(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008106
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240112BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109676
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000206967
【氏名又は名称】大塚電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】三好 正彦
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058ED35
2G058GB06
(57)【要約】
【課題】検査装置に関する撮像画像を用いて検査に有用な機能を実現する。
【解決手段】検査装置は、検体を収容するチップの撮像画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得された前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記検体の前記チップへの吸引状態に関する判定結果を取得する判定結果取得部と、前記判定結果取得部により取得された前記判定結果に基づく出力処理を行う出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容するチップの撮像画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記検体の前記チップへの吸引状態に関する判定結果を取得する判定結果取得部と、
前記判定結果取得部により取得された前記判定結果に基づく出力処理を行う出力部とを備える、検査装置。
【請求項2】
前記判定結果取得部は、前記検体への気泡の混入の有無を示す前記判定結果を取得する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記判定結果取得部は、前記チップへの液玉の付着の有無を示す前記判定結果を取得する、請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査装置は、さらに、
前記チップ内の圧力を計測する圧力センサを備え、
前記出力部は、前記圧力センサの計測結果にさらに基づく前記出力処理を行う、請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記出力処理として、前記判定結果を、前記検体を用いた検査の結果とともに出力する、請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記判定結果と、前記検体を用いた検査の結果とを、1つの画面に表示する前記出力処理を行う、請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
検査に用いる試薬の包装物の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記包装物に付された文字の認識結果を取得する認識結果取得部と、
前記認識結果取得部により取得された前記認識結果に基づいて、前記試薬を用いた検査項目を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づく出力処理を行う出力部とを備える、検査装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記出力処理として、前記判定結果に基づく情報を、前記試薬を用いた検査の結果とともに出力する、請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記判定結果に基づく情報と、前記試薬を用いた検査の結果とを、1つの画面に表示する前記出力処理を行う、請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記試薬の包装物には、前記試薬を用いた検査項目を識別するためのバーコードが付されており、
前記検査装置は、さらに、
前記バーコードを読み取るバーコードリーダを備え、
前記出力部は、前記バーコードリーダの読み取り結果にさらに基づく前記出力処理を行う、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項11】
検査装置であって、
前記検査装置において用いられるノズル、の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記ノズルへの汚れの付着状態に関する判定結果を取得する判定結果取得部と、
前記判定結果取得部により取得された前記判定結果に基づく出力処理を行う出力部とを備える、検査装置。
【請求項12】
前記出力部は、前記出力処理として、前記ノズルの保守の必要性を出力する、請求項11に記載の検査装置。
【請求項13】
検査装置における検査方法であって、
検体を収容するチップの撮像画像を取得するステップと、
取得した前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記検体の前記チップへの吸引状態に関する判定結果を取得するステップと、
取得した前記判定結果に基づく出力処理を行うステップとを含む、検査方法。
【請求項14】
検査装置における検査方法であって、
検査に用いる試薬の包装物の撮像画像を取得するステップと、
取得した前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記包装物に付された文字の認識結果を取得するステップと、
取得した前記認識結果に基づいて、前記試薬を用いた検査項目を判定するステップと、
前記検査項目の判定結果に基づく出力処理を行うステップとを含む、検査方法。
【請求項15】
検査装置における検査方法であって、
前記検査装置において用いられるノズル、の撮像画像を取得するステップと、
取得した前記撮像画像を学習モデルから出力される、前記ノズルへの汚れの付着状態に関する判定結果を取得するステップと、
取得した前記判定結果に基づく出力処理を行うステップとを含む、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査装置を用いて、検体に関する正確な検査を行うための技術が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2020-139915号公報)には、以下のような分析装置が開示されている。すなわち、分析装置は、検体が収容された検体容器の撮影画像を取得する画像取得部と、検体が収容された検体容器の撮影画像を受け付けて、前記検体または前記検体容器の状態に関する予測を出力する学習モデルに、前記画像取得部が取得した撮影画像を入力する入力部と、入力された撮影画像に基づいて前記学習モデルから出力された予測を出力する出力部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-139915号公報
【特許文献2】国際公開公報第2009/041683号
【特許文献3】特開2004-167158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1から3に記載の技術とは異なる、検査装置に関する撮像画像を用いて検査に有用な機能を実現することが可能な技術が望まれる。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、検査装置に関する撮像画像を用いて検査に有用な機能を実現することが可能な検査装置および検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる検査装置は、検体を収容するチップの撮像画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得された前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記検体の前記チップへの吸引状態に関する判定結果を取得する判定結果取得部と、前記判定結果取得部により取得された前記判定結果に基づく出力処理を行う出力部とを備える。
【0008】
このように、チップの撮像画像を学習モデルに入力し、学習モデルから出力される吸引状態に関する判定結果を取得し、判定結果に基づく出力処理を行う構成により、検体のチップへの吸引状態に関する正確な判定結果を検査装置のユーザに通知することができるので、検体の分注が正常に行われたか否かをユーザに認識させることができる。したがって、検査装置に関する撮像画像を用いて検査に有用な機能を実現することができる。
【0009】
(2)上記(1)において、前記判定結果取得部は、前記検体への気泡の混入の有無を示す前記判定結果を取得してもよい。
【0010】
このような構成により、検体を分注する際に検体に気泡が混入した場合において、正確な量の検体が分注されなかったことをユーザに認識させることができる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)において、前記判定結果取得部は、前記チップへの液玉の付着の有無を示す前記判定結果を取得してもよい。
【0012】
このような構成により、検体を分注する際にチップに液玉が付着した場合において、正確な量の検体が分注されなかったことをユーザに認識させることができる。
【0013】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記検査装置は、さらに、前記チップ内の圧力を計測する圧力センサを備えてもよく、前記出力部は、前記圧力センサの計測結果にさらに基づく前記出力処理を行ってもよい。
【0014】
このような構成により、検体の分注工程における、圧力センサの計測結果に基づく異常の検知結果をユーザに通知することができる。
【0015】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記出力部は、前記出力処理として、前記判定結果を、前記検体を用いた検査の結果とともに出力してもよい。
【0016】
このような構成により、検査結果と、当該検査結果の信頼性とをユーザに認識させることができる。
【0017】
(6)上記(5)において、前記出力部は、前記判定結果と、前記検体を用いた検査の結果とを、1つの画面に表示する前記出力処理を行ってもよい。
【0018】
このような構成により、検査結果の信頼性の確認に関するユーザの利便性を向上することができる。
【0019】
(7)また、上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる検査装置は、検査に用いる試薬の包装物の撮像画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得された前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記包装物に付された文字の認識結果を取得する認識結果取得部と、前記認識結果取得部により取得された前記認識結果に基づいて、前記試薬を用いた検査項目を判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づく出力処理を行う出力部とを備える。
【0020】
このように、試薬の包装物の撮像画像を学習モデルに入力し、学習モデルから出力される認識結果に基づいて、試薬を用いた検査項目を判定し、判定結果に基づく出力処理を行う構成により、たとえば検査装置にセットされた試薬を用いた検査項目を検査装置のユーザに通知することができるので、ユーザにおいて、目的の試薬が使用されているか否かを確認することができる。また、学習モデルによる文字の認識結果を用いることにより、OCR(Optical Character Recognition)を用いる構成と比べて、包装物に印字されている文字の滲みおよび撮像画像における文字の向きに関わらず検査項目を正確に判定することができる。また、学習モデルによる文字の認識結果を用いることにより、試薬名および検査項目名に対する汎用性が高いので、検査において新規な試薬および新規な検査項目が用いられる場合であっても、検査項目を正確に判定することができる。したがって、検査装置に関する撮像画像を用いて検査に有用な機能を実現することができる。
【0021】
(8)上記(7)において、前記出力部は、前記出力処理として、前記判定結果に基づく情報を、前記試薬を用いた検査の結果とともに出力してもよい。
【0022】
このような構成により、検査結果と、当該検査結果の信頼性とをユーザに認識させることができる。
【0023】
(9)上記(8)において、前記出力部は、前記判定結果に基づく情報と、前記試薬を用いた検査の結果とを、1つの画面に表示する前記出力処理を行ってもよい。
【0024】
このような構成により、検査結果の信頼性の確認に関するユーザの利便性を向上することができる。
【0025】
(10)上記(7)から(9)のいずれかにおいて、前記試薬の包装物には、前記試薬を用いた検査項目を識別するためのバーコードが付されていてもよく、前記検査装置は、さらに、前記バーコードを読み取るバーコードリーダを備えてもよく、前記出力部は、前記バーコードリーダの読み取り結果にさらに基づく前記出力処理を行ってもよい。
【0026】
このような構成により、たとえば、包装物に付されたバーコードにより認識される検査項目をユーザに通知することができる。
【0027】
(11)また、上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる検査装置は、前記検査装置において用いられるノズル、の撮像画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得された前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記ノズルへの汚れの付着状態に関する判定結果を取得する判定結果取得部と、前記判定結果取得部により取得された前記判定結果に基づく出力処理を行う出力部とを備える。
【0028】
このように、ノズルの撮像画像を学習モデルに入力し、学習モデルから出力される付着状態に関する判定結果を取得し、判定結果に基づく出力処理を行う構成により、ノズルへの汚れの付着状態に関する正確な判定結果を検査装置のユーザに通知することができるので、ノズルへの汚れの付着状態に応じてノズルの保守作業を行うことにより、ノズルの目詰まりおよびコンタミネーションに起因する誤った検査結果が生成されることを防止することができる。したがって、検査装置に関する撮像画像を用いて検査に有用な機能を実現することができる。
【0029】
(12)上記(11)において、前記出力部は、前記出力処理として、前記ノズルの保守の必要性を出力してもよい。
【0030】
このような構成により、ノズルの保守作業が必要なタイミングにおいて、ノズルの保守作業をユーザに促すことができる。
【0031】
(13)また、上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる検査方法は、検査装置における検査方法であって、検体を収容するチップの撮像画像を取得するステップと、取得した前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記検体の前記チップへの吸引状態に関する判定結果を取得するステップと、取得した前記判定結果に基づく出力処理を行うステップとを含む。
【0032】
このように、チップの撮像画像を学習モデルに入力し、学習モデルから出力される吸引状態に関する判定結果を取得し、判定結果に基づく出力処理を行う方法により、検体のチップへの吸引状態に関する正確な判定結果を検査装置のユーザに通知することができるので、検体の分注が正常に行われたか否かをユーザに認識させることができる。したがって、検査装置に関する撮像画像を用いて検査に有用な機能を実現することができる。
【0033】
(14)また、上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる検査方法は、検査装置における検査方法であって、検査に用いる試薬の包装物の撮像画像を取得するステップと、取得した前記撮像画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから出力される、前記包装物に付された文字の認識結果を取得するステップと、取得した前記認識結果に基づいて、前記試薬を用いた検査項目を判定するステップと、前記検査項目の判定結果に基づく出力処理を行うステップとを含む。
【0034】
このように、試薬の包装物の撮像画像を学習モデルに入力し、学習モデルから出力される認識結果に基づいて、試薬を用いた検査項目を判定し、判定結果に基づく出力処理を行う方法により、たとえば検査装置にセットされた試薬を用いた検査項目を検査装置のユーザに通知することができるので、ユーザにおいて、目的の試薬が使用されているか否かを確認することができる。また、学習モデルによる文字の認識結果を用いることにより、OCRを用いる方法と比べて、包装物に印字されている文字の滲みおよび撮像画像における文字の向きに関わらず検査項目を正確に判定することができる。また、学習モデルによる文字の認識結果を用いることにより、試薬名および検査項目名に対する汎用性が高いので、検査において新規な試薬および新規な検査項目が用いられる場合であっても、検査項目を正確に判定することができる。したがって、検査装置に関する撮像画像を用いて検査に有用な機能を実現することができる。
【0035】
(15)また、上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる検査方法は、検査装置における検査方法であって、前記検査装置において用いられるノズル、の撮像画像を取得するステップと、取得した前記撮像画像を学習モデルから出力される、前記ノズルへの汚れの付着状態に関する判定結果を取得するステップと、取得した前記判定結果に基づく出力処理を行うステップとを含む。
【0036】
このように、ノズルの撮像画像を学習モデルに入力し、学習モデルから出力される付着状態に関する判定結果を取得し、判定結果に基づく出力処理を行う方法により、ノズルへの汚れの付着状態に関する正確な判定結果を検査装置のユーザに通知することができるので、ノズルへの汚れの付着状態に応じてノズルの保守作業を行うことにより、ノズルの目詰まりおよびコンタミネーションに起因する誤った検査結果が生成されることを防止することができる。したがって、検査装置に関する撮像画像を用いて検査に有用な機能を実現することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、検体の検査に関する優れた機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る検査システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の検体分注部における分注工程を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置における情報処理部の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の情報処理部における学習モデルの作成に用いられる撮像画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の情報処理部における学習モデルの作成に用いられる撮像画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の情報処理部における学習モデルの作成に用いられる撮像画像の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の情報処理部における学習モデルの作成に用いられる撮像画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置における情報処理部による表示例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置における情報処理部による出力例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置が検体の検査を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る検査システムの構成を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置において用いられる試薬充填容器を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置におけるカメラにより生成される撮像画像の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置における情報処理部の構成を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置における情報処理部による表示例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置における情報処理部による出力例を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置が検体の検査を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図18】
図18は、本発明の第3の実施の形態に係る検査システムの構成を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置における情報処理部の構成を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置の情報処理部における学習モデルの作成に用いられる撮像画像の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置の情報処理部における学習モデルの作成に用いられる撮像画像の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置における情報処理部による表示例を示す図である。
【
図23】
図23は、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置が洗浄ノズルの点検を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図24】
図24は、本発明の第4の実施の形態に係る検査システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0040】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る検査システムの構成を示す図である。
図1を参照して、検査システム301は、検査装置101と、表示装置201とを備える。検査装置101は、医療機器であってもよいし、教育および研究等に用いられる理化学機器であってもよい。検査装置101は、検体に関する検査を行い、検査結果を表示装置201に表示する処理を行う。
【0041】
検査装置101は、情報処理部10と、カメラ部51と、試薬供給部60と、検体分注部70と、洗浄部80と、検査処理部90と、記憶部91とを備える。カメラ部51は、カメラを含む。検査処理部90の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部91は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0042】
検査装置101のユーザは、検体IDおよび検査項目を示す検体情報を検査装置101に登録する。また、検査装置101のユーザは、検査項目に対応する試薬が充填された1または複数の試薬充填容器111を試薬供給部60における図示しない試薬配置部にセットする。試薬は、液体であってもよいし、固体であってもよい。また、検査装置101のユーザは、検査対象の検体が収容された1または複数の検体容器121を検体分注部70における図示しない検体配置部にセットする。たとえば、検体は、血液、唾液および髄液等の液体である。検査装置101のユーザは、試薬充填容器111および検体容器121をセットすると、検査装置101に対して、検査を開始するための操作を行う。
【0043】
検査処理部90は、ユーザによる検体情報の登録操作を受け付けて、当該検体情報を記憶部91に保存する。また、検査処理部90は、検査を開始するためのユーザ操作を受け付けて、所定の検査スケジュールに従い、検査装置101における各ユニットを制御する。具体的には、検査処理部90は、まず、試薬供給指示を試薬供給部60へ出力する。
【0044】
試薬供給部60は、検査処理部90から試薬供給指示を受けて、1回の検査に用いる試薬充填容器111を試薬配置部から取り出す。試薬供給部60により取り出された試薬充填容器111は、たとえば図示しないベルトコンベアにより検体分注部70へ搬送される。
【0045】
検査処理部90は、試薬供給部60により取り出された試薬充填容器111が検体分注部70へ搬送されると、分注開始指示を検体分注部70へ出力する。
【0046】
検体分注部70は、検査処理部90から分注開始指示を受けて、1回の検査に用いる検体容器121を検体配置部から取り出す。検体分注部70は、ベルトコンベアにより試薬供給部60から搬送された試薬充填容器111を受けて、取り出した検体容器121における検体を当該試薬充填容器111に分注する分注工程を行う。検体分注部70により検体が分注された試薬充填容器111は、たとえば図示しないベルトコンベアにより検査処理部90へ搬送される。
【0047】
検査処理部90は、ベルトコンベアにより検体分注部70から搬送された試薬充填容器111を受けて、受けた試薬充填容器111内の検体と試薬との反応の結果に応じた検査結果を生成する。また、検査処理部90は、検体と試薬との反応工程において定期的または不定期に、洗浄指示を洗浄部80へ出力する。
【0048】
洗浄部80は、洗浄ノズル81を含む。洗浄部80は、検査処理部90から洗浄指示を受けて、洗浄ノズル81から洗浄液を吐出し、試薬充填容器111内の洗浄を行う。
【0049】
(課題)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の検体分注部における分注工程を示す図である。
図2を参照して、検体分注部70は、吸気ヘッド71と、チップ72と、圧力センサ73とを含む。チップ72は、吸気ヘッド71の先端に取り付けられる。チップ72は、ディスポーザブルであり、分注工程が行われるたびに交換される。吸気ヘッド71は、チップ72内の空気を吸気する。圧力センサ73は、チップ72内の圧力を計測する。
【0050】
検体分注部70は、分注工程において、所定量たとえば20μリットルの検体を分注する。より詳細には、検体分注部70は、吸気ヘッド71およびチップ72を用いて、検体容器121から20μリットルの検体を吸引し、試薬充填容器111内に吐出する。
【0051】
ここで、分注工程において、検体の分注が正常に行われない場合がある。具体的には、たとえば、吸気ヘッド71にチップ72が取り付けられておらず、検体の分注ができない場合がある。また、たとえば、チップ72内に吸引された検体に気泡が混入した場合、チップ72内の検体は20μリットル未満となり、試薬充填容器111内に吐出される検体は20μリットル未満となる。また、たとえば、一部の検体がチップ72からはみ出して液玉となり、当該液玉が試薬充填容器111の外部に落下した場合、試薬充填容器111内に吐出される検体は20μリットル未満となる。
【0052】
分注工程において正確な量の検体を分注することができなかった場合、検査処理部90おいて正確な検査結果が得られない場合がある。その結果、検査装置101のユーザにより、誤った検査結果に基づく誤った判断がなされてしまう場合がある。
【0053】
たとえば、圧力センサ73の計測結果に基づいて、吸気ヘッド71にチップ72が取り付けられていない等の異常を検知することができる場合がある。しかしながら、圧力センサ73の計測結果に基づいて、チップ72内に吸引された検体に気泡が混入しているか否か、およびチップ72に液玉が付着しているか否かを判断することは困難である。
【0054】
特許文献1に記載の技術では、検体容器の撮影画像を学習モデルに入力するものであり、検体の分注が正常に行われたか否かを判定することはできないので、適量の検体を分注できなかった場合、誤った検査結果に基づいて誤診断が行われる場合がある。
【0055】
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置101は、以下のような構成により、上記の課題を解決する。
【0056】
(圧力センサ)
圧力センサ73は、分注工程において、吸気ヘッド71により吸気が行われた状態におけるチップ72内の圧力を計測する。より詳細には、検査処理部90は、検体分注部70における吸気ヘッド71により吸気が行われた状態において、計測指示を圧力センサ73へ出力する。圧力センサ73は、検査処理部90から計測指示を受けて、チップ72内の圧力の計測値Vaを示す計測情報を情報処理部10へ出力する。
【0057】
(検査処理部)
検査処理部90は、試薬充填容器111内の検体と試薬との反応の結果に応じた検査結果を生成し、生成した検査結果および検体情報を情報処理部10へ出力する。
【0058】
(カメラ部)
再び
図1を参照して、カメラ部51は、分注工程において、吸気ヘッド71により吸気が行われた状態においてチップ72を撮影することにより、チップ72の撮像画像P1を生成する。より詳細には、検査処理部90は、検体分注部70における吸気ヘッド71により吸気が行われた状態において、撮影指示をカメラ部51へ出力する。カメラ部51は、検査処理部90から撮影指示を受けて、チップ72を撮影することにより撮像画像P1を生成し、生成した撮像画像P1を示す画像情報を情報処理部10へ出力する。
【0059】
(情報処理部)
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置における情報処理部の構成を示す図である。
図3を参照して、情報処理部10は、画像取得部11と、計測結果取得部12と、検査結果取得部13と、判定結果取得部14と、出力部15と、記憶部16とを備える。画像取得部11、計測結果取得部12、検査結果取得部13、判定結果取得部14および出力部15の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部16は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0060】
(学習モデルM1)
記憶部16は、学習モデルM1を記憶している。
【0061】
図4から
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の情報処理部における学習モデルの作成に用いられる撮像画像の一例を示す図である。
図4は、検体が正常にチップ72に吸引された状態である正常吸引状態Saを示す撮像画像P1aを示している。
図5は、チップ72内の検体に気泡が混入している状態である泡混入状態Sbを示す撮像画像P1bを示している。
図6は、チップ72に液玉が付着している状態である液玉付着状態Scを示す撮像画像P1cを示している。
図7は、チップ72内の検体に異物が混入している状態である異物混入状態Sdを示す撮像画像P1dを示している。
【0062】
学習モデルM1は、ニューラルネットワークに対して、正常吸引状態Saを示す撮像画像P1a、泡混入状態Sbを示す撮像画像P1b、液玉付着状態Scを示す撮像画像P1c、および異物混入状態Sdを示す撮像画像P1dを含む複数の撮像画像P1を学習データとして用いて、検体のチップ72への吸引状態Sの分類結果を出力できるように機械学習させることにより作成される。たとえば、学習モデルM1の作成のために用いる学習データとして、チップ72以外の領域の被写体がランダムな内容の撮像画像P1が用いられる。
【0063】
(画像取得部)
再び
図3を参照して、画像取得部11は、検体を収容するチップ72の撮像画像P1を取得する。より詳細には、画像取得部11は、カメラインタフェースであり、カメラ部51から画像情報を受信する。画像取得部11は、受信した画像情報を判定結果取得部14へ出力する。
【0064】
(計測結果取得部)
計測結果取得部12は、圧力センサ73から計測情報を受信し、受信した計測情報を出力部15へ出力する。
【0065】
(検査結果取得部)
検査結果取得部13は、検査処理部90から検査結果および検体情報を受信し、受信した検査結果および検体情報を出力部15へ出力する。
【0066】
(判定結果取得部)
判定結果取得部14は、画像取得部11により取得された撮像画像P1を学習モデルM1に入力し、学習モデルM1から出力される、検体のチップ72への吸引状態Sに関する判定結果R1を取得する。たとえば、判定結果取得部14は、検体への気泡の混入の有無を示す判定結果R1を取得する。また、たとえば、判定結果取得部14は、チップ72への液玉の付着の有無を示す判定結果R1を取得する。また、たとえば、判定結果取得部14は、検体への異物の混入の有無を示す判定結果R1を取得する。
【0067】
より詳細には、判定結果取得部14は、画像取得部11から画像情報を受けて、受けた画像情報が示す撮像画像P1を記憶部16における学習モデルM1に入力する。学習モデルM1は、入力された撮像画像P1が示すチップ72の吸引状態Sを、正常吸引状態Sa、泡混入状態Sb、液玉付着状態Scおよび異物混入状態Sdのうちのいずれかに分類し、分類結果と分類の確度とを示す判定結果R1を出力する。分類の確度は、たとえば百分率を用いて表される。なお、学習モデルM1は、吸引状態Sを、正常吸引状態Sa、泡混入状態Sb、液玉付着状態Scおよび異物混入状態Sd以外の他の状態に分類してもよい。
【0068】
判定結果取得部14は、学習モデルM1の出力である判定結果R1を取得し、取得した判定結果R1を出力部15へ出力する。
【0069】
(出力部)
出力部15は、判定結果取得部14により取得された判定結果R1に基づく出力処理を行う。
【0070】
たとえば、出力部15は、圧力センサ73の計測結果にさらに基づく出力処理を行う。より詳細には、出力部15は、計測結果取得部12から計測情報を受けて、受けた計測情報が示すチップ72内の圧力の計測値Vaと、所定の閾値Th1,Th2とを比較する。ここで、閾値Th1は、閾値Th2よりも大きいものとする。
【0071】
出力部15は、計測値Vaが閾値Th1以上である場合、判定結果R1の内容に関わらず、吸引状態Sは、吸気ヘッド71にチップ72が取り付けられていない取付不良状態Seであると判断する。そして、出力部15は、吸引状態Sは取付不良状態Seである旨を表示装置201に表示する処理を行う。
【0072】
一方、出力部15は、計測値Vaが閾値Th2以上であり、かつ閾値Th1未満である場合、判定結果R1の内容に関わらず、吸引状態Sは、検体がチップ72に正確に吸引されていない吸引不良状態Sfであると判断する。吸引不良状態Sfは、たとえば空吸いに近い状態である。そして、出力部15は、吸引状態Sは吸引不良状態Sfである旨を表示装置201に表示する処理を行う。
【0073】
一方、出力部15は、計測値Vaが閾値Th2未満である場合、判定結果取得部14から受けた判定結果R1の内容を出力する出力処理を行う。
【0074】
より詳細には、出力部15は、受けた判定結果R1が示す分類結果が泡混入状態Sbであり、かつ判定結果R1が示す分類の確度が所定値以上である場合、吸引状態Sは泡混入状態Sbである旨を表示装置201に表示する処理を行う。
【0075】
また、出力部15は、受けた判定結果R1が示す分類結果が液玉付着状態Scであり、かつ判定結果R1が示す分類の確度が所定値以上である場合、吸引状態Sは液玉付着状態Scである旨を表示装置201に表示する処理を行う。
【0076】
また、出力部15は、受けた判定結果R1が示す分類結果が異物混入状態Sdであり、かつ判定結果R1が示す分類の確度が所定値以上である場合、吸引状態Sは異物混入状態Sdである旨を表示装置201に表示する処理を行う。
【0077】
一方、出力部15は、受けた判定結果R1が示す分類結果が正常吸引状態Saである場合、吸引状態Sは正常吸引状態Saである旨を表示装置201に表示する処理を行う。また、出力部15は、受けた判定結果R1が示す分類結果が泡混入状態Sb、液玉付着状態Scまたは異物混入状態Sdであり、かつ判定結果R1が示す分類の確度が所定値未満である場合、吸引状態Sは正常吸引状態Saである旨を表示装置201に表示する処理を行う。
【0078】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置における情報処理部による表示例を示す図である。
【0079】
図8を参照して、出力部15は、出力処理として、判定結果R1を、検体を用いた検査の結果とともに出力する。たとえば、出力部15は、判定結果R1と、検体を用いた検査の結果とを、1つの画面に表示する処理を行う。より詳細には、出力部15は、検査のシーケンス番号と、検体IDと、検査項目と、検査結果と、吸引状態Sを示すリマーク記号との対応関係を示す検査結果テーブルTb1を表示装置201に表示する処理を行う。検査結果は、たとえば測定値および濃度値を含む。
【0080】
一例として、出力部15は、吸引状態Sが正常吸引状態Saである場合、リマーク記号の欄にスペースを表示する、すなわちリマーク記号の欄を空欄とする。また、出力部15は、吸引状態Sが取付不良状態Seである場合、リマーク記号の欄に「01」を表示する。また、出力部15は、吸引状態Sが吸引不良状態Sfである場合、リマーク記号の欄に「02」を表示する。また、出力部15は、吸引状態Sが泡混入状態Sbである場合、リマーク記号の欄に「03」を表示する。また、出力部15は、吸引状態Sが液玉付着状態Scである場合、リマーク記号の欄に「04」を表示する。また、出力部15は、吸引状態Sが異物混入状態Sdである場合、リマーク記号の欄に「05」を表示する。
【0081】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置における情報処理部による出力例を示す図である。
【0082】
図9を参照して、たとえば、出力部15は、検査結果テーブルTb1を表示装置201に表示する処理を行う代わりに、またはこれに加えて、検査のシーケンス番号と、検体IDと、検査項目と、検査結果と、吸引状態Sを示すリマーク記号との対応関係を示す検査結果表Rs1をプリントアウトする。
【0083】
検査結果テーブルTb1および検査結果表Rs1におけるリマーク記号は、検査結果に信頼性が担保できるか否かを示す。検査装置101のユーザは、リマーク記号の欄に「01」、「02」、「03」、「04」または「05」が表示された場合、対応の検査結果の信頼性は低いと認識する。たとえば、検査装置101のユーザは、検査結果の信頼性が低いと認識した場合、当該検査結果に基づく判断を行わず、当該検査結果を破棄する。
【0084】
[動作の流れ]
検査装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等のプロセッサは、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。この装置のプログラムは、外部からインストールすることができる。この装置のプログラムは、記録媒体に格納された状態でまたは通信回線を介して流通する。
【0085】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置が検体の検査を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0086】
図10を参照して、まず、検査装置101は、検査を開始するためのユーザ操作を受け付けて、検体容器121における検体を試薬充填容器111に分注する分注工程を開始する(ステップS11)。
【0087】
次に、検査装置101における情報処理部10は、検体を収容するチップ72の撮像画像P1を取得する。より詳細には、検査処理部90は、検体分注部70における吸気ヘッド71により吸気が行われた状態において、撮影指示をカメラ部51へ出力する。カメラ部51は、検査処理部90から撮影指示を受けて、チップ72を撮影することにより撮像画像P1を生成し、チップ72の撮像画像P1を示す画像情報を情報処理部10へ出力する(ステップS12)。
【0088】
次に、検査装置101における情報処理部10は、チップ72内の圧力の計測値Vaを示す計測情報を取得する。より詳細には、検査処理部90は、検体分注部70における吸気ヘッド71により吸気が行われた状態において、計測指示を圧力センサ73へ出力する。圧力センサ73は、検査処理部90から計測指示を受けて、チップ72内の圧力の計測値Vaを示す計測情報を情報処理部10へ出力する(ステップS13)。
【0089】
次に、検査装置101における情報処理部10は、カメラ部51から受けた画像情報が示す撮像画像P1を学習モデルM1に入力し、学習モデルM1から出力される判定結果R1を取得する(ステップS14)。
【0090】
次に、検査装置101における情報処理部10は、取得した判定結果R1および圧力センサの計測結果に基づく出力処理を行う(ステップS15)。
【0091】
なお、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置101では、出力部15は、圧力センサ73の計測結果にさらに基づく出力処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。出力部15は、圧力センサ73の計測結果を用いることなく出力処理を行う構成であってもよい。
【0092】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0093】
<第2の実施の形態>
[構成および基本動作]
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る検査システム301と比べて、試薬を用いた検査項目の判定を行う検査システム302に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る検査システム301と同様である。
【0094】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る検査システムの構成を示す図である。
図11を参照して、検査システム302は、検査システム301と比べて、検査装置101の代わりに検査装置102を備える。
【0095】
検査装置102は、検査装置101と比べて、情報処理部10の代わりに情報処理部20を備え、カメラ部51の代わりにカメラ部52を備える。カメラ部52は、カメラを含む。
【0096】
(課題)
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置において用いられる試薬充填容器を示す図である。
図12を参照して、試薬充填容器111は、試薬収納箱115に収納された状態でユーザにより試薬供給部60にセットされる。試薬収納箱115には、試薬を用いた検査項目を識別するためのバーコードが付されている。一例として、試薬収納箱115には、試薬名を示すバーコードラベル116が貼り付けられている。
【0097】
試薬充填容器111は、容器本体112と、粘着剤を介して容器本体112に貼り付けられた蓋113とを含む。試薬充填容器111の蓋113の主表面には、当該試薬充填容器111に充填されている試薬を用いて行われる検査の検査項目およびロット番号が印字されている。
【0098】
試薬充填容器111は、試薬供給部60において蓋113が取り外され、試薬収納箱115に収納された状態でたとえば図示しないベルトコンベアにより検体分注部70へ搬送される。
【0099】
ここで、たとえば検査装置102のユーザの人為的なミスにより、検査に用いるべき試薬とは異なる試薬が充填された試薬充填容器111が試薬供給部60にセットされる場合がある。この場合、検査処理部90おいて正確な検査結果が得られない場合がある。その結果、検査装置102のユーザにより、誤った検査結果に基づく誤った判断がなされてしまう場合がある。
【0100】
たとえば、試薬収納箱115におけるバーコードラベル116を読み取ることによりバーコードラベル116が示す試薬名を取得し、取得した試薬名と、検査装置101のユーザから受け付けた検体情報が示す検査項目とを照合することにより、試薬充填容器111が試薬供給部60に正しくセットされているか否かを確認することができる。
【0101】
しかしながら、試薬メーカによるバーコードラベル116の貼り間違い、または検査装置102のユーザの人為的なミスにより、試薬収納箱115におけるバーコードラベル116が示す試薬名と、当該試薬収納箱115に収納された試薬充填容器111に充填された試薬とが整合しない場合がある。この場合、バーコードラベル116に基づいて、試薬充填容器111が試薬供給部60に正しくセットされているか否かを確認することはできない。
【0102】
特許文献3(特開2004-167158号公報)に記載の技術は、薬剤の包装表面を読み取ることにより得られる読取画像と、参照画像とを照合することにより薬剤名を認識するというものである。特許文献3に記載の技術では、新たな薬剤が市場に追加されるたびに、当該薬剤の包装表面の参照画像を新たに作成する必要がある。
【0103】
そこで、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置102は、以下のような構成により、上記の課題を解決する。
【0104】
(カメラ部)
再び
図11を参照して、カメラ部52は、試薬供給部60にセットされた試薬充填容器111の蓋113の主表面を撮影する。試薬充填容器111は、試薬の包装物の一例である。
【0105】
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置におけるカメラにより生成される撮像画像の一例を示す図である。
図13を参照して、試薬充填容器111の蓋113の主表面には、検査項目を示す「HBSA」の文字と、ロット番号を示す「1」、「3」および「2」の数字が印字されている。なお、検査項目を示す文字およびロット番号を示す数字は、蓋113の主表面に手書きされていてもよい。
【0106】
検査処理部90は、試薬供給部60により1回の検査に用いる試薬充填容器111が試薬配置部から取り出されると、撮影指示をカメラ部52へ出力する。カメラ部52は、検査処理部90から撮影指示を受けて、蓋113の主表面を撮影することにより撮像画像P2を生成し、生成した撮像画像P2を示す画像情報を情報処理部20へ出力する。
【0107】
また、カメラ部52は、バーコードラベル116を読み取るバーコードリーダを含む。検査処理部90は、試薬供給部60により1回の検査に用いる試薬充填容器111が試薬配置部から取り出されると、読取指示をカメラ部52へ出力する。カメラ部52は、検査処理部90から読取指示を受けて、試薬収納箱115におけるバーコードラベル116を読み取り、バーコードラベル116が示す試薬名を取得する。カメラ部52は、取得した試薬名を示す試薬情報を情報処理部20へ出力する。なお、バーコードラベル116は、試薬充填容器111に付されていてもよい。この場合、カメラ部52は、検査処理部90から読取指示を受けて、試薬充填容器111におけるバーコードラベル116を読み取る。
【0108】
(情報処理部)
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置における情報処理部の構成を示す図である。
図14を参照して、情報処理部20は、画像取得部21と、検査結果取得部22と、試薬情報取得部23と、認識結果取得部24と、判定部25と、出力部26と、記憶部27とを備える。画像取得部21、検査結果取得部22、試薬情報取得部23、認識結果取得部24、判定部25および出力部26の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部27は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0109】
(学習モデルM2)
記憶部27は、学習モデルM2を記憶している。学習モデルM2は、ニューラルネットワークに対して、アルファベット、数字、ひらがなおよび片仮名等の文字を含む複数の画像を学習データとして用いて、画像に含まれる文字を認識して出力できるように機械学習させることにより作成される。
【0110】
(画像取得部)
画像取得部21は、試薬充填容器111の撮像画像P2を取得する。より詳細には、画像取得部21は、カメラインタフェースであり、カメラ部52から画像情報を受信する。画像取得部21は、受信した画像情報を認識結果取得部24へ出力する。
【0111】
(検査結果取得部)
検査結果取得部22は、検査処理部90から検査結果および検体情報を受信し、受信した検査結果および検体情報を出力部26へ出力する。
【0112】
(試薬情報取得部)
試薬情報取得部23は、カメラ部52から試薬情報を受信し、受信した試薬情報を出力部26へ出力する。
【0113】
(認識結果取得部)
認識結果取得部24は、画像取得部21により取得された撮像画像P2を学習モデルM2に入力し、学習モデルM2から出力される、試薬充填容器111の蓋113に付された文字の認識結果R2Aを取得する。
【0114】
より詳細には、認識結果取得部24は、画像取得部21から画像情報を受けて、受けた画像情報が示す撮像画像P2を記憶部27における学習モデルM2に入力する。学習モデルM2は、入力された撮像画像P2における蓋113の主表面に印字された文字を認識し、認識結果R2Aを出力する。認識結果取得部24は、学習モデルM2の出力である認識結果R2Aを取得し、取得した認識結果R2Aを判定部25へ出力する。
【0115】
(判定部)
判定部25は、認識結果取得部24により取得された認識結果R2Aに基づいて、試薬を用いた検査項目を判定する。
【0116】
より詳細には、記憶部27は、検査装置102が行う検査の検査項目名の一覧を示す検査項目名リストを記憶している。
【0117】
判定部25は、認識結果取得部24から認識結果R2Aを受けて、認識結果R2Aが示す文字と、記憶部27における検査項目名リストとを照合する。そして、判定部25は、検査項目名リストのうちの認識結果R2Aが示す文字と一致する検査項目を、試薬供給部60にセットされた試薬充填容器111内の試薬を用いた検査項目であると判定する。判定部25は、判定した検査項目を示す判定結果R2Bを出力部26へ出力する。
【0118】
(出力部)
出力部26は、判定部25による判定結果R2Bに基づく出力処理を行う。
【0119】
たとえば、出力部26は、カメラ部52によるバーコードラベル116の読み取り結果にさらに基づく出力処理を行う。より詳細には、出力部26は、試薬情報取得部23から試薬情報を受けて、受けた試薬情報が示す試薬名に対応する検査項目と、検査結果取得部22から受けた検体情報が示す検査項目とを照合する。
【0120】
出力部26は、試薬情報が示す試薬名に対応する検査項目と、検体情報が示す検査項目とが一致しない場合、バーコードラベル116が示す試薬名と、検体情報が示す検査項目とが整合していない旨を表示装置201に表示する処理を行う。
【0121】
一方、出力部26は、試薬情報が示す試薬名に対応する検査項目と、検体情報が示す検査項目とが一致する場合、判定部25から受けた判定結果R2Bが示す検査項目と、検体情報が示す検査項目とを照合する。
【0122】
出力部26は、判定結果R2Bが示す検査項目と、検体情報が示す検査項目とが一致しない場合、試薬充填容器111の蓋113に付された文字が示す検査項目と、検体情報が示す検査項目とが整合していない旨を表示装置201に表示する処理を行う。
【0123】
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置における情報処理部による表示例を示す図である。
【0124】
図15を参照して、出力部26は、出力処理として、判定結果R2Bに基づく情報を、検体を用いた検査の結果とともに出力する。たとえば、出力部26は、判定結果に基づく情報と、試薬を用いた検査の結果とを、1つの画面に表示する処理を行う。より詳細には、出力部26は、検査のシーケンス番号と、検体IDと、検査項目と、検査結果と、検査項目の照合結果を示すリマーク記号との対応関係を示す検査結果テーブルTb2を表示装置201に表示する処理を行う。
【0125】
一例として、出力部26は、試薬情報が示す試薬名に対応する検査項目と、検体情報が示す検査項目とが一致し、かつ判定結果R2Bが示す検査項目と、検体情報が示す検査項目とが一致する場合、リマーク記号の欄にスペースを表示する、すなわちリマーク記号の欄を空欄とする。また、出力部26は、試薬情報が示す試薬名に対応する検査項目と、検体情報が示す検査項目とが一致しない場合、リマーク記号の欄に「10」を表示する。また、出力部26は、試薬情報が示す試薬名に対応する検査項目と、検体情報が示す検査項目とが一致し、かつ判定結果R2Bが示す検査項目と、検体情報が示す検査項目とが一致しない場合、リマーク記号の欄に「20」を表示する。
【0126】
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置における情報処理部による出力例を示す図である。
【0127】
図16を参照して、たとえば、出力部26は、検査結果テーブルTb2を表示装置201に表示する処理を行う代わりに、またはこれに加えて、検査のシーケンス番号と、検体IDと、検査項目と、検査結果と、検査項目の照合結果を示すリマーク記号との対応関係を示す検査結果表Rs2をプリントアウトする。
【0128】
検査結果テーブルTb2および検査結果表Rs2におけるリマーク記号は、検査結果に信頼性が担保できるか否かを示す。検査装置102のユーザは、リマーク記号の欄に「10」または「20」が表示された場合、対応の検査結果の信頼性は低いと認識する。たとえば、検査装置102のユーザは、検査結果の信頼性が低いと認識した場合、当該検査結果に基づく判断を行わず、当該検査結果を破棄する。
【0129】
[動作の流れ]
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置が検体の検査を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0130】
図17を参照して、まず、検査装置102は、ユーザによる検体情報の登録操作を受け付ける(ステップS21)。
【0131】
次に、検査装置102における情報処理部20は、試薬充填容器111の撮像画像P2を取得する。より詳細には、情報処理部20は、試薬供給部60により1回の検査に用いる試薬充填容器111が試薬配置部から取り出されると、撮影指示をカメラ部52へ出力する。カメラ部52は、検査処理部90から撮影指示を受けて、試薬充填容器111の蓋113の主表面を撮影することにより撮像画像P2を生成し、蓋113の撮像画像P2を示す画像情報を情報処理部20へ出力する(ステップS22)。
【0132】
次に、検査装置102における情報処理部20は、試薬収納箱115におけるバーコードラベル116が示す試薬情報を取得する。より詳細には、情報処理部20は、読取指示をカメラ部52へ出力する。カメラ部52は、検査処理部90から読取指示を受けて、試薬収納箱115におけるバーコードラベル116を読み取り、バーコードラベル116が示す試薬名を取得し、取得した試薬名を示す試薬情報を情報処理部20へ出力する(ステップS23)。
【0133】
次に、検査装置102における情報処理部20は、カメラ部52から受けた画像情報が示す撮像画像P2を学習モデルM2に入力し、学習モデルM2から出力される、試薬充填容器111の蓋113に付された文字の認識結果R2Aを取得する(ステップS24)。
【0134】
次に、検査装置102における情報処理部20は、取得した認識結果R2Aに基づいて、試薬供給部60にセットされた試薬充填容器111内の試薬を用いた検査項目を判定する(ステップS25)。
【0135】
次に、検査装置102における情報処理部20は、試薬充填容器111内の試薬を用いた検査項目の判定結果R2Bに基づく出力処理を行う(ステップS26)。
【0136】
なお、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置102では、判定部25は、認識結果取得部24から受けた認識結果R2Aが示す文字と、記憶部27における検査項目名リストとを照合する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、試薬充填容器111の蓋113の主表面に、検査項目の代わりに試薬名が印字されていてもよい。この場合、判定部25は、認識結果取得部24から受けた認識結果R2Aが示す文字と、記憶部27における試薬名の一覧を示す試薬名リストとを照合し、試薬名リストのうちの認識結果R2Aが示す文字と一致する試薬に対応する検査項目を、試薬供給部60にセットされた試薬充填容器111内の試薬を用いた検査項目であると判定する。
【0137】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0138】
<第3の実施の形態>
[構成および基本動作]
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る検査システム301と比べて、洗浄ノズル81の汚れの付着状態の判定を行う検査システム303に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る検査システム301と同様である。
【0139】
図18は、本発明の第3の実施の形態に係る検査システムの構成を示す図である。
図18を参照して、検査システム303は、検査システム301と比べて、検査装置101の代わりに検査装置103を備える。
【0140】
検査装置103は、検査装置101と比べて、情報処理部10の代わりに情報処理部30を備え、カメラ部51の代わりにカメラ部53を備える。カメラ部53は、カメラを含む。
【0141】
(課題)
洗浄部80における洗浄ノズル81は、継続して使用すると、先端部分に析出物等の汚れが堆積する。洗浄ノズル81に汚れが堆積した場合、洗浄ノズル81の目詰まり、およびコンタミネーションを引き起こす場合がある。
【0142】
そこで、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置103は、以下のような構成により、上記の課題を解決する。
【0143】
(カメラ部)
カメラ部53は、洗浄部80における洗浄ノズル81を撮影することにより、洗浄ノズル81の撮像画像P3を生成する。より詳細には、検査処理部90は、たとえば1日の検査工程が終了すると、撮影指示をカメラ部53へ出力する。カメラ部53は、検査処理部90から撮影指示を受けて、洗浄ノズル81を撮影することにより撮像画像P3を生成し、生成した撮像画像P3を示す画像情報を情報処理部10へ出力する。
【0144】
(情報処理部)
図19は、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置における情報処理部の構成を示す図である。
図19を参照して、情報処理部30は、画像取得部31と、判定結果取得部32と、出力部33と、記憶部34とを備える。画像取得部31、判定結果取得部32および出力部33の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部34は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0145】
(学習モデルM3)
記憶部34は、学習モデルM3を記憶している。
【0146】
図20および
図21は、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置の情報処理部における学習モデルの作成に用いられる撮像画像の一例を示す図である。
図20は、洗浄ノズル81の先端部分に汚れが堆積していない状態である正常状態Yaを示す撮像画像P3aを示している。
図21は、洗浄ノズル81の先端部分に汚れが堆積している状態である堆積状態Ybを示す撮像画像P3bを示している。
【0147】
学習モデルM3は、ニューラルネットワークに対して、正常状態Yaを示す撮像画像P3a、および堆積状態Ybを示す撮像画像P3bを含む複数の撮像画像P3を学習データとして用いて、洗浄ノズル81への汚れの付着状態Yの分類結果を出力できるように機械学習させることにより作成される。たとえば、学習モデルM3の作成のために用いる学習データとして、洗浄ノズル81以外の領域の被写体がランダムな内容の撮像画像P3が用いられる。
【0148】
(画像取得部)
再び
図19を参照して、画像取得部31は、検査装置103において用いられる洗浄ノズル81の撮像画像P3を取得する。より詳細には、画像取得部31は、カメラインタフェースであり、カメラ部53から画像情報を受信する。画像取得部31は、受信した画像情報を判定結果取得部32へ出力する。
【0149】
(判定結果取得部)
判定結果取得部32は、画像取得部31により取得された撮像画像P3を学習モデルM3に入力し、学習モデルM3から出力される、洗浄ノズル81への汚れの付着状態Yに関する判定結果R3を取得する。
【0150】
より詳細には、判定結果取得部32は、画像取得部31から画像情報を受けて、受けた画像情報が示す撮像画像P3を記憶部34における学習モデルM3に入力する。学習モデルM3は、入力された撮像画像P3が示す洗浄ノズル81への汚れの付着状態Yを、正常状態Yaおよび堆積状態Ybのいずれかに分類し、分類結果と分類の確度とを示す判定結果R3を出力する。分類の確度は、たとえば百分率を用いて表される。なお、学習モデルM3は、付着状態Yを、正常状態Yaおよび堆積状態Yb以外の他の状態に分類してもよい。
【0151】
判定結果取得部32は、学習モデルM3の出力である判定結果R3を取得し、取得した判定結果R3を出力部33へ出力する。
【0152】
(出力部)
出力部33は、判定結果取得部32により取得された判定結果R3に基づく出力処理を行う。たとえば、出力部33は、出力処理として、洗浄ノズル81の保守の必要性を出力する。
【0153】
図22は、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置における情報処理部による表示例を示す図である。
【0154】
図22を参照して、出力部33は、受けた判定結果R3が示す分類結果が堆積状態Ybであり、かつ判定結果R3が示す分類の確度が所定値以上である場合、洗浄ノズル81の洗浄を促すためのメッセージ画面MSを表示装置201に表示する処理を行う。
【0155】
[動作の流れ]
図23は、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置が洗浄ノズルの点検を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0156】
図23を参照して、まず、検査装置103における情報処理部30は、たとえば定期的に、洗浄ノズル81の撮像画像P3を取得する。より詳細には、検査処理部90は、たとえば1日の検査工程が終了すると、撮影指示をカメラ部53へ出力する。カメラ部53は、検査処理部90から撮影指示を受けて、洗浄部80における洗浄ノズル81を撮影することにより撮像画像P3を生成し、生成した撮像画像P3を示す画像情報を情報処理部30へ出力する(ステップS31)。
【0157】
次に、検査装置103における情報処理部30は、カメラ部53から受けた画像情報が示す撮像画像P3を学習モデルM3に入力し、学習モデルM3から出力される判定結果R3を取得する(ステップS32)。
【0158】
次に、検査装置103における情報処理部30は、取得した判定結果R3に基づく出力処理を行う。より詳細には、情報処理部30は、判定結果R3が示す分類結果が堆積状態Ybであり、かつ判定結果R3が示す分類の確度が所定値以上である場合、洗浄ノズル81の洗浄を促すためのメッセージ画面MSを表示装置201に表示する処理を行う(ステップS33)。
【0159】
なお、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置103では、カメラ部53は、洗浄部80における洗浄ノズル81を撮影する構成であるとしたが、これ限定するものではない。カメラ部53は、たとえば上述した吸気ヘッド71を含むサンプル分注ノズル、および試薬分注ノズル等の、洗浄ノズル81以外のノズルを撮影し、撮像画像を示す画像情報を情報処理部30へ出力する構成であってもよい。この場合、情報処理部30は、洗浄ノズル81以外のノズルの撮像画像をカメラ部53から取得する。情報処理部30は、取得した当該撮像画像を学習モデルに入力し、学習モデルから出力される、当該ノズルへの汚れの付着状態に関する判定結果を取得する。そして、情報処理部30は、判定結果に基づく出力処理を行う。
【0160】
<第4の実施の形態>
[構成および基本動作]
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る検査システム301と比べて、試薬を用いた検査項目の判定、および洗浄ノズル81の汚れの付着状態の判定をさらに行う検査システム304に関する。以下で説明する内容以外は、第1,第2,第3の実施の形態に係る検査システム301,302,303と同様である。
【0161】
図24は、本発明の第4の実施の形態に係る検査システムの構成を示す図である。
図24を参照して、検査システム304は、検査システム301と比べて、検査装置101の代わりに検査装置104を備える。
【0162】
検査装置104は、検査装置101と比べて、総合処理部40を備え、カメラ部51に加えてカメラ部52,53を備える。総合処理部40は、情報処理部10,20,30を含む。
【0163】
なお、検査装置104は、カメラ部51,52,53のうちのいずれか1つを備えない構成であってもよい。また、総合処理部40は、情報処理部10,20,30のうちのいずれか1つを含まない構成であってもよい。
【0164】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0165】
10,20,30 情報処理部
11 画像取得部
12 計測結果取得部
13 検査結果取得部
14 判定結果取得部
15 出力部
16 記憶部
21 画像取得部
22 検査結果取得部
23 試薬情報取得部
24 認識結果取得部
25 判定部
26 出力部
27 記憶部
31 画像取得部
32 判定結果取得部
33 出力部
34 記憶部
40 総合処理部
51,52,53 カメラ部
60 試薬供給部
70 検体分注部
71 吸気ヘッド
72 チップ
73 圧力センサ
80 洗浄部
81 洗浄ノズル
90 検査処理部
91 記憶部
101,102,103,104 検査装置
111 試薬充填容器
112 容器本体
113 蓋
115 試薬収納箱
116 バーコードラベル
121 検体容器
201 表示装置
301,302,303,304 検査システム
P1a,P1b,P1c,P1d,P2,P3a,P3b 撮像画像
Tb1,Tb2 検査結果テーブル
Rs1,Rs2 検査結果表
MS メッセージ画面