IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝エネルギーシステムズ株式会社の特許一覧

特開2024-81045洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置
<>
  • 特開-洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置 図1
  • 特開-洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置 図2
  • 特開-洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置 図3
  • 特開-洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置 図4
  • 特開-洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置 図5
  • 特開-洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置 図6
  • 特開-洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置 図7
  • 特開-洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置 図8
  • 特開-洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置 図9
  • 特開-洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081045
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/25 20160101AFI20240610BHJP
   E04H 12/00 20060101ALI20240610BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20240610BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
F03D13/25
E04H12/00 B
E04H9/02 351
F16F15/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194475
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 憲人
【テーマコード(参考)】
2E139
3H178
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AC16
2E139AC26
2E139AC73
2E139AD01
2E139AD03
2E139BA14
2E139BA23
2E139BA30
2E139BD32
2E139BD38
3H178AA20
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB42
3H178CC22
3H178DD70X
3H178EE40
3J048AC05
3J048CB11
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】洋上風力発電装置を支持する海中基礎構造物の加速度応答を低減する。
【解決手段】実施の形態による洋上風力発電設備は、海洋上で風力により発電を行う洋上風力発電装置と、海中で洋上風力発電装置を支持する海中基礎構造物と、海中基礎構造物を囲むように海底上に配置された筒状構造物と、備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋上で風力により発電を行う洋上風力発電装置と、
海中で前記洋上風力発電装置を支持する海中基礎構造物と、
前記海中基礎構造物を囲むように海底上に配置された筒状構造物と、備える、洋上風力発電設備。
【請求項2】
前記筒状構造物は、円筒状に形成されている、請求項1に記載の洋上風力発電設備。
【請求項3】
前記筒状構造物の下部は、海底に埋設されている、請求項1に記載の洋上風力発電設備。
【請求項4】
前記筒状構造物の下部に、重量物が設けられている、請求項1に記載の洋上風力発電設備。
【請求項5】
前記筒状構造物の上部は、海洋上に突出している、請求項1に記載の洋上風力発電設備。
【請求項6】
前記海中基礎構造物に向かう海水の波を観測する波観測装置と、
海水に波を発生させる造波装置と、
前記造波装置を制御する制御装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記波観測装置で観測された波を打ち消すような波を発生させるように前記造波装置を制御する、請求項1に記載の洋上風力発電設備。
【請求項7】
前記筒状構造物から内側に突出し、前記海中基礎構造物を支持する内側フランジを更に備える、請求項1に記載の洋上風力発電設備。
【請求項8】
前記内側フランジは、前記筒状構造物の下部から内側に突出し、海底上で前記海中基礎構造物を支持する、請求項7に記載の洋上風力発電設備。
【請求項9】
前記海中基礎構造物と前記筒状構造物との間に、海水よりも高い粘性を有する物質が充填されている、請求項1に記載の洋上風力発電設備。
【請求項10】
洋上風力発電装置を支持する海中基礎構造物の加速度応答を低減する洋上風力発電設備の応答低減装置であって、
前記海中基礎構造物を囲むように海底上に配置された筒状構造物を備える、洋上風力発電設備の応答低減装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化防止の観点から、風力や太陽光等の再生可能エネルギーを利用した発電設備の導入が国内外で進められている。近年、土地の制約や騒音等の問題が少ない洋上風力発電の導入が拡大している。
【0003】
一般に、風力発電設備を設置する場合、風条件や地盤条件等のサイト条件を考慮した荷重解析を実施し、風力発電設備がそのサイト条件に対して適合しているかを確認する。洋上風力発電設備の場合、陸上でのサイト条件にいくつかの条件を追加して荷重解析を実施する。
【0004】
ところが、日本においては、地震等の影響により、欧州等で検討された構造物の初期設計では、安全率の確保が難しい場合がある。この場合、構造物の断面性能を向上させるために、構造物の大径化や板厚増加により対応するのが一般的であるが、重量増加に伴い運搬費、工事費等が増大する傾向にある。このため、とりわけ地震等による加速度応答荷重が増大する洋上においては、応答荷重が部材の耐荷重を超過したり、基礎を頑強にするためにコストが増大したりすることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-157344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、洋上風力発電装置を支持する海中基礎構造物の加速度応答を低減することができる洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態による洋上風力発電設備は、海洋上で風力により発電を行う洋上風力発電装置と、海中で前記洋上風力発電装置を支持する海中基礎構造物と、海中基礎構造物を囲むように海底上に配置された筒状構造物と、備える。
【0008】
また、実施の形態による洋上風力発電設備の応答低減装置は、洋上風力発電装置を支持する海中基礎構造物の加速度応答を低減する洋上風力発電設備の応答低減装置であって、海中基礎構造物を囲むように海底上に配置された筒状構造物を備える。
【発明の効果】
【0009】
本実施の形態によれば、洋上風力発電装置を支持する海中基礎構造物の加速度応答を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施の形態による洋上風力発電設備を示す正面図である。
図2図2は、図1の洋上風力発電設備の筒状構造物を示す部分拡大断面図である。
図3図3は、図2の平面断面図である。
図4図4は、第2の実施の形態による洋上風力発電設備の筒状構造物を示す部分拡大断面図である。
図5図5は、第3の実施の形態による洋上風力発電設備の筒状構造物を示す部分拡大断面図である。
図6図6は、第4の実施の形態による洋上風力発電設備の筒状構造物を示す部分拡大断面図である。
図7図7は、第5の実施の形態による洋上風力発電設備の筒状構造物を示す部分拡大断面図である。
図8図8は、第6の実施の形態による洋上風力発電設備の筒状構造物を示す部分拡大断面図である。
図9図9は、第7の実施の形態による洋上風力発電設備の筒状構造物を示す部分拡大断面図である。
図10図10は、図9の一変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
まず、図1図3を参照して、第1の実施の形態による洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置について説明する。
【0013】
本実施の形態による洋上風力発電設備は、海洋上に設置され、風力を利用して発電を行う発電設備である。本実施の形態による洋上風力発電設備は、着床式の洋上風力発電設備である。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態による洋上風力発電設備1は、洋上風力発電装置10と、海中基礎構造物20と、筒状構造物30と、を備えている。
【0015】
洋上風力発電装置10は、海洋上で風力により発電を行うように構成されている。図1に示すように、洋上風力発電装置10は、海水2の海水面2aよりも上方に配置されている。洋上風力発電装置10は、タワー11と、ナセル12と、ロータ13と、を有している。
【0016】
タワー11は、ナセル12を下方から支持する支持体である。タワー11は、鉛直方向に延びる柱状に形成されている。タワー11の下端は、後述する海中基礎構造物20に支持されている。タワー11の上端は、ナセル12を支持している。
【0017】
ナセル12は、タワー11に支持されている。ナセル12は、タワー11の上端に配置されている。ナセル12には、回転軸、変速機構、発電機(いずれも不図示)が内蔵されている。また、ナセル12には、ロータ13が回転可能に支持されている。
【0018】
ロータ13は、ナセル12に回転可能に支持されたハブ14と、ハブ14に支持されたブレード15と、を含んでいる。ハブ14は、回転軸および変速機構を介して発電機に連結されている。ハブ14には、複数のブレード15が取り付けられていてもよい。ブレード15は、ハブ14の周りに放射状に配置されていてもよい。ブレード15は、風力を受けて回転するように、圧力面および負圧面の向きが調整されている。
【0019】
洋上風力発電装置10は、風力を受けてブレード15とハブ14とからなるロータ13が回転し、その回転力が回転軸および変速機構を介してナセル12内の発電機に伝達されることによって、発電を行うようになっている。
【0020】
海中基礎構造物20は、海中(海水2内)で洋上風力発電装置10を支持している。図1および図2に示すように、海中基礎構造物20は、海水2内に配置されている。
【0021】
海中基礎構造物20は、鉛直方向に延びる柱状に形成されていてもよい。図2および図3に示す例においては、海中基礎構造物20は、円柱状に形成されている。なお、海中基礎構造物20の形状は、円柱状に限定されず、楕円形の柱状や多角形の柱状であってもよく、その形状は任意である。
【0022】
図1および図2に示すように、海中基礎構造物20の上部21は、海洋上に突出していてもよい。すなわち、海中基礎構造物20の上部21は、海水面2aから延び出ていてもよい。海中基礎構造物20の上部21は、洋上風力発電装置10のタワー11を支持している。
【0023】
図1および図2に示すように、海中基礎構造物20の下部22は、海底3に埋設されていてもよい。海中基礎構造物20は、設置時に下部22が海底3内に埋め込まれるように打設され、海底3に固定されてもよい。
【0024】
海中基礎構造物20は、例えばコンクリートや鉄鋼等の金属で構成されていてもよい。
【0025】
筒状構造物30は、海中基礎構造物20の加速度応答を低減する応答低減装置の少なくとも一部を構成している。筒状構造物30は、海中基礎構造物20を囲むように海底3上に配置されている。図1および図2に示すように、筒状構造物30は、海水2内に配置されている。
【0026】
筒状構造物30は、鉛直方向に延びる筒状に形成されていてもよい。図2および図3に示す例においては、筒状構造物30は、円筒状に形成されている。なお、筒状構造物30の形状は、円筒状に限定されず、楕円形の筒状や多角形の筒状であってもよく、その形状は任意である。
【0027】
図1図3に示すように、筒状構造物30の内側に、海中基礎構造物20が配置されている。筒状構造物30の中心部に、海中基礎構造物20が配置されていてもよい。すなわち、図3に示すような平面視において、筒状構造物30の中心と海中基礎構造物20の中心とが一致していてもよい。
【0028】
筒状構造物30の内径は、海中基礎構造物20の外径よりも大きくなっている。筒状構造物30と海中基礎構造物20とは離間しており、両者の間には空間4が設けられている。この空間4には、海水2が充填されている。
【0029】
図1および図2に示すように、筒状構造物30の上部31は、海水2内に配置されていてもよい。すなわち、筒状構造物30の上部31は、海洋上に突出していなくてもよい。
【0030】
また、図1および図2に示すように、筒状構造物30の下部32は、海底3上に配置されていてもよい。すなわち、筒状構造物30は、自重によって海底3まで沈み、下部22が海底3と接触していてもよい。
【0031】
筒状構造物30の高さ(鉛直方向における長さ)は、海底3の深さ(海水面2aと海底3との間の距離)の半分以上であってもよい。
【0032】
筒状構造物30は、例えばコンクリートや鉄鋼等の金属で構成されていてもよい。
【0033】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用効果について説明する。
【0034】
海洋上に設置される洋上風力発電設備の場合、地震等の発生時、海水の波の影響によって、一般的な陸上に設置される陸上風力発電設備よりも、基礎構造物に加わる荷重が大きくなる傾向にある。このため、洋上風力発電設備においては、地震時に海中基礎構造物の加速度応答荷重が耐荷重を超過したり、その対策のために海中基礎構造物や洋上風力発電装置が大型化したりすることが懸念される。
【0035】
これに対して本実施の形態によれば、洋上風力発電設備1は、海中基礎構造物20を囲むように海底3上に配置された筒状構造物30を備えている。このことにより、海中基礎構造物20と筒状構造物30との間に、ダンパーの役割を有する流体(海水2)が充填された空間4を設けることができる。このため、この流体の粘性による減衰効果により、海中基礎構造物20の加速度応答を低減することができる。この結果、海中基礎構造物20の加速度応答荷重が耐荷重を超過することを防止することができる。また、海中基礎構造物20や洋上風力発電装置10の大型化を抑制し、運搬費、工事費等のコストの増大を抑制することができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、筒状構造物30が海中基礎構造物20を囲むように配置されればよく、設置が容易であり、設置に伴うコストの増大を抑制することができる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、筒状構造物30が海中基礎構造物20を囲むように配置されていることにより、海中基礎構造物20の下部22周りに海水2が流れることを抑制することができる。このため、海中基礎構造物20の洗堀を防止することができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、海中基礎構造物20と筒状構造物30との間の空間4に充填された流体(海水2)の減衰効果により、洋上風力発電装置10と海中基礎構造物20とからなる風車構造体の固有振動数を変更することができる。このため、風車構造体の設置後に、共振を回避するために風車構造体の固有振動数を変更することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、筒状構造物30は、円筒状に形成されている。このことにより、いずれの方向から海水2の波が来た場合であっても、海水2の波によって海中基礎構造物20に加わる荷重を小さくすることができる。このため、海中基礎構造物20の加速度応答をより一層低減することができる。
【0040】
(第2の実施の形態)
次に、図4を参照して、第2の実施の形態による洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置について説明する。
【0041】
図4に示す第2の実施の形態においては、筒状構造物の下部が海底に埋設されている点が主に異なる。他の構成は、図1図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図4において、図1図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
本実施の形態においては、図4に示すように、筒状構造物30の下部32は、海底3に埋設されている。筒状構造物30は、設置時に下部32が海底3内に埋め込まれるように打設され、海底3に固定されてもよい。筒状構造物30の海底3内に埋め込まれる部分の長さ(鉛直方向における長さ)は、筒状構造物30の高さの半分以下であってもよい。
【0043】
本実施の形態によれば、筒状構造物30の下部32が海底3に埋設されていることにより、筒状構造物30を海底3に対してしっかりと固定することができる。このことにより、海中基礎構造物20と筒状構造物30との間の離間距離を保つことができ、流体(海水2)が充填される空間4を安定的に確保することができる。このため、海中基礎構造物20の加速度応答を確実に低減することができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、洗堀により筒状構造物30の下部32が海底3から露出した場合であっても、洋上風力発電装置10の運転期間中に、筒状構造物30を更に海底3内に埋め込むように打設することができる。
【0045】
(第3の実施の形態)
次に、図5を参照して、第3の実施の形態による洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置について説明する。
【0046】
図5に示す第3の実施の形態においては、筒状構造物の下部に重量物が設けられている点が主に異なる。他の構成は、図1図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5において、図1図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
本実施の形態においては、図5に示すように、筒状構造物30の下部32に、重量物33が設けられている。図5に示すように、重量物33は、筒状構造物30の外周部に設けられていてもよい。重量物33は、筒状構造物30の外周部から外側に突出した円筒状のフランジであってもよい。重量物33は、筒状構造物30に取り付けられていてもよいし、筒状構造物30と一体に形成されていてもよい。重量物33は、例えばコンクリートや鉄鋼等の金属で構成されていてもよい。
【0048】
本実施の形態によれば、筒状構造物30の下部32に重量物33が設けられていることにより、筒状構造物30を海底3に対してしっかりと固定することができる。このことにより、海中基礎構造物20と筒状構造物30との間の離間距離を保つことができ、流体(海水2)が充填される空間4を安定的に確保することができる。このため、海中基礎構造物20の加速度応答を確実に低減することができる。
【0049】
(第4の実施の形態)
次に、図6を参照して、第4の実施の形態による洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置について説明する。
【0050】
図6に示す第4の実施の形態においては、筒状構造物の上部が海洋上に突出している点が主に異なる。他の構成は、図6に示す第4の実施の形態と略同一である。なお、図6において、図1図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0051】
本実施の形態においては、図6に示すように、筒状構造物30の上部31は、海洋上に突出している。すなわち、筒状構造物30の上部31は、海水面2aから延び出ている。筒状構造物30の高さ(鉛直方向における長さ)は、海底3の深さ(海水面2aと海底3との間の距離)よりも大きくなっている。この場合も、筒状構造物30と海中基礎構造物20との間の空間4には、海水2が充填されている。
【0052】
本実施の形態によれば、筒状構造物30の上部31が海洋上に突出していることにより、海中基礎構造物20の打設時の振動が、筒状構造物30の外側に伝わることを抑制することができる。このため、海中基礎構造物20の打設時の海中振動を低減することができ、海洋生物への影響を抑制することができる。
【0053】
(第5の実施の形態)
次に、図7を参照して、第5の実施の形態による洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置について説明する。
【0054】
図7に示す第5の実施の形態においては、波観測装置と造波装置と制御装置とが設けられ、制御装置が波観測装置で観測された波を打ち消すような波を発生させるように造波装置を制御する点が主に異なる。他の構成は、図1図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7において、図1図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
本実施の形態においては、図7に示すように、洋上風力発電設備1は、波観測装置40と、造波装置41と、制御装置42と、を更に備えている。図7に示す例においては、図6に示す例と同様に、筒状構造物30の上部31は、海洋上に突出している。
【0056】
波観測装置40は、海中基礎構造物20に向かう海水2の波を観測するように構成されている。波観測装置40は、海水2の波の高さ、周波数、位相等の波情報を取得してもよい。波観測装置40は、取得した波情報を制御装置42に送信する。波観測装置40は、海中基礎構造物20の周囲に配置されていてもよい。図7に示すように、波観測装置40は、筒状構造物30の外側に配置されていてもよい。波観測装置40は、海水面2a上に浮かぶように配置されていてもよい。波観測装置40は、海水2の波によって流されないよう、海底3に固定されたロープ40aに接続されていてもよい。
【0057】
造波装置41は、海水2に波を発生させるように構成されている。造波装置41としては、任意の造波装置を採用することができるが、例えば、造波板を上下方向に移動させることで波を発生させるプランジャー型の造波装置を採用してもよい。造波装置41は、筒状構造物30の外側に配置されていてもよい。図7に示すように、造波装置41は、筒状構造物30の外周部に取り付けられていてもよい。
【0058】
制御装置42は、造波装置41を制御するように構成されている。制御装置42は、波観測装置40からの波情報を受信する。制御装置42は、受信した波情報に基づいて、その波を打ち消すような波を計算する。そして、制御装置42は、その計算結果に基づいて、波観測装置40で観測された波を打ち消すような波(例えば、逆位相の波)を発生させるように造波装置41を制御する。
【0059】
本実施の形態によれば、制御装置42が波観測装置40で観測された波を打ち消すような波を発生させるように造波装置41を制御することにより、海水2の波によって海中基礎構造物20に加わる荷重を低減することができる。このため、海中基礎構造物20の加速度応答をより一層低減することができる。
【0060】
(第6の実施の形態)
次に、図8を参照して、第6の実施の形態による洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置について説明する。
【0061】
図8に示す第6の実施の形態においては、筒状構造物から内側に突出し、海中基礎構造物を支持する内側フランジが設けられている点が主に異なる。他の構成は、図1図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図8において、図1図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
本実施の形態においては、図8に示すように、洋上風力発電設備1は、筒状構造物30から内側に突出し、海中基礎構造物20を支持する内側フランジ34を更に備えていてもよい。内側フランジ34は、筒状構造物30の内周部に設けられていてもよい。内側フランジ34の外周部は、筒状構造物30の内周部に取り付けられていてもよい。内側フランジ34は、筒状構造物30と一体に形成されていてもよい。内側フランジ34の内周部は、海中基礎構造物20の外周部と当接していてもよい。
【0063】
内側フランジ34は、鉛直方向において筒状構造物30の任意の位置に設けられていてもよい。とりわけ、内側フランジ34は、筒状構造物30の下部32に設けられていてもよい。また、内側フランジ34は、海底3上に配置され、海底3と接触していてもよい。すなわち、内側フランジ34は、筒状構造物30の下部32から内側に突出し、海底3上で海中基礎構造物20を支持していてもよい。内側フランジ34は、例えばコンクリートや鉄鋼等の金属で構成されていてもよい。
【0064】
本実施の形態によれば、筒状構造物30から内側に突出した内側フランジ34により、海中基礎構造物20をしっかりと支持することができ、地震等によって海中基礎構造物20に加わる荷重を低減することができる。このため、海中基礎構造物20の加速度応答をより一層低減することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、海中基礎構造物20の打設時に、内側フランジ34を海中基礎構造物20のガイドとして用いることができる。このため、海中基礎構造物20の打設時に海中基礎構造物20が傾くことを抑制することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、内側フランジ34は、筒状構造物30の下部32から内側に突出し、海底3上で海中基礎構造物20を支持している。このことにより、地震時に海中基礎構造物20に加わる荷重が最も大きくなる海底3上で、海中基礎構造物20をしっかりと支持することができる。このため、海中基礎構造物20に加わる荷重を効果的に低減することができる。
【0067】
(第7の実施の形態)
次に、図9および図10を参照して、第7の実施の形態による洋上風力発電設備および洋上風力発電設備の応答低減装置について説明する。
【0068】
図9および図10に示す第7の実施の形態においては、海中基礎構造物と筒状構造物との間に海水よりも高い粘性を有する物質が充填されている点が主に異なる。他の構成は、図1図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図9および図10において、図1図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
本実施の形態においては、海中基礎構造物20と筒状構造物30との間(空間4)に、海水2よりも高い粘性を有する物質5が充填されている。すなわち、海水2に代えて、海水2よりも高い粘性を有する物質5が、海中基礎構造物20と筒状構造物30との間の空間4内に配置されている。海水2よりも高い粘性を有する物質5としては、油、ゴム等の弾性材、ゲル状の物質等が挙げられる。
【0070】
図9に示す例においては、図6に示す例と同様に、筒状構造物30の上部31は、海洋上に突出している。このため、海中基礎構造物20と筒状構造物30との間の空間4は海洋と連通しないようになっており、この空間4から外部に物質5が流出することが抑制されている。
【0071】
図10に示す例においては、図2に示す例と同様に、筒状構造物30の上部31は、海洋上に突出していないが、筒状構造物30の上部31に、筒状構造物30の内部を覆う蓋材35が設けられている。蓋材35は、筒状構造物30の上部31に取り付けられていてもよい。蓋材35は、円盤状に形成されていてもよい。蓋材35は、例えばコンクリートや鉄鋼等の金属で構成されていてもよい。この蓋材35により、海中基礎構造物20と筒状構造物30との間の空間4は海洋と連通しないようになっており、この空間4から外部に物質5が流出することが抑制されている。
【0072】
本実施の形態によれば、海中基礎構造物20と筒状構造物30との間の空間4に海水2よりも高い粘性を有する物質5が充填されていることにより、この空間4に海水2が充填されている場合よりも、高い減衰効果を得ることができる。このため、海中基礎構造物20の加速度応答をより一層低減することができる。
【0073】
以上述べた実施の形態によれば、洋上風力発電装置を支持する海中基礎構造物の加速度応答を低減することができる。
【0074】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1:洋上風力発電設備、2:海水、3:海底、5:物質、10:洋上風力発電装置、20:海中基礎構造物、30:筒状構造物、31:上部、32:下部、33:重量物、34:内側フランジ、40:波観測装置、41:造波装置、42:制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10