1領域211の第2部分211bになる。
【0058】
次に、図5Jに示すように、たとえば、CVD法によって、半導体基板2の第1面3上に絶縁層15が形成される。次に、たとえば、スパッタ法およびパターニングによって、絶縁層15上に、金属端子16,17およびコンタクト18,19が形成される。その後、半導体基板2が個別のチップサイズに切り分けられる工程を経て、MEMSセンサ201が得られる。
【0059】
第1コンタクト18および第2コンタクト19のそれぞれにバイアス電圧が与えられたとき、第1部分211aは電極部として機能する。n型の不純物濃度が高いので、第1部分211aの抵抗を低減できる。これにより、第1実施形態に係るMEMSセンサ1と比較して、消費電力の低減を図ることができる。
【0060】
一方、n型の不純物濃度の低い第2部分211bは、第1部分211aと第1コンタクト18とを電気的に接続する導通路として機能する。
【0061】
図6は、本開示の第3実施形態に係るMEMSセンサ301の断面図である。また、第3実施形態では、第1実施形態と主に異なる部分のみを説明し、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0062】
MEMSセンサ301では、半導体基板2が、p型(第2導電型)半導体基板ではなくn型(第1導電型)半導体基板である。キャビティ6の底部6eを含む領域には、拡散層からなる第1領域11に代えて、半導体基板2のn型半導体材料によって形成された第1領域311が形成されている。
【0063】
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示はさらに他の形態で実施することもできる。
【0064】
たとえば、MEMSセンサ1,201,301の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。すなわち、MEMSセンサ1,201,301において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。図7に示すMEMSセンサ351は、本開示の第3実施形態に係るMEMSセンサ301の導電型を反転したものである。
【0065】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
【0066】
[付記1-1]
第1面(3)および前記第1面(3)の反対側の第2面(4)を有し、キャビティ(6)を有する半導体基板(2)と、
前記第1面(3)において、前記キャビティ(6)を密閉するメンブレン(7)と、
前記キャビティ(6)の底部(6e)に形成された第1導電型の第1領域(11,211,311)と、
前記メンブレン(7)に形成され、前記キャビティ(6)を挟んで前記第1領域(11,211,311)に対向する第2導電型の第2領域(12)とを含む、MEMSセンサ(1,201,301,351)。
【0067】
この構成によれば、メンブレン(7)に形成された第2導電型の第2領域(12)が、キャビティ(6)の底部(6e)に形成された第1導電型の第1領域(11,211,311)と、キャビティ(6)を挟んで対向する。メンブレン(7)が第1面(3)側から圧力を受けると、キャビティ(6)の内部と外部との間に差圧が生じることによってメンブレン(7)が半導体基板(2)の厚さ方向に変形する。メンブレン(7)の変形により第1領域(11,211,311)と第2領域(12)との間隔が変化し、第1領域(11,211,311)と第2領域(12)との間の静電容量が変化する。メンブレン(7)によってキャビティ(6)が密閉されているので、キャビティ(6)内を真空に保つことができ、キャビティ(6)内部への水分等の湿気の侵入を防止することができる。そのため、水分等に起因する第1領域(11,211,311)と第2領域(12)との貼り付きを防止できる。導電型の互いに異なる第1領域(11,211,311)および第2領域(12)を電極部として用いることで、これらの電極部の間の静電容量の変化に基づいて、圧力の変化を良好に検出できる。
【0068】
[付記1-2]
前記半導体基板(2)が第2導電型であり、
前記第1領域(11,211,311)は、前記キャビティ(6)の前記底部(6e)および前記キャビティの側部(6f)に形成された領域を含む、付記1-1に記載のMEMSセンサ(1,201)。
【0069】
[付記1-3]
前記第1領域(11)において、前記キャビティ(6)の前記底部(6e)を形成する部分(11a)の濃度と、前記キャビティの前記側部(6f)を形成する部分(11b)の濃度とが等しい、付記1-2に記載のMEMSセンサ(1)。
【0070】
[付記1-4]
前記第1領域(211)は、前記キャビティ(6)の前記底部(6e)を形成する第1濃度の第1部分(211a)と、前記キャビティ(6)の前記側部(6f)に形成された前記第1濃度よりも低濃度の第2部分(211b)とを含む、付記1-2に記載のMEMSセンサ(201)。
【0071】
[付記1-5]
前記第1領域(11,211)において前記キャビティの前記側部(6f)を形成する部分(11b,211b)が、前記第2領域(12)の周囲を取り囲んでいる、付記1-2~付記1-4のいずれか一項に記載のMEMSセンサ(1,201)。
【0072】
[付記1-6]
前記第2領域(12)が、前記第1面(3)で露出しており、
前記第1領域(11,211)が、前記第1面(3)で露出している、付記1-2~付記1-5のいずれか一項に記載のMEMSセンサ(1,201)。
【0073】
[付記1-7]
前記第1面(3)において前記第1領域(11,211)に接続された第1コンタクト(18)と、
前記第1面(3)において前記第2領域(12)に接続された第2コンタクト(19)とをさらに含む、付記1-6に記載のMEMSセンサ(1,201)。
【0074】
[付記1-8]
前記半導体基板(2)が第1導電型である、付記1-1に記載のMEMSセンサ(301,351)。
【0075】
[付記1-9]
第1面(3)および前記第1面(3)の反対側の第2面(4)を有する半導体基板(2)の前記第1面(3)に第1導電型の不純物を導入することにより、第1導電型の第1拡散層(31,51)を形成する第1拡散層形成工程と、
前記第1拡散層(31,51)の内部に、前記第1拡散層(31,51)により周囲が取り囲まれたキャビティ(6)を形成し、かつ前記キャビティ(6)を密閉するメンブレン(7)を形成するキャビティ形成工程と、
前記メンブレン(7)に第2導電型の不純物を導入することにより、前記キャビティの底部(6e)の前記第1拡散層(31,51)に対向するように、第2導電型の拡散層(37,57)を形成する第2拡散層形成工程と、を含む、MEMSセンサ(1,201)の製造方法。
【0076】
[付記1-10]
前記キャビティ形成工程は、
前記第1拡散層(31,51)に、前記第1面(3)から凹む複数の穴(32,52)を形成する穴形成工程と、
前記複数の穴(32,52)を介して前記第1拡散層(31,51)を等方的にエッチングすることにより、前記複数の穴(32,52)の下方に連結キャビティ(36,56)を形成する連結キャビティ形成工程と、
前記複数の穴(32,52)の周囲の前記第1拡散層(31,51)の半導体材料を部分的に移動させることにより、前記複数の穴(32,52)を塞いで前記連結キャビティ(36,56)を密閉することにより前記メンブレン(7)を形成し、前記キャビティ(6)を形成する穴閉塞工程とを含む、付記1-9に記載のMEMSセンサ(1,201)の製造方法。
【0077】
[付記1-11]
前記複数の穴(32,52)の側壁(33,53)および前記複数の穴の底壁(34,54)に保護膜(35,55)を形成する保護膜形成工程と、
前記複数の穴(32,52)の前記底壁(34,54)から前記保護膜(35,55)を除去する保護膜除去工程とをさらに含み、
前記連結キャビティ形成工程は、前記複数の穴(32,52)を介したエッチングを行うことにより前記連結キャビティ(36,56)を形成するエッチング工程を含む、付記1-10に記載のMEMSセンサ(1,201)の製造方法。
【0078】
[付記1-12]
前記エッチング工程の後に、前記複数の穴(32,52)の前記側壁(33,53)から前記保護膜(35,55)を除去する第2保護膜除去工程をさらに含む、付記1-11に記載のMEMSセンサ(1,201)の製造方法。
【0079】
[付記1-13]
前記第1拡散層形成工程は、第2導電型のベース基板(40)の表面に第1導電型の不純物を選択的に導入することにより、第1濃度を有する第1濃度拡散層(51A)を形成する工程と、前記第1濃度拡散層(51A)を覆うように第2導電型のエピタキシャル層(42)を形成する工程と、前記エピタキシャル層(42)の表面(43)に第1導電型の不純物を導入することにより、前記第1濃度よりも低い第2濃度を有する第2濃度拡散層(51B)を形成する工程とを含み、
前記キャビティ形成工程は、底部(6e)に前記第1濃度拡散層(51A)が形成され、かつ天部(6g)および側部(6f)に前記第2濃度拡散層(51B)を有する前記キャビティ(6)を形成する工程を含む、付記1-9~付記1-12のいずれか一項に記載のMEMSセンサ(201)の製造方法。
【0080】
[付記1-14]
前記キャビティ形成工程は、
前記第2濃度拡散層(51B)に、前記第1面(3)から凹み、前記第2濃度拡散層(51B)内に底壁(54)を有する複数の穴(52)を形成する穴形成工程と、
前記複数の穴(52)を介して前記第2濃度拡散層(51B)および第1濃度拡散層(51A)を等方的にエッチングすることにより、前記複数の穴(52)の下方に前記第1濃度拡散層(51A)と前記第2濃度拡散層(51B)との境界よりも第2面(4)側に底部(56e)を有する連結キャビティ(56)を形成する連結キャビティ形成工程と、
前記複数の穴(52)の周囲の前記第1拡散層(51)の半導体材料を部分的に移動させることにより、前記複数の穴(52)を塞いで前記連結キャビティ(56)を密閉することにより前記メンブレン(7)を形成し、前記キャビティ(6)を形成する穴閉塞工程とを含む、付記1-13に記載のMEMSセンサ(201)の製造方法。
【0081】
[付記1-15]
前記キャビティ形成工程は、
前記第1拡散層(31)に、前記第1面(3)から凹む複数の穴(32)を形成する穴形成工程と、
前記複数の穴(32)の周囲の前記第1拡散層(31)の半導体材料を部分的に移動させることにより、前記複数の穴(32)を塞ぎ、前記キャビティ(6)を形成する穴閉塞工程とを含む、付記1-9に記載のMEMSセンサ(1)の製造方法。
【符号の説明】
【0082】
1 :MEMSセンサ
2 :半導体基板
3 :第1面
4 :第2面
5 :端面
6 :キャビティ
6A :第1辺
6B :第2辺
6C :第3辺
6D :第4辺
6e :底部
6f :側部
7 :メンブレン
7a :対向面
8 :固定部
11 :第1領域
11a :第1部分
11b :第2部分
12 :第2領域
13 :境界
14 :境界
15 :絶縁層
16 :第1金属端子
17 :第2金属端子
18 :第1コンタクト
19 :第2コンタクト
20 :コンタクト穴
21 :コンタクト穴
31 :第1拡散層
32 :穴
33 :側壁
34 :底壁
35 :保護膜
36 :連結キャビティ
37 :第2拡散層
40 :ベース基板
41 :表面
42 :エピタキシャル層
43 :表面
44 :境界
51 :第1拡散層
51A :第1濃度拡散層
51B :第2濃度拡散層
52 :穴
53 :側壁
54 :底壁
55 :保護膜
56 :連結キャビティ
56a :底部
57 :第2拡散層
61 :第3領域
61a :第1部分
61b :第2部分
62 :引き出し部
201 :MEMSセンサ
211 :第1領域
211a :第1部分
211b :第2部分
212 :境界
213 :外周縁
214 :外周縁
301 :MEMSセンサ
311 :第1領域
351 :MEMSセンサ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6
図7