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特開2024-81035医用画像診断装置、医用画像診断方法及び医用画像診断プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081035
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】医用画像診断装置、医用画像診断方法及び医用画像診断プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240610BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20240610BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
A61B6/03 323Q
A61B5/055 366
G01T1/161 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194458
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上遠野 圭汰
(72)【発明者】
【氏名】土屋 宣登
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
4C188
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA16
4C093CA17
4C093ED17
4C093ED30
4C093EE30
4C093FA33
4C093FA36
4C093FA44
4C093FF35
4C096AB37
4C096AD18
4C096AD24
4C096EB07
4C096EB08
4C188EE02
4C188FF02
4C188FF04
4C188FF07
4C188JJ25
(57)【要約】
【課題】従来の技師等の操作者による撮像準備の負担を軽減すること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像診断装置は、支持体、固定具、画像取得部、スキャン条件取得部及び固定位置情報生成部を備える。支持体は、被検体を支持する。固定具は、前記支持体に設けられ、前記被検体を固定する。画像取得部は、前記被検体と前記支持体とを含む画像を取得する。スキャン条件取得部は、前記被検体のスキャン部位を含むスキャン条件を取得する。固定位置情報生成部は、前記画像と前記スキャン条件とに基づいて、前記固定具が前記被検体を固定する固定位置に関する固定位置情報を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を支持する支持体と、
前記支持体に設けられ、前記被検体を固定する固定具と、
前記被検体と前記支持体とを少なくとも含む撮像画像を取得する画像取得部と、
前記被検体のスキャン部位を含むスキャン条件を取得するスキャン条件取得部と、
前記撮像画像と前記スキャン条件とに基づいて、前記固定具が前記被検体を固定する固定位置に関する固定位置情報を生成する固定位置情報生成部と、
を備える医用画像診断装置。
【請求項2】
前記固定位置情報に基づいて、前記被検体に対する、前記固定具の前記固定位置を示す固定位置画像を生成する固定位置画像生成部と、
前記固定位置画像を出力する表示制御部と、をさらに備える、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記固定位置情報と、前記撮像画像と、に基づいて、前記被検体に対する前記固定位置を前記撮像画像に重畳させた重畳画像を生成する重畳画像生成部と、
前記重畳画像を出力する表示制御部と、をさらに備える、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記固定具は、前記支持体の長軸方向に対して複数の膨張部を有する固定具であり、
前記固定位置情報に基づいて、前記複数の膨張部を制御する固定具制御部をさらに備える、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記固定具は、前記支持体に対して移動可能に設けられ、
前記固定位置情報に基づいて、前記固定具の前記支持体に対する移動を制御する固定具制御部をさらに備える、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記固定具は、ベルトと、当該ベルトを巻き取る機構を有する、
請求項5に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記ベルトの巻き取り量は、前記撮像画像から解析された前記被検体の体型と、前記固定位置情報とに基づいて、調整される、
請求項6に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記撮像画像上で撮像した前記固定位置と、実際の固定具の位置が一致すると、操作者が入力した操作に基づいて、スキャン開始を指示するシステム制御部を備える、
請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
被検体を支持する支持体と、
前記支持体に設けられ、前記被検体を固定する固定具と、を備える医用画像診断装置で実行される医用画像診断方法であって、
前記被検体と前記支持体とを少なくとも含む撮像画像を取得する画像取得ステップと、
前記被検体のスキャン部位を含むスキャン条件を取得するスキャン条件取得ステップと、
前記撮像画像と前記スキャン条件とに基づいて、前記固定具が前記被検体を固定する固定位置に関する固定位置情報を生成する固定位置情報生成ステップと、
を含む、医用画像診断方法。
【請求項10】
被検体を支持する支持体と、
前記支持体に設けられ、前記被検体を固定する固定具と、を備える医用画像診断装置で実行される医用画像診断プログラムであって、
前記被検体と前記支持体とを少なくとも含む撮像画像を取得する画像取得機能と、
前記被検体のスキャン部位を含むスキャン条件を取得するスキャン条件取得機能と、
前記撮像画像と前記スキャン条件とに基づいて、前記固定具が前記被検体を固定する固定位置に関する固定位置情報を生成する固定位置情報生成機能と、
をコンピュータに実行させる、医用画像診断プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像診断装置、医用画像診断方法及び医用画像診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線コンピュータ断層撮像(CT:Computed Tomography)装置などの医用画像診断装置や治療装置などの各種の医用装置が検査や治療などの医用行為に使用されている。例えば、寝台を備える医用装置においては、撮像時に被検体の体動が発生しないよう、また、安全の観点から被検体を寝台に固定して撮像を行っている。被検体の固定は、例えば、寝台に取り付けられた固定具(一例として、ベルト等)を用いて被検体の固定を、撮像を行う操作者(一例として技師等)の介助のもと行っている場合がある。
【0003】
しかしながら、被検体の固定を操作者が介助しながら行うことで、被検体と操作者の間で接触が発生することや、接触せずとも距離が近くなってしまう関係がある。例えば、操作者は、介助のために撮像室と操作室を行き来する必要があり、スループットを低下させる原因となってしまう場合がある。また、例えば、被検体との距離が縮まることで、飛沫感染のリスクがある症例の被検体を撮像する際に、操作者に対して感染リスクを増加させる原因となってしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-63294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、従来の技師等の操作者による撮像準備の負担を軽減することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像診断装置は、支持体、固定具、画像取得部、スキャン条件取得部及び固定位置情報生成部を備える。支持体は、被検体を支持する。固定具は、前記支持体に設けられ、前記被検体を固定する。画像取得部は、前記被検体と前記支持体とを含む画像を取得する。スキャン条件取得部は、前記被検体のスキャン部位を含むスキャン条件を取得する。固定位置情報生成部は、前記画像と前記スキャン条件とに基づいて、前記固定具が前記被検体を固定する固定位置に関する固定位置情報を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る医用寝台装置が搭載されたX線コンピュータ断層撮像装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る固定具の一例を模式的に示す図である。
図3図3は、スキャン部位の一例を模式的に示す図である。
図4図4は、固定位置情報の一例を模式的に示す図である。
図5図5は、固定位置画像の一例を模式的に示す図である。
図6図6は、重畳画像の一例を模式的に示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置による処理の手順を説明するための一例を示すフローチャートである。
図8図8は、第2実施形態に係る固定具の一例を模式的に示す図である。
図9図9は、第2実施形態に係る固定具の一例を模式的に示す図である。
図10図10は、第3実施形態に係る固定具の一例を模式的に示す図である。
図11図11は、第3実施形態に係る固定具の一例を模式的に示す図である。
図12図12は、第3実施形態に係る固定具の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置を説明する。なお、以下の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0009】
また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。また、例えば、図面の視認性を確保する観点から、各図面の説明において主要又は代表的な構成要素だけに参照符号を付し、同一又は略同一の機能を有する構成要素であっても参照符号を付していない場合もある。
【0010】
以下に説明する各実施形態では、各実施形態に係る医用寝台装置がX線コンピュータ断層撮像装置の寝台である場合を例示する。
【0011】
例えば、X線コンピュータ断層撮像装置には、第3世代CT、第4世代CT等様々なタイプがあるが、いずれのタイプでも各実施形態へ適用可能である。ここで、第3世代CTは、X線管と検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Typeである。第4世代CTは、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Typeである。
【0012】
なお、各実施形態に係る医用画像診断装置は、X線コンピュータ断層撮像装置以外の他の医用画像診断装置であっても構わない。他の医用画像診断装置としては、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線コンピュータ断層撮像装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線コンピュータ断層撮像装置とが一体化されたPET-CT装置などの種々の医用画像診断装置があり得る。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用寝台装置が搭載されたX線コンピュータ断層撮像装置1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、X線コンピュータ断層撮像装置1は、架台10、寝台30、コンソール40及び撮像装置50を有する。なお、図1では説明の都合上、架台10が複数描画されている。架台10は、被検体PをX線CT撮像するための構成を有するスキャン装置である。寝台30は、X線CT撮像の対象となる被検体Pを載置し、被検体Pを位置決めするための搬送装置である。
【0014】
コンソール40は、架台10、寝台30を制御するコンピュータである。例えば、架台10及び寝台30はCT検査室に設置され、コンソール40はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台10、寝台30及びコンソール40は、互いに通信可能に有線又は無線で接続されている。
【0015】
なお、コンソール40は、必ずしも制御室に設置されなくてもよい。例えば、コンソール40は、架台10及び寝台30と共に同一の部屋に設置されてもよい。また、コンソール40が架台10に組み込まれてもよい。
【0016】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0017】
図1に示すように、架台10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路(Data Acquisition System:DAS)18を有する。
【0018】
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、被検体Pに対してX線を照射する。
【0019】
なお、X線を発生させるハードウェアはX線管11に限られない。例えば、X線管11に代えて、第5世代方式を用いてX線を発生させることにしても構わない。第5世代方式は、電子銃から発生した電子ビームを集束させるフォーカスコイルと、電磁偏向させる偏向コイルと、被検体Pの半周を囲い偏向した電子ビームが衝突することによってX線を発生させるターゲットリングとを含む。
【0020】
X線検出器12は、X線管11から照射され被検体Pを通過したX線を検出し、検出されたX線の線量に対応した電気信号をデータ収集回路18に出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列を有する。
【0021】
X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子がスライス方向(列方向,row方向)に複数配列された構造を有する。また、X線検出器12は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。
【0022】
なお、グリッドは、コリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光の光量に応じた電気信号に変換する機能を有する。光センサとしては、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプアイヤー:PMT)等が用いられる。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。ここで、X線検出器12は、検出部の一例である。
【0023】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。回転フレーム13の開口部19には、画像視野(FOV)が設定される。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。
【0024】
なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路18等をさらに支持することもできる。また、回転フレーム13は、図1において図示しない種々の構成をさらに支持することもできる。
【0025】
X線高電圧装置14は、高電圧発生装置及びX線制御装置を有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する。X線制御装置は、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行う。
【0026】
高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置14は、架台10内の回転フレーム13に設けられてもよいし、架台10内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。なお、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0027】
制御装置15は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構と、この駆動機構を制御するプロセッサ及びメモリ等を有する処理回路とを含む。制御装置15は、入力インターフェース43や架台10に設けられた入力インターフェース等からの入力信号を受けて、架台10及び寝台30の動作制御を行う。
【0028】
制御装置15による動作制御としては、例えば、回転フレーム13を回転させる制御、架台10をチルトさせる制御及び寝台30を動作させる制御等がある。なお、架台10をチルトさせる制御は、架台10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。
【0029】
なお、制御装置15は架台10に設けられてもよいし、コンソール40に設けられてもよい。ここで、制御装置15は、医用寝台制御装置の一例であり得る。
【0030】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。
【0031】
例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工して構成される。
【0032】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ17は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
【0033】
データ収集回路18は、X線検出器12により検出されたX線の線量に応じた電気信号をX線検出器12から読み出す。データ収集回路18は、読み出した電気信号を増幅し、ビュー期間に亘り電気信号を積分(加算)することにより当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有する検出データを収集する。検出データは、投影データと呼ばれる。
【0034】
データ収集回路18は、例えば、投影データを生成可能な回路素子を搭載した特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)により実現される。投影データは、非接触データ伝送装置等を介してコンソール40に伝送される。ここで、データ収集回路18は、検出部の一例である。
【0035】
なお、データ収集回路18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から光通信によって架台10の非回転部分(例えば、固定フレーム。図1での図示は省略している。)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール40へと転送される。なお、回転部分の回転フレーム13から架台10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ転送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
【0036】
なお、本実施形態では、積分型のX線検出器12が搭載されたX線コンピュータ断層撮像装置1を例として説明するが、本実施形態に係る技術は、光子計数型のX線検出器が搭載されたX線コンピュータ断層撮像装置1として実現することもできる。
【0037】
寝台30は、スキャン対象の被検体Pを載置、架台10の中空へ天板33を移動させる装置である。寝台30は、基台31、寝台駆動装置32、天板33及び支持フレーム34を有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、天板33の長手方向に移動する駆動機構である。寝台駆動装置32は、モータ及びアクチュエータ等を含む。
【0038】
天板33は、被検体Pを載置する板である。天板33は、被検体Pを載置した状態で、被検体Pを支持する。天板33は、支持体の一例である。天板33は、支持フレーム34の上面に設けられる。天板33は、被検体Pの全身が撮像可能となるように、寝台30から架台10側へ突出する(長手方向に移動可能である)ことが可能である。天板33は、例えば、X線の透過性と、剛性及び強度等の物理特性とが良好な炭素繊維強化樹脂(Carbon Fiber Reinforced Plastic;CFRP)により形成される。また、例えば、天板33の内部は、空洞である。
【0039】
支持フレーム34は、天板33を、天板33の長手方向に移動可能に支持する。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長手方向に移動させてもよい。なお、寝台30は、医用寝台装置の一例である。
【0040】
例えば、寝台30を備える医用装置においては、撮像時に被検体の体動が発生しないよう、また、安全の観点から被検体を寝台に固定して撮像を行っている。被検体の固定は、例えば、寝台に取り付けられた固定具(一例として、バンド等)を用いて被検体の固定を、撮像を行う操作者(一例として技師等)の介助のもと行っている場合がある。
【0041】
しかしながら、被検体Pの固定を操作者が介助しながら行うことで、被検体Pと操作者の間で接触が発生することや、接触せずとも距離が近くなってしまう関係がある。例えば、操作者は、介助のために撮像室と操作室を行き来する必要があり、スループットを低下させる原因となってしまう場合がある。
【0042】
また、例えば、操作者と被検体Pとの距離が縮まることで、飛沫感染のリスクがある症例の被検体を撮像する際に、操作者に対して感染リスクを増加させる原因となってしまう可能性がある。そこで、第1実施形態に係る寝台30は、被検体自ら、被検体自身を固定可能な固定具35を提供する。また、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1は、撮像装置50を備える。
【0043】
ここで、固定具35及び撮像装置50について、図1及び図2を用いて説明する。図2は、第1実施形態に係る固定具35の一例を模式的に示す図である。図2は、被検体Pが載置された天板33をY軸方向の負の方向に見た俯瞰図である。図2には、複数の固定具35(固定具351~固定具356)を示す。
【0044】
固定具35は、図1及び図2に示すように、天板33のZ軸方向に沿って(長軸方向に対して)複数設けられる。固定具35は、天板33に設けられ、被検体Pを固定する。固定具35は、複数の膨張部を有し、膨張/収縮可能な膨張部材であり、例えば、カフである。固定具35は、例えば、基台31に設けられた膨張駆動装置(図示せず)によって、固定具35を膨張/収縮する。固定具35は、天板33から脱着可能であってもよい。固定具35を脱着可能にすることで、例えば、被検体Pを撮像後、固定具を消毒することができる。なお、固定具35は、部材及び個数はこれに限定されない。なお、固定具35の動作については後述する。
【0045】
撮像装置50は、検査室内の天井に設けられる。撮像装置50は、例えば、カメラである。カメラは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成される。撮像装置50は、臥位で位置する被検体Pや天板33に臥位で載置された被検体Pの状態を撮像し、撮像した撮像画像を取り込んで、取り込んだ撮像画像を、メモリ41に出力する。
【0046】
また、撮像装置50は、取り込んだ撮像画像を、制御装置15を介してコンソール40の処理回路44に出力する。撮像装置50には、より広範な被検体Pの撮像画像が取得可能なように、広角レンズや魚眼レンズが取り付けられてもよい。カメラは、可視光カメラである。なお、図2に示す図は、撮像装置50が、被検体Pが載置された天板33を撮像した撮像画像の一例でもある。
【0047】
図1に戻る。コンソール40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43及び処理回路44を有する。メモリ41とディスプレイ42と入力インターフェース43と処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。なお、コンソール40は架台10とは別体として説明するが、架台10にコンソール40又はコンソール40の各構成要素の一部が含まれてもよい。ここで、コンソール40は、医用寝台制御装置の一例である。
【0048】
メモリ41は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。また、例えば、メモリ41は、各種のプログラムを記憶する。なお、メモリ41の保存領域は、X線コンピュータ断層撮像装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。ここで、メモリ41は、記憶部の一例である。
【0049】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。ディスプレイ42に表示される情報は、実施形態に係る寝台制御における通知情報を含む。ディスプレイ42としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。
【0050】
例えば、ディスプレイ42として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイが使用可能である。
【0051】
なお、ディスプレイ42は、制御室の如何なる場所に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、架台10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール40の本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ42として、1又は2以上のプロジェクタが用いられてもよい。ここで、ディスプレイ42は、表示部の一例である。
【0052】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、スキャン(撮像)条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像データに対する画像処理条件等を操作者から受け付ける。
【0053】
入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
【0054】
なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、これらの物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
【0055】
また、入力インターフェース43は、架台10及び/又は寝台30に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ここで、入力インターフェース43は、入力部の一例である。
【0056】
処理回路44は、X線コンピュータ断層撮像装置1全体の動作を制御する。処理回路44は、ハードウェア資源として、プロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリにロードされたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、画像生成機能442、画像処理機能443、画像取得機能444、スキャン条件取得機能445、固定位置情報生成機能446、固定位置画像生成機能447、重畳画像生成機能448、表示制御機能449及び固定具制御機能450等を実行する。
【0057】
システム制御機能441は、システム制御部の一例である。画像生成機能442は、画像生成部の一例である。画像処理機能443は、画像処理部の一例である。画像取得機能444は、画像取得部の一例である。スキャン条件取得機能445は、スキャン条件取得部の一例である。固定位置情報生成機能446は、固定位置情報生成部の一例である。固定位置画像生成機能447は、固定位置画像生成部の一例である。重畳画像生成機能448は、重畳画像生成部の一例である。表示制御機能449は、表示制御部の一例である。固定具制御機能450は、固定具制御部の一例である。
【0058】
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。例えば、システム制御機能441は、寝台30の天板33の位置を制御する。システム制御機能441は、架台10で行われるCTスキャンを制御する。また、システム制御機能441は、CTスキャンで得られた検出データを取得する。なお、システム制御機能441は、X線コンピュータ断層撮像装置1の外部から被検体Pに関する検出データを取得してもよい。
【0059】
画像生成機能442は、データ収集回路18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。画像生成機能442は、生成されたデータをメモリ41に格納する。
【0060】
なお、前処理前のデータ(検出データ)及び前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。画像生成機能442は、生成された投影データ(前処理後の投影データ)に対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法、機械学習等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。画像生成機能442は、生成されたCT画像データをメモリ41に格納する。
【0061】
画像処理機能443は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、画像生成機能442によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。例えば、画像処理機能443は、当該CT画像データにボリュームレンダリングや、サーフェスレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planar Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して、任意視点方向のレンダリング画像データを生成する。
【0062】
なお、任意視点方向のレンダリング画像データ等の3次元画像データ、すなわちボリュームデータの生成は、画像生成機能442が直接行っても構わない。画像処理機能443は、断層像データや3次元画像データをメモリ41に格納する。
【0063】
画像取得機能444は、被検体Pと支持体とを少なくとも含む撮像画像を取得する。例えば、画像取得機能444は、被検体Pが載置された天板33を撮像した撮像画像を取得する。画像取得機能444は、メモリ41に記憶される、撮像装置50が撮像した、臥位で位置する被検体Pや天板33に臥位で載置された被検体Pの状態が撮像された撮像画像を取得する。
【0064】
スキャン条件取得機能445は、被検体Pのスキャン部位を含むスキャン条件を取得する。例えば、スキャン条件取得機能445は、入力インターフェース43が受け付けたオーダ情報や、操作者による入力等に基づいて、被検体Pのスキャン部位を含むスキャン条件を取得する。スキャン条件は、被検体Pのスキャン部位に対応する、被検体Pの体軸方向のスキャン対応範囲を含む。
【0065】
ここで、スキャン部位について図3を用いて説明する。図3は、スキャン部位の一例を示す図である。スキャン部位は、被検体Pのスキャン部位を示す。図3に示すスキャン部位は、被検体Pの各部位のうち、対象の部位を強調することによりスキャン部位を示している。そして、図3に示すスキャン部位は、スキャン部位が胸部であることを示している。
【0066】
図1に戻る。固定位置情報生成機能446は、撮像画像とスキャン条件とに基づいて、固定具35が被検体Pを固定する固定位置に関する固定位置情報を生成する。具体的には、固定位置情報生成機能446は、撮像装置50が撮像した撮像画像と、スキャン条件取得機能445が取得したスキャン条件とに基づいて、固定具35が被検体Pを固定する固定位置に関する固定位置情報を生成する。
【0067】
ここで、固定位置情報について図4を用いて説明する。図4は、固定位置情報の一例を模式的に示す図である。例えば、固定位置情報生成機能446は、撮像装置50が撮像した撮像画像(図2参照)に対して、スキャン条件取得機能445が取得したスキャン条件(図3参照)を重畳し、撮像画像に含まれる固定具35とスキャン部位が重なる位置を特定する。その結果、固定位置情報生成機能446が生成する固定位置情報は、固定具35とスキャン部位が重なる位置が、被検体Pを固定具35で固定する位置となる。固定位置情報は、固定具35を動作させる固定具の識別番号(一例として、固定具に割り当てられた管理番号等)が含まれる。
【0068】
固定位置画像生成機能447は、固定位置情報に基づいて、被検体Pに対する、固定具35の固定位置を表す固定位置画像を生成する。具体的には、固定位置画像生成機能447は、固定位置情報生成機能446が生成した固定位置情報に基づいて、被検体Pに対する、固定具35の固定位置を表す固定位置画像を生成する。
【0069】
図5には、固定位置画像の一例を模式的に示す図である。固定位置画像とは、天板33が架台10に移動する前に、動作する対象となる固定具35が示す画像である。例えば、図5に示す固定位置画像には、動作する固定具を示す固定具354及び固定具355の動作内容(一例として、動作向き)を示す矢印A及び矢印Bが示されている。これにより、操作者は、動作する固定具35を把握することができる。
【0070】
重畳画像生成機能448は、固定位置情報と、撮像画像と、に基づいて、被検体Pに対する固定位置を撮像画像に重畳させた重畳画像を生成する。具体的には、重畳画像生成機能448は、固定位置情報生成機能446が生成した固定位置情報と、撮像装置50が撮像した撮像画像と、に基づいて、固定位置画像生成機能447が生成した固定位置画像と、撮像装置50が撮像した撮像した撮像画像を重畳させた重畳画像を生成する。
【0071】
図6には、重畳画像の一例を模式的に示す図である。図6に重畳画像には、動作後の固定具354及び固定具355と、天板33に載置された被検体Pを示す。これにより、操作者は、動作する固定具35の固定位置と、被検体Pとの固定位置(固定位置関係)を把握することができる。
【0072】
表示制御機能449は、画像処理機能443により生成された各種画像データに基づいて、画像をディスプレイ42に表示させる。また、ディスプレイ42に表示させる画像は、CT画像データに基づくCT画像、任意断面の断面画像データに基づく断面画像、任意視点方向のレンダリング画像データに基づく任意視点方向のレンダリング画像等を含む。また、ディスプレイ42に表示させる画像は、操作画面を表示するための画像や操作者への通知及び警告を表示するための画像を含む。
【0073】
また、表示制御機能449は、撮像画像を出力する。具体的には、表示制御機能449は、撮像装置50が天板33に臥位で載置された被検体Pの状態を撮像した撮像画像をディスプレイ42に表示させる。さらに、表示制御機能449は、固定位置画像を出力する。具体的には、表示制御機能449は、固定位置画像生成機能447が生成した固定位置画像をディスプレイ42に表示させる。また、表示制御機能449は、重畳画像を出力する。具体的には、表示制御機能449は、重畳画像生成機能448が生成した重畳画像をディスプレイ42に表示させる。
【0074】
固定具制御機能450は、固定位置情報に基づいて、複数の膨張部を制御する。具体的には、固定具制御機能450は、固定位置情報生成機能446が生成した固定位置情報に基づいて、固定位置情報に含まれる、動作対象である固定具35の識別番号に対して、固定具35の膨張部を膨張させるように制御する。膨張部が膨張することで、固定具35は、天板33に載置された被検体Pを固定することができる。これにより、従来の技師等の操作者による撮像準備の負担を軽減することができる。
【0075】
なお、各機能441~450は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路44を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各機能441~450を実現するものとしても構わない。ここで、各機能441~450は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0076】
なお、コンソール40は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明したが、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。なお、処理回路44の一部又は全部は、コンソール40に含まれる場合に限らず、複数の医用画像診断装置にて取得された検出データに対する処理を一括して行う統合サーバに含まれてもよい。
【0077】
なお、後処理及び表示処理のうちの少なくとも1の処理は、コンソール40又は外部のワークステーションのどちらで実施することにしても構わない。また、コンソール40とワークステーションの両方で同時に処理することにしても構わない。ワークステーションとしては、例えば、各処理に対応する機能を実現するプロセッサと、ROMやRAM等のメモリとをハードウェア資源として有するコンピュータ等が適宜利用可能である。
【0078】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)等の回路を意味する。PLDは、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を含む。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムが保存された記憶回路は、コンピュータ読取可能な非一時的記録媒体である。
【0079】
記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0080】
なお、X線CT画像データの再構成においては、フルスキャン再構成方式及びハーフスキャン再構成方式のいずれの再構成方式が適用されてもよい。例えば、画像生成機能442において処理回路44は、フルスキャン再構成方式では、被検体Pの周囲一周、360度分の投影データを用いる。また、処理回路44は、ハーフスキャン再構成方式では、180度+ファン角度分の投影データを用いる。以下では、説明の簡単のため、処理回路44は、被検体Pの周囲一周、360度分の投影データを用いて再構成するフルスキャン再構成方式を用いるものとする。
【0081】
なお、本実施形態に係る技術は、一管球型のX線コンピュータ断層撮像装置にも、X線管と検出器との複数のペアを回転リングに搭載した、いわゆる多管球型のX線コンピュータ断層撮像装置にも適用可能である。
【0082】
なお、本実施形態に係る技術は、デュアルエネルギー方式で撮像できるように構成されたX線コンピュータ断層撮像装置1にも適用可能である。このとき、X線高電圧装置14は、例えば2種の電圧値の高速スイッチングにより、X線管11から射出されるX線のエネルギースペクトルを交互に切り替えることができる。つまり、X線コンピュータ断層撮像装置1は、管電圧変調の制御信号に従うタイミングで管電圧を変調しながら各収集ビューで投影データを収集できるように構成されている。被検体Pを異なる管電圧で撮像することにより、X線のエネルギースペクトルごとの物質のエネルギー透過性に基づいて、CT画像における濃淡のコントラストを向上させることができる。
【0083】
なお、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1は、逐次読み出し方式でX線検出器12から電気信号を読み出すように構成されているとする。
【0084】
なお、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1は、架台10及び寝台30が移動可能な移動型CTとして構成されていても構わない。
【0085】
なお、実施形態に係る寝台制御は、例えば、X線コンピュータ断層撮像装置1のコンソール40により実現されるが、制御装置15により実現されてもよいし、架台10又は寝台30に搭載されたコンピュータにより実現されても構わない。
【0086】
次に、図7を用いて、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1による処理の手順を説明する。図7は、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1による処理の手順を説明するための一例を示すフローチャートである。なお、本処理は、天板33に被検体Pが載置された後に開始するものとする。
【0087】
撮像装置50は、臥位で位置する被検体Pや天板33に臥位で載置された被検体Pの状態を撮像する(ステップS301)。続いて、表示制御機能449は、画像取得機能444が取得した被検体Pと天板33とを少なくとも含む、撮像装置50が撮像した撮像画像を出力する(ディスプレイ42に表示させる)(ステップS302)。続いて、スキャン条件取得機能445は、入力インターフェース43が受け付けたオーダ情報や、操作者による入力等に基づいて、被検体Pのスキャン部位を含むスキャン条件を取得する(ステップS303)。
【0088】
続いて、固定位置情報生成機能446は、撮像装置50が撮像した撮像画像と、スキャン条件取得機能445が取得したスキャン条件とに基づいて、固定具35が被検体Pを固定する固定位置に関する固定位置情報を生成する(ステップS304)。続いて、固定位置画像生成機能447は、固定位置情報生成機能446が生成した固定位置情報に基づいて、被検体Pに対する、固定具35の固定位置を表す固定位置画像を生成する(ステップS305)。
【0089】
続いて、表示制御機能449は、重畳画像生成機能448が生成した重畳画像を出力する(ディスプレイ42に表示させる)(ステップS306)。続いて、固定具制御機能450は、固定位置情報生成機能446が生成した固定位置情報に基づいて、固定位置情報に含まれる、動作対象である固定具35の識別番号に対して、固定具35の膨張部を膨張させるように制御する(ステップS307)。上述した処理が終了すると、天板33が架台10に移動し、架台10は、被検体Pに対してX線CT撮像を開始する。
【0090】
以上のように、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1は、被検体Pと支持体とを少なくとも含む撮像画像を取得し、被検体Pのスキャン部位を含むスキャン条件を取得し、取得した撮像画像とスキャン条件とに基づいて、固定具が被検体を固定する固定位置に関する固定位置情報を生成する。
【0091】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、例えば、固定具が被検体Pを固定する固定位置に関する固定位置情報を生成することで、被検体Pは固定される位置を把握することができる。これにより、被検体Pは固定具を用いて、被検体自身を自ら固定することができるため、操作者は、介助のために撮像室と操作室を行き来する必要が少なくなり、スループットを向上することができる。また、操作者と被検体Pとの接触が少なくなり、飛沫感染のリスクがある症例の被検体を撮像する際に、操作者に対して感染リスクを低減することができる。したがって、従来の技師等の操作者による撮像準備の負担を軽減することができる。
【0092】
(第2実施形態)
上記第1実施形態においては、固定具35は、膨張部材とする形態について説明した。これに対し、第2実施形態においては、固定具が天板33のZ軸方向を移動可能に設けられる形態について説明する。第2実施形態の固定具について、図8及び図9を用いて説明する。図8及び図9は、第2実施形態に係る固定具の一例を模式的に示す図である。
【0093】
図8及び図9に示すように、固定具36及び固定具37は、天板33に対して、移動可能に設けられる。また、固定具36及び固定具37は、固定具制御機能450により、固定位置情報に基づいて、固定具36及び固定具37の天板33に対する移動を制御される。図9に示す矢印C及び矢印Bは、天板33に対して、移動可能な向きを示す。
【0094】
さらに、固定具36(固定具37)は、例えば、ベルト361(ベルト371)及びベルト巻き込み機構(図示せず)を有する。ベルト361(ベルト371)は、例えば、しなやかで丈夫な布で作製され、天板33の両側部に設けられたベルト巻き込み機構から引き出されている。ベルトは、一端が天板33の内部の巻棒(図示せず)に巻き付けられて、他端が天板33の内部のケース(図示せず)から引き出されて自動車のシートベルトのように繰り出し及び引き込み可能とされている。
【0095】
また、固定具制御機能450は、ベルト361及びベルト371の巻き取り量を、撮像画像から解析された被検体Pの体型と、固定位置情報とに基づいて調整する。撮像画像から解析された被検体Pの体型は、例えば、被検体Pの身長が大小変化した場合や被検体Pが天板33に逆向きに載置される場合があるため、撮像画像から解析される必要がある。
【0096】
固定具36及び固定具37は、固定具制御機能450により、固定位置情報に基づいて、固定具36及び固定具37の天板33に対する移動を制御される。被検体Pは、固定具36及び固定具37の固定位置への移動後、ベルト361及びベルト371が引き出され、被検体自身を固定する。
【0097】
そして、固定具36及び固定具37は、固定具制御機能450により、ベルト361及びベルト371を巻き取り、被検体Pが固定される。その後、天板33が架台10に移動し、架台10は、被検体Pに対してX線CT撮像を開始する。なお、固定具の数や固定方法は、これに限定されない。
【0098】
以上のように、第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1において、固定具は、支持体に対して移動可能に設けられ、固定位置情報に基づいて、固定具の支持体に対する移動を制御される。
【0099】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、例えば、被検体Pは、被検体自身を固定するための固定具36及び固定具37が移動し、固定具36及び固定具37が移動後、被検体自身でベルト361及びベルト371を抜き出し、被検体自身を固定する。
【0100】
これにより、被検体Pは固定具を用いて、被検体自身を自ら固定することができるため、操作者は、介助のために撮像室と操作室を行き来する必要が少なくなり、スループットを向上することができる。また、操作者と被検体Pとの接触が少なくなり、飛沫感染のリスクがある症例の被検体を撮像する際に、操作者に対して感染リスクを低減することができる。したがって、従来の操作者による撮像準備の負担を軽減することができる。
【0101】
(第3実施形態)
上記第1実施形態及び第2実施形態においては、被検体Pが臥位の状態において、固定具が動作する形態について説明した。これに対し、第3実施形態においては、被検体Pが立位の状態において、固定具が動作する形態について説明する。図10は、第3実施形態に係る固定具の一例を模式的に示す図である。図10において、第3実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1は、被検体Pが立位状態において、架台10のYZ断面を、X軸から見た断面図である。
【0102】
図10に示すように、固定具を支持する支持部材38及び支持部材39は、架台10の内部に設けられる。支持部材38及び支持部材39は、XY軸方向の側面視において、被検体Pを挟み込むように設けられる。支持部材38及び支持部材39は、支持部の一例である。
【0103】
また、撮像装置50は、被検体Pを鳥瞰できる位置に設けられる。なお、図10においては、撮像装置50は、架台10の上方に設けられているが、これに限定されず、架台10の内部に設けてもよい。また、撮像装置50は、複数備えても良く、被検体Pの全身が撮像できるように設けられる。
【0104】
図11は、第3実施形態に係る支持部材38及び支持部材39と、被検体Pと、をZ軸方向の負の方向に向かって見た俯瞰図である。図12は、第3実施形態に係る支持部材38、支持部材39及び固定具381~390と、被検体Pと、をY軸方向の負の方向に向かってみた正面図である。
【0105】
固定具381~固定具390は、被検体Pを固定し、それぞれ1対の支持部材38のZ軸方向に沿って(長軸方向に対して)複数設けられる。固定具381~固定具390は、複数の膨張部を有し、膨張/収縮可能な膨張部材であり、例えば、カフである。固定具381~固定具390は、支持部材38から脱着可能であってもよい。固定具381~固定具390を脱着可能にすることで、例えば、被検体Pを撮像後、固定具を消毒することができる。
【0106】
なお、図12には、支持部材38及び固定具381~固定具390を図示しているが、支持部材39にも同様に複数の固定具を備えており、図12において省略している。なお、第3実施形態の固定具は、上述した第1実施形態の固定具と同様に、動作を行うため、詳細は省略する。
【0107】
以上のように、第3実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1において、被検体Pが立位状態においても、固定具により被検体を固定される。
【0108】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、被検体Pは固定具を用いて、被検体自身を自ら固定することができるため、操作者は、介助のために撮像室と操作室を行き来する必要が少なくなり、スループットを向上することができる。また、操作者と被検体Pとの接触が少なくなり、飛沫感染のリスクがある症例の被検体を撮像する際に、操作者に対して感染リスクを低減することができる。したがって、従来の操作者による撮像準備の負担を軽減することができる。
【0109】
(変形例)
上述した実施形態においては、X線コンピュータ断層撮像装置1は、固定具が被検体Pを固定された後、被検体Pを撮像するが、これに限定されない。例えば、撮像画像上で撮像した被検体Pの固定位置と、実際の固定具の位置が一致すると、システム制御機能441は、操作者(一例として、技師等)が入力した操作に基づいて、スキャン開始を指示してもよい。
【0110】
これにより、操作者は、捜査室で被検体Pの固定状態を把握することができるため、被検体Pを介助のために撮像室と操作室を行き来する必要が少なくなり、固定具と被検体Pとの固定位置を確認したうえで、スループットを向上することができる。また、操作者と被検体Pとの接触が少なくなり、飛沫感染のリスクがある症例の被検体を撮像する際に、操作者に対して感染リスクを低減することができる。したがって、従来の操作者による撮像準備の負担を軽減することができる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0112】
1 X線コンピュータ断層撮像装置(医用画像診断装置)
10 架台
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置(制御部)
16 ウェッジ
17 コリメータ
18 データ収集回路
19 開口部
30 寝台(医用寝台装置)
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板(支持体)
34 支持フレーム
35、36、37 固定具
38、39 支持部材
40 コンソール
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
44 処理回路
50 撮像装置
441 システム制御機能
442 画像生成機能
443 画像処理機能
444 画像取得機能
445 スキャン条件取得機能
446 固定位置情報生成機能
447 固定位置画像生成機能
448 重畳画像生成機能
449 表示制御機能
450 固定具制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12