(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081093
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】集積回路
(51)【国際特許分類】
H01L 21/82 20060101AFI20240610BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240610BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240610BHJP
H10B 51/10 20230101ALI20240610BHJP
H10B 51/20 20230101ALI20240610BHJP
【FI】
H01L21/82 D
H01L21/82 S
H01L27/092 D
H01L27/092 F
H01L27/092 G
H01L27/092 K
H01L27/088 C
H01L27/088 D
H01L27/088 E
H01L27/088 H
H10B51/10
H10B51/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022203739
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】511252615
【氏名又は名称】渡辺 重佳
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 重佳
【テーマコード(参考)】
5F048
5F064
5F083
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AB03
5F048AC01
5F048AC03
5F048BB19
5F048BD06
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB02
5F048CB04
5F048CB06
5F048CB10
5F064AA13
5F064BB05
5F064BB06
5F064BB12
5F064CC06
5F064CC12
5F064DD04
5F064DD05
5F064EE05
5F064EE17
5F064EE26
5F064EE27
5F083FR05
5F083GA01
5F083GA09
5F083GA10
5F083LA21
(57)【要約】
【課題】[0029]
複数の異なる入力信号が必要になるNOR,NAND論理などのトランジスタの直列、並列接続必要な基本論理回路を同一平面上の同じ位置に縦方向に積層したチャネル部分の導電型が同じ複数の横型FETで実現する手段は現時点では提案されていない。
【解決手段】[0030]
同一平面上の同じ位置に縦方向に積層したチャネル部分の導電型が同じ複数の横型FETにおいて、前記複数個の横型FETのゲート信号電極を絶縁膜を介して縦方向に積層して実現することにより実現した。その結果、従来方式と比較してパターン面積を縮小することにより、従来は実現できなかった縦方向に積層されたゲートオールアラウンド型トランジスタを用いた集積回路を高速化、低コスト化することが可能になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面上の同じ位置に縦方向に積層したチャネル部分の導電型が同じ複数の横型FETにおいて、前記複数個の横型FETのゲート信号電極を絶縁膜を介して縦方向に積層して実現することを特徴とするものを多数集積することを特徴とする集積回路。
【請求項2】
前記請求項1記載の集積回路において、前記横型FETとして4側面をチャネルに用いるゲートアラウンド型を1個もしくは縦か横に積層した複数個を用いる事を特徴とする特許請求項第1項記載の集積回路。
【請求項3】
前記請求項1ないし2記載の集積回路において、前記複数の横型FETは直列もしくは並列に接続されている事を特徴とする特許請求項第1項ないし第2項記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ゲートオールアラウンド型トランジスタを用いた集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIは過去ムーアの法則にしたがって平面型トランジスタの微細化が進み、大容量化、低コスト化、高速化、低消費電力化が着実に進められてきた。
【0003】
その結果ロジックLSIの代表であるMPUでは10億個以上の平面型トランジスタを用いたGHz動作が実現され、メモリLSIの中で最も大容量化が進んだ平面型トランジスタを用いたNAND型フラッシュメモリでは64Gbitまで大容量化が進められている(文献1)。
【0004】
しかしながらこの平面型トランジスタの微細化もショートチャネル効果等のため近年限界に近付いている。
【0005】
この問題を解決するため、ショートチャネル効果に強い3次元型トランジスタが開発された。その代表例がFinFETである。
【0006】
FinFETは平面トランジスタの1側面ではなく、3側面をチャネルに使用できるため、ショートチャネル効果に強く微細化できる特徴が有る。近年FinFETよりも更にショートチャネル効果を制御できる4側面をチャネルに使用できるゲートアラウンド型トランジスタ(以後GAAと略す)や、GAAを縦方向に複数個積層してGAA以上に高速化に適したMBCFET(Multi Bridge Channel FET)などが提案されている。
【0007】
これらの構造ではトランジスタはソース、チャネル、ドレインが横方向に配置されている(以後横型FETもしくは横型GAAと略す)ため、製造技術の最適化により同一平面上の同じ位置に同一導電型の横型FETを比較的容易に縦方向に複数積層することが出来る。これにより高速化だけでなく、平面部でのパターン面積の縮小により低コスト化できる特徴があった。
【0008】
しかしながらそのゲート電極はチャネル部分の導電型が同じ場合(全てN型か全てP型)、積層された複数の横型FET間で共通なため、複数の異なる入力信号が必要になるNOR,NAND論理などの基本論理回路を同一平面上の同じ位置に縦方向に積層した複数の横型FETで実現する事が出来なかった。その結果、従来はそれによる高速化、低コスト化が実現できない問題が有った。
【文献1】
M.Sako et al,”A Low-Power 64Gb MLC NAND-Flash Memory in 15nm CMOS Technology”,ISSCC Dig.Tech.Papers,2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとしている課題】
【0009】
複数の異なる入力信号が必要になるNOR,NAND論理などの基本論理回路を同一平面上の同じ位置に縦方向に積層したチャネル部分の導電型が同じ複数の横型FETで実現する手段は現時点では提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
同一平面上の同じ位置に縦方向に積層したチャネル部分の導電型が同じ複数の横型FETにおいて、前記複数個の横型FETのゲート信号電極を絶縁膜を介して縦方向に積層して実現することにより実現した。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、複数の異なる入力信号が必要になるNOR,NAND論理などの基本論理回路を同一平面上の同じ位置に縦方向に積層したチャネル部分の導電型が同じ複数の横型FETで実現する事が初めて可能になった。その結果、従来方式と比較してパターン面積を縮小することにより、従来は実現できなかった縦方向に積層されたゲートオールアラウンド型トランジスタを用いた集積回路を高速化、低コスト化することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る集積回路の第1実施形態について説明する。
[第1実施形態]
(第1実施形態の構成)
【0013】
以下本発明の第一の実施形態を説明する。
図1(右)は3個の前記横型GAA116、216、316を同一平面上の同じ位置に縦方向に積層した場合を示す。そのゲート信号119、219、319はお互いに絶縁膜により分離され独立の信号を入力できる。3個の前記横型GAAのソース電極117、217、317は製造方法により共通、独立いずれも実現可能である。
図1ではその状況を細かい一点鎖線414で示す。同様に3個の前記横型GAAのドレイン電極118、218、318は製造方法により共通、独立いずれも実現可能である。
図1ではその状況を細かい一点鎖線415で示す。
【0014】
図1(左)は3個の前記横型GAAを積層した本実施例の上面図(
図2)において、ゲート部分16の断面図を示す。112、212、312はそれぞれ1層目、2層目、3層目のGAAのチャネル部分、111、211、311はそれぞれ1層目、2層目、3層目のGAAのゲート絶縁膜、101、201、301はそれぞれ1層目、2層目、3層目のGAAのゲート電極を示す。112、212、312の導電型は同じである。積層された前記電極間は絶縁膜213、313で絶縁されている。
前記3種類のゲート電極は前記横型GAAで側面からそれぞれ115、215、315と独立分離した形で横方向に引き出されている。お互いは絶縁膜214、314で分離されている。
【0015】
図3(左)に前記縦方向に積層されたGAAのソース部分(
図2の15部分)の断面図を、
図3(右)に前記縦方向に積層されたGAAのドレイン部分(
図2の14部分)の断面図を示す。積層されたGAAのソース部分120、220、320はお互いに絶縁膜221、321で分離されている。
【0016】
縦方向に積層されたソース部分を接続する時には414に示すように縦方向の金属配線で縦方向に接続する部分の絶縁膜に穴を開ける。
図3(左)では縦方向3層とも接続する場合を示す。同様に積層されたGAAのドレイン部分121、221、321はお互いに絶縁膜222、322で分離されている。縦方向に積層されたドレイン部分を接続する時には415に示すように縦方向の金属配線で縦方向に接続する部分の絶縁膜に穴を開ける。
図3(左)では縦方向3層とも接続する場合を示す。
【0017】
図1(左)の断面を実現するには、初めに1層目に113絶縁膜、次に後でエッチングして除去される導電膜101、チャネルになる半導体部分112、後でエッチングして除去される導電膜101、を積層、その後同様に2層目、3層目を積層し、その後エッチングで導電膜101、201、301を除去する。その後チャネルになる半導体部分を酸化してゲート絶縁膜(1層目では111)を形成する。
【0018】
次に横型GAAの横に1層目に対応する絶縁膜114を形成後ゲート電極115を形成する。ゲート電極には空洞部分での横縦方向への拡散が容易なポリシリコンを用いれば、115形成時に同時に横型GAAのゲート電極になる101も形成できる。次に2層目では絶縁膜214の形成、ゲート電極215(同時に201)の形成、最後に3層目では絶縁膜314の形成、ゲート電極315(同時に301)の形成を行う。以上述べた方法では1層目、2層目、3層目のゲート電極の形成を別工程で実現したが、製造工程の工夫により同一工程で
図1(左)の右側面から1工程で実現できる可能性もある。
【0019】
図4には第一の実施例で最も特徴的な、縦方向に積層されたGAAのソース電極を全て縦方向に接続514し、ドレイン電極を全て縦方向に接続515した場合を示す。514,515の荒い一点鎖線は縦方向に接続されている部分を示す。これにより3個の横型GAAを並列接続したいわゆるNOR回路が実現できる。従来ゲート電極が縦方向に1種類しか実現できなかった時と比較して、3層積層したことによりパターン面積は1/3になり、製造コストも約1/3に縮小できる特徴が有る。
【0020】
この低コスト化の効果は、縦方向に積層するGAA数が増加するほど大きくなる。例えば1000個程度のGAAが縦方向に積層された場合には、ゲート電極に不揮発情報を記憶できる強誘電体膜を使用したFeFETを用いることにより、パターン面積を従来の1/1000に低減した並列接続されたFeFETによるFeRAM(不揮発性強誘電体型メモリ)を実現できる。
【0021】
または前記FeFETにアナログな値を記憶させ、そのゲートにアナログな値に制御されたゲート電圧を入力することによりAI用LSIで最も重要な構成要素である積和演算を従来の1/1000のパターン面積で実現できる可能性が有る。ゲート電圧はFeFETに記憶したアナログ値によって制御された値が入力される。例えばアナログ値(FeFETの抵抗値)が大きい場合には、ゲートへの入力信号を高くし、アナログ値が小さい場合にはゲートへの入力信号を低くし、記憶されたアナログ値が異なっているFeFET同士の積和演算が正確に行われるように制御する。
【0022】
図5に
図4の変形例を示す。914によりドレイン電極側だけ914で共通となり、ソース側は918、928,938で独立した電極になる。前記FeFETにアナログな値を記憶させ、そのソースに電圧を入力することによりAI用LSIで最も重要な構成要素である積和演算を従来の1/1000のパターン面積で実現できる可能性が有る。
図4の方式よりもソース電極面積は大きくなるが、ソース電圧の制御が簡単になる(FeFETの重みに依存しない)特徴が有る。
【0023】
図6に縦方向に積層したGAAを直列に接続した例を示す。縦方向配線714で1層目と2層目のソース電極間を接続し、715で2層目と3層目のドレイン電極間を接続することにより実現する。この方式はNAND回路やNAND型メモリを実現する際に有効である。
【0024】
図7に縦方向に3層積層したGAAを2入力の並列接続回路に使用する場合を示す。集積回路上に入力信号数が異なる回路が存在する場合や電流駆動能力が高いトランジスタが必要な場合に方式は有効である。
【実施形態の効果】
【0025】
本発明では複数の異なる入力信号が必要になるNOR,NAND論理などの基本論理回路を同一平面上の同じ位置に縦方向に積層したチャネル部分の導電型が同じ複数の横型FETで実現する事が初めて可能になった。その結果、従来方式と比較してパターン面積を縮小することにより、従来は実現できなかった縦方向に積層されたゲートオールアラウンド型トランジスタを用いた集積回路を高速化、低コスト化することが可能になる。パターン面積は縦方向に積層される横型FETの数に依存しない値(1層の値)に出来る。そのため積層数が多い程1個の横型FETのコストは安くなる(理想的な場合にはN層積層すると1/Nに低減可能)効果が有る。
【他の実施例】
【産業用の利用可能性】
【0026】
本発明はトランジスタの直列接続、並列接続だけに限定されない。同一平面上の別の位置に直列接続したN型、並列接続したP型を配置し、積層したゲート電極を両方で共有すれば容易にCMOS NAND回路が実現できる。逆の方式で接続すれば容易にCMOS NOR回路が実現できる。配線の工夫により更に複雑な複合ゲート回路も実現可能である。その結果システムLSI,ロジックLSI、FPGA等の現在商品化されている集積回路全てに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明にかかわる集積回路の積層型GAAの第一の実施例のゲート断面図及び回路図である。
【
図2】本発明にかかわる集積回路の積層型GAAの第一の実施例の上面図である。
【
図3】本発明にかかわる集積回路の積層型GAAの第一の実施例のソース、ドレイン部分の断面図である。
【
図4】本発明にかかわる集積回路の積層型GAAの第一の実施例でソースとドレイン電極が全て共通な場合の図である。
【
図5】本発明にかかわる集積回路の積層型GAAの第一の実施例でドレイン電極が全て共通な場合の図である。
【
図6】本発明にかかわる集積回路の積層型GAAの第一の実施例で直列接続な場合の図である。
【
図7】本発明にかかわる集積回路の積層型GAAの第一の実施例の変形例の図である。
【符号の説明】
【0028】
112、212、312はそれぞれ1層目、2層目、3層目のGAAのチャネル部分、111、211、311はそれぞれ1層目、2層目、3層目のGAAのゲート絶縁膜、101、201、301はそれぞれ1層目、2層目、3層目のGAAのゲート電極を示す。積層された前記電極間は絶縁膜213、313で絶縁されている。
111、211、311はそれぞれ1層目、2層目、3層目のGAAのゲート絶縁膜、101、201、301はそれぞれ1層目、2層目、3層目のGAAのゲート電極を示す。積層された前記電極間は絶縁膜213、313で絶縁されている。
ゲート電極は前記横型GAAで側面からそれぞれ115、215、315と独立分離した形で横方向に引き出されている。お互いは絶縁膜214、314で分離されている。
GAAのソース部分120、220、320はお互いに絶縁膜221、321で分離されている。
積層されたGAAのソース部分120、220、320はお互いに絶縁膜221、321で分離されている。積層されたGAAのドレイン部分121、221、321はお互いに絶縁膜222、322で分離されている。
414,415,514,515,714,715,814,815,914はソースドレイン部分の縦方向の接続配線。