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  • 特開-課題リコメンドシステム 図1
  • 特開-課題リコメンドシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081090
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】課題リコメンドシステム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20240610BHJP
   G09B 7/04 20060101ALI20240610BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20240610BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
G09B19/00 G
G09B7/04
G06Q50/20 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194550
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】520113217
【氏名又は名称】株式会社大阪教育研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100173277
【弁理士】
【氏名又は名称】紀田 馨
(72)【発明者】
【氏名】東野 友昭
(72)【発明者】
【氏名】山崎 俊彦
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C028AA03
2C028BA01
2C028BB04
2C028BC01
2C028BD01
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来の課題リコメンドシステムでは、生徒が確信をもって回答できていたのか、本当は理解しているにもかかわらず緊張のあまりに誤答したに過ぎないのか、正解に至ることを当初から放棄した投げやりな状態で回答し、当然の結果として誤答を連発しているのかといった、熟練した人間の教師が視覚や聴覚などを通じて肌感覚で捉えている生徒の状況を十分に反映させることができていなかった。
【解決手段】ユーザが回答内容に確信をもっていることを受付可能な確信度入力ボタンを備えさせ、ユーザに確信度を入力させ、さらに回答時の自律神経、ユーザの感情を取得することで、ユーザが真に理解している課題、理解していない課題を把握可能とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
問題、当該問題の正解、当該問題に付されたタグと当該タグの重要度からなるタグブックを管理している問題データベースと、
ユーザが回答内容に確信をもっていることを受付可能な確信度入力ボタンと、
を備えた課題リコメンドシステムであって、
当該あるユーザがある問題を回答する際に、ユーザが確信をもって回答する場合には確信度入力ボタンの入力を受け付け動作し、ユーザが確信をもたずに回答する場合には確信度入力ボタンの入力を受け付けないことで動作しないものとし、当該確信度入力ボタンの動作の有無を、当該ある問題の回答内容に関連付けて記録することを特徴とする課題リコメンドシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の課題リコメンドシステムであって、
回答している際のユーザの様子を撮影するカメラを備え、
上記カメラにより得られたユーザの様子を映した映像から、ある問題を回答中のユーザが交感神経優位の状態であるのか副交感神経優位の状態であるのかを判別する映像解析手段を有し、
上記ある問題の回答内容に関連付けて交感神経優位であるのか副交感神経優位であるのかを記録することを特徴とする課題リコメンドシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の課題リコメンドシステムであって、
回答している際のユーザの様子を撮影するカメラを備え、
上記カメラにより得られたユーザの様子を映した映像から、当該ある問題を回答中のユーザがポジティブな感情を有している状態であるのかネガティブな感情を有しているのかを判別し記録する機能をも有したことを特徴とする課題リコメンドシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の課題リコメンドシステムであって、
回答している際のユーザについてのデータを取得するセンサを備え、
当該センサから得られた情報を用いて当該ある問題を回答中のユーザが交感神経優位の状態であるのか副交感神経優位の状態であるのかを判別するデータ解析手段を有し、
上記ある問題の回答内容に関連付けて交感神経優位であるのか副交感神経優位であるのかを記録することを特徴とする課題リコメンドシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の課題リコメンドシステムであって、
上記ある問題の回答の正誤、及び確信度入力ボタンの作動の有無に応じて、上記ある問題に付されたタグの重要度を変化させることを特徴とする課題リコメンドシステム。
【請求項6】
請求項2または4に記載の課題リコメンドシステムであって、
上記ある問題の回答の正誤、及び確信度入力ボタンの作動の有無、及び交感神経優位であるか副交感神経優位であるかに応じて、上記ある問題に付されたタグの重要度を変化させることを特徴とする課題リコメンドシステム。
【請求項7】
請求項3に記載の課題リコメンドシステムであって、
上記ある問題の回答の正誤、及び確信度入力ボタンの作動の有無、及び上記ユーザがポジティブな感情を有しているかネガティブな感情を有しているかに応じて、上記ある問題に付されたタグの重要度を変化させることを特徴とする課題リコメンドシステム。
【請求項8】
コンピュータを、
問題、当該問題の正解、当該問題に付されたタグと当該タグの重要度からなるタグブックを管理している問題データベースと、
ユーザが回答内容に確信をもっていることを受付可能な確信度入力ボタンと、
として動作する課題リコメンドシステムとして機能させるプログラムであって、
当該あるユーザがある問題を回答する際に、ユーザが確信をもって回答する場合には確信度入力ボタンの入力を受け付け動作し、ユーザが確信をもたずに回答する場合には確信度入力ボタンの入力を受け付けないことで動作しないものとし、当該確信度入力ボタンの動作の有無を、当該ある問題の回答内容に関連付けて記録することを特徴とする課題リコメンドシステムとして機能させるプログラム。
【請求項9】
請求項1に記載のコンピュータを課題リコメンドシステムとして機能させるプログラムであって、
上記ある問題の回答の正誤、及び確信度入力ボタンの作動の有無に応じて、上記ある問題に付されたタグの重要度を変化させることを特徴とするコンピュータを課題リコメンドシステムとして機能させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習する際の課題をリコメンドするシステムに関し、ユーザが真に苦手としている問題であるか、あるいは単なるケアレスミスであるのかを判別することで、ユーザにとってより学習効率の高い問題をリコメンドするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの開発黎明期より様々な自習支援システムが開発されてきており、学習者のレベルに応じた適切な課題を提供するサービスが実用化されて久しい。これらのサービスへのアクセスには、広く普及しているパーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット等を用いることができるようになってきた。そのため、多くの時間を費やすことが必要な各種試験対策を目的とした各種サービスが提供されており、高等学校受験対策、大学受験対策、各種資格試験受験対策、語学試験対策などがその典型である。
【0003】
いずれも一定以上の点数を取得する必要がある試験をターゲットとし、これらの試験で出題される問題について正解を解答するだけの知識、学力を身につけさせるべく知識、学力を効率よく取得することを支援するべく設計されている。
【0004】
一般に、正解した問題について次回も正解できるとは必ずしも限らないが、誤った問題を次回正解する可能性よりは高い。そのため、誤った問題のみを繰り返し取り組むことで、次回は誤りを正解へと変えていく学習方法が、限られた学習時間を有効に活用するために重要である。
【0005】
そのため、多くのサービスでは、誤った問題を再学習させる機能を備えている。誤った問題をそのまま再出題することでも一定の効果は得られるが、解答直後に再学習した場合では、選択肢の関係等から、本質を理解していないにも関わらず正解を選んでしまう可能性を排除できない。そのため、誤った問題が真に問うていたテーマと同じテーマに属する別の問題を再出題することで、ユーザに当該テーマの学習を促すことが効果的である。
【0006】
この点について、英語学習を例にして考えてみたい。我が国では、英語の学習にあたっては、
1 基本文法 動作動詞と状態動詞、現在形と現在進行形、過去形と過去進行形など、
2 助動詞 推薦のmayとcanとmust、助動詞と完了形、助動詞の慣用表現など、
3 仮定法 仮定法過去、未来に関する仮定、倒置法による仮定法など
4 動名詞 動名詞の用法、動名詞の否定形など
といった体系を順に学習することが一般的である。
【0007】
そのため、英語の関する試験も文法を習得できているかの確認という観点が強い。英語に関する多くの問題集や学習支援システムも、どの文法に関する問題を出題しているのかという観点から分類されている複数の問題から構成されている。例えば、次に示す問題である。
【0008】
問題1 以下の( )に適切と考えられる選択肢を選びなさい。
The wedding party ( ) a lot of money. There were a lot of guests, and the hotel was the best in the city.
1 must have cost
2 cannot have cost
3 could not cost
4 will cost
【0009】
この問題であれば、空欄に入る正解選択肢であるmust have costに関わる文法項目である「助動詞+完了形」が問題を示すテーマとなり、この問題が属するのは上記の体系でいうと2 助動詞の「助動詞と完了形」ということになる。
【0010】
しかし、この問題の解答のポイントは第2文の”were”や”was”にあり、これらが過去形であることの理解が必須である。すなわち、過去形を理解していないユーザは、助動詞の理解があってもこの問題の正解にたどりつくことはできない。
【0011】
従来の学習支援システムが再出題を行う際は、この点を無視して、解答欄に関わる文法項目である助動詞や完了形という点に”のみ”依拠して次に解くべき問題が推薦されるため、本質的な対策とはいえない問題を推薦するばかりである。そのため、過去形についての問題を解答することによる学力の向上につなげることはできないままとなり、学力の向上、知識の習得という観点からは効率的とはいえない状態であった。
【0012】
さらには、教師が生徒の達成状況を判断する際には、問題の文法上のテーマのみならず、問題の背景知識を事前に知っているか否という他分野要素、出題形式や空欄数といった形式的要素、問題文の長さや単語の難易度、迷いに迷って解答したのか運否天賦の鉛筆ころがしで解答したのかといった心理的要素なども勘案することが行われているが、そのような要素も考慮されてはいなかった。
【0013】
ところで近年、人工知能が大規模に実用化されている状況である。人工知能の得意分野としてパターンマッチングがあるが、学習支援システムにおいてはユーザが誤答した問題がどのパターンに属するのか、すなわち誤答した問題と類似する問題を計算するために用いられる。人工知能を用いると一見理解できないが実は重要な関連があり、テーマ理解に資する問題を推薦できる可能性も秘めており、有望な技術である。
【0014】
一方、人工知能技術等を用いた情報推薦技術の一番の弱点は、なぜその問題が類似していると計算されたのか、”理由”を明示できないし、専門家の”知見”を”理由”とからめて出力結果にうまく反映させるのが困難である点にある。
【0015】
この点に着目し、特許文献1では、専門家が各問題それぞれにタグを複数付し、あるユーザに類似したユーザが苦手とした問題のうちから、当該あるユーザが選択したタグが付された問題を選択可能として課題リコメンドシステムが記載されている。このシステムを用いることで、ユーザが苦手とする可能性の高い問題、かつ、ユーザが未だ解答していない問題のみをリコメンドすることができ、知識の習得にかかる効率を大幅に向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許公開2020―065068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献1に記載の発明によって、熟練した教師が生徒の達成状況を判断する際に用いる、問題の背景知識を事前に知っているか否という他分野要素、出題形式や空欄数といった形式的要素、問題文の長さや単語の難易度、迷いに迷って解答したのか運否天賦の鉛筆ころがしで解答したのかといった心理的要素なども勘案することが可能となり、さらに、ビッグデータを処理する際に用いられる人工知能技術を用いる際に専門家の“知見”を“推薦した理由”とからめて出力結果に反映させることが可能となった。
【0018】
特許文献1に記載の発明において、誤答したか否かの判断は、ユーザが提示された課題を検討して入力した回答が正解であったのか誤答であったによって決定される。ユーザの視線を捉えるカメラ、ユーザの音声を捉える集音マイク、ユーザが解答に要した時間を経時する機能を備えているものの、出願当時の実装では、それらのデバイスで得た情報を正誤判定に直接用いていなかった。
【0019】
その結果として、生徒が確信をもって回答できていたのか、本当は理解しているにもかかわらず緊張のあまりに誤答したに過ぎないのか、正解に至ることを当初から放棄した投げやりな状態で回答し、当然の結果として誤答を連発しているのかといった、熟練した人間の教師が視覚や聴覚などを通じて肌感覚で捉えている生徒の状況を十分に反映させることができていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そこで本発明では、
問題、当該問題の正解、当該問題に付されたタグと当該タグの重要度からなるタグブックを管理している問題データベースと、
ユーザが回答内容に確信をもっていることを受付可能な確信度入力ボタンと、
を備えた課題リコメンドシステムであって、
当該あるユーザがある問題を回答する際に、ユーザが確信をもって回答する場合には確信度入力ボタンの入力を受け付け動作し、ユーザが確信をもたずに回答する場合には確信度入力ボタンの入力を受け付けないことで動作しないものとし、当該確信度入力ボタンの動作の有無を、当該ある問題の回答内容に関連付けて記録することを特徴とする課題リコメンドシステムを提供する。
【0021】
さらに、
回答している際のユーザの様子を撮影するカメラを備え、
上記カメラにより得られたユーザの様子を映した映像から、ある問題を回答中のユーザが交感神経優位の状態であるのか副交感神経優位の状態であるのかを判別する映像解析手段を有し、
上記ある問題の回答内容に関連付けて交感神経優位であるのか副交感神経優位であるのかを記録することを特徴とする課題リコメンドシステムを提供する。
【0022】
さらに、
回答している際のユーザの様子を撮影するカメラを備え、
上記カメラにより得られたユーザの様子を映した映像から、ある問題を回答中のユーザがポジティブな感情を有している状態であるのかネガティブな感情を有しているのかを判別し記録する機能をも有したことを特徴とする課題リコメンドシステム。
【0023】
さらに、
上記ある問題の回答の正誤、及び確信度入力ボタンの作動の有無に応じて、上記ある問題に付されたタグの重要度を変化させることを特徴とする課題リコメンドシステム。
【0024】
さらに、上記ある問題の回答の正誤、及び確信度入力ボタンの作動の有無、及び交感神経優位であるか副交感神経優位であるか、ユーザがポジティブな感情を有しているかネガティブな感情を有しているかの4つの情報に応じて、上記ある問題に付されたタグの重要度を変化させることを特徴とする課題リコメンドシステム。
【発明の効果】
【0025】
本発明の課題リコメンドシステムは、確信度入力ボタンを通じてユーザが回答内容に確信をもっているのか否かを得ることができる。そのために、ユーザの回答が正しい場合に、ユーザが確信をもって正答にたどり着いたのか、不安をもっていたのかの情報を利用して、ユーザに適した問題をリコメンドすることが可能となる。
【0026】
さらに、ユーザが交感神経優位であるか、または副交感神経優位であるかの情報を得ることも可能であり、当該情報を利用してユーザに適した問題をリコメンドすることが可能となる。また、ユーザがポジティブな感情を有しているか、またはネガティブな感情を有しているかの情報を得ることも可能であり、当該情報を利用してユーザに適した問題をリコメンドすることも可能となる。
【0027】
さらに、タグの重要度を問題の回答の正誤、及び確信度入力ボタンの作動の有無、及び交感神経優位であるか副交感神経優位であるか、ユーザがポジティブな感情を有しているかネガティブな感情を有しているかの4つの情報に応じて変化させることで、ユーザに真に適した問題をリコメンドするよう、情報推薦エンジンの学習を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明を実施するシステムの概要
図2】本発明の動作を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の課題リコメンドシステム1について、以下図を参照しながら説明する。課題リコメンドシステム1は、サーバ2、クライアント端末3から構成されている。図1は、課題リコメンドシステム1の概要を示している。図2は、フローチャート図である。
【0030】
課題リコメンドシステム1は、語学学習、とくに英語学習を対象として説明を行う。しかしながら、本発明の適用範囲は語学学習に限定したものではなく、例えば歯科学、法律学、工学、会計学といった様々な知識の学習に応用可能である。
【0031】
図1に示すとおり、課題リコメンドシステム1は、インターネット1000により互いに接続されたサーバ2とクライアント端末3で構成されている。サーバ2とクライアント端末3はそれぞれ複数の機器により提供されている。インターネット1000ではなく、イントラネット等の閉じたネットワークによって接続されていてもよい。ネットワーク接続をもたないシステムであってもよく、その場合は、サーバ2とクライアント端末3の機能を単独の機器により実現していてもよい。
【0032】
課題リコメンドシステム1の動作の概要を説明すると、サーバ2が管理している英語学習に有用な問題集4から、ユーザ5のユーザレベル61にあった問題を選定した上でクライアント端末3へ送信・表示し、ユーザ5がクライアント端末3を通じて回答を行う。ユーザ5の回答内容を解析し、ユーザ5の学習に有用な問題をリコメンドするというものである。
【0033】
サーバ2は、CPU、RAM、HDDやSDDなどのストレージ、ネットワークカード、電源などから構成されたハードウェアである。当該ハードウェア上にて実行されるソフトウェアと協働することによって英語に関する様々な問題である問題集4が管理されている問題データベース21、問題データベース21から抽出された問題41をWebページとして動的に生成するWebページ生成手段22、クライアント端末3との送受信を行う通信手段23、ユーザ5の情報を管理するユーザ情報管理手段24、ユーザ5のユーザレベル52を管理するユーザレベル管理手段25、ユーザ5のタグブック44を管理するタグブック管理手段26として機能する。
【0034】
サーバ2自身への制御を可能とするためのキーボードやマウス、トラックパッドなどのポインティングデバイス、サーバ2自身の情報を表示するためのディスプレイ等を備えても良い。なお、データベースは既存のDBMSを用いてもよいし類似の機能を有する代替ソフトウェアを用いても構わない。Webページ生成手段22はHTMLを生成するものであるが、PDFやPSなどの他の言語を用いてもよく、問題41をユーザが認識可能な情報に加工するものであればよい。
【0035】
クライアント端末3は、パーソナルコンピュータ、タブレット型パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどであり、より具体的にはCPU、RAM、HDDやSDDなどのストレージ、ネットワークカード、電源、ディスプレイ、スピーカー、センシング手段35などから構成されたハードウェアである。当該ハードウェア上で実行されるソフトウェアと協働することで、英語に関する問題41が表示される表示手段31、サーバ2への問題配信要求やリコメンド要求といった各種制御指示に加えて、表示された問題41への解答を受け付ける等の各種の入力を受け付ける入力手段32、サーバ2と通信可能な通信手段33、ユーザ51の解答状況を一時的に記憶する記憶手段34として機能する。
【0036】
表示手段31はディスプレイ及びスピーカーとソフトウェアの協働により構成されており、問題41を視覚的に表示することや聴覚的に再生することでユーザ5に問題41の内容を提示する。入力手段32と表示手段31が一体となったタッチディスプレイであってもよい。
【0037】
入力手段32は、キーボードやマウス、トラックパッドなどのポインティングデバイスであってもよいし、表示手段と一体化したタッチパネルであってもよい。入力手段32は、確信度入力ボタン321を備えている。確信度入力ボタン321は、ユーザが問題を解答する際に確信をもっている場合に動作させる。確信度入力ボタン321は、クライアント端末3に備えられた物理的なスイッチであってもよいし、表示手段31に表示される画像であってもよい。この場合、当該画像をクリックしたり、指などで押下したりすることで動作することで入力を受け付けることができる。
【0038】
センシング手段35は、カメラ351を含む複数のセンサであってよく、接触型センサ352、非接触型センサ353のいずれか、あるいは双方であってもよい。カメラ351はクライアント端末3と一体化されていてもよいし、クライアント端末3とは有線あるいは無線で接続可能な状態の分離された機器であってもよい。分離している場合は部屋の上方等に設置し複数ユーザ5の顔を撮影可能としてもよい。接触型センサ352や非接触型センサ353は専用品であってもよいし、スマートウォッチのような汎用品が備える機能を利用してもよい。
【0039】
センシング手段35は、ユーザ5の自律神経が交感神経優位であるのか、副交感神経優位であるのか、ユーザ5の感情がいかなるものであるのかを取得するために用いられる。カメラ351で撮影されたユーザ5の画像から撮影時の動脈内圧変化(脈波)の波のゆらぎを測定することで、これらの情報を取得する技術が公知となっている。例えば、特許第5894698号特許公報に示されている。対象者の感情を判別するシステムも、「機械学習を用いたカメラの画像解析による感情のパターン分類」,日本色彩学会誌、第41巻第3号(2017年)などに記載されており、公知である。
【0040】
カメラ351に代えて、あるいはカメラ351に加えて接触型センサ352、例えば手首や足首に巻いたバンド型センサを用いてユーザの心拍を取得、あるいは非接触型センサ353によってユーザの心拍を取得してもよい。心拍のゆらぎ、分散を取得することでユーザ5の自律神経や感情についての情報を得ることもできる。心拍数を用いてもよい。
【0041】
問題集4は、英語に関する複数の問題41からなり、問題データベース21で管理されている。問題41は、もっとも基礎的な問題から構成される難易度1から始まり、最も高度な問題から構成される難易度10まで、それぞれ難易度別に管理されている。
【0042】
問題41のひとつひとつに、教育専門家らによってタグが付けられている。タグは、多肢選択問題の解答を行う際に、解答者が正答を判断するのに必要な要素や解答活動に影響を及ぼす要素(以下、「解答要素」という。)を抽出したものであり、当該解答要素とその重要度の組であるタグブックとしてタグブック管理手段26で管理されている。
【0043】
タグブックは、難易度別に管理されている。同じタグであっても難易度が異なれば重要度が異なるし、難易度によっては存在しないタグ(小分類)もある。例えば、最も優しい難易度1のタグブックでは、仮定法や態といった高度な文法に関する高いタグは含まれていない。難易度1が想定する問題において、これらの文法要素が問われることがないためである。中程度の難易度5や最も難しい難易度10のタグブックになると、仮定法、態に属するタグが含まれる。
【0044】
重要度については、例えば、be動詞に関するタグが難易度1のタグブックでは最も重要である重要度3であるところ、難易度10のタグブックでは最も重要でない重要度1となるなど、難易度によって重要度は変化する。難易度3に取り組むユーザにとってbe動詞の過去形は確実に習得済みであると考えられる為である。
【0045】
課題リコメンドシステム1の特徴の1つがタグであるため、タグについて詳しく説明する。タグは、文法属性、形式属性、心理影響要素の3つの属性から構成されており、1つの問題に少なくとも3つの各属性のタグが付される。
【0046】
文法属性は、文型、態、助動詞、不定詞、動名詞、分詞、関係詞、比較、仮定法、接続詞、時制といった英文法の大分類に応じて設定される。これらの各分類には中分類、小分類が設定されており、例えば大分類「助動詞」のもとに中分類「must」や中分類「can」などが配され、中分類「must」のもとに小分類「時制」や小分類「可能性」が配される。
【0047】
他にも大分類「時制」には、中分類「現在形」、中分類「過去形」、中分類「大過去」などが配され、中分類「過去形」には小分類「基本」、小分類「その他」などが配される。
【0048】
文法属性の各小分類に属するタグには、その項目のもつ重要性に鑑みて重要度が専門家によって付けられている。たとえば、大分類「助動詞」、中分類「must」、小分類「可能性」のタグに、重要度として3が付されている。課題リコメンドシステム1では、「助動詞‐must‐可能性,重要度3」といった形式で表現している。
【0049】
問題41のそれぞれには、一次文法として、解答欄を埋めるのに直接的に必要と考えられる要素についてのタグが、関連度の高いものから順に付される。さらに、二次文法として、一次文法以外に解答に必要と考えられるタグが、関連度の高いものから順に付される。
【0050】
形式属性は、出題形式、設問形式、答える要素、日本語の有無、空欄数、問題文の語数、文形式といった問題の中身ではなく形式的側面に着目した大分類に応じて設定される。これらの各分類には、小分類が設定されている。
【0051】
例えば大分類「出題形式」には、小分類「記号型」、小分類「記述型」、小分類「並び替え型」、「それ以外」などが配され、設問形式には「文選択型」、「空所補充型」など、大分類「答える要素」には、小分類「正しい語句」、小分類「誤っている語句」、小分類「語句補充」、小分類「語句訂正」、小分類「並び替え(文全体)」、小分類「並び替え(文一部)」、などが配され、大分類「空欄数」には小分類「0」、小分類「1」、小分類「2以上」、大分類「問題文の語数」には小分類「20語未満」、小分類「20語以上40語未満」、小分類「40語以上」、大分類「文形式」には小分類「通常文」、小分類「対話文」などとなっている。タグとしては、「答える要素‐語句補充」、「問題文の語数‐41語以上」といった形式で表現される。形式属性に属するタグは、各問題に該当するタグがすべて付される。
【0052】
心理影響要素は、解答根拠、問題文のジャンル、単語の難易度、特殊な出題形式などから構成される。大分類「解答根拠」には、小分類「文法」、小分類「語法」や小分類「語彙」、小分類「文脈」、「英語論理」などが配され、大分類「問題文のジャンル」には、小分類「抽象文」、小分類「社会科学「、小分類「外国文化」、小分類「ビジネス」などが配され、大分類「単語の難易度」には、小分類「1級以上」、小分類「準1級」、小分類「2級」、小分類「2級未満」などが配され、大分類「特殊な出題形式」には、小分類「類似選択肢」、小分類「固有名詞」、小分類「No error型」、小分類「文頭空欄型」となっている。
【0053】
なお、大分類「特殊な出題形式」は、形式属性としての出題形式とは観点が異なり、長年の英会話指導にともなう経験や研究から認識された心理的に正解を得ることの困難性が高いとされる出題形式についてのものである。当該出題形式によることで正確な知識を要求される、連想が働きにくいなどといった事から難易度が高いという認識が先に立ち、苦手意識が刺激されネガティブな心理状態に陥りやすいとの観点からタグが付けられる。タグとしては、”解答根拠‐語法”といった形式で表現される。心理影響要素に属するタグは、ユーザの苦手意識などを惹起する可能性が考えられるタグが、その関連度の高いものから順に付される。
【0054】
以下、数例の例題を通じてタグの付け方についてさらに説明を行う。
問題1 以下の( )に適切と考えられる選択肢を選びなさい。
The wedding party ( ) a lot of money. There were a lot of guests, and the hotel was the best in the city.
1 must have cost
2 cannot have cost
3 could not cost
4 will cost
【0055】
問題1では、一次文法として「助動詞‐must‐時制,重要度3」、「助動詞‐must‐可能性,重要度3」のタグが付され、二次文法として「時制‐過去形‐基本,重要度2」が付される。形式属性として「設問‐空所補充型」、「答えるもの‐正しい語句」、「解答数‐1」、「設問語数‐21語以上40語未満」、「日本語の有無‐無」、「文形式‐通常文」が付される。心理影響要素としては、「解答根拠‐文脈」が付される。
【0056】
問題2 日本文に相当する意味になるように語句を並び替える際に、不足する1語を選びなさい。
「明日までに宿題を済ませるのはほとんど不可能だ。」
It is (impossible,finish,to next) the homework tomorrow.
1 the
2 with
3 of
4 to
【0057】
問題2では、一次文法として「不定詞‐名詞的用法‐特殊表現,重要度2」のタグが付され、二次文法は存在しない。形式属性として「設問‐並び替え型」、「答えるもの‐正しい語句」、「解答数‐1」、「設問語数‐20語未満」、「日本語の有無‐有」が付される。心理影響要素としては、「解答根拠‐語彙」が付される。
【0058】
問題3 Muhammad Yunus, an idealist who wanted to ensure that loans are available to the poor, set up Grameen Bank; most of its lending is ( ) such as street vending and farming.
1 for income-generating activities
2 making significant profits
3 to help excluded but motivated people
4 an alternative to large bank funding
【0059】
問題3では、一次文法として、「文型‐2文型‐補語の種類,重要度1」のタグが付され、二次文法として「その他‐語彙‐イディオム」のタグが付される。形式属性として、「設問‐空所補充」、「答えるもの‐正しい語句」、「解答数‐1「、「設問語数‐20語以上40語未満「、「形式‐通常文「、「日本語‐無「が付される。心理影響要素としては、「解答根拠‐文脈」、「解答根拠‐英語論理」、「文内容‐外国文化」、「特殊な出題形式‐固有名詞」が付される。
【0060】
この問題では、英文法知識の観点からは2文型の知識がないと解答できない問題であり、従来の英語学習においては文法の観点が重視されてきた。追加すると、「同格」、「関係詞」、「挿入」といった文法上の知識も同時に必要になるため、その観点を考慮することも行われてきた。
【0061】
だが、英文法知識が十分なレベルで存在すれば確実に正解できると考えられるが、必ずしも十分な文法知識を有していない場合であっても正答できる場合もありうる。問題3においては、グラミン銀行が実施しているマイクロファイナンスに関する知識があれば、末尾のstreet vending and farmingなどのやや日本人英語学習者には親しみの薄い言い回しも、少なくとも意味を類推しやすく、文章全体のイメージもわきやすい。同銀行の総裁であるムハマド・ユヌス氏はノーベル平和賞を受賞しており、我が国においても広く報道されていることから、その可能性は十分高い。
【0062】
このように、背景知識がある場合は、ある程度の英語の実力、特に語彙についての力量があれば問題文の内容を正しく推定でき、その結果として正答に結びつくことが、実は多いことが本発明者らによって見いだされた。本発明者らが英語指導を行う中で、このような背景知識を利用し、あとは部分部分の英語知識を足がかりに文章全体の内容を類推、推定することで高い正答率を達成する学習者のタイプの存在も確認できている。
【0063】
この点に着目し文法知識や語彙に代表される英語知識とは関わりがないが、正答につながる要素が強い項目をタグ化することとした。その結果、当該タグの解析をすすめることで、このタイプの得手不得手を判断し、より効率的なリコメンドを可能とした。すなわち、正答している場合であっても十分な文法知識がないと考えられる場合は同種の文法問題をリコメンドすることも可能となっている。
【0064】
問題4 次の設問の(a)から(d)のうち、誤った英語表現を含んだ部分がある場合には(a)から(d)のいずれか一つを選び、誤りがない場合は(e)No errorを選びなさい。
(a)Having been in disagreement (b)for some time, the two sides made a temporary pact, but as everyone knows (c)all too well, the quarrel is (d)far from over.(e)No error
【0065】
問題4では、一次文法として「分詞‐分詞構文‐時制,重要度2」のタグが付され、二次文法は存在しない。形式属性として「設問‐下線型」、「答えるもの‐誤っている語句」、「解答数‐1」、「設問語数‐21語以上40語未満」、「日本語の有無‐無」が付される。心理影響要素としては、「解答根拠‐文脈」、「解答根拠‐英語論理」、「文内容‐外国文化」、「特殊形式‐固有名詞」、「特殊な出題形式‐No error型」が付される。
【0066】
ここで、No error型について説明すると、選択肢にNo errorが含まれる事で問題に対する内容把握力や解答力が落ち、正答率が明らかに下がる学習者のタイプが存在することが、出願人の長年にわたる英語学習指導の経験や研究から判明している。なお、No errorが含まれる事により、より正確な知識が必要とされ難易度が上がることで正答率が下がるのではなく、難易度が高いという認識が先にたち、苦手意識にともなうネガティブな心理作用がはたらき、正解率が下がると分析している。No errorと同様に、問題文が長い、選択肢が多い、選択肢が長いといった要素も同様であり、これらを心理影響要素としてタグ化している点に本発明の特徴がある。
【0067】
こういったタイプの学習者には、英語以外のネガティブな心理作用を排除する経験を積む、すなわち、同じ出題形式だが英語レベルの低い問題を繰り返し集中的に解く経験を積むことが極めて有益である。そのため、本発明では、心理影響要素が共通する問題を効率的にリコメンドするべく、心理影響要素のタグを導入している。心理影響要素タグの導入にともない、心理影響要素が共通するものの、文法知識や単語知識といった英語に関する学習内容が異なる問題集合を作成できるため、英語レベルを下げることも容易な実装となっている。
【0068】
問題5 以下の( )に適切と考えられる選択肢を選びなさい。
After leaving the room, he suddenly remembered that he ( ) the important papers behind.
1 leaves
2 has left
3 left
4 had left
【0069】
この問題は、「時制‐過去形‐時制の一致」、「時制‐過去形‐完了形」のタグが付されているが、難易度1のタグブックでは、「時制‐過去形‐時制の一致,重要度3」、「時制‐過去形‐完了形,重要度3」、難易度10のタグブックでは、「時制‐過去形‐時制の一致,重要度1」、「時制‐過去形‐完了形,重要度2」と、難易度によってその重要度が異なるよう設定されている。
【0070】
難易度の変化のともに重要度を変化させることによって、ユーザの学習状況に応じた最適な問題をリコメンドしやすくなる。問題5を正解するには、「時制の一致」「過去完了」の意味、用法が完全にマスターできていることが必須である。しかし、このような文法運用が日本語の文法ではそれほどシビアな問題として存在しないため、初学者がこれらの英文法項目の直感的に理解することは難しい。その理解には、英文法理論の理解と、これらに関するある程度の英語経験値(習熟)が必要となる。
【0071】
だが、上級者になると、これらの事項は頻出の項目であるため、立ち止まることなく、半ば無意識的に処理できる事項となっていく。すなわち、上級者にとっての重要度は非常に低いものとなる。したがって、この問題を解く必要性は少なく、リコメンドの優先順位を低くすることが合理的であり、これを難易度別にタグブックを設定することで達成している。
【0072】
課題リコメンドシステム1の特徴は、ユーザのレベルによって重要度が変わることに加えて、ユーザの確信の有無、ユーザの自律神経の状況、ユーザの感情の3つの観点を用いて、ユーザが本当にその問題を理解しているのかを動的に解析し、次回に出題する問題を計算する際に反映させている点にある。具体的には、ある問題への回答が正解であった場合、誤答であった場合のそれぞれにおいて、上記3つの観点を加味して次回出題する優先度を変化させている。
【0073】
次に、課題リコメンドシステム1におけるサーバ2とクライアント端末3のそれぞれの処理の流れについて、図2に基づいて説明する。ここでは、あるユーザ51が解答者であるものとする。
【0074】
サーバ2では、専門家によって予めタグ付けがなされた問題を問題データベース21にて管理しておき、Webページ生成手段22及び通信手段23を通じてクライアント端末3に送信可能な状態としておく。このとき、問題データベース21ではクライアント端末3に固有のIDや、ユーザIDとパスワードを用いた認証システム等を備え、ユーザ情報管理手段24で管理するユーザの情報と照合することで、ユーザを特定する。カメラ351を通じた顔認証などの認証システムを用いても良い。ただし、一般のインターネットに接続しないクローズドな環境など、セキュリティが確保できる場合はその限りではない。
【0075】
ユーザ51は、クライアント端末3にログインを行う。クライアント端末3は、通信手段33を通じてサーバ2と通信を行い問題配信要求を送信する。なお、このときに
問題配信要求として、ある難易度に属する問題であったり、文法項目において限定するものであったり、複数の文法項目に限定するもの、ある出題形式に限定するなど、問題データベースによって管理されているタグの種類に応じて自由に選択可能としてもよい。
【0076】
クライアント端末3から問題配信要求を受信すると、サーバ2では、ユーザレベル管理手段25から該当するユーザのユーザレベル52を読み出す。タグを指定していない場合は、ユーザレベル52に対応する難易度43のタグブック42をタグブック管理手段26から読み出し、当該タグブックの管理するタグに付された重要度43の順に出題する問題を選定する。タグを指定している場合は、当該タグに属する問題の中から重要度の順に選択し、出題に必要な数の問題を選定する。
【0077】
問題の選定にあたっては、重要度が低い問題を一部まぜこむようにしてもよい。問題の分量に応じて、一部をユーザレベル52に対応する難易度よりも高い難易度に属する問題、ユーザレベル52に対応する問題よりも低い難易度に属する問題を混ぜてもよい。
【0078】
サーバ2は、選定した問題41を問題データベース21より読み出しWebページ生成手段22によってクライアント端末3での表示に適したデータとした上で通信手段33を通じてクライアント端末3へ送信する。
【0079】
クライアント端末3では、通信手段33を介して受信したサーバ2からのデータを用いて表示手段31に問題41を表示する。ユーザ51は、表示手段32に表示された問題41を検討し、解答を行う。クライアント端末3は、解答を入力手段32を通じて受信し、記憶手段34に一時記憶する。
【0080】
解答を記録する際には、クライアント端末3は、カメラ351や接触型センサ352、非接触型センサ353を通じて得られた、ユーザ51の自律神経についての情報、すなわち交感神経優位であったか、副交感神経優位であったかについての情報も一時記録してもよい。これは0か1かの2択でもよいし、段階的を設けても良い。たとえばもっとも強く交感神経優位である場合を10とし、もっとも強く副交感神経優位である場合を0としてもよい。
【0081】
さらに、クライアント端末3は、カメラ351や接触型センサ352、非接触鋳型センサ353を通じて得られた、ユーザ51の感情についての情報、すなわちポジティブな感情であったか、ネガティブな感情であったかについての情報も一時記録してもよい。これは0か1かの2択でもよいし、段階的を設けても良い。たとえばもっとも強くポジティブな感情である場合を10とし、もっとも強くネガティブな感情である場合を0としてもよい。
なお、感情をセンサを通じて読み取る技術は公知であり、本発明では、Continuous estimation of emotional change using multimodal affective responses,Kenta Masui Chiba University Chiba, Japan,2020 IEEE/CVF Conference on Computer Vision and Pattern Recognition Workshops (CVPRW),14-19 June 2020,DOI: 10.1109/CVPRW50498.2020.00153
などに開示されている技術を用いている。
【0082】
クライアント端末3は、さらに、ユーザ51が解答に際して確信度入力ボタン321を作動させていたか、させていなかったかについても一時記録する。この確信度入力ボタン321についても、0か1かの2択でもよいし、段階を設けてもよい。段階をつける場合は、ユーザ51が強く確信を持つ場合は確信度入力ボタン321を複数回作動させる、あるいは表示手段に確信度の強さを選択可能な状態で表示させユーザ51に選択させるようにすればよい。繰り返しになるが、確信度入力ボタン321に加えて確信がない際の入力ボタンをも設け、確信がある場合は確信度入力ボタン321を動作させ、確信がない場合は確信がない際の入力ボタンを動作させるものとしてもよい。
【0083】
ユーザ51が全ての解答が入力すると、表示手段31に採点開始の指示を受け付けるための表示を開始する。ユーザ51が入力手段32を通じて採点開始の指示を入力すると、クライアント端末3はユーザ51が入力した解答に対する採点を行い、採点結果を表示手段31に表示する。あわせて、通信手段33を通じて採点結果をサーバ2へと送信する。通信手段23を通じてサーバは採点結果を受信し、ユーザ51が解答した問題とその正誤、解答した際のユーザの自律神経についての情報、ユーザの感情についての情報、確信度についての情報についてユーザ解答管理手段27に記録する。
【0084】
このとき、記憶手段34に記憶している解答をサーバ2へ通信手段33を通じて送信し、通信手段23を通じて受け取った当該解答をサーバ2において採点を行い、採点結果を得てユーザ解答管理手段27に記録、あわせて通信手段23を通じてクライアント端末2へ送信、通信手段33を通じて得た採点結果を表示手段31へ表示してもよい。その場合、採点に必要なデータをクライアント端末3で保持する必要がなくなる。なお、図2では、この場合の処理の流れを図示している。
【0085】
このような解答を一定回数反復させると、ユーザ情報データベースには、ユーザ61の学習状況についてのデータが蓄積されていく。一定量のデータ量を超えてくると、ユーザがどのような分野が苦手であるのか、あるいは既に学習の必要がないほどに得意であるのか、ケアレスミスが多いタイプなのか、確信のある問題は確実に正解するタイプであるのか等の傾向を分析することが可能になる。CPUの速度や通信速度によってはリアルタイムにこの分析をおこなってもよいが、一定程度のデータ量がたまった段階で分析してもよい。
【0086】
分析の目的は、タグブック44で管理している重要度43の数値を、ユーザ51にあわせて調整する点にある。課題リコメンドシステム1では、重要度43を固定するのではなく、ユーザが真に苦手である問題をユーザ自身の主観、ユーザ51が自身では気づきにくい自律神経の状態、ユーザの感情を加味して動的に調整することで、よりユーザ51が必要としている問題を効率的にリコメンドできる。
【0087】
具体的には、ユーザがある問題41に正解していた場合、誤答していた場合のそれぞれについて、確信度入力ボタンが押されていたか否か。さらにそれぞれの場合について自律神経が交感神経優位であったか副交感神経優位であったか。さらにそれぞれの場合について感情がポジティブであったかネガティブであったかによって、その問題に付されているタグの重要度をそれぞれ変化させる。以下、具体的に重要度をどのように変化させるかについて詳述する。
【0088】
ある問題41にユーザが正解、確信度入力ボタン321が作動し、交感神経優位、かつ、感情がポジティブであった場合、計算値は+1である。確信をもっての正解ではあるものの、まだ少し緊張感が残っていることから繰り返し学習する必要があるためである。
【0089】
ある問題41にユーザが正解、確信度入力ボタン321が作動し、交感神経優位、かつ、感情がネガティブであった場合、計算値は+2である。確信をもっての正解ではあるものの、緊張感が残っていることから繰り返し学習する必要があるためである。
【0090】
ある問題41にユーザが正解、かつ、確信度入力ボタン321が作動し、副交感神経優位、かつ、感情がポジティブであった場合、計算値は-1である。確信をもって、かつ、リラックスした状態で正解しており、余裕をもっていると判断される。したがって、この問題に付されたタグを会得していると考えられるためである。
【0091】
ある問題41にユーザが正解、かつ、確信度入力ボタン321が作動し、副交感神経優位、かつ、感情がネガティブであった場合、計算値は-2である。確信をもって、かつ、余裕がありすぎてもはや退屈した状態と判断される。したがって、この問題に付されたタグを完全に会得していると考えられるためである。
【0092】
ある問題41にユーザが正解、確信度入力ボタン321が作動せず、交感神経優位、かつ、感情がポジティブであった場合、計算値は+2である。正解はしているものの確信をもってのものではなく、かつ、緊張感をもってはいるものの感情面では前向きであるため、ほどよい緊張をもっての解答と判断される。繰り返し解答を重ねる必要がまだあることから、重要度は高いと考えられる。
【0093】
ある問題41にユーザが正解、確信度入力ボタン321が作動せず、交感神経優位、かつ、感情がネガティブであった場合、計算値は+2である。正解はしているものの確信をもってのものではなく、かつ、緊張感がありネガティブな感情を有していることから、イライラしながらの解答と判断される。繰り返し解答を重ねる必要がまだあることから、重要度は高いと考えられる。
【0094】
ある問題41にユーザが正解、かつ、確信度入力ボタン321が作動せず、副交感神経優位、かつ、感情がポジティブであった場合、計算値は0である。正解はしているが、確信はなく、一方でリラックスした状態で感情面もプラスである状態は、例えば眠くて朦朧している状態であると判断される。たまたま正答した可能性も残るため、重要度は変化させない。
【0095】
ある問題41にユーザが正解、かつ、確信度入力ボタン321が作動せず、副交感神経優位、かつ、感情がネガティブであった場合、計算値は+1である。正解はしているが、確信はなく、一方でリラックスした状態であるものの感情面がマイナスである状態は、例えば問題解答への意欲がすくなく、いわば戦意喪失した状態であると判断される。たまたま正答した可能性も高く、重要度は高いと考えられる。
【0096】
ある問題41にユーザが誤答、確信度入力ボタン321が作動し、交感神経優位、かつ、感情がポジティブであった場合、計算値は+2である。ほどよい緊張感の中で確信をもっての解答であるにもかかわらず誤答していることから、重要度を高めて、さらに繰り返し学習する必要があるためである。
【0097】
ある問題41にユーザが誤答、確信度入力ボタン321が作動し、交感神経優位、かつ、感情がネガティブであった場合、計算値は+2である。緊張の中で確信をもっての解答であるにもかかわらず誤答していることから、重要度を高めて、さらに繰り返し学習する必要があるためである。
【0098】
ある問題41にユーザが誤答、かつ、確信度入力ボタン321が作動し、副交感神経優位、かつ、感情がポジティブであった場合、計算値は+3である。確信をもって、かつ、余裕をもった状態であるにも関わらず誤答しており、ユーザが本当は理解していないにも関わらず理解していると誤解している可能性がある。そのため、この問題に付されたタグは繰り返し学習を行う必要性が極めて高い。
【0099】
ある問題41にユーザが誤答、かつ、確信度入力ボタン321が作動し、副交感神経優位、かつ、感情がネガティブであった場合、計算値は+2である。確信をもって、かつ、余裕がありすぎてもはや退屈した状態で解答しているにもかかわらず、誤答している。ユーザが本当は理解していないにも関わらず理解していると誤解している可能性が高い。そのため、この問題に付されたタグは繰り返し学習を行う必要性が極めて高い。
【0100】
ある問題41にユーザが誤答、確信度入力ボタン321が作動せず、交感神経優位、かつ、感情がポジティブであった場合、計算値は+1である。誤答ではあるが、確信をもってのものではなく、交感神経優位で感情がポジティブであることから緊張感の中での解答であることから、この問題に付されたタグを繰り返し学習する重要度を高める必要がある。
【0101】
ある問題41にユーザが誤答、確信度入力ボタン321が作動せず、交感神経優位、かつ、感情がネガティブであった場合、計算値は-1である。リラックスできず、感情も悪化する中であり、かつ、確信ももてないことから、問題がわからなくてイライラしている状態と考えられる。そのため、この問題が難しすぎる可能性もあるため、いったんは重要度を下げ、今後の学習の進展をまつほうがユーザのやる気を維持するのに有効であると考えられる。
【0102】
ある問題41にユーザが誤答、かつ、確信度入力ボタン321が作動せず、副交感神経優位、かつ、感情がポジティブであった場合、計算値は0である。リラックスした状態で感情もポジティブであるが、確信はもっていない状態である。確信をもてない問題の解答にあたってリラックスをしたり感情をポジィティブに保ったりすることは発明者らの過去の実践からは、なかなか存在しないケースである。そのため、ユーザが眠い等のなんらかの理由で解答に真摯に臨んでいない可能性があり、たまたま誤答した可能性もあることから重要度を変化させない。
【0103】
ある問題41にユーザが誤答、かつ、確信度入力ボタン321が作動せず、副交感神経優位、かつ、感情がネガティブであった場合、計算値は-1である。誤答であるが確信はなく、一方でリラックスした状態であるものの感情面がマイナスである状態は、例えば問題解答への意欲がすくなく、いわば戦意喪失した状態であると判断される。たまたま誤答した可能性も高く、重要度は高いと考えられる。
【0104】
なお、確信度等に段階を設定した場合、例えば確信度入力ボタン321を1回、2回、3回と計数する等とした場合や、自律神経の優位度、感情の大きさをもセンシングした場合は、上述の計算値をどの大きさに比例させてもよい。具体例をあげると確信度入力ボタン321の入力をうけつけた回数を計算値に乗じてもよい。
【0105】
このようにして重要度を変化させつつ、ユーザが真に苦手と考えられる問題をくりかえし優先的に出題することで、そのユーザレベル52に属する問題の学習が効率よく進む。
【0106】
具体的には、採点結果の表示にあわせて、あるいはユーザの指示に応じて表示手段31には、リコメンド要求を受け付けるための表示を行った上で、ユーザ51によるリコメンド要求の入力を入力手段32によって受け付けると、クライアント端末3は通信手段33を通じてその旨サーバ2へと送信する。通信手段23を通じてサーバ2が当該リコメンド要求を受け付けると、タグブック42を参照し重要度の高いタグが付いた問題41から順にユーザにリコメンドする。
【0107】
リコメンド要求には、出題の際と同様に、ある難易度に属する問題であったり、文法項目において限定するものであったり、複数の文法項目に限定するもの、ある出題形式に限定するなど、問題データベースによって管理されているタグの種類に応じて自由に選択可能としてもよい。
【0108】
そのユーザレベル52に属する問題の回答数が一定値、たとえば500問を超えた場合にユーザレベルを上昇させるための出題を行うことを選択可能とする。これはクライアントに特別な選択肢を表示させてもよいし、システム側で500問を超えた場合に自動的に当該出題を行うものとすればよい。この出題にあたっては、重要度の高いものから順に出題するのではなく、当該ユーザレベルに属する問題の中からまんべんなく出題する。
【0109】
そして、通常の場合と同様にユーザの回答を確信度入力ボタン321の動作状況や自律神経の状況、ユーザの感情についてのデータとともに受け付け、レベル上昇ポイントの計算を行う。レベル上昇ポイントが一定値を超えた場合はユーザレベル52を上昇させる。
【0110】
レベル上昇ポイントは、正答した場合に+1ポイントとして計算し、誤答の場合は0と計算するのが基本である。その際に、ユーザが確信をもっていたか、と自律神経の状況からユーザがリラックスした状態で正解、あるいは誤答していたかによってポイントに重みを付与する。
【0111】
具体的に説明すると、正答であり、確信度入力ボタン321が動作し、交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントを追加で+1する。ユーザが確信をもって正答しているため、通常の正解に比してより高く評価するためである。正解であり、確信度入力ボタン321が動作、副交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントを追加で+2する。確信をもち、かつ、リラックスした状態での正答であるため、さらに高く評価するためである。
【0112】
正答であり、確信度ボタンが動作しなかった場合は、レベル上昇ポイントは1のままである。
【0113】
誤答であり、確信度入力ボタン321が動作し、交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントを追加で-1する。ユーザが確信をもっているのに誤答しているため、まだこのレベルでの学習が必要である可能性が高いためである。誤答であり、確信度入力ボタン321が動作、副交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントを追加で-2する。確信をもち、かつ、リラックスした状態での誤答であり、ユーザ自身が既に理解していると誤解している可能性が高く、まだこのレベルでの学習が必要である可能性が極めて高いためである。
【0114】
誤答であり、確信度入力ボタン321が動作しなかった場合は、レベル上昇ポイントは0のままである。
【0115】
上記のようにレベル上昇ポイントを計算し、一定値を超えた場合はユーザレベル52を上昇させる。発明者らが長年の教育活動を通じて得られた知見によると、ある難易度に属する問題をまんべんなく正答できる者に加えて、正答率は落ちるものの、ある特定の領域、例えば受動態に関する問題であれば確実に正答できるといった、つきぬけて得意な分野をもつ場合であっても、その難易度をクリアしても差し支えないことがわかっている。具体的には、その難易度で想定されている英語に関する検定試験をクリアする実力があることがわかっている。
【0116】
そのため、ずば抜けて得意なタグがある場合、具体的にいうと確信をもっての正答をユーザレベル52の上昇にあたっては高く評価することで、得意ジャンルがあるユーザがまんべんなく正答するユーザよりもレベルアップさせやすい制度設計としている。
【0117】
以上の計算値、レベル上昇ポイントを「表1 計算値の計算方法」にまとめる。なお、正答の場合は○、誤答の場合はX。確信度入力ボタン321が入力されていた場合は○、入力されていない場合はX。交感神経優位である場合は○、副交感神経優位である場合はX。ポジティブな感情である場合は○、ネガティブな感情である場合はX。計算値は数字で表記している。
【表1】
【0118】
レベル上昇させるか否かの判断にあたっては、当該レベルの問題のみならず、当該レベルよりも低いレベルに属する問題、及び/または、高いレベルに属する問題を出題すると、ユーザをレベル上昇させるべきか否かの判断を行うにあたってよい結果、すなわち教育的に正確な判断を行うことができることが、本発明者らの長年の教育活動を通じて判明している。レベルが高い問題を全体の5%ほど、レベルの低い問題も5%ほど混ぜ込むのがよいが、それぞれ10%ほど混ぜ込んでもよい。なお、ユーザレベルが最も低レベルである場合はレベルが高い問題のみを混ぜ込めばよい。
【0119】
そして、レベルの違う問題を正答または誤答した場合に、確信度入力ボタン321を動作させていたか、自律神経の状況や感情の状態を加味することで、さらにユーザの状況を正確に把握したレベル上昇判定が可能になる。
【0120】
ユーザの属するレベルと異なるレベルの問題を出題した場合のレベル上昇ポイントは、基本的にはユーザが属するレベルの問題を出題した場合と同じである。正答した場合に+1ポイントとして計算し、誤答の場合は0と計算するのが基本である。その際に、ユーザが確信をもっていたか、と自律神経の状況からユーザがリラックスした状態で正解、あるいは誤答していたかによってポイントに重みを付与する。
【0121】
まずユーザの属するレベルよりも1つ低い問題を出題した場合から、具体的に説明する。その解答が正答であり、確信度入力ボタン321が動作し、交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントは1のままである。現在のレベルよりも低い問題であり、正答できることが当然期待できるわけで、追加での評価は不要と考えられるためである。
【0122】
解答が正解であり、確信度入力ボタン321が動作、副交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントを追加で+1する。低いレベルとはいえ、確信をもち、かつ、リラックスした状態での正答であるため、さらに高く評価するためである。
【0123】
解答が正答であり、確信度ボタンが動作しなかった場合であって交感神経優位である場合は、レベル上昇ポイントは-1とし、正答により得られる1ポイントと相殺して0とする。正答しているとはいえ、確信をもてず、しかも緊張した状態での解答であるため、評価を下げている。
【0124】
解答が正答であり、確信度ボタンが動作しなかった場合であって副交感神経優位である場合は、レベル上昇ポイントは1のままである。現在のレベルよりも低い問題であるにもかかわらず確信は得られていないが、リラックスした状態で解答できているため、通常の評価としている。
【0125】
次に、誤答であり、確信度入力ボタン321が動作し、交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントを追加で-1とする。ユーザが確信をもっているのに誤答しており、ユーザをさらにレベル上昇させるには不適当と考えられるためである。
【0126】
誤答であり、確信度入力ボタン321が動作、副交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントを追加で-2する。確信をもち、かつ、リラックスした状態での誤答であり、ユーザ自身が既に理解していると誤解している可能性が高く、ユーザをさらにレベル上昇させるには不適当である可能性が高いと考えられるためである。
【0127】
誤答であり、確信度入力ボタン321が動作しなかった場合であって交感神経優位であった場合は、レベル上昇ポイントは-1とする。確信がない状態での誤答ではあるものの、レベルが低い問題への誤答であり、ユーザをさらにレベル上昇させるには不適当と考えられるためである。
【0128】
誤答であり、確信度入力ボタン321が動作しなかった場合であって副交感神経優位であった場合は、レベル上昇ポイントは0のままである。確信がなく副交感神経優位の状態は、眠かったり戦意喪失したりした状態であると考えられ、いわばユーザの集中力がきれている状態であることから、ユーザの本当の学力を反映したものではないと考えられるためである。
【0129】
次に、ユーザの属するレベルよりも1つ高い問題を出題した場合について、具体的に説明する。その解答が正答であり、確信度入力ボタン321が動作し、交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントは追加で1とし、正答により得られるポイントと併せて2とする。現在のレベルよりも高い問題に正答できているため、ユーザをレベル上昇させることが妥当であることを強く示唆しているためである。
【0130】
解答が正解であり、確信度入力ボタン321が動作、副交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントを追加で+2する。高いレベルの問題に、確信をもち、かつ、リラックスした状態での正答であるため、ユーザをレベル上昇させることが妥当である可能性が高いためである。
【0131】
解答が正答であり、確信度ボタンが動作しなかった場合は、レベル上昇ポイントは1のままである。正答しているとはいえ確信をもっての解答ではないためである。交感神経優位であっても副交感神経優位であっても同様である。
【0132】
次に、誤答であり、確信度入力ボタン321が動作し、交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントを追加で^-1とし、正答によって得られる1と相殺して0とする。ユーザが確信をもっているのに誤答していることから、ひとつ上のレベルへユーザレベルを上昇させるにはネガティブであると考えられるためである。
【0133】
誤答であり、確信度入力ボタン321が動作、副交感神経優位であった場合はレベル上昇ポイントは、そのままである。確信をもち、かつ、リラックスした状態での誤答であり、ユーザ自身が既に理解していると誤解している可能性が高いが、現在のレベルよりも高い問題であるためである。
【0134】
誤答であり、確信度入力ボタン321が動作しなかった場合は、レベル上昇ポイントはそのままである。確信がない状態での誤答であるし、現在のレベルよりも高い問題であることから、追加でマイナスとする必要性が低いためである。
【0135】
以上説明した、レベル上昇ポイントの値を「表2 レベルが異なる問題におけるレベル上昇ポイントの計算方法」にまとめる。なお、正答の場合は○、誤答の場合はX。確信度入力ボタン321が入力されていた場合は○、入力されていない場合はX。交感神経優位である場合は○、副交感神経優位である場合はX。ポジティブな感情である場合は○、ネガティブな感情である場合はX。計算値は数字で表記している。
【表2】
【0136】
以上のとおりであるが、本発明の本質は、ユーザが解答の際に確信をもっていたか、その際の自律神経の状態、感情の状態を加味してユーザが真の実力で正答していたか、あるいは誤答していたとしても緊張により失敗したにすぎないのかといった情報を加味して、次に出題すべき問題をリコメンドすることが可能となった点にある。このような情報処理は人間には処理不可能な計算量であるが、現在広く普及しているコンピュータ、すなわちハードウェア資源と当該ハードウェアを動かすためのソフトウェアが協働することにより実施可能である。
【0137】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載される。
【符号の説明】
【0138】
1 課題リコメンドシステム
2 サーバ
21 問題データベース
22 Webページ生成手段
23 通信手段
24 ユーザ情報管理手段
25 ユーザレベル管理手段
26 タグブック管理手段
27 ユーザ解答管理手段
28 リコメンド手段
3 クライアント端末
31 表示手段
32 入力手段
321 確信度入力ボタン
33 通信手段
34 記憶手段
35 センシング手段
351 カメラ
352 接触型センサ
353 非接触型センサ
4 問題集
41 問題
42 タグブック
43 重要度
5 ユーザ
51 あるユーザ
52 ユーザレベル





図1
図2