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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081116
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】浴室システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20240610BHJP
   F24D 15/00 20220101ALI20240610BHJP
   F24H 15/265 20220101ALI20240610BHJP
   F24H 15/35 20220101ALI20240610BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20240610BHJP
   A61H 33/02 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
F24H15/196 301X
F24H15/196 301Y
F24D15/00 B
F24H15/265
F24H15/35
F24H15/395
F24H15/196 301K
A61H33/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023155620
(22)【出願日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2022193913
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】曽我 浩二
【テーマコード(参考)】
3L024
3L072
4C094
【Fターム(参考)】
3L024CC17
3L024DD37
3L024FF04
3L024GG42
3L072AE06
3L072AG07
4C094EE22
(57)【要約】
【課題】入浴者の身体状態の検出精度を向上させることができる浴室システムを提供する。
【解決手段】浴室システム1は、浴室R1に設けられ、浴槽3内にいる入浴者P1の頭部P1Hの画像を撮影する撮影動作を実行する撮影手段40と、浴室R1内を撮影動作の実行に適した環境に調整する調整動作を実行する環境調整手段70、80と、撮影手段40及び環境調整手段70、80を制御する制御部91であって、撮影手段40から取得する画像の画素情報の変化に基づいて入浴者P1の身体状態を検出する検出処理を実行する制御部91と、を備える。制御部91は、環境調整手段70、80に調整動作を開始させた後、撮影手段40に撮影動作を開始させて検出処理を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室に設けられ、浴槽内にいる入浴者の頭部の画像を撮影する撮影動作を実行する撮影手段と、
前記浴室内を前記撮影動作の実行に適した環境に調整する調整動作を実行する環境調整手段と、
前記撮影手段及び前記環境調整手段を制御する制御部であって、前記撮影手段から取得する前記画像の画素情報の変化に基づいて前記入浴者の身体状態を検出する検出処理を実行する前記制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記環境調整手段に前記調整動作を開始させた後、前記撮影手段に前記撮影動作を開始させて前記検出処理を実行することを特徴とする浴室システム。
【請求項2】
前記環境調整手段は、前記調整動作として、前記浴室内を換気する調整換気運転を実行する換気装置を有し、
前記制御部は、前記換気装置に前記調整換気運転を開始させた後、前記撮影手段に前記撮影動作を開始させて前記検出処理を実行する請求項1記載の浴室システム。
【請求項3】
前記入浴者が前記浴槽内にいるか否かを検出する入浴検出手段をさらに備え、
前記制御部は、前記入浴者が前記浴槽内にいることを前記入浴検出手段が検出した場合にのみ、前記換気装置に前記調整換気運転を実行させる請求項2記載の浴室システム。
【請求項4】
前記換気装置は、前記調整換気運転以外に、前記撮影動作とは無関係に前記浴室内を換気する通常換気運転も実行し、
前記調整換気運転における換気風量は、前記通常換気運転における換気風量よりも少ない請求項2又は3記載の浴室システム。
【請求項5】
前記環境調整手段は、前記調整動作として、前記浴槽内の湯水に微細気泡を供給する気泡供給動作を実行する微細気泡供給装置を有し、
前記制御部は、前記微細気泡供給装置に前記気泡供給動作を開始させた後、前記撮影手段に前記撮影動作を開始させて前記検出処理を実行する請求項1又は2記載の浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の浴室システムの一例が開示されている。この浴室システムは、撮影手段及び制御部を備えている。撮影手段は、浴室に設けられ、浴槽内にいる入浴者の顔と湯水面とを含む画像を撮影する。制御部は、撮影手段を制御する。
【0003】
制御部は、撮影手段から取得する画像に基づいて、例えば入浴者の口の開閉状態、目の開閉状態、顔の傾斜状態等である表情や姿勢に関する複数の因子を読み取り、入浴者の身体状態を検出する。また、制御部は、その画像に基づいて、浴槽内の湯水に対する入浴者の顔の浸水度合を検出する。
【0004】
この浴室システムは、検出した身体状態及び浸水度合に基づいて入浴者の危険レベルを判断し、その判断した危険レベルに応じた報知を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-57833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の浴室システムでは、例えば浴室内の水蒸気、浴槽の湯水面からの反射光等である浴室内の環境が撮影手段の撮影に対する外乱となり易い。このため、この浴室システムでは、制御部が撮影手段から取得する画像の品質が外乱の影響を受けて低下するおそれがあり、その結果、入浴者の身体状態の検出精度を向上させることが難しい。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、入浴者の表情や姿勢といった身体状態の検出精度を向上させることができる浴室システムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の浴室システムは、浴室に設けられ、浴槽内にいる入浴者の頭部の画像を撮影する撮影動作を実行する撮影手段と、
前記浴室内を前記撮影動作の実行に適した環境に調整する調整動作を実行する環境調整手段と、
前記撮影手段及び前記環境調整手段を制御する制御部であって、前記撮影手段から取得する前記画像の画素情報の変化に基づいて前記入浴者の身体状態を検出する検出処理を実行する前記制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記環境調整手段に前記調整動作を開始させた後、前記撮影手段に前記撮影動作を開始させて前記検出処理を実行することを特徴とする。
【0009】
本発明の浴室システムにおいて、制御部は、検出処理を実行する前に、環境調整手段に調整動作を開始させる。これにより、環境調整手段は、例えば、浴室内を換気して水蒸気を低減させたり、浴槽内の湯水に微細気泡を供給して湯水面を白濁化させ、浴槽の湯水面からの反射光を低減させたりすることにより、浴室内を撮影動作の実行に適した環境に調整する。
【0010】
そして、制御部は、環境調整手段に調整動作を開始させた後、撮影手段に撮影動作を開始させて検出処理を実行する。これにより、浴室内の環境が撮影手段の撮影に対する外乱となり難い。
【0011】
その結果、この浴室システムでは、制御部が撮影手段から取得する画像の品質が外乱の影響を受けて低下することを抑制でき、検出処理を精度良く実行できる。
【0012】
したがって、本発明の浴室システムは、入浴者の表情や姿勢といった身体状態の検出精度を向上させることができる。
【0013】
環境調整手段は、調整動作として、浴室内を換気する調整換気運転を実行する換気装置を有していることが望ましい。そして、制御部は、換気装置に調整換気運転を開始させた後、撮影手段に撮影動作を開始させて検出処理を実行することが望ましい。
【0014】
この場合、制御部は、検出処理を実行する前に、換気装置に調整換気運転を開始させる。これにより、換気装置は、浴室内を換気して水蒸気を低減させることにより、浴室内を撮影動作の実行に適した環境に調整する。そして、制御部は、換気装置に調整換気運転を開始させた後、撮影手段に撮影動作を開始させて検出処理を実行する。これにより、浴室内の環境が撮影手段の撮影に対する外乱となり難い。その結果、この浴室システムでは、制御部が撮影手段から取得する画像の品質が外乱の影響を受けて低下することを確実性高く抑制でき、検出処理を一層精度良く実行できる。
【0015】
本発明の浴室システムは、入浴者が浴槽内にいるか否かを検出する入浴検出手段をさらに備えていることが望ましい。そして、制御部は、入浴者が浴槽内にいることを入浴検出手段が検出した場合にのみ、換気装置に調整換気運転を実行させることが望ましい。
【0016】
この場合、入浴者が浴槽内にいない場合に、入浴者に冷風感を与えないようにすることができる。
【0017】
換気装置は、調整換気運転以外に、撮影動作とは無関係に浴室内を換気する通常換気運転も実行することが望ましい。そして、調整換気運転における換気風量は、通常換気運転における換気風量よりも少ないことが望ましい。
【0018】
この場合、制御部が検出処理を実行する前に、換気装置が冷風感を低減した換気を行うことができる。
【0019】
環境調整手段は、調整動作として、浴槽内の湯水に微細気泡を供給する気泡供給動作を実行する微細気泡供給装置を有していることが望ましい。そして、制御部は、微細気泡供給装置に気泡供給動作を開始させた後、撮影手段に撮影動作を開始させて検出処理を実行することが望ましい。
【0020】
この場合、制御部は、検出処理を実行する前に、微細気泡供給装置に気泡供給動作を開始させる。これにより、微細気泡供給装置は、浴槽内の湯水に微細気泡を供給して湯水面を白濁化させ、浴槽の湯水面からの反射光を低減させることにより、浴室内を撮影動作の実行に適した環境に調整する。そして、制御部は、微細気泡供給装置に気泡供給動作を開始させた後、撮影手段に撮影動作を開始させて検出処理を実行する。これにより、浴室内の環境が撮影手段の撮影に対する外乱となり難い。その結果、この浴室システムでは、制御部が撮影手段から取得する画像の品質が外乱の影響を受けて低下することを確実性高く抑制でき、検出処理を一層精度良く実行できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の浴室システムによれば入浴者の表情や姿勢といった身体状態の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施例の浴室システムのブロック図である。
図2図2は、実施例の浴室システムに係り、検出処理プログラムのフローチャートである。
図3図3は、変形例1の浴室システムのブロック図である。
図4図4は、変形例1の浴室システムに係り、カメラのブロック図である。
図5図5は、変形例2の浴室システムのブロック図である。
図6図6は、変形例2の浴室システムに係り、浴室リモコンのブロック図である。
図7図7は、変形例3の浴室システムに係り、検出処理プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
(実施例)
図1に示すように、実施例の浴室システム1は、本発明の浴室システムの具体的態様の一例であり、住宅H1に適用されている。住宅H1には、浴室R1が設けられている。浴室R1には、浴槽3、浴室照明4、混合水栓5及びシャワー5Aが設置されている。
【0025】
浴室システム1は、給湯装置90、浴室リモコン10、浴室暖房乾燥機50、微細気泡供給装置80及びカメラ40を備えている。浴室暖房乾燥機50は、暖房装置60及び換気装置70を有している。換気装置70は、本発明の「環境調整手段」の一例である。微細気泡供給装置80も、本発明の「環境調整手段」の一例である。カメラ40は、本発明の「撮影手段」の一例である。
【0026】
<給湯装置>
給湯装置90は、住宅H1に設置されている。給湯装置90は、周知の構成であるので説明を簡略するが、図示しないガスバーナ、熱交換器及び循環ポンプ等を有している。ガスバーナは、都市ガス等の燃料ガスを燃焼させて、高温の燃焼ガスを生成する。給湯装置90は、水道等から供給される水を熱交換器内で流通させ、ガスバーナが生成する燃焼ガスとの間で熱交換を行わせることでその水を加熱し、出湯する。
【0027】
給湯装置90は、配管P5を経由して、混合水栓5及びシャワー5Aに湯水を供給する。また、給湯装置90は、浴槽往き配管P3Aを経由して、浴槽3に湯水を供給する。給湯装置90は、浴槽3内に自動で湯はりを行う自動湯はり運転、浴槽3内に足し湯を行う足し湯運転、浴槽3内に足し水を行う足し水運転を実行可能である。
【0028】
さらに、給湯装置90は、図示しない循環ポンプによって、浴槽3と、浴槽戻り配管P3Bと、熱交換器と、浴槽往き配管P3Aとの間で湯水を循環させながらガスバーナによって加熱する追い焚き運転を実行可能である。
【0029】
給湯装置90は、制御部91を有している。制御部91は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部91Mと、インターフェース回路等とを含んで構成された電子回路ユニットである。制御部91は、給湯装置90のガスバーナ、熱交換器、循環ポンプ等の動作に関する制御処理を実行する。
【0030】
また、制御部91は、浴室暖房乾燥機50が内蔵する制御部を経由して、浴室暖房乾燥機50の暖房装置60及び換気装置70を制御する。さらに、制御部91は、微細気泡供給装置80及びカメラ40を制御する。
【0031】
記憶部91Mは、給湯装置90等を動作させるための各種プログラム及び設定情報等を記憶している。また、記憶部91Mは、給湯装置90等の動作中において制御部91が取得する各種情報を適宜記憶する。記憶部91Mが記憶するプログラムには、図2に示す検出処理プログラムが含まれる。
【0032】
図1に示すように、給湯装置90は、水位センサ93を有している。水位センサ93は、本発明の「入浴検出手段」の一例である。
【0033】
水位センサ93は、浴槽往き配管P3A及び浴槽戻り配管P3Bを経由して浴槽3と接続する内部配管内の圧力を測定する圧力センサを含んでいる。水位センサ93は、浴槽3の湯水面が静かな状態で圧力センサが測定する静水圧に基づいて、浴槽3の水位を検出する。入浴者P1が浴槽3内にいる場合の水位は、入浴者P1が浴槽3内にいない場合の水位よりも大幅に高くなる。水位センサ93は、そのような水位の変化に基づいて、入浴者P1が浴槽3内にいるか否かを検出する。
【0034】
<浴室リモコン>
浴室リモコン10は、浴室R1の内壁に設置されている。浴室リモコン10は、周知の構成であるので説明を簡略するが、給湯装置90の制御部91と有線通信可能に接続されている。浴室リモコン10は、入力部11及び表示部12を有している。
【0035】
浴室リモコン10は、入浴者P1が入力部11に対して行う操作を給湯装置90に伝達して給湯装置90を遠隔操作する。また、浴室リモコン10は、給湯装置90から伝達される運転状況や設定情報等の各種情報を表示部12によって表示する。さらに、浴室リモコン10は、制御部91を経由して、浴室暖房乾燥機50及び微細気泡供給装置80を遠隔操作したり、浴室暖房乾燥機50及び微細気泡供給装置80についての各種情報を表示したりすることもできる。
【0036】
<浴室暖房乾燥機>
浴室暖房乾燥機50は、周知の構成であるので説明を簡略するが、暖房装置60及び換気装置70がユニット化されており、浴室R1の天井に設置されている。浴室暖房乾燥機50は、給湯装置90の制御部91と有線通信可能に接続されている。
【0037】
浴室暖房乾燥機50は、浴室リモコン10や、脱衣室に設置された図示しない浴室暖房乾燥機リモコンによって操作される。浴室暖房乾燥機50は、温度センサ53により浴室R1内の温度を検出する。
【0038】
暖房装置60は、図示しない循環ファン、放熱器、熱動弁等を有している。暖房装置60は、暖房往き配管P6A及び暖房戻り配管P6Bによって、給湯装置90に接続されている。
【0039】
暖房装置60は、図示しない循環ファンによって浴室R1の空気を循環させながら、その空気を給湯装置90から供給されて図示しない放熱器内を流れる温水によって加熱することで、浴室R1を暖める暖房運転を実行可能である。
【0040】
換気装置70は、図示しない換気ファン及び可変ダンパによって浴室R1の空気を住宅H1の外部に排出することで、浴室R1内を換気する換気運転を実行可能である。
【0041】
さらに、浴室暖房乾燥機50は、暖房運転による浴室R1の昇温と、換気運転による浴室R1の除湿とを協調的に行って、浴室R1を乾燥させる乾燥運転を実行可能である。
【0042】
本実施例では、換気装置70は、換気運転として、調整換気運転と通常換気運転とを選択的に実行する。
【0043】
換気装置70は、制御部91が図2に示す検出処理プログラムを実行するときに、調整換気運転を実行する。調整換気運転は、浴室R1内をカメラ40の撮影動作の実行に適した環境に調整する調整動作として、浴室R1内を換気する換気運転である。
【0044】
カメラ40の撮影動作の実行に適した環境とは、例えば、浴室R1内の水蒸気が少ないことによりカメラ40と撮影対象との間で水蒸気による光散乱が発生し難い環境である。
【0045】
通常換気運転は、カメラ40の撮影動作とは無関係に浴室R1内を換気する換気運転である。例えば、住宅H1の居住者が浴室R1内を清掃した後、浴室R1内を乾燥させたい場合や、入浴者P1が浴室R1内を換気したい場合、浴室リモコン10等を操作して換気装置70に通常換気運転を実行させる。
【0046】
通常換気運転における換気風量W2は、浴室リモコン10等を操作するときの風量設定により、例えば、「弱」、「中」、「強」等の複数段階に調整可能である。調整換気運転における換気風量W1は、通常換気運転における換気風量W2よりも少ない。
【0047】
<微細気泡供給装置>
図1に示すように、微細気泡供給装置80は、浴槽往き配管P3A及び浴槽戻り配管P3Bの途中に設置されている。微細気泡供給装置80は、給湯装置90の制御部91と有線通信可能に接続されている。なお、微細気泡供給装置80は、給湯装置90に内蔵された構成としてもよい。
【0048】
微細気泡供給装置80は、制御部91が図2に示す検出処理プログラムを実行するときに、浴室R1内をカメラ40の撮影動作の実行に適した環境に調整する調整動作として、浴槽3内の湯水に微細気泡を供給する気泡供給動作を実行する。
【0049】
カメラ40の撮影動作の実行に適した環境とは、例えば、浴室照明4から照射されて浴槽3の湯水面で様々な方向に反射する反射光が少ないことによりカメラ40が外乱光の影響を受け難い環境である。
【0050】
また、入浴者P1が浴槽3内の湯水に微細気泡が含まれた状態で入浴したい場合、浴室リモコン10等を操作して微細気泡供給装置80に気泡供給動作を実行させる。
【0051】
微細気泡の供給方法としては様々な方法が知られているが、本実施例では、微細気泡供給装置80は、以下のようにして気泡供給動作を実行可能である。
【0052】
すなわち、微細気泡供給装置80は、気泡供給動作を実行していないときは、浴槽往き配管P3Aの上流から下流にそのまま湯水を流通させるとともに、浴槽戻り配管P3Bの上流から下流にそのまま湯水を流通させる。
【0053】
微細気泡供給装置80は、気泡供給動作を実行すると、浴槽3から吸い上げた湯水をポンプで加圧してタンク内に取り込み、タンク内に取り込んだ加圧湯水に旋回流を発生させて空気と接触させることで、その湯水に空気を溶け込ませる。そして、その湯水が浴槽3の循環金具から噴出する際に圧力が一気に下がることで、溶けた空気が微細な気泡に変わって、その湯水が白濁する。
【0054】
<カメラ>
図1に示すように、カメラ40は、浴室R1の内壁のうち、浴槽3内にいる入浴者と対面する内壁に設置されている。カメラ40は、給湯装置90の制御部91と有線通信可能に接続されている。
【0055】
カメラ40は、動画撮影可能なデジタルカメラである。カメラ40が撮影する画像は、RGB形式の画像情報によって構成されている。カメラ40が動画撮影するときのフレームレートは、例えば10~60(フレーム/秒)である。
【0056】
カメラ40は、制御部91が図2に示す検出処理プログラムを実行するときに、浴槽3内にいる入浴者P1の頭部P1Hの画像を撮影する撮影動作を実行する。本実施例では、カメラ40は、撮影する画像に入浴者P1の顔面が含まれるように撮影動作を実行する。カメラ40が撮影した画像の画像情報は、給湯装置90の制御部91に伝達される。
【0057】
<検出処理>
制御部91は、カメラ40から取得する画像の画素情報の変化に基づいて入浴者P1の表情や姿勢といった身体状態を検出し、身体状態の変化を観察したり、安全上の不具合の有無を判断したりするため、給湯装置90及び浴室リモコン10の電源が投入されたときに、図2に示す検出処理プログラムを実行する。
【0058】
初めに、制御部91はステップS101において、水位センサ93の検出結果に基づき、入浴者P1が浴槽3内にいるか否かを検出する。
【0059】
ステップS101において「No」の場合、制御部91はステップS101を繰り返す。そして、ステップS101において「Yes」になると、制御部91はステップS102に移行し、入浴者P1が浴槽3への入浴を開始したと判断する。
【0060】
次に、制御部91はステップS103に移行し、浴室R1内をカメラ40の撮影動作の実行に適した環境に調整する調整動作として、換気装置70に調整換気運転を開始させるとともに、微細気泡供給装置80に気泡供給動作を開始させる。
【0061】
換気装置70が換気風量W1で浴室R1内を換気することにより、浴室R1内の水蒸気が少なくなり、カメラ40と撮影対象との間で水蒸気による光散乱が発生し難くなる。
【0062】
微細気泡供給装置80が浴槽3内の湯水に微細気泡を供給することにより、湯水面が白濁し、浴室照明4から照射されて浴槽3の湯水面で様々な方向に反射する反射光が少なくなり、カメラ40が外乱光の影響を受け難くなる。
【0063】
次に、制御部91は、ステップS104に移行する。ステップS103からステップS104に移行するときの時間間隔は、換気装置70及び微細気泡供給装置80による調整動作によって浴室R1内の環境の調整が終わる程度の長さに設定される。そして、制御部91は、カメラ40に撮影動作を開始させる。カメラ40は、浴槽3内にいる入浴者P1の頭部P1Hの画像を撮影し、画像情報を制御部91に伝達する。
【0064】
次に、制御部91はステップS105に移行し、検出処理を実行する。制御部91は、カメラ40から取得する画像の画素情報の変化に基づいて入浴者P1の身体状態を検出する。
【0065】
具体的には、制御部91は、入浴者P1の口の開閉状態、目の開閉状態、顔の傾斜状態等である複数の因子を読み取り、入浴者P1の身体状態、例えば意識の明瞭度、呼吸頻度、入浴者P1の姿勢等を検出する。制御部91は、検出処理の結果を記憶部91Mによって記憶する。そして、安全上の不具合が生じた場合等において、適宜浴室リモコン10の表示部12により入浴者P1に報知する。
【0066】
つまり、制御部91は、換気装置70に調整換気運転を開始させ、かつ微細気泡供給装置80に気泡供給動作を開始させた後、カメラ40に撮影動作を開始させて検出処理を実行する。
【0067】
次に、制御部91はステップS107に移行し、水位センサ93の検出結果に基づき、入浴者P1が浴槽3内にいるか否かを検出する。
【0068】
ステップS107において「No」の場合、制御部91はステップS108に移行する。ステップS108以降の処理については後述する。
【0069】
その一方、ステップS107において「Yes」の場合、制御部91はステップS111に移行する。そして、制御部91は、温度センサ53の検出結果に基づき、浴室R1内の温度が下限値以上であるか否かを判断する。下限値は、浴室R1内の温度が低過ぎると浴槽3内にいる入浴者P1に感じさせ難い程度の温度に設定されている。
【0070】
ステップS111において「Yes」の場合、制御部91はステップS112に移行し、換気装置70による調整換気運転を継続又は再開し、ステップS105に戻る。換気装置70による調整換気運転の再開は、後述するステップS108、S113の「一時停止」に対応している。
【0071】
その一方、ステップS111において「No」の場合、制御部91はステップS113に移行し、換気装置70による調整換気運転を一時停止した後、ステップS105に戻る。これにより、浴室R1内の温度が低過ぎると浴槽3内にいる入浴者P1が感じることを抑制できる。
【0072】
ステップS107からステップS108に移行すると、制御部91は、換気装置70による調整換気運転を一時停止させる。これにより、入浴者P1が混合水栓5及びシャワー5Aを利用して体を洗うために浴槽3内にいない場合に、入浴者P1に冷風感を与えないようにすることができる。
【0073】
次に、制御部91はステップS109に移行し、混合水栓5及びシャワー5Aが所定時間以上不使用か否かを判断する。例えば、制御部91は、配管P5に供給する湯水の流量を検出する図示しない流量センサにより、ステップS109の判断を行う。
【0074】
ステップS109において「No」の場合、制御部91は入浴者P1が体を洗っていると判断し、ステップS107に戻る。
【0075】
その一方、ステップS109において「Yes」の場合、制御部91はステップS115に移行し、入浴者P1が入浴を終了したと判断する。
【0076】
次に、制御部91はステップS116に移行し、カメラ40による撮影動作を終了する。
【0077】
次に、制御部91はステップS117に移行し、換気装置70による調整換気運転を終了し、かつ微細気泡供給装置80による気泡供給動作を終了する。そして、制御部91は、このプログラムを終了する。
【0078】
<作用効果>
実施例の浴室システム1において、図2に示すように、制御部91は、ステップS105において検出処理を実行する前に、ステップS103において換気装置70及び微細気泡供給装置80に調整動作を開始させる。
【0079】
これにより、調整換気運転を実行する換気装置70は、浴室R1内を換気して水蒸気を低減させることにより、浴室R1内をカメラ40の撮影動作の実行に適した環境に調整する。
【0080】
また、気泡供給動作を実行する微細気泡供給装置80は、浴槽3内の湯水に微細気泡を供給して湯水面を白濁化させ、浴槽3の湯水面からの反射光を低減させることにより、浴室R1内をカメラ40の撮影動作の実行に適した環境に調整する。
【0081】
そして、制御部91は、ステップS103において換気装置70及び微細気泡供給装置80に調整動作を開始させた後、ステップS104においてカメラ40に撮影動作を開始させる。これにより、浴室R1内の環境がカメラ40の撮影に対する外乱となり難い。
【0082】
その結果、この浴室システム1では、制御部91がカメラ40から取得する画像の品質が外乱の影響を受けて低下することを抑制でき、ステップS105において検出処理を精度良く実行できる。
【0083】
したがって、実施例の浴室システム1は、入浴者P1の表情や姿勢といった身体状態の検出精度を向上させることができる。
【0084】
また、この浴室システム1は、環境調整手段としての換気装置70が調整動作として調整換気運転を実行する構成により、制御部91がカメラ40から取得する画像の品質が外乱の影響を受けて低下することを確実性高く抑制でき、ステップS105において検出処理を一層精度良く実行できる。
【0085】
さらに、この浴室システム1において、制御部91は、ステップS101及びステップS107において入浴者P1が浴槽3内にいることを水位センサ93が検出した場合にのみ、換気装置70に調整換気運転を実行させる。この構成により、入浴者P1が混合水栓5及びシャワー5Aを利用して体を洗うために浴槽3内にいない場合に、入浴者P1に冷風感を与えないようにすることができる。
【0086】
また、この浴室システム1において、調整換気運転における換気風量W1は、通常換気運転における換気風量W2よりも少ない。この構成により、制御部91がステップS105において検出処理を実行する前に、換気装置70がステップS103において冷風感を低減した換気を行うことができる。
【0087】
さらに、この浴室システム1は、環境調整手段としての微細気泡供給装置80が調整動作として気泡供給動作を実行する構成により、制御部91がカメラ40から取得する画像の品質が外乱の影響を受けて低下することを確実性高く抑制でき、ステップS105において検出処理を一層精度良く実行できる。
【0088】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0089】
実施例では、制御部91は、給湯装置90及び浴室リモコン10の電源が投入されたときに、図2に示す検出処理プログラムを実行するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、制御部91は、給湯装置90及び浴室リモコン10の電源が投入されときには図2に示す検出処理プログラムを実行せず、住宅H1の居住者や入浴者P1が検出処理プログラムの開始を指示する操作を浴室リモコン10の入力部11に対して行ったときに、検出処理プログラムを実行してもよい。
【0090】
実施例では、浴室システム1が換気装置70及び微細気泡供給装置80を備えているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、実施例から微細気泡供給装置80を削除した構成も本発明に含まれる、この場合、制御部91は、図2のステップS103において、換気装置70による調整換気運転のみを開始する。制御部91は、図2のステップS117において、換気装置70による調整換気運転のみを終了する。また、実施例から換気装置70を削除した構成も本発明に含まれる、この場合、制御部91は、図2のステップS103において、微細気泡供給装置80による気泡供給動作のみを開始する。制御部91は、図2のステップS117において、微細気泡供給装置80による気泡供給動作のみを終了する。図2のステップS108、S111~S113は削除される。
【0091】
実施例では、カメラ40が浴室リモコン10とは別体であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、実施例に係るカメラ40と浴室リモコン10とを一体にした構成も本発明に含まれる。実施例では、カメラ40とは別体である制御部91が検出処理を実行するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、カメラ40が検出処理の少なくとも一部を実行する制御部を有する構成や、浴室リモコン10がカメラ40と一体であって、検出処理の全てや少なくとも一部を実行する制御部を有する構成も本発明に含まれる。それらを具体化した変形例1、2を以下に説明する。
【0092】
(変形例1)
変形例1の浴室システムは、実施例の浴室システム1に係るカメラ40の代わりに、図3及び図4に示すカメラ240を備えている。カメラ240は、本発明の「撮影手段」の一例である。
【0093】
図3に示すように、この浴室システムは、住宅H1の台所R2に設置された台所リモコン220を備えている。台所リモコン220は、給湯装置90の制御部91と有線通信可能に接続されている。
【0094】
台所リモコン220は、図示しない無線通信部を有している。台所リモコン220の無線通信部は、Wi-Fi(登録商標)等によって住宅H1内に設置された無線ルータ7と無線通信を実行する。給湯装置90の制御部91は、台所リモコン220の無線通信部と無線ルータ7とを経由して外部のネットワークNW1に接続し、ネットワークNW1に接続する外部サーバ9等の情報処理端末とネットワーク通信を実行することが可能である。外部サーバ9は、変形例1の浴室システムの支援サーバである。
【0095】
変形例1のその他の構成は実施例と同様である。このため、実施例と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0096】
カメラ240は、実施例に係るカメラ40と同様に、動画撮影可能なデジタルカメラであり、給湯装置90の制御部91と有線通信可能に接続されている。
【0097】
図4に示すように、カメラ240は、制御部241を有している。制御部241は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部241Mと、インターフェース回路等とを含んで構成された電子回路ユニットである。制御部241は、カメラ240の動作を制御する。また、制御部241は、カメラ240と給湯装置90の制御部91との有線通信を制御する。
【0098】
記憶部241Mは、カメラ240を動作させるための各種プログラム及び設定情報等を記憶している。また、記憶部241Mは、カメラ240の動作中において制御部241が取得する各種情報を適宜記憶する。
【0099】
制御部241は、画像処理部241A及び身体状態検出部241Bを有している。画像処理部241A及び身体状態検出部241Bは、給湯装置90の制御部91が図2に示す検出処理プログラムを実行し、ステップS104に移行してカメラ240に撮影動作を開始させたときに処理を開始する。
【0100】
そして、画像処理部241A及び身体状態検出部241Bは、ステップS105において、制御部91の代わりに検出処理を実行し、検出処理の結果を制御部91に送信する。
【0101】
具体的には、画像処理部241Aは、カメラ240が撮影する画像について、身体状態検出部241Bが利用し易いように画像処理を行う。画像処理としては、例えば、入浴者P1の頭部P1Hの周囲にある風景画像等をトリミングする処理、入浴者P1の頭部P1Hの特徴部分、例えば、目、鼻、口、あご、耳等の形状や大きさ、それらの相対位置関係を抽出する処理、入浴者P1の顔画像について、目、鼻、口、あご、耳等をワイヤフレーム等で示して抽象化し、プライバシー情報を排除する処理等が挙げられる。
【0102】
画像処理部241Aは、画像処理した後の画像情報を所定時間前から現在までの一定期間、記憶部241Mに記憶させる。
【0103】
身体状態検出部241Bは、画像処理部241Aが処理した画像情報に基づいて、入浴者P1の口の開閉状態、目の開閉状態、顔の傾斜状態等である複数の因子を読み取り、入浴者P1の身体状態、例えば意識の明瞭度、呼吸頻度、入浴者P1の姿勢等を検出する。
【0104】
制御部91は、画像処理部241A及び身体状態検出部241Bが実行した検出処理の結果に基づいて、入浴者P1の身体状態の変化を観察したり、安全上の不具合の有無を判断したりする。また、制御部91は、検出処理の結果を記憶部91Mによって記憶する。そして、制御部91は、安全上の不具合が生じた場合等において、適宜浴室リモコン10の表示部12により入浴者P1に報知する。
【0105】
なお、画像処理部241A及び身体状態検出部241Bが実行した検出処理の結果は、必要に応じて、制御部91、台所リモコン220等を経由して外部サーバ9にも送信される。外部サーバ9も、受信した検出処理の結果に基づいて、入浴者P1の身体状態の変化を観察したり、安全上の不具合の有無を判断したりすることができる。
【0106】
その後、画像処理部241A及び身体状態検出部241Bは、制御部91がステップS116に移行してカメラ240による撮影動作を終了したときに、処理を終了する。
【0107】
このような構成である変形例1の浴室システムも、実施例の浴室システム1と同様に、入浴者P1の表情や姿勢といった身体状態の検出精度を向上させることができる。
【0108】
また、この浴室システムは、画像処理部241A及び身体状態検出部241Bが実行した検出処理の結果がカメラ240から制御部91に送信されるだけであるので、入浴者P1に関する画像情報の流出リスクを極力抑制できる。
【0109】
さらに、この浴室システムにおいて、画像処理部241A及び身体状態検出部241Bが実行した検出処理の結果の情報量は、仮にカメラ240が撮影した画像の画像情報を無加工で制御部91に送信する場合と比較して、大幅に小さい。その結果、この浴室システムは、カメラ240と制御部91との通信負荷を低減できる。
【0110】
なお、変形例1において、制御部241から身体状態検出部241Bを無くし、画像処理部241Aが処理して情報量が小さくなった処理済みの画像情報をカメラ240から制御部91に送信してもよい。この場合において、制御部91が身体状態検出部241Bの代わりに、入浴者P1の身体状態を検出してもよい。また、制御部91が処理済みの画像情報を外部サーバ9に送信し、外部サーバ9が身体状態検出部241Bの代わりに入浴者P1の身体状態を検出し、制御部91がその検出結果を外部サーバ9から受信してもよい。
【0111】
(変形例2)
変形例2の浴室システムは、実施例の浴室システム1に係る浴室リモコン10の代わりに、図5及び図6に示す浴室リモコン310及びカメラ340を備えている。
【0112】
カメラ340は、本発明の「撮影手段」の一例である。カメラ340は、浴室リモコン310に一体に設けられている。カメラ340は、実施例に係るカメラ40と同様に、動画撮影可能なデジタルカメラである。
【0113】
図5に示すように、浴室リモコン310は、給湯装置90の制御部91と有線通信可能に接続されている。図6に示すように、浴室リモコン310は、入力部311、表示部312、無線通信部313及び制御部341を有している。
【0114】
入力部311及び表示部312の構成は、実施例に係る入力部11及び表示部12と同じである。
【0115】
図5に示すように、無線通信部313は、Wi-Fi(登録商標)等によって住宅H1内に設置された無線ルータ7と無線通信を実行する。制御部341は、無線通信部313及び無線ルータ7を経由して外部のネットワークNW1に接続し、ネットワークNW1に接続する外部サーバ9等の情報処理端末とネットワーク通信を実行することが可能である。
【0116】
変形例2のその他の構成は実施例と同様である。このため、実施例と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0117】
浴室リモコン310において、制御部341は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部341Mと、インターフェース回路等とを含んで構成された電子回路ユニットである。制御部341は、浴室リモコン310及びカメラ340の動作を制御する。また、制御部341は、浴室リモコン310及びカメラ340と給湯装置90の制御部91との有線通信を制御する。
【0118】
記憶部341Mは、浴室リモコン310及びカメラ340を動作させるための各種プログラム及び設定情報等を記憶している。また、記憶部341Mは、浴室リモコン310及びカメラ340の動作中において制御部341が取得する各種情報を適宜記憶する。
【0119】
制御部341は、画像処理部341A及び身体状態検出部341Bを有している。画像処理部341A及び身体状態検出部341Bは、給湯装置90の制御部91が図2に示す検出処理プログラムを実行し、ステップS104に移行してカメラ340に撮影動作を開始させたときに処理を開始する。
【0120】
そして、画像処理部341A及び身体状態検出部341Bは、ステップS105において、制御部91の代わりに検出処理を実行し、検出処理の結果を制御部91に送信する。画像処理部341A及び身体状態検出部341Bの処理内容は、変形例1に係る画像処理部241A及び身体状態検出部241Bの処理内容と同じである。
【0121】
制御部91は、画像処理部341A及び身体状態検出部341Bが実行した検出処理の結果に基づいて、入浴者P1の身体状態の変化を観察したり、安全上の不具合の有無を判断したりする。また、制御部91は、検出処理の結果を記憶部91Mによって記憶する。そして、制御部91は、安全上の不具合が生じた場合等において、適宜浴室リモコン310の表示部312により入浴者P1に報知する。
【0122】
なお、画像処理部341A及び身体状態検出部341Bが実行した検出処理の結果は、必要に応じて、無線通信部313及び無線ルータ7を経由して外部サーバ9にも送信される。外部サーバ9も、受信した検出処理の結果に基づいて、入浴者P1の身体状態の変化を観察したり、安全上の不具合の有無を判断したりすることができる。
【0123】
その後、画像処理部341A及び身体状態検出部341Bは、制御部91がステップS116に移行してカメラ340による撮影動作を終了したときに、処理を終了する。
【0124】
このような構成である変形例2の浴室システムも、実施例の浴室システム1及び変形例1の浴室システムと同様に、入浴者P1の表情や姿勢といった身体状態の検出精度を向上させることができる。
【0125】
また、この浴室システムは、変形例1の浴室システムと同様に、入浴者P1に関する画像情報の流出リスクを極力抑制できるとともに、カメラ340と制御部91との通信負荷を低減できる。
【0126】
なお、変形例2において、制御部341から身体状態検出部341Bを無くし、画像処理部341Aが処理して情報量が小さくなった処理済みの画像情報を浴室リモコン310から制御部91に送信し、制御部91が身体状態検出部341Bの代わりに、入浴者P1の身体状態を検出してもよい。
【0127】
また、変形例2において、制御部341から身体状態検出部341Bを無くし、画像処理部341Aが処理して情報量が小さくなった処理済みの画像情報を浴室リモコン310から外部サーバ9に送信し、外部サーバ9が身体状態検出部341Bの代わりに入浴者P1の身体状態を検出し、浴室リモコン310がその検出結果を外部サーバ9から受信して制御部91に送信してよい。
【0128】
(変形例3)
変形例3の浴室システムは、変形例2の浴室システムを以下のように変更している。
【0129】
すなわち、変形例2の浴室システムでは、給湯装置90の制御部91が図2に示す検出処理プログラムを実行し、浴室リモコン310の画像処理部341A及び身体状態検出部341Bが図2のステップS105において、制御部91の代わりに検出処理を実行し、検出処理の結果を制御部91に送信するが、変形例3の浴室システムでは、変形例2に係る浴室リモコン310の制御部341が図7に示す検出処理プログラムを実行するように変更されている。
【0130】
また、変形例2の浴室システムでは、制御部91が図2に示すステップS101、S107の判断に水位センサ93を利用し、ステップS109の判断に図示しない流量センサを利用するが、変形例3の浴室システムでは、制御部341が図7に示すステップS301、S307、S309の判断にカメラ340を利用するように変更されている。
【0131】
変形例3のその他の構成は、図5及び図6に示す変形例2の構成と同じである。
【0132】
<検出処理>
浴室リモコン310の制御部341は、カメラ340から取得する画像の画素情報の変化に基づいて入浴者P1の表情や姿勢といった身体状態を検出し、身体状態の変化を観察したり、安全上の不具合の有無を判断したりするため、給湯装置90及び浴室リモコン10の電源が投入されたときに、図7に示す検出処理プログラムを実行する。
【0133】
初めに、制御部341はステップS301において、カメラ340のリアルタイムの撮影画像に基づき、入浴者P1の入浴開始を確認したか否かを判断する。
【0134】
例えば、制御部341は、カメラ340から低解像度の画像データをリアルタイムで取得することにより、カメラ340を人感センサとして利用する。そして、制御部341は、カメラ340の画像データに基づいて、入浴者P1が浴室R1に入室したことを検出したときに、入浴者P1の入浴開始を確認したと判断する。この際、制御部341は、浴室R1に入室した入浴者P1について肌色の比率を算出し、衣類を着用していないと推定したときに、入浴者P1の入浴開始を確認したと判断してもよい。
【0135】
ステップS301において「No」の場合、制御部341はステップS301を繰り返す。そして、ステップS301において「Yes」になると、制御部341はステップS303に移行する。
【0136】
制御部341はステップS303に移行すると、浴室R1内をカメラ340の撮影動作の実行に適した環境に調整する調整動作として、給湯装置90の制御部91を経由して換気装置70及び微細気泡供給装置80に動作指令を伝達し、換気装置70に調整換気運転を開始させるとともに、微細気泡供給装置80に気泡供給動作を開始させる。
【0137】
ステップS303における換気装置70の調整換気運転、及び微細気泡供給装置80の気泡供給動作は、図2に示すステップS103で説明した通りである。
【0138】
次に、制御部341は、図7に示すステップS304に移行する。ステップS303からステップS304に移行するときの時間間隔は、換気装置70及び微細気泡供給装置80による調整動作によって浴室R1内の環境の調整が終わる程度の長さに設定される。そして、制御部341は、カメラ340に撮影動作を開始させる。カメラ340は、浴槽3内にいる入浴者P1の頭部P1Hの画像を撮影し、画像情報を制御部341に伝達する。
【0139】
次に、制御部341はステップS305に移行する。そして、画像処理部341A及び身体状態検出部341Bは、ステップS305において検出処理を実行し、検出処理の結果を制御部341に伝達する。画像処理部341A及び身体状態検出部341Bの処理内容は、変形例1に係る画像処理部241A及び身体状態検出部241Bの処理内容と同じである。
【0140】
制御部341は、画像処理部341A及び身体状態検出部341Bが実行した検出処理の結果に基づいて、入浴者P1の身体状態の変化を観察したり、安全上の不具合の有無を判断したりする。また、制御部341は、検出処理の結果を記憶部341Mによって記憶する。そして、制御部341は、安全上の不具合が生じた場合等において、適宜浴室リモコン310の表示部312により入浴者P1に報知する。
【0141】
つまり、制御部341は、換気装置70に調整換気運転を開始させ、かつ微細気泡供給装置80に気泡供給動作を開始させた後、カメラ340に撮影動作を開始させて検出処理を実行する。
【0142】
次に、制御部341はステップS307に移行し、カメラ340のリアルタイムの撮影画像に基づき、入浴者P1が浴槽3内にいることを確認したか否かを判断する。
【0143】
例えば、制御部341は、浴室R1内における浴槽3が位置する領域を事前に把握しておき、カメラ340の画像データから抽出した入浴者P1の位置について、浴槽3が位置する領域内にあることを検出したときに、入浴者P1が浴槽3内にいることを確認したと判断する。
【0144】
ステップS307において「No」の場合、制御部341はステップS308に移行する。ステップS308以降の処理については後述する。
【0145】
その一方、ステップS307において「Yes」の場合、制御部341はステップS311~S313の処理を実行する。ステップS311~S313の処理内容は、図2に示すステップS111~S113の処理内容と同じである。この際も、制御部341は、給湯装置90の制御部91を経由して換気装置70及び微細気泡供給装置80に動作指令を伝達する。
【0146】
制御部341は、図7に示すステップS311~S313の処理を終えると、ステップS305に戻る。
【0147】
ステップS307からステップS308に移行すると、制御部341は、換気装置70による調整換気運転を一時停止させる。これにより、入浴者P1が混合水栓5及びシャワー5Aを利用して体を洗うために浴槽3内にいない場合に、入浴者P1に冷風感を与えないようにすることができる。
【0148】
次に、制御部341はステップS309に移行し、カメラ340のリアルタイムの撮影画像に基づき、入浴者P1が浴室R1から出たことを確認したか否かを判断する。
【0149】
例えば、制御部341は、カメラ340の画像データから入浴者P1を抽出できなくなったときに、入浴者P1が浴室R1から出たことを確認したと判断する。
【0150】
ステップS309において「No」の場合、制御部341は入浴者P1が体を洗っていると判断し、ステップS307に戻る。
【0151】
その一方、ステップS309において「Yes」の場合、制御部341はステップS316に移行し、カメラ340による撮影動作を終了する。
【0152】
次に、制御部341はステップS317に移行し、換気装置70による調整換気運転を終了し、かつ微細気泡供給装置80による気泡供給動作を終了する。この際も、制御部341は、給湯装置90の制御部91を経由して換気装置70及び微細気泡供給装置80に動作指令を伝達する。そして、制御部341は、このプログラムを終了する。
【0153】
このような構成である変形例3の浴室システムも、実施例の浴室システム1及び変形例1、2の浴室システムと同様に、入浴者P1の表情や姿勢といった身体状態の検出精度を向上させることができる。
【0154】
また、この浴室システムは、入浴者P1に関する画像情報の流出リスクを極力抑制できるという作用効果を変形例1、2の浴室システムよりも確実性高く実現できる。さらに、この浴室システムは、カメラ340と制御部91との通信負荷をゼロにできる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は例えば、浴室が設置された住宅や施設等に利用可能である。
【符号の説明】
【0156】
1…浴室システム
R1…浴室
3…浴槽
P1…入浴者
P1H…入浴者の頭部
40、240、340…撮影手段(カメラ)
70、80…環境調整手段(70…換気装置、80…微細気泡供給装置)
91…制御部
93…入浴検出手段(水位センサ)
W1…調整換気運転における換気風量
W2…通常換気運転における換気風量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7