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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081106
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】糸掛ロボット
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/08 20060101AFI20240610BHJP
   B25J 5/02 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B65H67/08 Z
B25J5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104248
(22)【出願日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2022194035
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智也
(72)【発明者】
【氏名】岩木 孝之
【テーマコード(参考)】
3C707
3F112
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707BS09
3C707CS05
3C707CY13
3C707CY29
3C707DS05
3C707FS01
3C707HS27
3C707JS06
3C707KS12
3C707KV11
3C707KX02
3C707MS07
3C707MS27
3F112AA08
3F112CA03
3F112EC03
3F112ED03
3F112ED09
3F112MC06
(57)【要約】
【課題】検出部の数の増加を回避しつつ、検出部による障害物の検出領域を広く確保する。
【解決手段】糸掛ロボット4は、ロボット本体31と、可動部32と、検出部41bとを備える。ロボット本体31は、複数の紡糸引取機3よりも前側に配置され、左右方向に走行可能に構成されている。可動部32は、所定の可動領域の中で動くことにより、糸掛けを実行可能に構成されている。検出部41bは、所定の第1検出領域A1の中に位置している物体を検出可能に構成されている。検出部41bは、少なくとも一部が、ロボット本体31の前端よりも前側に突出している。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向と交差する第1方向に並べて配置される複数の糸巻取機への糸掛けを実行可能に構成された糸掛ロボットであって、
鉛直方向及び前記第1方向の両方と直交する第2方向において前記複数の糸巻取機よりも一方側に配置された状態で、前記第1方向に走行可能に構成されたロボット本体と、
前記ロボット本体に取り付けられ、前記ロボット本体に対して所定の可動領域の中で動くことにより前記糸掛けを実行可能に構成された可動部と、
前記ロボット本体に取り付けられ、所定の第1検出領域の中に位置している物体を検出可能に構成された第1検出部と、を備え、
前記第1検出部は、
少なくとも一部が、前記第2方向において前記ロボット本体の前記一方側の端よりも前記一方側に突出している、糸掛ロボット。
【請求項2】
前記第1検出部は、
前記第2方向において前記ロボット本体から前記一方側に離隔して配置されている、請求項1に記載の糸掛ロボット。
【請求項3】
前記第1検出領域は、所定の第1検出原点を基準点として延び、
前記第1検出原点は、前記可動部の前記可動領域よりも前記第2方向における前記一方側に配置されている、請求項1又は2に記載の糸掛ロボット。
【請求項4】
前記第1検出領域は、
所定の第1検出原点を基準点として前記ロボット本体の配置領域及び前記可動部の前記可動領域の両方よりも少なくとも前記第1方向における一方側まで延び、
前記第1検出部は、
前記第1検出原点を出発点として、前記ロボット本体の前記配置領域及び前記可動部の前記可動領域のいずれとも重ならずに前記配置領域及び前記可動領域の両方よりも前記第1方向における前記一方側まで延びる所定の仮想平面、を第1仮想平面としたとき、前記第1検出領域が前記第1仮想平面に含まれるように配置され、
前記第1仮想平面は、
前記第1検出原点を出発点として、前記ロボット本体の前記配置領域及び前記可動部の前記可動領域のいずれとも重ならずに前記配置領域及び前記可動領域の両方よりも前記第2方向における前記一方側まで延びる第1仮想線分と、
前記第1検出原点を出発点として、前記ロボット本体の前記配置領域及び前記可動部の前記可動領域のいずれとも重ならずに前記第1方向に沿って前記第1方向における他方側に延び、前記配置領域及び前記可動領域の両方よりも前記第1方向における前記他方側まで延びる第2仮想線分と、を含む扇形である、請求項1~3のいずれかに記載の糸掛ロボット。
【請求項5】
前記第1仮想平面の中心角度は、180°以上である、請求項4に記載の糸掛ロボット。
【請求項6】
前記可動部は、
走行中の糸を吸引保持可能に構成された吸引部と、
前記吸引部に接続され、前記糸を吸引保持する負圧を生成するための流体を前記吸引部に供給可能且つ前記流体を前記吸引部から排出可能に構成された配管部と、を有し、
前記配管部のうち前記ロボット本体の外側に配置された部分の一部は、前記ロボット本体に固定されている、請求項1~5のいずれかに記載の糸掛ロボット。
【請求項7】
前記可動部の前記可動領域の少なくとも一部は、前記ロボット本体よりも前記第1方向における他方側に配置され、
前記ロボット本体に取り付けられ、所定の第2検出原点を基準点として前記ロボット本体の配置領域及び前記可動部の前記可動領域の両方よりも少なくとも前記第1方向における前記他方側まで延びる所定の第2検出領域の中に位置している物体を検出可能に構成された第2検出部、を備え、
前記第2検出部は、
前記第2検出原点を出発点として、前記ロボット本体の前記配置領域及び前記可動部の前記可動領域のいずれとも重ならずに前記配置領域及び前記可動領域の両方よりも前記第1方向における前記他方側まで延びる所定の仮想平面、を第2仮想平面としたとき、前記第2検出領域が前記第2仮想平面に含まれるように配置されている、請求項1~6のいずれかに記載の糸掛ロボット。
【請求項8】
前記第1検出部は、上下方向において、前記可動部の前記可動領域の内側に収まるように配置されている、請求項1~7のいずれかに記載の糸掛ロボット。
【請求項9】
前記ロボット本体は、前記第1方向に延びたレールから吊り下げられるように構成されている、請求項1~8のいずれかに記載の糸掛ロボット。
【請求項10】
前記ロボット本体に取り付けられ、前記第1検出部が固定された筐体と、
前記第2方向における前記一方側から見たときに前記筐体の少なくとも一部を覆い隠すように配置されたカバーと、を備える、請求項1~9のいずれかに記載の糸掛ロボット。
【請求項11】
前記第1検出部は、所定の仮想平面内に位置している物体によって反射される検出媒体を検出可能に構成されたエリアセンサに含まれる、請求項1~10のいずれかに記載の糸掛ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の糸巻取機への糸掛けを実行可能に構成された糸掛ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紡糸装置から紡出される複数の糸をそれぞれ引き取る複数の引取装置(糸巻取機)への糸掛けを実行可能に構成された糸掛ロボットが開示されている。糸掛ロボットは、ロボット本体と、可動部とを備える。ロボット本体は、複数の引取装置が並べて配置された所定方向に沿って走行可能に構成されている。可動部は、ロボット本体に対して動くことにより糸掛けの動作を実行可能に構成されている。
【0003】
また、糸掛ロボットは、障害物を検知可能に構成されたエリアセンサ(検出部)を有する。検出部は、ロボット本体の所定方向における端部に取り付けられている。検出部は、ロボット本体の走行経路上に位置している障害物を検知可能に構成されている。障害物が検知されたときにロボット本体の走行が停止させられることにより、ロボット本体と障害物との衝突が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-82381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
糸掛ロボットのロボット本体は、糸掛けの動作時に走行停止するように制御される。さらなる安全性向上のため、糸掛け時に糸掛ロボットへの人又は物のアクセスを回避することが求められる。このとき、所定方向において糸掛ロボットに近づく人又は物の検知に加え、所定方向と直交する方向において糸掛ロボットに近づく人又は物も検知されることが求められる。しかし、特許文献1に記載の糸掛ロボットにおいて検出部を追加すると、糸掛ロボットの部品コストが増大する。
【0006】
本発明の目的は、検出部の数の増加を回避しつつ、検出部による障害物の検出領域を広く確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の糸掛ロボットは、鉛直方向と交差する第1方向に並べて配置される複数の糸巻取機への糸掛けを実行可能に構成された糸掛ロボットであって、鉛直方向及び前記第1方向の両方と直交する第2方向において前記複数の糸巻取機よりも一方側に配置された状態で、前記第1方向に走行可能に構成されたロボット本体と、前記ロボット本体に取り付けられ、前記ロボット本体に対して所定の可動領域の中で動くことにより前記糸掛けを実行可能に構成された可動部と、前記ロボット本体に取り付けられ、所定の第1検出領域の中に位置している物体を検出可能に構成された第1検出部と、を備え、前記第1検出部は、少なくとも一部が、前記第2方向において前記ロボット本体の前記一方側の端よりも前記一方側に突出している。
【0008】
糸掛ロボットは、第2方向において複数の糸巻取機よりも一方側に配置されるので、糸掛けの実行中に、第2方向において複数の糸巻取機の他方側を除いて可能な限り広範囲に亘って障害物を検知することが求められる。
【0009】
この点、本発明では、第1検出部の少なくとも一部が、第2方向においてロボット本体の一方側の端よりもさらに一方側に突出している。これにより、第1検出部によって、広い範囲に亘って、ロボット本体及び可動部に邪魔されることなく障害物を検出できる。したがって、検出部の数の増加を回避しつつ、必要十分な範囲で障害物を検知できる。
【0010】
第2の発明の糸掛ロボットは、前記第1の発明において、前記第1検出部は、前記第2方向において前記ロボット本体から前記一方側に離隔して配置されている。
【0011】
本発明では、第1検出部によって、さらに広い範囲に亘って、ロボット本体及び可動部に邪魔されることなく障害物を検出できる。
【0012】
第3の発明の糸掛ロボットは、前記第1又は第2の発明において、前記第1検出領域は、前記第1検出領域は、所定の第1検出原点を基準点として延び、前記第1検出原点は、前記可動部の前記可動領域よりも前記第2方向における前記一方側に配置されている。
【0013】
本発明においても、第1検出部によって、広い範囲に亘って、ロボット本体及び可動部に邪魔されることなく障害物を検出できる。
【0014】
第4の発明の糸掛ロボットは、前記第1~第3のいずれかの発明において、前記第1検出領域は、所定の第1検出原点を基準点として前記ロボット本体の配置領域及び前記可動部の前記可動領域の両方よりも少なくとも前記第1方向における一方側まで延び、前記第1検出部は、前記第1検出原点を出発点として、前記ロボット本体の前記配置領域及び前記可動部の前記可動領域のいずれとも重ならずに前記配置領域及び前記可動領域の両方よりも前記第1方向における前記一方側まで延びる所定の仮想平面、を第1仮想平面としたとき、前記第1検出領域が前記第1仮想平面に含まれるように配置され、前記第1仮想平面は、前記第1検出原点を出発点として、前記ロボット本体の前記配置領域及び前記可動部の前記可動領域のいずれとも重ならずに前記配置領域及び前記可動領域の両方よりも前記第2方向における前記一方側まで延びる第1仮想線分と、前記第1検出原点を出発点として、前記ロボット本体の前記配置領域及び前記可動部の前記可動領域のいずれとも重ならずに前記第1方向に沿って前記第1方向における他方側に延び、前記配置領域及び前記可動領域の両方よりも前記第1方向における前記他方側まで延びる第2仮想線分と、を含む扇形である。
【0015】
本発明においても、第1検出部によって、広い範囲に亘って、ロボット本体及び可動部に邪魔されることなく障害物を検出できる。
【0016】
第5の発明の糸掛ロボットは、前記第4の発明において、前記第1仮想平面の中心角度は、180°以上である。
【0017】
本発明では、第1検出部によって、広範囲に亘って障害物を検知できる。
【0018】
第6の発明の糸掛ロボットは、前記第1~第5のいずれかの発明において、前記可動部は、走行中の糸を吸引保持可能に構成された吸引部と、前記吸引部に接続され、前記糸を吸引保持する負圧を生成するための流体を前記吸引部に供給可能且つ前記流体を前記吸引部から排出可能に構成された配管部と、を有し、前記配管部のうち前記ロボット本体の外側に配置された部分の一部は、前記ロボット本体に固定されている。
【0019】
配管部が糸掛け時に慣性により意図せず揺れると、配管部が第1検出領域に意図せず入ってしまい、誤検知が発生するおそれがある。本発明では、配管部のうちロボット本体の外側に配置された部分の一部をロボット本体に固定することにより、配管部のうちロボット本体の外側に配置された部分の揺れを抑制できる。したがって、第1検出部による誤検知の発生を抑制できる。
【0020】
第7の発明の糸掛ロボットは、前記第1~第6のいずれかの発明において、前記可動部の前記可動領域の少なくとも一部は、前記ロボット本体よりも前記第1方向における他方側に配置され、前記ロボット本体に取り付けられ、所定の第2検出原点を基準点として前記ロボット本体の配置領域及び前記可動部の前記可動領域の両方よりも少なくとも前記第1方向における前記他方側まで延びる所定の第2検出領域の中に位置している物体を検出可能に構成された第2検出部、を備え、前記第2検出部は、前記第2検出原点を出発点として、前記ロボット本体の前記配置領域及び前記可動部の前記可動領域のいずれとも重ならずに前記配置領域及び前記可動領域の両方よりも前記第1方向における前記他方側まで延びる所定の仮想平面、を第2仮想平面としたとき、前記第2検出領域が前記第2仮想平面に含まれるように配置されている。
【0021】
本発明では、第2仮想平面が可動部の可動領域を避けつつ可動領域よりも第1方向における他方側まで延びるように、第2検出部が配置されている。ここで、第2検出領域と可動部の可動領域との位置関係によっては、可動部の可動領域の近傍において、第2検出領域に死角が生じるおそれがある。この点、本発明では、第1検出部によって、広い範囲に亘って、ロボット本体及び可動部に邪魔されることなく障害物を検出できる。これにより、監視が必要であり且つ第2検出部による監視が行き届かない領域を、第1検出部に監視させることができる。したがって、死角の発生を抑制できる。
【0022】
第8の発明の糸掛ロボットは、前記第1~第7のいずれかの発明において、前記第1検出部は、上下方向において、前記可動部の前記可動領域の内側に収まるように配置されている。
【0023】
第1検出部が上下方向において可動部の可動領域よりも外側に配置されていると、糸掛ロボットとは別の部材等を配置可能なスペースが狭くなってしまうおそれがある。本発明では、第1検出部の存在によって他の部材等を配置可能なスペースが狭くなることを抑制できる。
【0024】
第9の発明の糸掛ロボットは、前記第1~第8のいずれかの発明において、前記ロボット本体は、前記第1方向に延びたレールから吊り下げられるように構成されている。
【0025】
本発明では、ロボット本体を上下方向において高い位置に配置することができる。これにより、人及び物が糸掛ロボットに接触するリスクをさらに低減できる。また、ロボット本体の下側に必要な機器及び/又は部材を配置できる。
【0026】
第10の発明の糸掛ロボットは、前記第1~第9のいずれかの発明において、前記ロボット本体に取り付けられ、前記第1検出部が固定された筐体と、前記第2方向における前記一方側から見たときに前記筐体の少なくとも一部を覆い隠すように配置されたカバーと、を備える。
【0027】
第1検出部及び筐体が第2方向における一方側へ突出していると、糸掛ロボットの美観が損なわれるおそれがある。本発明では、筐体の少なくとも一部がカバーで覆い隠されているので、美観が損なわれることを抑制できる。また、カバーによって、筐体等を汚れ及び障害物から保護できる。
【0028】
第11の発明の糸掛ロボットは、前記第1~第10のいずれかの発明において、前記第1検出部は、所定の仮想平面内に位置している物体によって反射される検出媒体を検出可能に構成されたエリアセンサに含まれることを特徴とする。
【0029】
本発明では、一般的に普及しているエリアセンサによって障害物を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る糸掛ロボットを含む紡糸引取設備の正面図である。
図2】紡糸引取機の側面図である。
図3】紡糸引取設備の電気的構成を示すブロック図である。
図4】糸掛ロボットの正面図である。
図5】(a)、(b)は、走行部を示す説明図である。
図6】(a)~(d)は、紡糸引取機の各部への糸掛けを示す説明図である。
図7】(a)、(b)は、エリアセンサを示す説明図である。
図8】ロボット本体の下端部近傍の詳細を示す説明図である。
図9】糸掛ロボットの側面図である。
図10】エリアセンサによる検出領域を示す図である。
図11】変形例に係るロボット本体の下端部近傍の詳細を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施の形態について説明する。説明の便宜上、図1に示す方向を前後左右上下方向と定義する。上下方向は、重力が作用する鉛直方向である。左右方向(本発明の第1方向)は、上下方向と直交する(交差する)所定の方向である。左側が、本発明の第1方向における一方側に相当する。右側が、本発明の第1方向における他方側に相当する。前後方向(本発明の第2方向)は、上下方向及び左右方向の両方と直交する方向である。前側が、本発明の第2方向における一方側に相当する。後側が、本発明の第2方向における他方側に相当する。糸Yの走行する方向を糸走行方向と定義する。
【0032】
(紡糸引取設備の概略構成)
図1は、本実施形態に係る紡糸引取設備1の正面図である。紡糸引取設備1は、複数の紡糸装置2と、複数の紡糸引取機3(本発明の糸巻取機)と、糸掛ロボット4とを備える。複数の紡糸装置2は、左右方向に配列されており、各々が複数の糸Yを紡出する。複数の紡糸引取機3は、複数の紡糸装置2の下方に配置されている。複数の紡糸引取機3は、複数の紡糸装置2に対応して左右方向に配列されている。各紡糸引取機3は、紡糸装置2から紡出される複数の糸Yを引き取り、複数のボビンBに同時に巻き取ってパッケージPを形成する。糸掛ロボット4は、左右方向に移動可能に構成されている。糸掛ロボット4は、各紡糸引取機3を構成する部材に糸Yを掛けるための動作(すなわち、糸掛け)を行う。
【0033】
(紡糸引取機)
次に、紡糸引取機3の構成について、図2を参照しつつ説明する。図2は、紡糸引取機3の側面図である。
【0034】
図2に示すように、紡糸引取機3は、引取部5と、巻取部6とを有する。引取部5は、紡糸装置2から紡出された糸Yを引き取るように構成されている。巻取部6は、引取部5によって引き取られた糸YをボビンBに巻き取るように構成されている。引取部5は、アスピレータ11と、第1規制ガイド12と、第1ゴデットローラ13と、第2規制ガイド14と、第2ゴデットローラ15とを有する。
【0035】
アスピレータ11は、紡糸引取機3の前端部に配置されている。アスピレータ11は、紡糸引取機3への糸掛けが行われる前に、紡糸装置2から紡出された複数の糸Yを予め吸引保持するように構成されている。
【0036】
第1規制ガイド12は、例えば、公知の櫛歯状の糸ガイドである。第1規制ガイド12は、複数の糸Yを左右方向に並べて配置させるように構成されている。第1規制ガイド12は、複数の糸Yの左右方向への移動を規制するように構成されている。第1規制ガイド12は、アスピレータ11の下側に配置されている。第1規制ガイド12は、複数の糸Yが掛けられたときに、互いに隣接する糸Yの間隔を所定の間隔に規定する。
【0037】
第1ゴデットローラ13は、軸方向が左右方向と略平行なローラである。第1ゴデットローラ13は、第1規制ガイド12の下側に配置されている。第1ゴデットローラ13は、第1ゴデットモータ111(図3参照)によって回転駆動されることにより、糸Yを糸走行方向における下流側へ送る。
【0038】
第2規制ガイド14は、例えば、第1規制ガイド12と同様の櫛歯状の糸ガイドである。第2規制ガイド14は、複数の糸Yが掛けられたときに、糸Yの左右方向への移動を規制する。第2規制ガイド14は、第1ゴデットローラ13よりも上方且つ後方に配置されている。
【0039】
第2ゴデットローラ15は、軸方向が左右方向と略平行なローラである。第2ゴデットローラ15は、第2規制ガイド14よりも上方且つ後方に配置されている。第2ゴデットローラ15は、第2ゴデットモータ112(図3参照)によって回転駆動されることにより、糸Yを糸走行方向における下流側へ送る。第2ゴデットローラ15は、例えば、ガイドレール16に移動可能に支持されている。ガイドレール16は、例えば上方且つ後方に向かって斜めに延びている。第2ゴデットローラ15は、例えば不図示の移動機構によって、ガイドレール16に沿って移動可能に構成されている。これにより、第2ゴデットローラ15は、糸Yの巻取りを行うときの巻取位置(図2の実線参照)と、第1ゴデットローラ13に近接して配置される、糸掛けが行われるときの糸掛位置(図2の一点鎖線参照)との間で移動可能となっている。
【0040】
以上の構成を有する引取部5において、糸Yが掛けられた第1ゴデットローラ13及び第2ゴデットローラ15が回転することにより、紡糸装置2から紡出された糸Yが引き取られて糸走行方向における下流側へ送られる。
【0041】
巻取部6は、複数の糸Yを複数のボビンBに巻き取ってパッケージPを形成するように構成されている。巻取部6は、引取部5の下方に配置されている。図2に示すように、巻取部6は、フレーム20と、複数の支点ガイド21と、複数のトラバースガイド22と、ターレット23と、2本のボビンホルダ24と、コンタクトローラ25とを備える。
【0042】
フレーム20は、例えば工場の床面に設置された、巻取部6の各構成要素が取り付けられ或いは収容される部材である。複数の支点ガイド21は、糸Yが各トラバースガイド22によって綾振りされる際の支点となるガイドである。各支点ガイド21は、糸Yを糸走行方向における下流側へ案内する。図2に示すように、複数の支点ガイド21は、複数の糸Yに対して個別に設けられている。複数の支点ガイド21は、前後方向に配列されている。複数の支点ガイド21は、各糸YがボビンBに巻き取られるときの巻取位置と、巻取位置よりも前側に集まるように配置される糸掛位置との間で移動可能である(図示省略)。
【0043】
複数のトラバースガイド22は、複数の糸Yに対して個別に設けられている。複数のトラバースガイド22は、前後方向に並べて配置されている。各トラバースガイド22は、トラバースモータ113(図3参照)によって駆動され、前後方向に往復移動する。これにより、トラバースガイド22に掛けられた糸Yが、支点ガイド21を中心に綾振りされる。ターレット23は、軸方向が前後方向と略平行な円板状の部材である。ターレット23は、ターレットモータ114(図3参照)によって回転駆動される。2本のボビンホルダ24は、ターレット23の上端部及び下端部にそれぞれ回転自在に支持されている。各ボビンホルダ24の軸方向は、前後方向と略平行である。各ボビンホルダ24は、前後方向に並べて配置された複数のボビンBを支持する。2つのボビンホルダ24は、それぞれ、個別の巻取モータ115(図3参照)によって回転駆動される。コンタクトローラ25は、上側のボビンホルダ24のすぐ上方に配置されたローラである。コンタクトローラ25の軸方向は、前後方向と略平行である。コンタクトローラ25は、上側のボビンホルダ24に支持された複数のパッケージPの表面に接触することで、巻取中のパッケージPの表面に接圧を付与して、パッケージPの形状を整える。
【0044】
以上の構成を有する巻取部6において、上側のボビンホルダ24が回転駆動されると、トラバースガイド22によって綾振りされた糸YがボビンBに巻き取られて、パッケージPが形成される。また、パッケージPが満巻きになった場合、ターレット23が回転させられることにより、2本のボビンホルダ24の上下の位置が入れ換わる。これにより、下側に位置していたボビンホルダ24が上側に移動する。上側のボビンホルダ24に装着された複数のボビンBに複数の糸Yをそれぞれ巻き取ることにより、複数のパッケージPが形成される。また、満巻きになった複数のパッケージPが装着されたボビンホルダ24は、下側に移動させられる。満巻きになった複数のパッケージPは、例えば不図示のパッケージ回収装置によって回収される。
【0045】
(糸掛ロボット)
次に、糸掛ロボット4の構成について、図4図5(a)及び図5(b)を参照しつつ説明する。図4は、糸掛ロボット4の正面図である。図5(a)は、糸掛ロボット4の平面図である。図5(b)は、後述する走行部38のV(b)矢視図である。
【0046】
糸掛ロボット4は、紡糸引取機3の第1規制ガイド12、第1ゴデットローラ13、第2規制ガイド14、第2ゴデットローラ15、複数の支点ガイド21等に糸Yを掛けるように構成されている。図4に示すように、糸掛ロボット4は、ロボット本体31と、可動部32とを備える。
【0047】
ロボット本体31は、例えば、おおよそ直方体形状の中空の部材である。ロボット本体31の内部には、可動部32等の動作を制御するロボット制御装置102(図3参照)が設けられている。ロボット本体31は、レール部材37(本発明のレール)に吊り下げられている。レール部材37は、複数の紡糸引取機3の前側に配置され(図2参照)、左右方向に延びている(図5(a)及び図5(b)参照)。より具体的には、ロボット本体31の上端部に、糸掛ロボット4全体を走行させるための走行部38が設けられている。走行部38は、例えば左右方向に並べて配置された2つの車輪39を有する(図5(a)及び図5(b)参照)。2つの車輪39がレール部材37の上に載っている。2つの車輪39は、移動モータ121(図3参照)によって駆動される。これによって、ロボット本体31を含む糸掛ロボット4全体が、レール部材37に沿って左右方向に走行する。
【0048】
可動部32は、ロボット本体31に対して所定の可動領域の中で動くことにより、糸掛けを実行するように構成されている。可動部32は、ロボット本体31に取り付けられている。図4に示すように、可動部32は、ロボットアーム33(本発明のアーム機構)と、糸掛ユニット34と、供給配管35と、排出配管36とを有する。供給配管35及び排出配管36を合わせたものが、本発明の配管部に相当する。
【0049】
なお、可動領域とは、ロボット本体31に対して可動部32が位置することが可能な全ての領域を網羅するものとは限らないことに留意されたい。図示は省略するが、可動領域は、「可動部32を構成する各部が糸掛けの開始時から終了時までの間に位置する空間の全体」として定義される。可動部32の動作に関する情報は、例えばロボット制御装置102に記憶されている。
【0050】
ロボットアーム33は、ロボット本体31の下面に取り付けられている。ロボットアーム33は、複数のアーム33aと、アーム33a同士を連結する複数の関節部33bとを有する。各関節部33bには、アームモータ122(図3参照)が内蔵されている。アームモータ122が駆動されると、アーム33aが関節部33bを中心に揺動する。
【0051】
糸掛ユニット34は、複数のアーム33aのうち最も先端側に設けられたアーム33aの先端部に取り付けられている。糸掛ユニット34は、ロボットアーム33の動作に応じて、ロボット本体31に対して移動する。糸掛ユニット34は、走行中の糸Yを吸引保持可能に構成されたサクション34a(本発明の吸引部)と、糸Yを切断するカッタ34bとを有する。サクション34aは、供給配管35及び排出配管36を含む、圧縮空気(本発明の流体)の通路の途中部に配置されている。サクション34aは、供給配管35から供給されて排出配管36へ排出される圧縮空気の流れによって生成される負圧を利用して、糸Yを吸引保持する。サクション34aによって吸引された糸Yは、排出配管36を通って圧縮空気とともに排出される。カッタ34bは、紡糸装置2から紡出される糸Yを糸掛ユニット34が引き取るときに、糸Yの途中部を切断するために用いられる。なお、糸掛ユニット34はその他にも各種機器を有するが、これらの機器に関する説明は省略する。
【0052】
供給配管35は、サクション34aを含む各種機器に圧縮空気を供給するための配管である。供給配管35は、ロボット本体31に取り付けられている。供給配管35の一部は、例えばロボット本体31の外側に配置されている。供給配管35のうち、少なくともロボット本体31の外側に配置された部分は、例えば可撓性を有するホースを含む。供給配管35の一端は、糸掛ユニット34に接続されている。つまり、供給配管35の一部は、糸掛ユニット34の移動に応じて動く。供給配管35の別の一部は、例えばロボット本体31内に収容されている。供給配管35の他端は、例えば、各紡糸引取機3の近傍に設けられた供給ダクト(不図示)に着脱可能に構成されている。供給ダクトは、例えば左右方向に延びている。供給ダクトは、圧縮空気の供給源(不図示)と接続されている。
【0053】
排出配管36は、供給配管35を通ってサクション34a等に供給された圧縮空気を排出するための配管である。排出配管36は、ロボット本体31に取り付けられている。排出配管36の一部は、例えばロボット本体31の外側に配置されている。排出配管36のうち、少なくともロボット本体31の外側に配置された部分は、例えば可撓性を有するホースを含む。排出配管36の一端は、糸掛ユニット34に接続されている。つまり、排出配管36の一部は、糸掛ユニット34の移動に応じて動く。排出配管36の別の一部は、例えばロボット本体31内に収容されている。排出配管36の他端は、例えば、各紡糸引取機3の近傍に設けられた排気ダクト(不図示)に着脱可能に構成されている。排気ダクトは、例えば左右方向に延びている。排気ダクトは、例えば、糸Yが廃棄される廃棄箱(不図示)と接続されている。
【0054】
また、ロボット本体31には、物体(障害物)を検知するための2つのエリアセンサ40(すなわち、第1エリアセンサ41及び第2エリアセンサ42)が取り付けられている。第1エリアセンサ41及び第2エリアセンサ42は、ロボット制御装置102と電気的に接続されている。第1エリアセンサ41及び第2エリアセンサ42のより詳細については後述する。
【0055】
(紡糸引取設備の電気的構成)
次に、紡糸引取設備1の電気的構成について、図3のブロック図を参照しつつ説明する。図3に示すように、紡糸引取設備1では、各紡糸引取機3に巻取制御装置101が設けられている。巻取制御装置101は、第1ゴデットモータ111、第2ゴデットモータ112、トラバースモータ113、ターレットモータ114、巻取モータ115等の動作を制御する。なお、各紡糸引取機3は、巻取モータ115を2つ備えているが、図3では、巻取モータ115を1つだけ図示している。また、図3では、トラバースモータ113を1つだけ図示しているが、各紡糸引取機3は、トラバースモータ113を複数備えていても良い。
【0056】
また、紡糸引取設備1では、糸掛ロボット4にロボット制御装置102が設けられている。上述したように、ロボット制御装置102は、例えばロボット本体31の内部に設けられている。ロボット制御装置102は、CPU、ROM、RAM等を有し、糸掛ユニット34、移動モータ121、アームモータ122などの動作を制御する。ロボット制御装置102は、可動部32の動作情報に基づいてロボットアーム33を駆動制御する。なお、ロボットアーム33は、複数の関節部33bに対応する複数のアームモータ122を有しているが、図3では、アームモータ122を1つだけ図示している。図3では、その他のアームモータ122は省略されている。
【0057】
ロボット制御装置102は、第1エリアセンサ41及び第2エリアセンサ42による物体の検知に関する信号を受信可能に構成されている。ロボット制御装置102は、物体が検知されたことを示す信号を第1エリアセンサ41又は第2エリアセンサ42から受け取ったとき、移動モータ121及びアームモータ122を制御して、糸掛ロボット4の動作(走行及び糸掛け等)を停止させる。
【0058】
また、紡糸引取設備1は、設備全体の制御を行うための統括制御装置100を備える。統括制御装置100は、例えば一般的なコンピュータ装置である。統括制御装置100は、複数の紡糸引取機3に設けられた複数の巻取制御装置101、及び、ロボット制御装置102と電気的に接続されている。統括制御装置100は、複数の巻取制御装置101及びロボット制御装置102と連携して紡糸引取設備1全体を制御する。
【0059】
(糸掛ロボットによる糸掛けの動作の概要)
次に、糸掛ロボット4による紡糸引取機3への糸掛けの動作の概要について、図6(a)~図6(d)を参照しつつ説明する。図6(a)~図6(d)は、第1規制ガイド12、第1ゴデットローラ13、第2規制ガイド14及び第2ゴデットローラ15への糸掛けの動作を示す説明図である。以下、主にロボット制御装置102による制御内容について説明する。なお、ロボット制御装置102は、必要に応じて統括制御装置100と通信を行う。統括制御装置100は、糸掛けの対象となっている紡糸引取機3の巻取制御装置101に対して、所定の制御を行うよう要求する。
【0060】
糸掛けの対象となっている紡糸引取機3の巻取制御装置101は、糸掛けが開始される前に、第2ゴデットローラ15をガイドレール16に沿って移動させ、第1ゴデットローラ13に近接した糸掛位置(図2の一点鎖線参照)に位置させる。また、上記巻取制御装置101は、複数の支点ガイド21を巻取位置よりも前側の糸掛位置に集め、互いに近接させる。
【0061】
上記のような状態において、ロボット制御装置102は、移動モータ121を制御して、糸掛けの対象となっている紡糸引取機3と前後方向に重なる位置までロボット本体31を移動させる。次に、ロボット制御装置102は、アームモータ122及び糸掛ユニット34を制御し、紡糸装置2から紡出されている複数の糸Y(図6(a)参照)をサクション34aに吸引保持させる。具体的には、ロボット制御装置102は、サクション34aに糸Yを吸引させながらカッタ34bに糸Yを切断させる。これにより、切断された糸Yがサクション34aに吸引保持される(図6(b)参照)。
【0062】
次に、ロボット制御装置102は、ロボットアーム33によって糸掛ユニット34の先端部を下側へ移動させる(図6(c)参照)。さらに、ロボット制御装置102は、糸掛ユニット34の先端部を移動させ、第1規制ガイド12、第1ゴデットローラ13、第2規制ガイド14、第2ゴデットローラ15に順次糸Yを掛ける(図6(d)参照)。
【0063】
また、ロボット制御装置102は、複数の支点ガイド21への糸掛けを可動部32に行わせる。さらに、ロボット制御装置102は、可動部32を制御して、複数のトラバースガイド22及び複数のボビンBの図示しないスリットへの糸掛けを行わせる。これらの糸掛けの詳細については、例えば特開2017-082379号公報を参照されたい。
【0064】
ここで、糸掛ロボット4が左右方向に走行しているときには、ロボット本体31の左側に位置している障害物及びロボット本体31の右側に位置している障害物が検知されることが求められる。また、糸掛ロボット4が糸掛けを行っているときには、ロボット本体31の左側に位置している障害物及びロボット本体31の右側に位置している障害物に加え、ロボット本体31の正面(前側)に位置している障害物も検知されることが求められる。すなわち、前側から糸掛ロボット4に近づく人又は物も検知されることが求められる。
【0065】
本実施形態では、障害物を検知するエリアセンサ40の数の増加を回避しつつ、障害物の検出領域を広く確保するために、糸掛ロボット4が以下の構成を有する。
【0066】
(エリアセンサ)
まず、糸掛ロボット4に設けられた2つのエリアセンサ40(第1エリアセンサ41及び第2エリアセンサ42)の各々の簡単な構成について、図4図7(a)及び図7(b)を参照しつつ説明する。図7(a)は、エリアセンサ40を所定の軸方向と直交する方向から見た図である。図7(b)は、エリアセンサ40を軸方向から見た図である。図7(a)の紙面上下方向を軸方向と定義する。図7(a)の紙面下側を軸方向における一方側と定義する。図7(a)の紙面上側を軸方向における他方側と定義する。また、図7(b)において、検出部40b(後述)の径方向を径方向と定義する。軸方向及び径方向の両方と直交する方向を周方向と定義する。
【0067】
エリアセンサ40は、例えば、公知の反射型のエリアセンサである。すなわち、エリアセンサ40は、指向性及び収束性に優れたレーザ光を発し、物体によって反射されたレーザ光を検出することによって、所定の平面状の領域内に位置している物体の有無を判断可能に構成されている。レーザ光(すなわち、光の一種)は、本発明の検出媒体に相当する。
【0068】
図7(a)及び図7(b)に示すように、エリアセンサ40は、例えば、筐体40aと、検出部40bとを有する。筐体40aは、例えば、大雑把に言って直方体状に形成されている。筐体40aの形状はこれに限られない。筐体40aは、例えば略円柱状に形成されていても良く、他の形状を有していても良い。筐体40aは、エリアセンサ40を構成する様々な部品を収容可能に構成されている。筐体40aには検出部40bが固定されている。筐体40aは、軸方向において検出部40bの一方側に配置されている。
【0069】
検出部40bは、例えば、概ね円板状に形成されている。検出部40bは、筐体40aに固定されている。検出部40bは、筐体40aの軸方向における他方側に配置され、筐体40aから軸方向における他方側へ突出している。検出部40bは、例えばレーザ光を発する発光部(不図示)と、レーザ光を検出する受光部(不図示)とを有する。
【0070】
検出部40bにおいては、所定の検出原点OD(図7(b)参照)が定義されている。検出部40bは、検出原点ODを基準点として設定される検出領域A内に位置している物体を検知可能に構成されている。検出領域Aは、略平面形状である。つまり、検出領域Aは、所定の仮想平面内に含まれた、所定の面積を有する領域である。検出領域Aの形状及び面積は、エリアセンサ40の仕様に応じて任意に変更されることが可能である。検出部40bは、検出領域Aに関する設定を任意のタイミングで変更可能に構成されている。例えば、ロボット制御装置102が、検出部40bを制御して、検出領域Aの初期設定又は設定変更を行うように構成されている。検出領域Aの具体例として、検出原点ODを中心とし且つ中心角度をθとする略扇形の領域が設定されうる。検出領域Aの中心角度及び半径は、仕様の範囲で任意に変更されることが可能である。例えば、検出領域Aの中心角度は、例えば30°~270°の範囲で変更可能であっても良い。検出領域Aの半径は、例えば2000mm~8000mmの範囲で変更可能であっても良い。或いは、検出領域Aの形状は、扇形よりも複雑な形状に設定されることが可能であっても良い。
【0071】
本実施形態では、第1エリアセンサ41及び第2エリアセンサ42が同じ構成を有する。すなわち、第1エリアセンサ41は、筐体41aと、検出部41b(本発明の第1検出部)とを有する。検出部41bにおいて第1検出領域A1が設定されうる。第1検出領域A1の形状及び大きさ(面積)は、第1エリアセンサ41の仕様に応じて任意に設定されることが可能である。第1検出領域A1の形状は、検出部41bの検出原点OD(第1検出原点OD1)を中心とし且つ中心角度をθ1とする略扇形であっても良い。第2エリアセンサ42は、筐体42aと、検出部42b(本発明の第2検出部)とを有する。検出部42bにおいて第2検出領域A2が設定されうる。第2検出領域A2の形状及び大きさ(面積)は、第2エリアセンサ42の仕様に応じて任意に設定されることが可能である。第2検出領域A2の形状は、検出部42bの検出原点OD(第2検出原点OD2)を中心とし且つ中心角度をθ2とする略扇形であっても良い。θ1とθ2は、互いに異なっていても良い。第1検出領域A1の半径と第2検出領域A2の半径は、互いに異なっていても良い。
【0072】
図4に示すように、第1エリアセンサ41は、例えば、ロボット本体31の下端部の左側部分に取り付けられている。第1エリアセンサ41の軸方向は、例えば上下方向と略平行である。つまり、第1検出領域A1は、水平方向と略平行である。但し、第1エリアセンサ41は、例えば、筐体41aが検出部41bよりも上側に配置されている。すなわち、上側(つまり、図4の紙面上側)が、軸方向における一方側に相当する。
【0073】
図4に示すように、第1エリアセンサ41の検出部41bは、例えば、ロボット本体31よりも下側に配置されている。また、検出部41bは、上下方向において、可動部32の可動領域の内側に収まるように配置されている。より具体的には、例えば、検出部41bは、供給配管35の下端及び排出配管36の下端よりも上側に配置されている。
【0074】
図4に示すように、第2エリアセンサ42は、ロボット本体31の内部に収容されている。より具体的には、例えば第2エリアセンサ42を収容した収容部31aが、ロボット本体31の前端部の、右上の端部に形成されている。収容部31aの位置は、これに限られない。収容部31aの右側部分には、開口31bが形成されている。開口31bは、検出部42bが収容部31aの外側にレーザ光を照射でき、且つ、検出部42bが収容部31aの外側から戻ってくるレーザ光を検出できるように配置されている。
【0075】
第2エリアセンサ42の軸方向は、例えば上下方向に対して傾いている。言い換えると、第2検出領域A2は、水平方向に対して傾いている(図4参照)。より具体的には、第2検出領域A2は、例えば、前後方向から見たときに、第2検出原点OD2を出発点として右斜め下方(つまり、少なくとも下側)に延びている。第1検出領域A1と第2検出領域A2は、例えば互いに傾きを有している。第2検出領域A2がロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域と重ならないように、第2エリアセンサ42のロボット本体31に対する位置及び角度が固定されている。これにより、糸掛ロボット4の走行時においても、また糸掛ロボット4による糸掛け時においても、第2検出領域A2内にロボット本体31及び可動部32が侵入することを回避できる。したがって、第2エリアセンサ42によって、ロボット本体31及び可動部32の誤検知を回避しつつ、糸掛ロボット4の右側に位置している障害物を検知できる。
【0076】
(ロボット本体31)
次に、ロボット本体31の構成のさらなる詳細について、図4図8及び図9を参照しつつ説明する。図8は、ロボット本体31の下端部近傍を示す斜視図である。図9は、糸掛ロボット4の側面図である。
【0077】
ロボット本体31は、例えば、第1エリアセンサ41の筐体41aの少なくとも一部を覆うためのカバー43を有する。カバー43は、ロボット本体31の下端部に配置されている(図4に示す太線参照)。カバー43は、ロボット本体31の前端部に配置されている(図8に示す二点鎖線、及び図9に示す太線参照)。カバー43は、例えばロボット本体31の左右方向における長さと略同じ長さを有する。カバー43は、筐体41aの前側に配置されている。例えば不図示の固定具によって、筐体41aがカバー43に固定されている。カバー43は、前側から見たときに、筐体41aの少なくとも一部を覆い隠すように配置されている。これにより、ロボット本体31の外観の左右方向におけるバランスが向上する。したがって、糸掛ロボット4全体の美観を向上できる。また、カバー43は、筐体41a等を汚れ及び障害物から保護する保護カバーとしても機能する。
【0078】
カバー43は、左右方向及び上下方向に延びた前端部43a(図4参照)と、前端部43aの下端から後側へ延びた下端部43bとを有する。下端部43bには、例えば、切欠部43cと、配管収容部43dとが形成されている。切欠部43cは、筐体41aの外形に沿って形成されている。配管収容部43dは、供給配管35及び排出配管36の一部をカバー43の後側の空間に収容するための部分である。
【0079】
さらに、ロボット本体31は、例えば第1支持部材45と、第2支持部材46とを有する。
【0080】
第1支持部材45(図8及び図9参照)は、例えば、第1エリアセンサ41及びカバー43を支持するように構成されている。第1エリアセンサ41及びカバー43は、例えば、第1支持部材45に固定されている。第1支持部材45は、例えばロボット本体31の下端部に取り付けられている。第1支持部材45は、第2支持部材46を支持している。
【0081】
第2支持部材46は、例えば左右方向に延びている。第2支持部材46は、例えば金属製の部材である。第2支持部材46は、例えば、第1支持部材45に固定され、第1支持部材45から右側に突出している。第2支持部材46は、例えば、上側から見たときに左側が開放された略U字状の部材であっても良い。前後方向において、供給配管35の一部及び排出配管36の一部が、第2支持部材46のうち前後方向に並べて配置され且つ左右方向に延びた直線部46aと直線部46bとの間に配置されていても良い。第2支持部材46には、カバー43が固定されていても良い。
【0082】
供給配管35の一部及び排出配管36の一部が、第2支持部材46に固定されていても良い。より具体的には、例えば、供給配管35のうちロボット本体31の外側に位置している部分の途中部が、継手48で構成されていても良い。継手48は、金属製の公知のエルボ部品であっても良い。排出配管36のうちロボット本体31の外側に位置している部分の途中部が、継手49で構成されていても良い。継手49は、継手48と同じく金属製の公知のエルボ部品であっても良い。継手48及び継手49は、本発明の「配管部の一部」に相当する。継手48及び継手49は、例えば、溶接によって第2支持部材46に固定されている。或いは、継手48及び継手49は、溶接とは異なる手段で(例えば、不図示の固定具によって)第2支持部材46に固定されていても良い。
【0083】
或いは、継手48及び継手49は、第2支持部材46に固定されておらず、直線部46aと直線部46bとの間に単に挟まれているだけでも良い。
【0084】
次に、糸掛ロボット4のより具体的な状態について、図9及び図10を参照しつつ説明する。図10は、第1エリアセンサ41による第1検出領域A1及び第2エリアセンサ42による第2検出領域A2を示す図である。
【0085】
本実施形態では、第1検出領域A1は、以下に述べる第1仮想平面P1(図10参照)と略一致している。第1仮想平面P1は、第1検出原点OD1を出発点として、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域のいずれとも重ならずに(図4参照)、当該配置領域及び当該可動領域の両方よりも左側まで延びる扇状の仮想平面である(図10参照)。第1仮想平面P1は、例えば上下方向と略直交している。これにより、第1エリアセンサ41は、少なくとも、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域よりも左側に位置している障害物を検知できる。
【0086】
また、第2検出領域A2は、以下に述べる第2仮想平面P2(図10参照)と略一致している。第2仮想平面P2は、扇状の仮想平面である(図10参照)。第2仮想平面P2は、第2検出原点OD2を出発点として、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域のいずれとも重ならずに(図4参照)、当該配置領域及び当該可動領域の両方よりも右側まで延びている。第2仮想平面P2は、第2検出原点OD2から少なくとも下側に延びている。これにより、第2エリアセンサ42は、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域よりも右側に位置している障害物を検知できる。第2検出領域A2の中心角度及び半径は、上記部材群が走行位置に位置しているとき及び糸掛位置に位置しているときのいずれも同じである(図10参照)。
【0087】
図9に示すように、カバー43が、例えばロボット本体31の前端よりも前側に突出している。また、第1エリアセンサ41の筐体41a及び検出部41bの少なくとも一部が、例えばロボット本体31の前端よりも前側に突出している。より具体的には、検出部41bは、前後方向においてロボット本体31から前側に離隔して配置されていると好ましい。第1検出原点OD1は、可動部32の可動領域よりも前側に配置されている。
【0088】
第1検出領域A1は、第1仮想平面P1に含まれている。第1仮想平面P1は、第1仮想線分L1と第2仮想線分L2とを含む。第1仮想線分L1は、第1検出原点OD1を出発点として、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域のいずれとも重ならずに当該配置領域及び当該可動領域の両方よりも前側まで延びる仮想線分である。図10では、第1仮想線分L1の一例として、前後方向に沿って延びる仮想線分が示されている。第2仮想線分L2は、第1検出原点OD1を出発点として、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域のいずれとも重ならずに右側に延び、当該配置領域及び当該可動領域の両方よりも右側まで延びる仮想線分である。
【0089】
第1仮想平面P1の中心角度は、例えば180°以上(図11に示された具体例では、225°)である。つまり、上述したθ1が、180°以上に設定されることが可能である。
【0090】
以上のように、検出部41bは、少なくとも一部がロボット本体31の前端よりもさらに前側に突出している。これにより、検出部41bによって、広い範囲に亘って、ロボット本体31及び可動部32に邪魔されることなく障害物を検出できる。したがって、検出部の数の増加を回避しつつ、必要十分な範囲で障害物を検知できる。
【0091】
また、検出部41bは、ロボット本体から前側に離隔して配置されていると好ましい。このような構成では、検出部41bによって、さらに広い範囲に亘って、ロボット本体31及び可動部32に邪魔されることなく障害物を検出できる。
【0092】
また、第1検出原点OD1は、可動部32の可動領域よりも前側に配置されている。このため、検出部41bによって、広い範囲に亘って、ロボット本体31及び可動部32に邪魔されることなく障害物を検出できる。
【0093】
また、第1検出領域A1を含む扇状の第1仮想平面P1が、第1仮想線分L1及び第2仮想線分L2を含む。これにより、検出部41bによって、広い範囲に亘って、ロボット本体31及び可動部32に邪魔されることなく障害物を検出できる。
【0094】
また、第1仮想平面P1の中心角度は、180°以上である。したがって、検出部41bによって、広範囲に亘って障害物を検知できる。
【0095】
また、本実施形態では、第2仮想平面P2が可動部32の可動領域を避けつつ当該可動領域よりも右側まで延びるように、検出部42bが配置されている。ここで、第2検出領域A2と可動部32の可動領域との位置関係によっては、可動部32の可動領域の近傍において、第2検出領域A2に死角が生じるおそれがある。この点、検出部41bによって、左右方向における広い範囲に亘って、ロボット本体31及び可動部32に邪魔されることなく障害物を検出できる。これにより、監視が必要であり且つ検出部42b(第2エリアセンサ42)による監視が行き届かない領域を、検出部41b(第1エリアセンサ41)に監視させることができる。したがって、死角の発生を抑制できる。
【0096】
また、検出部41bは、上下方向において、可動部32の可動領域の内側に収まるように配置されている。検出部41bが上下方向において可動部32の可動領域よりも外側に配置されていると、糸掛ロボット4とは別の部材等を配置可能なスペースが狭くなってしまうおそれがある。本実施形態では、検出部41bの存在によって他の部材等を配置可能なスペースが狭くなることを抑制できる。
【0097】
また、糸掛ロボット4は、レール部材37から吊り下げられている。これにより、ロボット本体31を上下方向において高い位置に配置することができる。これにより、人及び物が糸掛ロボット4に接触するリスクをさらに低減できる。また、ロボット本体31の下側に必要な機器及び/又は部材を配置できる。
【0098】
また、糸掛ロボット4はカバー43を備える。第1エリアセンサ41の筐体41aの少なくとも一部がカバー43で覆い隠されている。したがって、糸掛ロボット4の美観が損なわれることを抑制できる。また、カバー43によって、筐体41a等を汚れ及び障害物から保護できる。
【0099】
また、一般的に普及している光学エリアセンサであるエリアセンサ40によって障害物を検知できる。
【0100】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0101】
(1)前記実施形態において、継手48及び継手49が第2支持部材46によってカバー43に固定されているものとした。しかしながら、供給配管35及び排出配管36をカバー43に固定する手段は、これに限られない。例えば、不図示のクランプ部材によって、供給配管35の一部及び排出配管36の一部がカバー43に固定されていても良い。
【0102】
(2)前記までの実施形態において、継手48及び継手49の位置がカバー43に対して固定されているものとした。しかしながら、これには限られない。継手48及び継手49の位置は、例えばロボット本体31に対して固定されていても良い。例えば図12に示すように、第2支持部材46の代わりに、ロボット本体31に固定された固定部材51が設けられていても良い。固定部材51は、例えば、前後方向に並べて配置された直線部51aと直線部51bとを有していても良い。継手48及び継手49は、例えば前後方向において直線部51aと直線部51bとの間に配置されていても良い。継手48及び継手49は、例えば直線部51a及び直線部51bに溶接その他の手段で固定されていても良い。これにより、供給配管35及び排出配管36のうちロボット本体31の外側に配置された部分の揺れを抑制できる。したがって、エリアセンサ40による誤検知の発生を抑制できる。供給配管35及び排出配管36をロボット本体31に固定する手段は、これに限られない。
【0103】
(3)供給配管35及び排出配管36のうちロボット本体31の外側に配置されている部分は、カバー43又はロボット本体31に固定されていなくても良い。
【0104】
(4)前記までの実施形態において、エリアセンサ40がレーザ光を検出媒体とする光学エリアセンサであるものとした。しかしながら、これには限られない。エリアセンサ40は、レーザ光以外の光を検出媒体として検出しても良い。また、エリアセンサ40は、例えば超音波を検出媒体として検出しても良い。また、エリアセンサ40の代わりに、不図示の2つのカメラ(本発明の第1検出部及び第2検出部)が設けられていても良い。これらの場合においても、第1検出部及び第2検出部は、所定の平面状の領域内に位置している物体を検知可能である。
【0105】
(5)前記までの実施形態において、検出部41bは上下方向において可動部32の可動領域の内側に収まるように配置されているものとした。しかしながら、これには限られない。検出部41bは、上下方向において可動部32の可動領域の外側に配置されていても良い。
【0106】
(6)前記までの実施形態において、第2仮想平面P2(及び第2検出領域A2)は、第2検出原点OD2から少なくとも下側に延びているものとした。しかしながら、これには限られない。検出部42bと、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域との位置関係によっては、第2仮想平面P2(及び第2検出領域A2)は、必ずしも第2検出原点OD2から下側に延びていなくても良い。
【0107】
(7)前記までの実施形態において、ロボット本体31は、レール部材37から吊り下げられているものとした。しかしながら、これには限られない。ロボット本体31は、例えば工場の床面に設置された軌道上を走行するように構成されていても良い。
【0108】
(8)前記までの実施形態において、第1仮想平面P1の中心角度は、180°以上であるものとした。しかしながら、これには限られない。第1仮想平面P1の中心角度は、180°よりも多少小さくても良い。この場合でも、糸掛ロボット4の左側に位置している物体、右側に位置している物体及び前側に位置している物体を検知可能である。
【0109】
(9)前記までの実施形態において、検出部41bは、設定により第1検出領域A1の形状及び面積の少なくとも一方を変更可能に構成されているものとした。しかしながら、これには限られない。検出部41bは、第1検出領域A1の形状及び面積を変更可能に構成されていなくても良い。
【0110】
(10)前記までの実施形態において、検出部41bは、ロボット本体31から前側に離隔して配置されていると好ましいものとした。しかしながら、例えば、検出部41bの前後方向における一部のみが、ロボット本体31の前端よりも前側に配置されていても良い。また、筐体41a及び検出部41bの少なくとも一部は、ロボット本体31の前端よりも前側に突出しているものとした。しかしながら、これには限られない。筐体41a及び検出部41bは、ロボット本体31の前端よりも前側に突出していなくても良い。
【0111】
(11)前記までの実施形態において、糸掛ロボット4はカバー43を備えているものとした。しかしながら、これには限られない。糸掛ロボット4はカバー43を備えていなくても良い。
【0112】
(12)前記までの実施形態において、第1検出原点OD1は、可動部32の可動領域よりも前側に配置されているものとした。しかしながら、これには限られない。第1検出原点OD1は、例えば可動部32の可動領域の前端よりも後側に配置されていても良い。また、第1仮想平面P1は、第1仮想線分L1と第2仮想線分L2とを含む扇形であるものとした。しかしながら、これには限られない。第1仮想平面P1は、第1仮想線分L1及び/又は第2仮想線分L2を含まなくても良い。また、第1仮想平面P1は、扇形でなくても良い。すなわち、第1検出領域A1は、第1検出原点OD1を基準点として延びる任意の形状を有していても良い。
【0113】
(13)前記までの実施形態において、第1検出領域A1は、第1仮想平面P1と一致しているものとした。また、第2検出領域A2は、第2仮想平面P2と一致しているものとした。しかしながら、これには限られない。第1検出領域A1は、第1仮想平面P1の一部であっても良い。つまり、第1検出領域A1よりも広く、且つ、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域の両方と重ならない第1仮想平面P1が定義されても良い。第1仮想平面P1は、扇形以外の形状であっても良い。第1検出領域A1は、扇形以外の形状に設定されていても良い。同様に、第2検出領域A2は、第2仮想平面P2の一部であっても良い。つまり、第2検出領域A2よりも広く、且つ、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域の両方と重ならない第2仮想平面P2が定義されても良い。第2仮想平面P2は、扇形以外の形状であっても良い。第2検出領域A2は、扇形以外の形状に設定されていても良い。
【0114】
(14)本発明は、紡糸引取機3への糸掛けを行う糸掛ロボット4以外の、糸(不図示)を巻き取る糸巻取機(不図示)への糸掛けを行う糸掛ロボット(不図示)に適用されても良い。
【符号の説明】
【0115】
3 紡糸引取機(糸巻取機)
4 糸掛ロボット
31 ロボット本体
32 可動部
33 ロボットアーム(アーム機構)
34a サクション(吸引部)
35 供給配管(配管部)
36 排出配管(配管部)
37 レール部材(レール)
41a 筐体
41b 検出部(第1検出部)
42b 検出部(第2検出部)
43 カバー
A1 第1検出領域
A2 第2検出領域
L1 第1仮想線分
L2 第2仮想線分
OD1 第1検出原点
OD2 第2検出原点
P1 第1仮想平面
P2 第2仮想平面
Y 糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
第2エリアセンサ42の軸方向は、例えば上下方向に対して傾いている。言い換えると、第2検出領域A2は、水平方向に対して傾いている(図4参照)。より具体的には、第2検出領域A2は、例えば、前後方向から見たときに、第2検出原点OD2を出発点として右斜め下方(つまり、少なくとも下側)に延びている。第1検出領域A1と第2検出領域A2は、例えば互いに傾きを有している。第2検出領域A2がロボット本体31の配置領域(ロボット本体31が配置された領域)及び可動部32の可動領域と重ならないように、第2エリアセンサ42のロボット本体31に対する位置及び角度が固定されている。これにより、糸掛ロボット4の走行時においても、また糸掛ロボット4による糸掛け時においても、第2検出領域A2内にロボット本体31及び可動部32が侵入することを回避できる。したがって、第2エリアセンサ42によって、ロボット本体31及び可動部32の誤検知を回避しつつ、糸掛ロボット4の右側に位置している障害物を検知できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
また、第2検出領域A2は、以下に述べる第2仮想平面P2(図10参照)と略一致している。第2仮想平面P2は、扇状の仮想平面である(図10参照)。第2仮想平面P2は、第2検出原点OD2を出発点として、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域のいずれとも重ならずに(図4参照)、当該配置領域及び当該可動領域の両方よりも右側まで延びている。第2仮想平面P2は、第2検出原点OD2から少なくとも下側に延びている。これにより、第2エリアセンサ42は、ロボット本体31の配置領域及び可動部32の可動領域よりも右側に位置している障害物を検知できる
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
また、検出部41bは、ロボット本体31から前側に離隔して配置されていると好ましい。このような構成では、検出部41bによって、さらに広い範囲に亘って、ロボット本体31及び可動部32に邪魔されることなく障害物を検出できる。