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特開2024-81071表示体、表示方法、及び表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081071
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】表示体、表示方法、及び表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194523
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】504440133
【氏名又は名称】株式会社ポケモン
(74)【代理人】
【識別番号】100151688
【弁理士】
【氏名又は名称】今 智司
(72)【発明者】
【氏名】大場 直之
(72)【発明者】
【氏名】吉村 勇人
(72)【発明者】
【氏名】屋島 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】林 揚恩
(57)【要約】
【課題】表示内容の公平性を確保可能な表示体、表示方法、及び表示プログラムを提供する。
【解決手段】表示体1は、Trading Card Game(TCG)用の表示体1であって、2以上の表示部102と、表示体1の運動状態を感知する状態感知部104と、状態感知部104が感知した運動状態に基づいて、2以上の表示部102に表示させる表示内容を決定し、状態感知部104が所定の運動の開始を感知する前は表示内容を決定せず、開始を感知した後若しくは開始の感知と同時に表示内容を決定する表示決定部106と、表示決定部106が決定した表示内容を2以上の表示部102に表示させる表示制御部108とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Trading Card Game(TCG)用の表示体であって、
2以上の表示部と、
前記表示体の運動状態を感知する状態感知部と、
前記状態感知部が感知した前記運動状態に基づいて、前記2以上の表示部に表示させる表示内容を決定し、前記状態感知部が所定の運動の開始を感知する前は前記表示内容を決定せず、前記開始を感知した後若しくは前記開始の感知と同時に前記表示内容を決定する表示決定部と、
前記表示決定部が決定した前記表示内容を前記2以上の表示部に表示させる表示制御部と
を備える表示体。
【請求項2】
前記表示決定部が、前記表示内容をランダムに決定する請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記表示決定部が、前記運動状態が所定の運動条件を満たした場合、前記表示内容を前記2以上の表示部に表示させる請求項1に記載の表示体。
【請求項4】
前記表示決定部が、前記運動状態が所定の運動条件を満たした場合と前記所定の運動条件を満たさない場合とで異なる内容の表示内容を決定する請求項1に記載の表示体。
【請求項5】
前記運動状態が所定の運動条件を満たさない場合、前記表示決定部が前記表示内容を決定できない旨を報知する報知部
を更に備える請求項1に記載の表示体。
【請求項6】
前記表示決定部が、前記表示内容を表示する前記表示部をランダムに決定する請求項1に記載の表示体。
【請求項7】
前記表示体が、コイン形状であり、
前記コイン形状の前記表示体の一方の面及び他方の面のそれぞれに表示部が設けられる請求項1に記載の表示体。
【請求項8】
前記表示体が前記表示体外部の情報端末と通信可能に接続され、
前記表示決定部が、決定した前記表示内容を前記情報端末に供給する請求項1に記載の表示体。
【請求項9】
前記表示体が前記表示体外部の情報端末と通信可能に接続され、
前記表示制御部が、前記運動状態が満たすべき所定の運動条件を前記情報端末から取得し、前記運動状態が当該所定の運動条件を満たした場合、前記表示内容を前記2以上の表示部に表示させる請求項1に記載の表示体。
【請求項10】
前記表示体が前記表示体外部の情報端末と通信可能に接続され、
前記表示制御部が、前記情報端末からの指示に応じ、前記2以上の表示部に所定の情報を表示させる請求項1に記載の表示体。
【請求項11】
Trading Card Game(TCG)用の2以上の表示部を備える表示体の表示方法であって、
前記表示体の運動状態を感知する状態感知工程と、
前記状態感知工程において感知された前記運動状態に基づいて、前記2以上の表示部に表示させる表示内容を決定し、前記状態感知工程において所定の運動の開始を感知する前は前記表示内容を決定せず、前記開始を感知した後若しくは前記開始の感知と同時に前記表示内容を決定する表示決定工程と、
前記表示決定工程において決定された前記表示内容を前記2以上の表示部に表示させる表示制御工程と
を備える表示方法。
【請求項12】
Trading Card Game(TCG)用の2以上の表示部を備える表示体用の表示プログラムであって、
コンピュータに、
前記表示体の運動状態を感知する状態感知機能と、
前記状態感知機能において感知された前記運動状態に基づいて、前記2以上の表示部に表示させる表示内容を決定し、前記状態感知機能において所定の運動の開始を感知する前は前記表示内容を決定せず、前記開始を感知した後若しくは前記開始の感知と同時に前記表示内容を決定する表示決定機能と、
前記表示決定機能において決定された前記表示内容を前記2以上の表示部に表示させる表示制御機能と
を実現させる表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示体、表示方法、及び表示プログラムに関する。特に、本発明は、Trading Card Game(TCG)において用いられる表示体、表示方法、及び表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Trading Card Game(TCG)においては、2人のユーザ間で一方のユーザのターンの後に他方のユーザのターンが実行されるというプロセス等が繰り返されてゲームが進行する。この場合に、ゲームの進行上、いずれのユーザが最初にターンを実行するか、及び/又は所定の行動の結果に変化を付与するか否か等について決定を要する場合がある。従来、例えば、ダイス等によって初回の行動ターンを実行するユーザ(先攻のユーザ)を決定するゲーム玩具が知られている(例えば、特許文献1の段落[0033]参照。)。特許文献1に係るゲーム玩具によればダイス等で先攻ユーザ等を容易に決めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-72347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のゲーム玩具等で用いられている従来のダイスやコイン(例えば、コイントスにより先攻ユーザ等を決定する)を用いた場合、ダイスの投げ方やコイントスの仕方を練習することにより、所望の目や面をユーザが容易に出すことができるようになる場合がある。例えばコイントスの場合、コイントスの練習をすることでコインの「表」や「裏」を選択的に出すことが容易になり得る。係る場合、ゲームにおける公平性を担保することができず、ゲームに対するユーザの興味を損なう結果になる場合がある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、表示内容の公平性を確保可能な表示体、表示方法、及び表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、Trading Card Game(TCG)用の表示体であって、2以上の表示部と、表示体の運動状態を感知する状態感知部と、状態感知部が感知した運動状態に基づいて、2以上の表示部に表示させる表示内容を決定し、状態感知部が所定の運動の開始を感知する前は表示内容を決定せず、開始を感知した後若しくは開始の感知と同時に表示内容を決定する表示決定部と、表示決定部が決定した表示内容を2以上の表示部に表示させる表示制御部とを備える表示体が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る表示体、表示方法、及び表示プログラムによれば、表示内容の公平性を確保可能な表示体、表示方法、及び表示プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る表示体の概要図である。
図2】本実施形態に係るTCGの説明図である。
図3】各ユーザがTCGの対戦を進行させている局面を示す図である。
図4】本実施形態に係る表示体及び情報端末の機能構成の概要図である。
図5】本実施形態に係る表示体における処理のフロー図である。
図6】本実施形態に係る表示体における処理の変形例に係るフロー図である。
図7】本実施形態に係る表示体における処理の他の例に係るフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<表示体1の概要>
本実施形態に係る表示体1は、Trading Card Game(TCG)に用いることができるTCG用の用具である。表示体1は、表示体1に加わった外力によって表示体1の運動状態が変化した場合、変化した運動状態に基づいて所定の情報を表示する。ここでは、コイン形状の表示体1を一例として挙げて概要を説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る表示体の概要を示す。図1(a)は表示体1と情報端末2とを示し、図1(b)は表示体1の一方の面を示し、図1(c)は表示体1の他方の面を示す。
【0011】
コイン形状の表示体1は、一方の面と他方の面とのそれぞれに表示部を備える。図1の例では表示部102及び表示部102aの2つの表示部を表示体1は備える。表示部は、例えば、有機ELや電子ペーパー等で構成される。そして、表示体1は、表示体1に加わった外力によって変化した表示体1の運動状態を感知し、感知した結果に基づいて表示部に所定の情報を表示する。例えば、TCGにおいて二人のユーザのゲームプレイの順序やゲームで用いるカードの特性等を決定することを目的として表示体1を投げ、表示体1の「表」か「裏」のいずれが出るかを観察する行為であるコイントス(コイン投げ)を実行する場合を説明する。なお、表示体1は、表示体1の一方の面と他方の面とを互いに物理的に区別可能にするための目印となる構成(目印部)を備えてよい。当該構成は、一方の面及び/又は他方の面に設けることができる。例えば、一方の面の縁の色を他方の面の縁の色とは異なる色にできる。これによりユーザは、表示体1に表示される内容が表示体1のいずれの面に表示されているかを認識できる。
【0012】
まず、コイントスの実行前、つまり表示体1を投げたり、回転させたり、振る等する前は、表示体1の一方の面及び他方の面のいずれが「表」であるか「裏」であるかを確定していない状態にする。例えば、表示体1の一方の面及び他方の面の双方とも何も表示しない状態にすることや(図1(b)の上及び図1(c)参照。)、一方の面及び他方の面のいずれにも同一の情報(例えば、同一の画像等)を表示させる。これにより表示体1のいずれの面が「表」になるのか「裏」になるのか各ユーザが把握も予想もできない状態にできる。
【0013】
続いて、一方のユーザが表示体1に外力を加える。例えば、コイントスのように表示体1を空中で回転するように投げ上げる。表示体1の運動状態が、例えば表示体1に所定の衝撃が加わったことや表示体1が所定回数の回転をしたこと等の所定の物理的な条件を満たした場合、表示体1は、一方の面の表示部102に表示する情報をランダムに決定して出力する(例えば、「表」若しくは「裏」を示す情報のいずれかをランダムに決定し、出力する。)。また、表示体1は、表示する情報を予め決めておき(例えば、「表」を示す情報に決めておく)、一方の面の表示部102又は他方の面の表示部102aのいずれに当該情報を表示するかについてランダムに決定してもよい。
【0014】
一例として、図1(b)の下側に示すように表示体1は、一方の面の表示部102に「表」を示す画像150を表示し(表示部102に表示する情報がランダムに決定された場合、若しくは情報が表示される表示部として表示部102がランダムに決定された場合)、図1(c)に示すように他方の面の表示部102aには何も表示させないことにより他方の面が「裏」であることを示す。これにより表示体1によれば、表示体1を投げること等をする前には表示体1の「表」及び「裏」を確定させず、表示体1を投げた後に各面のいずれかを「表」又は「裏」として決定できるので、表示体1を用いてゲームプレイの順序や、ゲームプレイの効果の成否等を決定する場合の公平性を確保することができる。したがって、表示体1を用いることで例えばTCGをプレイするユーザはゲームプレイを純粋に楽しむことができる。
【0015】
また、表示体1の運動状態が所定の運動状態に変化した場合、つまり、運動状態が所定の運動条件(例えば、表示体1が回転する回数等)を満たした場合に表示体1は表示部102及び表示部102aに表示させる情報の内容、及び/又は当該情報を表示させる表示部を確定する。ここで表示体1は、この所定の運動条件について表示体1の格納部に予め格納できる。また、表示体1は、表示体1に通信可能に接続される情報端末2へ入力された情報に基づいて所定の運動条件を設定することもできる。すなわち、表示体1においては、一方の面の表示部に表示する情報をランダムに決定すること、若しくは情報が表示される表示部としていずれかの面の表示部をランダムに決定することに加えて、表示体1の運動状態(つまり、物理的な動き)を判定した上で表示部102及び表示部102aに表示させる情報の内容、及び/又は当該情報を表示させる表示部を確定することができる。これにより、二人のユーザがTCGをプレイする場合、一方のユーザが情報端末2を介して所定の運動条件を表示体1に設定し、他方のユーザが当該所定の運動条件下で表示体1を投げること等ができるので、ゲームプレイの順序や、ゲームプレイの効果の成否等を決定する場合の公平性を更に向上させることができる。
【0016】
なお、情報端末2は、携帯電話やスマートフォン、ノートパソコン、タブレット型PC、PC、携帯用ゲーム機、及び/又は家庭用ゲーム機等の情報端末等である。PCGに用いる観点から情報端末2は、携帯電話やスマートフォンであることが好ましい。そして、以下において本実施形態に係る表示体1の詳細を説明するが、上記説明及び下記説明における名称や数値等はあくまで例示であり、これらの固有名や数値に本発明が限定されることはないこと、及びこれら固有名や数値は実在の固有名や数値とは必ずしも関係するとは限らないことを付言する。
【0017】
<TCGの概要>
図2は、本実施形態に係るTCGの説明図である。図2(A)は、ユーザがプレイマット30を利用してTCGの対戦を準備する局面を示す。図2(B)は、ユーザがTCGの対戦を開始しようとする局面を示す。そして、図3は、各ユーザがTCGの対戦を進行させている局面を示す。
【0018】
(1 プレイマット30の構成)
図2を参照して、各ユーザがTCGの対戦で用いる各種用品について説明する。図2(A)に示すように、第1のユーザ(ユーザ5A)と第2のユーザ(ユーザ5B)とがTCGの対戦を開始するにあたり、ユーザ5Aとユーザ5Bとの間にプレイマット30が配置される。プレイマット30には、各ユーザがTCGの対戦で用いるカードが配置される。
【0019】
各ユーザは、プレイマット30にカードを配置して、カードを山札から手札に加えつつTCGの対戦を進行させる。まず、プレイマット30の構成について説明する。プレイマット30は、山札配置部31A及び山札配置部31B(以下、「山札配置部31」と総称することもある。)と、準備カード配置部32A及び準備カード配置部32B(以下、「準備カード配置部32」と総称することもある。)と、勝敗条件カード配置部33A及び勝敗条件カード配置部33B(以下、「勝敗条件カード配置部33」と総称することもある。)と、バトルカード配置部34A及びバトルカード配置部34B(以下、「バトルカード配置部34」と総称することもある。)と、消費カード配置部35A及び消費カード配置部35B(以下、「消費カード配置部35」と総称することもある。)とを含む。
【0020】
また、図3に示すように、TCGの対戦において、各ユーザは、山札から手札を補充しつつカード同士のバトルを進行させる。図3の例では、第1のユーザ(ユーザ5A)は、手札93A(図3の例では2枚の手札)を有している。第2のユーザ(ユーザ5B)は、手札93B(図3の例では3枚の手札)有している。
【0021】
山札配置部31は、各ユーザがデッキ(TCGの対戦に用いるカードの組み合わせ)として編成したカードのうち、山札が配置される領域である。山札配置部31Aは、ユーザ5Aが山札を置く領域である。山札配置部31Bは、ユーザ5Bが山札を置く領域である。
【0022】
図2(B)に示すように、各ユーザがTCGの対戦を開始するにあたり、まず、山札配置部31に、各ユーザのカードを山札として配置する。山札配置部31は、ユーザが山札を配置する領域である。各ユーザは、デッキを構成する各カードを混ぜて、カードを裏向きにして山札配置部31に配置する。ユーザ5Aは、山札配置部31Aに山札91Aを配置する。ユーザ5Bは、山札配置部31Bに山札91Bを配置する。
【0023】
準備カード配置部32は、対戦相手のカードとバトルをすることができるカードを配置する領域である。各ユーザは、準備カード配置部32に配置されているカードとバトルカード配置部34に配置されているカードとを入れ替えつつ、バトルカード配置部34に配置されているカード同士で攻撃力・体力・カードの属性・弱点等に応じたダメージ量の補正等を実行することで対戦を進行させる。図2(B)に示すように、TCGの対戦を開始する前においては、準備カード配置部32及びバトルカード配置部34にはカードは配置されていない。一方、図3に示すように、TCGの対戦が進行すると、各ユーザが準備カード配置部32及びバトルカード配置部34にカードを配置しつつカード同士のバトルをする。各ユーザは山札から手札を補充しつつ、手札の中からバトルに用いるカードを準備カード配置部32及びバトルカード配置部34に配置する。ユーザ5Aは、準備カード配置部32Aにカードを配置する。ユーザ5Bは、準備カード配置部32Bにカードを配置する。
【0024】
勝敗条件カード配置部33は、各プレイヤが勝利条件をどの程度満たしているかを示す領域である。本実施形態では、勝敗条件カード配置部33に、各プレイヤが山札から所定枚数のカードを裏向きにして勝敗条件カード配置部33に配置する。図2(B)に示すように、ユーザ5Aは、勝敗条件カード配置部33Aにカードを配置する。ユーザ5Bは、勝敗条件カード配置部33Bにカードを配置する。
【0025】
バトルカード配置部34は、対戦相手のカードとバトルするカードを配置する領域である。ユーザ5Aは、バトルカード配置部34Aにカードを配置する。ユーザ5Bは、バトルカード配置部34Bにカードを配置する。本実施形態では、基本的にはバトルカード配置部34Aに配置されるカードとバトルカード配置部34Bに配置されるカードとで、各カードに設定される体力、攻撃力、カードに示されるキャラクタの属性、弱点の属性、及び/又はその他のパラメータに基づきバトルを実行する。攻撃を受ける等によりカードに設定される体力を失うと、カードに示されるキャラクタが気絶したとしてバトルから退場させ、後述する消費カード配置部35に当該カードを配置する。
【0026】
消費カード配置部35は、TCGの対戦で消費したカードを配置する領域である。例えば、バトルに敗北して体力を失ったカード、効果を発動させたカード等を消費カード配置部35に配置する。図3に示すように、ユーザ5Aは、消費カード配置部35Aにカード92Aを配置する。ユーザ5Bは、消費カード配置部35Bにカード92Bを配置する。
【0027】
(2 TCGに用いるカードの種類)
本実施形態のTCGでは、カードの種類として、(i)バトルに使用できるキャラクタカードと、(ii)キャラクタカードに関連付けて使用する行動力カード(エネルギーカード)と、(iii)対戦中に特定の効果を発揮させる効果カードとがある。
【0028】
(i)キャラクタカードには、ユーザが山札からカードを引いて手札に加えた後、バトルカード配置部34に配置してバトルに使用できるカード(「無条件カード」ともいう。)と、特定の条件を満たすことによりバトルで使用できるカード(「条件付きカード」ともいう。)とが含まれる。
【0029】
(iA)例えば、条件付きカードは、条件付きカードに関連する無条件カードの使用を条件として、バトルに参加させることができる。例えば、キャラクタの進化になぞらえて、まず無条件カードをプレイマット30に配置すること等により対戦相手のユーザに提示した上で、当該無条件カードに関連する条件付きカードをプレイマット30に配置することにより条件付きカードをバトルに参加させることができる。係る条件付きカードは、無条件カードから進化させたものとして「進化キャラクタ」とも称されることがある。また、無条件カードは、「進化キャラクタ」をバトルに参戦させるための元になるキャラクタといえるため、「たねキャラクタ」と称されることがある。
【0030】
(iB)例えば、条件付きカードは、特定のカードを消費して消費カード配置部35に移動させることにより、バトルに参加させることができる。具体的には、特定のカードとして、プレイマット30に配置されている無条件カードを消費して(消費カード配置部35に移動させて)、条件付きカードをバトルに参加させることができる。
【0031】
例えば、条件付きカードは、プレイマット30にユーザが配置した単数又は複数のキャラクタカードと引き換えにバトルに参加させることができる。一例として、各キャラクタカードに、カードに示されるキャラクタの攻撃力等の個々のパラメータとは別に、キャラクタの総合的な性能を示すパラメータ(例えば、進化レベル等)が付されている場合、ユーザが配置したキャラクタカードの進化レベルの値に対応した進化レベルを有する条件付きカードをバトルに参加可能にしてもよい。例えば、進化レベル1のキャラクタと進化レベル2のキャラクタとをプレイマット30に配置した状態で、これらキャラクタのカードに重ねて(又は、これらのキャラクタカードと引き換えに)、進化レベル3の条件付きカードを配置することができる。
【0032】
この他にも、条件付きカードにより定められる複数のキャラクタカードと引き換えに、当該条件付きカードをバトルに参加させることができるとしてもよい。このとき、キャラクタカードとは異なる後述する補助カードを消費して、条件付きカードをバトルに参加可能にしてもよい。例えば、補助カードに示される効果として、プレイマット30のバトルカード配置部34や消費カード配置部35等にある特定の無条件カードと引き換えに、特定の条件付きカードをバトルに参加可能にすることが定められていてよい。
【0033】
(iC)これらカードには、上記キャラクタカード、後述する行動力カード、補助カードのうち、複数を兼ねるカードも含まれる。例えば、キャラクタカードとして使用でき、かつ、補助カードとしても使用できる特殊なカードが含まれていてもよい。ユーザは、キャラクタカードを配置すべき位置(例えば準備カード配置部32、バトルカード配置部34)に当該特殊なカードを配置した場合は、当該特殊なカードをキャラクタカードとして用いることができる。
【0034】
(ii)行動力カード(エネルギーカード)は、ユーザが山札からカードを引いて手札に加えた後、キャラクタカードと関連付けてプレイマット30に配置することにより、キャラクタカードに示される所定の行動の実行を可能にする。行動力カードをキャラクタカードに関連付ける操作は、例えば、ユーザのターン中に実行可能にしてもよい。例えば、プレイマット30に配置されるキャラクタカードの近傍に行動力カードを配置することで、キャラクタカードに行動力カードを関連付けたとしてもよい。また、ターン中に行動力カードをキャラクタカードに関連付ける回数には制限があってもよい。例えば、ユーザのターン中に1回、プレイマット30に配置されるキャラクタカードのいずれかに手札中の行動力カードを関連付けるよう配置できる。例えば、キャラクタカードに、第1の攻撃アクションと第2の攻撃アクションとが設定されているとする。第1の攻撃アクションはキャラクタカードに1枚の行動力カードが関連付けられている場合に使用可能であり、第2の攻撃アクションは1枚の行動力カードでは足りず2枚の行動力カードがキャラクタカードに関連付けられている場合に使用可能であるとしてもよい。
【0035】
キャラクタカードがバトルにより体力値が尽きる等により退場することになった場合、当該キャラクタカードに関連付けられている行動力カードも当該対戦中で使用不可にしてもよい。
【0036】
(iii)対戦を補助する補助カードには、ユーザの手札にある限り、ユーザがターン中に何枚でも使用できるカード種とターン中に1枚だけ使用できるカード種とが含まれる。これら補助カードには、ユーザが補助カードの効果を使用することを宣言することで効果を発揮させるものも含まれる。
【0037】
なお、補助カードとしては、プレイマット30の所定の位置(本実施形態では当該所定の位置については図示していない。)に裏向きにする等して予め配置した上で、ユーザが補助カードの使用を発声等により宣言することで補助カードの効果を発揮させるカードも含まれる。
【0038】
(3 TCGの対戦ルールの概要)
以上では、TCGの対戦に用いるプレイマット30とカードの種類とについて説明した。次に、TCGの対戦ルールについて詳細に説明する。
【0039】
本実施形態に示すTCGでは、上記のように各ユーザがバトルカード配置部34A、バトルカード配置部34Bに配置したカードに基づき攻撃又は防御(バトル)してTCGの対戦を進行させる。TCGの対戦は、ユーザがターン毎に交互に行動して進行させるものとする。例えば、第1のユーザがターンの行動を終えると、第2のユーザのターンになる。第2のユーザが当該ターンで行動し、当該行動を終了させると、第1のユーザのターンになる。各ユーザは、ターンが到来する毎に、山札から所定枚数のカードを引いて手札に加える。各ユーザは手札にあるカードのうち、対戦相手のユーザのカードへの攻撃又は防御に用いるカード(キャラクタカード)の候補を準備カード配置部32に配置する。
【0040】
ユーザ5Aは、準備カード配置部32Aに並べられたカードとバトルカード配置部34Aに並べられたカードとを、ユーザ5Aのターン中に入れ替えることができる。また、ユーザ5Bは、準備カード配置部32Aに並べられたカードとバトルカード配置部34Aに並べられたカードとを、ユーザ5Bのターン中に入れ替えることができる。
【0041】
勝敗条件カード配置部33Aと勝敗条件カード配置部33Bとは、上記のように、それぞれのユーザが対戦に勝利する条件に対してどの程度の進捗があるかを各ユーザに通知する領域である。ここで、ユーザが対戦に勝利する条件としては、例えば、勝敗条件カード配置部33A又は勝敗条件カード配置部33Bに配置されるカードが全て回収される条件であってもよい。すなわち、勝敗条件カード配置部33A又は勝敗条件カード配置部33Bのいずれかにおいて、全てのカードが回収されたことにより勝敗が決することにしてもよい。
【0042】
例えば、各ユーザが、TCGの対戦に先立ち、山札から勝敗条件カード配置部33A又は勝敗条件カード配置部33Bに所定枚数のカードを配置する。すなわち、ユーザ5Aは、山札から所定枚数のカードを抜き出して勝敗条件カード配置部33Aに配置する。ユーザ5Bは、山札から所定枚数のカードを抜き出して勝敗条件カード配置部33Bに配置する。ユーザ5Aがバトルカード配置部34Aに配置したキャラクタカードとユーザ5Bがバトルカード配置部34Bに配置したキャラクタカードとを対戦させ、キャラクタカードに設定される退場条件が満たされると(例えば、キャラクタカードに設定される体力値が、対戦相手のキャラクタカードに設定される攻撃力に基づき減算され、尽きた場合)、当該キャラクタカードのキャラクタが気絶したものとして、消費カード配置部35(「トラッシュ」ともいう)へ移動させる。
【0043】
これにより、バトルに勝利して対戦相手のキャラクタカードを退場させたユーザは、勝敗条件カード配置部33A又は勝敗条件カード配置部33Bに配置されたカードを手札に加える。例えば、ユーザ5Bが、自身のターンでユーザ5Aのキャラクタカードに攻撃をすることによりバトルカード配置部34Aに配置されるカードを退場させた場合、勝敗条件カード配置部33Bに配置されるカードから所定枚数のカードを取って手札に加える。一方、ユーザ5Aが、自身のターンでユーザ5Bのキャラクタカードに攻撃をすることによりバトルカード配置部34Bに配置されるカードを退場させた場合、勝敗条件カード配置部33Aに配置されるカードから所定枚数のカードを取って手札に加える。これら操作を繰り返し、ユーザ5Bが勝敗条件カード配置部33Bに配置されるカードを全て回収したとき、又はユーザ5Aが勝敗条件カード配置部33Aに配置されるカードを全て回収したときに、回収しきったユーザをTCGの対戦に勝利したユーザとして決定してもよい。なお、対戦の勝利条件としては、この他にバトルカード配置部34と準備カード配置部32とのいずれにもキャラクタカードがない場合に敗北する条件にしてもよい。また、対戦の勝利条件としては、各ユーザが自分のターンで山札配置部31から山札を引けない場合に敗北する条件にしてもよい。
【0044】
<表示体1の構成の詳細>
図4は、本実施形態に係る表示体及び情報端末の機能構成の概要の一例を示す。なお、表示体1は、表示体1外部の情報端末2と通信可能に接続可能である。
【0045】
本実施形態に係るTCG用の表示体1は、情報端末2と通信可能な表示体側通信部100、所定の情報を表示する1以上、好ましくは2以上の表示部(例えば、表示部102、・・・表示部102n(nは正の整数))、表示体1の状態を感知する状態感知部104、1以上の表示部それぞれの表示内容及び/又は情報を表示させる表示部を決定する表示決定部106、1以上の表示部それぞれの表示を制御する表示制御部108、所定の情報を報知する報知部110、並びに所定の情報を格納する格納部112を備える。更に、表示体1は、表示体1の一方の面若しくは他方の面が上側(若しくは下側)に向いたときに発光する発光領域114を側面部分に備えることもできる。なお、表示体1は、表示体1を構成する各構成部材に電力を供給するバッテリーユニット(図示しない)を備えることもできる。なお、バッテリーユニットは内臓バッテリーを含む構成、若しくはワイヤレス充電可能な構成であってよい。
【0046】
また、情報端末2は、所定の情報を表示する情報端末側表示部200、ユーザからの所定の情報の入力を受け付ける入力部202、及び表示体1と通信可能な情報端末側通信部204を少なくとも備える。
【0047】
(表示体1の形態)
まず、表示体1の形態に特に限定はない。TCGに用いる観点からは、板状の円柱、つまり、円盤状、コイン状、若しくはメダル状の形態、又は板状の多角柱の形態を有することが好ましく、回転させやすさの観点からは平面視略円形のコイン状の形態を有することが好ましい。また、表示体1のサイズに特に限定はない。TCGに用いる観点からは回転等の運動をさせやすいサイズで構成することが好ましい。なお、表示体1の形態を球体等の立体的な形態にしてもよい。以下の説明では、主として表示体1の形態が平面視略円形のコイン状の形態を有する場合を説明する。
【0048】
(格納部112)
格納部112は各種情報を格納する。格納部112は、表示体1の他の構成部材からの要求に応じ、所定の情報を所定の構成部材に供給する。各種情報としては、テキスト情報、画像情報、及び/又は音声情報等が挙げられる。
【0049】
(表示体側通信部100)
表示体側通信部100は、情報端末2の情報端末側通信部204から所定の情報の供給を受け付ける。表示体側通信部100は、受け付けた所定の情報を表示体1の所定の構成部材に供給する。また、表示体側通信部100は、表示決定部106が決定した表示内容を情報端末側通信部204に供給する。
【0050】
(表示部102、・・・表示部102n)
表示体1は1以上の表示部102、・・・表示部102nを備える(以下、複数の表示部を総称して表示部102と称する場合がある。)。表示体1は、表示体1の形態に応じた数の表示部を備える。すなわち表示体1は、表示体1の表面に設けられた平面状の領域の数に対応する数以下の表示部を備えることができる。ここでは、表示体1がコイン状の形態を有する例を挙げて説明する。この場合、表示体1は、一方の面と他方の面とのそれぞれに表示部を備える。例えば、図1(b)及び図1(c)に示すように、表示体1は表示部102と表示部102aとを備える。表示部102は、例えば、有機EL、電子ペーパー、無機EL、若しくは液晶パネル等を用いて構成される。
【0051】
(状態感知部104)
状態感知部104は、表示体1の運動状態を感知する。状態感知部104は、表示体1の外部から表示体1に加えられた力により発生する回転、加速度の変化、角速度の変化、及び/又は衝撃等の運動状態を感知する。例えば、状態感知部104は、表示体1の加速度、角速度、及び/又は地磁気を感知するセンサを用いて構成できる。状態感知部104は、一例として、加速度、角速度、及び地磁気それぞれを計測するモーションセンサを用いて構成される。なお、モーションセンサは、加速度センサ、ジャイロセンサ、及び/又は地磁気センサを含んで構成できる。またジャイロセンサは、一例として、MEMSジャイロセンサであってよい。状態感知部104は、感知した運動状態を示す情報(以下、単に「運動状態」と称する場合がある。)を、表示決定部106、報知部110、及び発光領域114に供給する。
【0052】
ここで、運動状態とは、時間、位置、速度、及び/又は加速度や角速度で表現される表示体1の運動の状態をいう。運動の状態としては、表示体1の回転、移動、及び振動等が挙げられ、更に表示体1が回転している場合の回転数、表示体1の加速度や角速度の変化、及び/又は表示体1に加わった衝撃の大きさ等も挙げられる。
【0053】
(表示決定部106、表示制御部108)
表示決定部106は、状態感知部104から受け取った、状態感知部104が感知した運動状態に基づいて1以上の表示部に表示させる表示内容を決定する。表示決定部106は、格納部112に格納されている情報を用いて表示内容を決定できる。ここで表示決定部106は、表示内容をランダムに決定してよい。例えば、表示決定部106は、格納部112に格納されている情報をランダムに選択して表示内容を決定する。表示決定部106は、決定した表示内容を表示制御部108及び表示体側通信部100に供給する。そして、表示制御部108は、表示決定部106が決定した表示内容を1以上の表示部に表示させる。ここで、表示決定部106は、表示体1の運動状態が所定の運動条件を満たした場合、表示制御部108を制御し、決定した表示内容を1以上の表示部に表示させる。また、表示決定部106は、感知された運動状態が所定の運動条件を満たした場合と所定の運動条件を満たさない場合とで異なる内容の表示内容を決定することができる。更に、表示決定部106は、運動状態が所定の運動条件を満たした場合における表示内容を表示する表示部をランダムに決定することもできる。
【0054】
つまり、表示決定部106は、表示体1の運動状態が所定の運動条件を満たした場合、以下のいずれかのプロセスで表示制御部108を介して表示部に所定の表示内容を表示させる。
i)1以上の表示部の特定の1つの表示部に表示させる表示内容をランダムに決定する(この場合、表示体1は1つの表示部のみ備える構成であることを妨げない。)。
ii)1以上の表示部それぞれに表示させる表示内容をランダムに決定する。ただし、一の表示部に表示させる表示内容と他の表示部に表示させる表示内容とが重複しないようにする。
iii)1以上の表示部のうち、表示内容を表示させる表示部をランダムに1つ決定し、決定した表示部に表示内容を表示させる。
iv)上記i)と上記iii)とを組み合わせ、表示内容及び当該表示内容を表示させる表示部を決定する。
【0055】
ここで運動条件とは、表示体1の運動により達成される条件であって、表示体1の回転数、加速度、角速度、及び/又は加わった衝撃等で表される数値や量(あるいは、回転数、加速度、角速度、及び加わった衝撃等から選択される2以上の要素の組み合わせで算出される数値や量)により規定される条件である。例えば、運動条件としては、表示体1に外力が加わって回転した場合の回転開始からの回転の数が所定数以上である条件、表示体1に外力が加わって加速度が変化した場合の加速度の変化量が所定の変化量以上である条件(あるいは加速度が所定値以上である条件)、及び/又は表示体1に外力が加わって表示体の位置(例えば、地表からの高さ)の変化量が所定の変化量以上である条件等であってよい。なお、運動条件は格納部112に格納されていてよい。また、格納部112に格納されている運動条件は、情報端末2が入力部202を介して受け付けるユーザの指示に応じて変更可能であってよい。
【0056】
表示内容は、テキスト情報(数字情報を含む。以下同じ。)及び/又は画像情報等である。例えば、表示内容は、コイン状の形態を有する表示体1の場合、一方の面の表示部を「表」にし、他方の面の表示部を「裏」にすることを示す情報(例えば、「表」や「裏」を表す文字情報、及び/又は「表」や「裏」を示す画像情報等)である。なお、表示体1が3つ以上の表示部を備える場合、表示内容は各表示部の少なくとも1つに表示可能なテキスト情報及び/又は所定の画像情報(例えば、所定のキャラクタ画像等)であってよい。また、感知された運動状態が所定の運動条件を満たさない場合の表示内容は、例えば、表示体1の運動状態が適切ではなかったことを示す内容(例えば、エラー情報等)であってよい。なお、表示決定部106は、表示内容に対応する音声情報を当該表示内容に対応付けてもよい。この場合、表示体1は、表示制御部108が表示内容を表示部に表示させるときに当該表示内容に対応する音声情報を出力部(図示しない)から出力させてよい。
【0057】
したがって、例えば、所定の運動条件として表示体1が回転した場合の回転の数(回転数)が設定されている場合において、状態感知部104が感知した運動状態が当該回転数以上を示す場合、表示決定部106は、一方の面の表示部102又は他方の面の表示部102aのいずれか一方に表示する「表」若しくは「裏」であることを示す表示内容をランダムに決定する。また、表示決定部106は、表示内容を表示させる表示部をランダムに決定してもよい。そして、表示制御部108は、表示内容を表示させる表示部としての、一方の面の表示部102又は他方の面の表示部102aのいずれか一方に、「表」若しくは「裏」であることを示す情報を表示させる。
【0058】
また、表示決定部106は、状態感知部104が表示体1の所定の運動の開始を感知する前は表示内容及び/又は表示内容を表示させる表示部を決定せず、当該開始を感知した後若しくは当該開始の感知と同時に表示内容及び/又は表示内容を表示させる表示部を決定する。所定の運動とは、表示体1に加わった外力による表示体1の回転、移動、及び/又は振動等である。表示決定部106が所定の運動の開始前に表示内容を決定しないことで、コイントス等をするユーザに表示体1のいずれの面が「表」若しくは「裏」になるのかを事前に悟られることを防止できる。また、表示決定部106がランダムに表示体1のいずれかの面を「表」若しくは「裏」に決定する場合、ユーザに表示体1のいずれの面が「表」若しくは「裏」になるのかを事前により一層察知されにくくできる。
【0059】
(報知部110)
報知部110は、表示体1の運動状態が所定の運動条件を満たさない場合、表示決定部106がTCGの進行に要する表示内容を決定できない旨を示す情報(以下、「エラー情報」と称する。)を設定し、エラー情報をユーザに知覚可能に報知する。報知部110は、例えば、発光部、音声出力部、及び/又は振動部を有して構成できる。そして、報知部110は、発光部を発光させること、音声出力部から所定の音声を出力させること、及び/又は振動部を振動させることによりエラー情報を報知する。また、報知部110は、表示部102及び/又は表示部102aにエラー情報を表示させることもできる。
【0060】
例えば、所定の運動条件として表示体1が回転した場合の回転数が設定されている場合、状態感知部104が感知した運動状態が当該回転数未満を示す場合、表示決定部106は表示内容(例えば、一方の面の表示部102又は他方の面の表示部102aのいずれか一方に「表」であることを示す表示内容)を決定できない。そこで、報知部110は、係る表示内容の決定ができないことを示すエラー情報をユーザに報知する。例えば、報知部110は、表示部102及び/又は表示部102aにエラー情報を表示させる。これによりユーザは、表示体1の1以上の表示部に所定の情報が表示されない場合、表示体1が故障しているのではなく、表示体1に加えるべき外力が不足していたことを容易に把握できる。
【0061】
(表示体側通信部100及び表示決定部106の機能の例)
表示決定部106は、決定した表示内容を情報端末2に供給する。具体的に、表示体側通信部100は、表示決定部106から決定された表示内容を受け取り、情報端末2の情報端末側通信部204に当該表示内容を供給する。情報端末側通信部204は受け取った表示内容を情報端末側表示部200に供給する。そして、情報端末側表示部200は、この表示内容を表示する。これによりユーザは、表示決定部106が決定した表示内容(エラー情報を含む)を情報端末2において確認できる。なお、表示体1が目印部を備えている場合若しくは後述の発光領域114を備えている場合、情報端末側表示部200は、表示体1のいずれの面が表面であるか(若しくはいずれの面が裏面であるか)を表示してもよい。これによりユーザは、机等の平面に載置された表示体1のいずれの面が表になっているか(そして、いずれの面が裏になっており視認できないか)について容易に認識できる。
【0062】
また、表示決定部106は、表示体側通信部100を介して情報端末2から所定の運動条件(運動状態が満たすべき条件)を取得し、表示体1の運動状態が当該所定の運動条件を満たした場合に表示内容を決定した上、表示制御部108を制御して決定した表示内容を1以上の表示部に表示させてもよい。すなわち、情報端末2の入力部202は、ユーザからの所定の運動条件の入力を受け付ける。そして、情報端末側通信部204は、入力部202が受け付けた所定の運動条件を表示体側通信部100に供給する。続いて表示体側通信部100は、受け取った所定の運動条件を表示決定部106に供給する。表示決定部106は、当該所定の運動条件を用いて1以上の表示部に表示内容を表示させるか否かを決定することができる。
【0063】
(表示体1のマーカー若しくはカウンターとしての機能)
表示体1は情報端末2と連動することで表示部102に表示させる内容を変更できる。具体的に、表示制御部108は、情報端末2からの指示に応じ、1以上の表示部に所定の情報を表示させてもよい。すなわち、情報端末2の入力部202は、ユーザから所定の情報の入力を受け付ける。そして、情報端末側通信部204は、入力部202が受け付けた所定の情報を表示体側通信部100に供給する。続いて表示体側通信部100は、受け取った所定の情報を表示制御部108に供給する。表示制御部108は、当該所定の情報を表示部102に表示させる。表示制御部108は、複数の表示部の少なくとも1つに当該所定の情報を表示させる。
【0064】
この所定の情報としては、例えば、TCGにおいて用いるカードのダメージのカウント量、攻撃や防御の回数、カードの特定の状態(例えば、どく状態、ねむり状態、やけど状態等)を示す情報、ゲーム内で1回のみ使用可能な特性を使用したか否かを示す情報、及び/又は特別なプレイ・技を使用したか否かを示す情報等である。すなわち、本実施形態に係る表示体1は、所定の情報や所定の行為等の回数等を示すマーカーやカウンター(例えば、ダメージカウンター等)としても用いることができる。つまり、表示制御部108は、表示部102に表示する表示体1の運動状態に基づいて決定される表示モード(第1表示モード)と、情報端末2からの指示に応じて表示部102に表示する表示モード(第2表示モード)とを、情報端末2を介して受け付けるユーザの指示に応じて切り替えて表示させることができる。なお、表示体1は、第1表示モードと第2表示モードとのいずれか一方の表示モードのみを備えて構成することもできる。つまり、第1表示モードで所定の情報を表示部に表示させる表示体1を構成することも、第2表示モードで所定の情報を表示部に表示させる表示体1を構成することもできる。
【0065】
(発光領域114)
発光領域114は、表示体1の側面の領域に設けられ、所定の波長の光を発光する。発光領域114は、表示体1の側面の一部若しくは全部に設けることができる。発光領域114は、有機EL、無機EL、若しくはLED等、及び発光制御部で構成できる。発光領域114は、状態感知部104から受け取った情報に基づいて発光する。具体的に発光領域114の発光制御部は、状態感知部104から受け取った情報に基づいて表示体1のいずれかの面(例えば、一方の面)が上側を向いていることを検知した場合には発光領域114を発光させ、当該面が下側を向いていることを検知した場合には発光領域114を発光させない。これにより、一方の面及び他方の面のいずれが上側若しくは下側を向いているかについての視認性及び認識性を向上できる。
【0066】
<表示体1の処理の流れ>
図5は、本実施形態に係る表示体における処理の流れの一例を示す。
【0067】
まず、TCGをプレイする二人のユーザのうちの一方が、情報端末2の入力部202を介し、エラー情報ではない情報を表示部102に表示させる条件である所定の運動条件(例えば、表示体1の回転数等)を入力する(ステップ10。以下、ステップを「S」と表す。)。なお、表示体1に所定の運動条件を予め格納させている場合や、表示体1に予め格納されている所定の運動条件を変更することを要さない場合、S10は省略してもよい。情報端末側通信部204は入力部202に入力された所定の運動条件を表示体側通信部100に供給する。
【0068】
そして、表示決定部106は、表示体側通信部100を介して当該所定の運動条件を取得する(S12)。続いて、例えば、ユーザが表示体1を投げ上げる等することで表示体1に外力が加わる(S14)。状態感知部104は、表示体1の運動状態を感知し、感知した運動状態を表示決定部106に供給する(S16)。表示決定部106は、表示体1の運動状態を感知したことに応じ、表示部102に表示させる表示内容をランダムに決定し、表示内容を表示する表示部を決定する(S18)。ここで、表示決定部106は、表示内容を表示する表示部を予め定めておいてもよい。この場合、表示決定部106は、表示内容についてだけランダムに決定する。
【0069】
なお、表示決定部106は、表示内容を予め特定の内容に決定していてもよい。例えば、当該特定の内容は格納部112に予め格納していてよい。そして、表示決定部106は、格納部112に格納されている当該特定の内容に関する情報を表示内容として決定する。その上で表示決定部106は、表示内容を表示する表示部をランダムに決定する処理を実行する。
【0070】
そして、表示決定部106は、感知された運動状態が、受け取った所定の運動条件を満たしているか否かを判断する(S20)。感知された運動状態が所定の運動条件を満たしていない場合(S20のNo)、表示決定部106はS18で決定した表示内容を破棄し、所定の運動条件を満たしていない旨を報知部110に供給する(S22)。そして、報知部110はエラー情報を設定する(S22)。報知部110は、設定したエラー情報をユーザに知覚可能に報知する(S28)。
【0071】
一方、表示決定部106は、感知された運動状態が所定の運動条件を満たしている場合(S20のYes)、表示制御部108を制御し、表示内容を表示すると決定した表示部(若しくは予め定められた表示部)に、ランダムに決定した表示内容を表示させる(S24)。なお、表示決定部106は、表示内容が予め定められている場合はランダムに決定した表示部に当該表示内容を表示させる。また、表示決定部106は、表示体側通信部100を介して情報端末2に決定した表示内容を通知する(S26)。情報端末2は当該表示内容を情報端末側表示部200に表示させる。
【0072】
<表示体1の処理の流れの変形例>
図6は、本実施形態に係る表示体における処理の流れの変形例の一例を示す。図6の処理の流れは、表示内容の決定タイミングが異なることを除き、図5の処理の流れと略同一の工程を備える。したがって、同一の工程についての詳細な説明は省略し、異なる工程について説明する。
【0073】
まず、S10~S16の工程は図5における処理と同一である。変形例においては、S16の後に、表示決定部106が、感知された運動状態が、受け取った所定の運動条件を満たしているか否かを判断する(S20)。感知された運動状態が所定の運動条件を満たしていない場合(S20のNo)、所定の運動条件を満たしていない旨を報知部110に供給し、報知部110はエラー情報を設定する(S23)。報知部110は、設定したエラー情報をユーザに知覚可能に報知する(S28)。
【0074】
一方、表示決定部106は、感知された運動状態が所定の運動条件を満たしている場合(S20のYes)、表示部102に表示させる表示内容をランダムに決定し、表示内容を表示する表示部を決定する(S21)。ここで、表示決定部106は、表示内容を表示する表示部を予め定めておいてもよい。この場合、表示決定部106は、表示内容についてだけランダムに決定する。なお、表示決定部106は、表示内容を予め特定の内容に決定していてもよい。この場合、表示決定部106は、格納部112に格納されている当該特定の内容に関する情報を表示内容として決定した上、表示内容を表示する表示部をランダムに決定する処理を実行する。
【0075】
そして、表示決定部106は、表示制御部108を制御し、決定した表示部(若しくは予め定められた表示部)にランダムに決定した表示内容を表示させる(S24)。なお、表示決定部106は、表示内容が予め定められている場合はランダムに決定した表示部に当該表示内容を表示させる。その後の工程は図5における説明と同様である。
【0076】
<表示体1の処理の流れの他の例>
図7は、本実施形態に係る表示体における処理の流れの他の例を示す。図7における処理の流れは、情報端末2から表示体1に所定の情報を供給して表示させる処理の流れの一例である。
【0077】
まず、情報端末2の入力部202は、ユーザから所定の情報の入力を受け付ける(S30)。情報端末側通信部204は、入力部202が受け付けた所定の情報を表示体側通信部100に供給する。そして、表示制御部108は、当該所定の情報を取得する(S32)。表示制御部108は、当該所定の情報を複数の表示部102の少なくとも1つに表示させる(S34)。この場合において表示制御部108は、状態感知部104が感知した表示体1の状態に基づいて当該所定の情報を表示させる表示部を選択してもよい。例えば、表示制御部108は、状態感知部104が感知している表示体1の状態を参照し、上側を向いている表示部に当該所定の情報を表示させてもよい。なお、所定の情報とは「表示体1のマーカー若しくはカウンターとしての機能」において説明した情報である。
【0078】
<表示プログラム>
図1図7に示した本実施形態に係る表示体1が備える各構成要素は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)等の演算処理装置にプログラム(すなわち、表示プログラム)を実行させること、つまり、ソフトウェアによる処理により実現できる。また、集積回路(Integrated Circuit:IC)等の電子部品としてのハードウェアにプログラムを予め書き込むことで実現することもできる。なお、ソフトウェアとハードウェアとを併用することもできる。
【0079】
本実施形態に係る表示プログラムは、例えば、ICやROM等に予め組み込むことができる。また、表示プログラムは、インストール可能な形式、又は実行可能な形式のファイルで、磁気記録媒体、光学記録媒体、半導体記録媒体等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータプログラムとして提供することもできる。プログラムを格納している記録媒体は、CD-ROMやDVD等の非一過性の記録媒体であってよい。更に、表示プログラムを、インターネット等の通信ネットワークに接続されたコンピュータに予め格納させ、通信ネットワークを介してダウンロードによる提供ができるようにすることもできる。
【0080】
本実施形態に係る表示プログラムは、CPU等に働きかけて、表示プログラムを、図1図7にかけて説明した表示体側通信部100、1以上の表示部、状態感知部104、表示決定部106、表示制御部108、報知部110、格納部112、情報端末側表示部200、入力部202、及び/又は情報端末側通信部204として機能させる。
【0081】
[実施の形態の効果]
本実施形態に係る表示体1は、表示体1に所定の外力が加わった後、所定の運動条件を満たしたことを契機とし、表示部に表示する表示内容の決定、及び/又は1以上の表示部のいずれに表示内容を表示させるかについての決定を実行するので、ユーザに1以上の表示部のいずれに所定の表示内容が表示されるのか悟られることを防止できる。したがって、表示体1によれば、TCGにおいてコイントス等により決定を要するプレイが存在する場合、公平性を確保したコイントス等の実行が可能になる。
【0082】
つまり、表示体1によれば、表示体1自体を投げ上げる等の物理的な行為をユーザに要求した上で、TCGをプレイするユーザに知られることなく表示体1に表示する表示内容を決定できるので、ゲーム上の公平性を確保できると共にユーザはアナログ的なゲームの楽しさも感じることができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組み合わせの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0084】
1 表示体
2 情報端末
5A、5B ユーザ
30 プレイマット
31、31A、31B 山札配置部
32、32A、32B 準備カード配置部
33、33A、33B 勝敗条件カード配置部
34、34A、34B バトルカード配置部
35、35A、35B 消費カード配置部
91A、91B 山札
92A、92B カード
93A、93B 手札
100 表示体側通信部
102、102a、102n 表示部
104 状態感知部
106 表示決定部
108 表示制御部
110 報知部
112 格納部
114 発光領域
150 画像
200 情報端末側表示部
202 入力部
204 情報端末側通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7