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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081088
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】検査装置、照明装置、および検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20240610BHJP
   G01N 21/90 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G01N21/84 E
G01N21/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194546
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】506032473
【氏名又は名称】株式会社アイテックシステム
(72)【発明者】
【氏名】岡本 武博
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘実
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AB02
2G051BA01
2G051BB01
2G051BB20
2G051BC01
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB02
2G051EA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】透過光を用いた検査と反射光を用いた検査を正確に省スペースで行うことができる検査装置を提供する。
【解決手段】対象100に向かって光を射出する光照射装置20と、光照射装置からの光を受ける位置に配置されると共に、光照射装置から見て対象の向こう側に配置された照明装置10と、光照射装置の光によって照明された対象および照明装置の発光面の少なくとも一部を画角に収める状態で、対象を検査用に撮像可能な撮像装置30と、を備える検査装置である。照明装置は、並ぶように設けられた複数の光源11と、複数の光源からの光が透過する光拡散機能を有する拡散板12および色付き板13と、を備え、発光面である面13aは、白ではない色を有するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に向かって光を射出する光射出装置と、前記光射出装置からの光を受ける位置に配置されると共に、前記光射出装置から見て前記対象の向こう側に配置された照明装置と、前記光射出装置の前記光によって照明された前記対象および前記照明装置の発光面の少なくとも一部を画角に収める状態で、前記対象を検査用に撮像可能な撮像装置と、を備える検査装置であって、
前記照明装置は並ぶように設けられた複数の光源を備え、前記複数の光源からの光が前記発光面の位置で拡散するように構成され、
前記発光面は、白ではない色を有するように構成されている
検査装置。
【請求項2】
前記発光面は、分光測色計又は分光色彩計で測定したLab色空間における色の測定結果が、明度Lが80未満の範囲に入り、且つ、色度bが40以上且つ明度Lが60以上となる範囲に入らず、且つ、色度aが-20以上20以下且つ色度bが-20以上20以下且つ明度Lが70以上の範囲に入らない色を有するように構成されている
検査装置。
【請求項3】
前記発光面の位置には、
前記複数の光源からの光を拡散する拡散板と、
前記発光面を前記分光測色計で測定した測定結果が上記範囲に入らない色を有するように色付けされると共に、前記光の透過率が70%以下となるように構成された色付け板と、
が設けられている
請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記複数の光源と前記色付け板との間に前記拡散板が配置されている
請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記発光面における前記複数の光源側の面と反対側の面は算術平均粗さが0.2μm以上である
請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項6】
前記発光面における前記複数の光源側の面と反対側の面の光沢度は70%以下である
請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項7】
光照射装置から見て検査する対象の向こう側に配置されると共に、前記光射出装置からの光を受ける位置に配置される照明装置であって、
並ぶように設けられた複数の光源と、前記複数の光源からの光が透過する光拡散機能を有する前記発光面と、を備え、
前記発光面は、白ではない色を有するように構成されている
照明装置。
【請求項8】
前記発光面は、分光測色計で測定した測定結果が、明度Lは80以上の範囲に入らず、且つ、色度bが40以上且つ明度Lが60以上となる範囲に入らず、且つ、色度aが-20以上20以下且つ色度bが-20以上20以下且つ明度Lが70以上の範囲に入らない色を有するように構成されている
照明装置。
【請求項9】
前記発光面は、
前記複数の光源からの光を拡散する拡散板と、
前記発光面を前記分光測色計で測定した測定結果が上記範囲に入らない色を有するように色付けされると共に、前記光の透過率が70%以下となるように構成された色付け板と、
を有する
請求項7又は8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記複数の光源と前記色付け板との間に前記拡散板が配置されている
請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記発光面における前記複数の光源側の面と反対側の面は10点平均粗さが3μm以上である
請求項7又は8に記載の照明装置。
【請求項12】
前記発光面における前記複数の光源側の面と反対側の面の光沢度は70%以下である
請求項7又は8に記載の照明装置。
【請求項13】
光照射装置を設置するステップと、
前記光照射装置の光を受ける位置に照明装置を配置するステップであり、前記照明装置の発光面は、白ではない色を有するように構成されている、ステップと、
前記光照射装置と前記照明装置の発光面との間の検査位置に検査の対象を配置するステップと、
前記検査位置に配置された前記対象および前記発光面の少なくとも一部を前記光照射装置からの前記光によって照明するステップと、
前記光によって照明された前記対象および前記発光面の前記少なくとも一部の画像を撮像装置によって得る撮像ステップと、
撮像された前記画像に基づく検査を行うステップと、
を有する検査方法。
【請求項14】
前記発光面は、分光測色計で測定した測定結果が、明度Lは80以上の範囲に入らず、且つ、色度bが40以上且つ明度Lが60以上となる範囲に入らず、且つ、色度aが-20以上20以下且つ色度bが-20以上20以下且つ明度Lが70以上の範囲に入らない色を有するように構成されている
請求項13に記載の検査方法。
【請求項15】
前記照明装置からの光である背面光によって前記対象を照明するステップと、
前記背面光によって照明された前記対象の画像を前記撮像装置によって得るステップと、
をさらに有する請求項13又は14に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査装置、照明装置、および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置と照明装置との間に検査の対象が配置され、対象がその背面側から照明されている状態で撮像装置による撮像が行われる検査装置が知られている(特許文献1)。このような検査は透過光を使った検査と言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-186002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような検査装置は、例えば瓶の中身等の検査の対象の検査に用いられる。一方、当該瓶の外形等を検査する際は、他の検査装置による検査が行われる。例えば、他の検査装置では、光照射装置によって対象を照明しながら、光照射装置と同様の同じ側から他の撮像装置によって対象が撮像される。このような検査は主に反射光を用いた検査と言える。このように、透過光を用いた検査と反射光を用いた検査が別々の検査装置で行われることは、検査スペースを小さくするために好ましくない。2つの検査を正確に省スペースで行うことができることは当該技術分野において有用である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に係る検査装置は、対象に向かって光を射出する光射出装置と、前記光射出装置からの光を受ける位置に配置されると共に、前記光射出装置から見て前記対象の向こう側に配置された照明装置と、前記光射出装置の前記光によって照明された前記対象および前記照明装置の発光面の少なくとも一部を画角に収める状態で、前記対象を検査用に撮像可能な撮像装置と、を備える検査装置であって、前記照明装置は、並ぶように設けられた複数の光源と、前記複数の光源からの光が透過する光拡散機能を有する前記発光面と、を備え、前記発光面は、白ではない色を有するように構成されている。
【0006】
本発明の第2の態様に係る照明装置は、光照射装置から見て検査する対象の向こう側に配置されると共に、前記光射出装置からの光を受ける位置に配置される照明装置であって、並ぶように設けられた複数の光源と、前記複数の光源からの光が透過する光拡散機能を有する前記発光面と、を備え、前記発光面は、白ではない色を有するように構成されている。
【0007】
本発明の第3の態様に係る検査方法は、光照射装置を設置するステップと、前記光照射装置の光を受ける位置に照明装置を配置するステップであり、前記照明装置の発光面は、白ではない色を有するように構成されている、ステップと、前記光照射装置と前記照明装置の発光面との間の検査位置に検査の対象を配置するステップと、前記検査位置に配置された前記対象および前記発光面の少なくとも一部を前記光照射装置からの前記光によって照明するステップと、前記光によって照明された前記対象および前記発光面の前記少なくとも一部の画像を撮像装置によって得る撮像ステップと、撮像された前記画像に基づく検査を行うステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る検査装置の概略図である。
図2】本実施形態の検査装置に用いられる照明装置の拡散板および色付け板を外した状態の平面図である。
図3】本実施形態の照明装置の平面図である。
図4】本実施形態の照明装置の側面断面図である。
図5】本実施形態の照明装置の拡散板および色付け板が取り外された状態の側面断面図である。
図6】本実施形態の照明装置の色付け板の側面断面図である。
図7】本実施形態の検査装置によって撮像された写真の例である。
図8】本実施形態の検査装置によって撮像された写真の例である。
図9】本実施形態の検査装置によって撮像された写真の例である。
図10】本実施形態の検査装置によって撮像された写真の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る検査装置について図1図10を参照して以下に説明する。一例では、検査装置は照明装置10と、光照射装置20と、撮像装置30と、を備え、検査の対象100の検査に用いられる。撮像装置30は公知のエリアカメラ、ラインセンサカメラ、その他の公知のカメラ等である。
本実施形態では、照明装置10は、図1に示すように検査の対象100に背面101の側からの光である背面光を照射する。図2および図3に示すように、照明装置10は、X方向およびY方向に並ぶように設けられた複数の光源11を有する。本実施形態では各光源11はチップ型LED、砲弾型LED等のLED素子である。複数の光源11はX方向に互いに間隔をおいて配置され、当該間隔は数mm、十数mm等である。各光源11が光ファイバの先端等であってもよい。
【0010】
本実施形態では、図1および図2に示すX方向およびY方向に複数の光源11が並んでいるが、光源11はX方向およびY方向が含まれる平面内で並んでいればよい。図1および図2に示すように、Y方向はX方向に直交しており、X方向およびY方向に直交する方向はZ方向である。また、複数の光源(LED)11のZ方向の位置が互いに数mm、数cm等異なっていてもよい。この場合でも、複数の光源(LED)11のZ方向の位置が完全に一致している時と同じ作用効果が達成され得る。このため、本実施形態では、複数の光源(LED)11のZ方向の位置が互いに数mm、数cm等異なっていても、複数の光源(LED)11はX方向およびY方向が含まれる平面内で並んでいるものとする。
【0011】
この照明装置は、複数の光源11を支持する基板11aと、図示しない回路、配線等を格納している筐体10aを有する。筐体は金属、プラスチック等から成る。筐体からは電力線、信号線等が入っているケーブル10bが出ており、ケーブル10bはこの種の照明用として公知の電源装置40に接続されている。筐体10aの底面10cはX方向およびY方向に沿った方向に延びており、複数の光源11は筐体10a内に底面10cに沿った方向に並んでいる。筐体10aは底面10cと反対方向に開口部を有する。
【0012】
この照明装置は、複数の光源11からの光を拡散する拡散板12を有し、拡散板12は筐体10aの開口部に取付けられる。拡散板12として公知の拡散板が使用可能である。拡散板12はX方向およびY方向に各光源11からの光を拡散させるもの、X方向、Y方向等のある一方向に主に光を拡散させるもの等であればよい。拡散板12としてプラスチック製の拡散板、ガラス製の拡散板等が使用可能である。本実施形態では、光拡散剤を分散させた透明なアクリル樹脂から成る拡散板が採用されている。光拡散剤は公知の様々なものを使用可能であり、例えばビーズ状、粉状等の光拡散剤が使用される。拡散板12は、1mm未満の厚さのフィルム状に形成される場合もあり、1mm以上の厚さである場合もある。
【0013】
この照明装置は、色付け板13を有し、色付け板13は筐体10aの開口部に取付けられる。本実施形態では色付け板13と複数の光源11との間に拡散板12が配置されている。色付け板13として、紫色、青色、緑色、黄色、橙色、赤色、茶色、灰色、黒色、これらの近似色、又はこれらが混合された模様若しくは色を有するプラスチック製又はガラス製の透光性を有する板を使用可能である。前記混合された色は、例えば上記色のうち第1の色の複数のドットと第2の色の複数のドットから成る。前記模様は、第1の色と第2の色とから成るストライプ模様、格子模様等である。
【0014】
本実施形態では、色付け板13として、顔料、染料等を分散させた透明なアクリル樹脂から成る色付け板が採用されている。色付け板13の色が黒、灰色等の無彩色の場合は、色付け板13はスモーク板と呼ばれる場合もある。
色付け板13の光透過率は70%以下であり、60%以下であることが好ましく、本実施形態では50%以下である。色付け板13として、光透過率が上記となる公知の様々な色付け板が使用可能である。色付け板13は、1mm未満の厚さのフィルム状に形成される場合もあり、1mm以上の厚さである場合もある。
【0015】
なお、拡散板12および色付け板13は、シートと呼ばれる薄い板であってもよい。つまり、拡散板12は拡散シートを含み、色付け板13は色付けシートを含む。
また、色付け板13は、拡散板12の対象100側の表面に形成された膜であってもよい。膜は塗装膜のように拡散板12の表面に形成され得る。
本実施形態では、照明装置10の色付け板13から射出された光が対象100に届く。このため、色付け板13における光源11側の面と反対側の面13aが照明装置10の発光面として機能する。
【0016】
光照射装置20として、様々な照明装置を使用可能である。例えば色付け板13を有しない照明装置10を光照射装置20として使用可能である。または、ライン状の光を照射するライン照明装置、ライン状光照明装置等と呼ばれる公知の照明装置を用いることも可能である。ライン状の光の短手方向の寸法、つまり検査用撮像に適した照度が確保されている光の幅は例えば30mm以下となる。ライン照明装置に対し、照明装置10はライン状ではないエリアを照明するのでエリア照明装置と呼ばれる場合がある。光照射装置20として対象100に応じた照明装置を適宜使用できる。光照射装置20はこの種の照明用として公知の電源装置50に接続されている。
【0017】
本実施形態では、色付け板13の面13aの算術平均粗さは0.2μm以上である。算術平均粗さはJIS B 0601-2001の方法又はそれに準じた方法に沿って測定される。当該構成によって、面13aの60度光沢(60度鏡面光沢)は70%以下となっており、より好ましくは60%以下になっており、さらに好ましくは50%以下になっている。当該光沢度はJIS Z 8741の60度鏡面光沢の方法又はそれに準じた方法に沿って測定される。
【0018】
本実施形態では、図6に示すように、面13aに複数の微小な凸部13bが形成され、複数の凸部13bによって面13aの算術平均粗さが上記の値となっている。微小な凸部13bの形状は様々な形状であってよいが、例えば図6に示すように各凸部13bが凸レンズ形状を有する。ここで言う凸レンズ形状を有する各凸部13bは、図6に示すように全体として曲面状に突出している部分であり、各凸部13bの中に凹部13c、複数の凸部および凹部から成るアンジュレーション13d等が存在していてもよい。複数の凸部13bの形状やサイズが互いに異なっていてもよい。本実施形態では各凸部13bをZ方向から見た時の大きさDは好ましくは200μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、更に好ましくは20μm以下である。検査対象やその他の条件に応じて、上記を超える大きさDの凸部13bが採用される場合もあり得るが、基本的には大きさDは小さいことが好ましい。
【0019】
本実施形態では、例えば、透過光を使った検査の後に主に反射光を用いた検査が行われるが、逆でもよい。本実施形態では、透過光は「背面光」と称される場合もある。
本実施形態ではZ方向が上下方向である。先ず、照明装置10は面13aが上を向くように設置され、照明装置10は光照射装置20の光を受ける位置に設置される。図1に示すように、照明装置10の発光面である面13aの上に検査の対象100が載置される。
【0020】
続いて、電源装置40からの電力によって照明装置10が発光する。そして、照明装置10からの光である背面光によって照明された対象100の画像が撮像装置30によって撮像される。撮像された画像の一例が図7に示されている。
図7は、透明な袋に入れられた小袋ソースの画像であり、背面光によって小袋の綴じている部分の異物、小袋内の異物等を検査できる。図7は照明装置10の光量が抑えられているが、照明装置10の出力を上げることにより小袋内の異物がより鮮明に見えるようになる。
【0021】
続いて、主に反射光を用いた検査のために、電源装置50からの電力によって光照射装置20が発光する。そして、光照射装置20からの光によって照明された面13aの少なくとも一部と対象100の画像が撮像装置30によって撮像される。撮像された画像の一例が図8に示されている。前記少なくとも一部の一例は図8のように対象100の周囲(全周)であり、図8では対象100の周囲が照明され撮像されている。前記少なくとも一部の他の例は対象100の周囲の一部である。例えば図9のように対象100の周囲の一部が照明され撮像される。
【0022】
本実施形態では、発光面である面13aは、白ではない色を有するように構成され、紫色、青色、緑色、黄色、橙色、赤色、茶色、灰色、黒色、これらの近似色、又はこれらが混合された色若しくは模様を、観察者が認識できるものである。
比較例として、図10に、色付け板13を取外した照明装置10を用いた上記検査装置において、前記の主に反射光を用いた検査で撮像された画像を示す。この場合、照明装置10の発光面は拡散板12の表面となる。なお、一般的に、光透過率を上げるために拡散板12の色は観察者が色無しの透明、白、薄黄色等と認識する色である。なお、どのような物体も当たる光の色、光の量等に応じて、観察者が認識する色が変化するので、念のため補足する。本実施形態においては、比較的明るい曇天において観察者が、観察する物体の色を、紫色、青色、緑色、濃い黄色、橙色、赤色、茶色、灰色、黒色、これらの近似色と認識するか、色無しの透明、白、薄黄色等と認識するかが基準となる。なお、本実施形態において黄色は濃い黄色を意味する。
【0023】
なお、本実施形態では、上記の色の認識を公知のL*、a*、b*色空間(以下、単に「Lab色空間」と記載する)において考えることができる。ここで述べるLab色空間は、L*(以下、単に「L」と記載する)の範囲が0~100、a*(以下、単に「a」と記載する)の範囲が-60~60、b*(以下、単に「b」と記載する)の範囲が-60~60である公知のLab色空間である。明度Lが80を超える範囲、好ましくは70を超える範囲、より好ましくは60を超える範囲は、上記の判断で、紫色、青色、緑色、黄色、橙色、赤色、茶色、灰色、黒色、これらの近似色ではないと見なすことができ、白、色無しの透明、又は薄黄色であると見なすことができる。加えて、色度bが40以上の範囲且つ明度Lが60以上の範囲、好ましくは色度bが30以上の範囲且つ明度Lが60以上の範囲は上記の判断で白、色無しの透明、又は薄黄色と見なすことができ、紫色、青色、緑色、黄色、橙色、赤色、茶色、灰色、黒色、これらの近似色ではないと見なすことができる。加えて、色度aが-20以上20以下の範囲且つ色度bが-20以上20以下の範囲且つ明度Lが70以上の範囲は上記の判断で白、色無しの透明、又は薄黄色と見なすことができ、紫色、青色、緑色、黄色、橙色、赤色、茶色、灰色、黒色、これらの近似色ではないと見なすことができる。
【0024】
上記のLab空間の範囲内か否かを判断するための一例として、日本電色工業株式会社製のSD-6000、SD-7000等の公知の分光色彩計、コニカミノルタ(登録商標)社製のCM-26dG、CM-26d、CM-25d、CM-25cG等の公知の分光測色計を用いることも可能である。分光色彩計および分光測色計の測定結果で上記の指定する範囲に入らない場合に、下記の本願発明の効果が得られ、上記の「好ましくは」で指定された範囲に入らない場合に、下記の本願発明の効果がより顕著に得られる。なお、分光測色計による発光面のLab測定は、照明装置10を発光させない状態で行われる。
【0025】
なお、色付け板13自体について分光測色計による発光面のLab測定を行った結果が上記であることがより好ましい。この場合は下記の本願発明の効果がより顕著に得られる。
【0026】
また、面13aの光沢度が上記の範囲内か否かを判断するための一例として、CM-26dG等の計測器を用いることが可能である。計測器の60度光沢(60度鏡面光沢)が上記の値になる面13aは、下記の本願発明の効果に貢献する。
【0027】
本実施形態の図8は比較例の図10と比較すると、当該写真の状態で、対象100の輪郭がはっきり見える。対象100はZ方向の寸法が小さいので光照射装置20による影が比較的出難い。しかし、実際は光照射装置20を配置するスペースの問題、対象100の形状等によって、光照射装置20によって対象100を照射した時に照明装置10の発光面の前記少なくとも一部に対象100の影がでる。図10でも対象100の下側に影がでている。この時、本実施形態では発光面は、前記特性を有するので、撮像装置30によって得られる画像で比較例よりも影が見え難くなる。前述の色付け板13の光の透過率も当該結果に影響を与えると考えられる。前述の発光面の算術平均粗さや形状も当該結果に影響を与えると考えられる。
【0028】
上記の対象100の輪郭がはっきり見える効果および影が見え難くなる効果は、得られた画像に二値化処理等を行うと共に形状検査、異物検査、傷検査、その他の異常検査等を行う時に、当該検査の精度の向上、当該検査の設定の容易化等に貢献する。
【0029】
また、本実施形態では、発光面である面13aに各々が凸レンズ形状を有する複数の凸部13bが設けられ、各凸部13bが全体として曲面状に突出し、これにより前述の光沢度が実現されている。プリズムのような凸部が面13aに敷き詰められていると、光照射装置2の位置、方向等によっては、光照射装置2からの光がプリズムのような凸部によって撮像装置30に正反射される可能性がある。本実施形態の構成は、光照射装置2からの光を撮像装置30に正反射させる平面の縮小又は防止に繋がる。これは、上記の対象100の輪郭が見え易くなる効果および影が見え難くなる効果の達成のために有用である。
【0030】
本実施形態では、光照射装置20からの光を受ける位置であり光照射装置20から見て対象100の向こう側に照明装置10が配置され、撮像装置30によって対象100および照明装置10の発光面の少なくとも一部が入る画像が得られる。また、照明装置10の発光面の位置で複数の光源11からの光が拡散する。本実施形態では、この発光面の位置に、拡散板12と色付け板13とが設けられている。
また、本実施形態では、発光面は、分光測色計で測定したLab色空間における色の測定結果が、明度Lが80未満の範囲に入り、且つ、色度bが30以上且つ明度Lが50以上となる範囲に入らず、且つ、色度aが-20以上20以下且つ色度bが-20以上20以下且つ明度Lが50以上の範囲に入らない色を有するように構成されている。
当該構成によって、上記のように、対象100の輪郭が見え易くなる効果および影が見え難くなる効果が達成される。
【0031】
なお、本実施形態では、発光面の位置に拡散板12のみが設けられ、拡散板12が色付け板13のように着色されていてもよい。この場合、拡散板12の表面が発光面となり、分光測色計で測定したLab色空間における色の測定結果が上記のようになる。この場合でも前述と同様の作用効果が達成される。なお、拡散板12をこのように着色した場合と上記実施形態とを比較した場合、両者の分光測色計の色の測定結果が同等であれば、上記実施形態のように拡散板12と着色板13とを有する場合の方が光源11からの光のロスが少なくなる傾向がある。つまり、上記実施形態の方が発光面の位置の光の透過率が高くなる傾向がある。これは光量の向上を行う上で有利である。
【0032】
なお、拡散板12の色付け板13側の面と色付け板13の色付け板13側の面の少なくとも一方の算術平均粗さが0.2μm以上であることが好ましい。当該構成により、拡散板12と色付け板13との接触面でモアレ干渉縞が発生することが防止される。
【0033】
また、光源11として主に赤外光を射出するものを用いることも可能である。この場合の撮像装置30は赤外光に対応したものとなる。赤外光の色付け板13の透過率は白色光の場合よりも高い傾向があるので、当該構成は照明装置10による対象100の照明の際の色付け板13による光のロスを低減する上で有用である。
【0034】
本実施形態では図1に示すように照明装置10の面13aの上に検査の対象100が載置される。代わりに、対象100が透明なコンベヤ上に載置され、コンベヤの下方に照明装置100が配置されてもよい。この場合でも上記と同様の作用効果を達成し得る。また、例えば図1においてX方向が上下方向である場合、対象100が照明装置10の発光面の近傍を落下し、その際に上記の透過光を使った検査および主に反射光を用いた検査がお行われる。
【0035】
また、本実施形態では色付け板13と複数の光源11との間に拡散板12が配置されているが、拡散板12と複数の光源11との間に色付け板13配置される構成も可能である。しかし、色付け板13と複数の光源11との間に拡散板12が配置される方が上記効果を顕著に得ることができる傾向がある。
【符号の説明】
【0036】
10…照明装置、11…光源、12…拡散板、13…色付け板、20…光照射装置、30…撮像装置、100…対象
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