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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008105
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】モータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 3/12 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H02P3/12 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109674
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花田 直也
【テーマコード(参考)】
5H530
【Fターム(参考)】
5H530AA12
5H530BB18
5H530CC18
5H530CD03
5H530CE15
5H530CF01
5H530CF03
5H530DD13
5H530DD19
5H530EE07
5H530GG08
(57)【要約】
【課題】シートの移動限界位置を検出するためにリミットスイッチが用いられる場合に、部品数の増大を防ぐとともに余分な電力消費を回避する。
【解決手段】モータ駆動装置100は、リミットスイッチ101,102と、駆動回路105とを備える。リミットスイッチ101,102は、シートの移動限界位置を検出するように構成される。駆動回路105は、制御信号CSを電源として、制御信号CSに従ってモータ30を駆動するように構成されている。駆動回路105は、リミットスイッチ101,102により限界位置LM1,LM2が検出された場合にモータ30を停止する。他方、駆動回路105は、リミットスイッチ101,102により限界位置LM1,LM2が検出されていない場合には、モータ30を駆動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを動かすためのモータと、前記モータの駆動が指示される場合に、前記モータの回転方向を制御する制御信号を生成する信号生成装置との間に接続するように構成されたモータ駆動装置であって、
前記シートの移動限界位置を検出するように構成されたリミットスイッチと、
前記制御信号を電源として、前記制御信号に従って前記モータを駆動するように構成された駆動回路とを備え、
前記駆動回路は、
前記リミットスイッチにより前記移動限界位置が検出された場合に前記モータを停止し、
前記リミットスイッチにより前記移動限界位置が検出されていない場合に前記モータを駆動する、モータ駆動装置。
【請求項2】
前記駆動回路は、
リアクトルと、
前記リアクトルに流れる電流の有無に従って開閉状態を切り替えることによって前記モータの駆動および停止を切り替える接点リレーとを含み、
前記リミットスイッチは、前記移動限界位置を検出すると開くように構成されており、
前記モータ駆動装置は、前記リアクトルと前記リミットスイッチとの間に介在する介在回路をさらに備える、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記介在回路は、前記リミットスイッチの検出結果を示す信号を増幅して前記増幅された信号を前記リアクトルに供給するように構成された増幅回路である、請求項2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記モータは、直流モータであり、
前記駆動回路は、
リアクトルと、
前記リアクトルに流れる電流の有無に従って開閉状態を切り替えることによって前記直流モータの駆動および停止を切り替える接点リレーとを含み、
前記直流モータの停止が指示される場合に、前記接点リレーは、前記直流モータの両端が短絡した状態で前記直流モータが停止するように前記開閉状態を取る、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記駆動回路は、
リアクトルと、
前記リアクトルに流れる電流の有無に従って開閉状態を切り替えることによって前記モータの駆動および停止を切り替える接点リレーとを含み、
前記リミットスイッチが前記移動限界位置を検出すると、前記接点リレーは、前記モータが前記信号生成装置から電気的に切り離された状態で停止するように前記開閉状態を切り替える、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ駆動装置に関し、特に、シートを動かすためのモータを駆動するモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物をモータで動かす場合に、対象物の移動範囲の限界位置を検出するために、構造上の制約の観点から、機械的なストッパーではなくリミットスイッチが用いられることがある。
【0003】
特開平9-182473号公報(特許文献1)は、モータ制御装置を開示する。このモータ制御装置は、駆動装置と、制御装置と、リミットスイッチとを有する。駆動装置は、対象物の位置を変えるためのモータを駆動する。制御装置は、駆動装置を制御することによってモータを制御する。リミットスイッチは、制御装置を介さずに駆動装置に直接接続される。リミットスイッチは、対象物がその可動端(移動限界位置)に到達したことを検出すると、制御装置を介さずにモータを直接停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-182473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対象物としてのシートを動かすためにモータが用いられる場合、リミットスイッチは、シートの移動限界位置を検出する。
【0006】
モータの回転方向を制御する制御信号の生成装置(例えば、制御装置)と駆動装置とが別個に設けられるケースでは、駆動装置は、制御信号に従ってモータを駆動する。特許文献1に記載された構成によれば、駆動装置は、この生成装置の電源とは異なる専用電源を要する。その結果、この専用電源と駆動装置とを接続する電力線が必要とされる。この電力線の追加は、駆動装置の部品数の増大を招く。加えて、上記のケースでは、駆動装置は、モータの停止が指示された場合に、モータの停止中に待機するために専用電源から待機電力を受けることを要する可能性がある。この待機電力は、余分な電力消費を招く。
【0007】
本開示は、上記のような問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、シートの移動限界位置を検出するためにリミットスイッチが用いられる場合に、部品数の増大を防ぐとともに余分な電力消費を回避することができるモータ駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のモータ駆動装置は、モータと、信号生成装置との間に接続するように構成される。モータは、シートを動かすために用いられる。信号生成装置は、モータの駆動が指示される場合に、モータの回転方向を制御する制御信号を生成する。モータ駆動装置は、リミットスイッチと、駆動回路とを備える。リミットスイッチは、シートの移動限界位置を検出するように構成される。駆動回路は、制御信号を電源として、制御信号に従ってモータを駆動するように構成される。駆動回路は、リミットスイッチにより移動限界位置が検出された場合にモータを停止し、リミットスイッチにより移動限界位置が検出されていない場合にモータを駆動する。
【0009】
上記の構成とすることにより、信号生成装置からの制御信号がモータ駆動装置(駆動回路)の電源として用いられる。これにより、モータ駆動装置は、その専用電源を要することなくモータを駆動することができる。その結果、この専用電源とモータ駆動装置とを接続する電力線が必要とされない。したがって、モータ駆動装置の部品数の増大を防ぐことができる。加えて、モータの停止が指示される場合には、制御信号が生成されないため、駆動回路は電源としての制御信号を受けない。その結果、駆動回路は、停止する。したがって、駆動回路は、モータの停止中に待機電力を要しない。以上から、モータ駆動装置の部品数の増大を防ぐとともに余分な電力消費を回避することができる。
【0010】
好ましくは、駆動回路は、リアクトルと、接点リレーとを含む。接点リレーは、リアクトルに流れる電流の有無に従って開閉状態を切り替えることによってモータの駆動および停止を切り替える。リミットスイッチは、移動限界位置を検出すると開くように構成されている。モータ駆動装置は、リアクトルとリミットスイッチとの間に介在する介在回路をさらに備える。
【0011】
仮に介在回路が設けられない場合、リミットスイッチは、リアクトルに直接接続される。その結果、リミットスイッチが開くときにリアクトルの起電力に起因してリミットスイッチにおいてアーク放電が起こる可能性がある。このアーク放電は、リミットスイッチの損傷を招き得る。上記の構成とすることにより、介在回路がリアクトルの起電力のリミットスイッチへの影響を軽減するバッファとして機能する。これにより、介在回路が設けられない場合よりもアーク放電の放電量が低減される。その結果、リミットスイッチを保護することができる。
【0012】
好ましくは、介在回路は、リミットスイッチの検出結果を示す信号を増幅して増幅された信号をリアクトルに供給するように構成された増幅回路である。
【0013】
上記の構成とすることにより、リミットスイッチの仕様(例えば、定格電圧および定格電流)は、増幅回路の信号増幅率を通じてリアクトルの仕様に関連付けられる。その結果、この信号増幅率の適切な調整によりリミットスイッチの仕様を適宜定めることができる。
【0014】
好ましくは、モータは、直流モータである。駆動回路は、リアクトルと、接点リレーとを含む。接点リレーは、リアクトルに流れる電流の有無に従って開閉状態を切り替えることによって直流モータの駆動および停止を切り替える。直流モータの停止が指示される場合に、接点リレーは、直流モータの両端が短絡した状態で直流モータが停止するように開閉状態を取る。
【0015】
上記の構成とすることにより、直流モータの停止が指示される場合にはモータの両端が短絡される。これにより、意図しない外力がシートにかかるためにモータに回転力がかかる場合であってもモータの回生ブレーキが作用する。その結果、シートの意図しない移動を防止することができる。
【0016】
好ましくは、駆動回路は、リアクトルと、接点リレーとを含む。接点リレーは、リアクトルに流れる電流の有無に従って開閉状態を切り替えることによってモータの駆動および停止を切り替える。リミットスイッチが移動限界位置を検出すると、接点リレーは、モータが信号生成装置から電気的に切り離された状態で停止するように開閉状態を切り替える。
【0017】
リミットスイッチによる移動限界位置の検出に起因してモータが停止されて制御信号の駆動回路への供給が停止された後に、モータの駆動を指示するために制御信号が駆動回路へ再び供給され始めることがある。この場合、モータ駆動回路の構成によっては、制御信号の電流がリレー部のリアクトルにその誘導起電力に起因して直ちには供給されない。この電流は、リアクトルに供給され始める前にモータに一時的に供給されることがある。その結果、リミットスイッチがシートの移動限界位置を検出しているにも拘らずモータが回転し、シートが一時的に移動限界位置を超えて動く可能性がある。よって、上記のようなモータへの電流供給は、意図されておらず、好ましくない。上記の構成とすることにより、リミットスイッチが移動限界位置を検出するとモータが制御装置から電気的に切り離される。その結果、上記のように制御信号のモータ駆動装置への供給が停止された後に制御信号が駆動回路に再び供給され始める時に、モータへの意図しない電流供給を防ぐことができる。その結果、シートが一時的に移動限界位置を超えて動くことを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、シートの移動限界位置を検出するためにリミットスイッチが用いられる場合に、部品数の増大を防ぐとともに余分な電力消費を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に従うモータ駆動装置が取り付けられるシートを概略的に示す図である。
図2】モータを制御するための制御システムの構成を示す図である。
図3】ECUのドライバと、モータ駆動装置のリレー部、リレー駆動部および信号変換部との詳細な構成を示す図である。
図4】正電圧を有する制御信号CSをECUが生成する場合のモータ駆動装置における電流の流れを説明する図である。
図5】負電圧を有する制御信号をECUが生成する場合のモータ駆動装置における電流の流れを説明する図である。
図6】リミットスイッチが限界位置LM1を検出した場合のモータ駆動装置における電流の流れを説明する図である。
図7】操作部を用いたユーザ操作によりECUを通じてモータの停止が指示される場合のモータ駆動装置の様子を示す図である。
図8】変形例1に従うモータ駆動装置の詳細な構成を示す図である。
図9】正電圧を有する制御信号をECUが生成する場合のモータ駆動装置における電流の流れを説明する図である。
図10】リミットスイッチが限界位置LM1を検出する場合のモータ駆動装置の様子を示す図である。
図11】変形例2に従うモータ制御システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明を繰り返さない。
【0021】
図1は、本実施の形態に従うモータ駆動装置が取り付けられるシートを概略的に示す図である。このシートは、車両、オフィス、一般家庭またはその他の場所において用いられる。
【0022】
図1を参照して、シート1は、オットマン5と、シートクッション10と、シートバック15と、ヘッドレスト20と、シートアジャスタ25と、操作部28とを含む。
【0023】
オットマン5は、シートクッション10に連結されている。シートクッション10は、シートバック15に連結されている。シートバック15は、ヘッドレスト20に連結されている。オットマン5、シートクッション10、シートバック15、およびヘッドレスト20は、シート1の本体部分を構成する。
【0024】
シートアジャスタ25は、シート1の本体部分の位置を調整するために用いられ、モータ30を含む。モータ30は、例えば直流モータであって、シート1を動かすために設けられる。この例では、モータ30は、前方向Fまたは後方向Rにシートバック15を作動させるように構成されている。モータ30を制御するための制御システムについては、後ほど詳しく説明する。前方向Fおよび後方向Rにおけるシートバック15の移動限界位置(作動限界位置)を、それぞれ、限界位置LM1,LM2とも表す。限界位置LM1,LM2の各々は、リミットスイッチ(後述)により定められる。シートバック15の基準位置RPは、前方向Fおよび後方向Rにおけるデフォルトの位置として予め定められている。
【0025】
シートアジャスタ25は、モータ30とは異なるモータ(図示せず)をさらに含む。このモータは、フロア26上に配置されるスライドレール27に沿ってシート1の本体部分をX軸方向において移動させるように構成されている。シートアジャスタ25は、シート1の本体部分をY軸方向において移動させるためのモータをさらに含んでいてもよい。シートアジャスタ25は、シート1の本体部分をZ軸方向に上昇または下降させるためのモータ(図示せず)をさらに含んでもよい。シートアジャスタ25は、方向DR1または方向DR2にオットマン5を作動させるためのモータをさらに含んでもよい。シートアジャスタ25は、ヘッドレスト20を作動させるためのモータをさらに含んでもよい。
【0026】
操作部28は、シートバック15のリクライニング機能を達成するためにユーザにより操作される。具体的には、操作部28は、モータ30の駆動および停止、ならびにモータ30が駆動される場合には角度θを指示するためにユーザにより操作される。角度θは、シートバック15が前方向Fまたは後方向Rにおいて基準位置RPから傾斜する角度である。角度θは、シートバック15の位置が限界位置LM1または限界位置LM2を超えない限りどのような値を取ってもよい。操作部28は、シート1に取り付けられていてもよいし、ユーザにより所有される端末装置(例えば、スマートフォン)が操作部28として用いられてもよい。
【0027】
図2は、モータ30を制御するための制御システムの構成を示す図である。図2を参照して、モータ制御システム50は、操作部28およびモータ30に加えて、ECU(Electronic Control Unit)200と、電源400と、モータ駆動装置100とを含む。
【0028】
操作部28は、図示しない電源に接続されており、スイッチ305,310を含む。スイッチ305は、シートバック15の前方向Fへの作動がユーザにより指示されるとオンされ、そうでない場合にはオフされる。同様に、スイッチ310は、シートバック15の後方向Rへの作動がユーザにより指示されるとオンされ、そうでない場合にはオフされる。
【0029】
ECU200(モータ制御装置)は、シートアジャスタ25に取り付けられており、インターフェース(I/F)205,210と、マイコン220と、ドライバ215と、端子T01,T02とを含む。
【0030】
インターフェース205,210は、それぞれ、スイッチ305,310に接続される。これらの接続は、この例では有線接続であるが、無線接続であってもよい。
【0031】
マイコン220は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、メモリとを含む(いずれも図示せず)。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラムを格納する。
【0032】
ドライバ215は、モータ駆動装置100を駆動するように構成される。端子T01,T02は、電力線対PL0に接続される。ECU200によるモータ30の制御は、マイコン220によるドライバ215を用いたモータ駆動装置100の制御によって達成される。
【0033】
ECU200は、モータ30の駆動が指示される場合に制御信号CSを生成し、電力線対PL0を通じてモータ駆動装置100に出力する。ECU200は、本開示の「信号生成装置」の一例である。制御信号CSは、モータ30の回転方向を制御するための信号である。この回転方向は、シートバック15を前方向Fに作動させるための方向、または後方向Rに作動させるための方向のいずれかに対応する。ECU200は、ユーザにより操作部28を用いて行われる操作に応答して、モータ30の駆動が指示されたか否かを判定する。この操作は、シートバック15の作動が指示されたか否かと、この作動が指示される場合にはその作動方向が前方向Fまたは後方向Rのいずれであるかとを示す。
【0034】
制御信号CSは、シートバック15の前方向Fへの作動が指示される場合に正電圧を有する。この場合、端子T01の電位が端子T02の電位よりも高い。他方、制御信号CSは、シートバック15の後方向Rへの作動が指示される場合に負電圧を有する。この場合、端子T01の電位が端子T02の電位よりも低い。なお、モータ30の駆動がユーザにより操作部28を用いて指示されない場合(例えば、モータ30の停止が指示される場合)には、ECU200は、制御信号CSを生成しない。電源400は、ECU200の電源として用いられる。
【0035】
モータ駆動装置100は、ECU200とモータ30との間に接続するように構成されており、シートアジャスタ25に取り付けられている。モータ駆動装置100は、リミットスイッチ101,102と、機器103とを含む。
【0036】
リミットスイッチ101,102の各々は、シート1の移動限界位置を検出する。この例では、リミットスイッチ101,102は、それぞれ、シートバック15の限界位置LM1,LM2(図1)を検出する。
【0037】
機器103は、駆動回路105と、信号変換回路130と、接続端子140,150と、入力端子160と、出力端子170とを含む。
【0038】
駆動回路105は、リレー部110と、リレー駆動部120とを含む。リレー部110は、電力線対PL1に接続されており、リミットスイッチ101,102の検出結果に従って切り替わるように構成されている。リレー駆動部120は、リレー部110に接続されており、信号変換回路130から供給される信号に従ってリレー部110を切り替えるように構成されている。
【0039】
駆動回路105は、制御信号CSに従ってモータ30を駆動するように構成されている。具体的には、駆動回路105は、制御信号CSが正電圧を有する場合に、シートバック15が前方向Fに作動するようにモータ30を駆動する。他方、駆動回路105は、制御信号CSが負電圧を有する場合に、シートバック15が後方向Rに作動するようにモータ30を駆動する。
【0040】
駆動回路105は、シートバック15の作動中にリミットスイッチ101により限界位置LM1が検出された場合にモータ30を停止する。その一方で、駆動回路105は、ECU200から制御信号CSを受けており、かつ、リミットスイッチ101により限界位置LM1が検出されていない場合にはモータ30を駆動するように構成される。
【0041】
同様に、駆動回路105は、シートバック15の作動中にリミットスイッチ102により限界位置LM2が検出された場合にモータ30を停止する。その一方で、駆動回路105は、ECU200から制御信号CSを受けており、かつ、リミットスイッチ102により限界位置LM2が検出されていない場合にはモータ30を駆動するように構成される。
【0042】
信号変換回路130は、電力線対PL1から分岐する電力線対PL2に接続されている信号増幅回路である。信号変換回路130は、信号変換部131,132を含む。信号変換部131,132は、それぞれ、リミットスイッチ101,102の検出結果を示す信号を変換して増幅するように構成されている増幅部として機能する。駆動回路105および信号変換回路130の詳細な構成については、後述する。
【0043】
接続端子140,150は、それぞれ、リミットスイッチ101,102に接続するように構成されている。
【0044】
入力端子160は、電力線対PL0,PL1の間に設けられ、制御信号CSの入力を受ける。入力端子160は、端子T1,T2を含む。端子T1,T2は、それぞれ、ECU200の端子T01,T02に接続されている。
【0045】
出力端子170は、駆動回路105とモータ30との間に設けられている。出力端子170は、端子T11,T12を含む。モータ30が駆動される場合、端子T11,T12の間の電圧がモータ30の駆動電圧としてモータ30に印加される。
【0046】
ECU200とモータ駆動装置が別個に設けられるケースでは、モータ駆動装置は、ECU200の電源とは異なる専用電源を要することがある。その結果、この専用電源とモータ駆動装置とを接続する電力線(例えば、ワイヤーハーネス)が必要とされる。この電力線の追加は、モータ駆動装置の部品数の増大を招く。加えて、上記のケースでは、モータ駆動装置は、モータ30の停止が指示された場合に、モータ30の停止中に待機するために専用電源から待機電力を受けることを要する可能性がある。この待機電力は、余分な電力消費を招く。
【0047】
本実施の形態に従うモータ駆動装置100は、このような問題に対処するための構成を有する。具体的には、モータ駆動装置100の駆動回路105は、制御信号CSを電源として、制御信号CSに従ってモータ30を駆動する。
【0048】
このような構成とすることにより、ECU200からの制御信号CSが駆動回路105(モータ駆動装置100)の電源として用いられる。これにより、モータ駆動装置100は、その専用電源を要することなくモータ30を駆動することができる。その結果、この専用電源とモータ駆動装置100とを接続する電力線が必要とされない。したがって、モータ駆動装置100の部品数の増大を防ぐことができる。加えて、(例えばユーザにより操作部28を用いて)モータ30の停止が指示される場合には、制御信号CSが生成されないため、駆動回路105は電源としての制御信号CSを受けない。その結果、駆動回路105は、停止する。したがって、駆動回路105は、モータ30の停止中に待機電力を要しない。以上から、モータ駆動装置100の部品数の増大を防ぐとともに余分な電力消費を回避することができる。
【0049】
図3は、ECU200のドライバ215と、モータ駆動装置100のリレー部110、リレー駆動部120および信号変換部131,132との詳細な構成を示す図である。この例では、リミットスイッチ101,102は、それぞれ、限界位置LM1,LM2を検出すると開くように構成されている(ノーマルクローズ型)。
【0050】
図3を参照して、ECU200のドライバ215は、接点リレー217,219を含む。接点リレー217は、接点P01~P03を含む。接点リレー219は、接点P04~P06を含む。ECU200は、正電圧もしくは負電圧のいずれを有する制御信号CSを生成するか、またはモータ30を停止する(制御信号CSを生成しない)かに従って接点リレー217,219を適宜切り替える。ドライバ215の電源として電源400が用いられる。
【0051】
モータ駆動装置100のリレー部110は、リアクトルL1,L2と、接点リレー111,112とを含む。接点リレー111は、接点P1~P3を含む。接点リレー111は、リアクトルL1に流れる電流の有無に従って開閉状態を切り替えることによってモータ30の駆動および停止を切り替える。同様に、接点リレー112は、接点P5~P7を含む。接点リレー112は、リアクトルL2に流れる電流の有無に従って開閉状態を切り替えることによってモータ30の駆動および停止を切り替える。接点リレー111,112の各々は、b接点リレーである。具体的には、接点リレー111,112は、それぞれ、リアクトルL1,L2に電流が流れている場合にオフされ、そうでない場合にはオンされる。
【0052】
リレー駆動部120は、モジュール121,122を含む。モジュール121は、リアクトルL1に接続され、ダイオードD1,D3と、抵抗R1とを含む。モジュール122は、リアクトルL2に接続され、ダイオードD2,D4と、抵抗R2とを含む。モジュール121,122の各々は、リレー部110を駆動するために設けられている。
【0053】
信号変換部131は、電力線対PL1,PL2を通じて与えられる制御信号CSの電圧を作動電圧として信号変換を行う。信号変換部131は、トランジスタTR1,TR3と、抵抗R3,R4,R7,R8と、ダイオードD5,D8とを含む。トランジスタTR1,TR3は、それぞれ、PNPトランジスタおよびNPNトランジスタである。
【0054】
信号変換部131は、リミットスイッチ101の検出結果を示す信号を増幅し、増幅された信号をリアクトルL1に供給するように構成された増幅回路として機能する。リミットスイッチ101が作動していない(閉状態にある)場合、トランジスタTR3,TR1はオフ状態にあり、リアクトルL1に電流が流れない。他方、リミットスイッチ101が作動する(開く)場合、トランジスタTR3のベースに電流が流れ、トランジスタTR3がターンオンする。これにより、トランジスタTR1がターンオンし、リアクトルL1に電流が流れる。その結果、接点リレー111がオフされる。
【0055】
信号変換部131は、リアクトルL1とリミットスイッチ101との間に介在する介在回路としても機能する。仮に、信号変換部131およびモジュール121が設けられない場合、リミットスイッチ101は、リアクトルL1に直接接続される。その結果、リミットスイッチ101が開くときにリアクトルL1の起電力に起因してリミットスイッチ101においてアーク放電が起こる可能性がある。このアーク放電は、リミットスイッチ101の損傷を招き得る。他方、実施の形態では、信号変換部131は、上記の介在回路として機能するため、リアクトルL1の起電力のリミットスイッチ101への影響を軽減するバッファとして機能する。これにより、信号変換部131が設けられない場合よりもアーク放電の放電量が低減される。その結果、リミットスイッチ101を保護することができる。
【0056】
リミットスイッチ101の仕様(例えば、その定格電圧および定格電流)は、信号変換部131の信号増幅率を通じてリアクトルL1の仕様に関連付けられる。その結果、この信号増幅率の適切な調整によりリミットスイッチ101の仕様を適宜定めることができる(リミットスイッチ101に流れる電流を適宜調節することができる)。これにより、上記のアーク放電の影響をさらに軽減するためにリミットスイッチ101を大型化する必要がない。その結果、リミットスイッチ101の仕様の選択の余地を増やすことができる(例えば、リミットスイッチ101を小型化することができる)。なお、信号増幅率は、トランジスタTR1,TR3、抵抗R3,R4,R7,R8、およびダイオードD5,D8の仕様に依存して調整される。
【0057】
信号変換部132は、信号変換部131と同様に、電力線対PL1,PL2を通じて与えられる制御信号CSの電圧を作動電圧として信号変換を行う。信号変換部132は、トランジスタTR2,TR4と、抵抗R5,R6,R9,R10と、ダイオードD6,D7とを含む。トランジスタTR2,TR4は、それぞれ、PNPトランジスタおよびNPNトランジスタである。
【0058】
信号変換部132は、リミットスイッチ102の検出結果を示す信号を増幅し、増幅された信号をリアクトルL2に供給するように構成された増幅回路として機能する。信号変換部132は、リアクトルL2とリミットスイッチ102との間に介在する介在回路としても機能する。
【0059】
信号変換部132は、信号変換部131がリミットスイッチ101をその開放時にアーク放電から保護するように機能するのと同様に、リミットスイッチ102をその開放時にアーク放電から保護するように機能する。信号変換部132は、信号変換部131がリミットスイッチ101の仕様の選択の余地を増やすことができるのと同様に、リミットスイッチ102の仕様の選択の余地を増やすことができる。
【0060】
図4は、正電圧を有する制御信号CSをECU200が生成する場合のモータ駆動装置100における電流の流れを説明する図である。この例では、シートバック15の位置が限界位置LM1または限界位置LM2を超えていないため、リミットスイッチ101,102は閉じている。
【0061】
図4を参照して、ECU200は、接点P01,P02が接続されるとともに接点P04,P06が接続されるように接点リレー217,219を制御する。これにより、端子T1の電位が端子T2の電位よりも高くなる。
【0062】
電源400から接点リレー217および端子T1を通じてモータ駆動装置100に供給される電流(太矢印)は、リレー部110に流れる第1電流(二点鎖線矢印)と、第1電流とは異なる第2電流(破線矢印)とに分けられる。この例では、第1電流は、端子T2に流入する前に接点リレー111を通じてモータ30に流れる。その結果、モータ30が駆動され、シートバック15が前方向Fに作動する。第2電流は、リミットスイッチ101を通じて端子T2に流入する。
【0063】
図5は、負電圧を有する制御信号CSをECU200が生成する場合のモータ駆動装置100における電流の流れを説明する図である。この例では、シートバック15の位置が限界位置LM1または限界位置LM2を超えていないため、リミットスイッチ101,102は閉じている。
【0064】
図5を参照して、ECU200は、接点P01,P03が接続されるとともに接点P04,P05が接続されるように接点リレー217,219を制御する。これにより、端子T2の電位が端子T1の電位よりも高くなる。
【0065】
電源400から端子T2を通じてモータ駆動装置100に供給される電流(太矢印)は、第1電流(二点鎖線矢印)と、第2電流(破線矢印)とに分けられる。この例では、第1電流は、端子T1に流入する前に接点リレー112を通じてモータ30に流れる。その結果、モータ30が駆動され、シートバック15が後方向Rに作動する。第2電流は、リミットスイッチ102を通じて端子T1に流入する。
【0066】
図6は、リミットスイッチ101が限界位置LM1を検出した場合のモータ駆動装置100における電流の流れを説明する図である。この例では、正電圧を有する制御信号CSが生成されている。
【0067】
図6を参照して、リミットスイッチ101が限界位置LM1の検出に起因して開くと、第2電流は、リミットスイッチ101に流れることなくトランジスタTR3のベースに流れる。これにより、トランジスタTR3がターンオンする。その結果、トランジスタTR1がターンオンし、第1電流がリレー部110のリアクトルL1に流れる。これにより、接点P1,P3が接続される(接点リレー111がオンからオフに切り替わる)。その結果、モータ30への電流供給が停止する。よって、モータ30が停止し、シートバック15の作動が停止する。第2電流は、信号変換部131に流れた後、信号変換部132を通じて端子T2に流入する。
【0068】
この例では、第2電流は、リミットスイッチ101の検出結果を示す信号である。この信号は、信号変換部131により増幅された後、第1電流の信号としてリアクトルL1に供給される。
【0069】
上記において、シートバック15の作動中にリミットスイッチ101が限界位置LM1を検出する場合に、モータ30が停止するようにモータ駆動装置100において電流が流れる。他方、シートバック15の作動中にリミットスイッチ102が限界位置LM2を検出する場合においても、モータ30が停止するようにモータ駆動装置100において電流が流れる(図示せず)。
【0070】
このように、モータ駆動装置100は、リミットスイッチ101,102の検出結果に従ってモータ30の駆動/停止を切り替えることができる。そのため、ECU200は、これらの検出結果を判定するための機能(具体的には、その機能を行うための専用の回路またはモジュールなどの構成要素)を有していなくてもよい。すなわち、ECU200として、そのような機能を有する専用の制御装置ではなく汎用の制御装置を用いることができる。
【0071】
図7は、操作部28を用いたユーザ操作によりECU200を通じてモータ30の停止が指示される場合のモータ駆動装置100の様子を示す図である。この例では、リミットスイッチ101により限界位置LM1が検出された状態でモータ30の停止が指示されるが、限界位置LM1が検出されていない状態でモータ30の停止がユーザにより指示されてもよい。
【0072】
図7を参照して、ECU200は、接点P01,P03が接続されるとともに接点P04,P06が接続されるように接点リレー217,219を制御する。これにより、端子T1の電位と端子T2の電位とのいずれもがグランドの電位に等しくなる。その結果、これらの電位の差が零になるため、制御信号CSはもはや生成されない(ドライバ215と電源400との電気的な接続が遮断される)。したがって、モータ30が停止する。
【0073】
この例では、接点リレー111,112の各々は、モータ30の両端が短絡した状態でモータ30が停止するように開閉状態を取っている。このように、モータ30の停止が指示される場合にはモータ30の両端が短絡される。これにより、意図しない外力がモータ30の停止中にシート1(より詳細には、シートバック15)にかかるためにモータ30に回転力がかかりモータ30が動かされそうになる場合であってもモータ30の回生ブレーキが作用する。その結果、シート1の意図しない移動を防止することができる。
【0074】
以上のように、本実施の形態に従うモータ駆動装置100の駆動回路105は、リミットスイッチ101(102)により限界位置LM1(LM2)が検出された場合にモータ30を停止する。他方、駆動回路105は、リミットスイッチ101(102)により限界位置LM1(LM2)が検出されていない場合には、制御信号CSを電源としてモータ30を駆動するように構成されている。これにより、モータ駆動装置100の部品数の増大を防ぐとともに余分な電力消費を回避することができる。
【0075】
[変形例1]
図8は、この変形例1に従うモータ駆動装置の詳細な構成を示す図である。図8を参照して、モータ駆動装置100Aは、機器103に代えて機器103Aを備える点において、前述の実施の形態に従うモータ駆動装置100(図2図7)とは異なる。
【0076】
機器103Aは、リレー部110Aと、モジュール121A,122Aと、信号変換部131A,132Aと、ブリッジ回路180とを含む。
【0077】
リレー部110Aは、リアクトルL11,L12と、接点リレー111A,112Aとを含む。接点リレー111Aは、リアクトルL11に流れる電流の有無に従って開閉状態を切り替えることによってモータ30の駆動および停止を切り替える。同様に、接点リレー112Aは、リアクトルL12に流れる電流の有無に従って開閉状態を切り替えることによってモータ30の駆動および停止を切り替える。接点リレー111A,112Aの各々は、a接点リレーである。具体的には、接点リレー111A,112Aは、それぞれ、リアクトルL11,L12に電流が流れている場合にオンされ、そうでない場合にはオフされる。
【0078】
モジュール121Aは、ダイオードD11,D13を含む。モジュール122Aは、ダイオードD12,D14を含む。モジュール121A,122Aの機能は、それぞれ、モジュール121,122(図3図7)の機能と基本的には同様である。
【0079】
信号変換部131Aは、トランジスタTR11,TR13と、抵抗R12~R15と、ダイオードD13,D15,D17とを含む。信号変換部132Aは、トランジスタTR12,TR14と、抵抗R16~R20と、ダイオードD16,D18とを含む。信号変換部131A,132Aの機能は、それぞれ、信号変換部131,132(図3図7)の機能と基本的には同様である。
【0080】
ブリッジ回路180は、ダイオードD21~D24と、抵抗R11と、キャパシタC1とを含む。ブリッジ回路180は、端子T1,T2間の電位差(制御信号CSの電圧)が正または負のいずれであってもモータ駆動装置100Aによるモータ30の駆動を可能にするために設けられている。
【0081】
図9は、正電圧を有する制御信号CSをECU200が生成する場合のモータ駆動装置100Aにおける電流の流れを説明する図である。シートバック15の位置が限界位置LM1または限界位置LM2を超えていないため、リミットスイッチ101,102は閉じている(作動していない)。
【0082】
この例では、リレー部110Aの接点リレー111Aに流れる電流(二点鎖線矢印)を第1電流と表す。リレー部110AのリアクトルL11に流れる電流(破線矢印)を第2電流(破線矢印)と表す。信号変換部131Aに流れる電流(太い一点鎖線矢印)を第3電流と表す。
【0083】
図9を参照して、この例では、リミットスイッチ101が閉じているため、第3電流(太い一点鎖線矢印)がトランジスタTR11のベースに流れており、トランジスタTR11がオンしている。これにより、第2電流(破線矢印)がリレー部110AのリアクトルL11に流れている。その結果、接点P11,P13が接続され、接点リレー111Aがオンしている。同様に、トランジスタTR12がオンしており、リレー部110AのリアクトルL12に電流が流れている(図示せず)。これにより、接点P15,P17が接続され、接点リレー112Aがオンしている。その結果、第1電流(二点鎖線矢印)がブリッジ回路180のキャパシタC1およびダイオードD22ならびにリレー部110の接点リレー111Aを通じてモータ30に供給されて、モータ30が駆動される。
【0084】
リミットスイッチ101が限界位置LM1を検出すると、接点リレー111Aは、オンからオフに切り替える。具体的には、接点P11に接続される接点が接点P13から接点P12に切り替わる。その結果、モータ30への電流供給が遮断されて、モータ30が停止する。
【0085】
同様に、リミットスイッチ102が限界位置LM2を検出すると、接点リレー112Aは、オンからオフに切り替える。具体的には、接点P15に接続される接点が接点P17から接点P16に切り替わる。その結果、モータ30への電流供給が遮断されて、モータ30が停止する。
【0086】
リミットスイッチ101(102)による限界位置LM1(LM2)の検出に起因してモータ30が停止されると、制御信号CSのモータ駆動装置への供給が停止されることがある。その後、モータ30の駆動を指示するために制御信号CSがモータ駆動装置へ再び供給され始める時、モータ駆動装置の構成によっては制御信号CSの電流がリレー部のリアクトルにその誘導起電力に起因して直ちには供給されないことがある。この電流は、リアクトルに供給され始める前にモータ30に一時的に供給されることがある。その結果、リミットスイッチ101(102)が限界位置LM1(LM2)を検出しているにも拘らずモータ30が作動し、シート1が一時的に限界位置LM1(LM2)を超えて動く可能性がある。よって、上記のようなモータ30への電流供給は、意図されておらず、好ましくない。
【0087】
図10は、リミットスイッチ101が限界位置LM1を検出する場合のモータ駆動装置100Aの様子を示す図である。説明を容易にするために、モータ駆動装置100Aにおける電流の流れは示されていない。
【0088】
図10を参照して、リミットスイッチ101が限界位置LM1を検出すると開くため、トランジスタTR11がターンオフし、もはやリアクトルL11に電流が流れない。その結果、接点リレー111Aは、モータ30がECU200から電気的に切り離された状態で停止するように開閉状態を切り替える(オフされる)。
【0089】
同様に、リミットスイッチ102が限界位置LM2を検出するケースでは、トランジスタTR12がターンオフし、もはやリアクトルL12に電流が流れない。その結果、接点リレー112Aは、モータ30がECU200から電気的に切り離された状態で停止するように開閉状態を切り替える(オフされる)。
【0090】
この変形例では、リミットスイッチ101(102)が限界位置LM1(LM2)を検出するとモータ30がECU200(制御信号CS)から電気的に切り離される。その結果、制御信号CSのモータ駆動装置100Aへの供給が停止された後に制御信号CSがモータ駆動装置100Aに再び供給され始める時に、前述のようなモータ30への意図しない電流供給を防ぐことができる。その結果、シート1が一時的に限界位置LM1(LM2)を超えて動くことを防止することができる。
【0091】
[変形例2]
図11は、この変形例2に従うモータ制御システムの構成を示す図である。図11を参照して、モータ制御システム50Aは、ECU200および電源400が省かれている点においてモータ制御システム50(図2)とは異なる。
【0092】
制御信号CS1は、制御信号CSと同様に、モータ30の回転方向を制御するための信号であって、操作部28により生成される。具体的には、制御信号CS1は、シートバック15の作動が操作部28を用いてユーザにより指示されたか否かと、この作動が指示される場合にはその作動方向が前方向Fまたは後方向Rのいずれであるかとを示す。モータ駆動装置100(駆動回路105)は、制御信号CS1を電源として、制御信号CS1に従ってモータ30を駆動するように構成されている。
【0093】
このように、モータ駆動装置100は、操作部28に直接接続されてもよい。これにより、モータ制御システム50Aの構成をモータ制御システム50の構成よりも簡素化することができる。この変形例では、操作部28は、本開示の「信号生成装置」の一例である。
【0094】
[その他の変形例]
操作部28、ECU200およびモータ駆動装置100(100A)は、シート1(図1)の本体部分をX軸方向もしくはY軸方向に移動、またはZ軸方向に上昇もしくは下降させるためのモータを駆動するために用いられてもよい。この場合、シート1の移動限界位置は、例えば、X軸方向、Y軸方向もしくはZ軸方向(図1)におけるシートクッション10の移動限界位置である。
【0095】
操作部28、ECU200およびモータ駆動装置100(100A)は、オットマン5を作動させるためのモータを駆動するために用いられてもよい。この場合、シート1の移動限界位置は、方向DR1または方向DR2におけるオットマン5の移動限界位置(作動限界位置)である。あるいは、操作部28、ECU200およびモータ駆動装置100(100A)は、ヘッドレスト20を移動させるためのモータを駆動するために用いられてもよい。
【0096】
信号変換部131,132(図3図7)の各々の論理構成は、反転されてもよい。この場合、リミットスイッチ101,102として、ノーマルオープン型のリミットスイッチが用いられる。同様に、信号変換部131A,132A(図8図10)の各々の論理構成が反転される場合、ノーマルオープン型のリミットスイッチが用いられる。
【0097】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
1 シート、28 操作部、30 モータ、50,50A モータ制御システム、100,100A モータ駆動装置、101,102 リミットスイッチ、103,103A 機器、105 駆動回路、110,110A リレー部、111,111A,112,112A,217,219 接点リレー、120 リレー駆動部、130 信号変換回路、131,131A,132,132A 信号変換部、400 電源、CS,CS1 制御信号、L1,L2,L11,L12 リアクトル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11