(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081113
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】植物発酵液、新規なグルコノバクター・タイランディカス菌株を用いて製造した植物発酵物及びその用途
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20240610BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240610BHJP
【FI】
C12N1/20 A ZNA
C12N1/20 Z
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139993
(22)【出願日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0167828
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】517352832
【氏名又は名称】株式会社ケルプ研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミリム・キム
(72)【発明者】
【氏名】福士 宗光
(72)【発明者】
【氏名】ヘミン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヘチン・カイ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
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4B018MD85
4B018ME02
4B018ME14
4B065AA28X
4B065BD50
4B065CA42
4B065CA50
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】本発明は、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)菌株に関し、オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液を有効成分として含む化粧料組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物に関する。
【解決手段】植物発酵液、グルコノバクター・タイランディカス菌株、前記菌株の培養物又は前記菌株の発酵物は、優れた皮膚改善効果を有するので、皮膚改善用化粧料組成物、医薬部外品組成物及び食品組成物としての活用度が高い。よって、化粧品、医薬部外品、食品などにおける様々な産業的活用を期待することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)菌株。
【請求項2】
請求項1に記載の菌株、前記菌株の培養物及び前記菌株の発酵物の少なくとも1つを含む皮膚改善用化粧料組成物。
【請求項3】
オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液を有効成分として含む皮膚改善用化粧料組成物。
【請求項4】
前記植物発酵液は、5年間以上発酵させたものであることを特徴とする、請求項3に記載の皮膚改善用化粧料組成物。
【請求項5】
前記皮膚改善は、シワ改善、弾力改善、皮膚炎症改善、皮膚鎮静、皮膚保湿及び皮膚美白からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項3又は4に記載の皮膚改善用化粧料組成物。
【請求項6】
前記化粧料組成物は、コラーゲン合成促進、NO産生抑制、ヒアルロン酸合成促進又はメラニン発現阻害効果を有するものである、請求項3又は4に記載の皮膚改善用化粧料組成物。
【請求項7】
前記植物発酵液は、酢酸菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物又はそれらの組み合わせにより発酵させるものである、請求項3に記載の皮膚改善用化粧料組成物。
【請求項8】
前記酢酸菌株は、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)菌株である、請求項7に記載の皮膚改善用化粧料組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の菌株、前記菌株の培養物及び前記菌株の発酵物の少なくとも1つを含む皮膚改善用医薬部外品組成物。
【請求項10】
オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液を有効成分として含む皮膚改善用医薬部外品組成物。
【請求項11】
前記植物発酵液は、酢酸菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物又はそれらの組み合わせにより発酵させるものである、請求項10に記載の皮膚改善用医薬部外品組成物。
【請求項12】
前記酢酸菌株は、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)菌株である、請求項11に記載の皮膚改善用医薬部外品組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の菌株、前記菌株の培養物及び前記菌株の発酵物の少なくとも1つを含む皮膚改善用食品組成物。
【請求項14】
オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液を有効成分として含む皮膚改善用食品組成物。
【請求項15】
前記植物発酵液は、酢酸菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物又はそれらの組み合わせにより発酵させるものである、請求項14に記載の皮膚改善用食品組成物。
【請求項16】
前記酢酸菌株は、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)菌株である、請求項15に記載の皮膚改善用食品組成物。
【請求項17】
植物発酵液を寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス菌株で発酵させるステップを含む植物発酵物製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)菌株に関し、オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液に関し、前記植物発酵液を酢酸菌株で発酵させた植物発酵物を有効成分として含む化粧料組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品成分は、一般に皮膚に炎症、吹き出物、浮腫などの各種トラブルを引き起こすことが知られている(非特許文献1)。また、機能性化粧品の原料として用いられる各物質にも、皮膚における安定性が低く、僅かな効果しか発揮しないという問題がある。
【0003】
例えば、皮膚のシワ改善及び弾力改善化粧料としては、レチノイド、アデノシン、動物胎盤由来のタンパク質、クロレラ抽出物などが知られている。最もよく知られているレチノールは、皮膚に適用する際には刺激などの安全性の問題により使用量の制限があり、クロレラ抽出物などは、効果が少なく、実質的に皮膚弾力向上やシワ改善効果は期待できない。
【0004】
炎症を消失させるために、炎症源を除去し、生体反応及び症状を減少させる作用を有するものを抗炎剤という。現在、抗炎の目的で用いられている物質として、非ステロイド系ではフルフェナム酸(flufenamic acid)、イブプロフェン(ibuprofen)、ベンジダミン(benzydamine)、インドメタシン(indomethacin)などが挙げられ、ステロイド系ではプレドニゾロン(prednisolone)、デキサメタゾン(dexamethasone)などが挙げられるが、皮膚における安全性の面や化粧料に含有させたときの安定性の面で、ほとんどが問題を抱えており、その使用に制限がある。
【0005】
最近は、皮膚鎮静、保湿抗炎症又は美白効果に優れ、皮膚状態を改善する効果や、皮膚老化や皮膚損傷を防ぐ効果を有する天然素材の植物抽出物を有効成分として含む化粧料組成物に関する研究が盛んに行われている。しかし、植物抽出物を単独で使用すると、皮膚改善効能が僅かしか発揮されないことが多く、製品において効能を発揮するのに必要な含有量が高く、様々な剤形に用いるには困難を伴うことが多い。
【0006】
こうした背景の下、本発明者らは、天然資源から得られる安全で皮膚改善効果に優れる原料に関する研究を行い、北海道の自然環境で5年以上発酵させた植物発酵液、及び植物発酵液をグルコノバクター・タイランディカスで2次発酵させた発酵物において、1年物発酵液に比べて少ない含有量でも皮膚改善効果が著しく優れることを確認し、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Maibach. H. I., Contact Dermatitis, 6. 369-404, 1980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)菌株を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液を有効成分として含む皮膚改善用化粧料組成物を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、本発明は、オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液を有効成分として含む皮膚改善用医薬部外品組成物を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液を有効成分として含む皮膚改善用食品組成物を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、植物発酵液を寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス菌株で発酵させるステップを含む植物発酵物製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、これらを具体的に説明する。なお、本発明で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本発明で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。また、以下の具体的な記述に本発明が限定されるものではない。
【0014】
また、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、通常の実験のみを用いて本発明に記載された本発明の特定の態様の多くの等価物を認識し、確認することができるであろう。さらに、その等価物も本発明に含まれることが意図されている。
【0015】
本発明の一態様は、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)菌株を提供する。
【0016】
本発明における「グルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)」とは、タイで初めて分離された酢酸菌である。グルコノバクター・タイランディカスは、生長地域及び自然環境条件により特性が変化し、菌株及びその発酵物の活性が変化する。また、本発明のグルコノバクター・タイランディカスは、ウメ酵素液由来のものであるが、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明の菌株、前記菌株の培養物又は前記菌株の発酵物は、皮膚改善効果を有するものであってもよい。
【0018】
本発明における「菌株(strain)」とは、1つの細胞に由来するものであって、無性生殖により増殖し、同質の遺伝的特徴を有する個体の集合を意味し、1つの種(species)には遺伝的特徴が異なる複数の菌株(genetic variants)が存在する。本発明における菌株は、グルコノバクター・タイランディカスであり、具体的には、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカスであるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
本発明における「培養物」とは、前記菌株を培地で培養して得られた産物を意味する。例えば、本発明の培養物は、グルコノバクター・タイランディカスの培養培地で前記菌株を得て、残りの培地に残存する成分を含むものであってもよい。
【0020】
前記培養物は、前記グルコノバクター・タイランディカス菌株の全培養物、培養上清、破砕物、それらの分画物などであってもよい。ここで、前記培養上清は、前記菌株の培養物を遠心分離することにより得られ、前記破砕物は、前記菌株を物理的に又は超音波で処理することにより得られ、前記分画物は、前記培養物、培養上清、破砕物などを遠心分離、クロマトグラフィーなどの方法に適用することにより得られる。
【0021】
本発明の菌株の培養に用いる培地及び他の培養条件は、通常のグルコノバクター属微生物の培養に用いる培地であれば、いかなるものでも用いることができ、具体的には、好適な炭素源、窒素源、リン源、無機化合物、アミノ酸及び/又はビタミンなどを含有する通常の培地において好気性又は嫌気性条件下で温度、pHなどを調節して本発明の菌株を培養することができる。
【0022】
本発明における前記炭素源としては、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトースなどの炭水化物、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコール、ピルビン酸、乳酸、クエン酸などの有機酸、グルタミン酸、メチオニン、リシンなどのアミノ酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、デンプン加水分解物、糖蜜、ブラックストラップ糖蜜、米糠、キャッサバ、バガス、トウモロコシ浸漬液などの天然の有機栄養源を用いることができ、グルコースや殺菌した前処理糖蜜(すなわち、還元糖に変換した糖蜜)などの炭水化物を用いることができ、その他適量の炭素源であればいかなるものでも用いることができる。これらの炭素源は、単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0023】
前記窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機窒素源と、アミノ酸、ペプトン、NZ-アミン、肉類抽出物、酵母抽出物、麦芽抽出物、トウモロコシ浸漬液、カゼイン加水分解物、魚類又はその分解生成物、脱脂大豆ケーキ又はその分解生成物などの有機窒素源とを用いることができる。これらの窒素源は、単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
前記リン源としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム又はそれらに相当するナトリウム含有塩などが挙げられる。無機化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化鉄、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸マンガン、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
【0025】
それ以外に、前記培地は、アミノ酸、ビタミン及び/又は好適な前駆体などを用いることができる。具体的には、前記菌株の培養培地には、L-アミノ酸などを添加することができる。より具体的には、グリシン(glycine)、グルタミン酸(glutamate)及び/又はシステイン(cysteine)などを添加することができ、必要に応じてリシン(lysine)などのL-アミノ酸をさらに添加することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0026】
前記培地又は前駆体は、培養物に回分式又は連続式で添加することができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本発明における菌株の培養中に水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸、硫酸などの化合物を培養物に好適な方法で添加することにより、培養物のpHを調整することができる。また、培養中には、脂肪酸ポリグリコールエステルなどの消泡剤を用いて気泡生成を抑制することができる。さらに、培養物の好気状態を維持するために、培養物中に酸素又は酸素含有気体を注入してもよく、嫌気及び微好気状態を維持するために、気体を注入しなくてもよく、窒素、水素又は二酸化炭素ガスを注入してもよい。
【0028】
本発明における「発酵」とは、微生物が自らの有する酵素を用いて有機物を分解する過程のうち、腐敗反応でないものを意味する。発酵反応と腐敗反応は、類似した過程で進むが、分解の結果として有用な物質が作成される場合は発酵といい、悪臭が発生する場合や、有害な物質が作成される場合は腐敗という。
【0029】
本発明において、前記菌株から発酵物を得る方法としては、当該技術分野又は類似分野で通常用いられる方法のいかなるものを用いてもよい。
【0030】
本発明において、前記菌株から得られる発酵物には、発酵させた物質自体だけでなく、菌株と培養物が共存する菌株の培養培地、前記培養培地から菌株を濾過した発酵物、前記培養培地から滅菌処理した菌株を濾過した発酵物、前記発酵物又はそれを含む培養培地を抽出した抽出物、前記発酵物又はその抽出物を希釈した希釈液、前記発酵物又はその抽出物を乾燥させた乾燥物、前記菌株の菌体を捕集して破砕した溶解物など、前記菌株から発生する発酵物を含有するあらゆる種類の物質が含まれる。
【0031】
本発明において、前記菌株には、グルコノバクター・タイランディカス菌株の菌体、乾燥菌体、破砕物などが含まれる。ここで、前記乾燥菌体は、噴霧乾燥菌、凍結乾燥菌、真空乾燥菌、ドラム乾燥菌などの乾燥菌であってもよく、前記破砕物は、菌株自体に化学的又は物理的な力を加えて菌株の細胞壁を破砕して得た産物であってもよい。
【0032】
本発明の他の態様は、オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液を有効成分として含む皮膚改善用化粧料組成物を提供する。
【0033】
本発明における「植物発酵液」とは、オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ、ショウガなどを熟成及び発酵させたものであるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本発明における前記植物とは、植物の根、葉、花、幹などの特定部位を意味することもあり、植物全体を意味することもある。
【0035】
本発明において、上記55種の植物を選定し、平均気温約10~40℃、湿度約50~80%程度、具体的には平均気温約20~30℃、湿度約60~70%程度である北海道の自然環境で5年間以上、8年間以上、10年間以上又は20年間以上、具体的には5年間~20年間、8年間~15年間、9年間~11年間発酵させて植物発酵液を作製したところ、1年間発酵させて作製した植物発酵液に比べて、5年間、8年間、10年間又は20年間以上発酵させた植物発酵液において皮膚改善効果が優れることが確認された。
【0036】
本発明のさらに他の態様は、植物発酵液は、酢酸菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物又はそれらの組み合わせにより発酵させるものである皮膚改善用化粧料組成物を提供する。
【0037】
前記「菌株」、「培養物」、「発酵」については前述した通りである。
【0038】
本発明における「酢酸菌」とは、ほとんどがグラム染色陰性であるやや楕円形の桿菌であって、アルコールや乳酸塩を炭素源として酢酸を産生する菌属を意味し、好気的に発育し、糖を嫌気的に分解しない。本発明において、酢酸菌は、グルコノバクター・タイランディカスであり、具体的には寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカスであるが、植物発酵液を発酵させる酢酸菌であれば菌株の種類は限定されるものではない。
【0039】
本発明において、前記酢酸菌株には、グルコノバクター・タイランディカス菌株の菌体、乾燥菌体、破砕物などが含まれる。ここで、前記乾燥菌体は、噴霧乾燥菌、凍結乾燥菌、真空乾燥菌、ドラム乾燥菌などの乾燥菌であってもよく、前記破砕物は、菌株自体に化学的又は物理的な力を加えて菌株の細胞壁を破砕して得た産物であってもよい。
【0040】
本発明において、前記植物発酵液は、1次発酵させたもの、又は1次発酵が行われた植物発酵液を前記菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物又はそれらの組み合わせにより追加発酵、すなわち2次発酵させたものであるが、これらに限定されるものではない。本発明の追加発酵させた植物発酵液は、植物発酵物又は植物発酵液の酢酸菌発酵物と混用される。前記追加発酵(2次発酵)は、植物発酵液に前記菌株、培養物、発酵物などを接種することにより行うことができるが、これらに限定されるものではない。本発明による前記菌株、培養物、発酵物又はそれらの組み合わせにより追加発酵させた植物発酵液は、皮膚改善効果に優れることが確認された。
【0041】
本発明において、前記菌株から発酵物を得る方法は、特に限定されるものではないが、4カ月間~8カ月間発酵させたウメ酵素液からグルコノバクター・タイランディカス菌株を分離し、その後植物発酵液に2次発酵させることにより、酢酸菌発酵物を得ることができる。あるいは、当該技術分野又は類似分野において通常用いられる方法により得ることができる。
【0042】
本発明において、前記菌株から得られる発酵物には、発酵させた物質自体だけでなく、菌株と培養物が共存する菌株の培養培地、前記培養培地から菌株を濾過した発酵物、前記培養培地から滅菌処理した菌株を濾過した発酵物、前記発酵物又はそれを含む培養培地を抽出した抽出物、前記発酵物又はその抽出物を希釈した希釈液、前記発酵物又はその抽出物を乾燥させた乾燥物、前記菌株の菌体を捕集して破砕した溶解物など、前記菌株から発生する発酵物を含有するあらゆる種類の物質が含まれる。
【0043】
本発明における「皮膚改善」は、シワ改善、弾力改善、皮膚炎症改善、皮膚鎮静、皮膚保湿及び皮膚美白からなる群から選択される少なくとも1つであるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本発明における「改善」とは、状態の緩和又は治療に関するパラメーター、例えば症状の程度を少なくとも減少させるあらゆる行為を意味し、シワ改善、弾力改善、皮膚炎症改善、皮膚鎮静、皮膚保湿及び皮膚美白の少なくとも1つであればいかなるものでもよい。
【0045】
前記皮膚改善は、コラーゲン合成促進、NO産生抑制、ヒアルロン酸合成促進又はメラニン発現阻害効果により行われるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
具体的には、本発明者らは、植物発酵液及び/又はグルコノバクター・タイランディカスKCTC15086BPの発酵物は、少ない含有量でも皮膚改善効果に優れることを確認した。より具体的には、植物発酵液及び/又はグルコノバクター・タイランディカスKCTC15086BP発酵物は、コラーゲン合成促進、NO産生抑制、ヒアルロン酸合成促進、メラニン発現阻害効果などに優れることを確認した。よって、植物発酵液、植物発酵液のグルコノバクター・タイランディカス発酵物は、一般の酢酸菌に比べて、シワ改善、弾力改善、皮膚炎症改善、皮膚鎮静、皮膚保湿、皮膚美白などの皮膚改善効果に優れることを確認した。
【0047】
本発明における「シワ」は、顔の表情を作るのに用いられる表情筋による表情ジワと、全般的又は局所的に皮膚が衰えて生じる小ジワに大別される。具体的には、シワは、遺伝子による原因、皮膚の真皮に存在するコラーゲンと弾力繊維の減少、外部環境などにより誘発される。本発明の目的上、シワは、表情ジワや小ジワが全て含まれる意味で用いられるが、これに限定されるものではない。
【0048】
本発明における「弾力」とは、皮膚を指で押したときにぴんと張る力を意味し、「弾力改善」又は「弾力向上」とは、個体の皮下脂肪層構造を強化して皮膚の弾力を高めることを意味し、本発明の組成物を用いて皮膚の弾力を高めることを意味する。
【0049】
本発明における「老化」とは、時間の経過により生体構造と機能が衰退する現象を意味し、本発明の老化防止は、老化を予防、抑制、遅延させるなど、老化が改善されるものであれば、その程度などはいかなるものでもよい。本発明におけるシワ改善及び老化防止は、コラーゲン合成促進によるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本発明における「コラーゲン(Collagen)」とは、ほとんどの動物、特に哺乳動物において多く見られる繊維状タンパク質であって、皮膚や軟骨などの体内の結合組織の大部分を占めるものを意味し、体内で最も多い細胞である線維芽細胞(fibroblasts)がコラーゲンを産生、分泌する。料理や、食品、医薬産業において広く用いられるゼラチンは、コラーゲンを不可逆的に加水分解したものである。コラーゲンの減少はシワを誘発し、皮膚の弾力を減少させる主な原因であるので、コラーゲンの合成はシワ改善及び弾力向上のために必須である。
【0051】
本発明の一実施例においては、植物発酵液及び/又は植物発酵液の酢酸菌発酵物は、少ない含有量でもコラーゲン合成促進率に優れることが確認されたので、植物発酵液及び/又は植物発酵液の酢酸菌発酵物は、皮膚のシワ改善、弾力向上などに著しい効果を有することが確認された(表2)。
【0052】
本発明における「皮膚鎮静」とは、紅斑、かゆみ、刺激を受けた皮膚部位などを緩和、鎮静することを意味し、皮膚刺激の緩和が含まれる概念である。例えば、皮膚掻痒症緩和、皮膚疼痛緩和、経表皮水分損失減少及び/又は紅潮減少が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
本発明における「炎症」とは、特定組織の損傷又は感染に対する一種の生体内反応を意味し、主要媒体は免疫細胞である。このような炎症の目的は、組織の損傷を最大限抑制し、感染体を除去し、組織を再生することにある。本発明において、皮膚鎮静及び再生は、NO産生抑制によるものであるが、これに限定されるものではない。
【0054】
本発明における「NO(nitric oxide,亜硝酸)」は、細菌と腫瘍を除去する役割、血圧を調節する役割、神経伝達を媒介する役割などの様々な役割を果たすが、炎症反応が起こると、関連細胞においてiNOS(誘導性一酸化窒素合成酵素)の発現が増加して多量のNOが産生され、過度に産生されたNOが組織の損傷、遺伝子変異、神経損傷などを誘発し、血管透過性を増加させ、浮腫などの炎症反応を促進する。炎症が生じた細胞においてNO産生が増加するのに対して、皮膚鎮静するとNO産生が抑制されるので、これらには必須の相関関係が存在する。
【0055】
本発明の一実施例においては、NO産生抑制能においても、植物発酵液及び/又は植物発酵液の酢酸菌発酵物は、少ない含有量でも一般の細胞に比べて優れるので、皮膚鎮静及び炎症改善効果を有することが確認された(表3)。
【0056】
本発明における「皮膚保湿」とは、皮膚に水分を供給するか、水分の蒸発を遮断することにより、皮膚の柔軟性を維持し、均一な角質脱落を誘導し、なめらかな表面を維持するあらゆる作用を意味し、「乾燥」とは、そのような皮膚保湿が十分でない状態を意味する。皮膚保湿効果は、皮膚のシワ改善、弾力性向上をサポートする。具体的には、皮膚保湿は、ヒアルロン酸生成促進によるものであるが、これに限定されるものではない。
【0057】
本発明における「ヒアルロン酸」とは、グリコサミノグリカン(glycosaminoglycans)の一種であって、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミン残基が繰り返し連結された鎖状の高分子多糖類物質を意味する。ヒアルロン酸は、自重の300~1000倍に相当する水を含有することにより、水分に結合して皮膚に保湿効果をもたらす。
【0058】
本発明の一実施例においては、植物発酵液及び/又は植物発酵液の酢酸菌発酵物は、ヒアルロン酸合成促進率に優れることが確認されたので、植物発酵液及び/又は植物発酵液の酢酸菌発酵物は、皮膚保湿などに著しい効果を有することが確認された。
【0059】
本発明における「美白」とは、メラニンなどの色素の過剰により明度が低下した皮膚の明度を上昇させる方法、皮膚の明度を一定水準に維持する方法、前記方法で形成された明度が上昇した皮膚などを包括して意味し、具体的には皮膚美白を意味する。前記「皮膚美白」とは、チロシナーゼ活性が阻害されることによりメラニンの生成が阻害され、メラニンの増加がもたらす症状、例えばシミ、ソバカスが改善されることを意味する。
【0060】
本発明の一実施例においては、植物発酵液及び/又は植物発酵液の酢酸菌発酵物で処理すると、メラニン生成抑制率に優れるので、皮膚美白効果に優れることが確認された。
【0061】
本発明における「化粧料組成物」は、溶液、外用軟膏、クリーム、フォーム、栄養化粧水、柔軟化粧水、香水、パック、柔軟水、乳液、メイクアップベース、エッセンス、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、サンスクリーンクリーム、サンオイル、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、パウダー、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、パッチ及びスプレーからなる群から選択される剤形であるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
本発明の化粧料組成物は、一般の皮膚化粧料に配合される化粧品学的に許容される担体を1種以上さらに含んでもよく、通常の成分として、例えば油分、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、色素、防腐剤、香料などを適宜配合してもよいが、これらに限定されるものではない。
【0063】
本発明の化粧料組成物に含まれる化粧品学的に許容される担体は、前記化粧料組成物の剤形によって様々である。
【0064】
本発明の化粧料の剤形が軟膏、ペースト、クリーム又はゲルの場合は、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0065】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液の場合は、担体成分として、溶媒、可溶化剤、乳濁化剤などを用いることができ、例えば水、エタノール、イソプロパノール、炭酸ジエチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイルなどを用いることができ、特に綿実油、ピーナッツオイル、トウモロコシ胚種油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセリン脂肪族エステル、ポリエチレングリコール又はソルビタンの脂肪酸エステルを用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0066】
本発明の剤形が懸濁液の場合は、担体成分として、水、エタノール、プロピレングリコールなどの液状の希釈剤や、エトキシ化ステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステルなどの懸濁剤や、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、アガー、トラガカントなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0067】
本発明の剤形が石鹸の場合は、担体成分として、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸ヘミエステル塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオン酸塩、ラノリン誘導体、脂肪族アルコール、植物性油、グリセリン、糖などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0068】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーの場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ポリアミドパウダー又はそれらの混合物を用いることができ、特にスプレーの場合は、さらにハイドロクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルなどの推進剤を用いることができる。
【0069】
なお、本発明における全ての成分は、化粧品安全基準等に関する規定及び中国「化粧品安全技術規範」に規定された最大使用値を超えない範囲で本発明の組成物に含まれることが好ましい。
【0070】
本発明のさらに他の態様は、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス菌株、前記菌株の培養物及び前記菌株の発酵物の少なくとも1つを含む皮膚改善用医薬部外品組成物を提供する。
【0071】
本発明のさらに他の態様は、オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液又は酢酸菌株、具体的には寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物又はそれらの組み合わせにより追加発酵させた植物発酵液を有効成分として含む皮膚改善用医薬部外品組成物を提供する。
【0072】
前記「グルコノバクター・タイランディカス」、「菌株」、「培養物」、「発酵物」、「植物発酵液」、「皮膚改善」、「改善」、「シワ」、「弾力」、「老化」、「コラーゲン」、「皮膚鎮静」、「炎症」、「NO」、「皮膚保湿」、「ヒアルロン酸」及び「美白」については前述した通りである。
【0073】
本発明における「医薬部外品」は、ボディクレンザー、手指消毒薬、洗浄剤、台所用洗浄剤、清掃用洗浄剤、歯磨き粉、うがい薬、ウェットティッシュ、洗剤、石鹸、ハンドウォッシュ、ヘアシャンプー、ヘアリンス、加湿器添加剤、マスク、軟膏剤及びフィルタ充填剤からなる群から選択されるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
本発明の医薬部外品組成物は、上記成分以外に、必要に応じて薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含んでもよい。前記薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤は、本発明の効果を損なわない限り限定されるものではなく、例えば充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが挙げられる。
【0075】
本発明の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤の代表的な例としては、ラクトース、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、デンプン、ゼラチン、グリセリン、アカシアゴム、アルギン酸塩、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物性油、注射可能なエステル、ウィテップゾール、マクロゴール、ツイーン61、カカオ脂、ラウリン脂などが挙げられる。
【0076】
本発明の植物発酵液、菌株、菌株の培養物又はその発酵物を医薬部外品として用いる場合、さらに同一又は類似の機能を有する有効成分を1種以上含有させてもよい。例えば、公知の皮膚有益菌増加、皮膚有害菌抑制、皮膚鎮静、皮膚炎症改善、皮膚美白、皮膚再生、創傷治癒成分が挙げられる。さらなるシワ改善、皮膚美白、皮膚トラブル改善、皮膚保湿成分を含む場合、本発明の組成物のシワ改善、弾力改善、皮膚鎮静、皮膚炎症改善、皮膚保湿、美白効果は一層増加する。前記成分を追加する場合は、複合使用に伴う皮膚安全性、剤形化の容易性、有効成分の安定性を考慮する。
【0077】
本発明の医薬部外品組成物は、当該技術分野で公知の皮膚保湿成分として、レチノイン酸、TGF、動物胎盤由来のタンパク質、ベツリン酸及びクロレラ抽出物、当該技術分野で公知の抗炎症成分として、非ステロイド系のフルフェナム酸、イブプロフェン、ベンジダミン、インドメタシン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、アラントイン、アズレン、ヒドロコルチゾン及びそれらの誘導体と各種植物抽出物からなる群から選択される1種又は2種以上の成分をさらに含んでもよい。追加成分は、組成物の総重量に対して0.0001重量%~10重量%含まれてもよく、上記含有量範囲は、皮膚安全性、本発明の植物発酵液、菌株、菌株の培養物又は発酵物の剤形化の容易性などの要件に応じて調節してもよい。
【0078】
医薬部外品の製剤化方法、用量、利用方法、構成成分などは、技術分野で公知の通常の技術から適宜選択される。
【0079】
本発明のさらに他の態様は、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス菌株、前記菌株の培養物及び前記菌株の発酵物の少なくとも1つを含む皮膚改善用食品組成物を提供する。
【0080】
本発明のさらに他の態様は、オクラ、キウイフルーツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アシタバ、セロリ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、チンゲンサイ、ハクサイ、コマツナ、トウガラシ、パプリカ、パセリ、シュンギク、キク、スイカ、レモン、ミカン、ミツバ、メロン、キュウリ、カボチャ、ニンジン、カキ、エノキタケ、モヤシ、サツマイモ、レタス、サンチュ、シイタケ、コンブ、バナナ、クレソン、レンコン、オオバ、アボカド、ウメ、モモ、スモモ、ナシ、リンゴ、ダイコン、トマト、ナス、ジャガイモ、ホウレンソウ、ブドウ、ワサビ、ミョウガ及びショウガの植物発酵液又は酢酸菌株、具体的には寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物又はそれらの組み合わせにより発酵させた植物発酵液を有効成分として含む皮膚改善用食品組成物を提供する。
【0081】
前記「グルコノバクター・タイランディカス」、「菌株」、「培養物」、「発酵物」、「植物発酵液」、「皮膚改善」、「改善」、「シワ」、「弾力」、「老化」、「コラーゲン」、「皮膚鎮静」、「炎症」、「NO」、「皮膚保湿」、「ヒアルロン酸」及び「美白」については前述した通りである。
【0082】
本発明における「食品」は、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類をはじめとする乳製品、各種スープ、清涼飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合体、機能性食品などの通常の意味の食品であればいかなるものでもよく、本発明の植物発酵液、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)、前記菌株の培養物及び前記菌株の発酵物を含むものであればいかなるものでもよいが、これらに限定されるものではない。また、本発明による前記植物発酵液、前記菌株、前記菌株の培養物及び前記菌株の発酵物を主成分として作製した汁、茶、ゼリー、ジュースなどに添加することにより製造することができ、丸剤、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、液剤などの形態が含まれる。
【0083】
前記機能(性)食品(functional food)とは、特定保健用食品(food for special health use, FoSHU)と同義であり、栄養供給以外にも生体調節機能を効率的に示すように加工された医学、医療効果の高い食品を意味する。ここで、「機能(性)」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節するか、生理学的作用などの保健用途に有用な効果を与えることを意味する。本発明の食品は、当該技術分野で通常用いられる方法により製造することができ、その製造時には当該技術分野で通常添加する原料及び成分を添加して製造することができる。また、前記食品の剤形は、食品として認められる剤形であればいかなるものでもよい。本発明の食品用組成物は、様々な形態の剤形に製造することができ、一般薬品とは異なり、食品を原料とするので、薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという利点があり、携帯性に優れるので、本発明の食品は、免疫向上効果を高める補助剤として摂取することができる。
【0084】
前記健康食品(health food)とは、一般食品に比べて積極的な健康維持や増進効果を有する食品を意味し、健康補助食品(health supplement food)とは、健康補助目的の食品を意味する。場合によっては、機能性食品、健康食品、健康補助食品は混用される。
【0085】
具体的には、前記機能性食品とは、植物発酵液、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)、前記菌株の培養物及び前記菌株の発酵物の少なくとも1つを飲料、茶類、香辛料、ガム、菓子類などの食品素材に添加するか、カプセル、粉末、懸濁液などに製造した食品であり、それを摂取すると健康に特定の効果をもたらすものを意味するが、一般薬品とは異なり、食品を原料とするので、薬品の長期服用時に発生し得る副作用がないという利点がある。
【0086】
前記組成物は、生理学的に許容される担体をさらに含んでもよいが、担体の種類は特に限定されるものではなく、当該技術分野で通常用いられる担体であればいかなるものでも用いることができる。
【0087】
また、前記組成物は、食品組成物に常用されて香り、味、視覚などを向上させることのできる追加成分を含んでもよい。例えば、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)などを含んでもよい。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、クロミウム(Cr)などのミネラルを含んでもよい。さらに、リシン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含んでもよい。
【0088】
さらに、前記組成物は、防腐剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど)、殺菌剤(サラシ粉と高度サラシ粉、次亜塩素酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)、着色剤(タール色素など)、発色剤(亜硝酸ナトリウム、亜酢酸ナトリウムなど)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、調味料(グルタミン酸ナトリウム(MSG)など)、甘味料(ズルチン、チクロ、サッカリン、ナトリウムなど)、香料(バニリン、ラクトン類など)、膨張剤(ミョウバン、D-酒石酸水素カリウムなど)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、被膜剤、ガムベース、泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を含んでもよい。前記添加物は、食品の種類に応じて選択されて適切な量で用いられる。
【0089】
寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)、前記菌株の培養物及び前記菌株の発酵物の少なくとも1つをそのまま添加してもよく、他の食品又は食品成分と共に用いてもよく、通常の方法で適宜用いられる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康又は治療的処置)に応じて適宜決定される。一般に、食品又は飲料の製造時に、本発明の食品組成物は、食品又は飲料に対して50重量部以下、具体的には20重量部以下の量で添加される。しかし、健康及び衛生を目的とする長期間の摂取においては、上記範囲以下の含有量であってもよく、安全性面で何ら問題がないので、有効成分は上記範囲以上の量で用いてもよい。
【0090】
本発明の食品組成物の一例として健康飲料組成物として用いることができ、その場合は、通常の飲料のように、様々な香味剤や天然炭水化物などを追加成分として含有してもよい。前述した天然炭水化物は、グルコース、フルクトースなどの単糖類、マルトース、スクロースなどの二糖類、デキストリン、シクロデキストリンなどの多糖類、キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールであってもよい。甘味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物などの天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームなどの合成甘味剤などを用いることができる。前記天然炭水化物の割合は、一般に本発明の組成物100mL当たり約0.01~0.04g、具体的には約0.02~0.03gである。
【0091】
前記以外に、健康飲料組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸、ペクチン酸の塩、アルギン酸、アルギン酸の塩、有機酸、保護コロイド、増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸化剤などを含有してもよい。その他に、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料又は野菜飲料の製造のための果肉を含有してもよい。これらの成分は、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。これらの添加剤の割合はそれほど重要でないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01~0.1重量部の範囲で選択されるのが一般的である。
【0092】
具体的には、植物発酵液、寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)、前記菌株の培養物及び前記菌株の発酵物の少なくとも1つを食品組成物の総重量に対して0.00001~100重量%含んでもよい。
【0093】
本発明のさらに他の態様は、植物発酵液を寄託番号KCTC15086BPとして寄託したグルコノバクター・タイランディカス菌株で発酵させるステップを含む植物発酵物製造方法を提供する。
【0094】
前記「グルコノバクター・タイランディカス」、「菌株」、「植物発酵液」については前述した通りである。
【0095】
本発明において、発酵は、1次発酵させた植物発酵液に酢酸菌株、具体的にはグルコノバクター・タイランディカスKCTC15086BPを接種して3日間~10日間、具体的には5日間~8日間追加発酵(2次発酵)させるものであるが、これらに限定されるものではない。本発明の酢酸菌株を植物発酵液に接種する前に、前記酢酸菌株を培地で培養するステップをさらに含むが、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0096】
本発明の植物発酵液、グルコノバクター・タイランディカス菌株、前記菌株の培養物又は前記菌株の発酵物は、優れた皮膚改善効果を有するので、皮膚改善用化粧料組成物、医薬部外品組成物及び食品組成物としての活用度が高い。よって、化粧品、医薬部外品、食品などにおける様々な産業的活用を期待することができる。
【発明を実施するための形態】
【0097】
以下、実施例及び実験例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例及び実験例は本発明を例示するものにすぎず、本発明がこれらの実施例及び実験例に限定されるものではない。
【実施例0098】
[実施例1]
植物発酵液の作製
表1に示す55種の植物を選定し、植物に北海道テンサイ抽出糖をまぶして漬け込み、熟成させた。熟成過程中に浸透圧により植物エキスが外部に排出され、排出されたエキスは、植物についている自然微生物により発酵する(糖浸透圧抽出法)。前記発酵は、平均気温20~30℃、湿度60~70%程度の北海道の自然環境で少なくとも10年以上行い、こうすることにより植物発酵液を作製した。
【0099】
【0100】
[実施例2]
植物発酵液の酢酸菌(グルコノバクター・タイランディカスNV1)発酵物の作製
実施例2-1.ウメ酵素液由来酢酸菌(グルコノバクター・タイランディカスNV1)菌株の分離
ウメ酵素液由来酢酸菌であるグルコノバクター・タイランディカスNV1(Gluconobacter thailandicus NV1)菌株を確保した。
【0101】
前記Gluconobacter thailandicus NV1菌株は、ブダペスト条約上の受託機関である韓国生命工学研究院生物資源センターに2022年9月20日付けで受託番号KCTC15086BPとして寄託した。前記菌株は、配列番号1の16S rRNA塩基配列を有することが確認された。
【0102】
実施例2-2.植物発酵液の酢酸菌発酵物の作製
グルコノバクター・タイランディカスNV1菌株をYPM培地に接種し、約30℃で2日間培養した。その後、酢酸菌培養液を実施例1.の植物発酵液に接種し、約30℃、湿度60%で7日間かけて静置発酵、すなわち酢酸発酵(2次発酵)を行った。
【0103】
[実施例3]
植物発酵液及び植物発酵液の酢酸菌(グルコノバクター・タイランディカスNV1)発酵物のシワ改善及び弾力改善効果の確認
Human dermal fibroblastを各濃度の試料で48時間処理した。procollagen typeΙ C-peptide(PIP)EIA kit法によりコラーゲン合成率を測定した。試料のコラーゲン合成効果は、陰性対照群(serumを0%含有するDMEM)と比較計算して数値を得た。
【0104】
1年物植物発酵液、10年以上物植物発酵液、植物発酵液の酢酸菌(グルコノバクター・タイランディカスNV1)発酵物のシワ改善及び弾力改善効果を確認するために、一般細胞、1年物植物発酵液、10年以上物植物発酵液、植物発酵液の酢酸菌発酵物で処理した際のコラーゲン合成率を比較した(表2)。
【0105】
【0106】
表2の結果から分かるように、10年以上物発酵液は、1年物発酵液の1000分の1の濃度(0.001%,1ppm=10000ppb)でコラーゲン合成能を発揮し、酢酸菌発酵物は、1年物発酵液の1000000分の1、10年以上物発酵液の1000分の1の濃度(0.000001%,0.01ppm=10ppb)でコラーゲン合成能を発揮することが確認された。
【0107】
よって、本発明の植物発酵液及び植物発酵液の酢酸菌発酵物は、皮膚のシワ改善や弾力向上などに優れた効果を発揮することが分かった。
【0108】
[実施例4]
植物発酵液及び植物発酵液の酢酸菌(グルコノバクター・タイランディカスNV1)発酵物の皮膚鎮静及び炎症改善効果の確認
Raw 264.7細胞を各濃度に希釈した試料で1μg/mlのLPSと共に処理し、24時間培養した。NO定量kit法によりNO産生抑制能を次のように評価した。
【0109】
【0110】
植物発酵液の酢酸菌(グルコノバクター・タイランディカスNV1)発酵物の皮膚鎮静及び炎症改善効果を確認するために、一般細胞、一般細胞をL-NMMA、植物発酵液の酢酸菌発酵物で処理した際のNO産生抑制能を比較した(表3)。
【0111】
【0112】
表3の結果から分かるように、一般細胞を酢酸菌発酵物で処理した際にNO産生抑制能が向上することが確認された。
【0113】
よって、本発明の植物発酵液及び植物発酵液の酢酸菌発酵物は、皮膚鎮静や炎症改善などに優れた効果を発揮することが分かった。
【0114】
[実施例5]
植物発酵液及び植物発酵液の酢酸菌(グルコノバクター・タイランディカスNV1)発酵物の皮膚保湿効果の確認
Human keratinocyte HaCaTを各濃度の試料で72時間処理した。R&D systems社のQuantikine ELISA Hyaluronanにより、ヒアルロン酸合成を対照群(serumを0%含有するDMEM処理)と比較し、保湿能を数値化した。
【0115】
【0116】
よって、本発明の植物発酵液及び植物発酵液の酢酸菌発酵物は、保湿、皮膚鎮静などに優れた効果を発揮することが分かった。
【0117】
[実施例6]
植物発酵液及び植物発酵液の酢酸菌(グルコノバクター・タイランディカスNV1)発酵物の皮膚美白効果の確認
【0118】
B16f10メラニン細胞(B16f10 melanocyte)を各濃度に希釈した試料で72時間処理して培養し、その後メラニン細胞中に存在するメラニン色素の量を定量した。メラニン含有量は、総タンパク質量に対して計算し、その後DMSO対照群(serumを0%含有するDMEM)を基準の100%として計算し、数値を得た。
【0119】
【0120】
表5の結果から分かるように、10年以上物発酵液及び酢酸菌発酵物は、陽性対照群よりメラニン合成阻害率に優れることが確認された。
【0121】
よって、本発明の植物発酵液及び植物発酵液の酢酸菌発酵物は、皮膚美白に優れた効果を発揮することが分かった。
【0122】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
【0123】
[受託番号]
寄託機関名:韓国生命工学研究院生物資源センター
受託番号:KCTC15086BP
受託日:2022年9月20日