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特開2024-81127エピタキシャル成長装置及びそれに使用される多層ガス供給モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081127
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】エピタキシャル成長装置及びそれに使用される多層ガス供給モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240610BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/455
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193945
(22)【出願日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0167459
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523431213
【氏名又は名称】ピージェイピーテク インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PJPTECH Inc.
【住所又は居所原語表記】36-2, Hagal-ro 86, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17096, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェ バムホ
(72)【発明者】
【氏名】パク ギョンシン
(72)【発明者】
【氏名】クォン ヒョンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イム ソクホ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ゾンウク
(72)【発明者】
【氏名】イ スンス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA05
4K030AA06
4K030AA09
4K030AA18
4K030BA27
4K030BA29
4K030BA37
4K030CA12
4K030EA04
4K030EA05
4K030EA06
4K030KA05
4K030KA45
5F045AA03
5F045AB06
5F045AC01
5F045AC03
5F045AC05
5F045AC07
5F045AD01
5F045AE29
5F045AF02
5F045BB02
5F045BB15
5F045DP04
5F045DP28
5F045EE14
5F045EF02
5F045EF09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大面積基板の全体領域において均一なガス分布を形成してエピタキシャル層を均一に成長させるエピタキシャル成長装置及びそのガス供給モジュールを提供する。
【解決手段】装置は、反応チャンバと反応チャンバ内に位置し、ウエハWが定着するサセプタ150及びウエハにエピタキシャル層を形成するために反応チャンバに対してガスを供給する多層ガス供給モジュール200を含み、多層ガス供給モジュールのインジェクタ210は、層別に異なるガスを吐出する複数層のポート211~213を備える。複数層のポートの各層のポートは、ウエハの中央領域に対応するセンターポート216とウエハの両側の縁部領域に対応する一対のエッジポート217とを含み、インジェクタはさらに、各層のポートのうちセンターポートとエッジポートに入力されるガス流量を互いに独立的に配分する流量配分ユニットを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバ;
前記反応チャンバ内に位置し、ウエハが安着するように形成されるサセプタ;及び
前記ウエハにエピタキシャル層を形成するために前記反応チャンバに対してガスを供給するように形成される多層ガス供給モジュール;
を含み、
前記多層ガス供給モジュールは、
層別に異なるガスを吐出する複数層のポートを備え、前記複数層のポートのうち各層のポートは前記ウエハの中央領域に対応するセンターポートと前記ウエハの両側の縁部領域に対応する一対のエッジポートと前記センターポートと前記一対のエッジポートの間にそれぞれ配置される一対のミドルポートを備える、インジェクタ;
ソースモジュールから前記ガスが入力される単一流入ライン、前記単一流入ラインから分岐して前記ポートのそれぞれに直接連結される複数の分岐ライン、及び前記ポートのそれぞれに連結された流量制御器(Mass Flow Controller)を備えて、前記ガスを前記ポートに対して独立的に配分するように構成される流量配分ユニット;及び
前記インジェクタの前方に位置して前記ポートから吐出されたガスを通過させる通過ホールを備え、前記通過ホールのうち前記複数層のポートの少なくとも一層のポートに対応する通過ホールは異なる形状を有するように形成される、バッフル;
を含む、
エピタキシャル成長装置。
【請求項2】
前記センターポート、前記ミドルポート及び前記エッジポートは、
互いに同一の幅を有する、請求項1に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項3】
前記複数層のポートは、
前記エピタキシャル層を形成する原料ガスを吐出する第1層のポート;及び
前記第1層のポートより上側に位置し、前記原料ガスの上方拡散を遮断する遮断ガスを吐出する第2層のポート;を含む、請求項1に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項4】
前記複数層のポートは、
前記第1層のポートの下側に配置され、前記エピタキシャル層の成長時に発生する副産物を浄化する浄化ガスを吐出する第3層のポートをさらに含む、請求項3に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項5】
前記通過ホールは、
前記第1層のポートに対応する第1層の通過ホール;
前記第2層のポートに対応する第2層の通過ホール;及び
前記第3層のポートに対応する第3層の通過ホール;
を含み、
前記第2層の通過ホールは、
円筒形状を有し、
前記第1層の通過ホール及び前記第3層の通過ホールは、
円筒形状のものとコーン形状のものが混合されている、請求項4に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項6】
前記第1層の通過ホール及び前記第3層の通過ホールのうち前記センターポートに対応する通過ホールは円筒形状を有し、
前記第1層の通過ホール及び前記第3層の通過ホールのうち前記エッジポートに対応する通過ホールはコーン形状を有する、請求項5に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項7】
前記第3層の通過ホールは、
前記第1層の通過ホールに比べて小さいサイズの断面積を有する、請求項5に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項8】
エピタキシャル成長装置の反応チャンバ内に投入されるガスを供給するための多層ガス供給モジュールであって、
層別に異なるガスを吐出する複数層のポートを備え、前記複数層のポートのうち各層のポートはウエハの中央領域に対応するセンターポートと、前記ウエハの両側の縁部領域に対応する一対のエッジポートと、前記センターポートと前記一対のエッジポートの間にそれぞれ配置される一対のミドルポートとを備える、インジェクタ;
前記ガスを生成するソースモジュールから前記ガスが入力される単一流入ラインと、前記単一流入ラインから分岐して前記ポートのそれぞれに直接連結される複数の分岐ラインと、前記ポートのそれぞれに連結された流量制御器(Mass Flow Controller)を備えて、前記ガスを前記ポートに対して独立的に配分するように構成される流量配分ユニット;及び
前記インジェクタの前方に位置して前記ポートから吐出されたガスを通過させる通過ホールを備え、前記通過ホールのうち前記複数層のポートの少なくとも一層のポートに対応する通過ホールは互いに異なる形状を有するように形成される、バッフル;
を含む、
エピタキシャル成長装置用多層ガス供給モジュール。
【請求項9】
前記センターポート、前記ミドルポート及び前記エッジポートは、
互いに同一の幅を有する、請求項8に記載のエピタキシャル成長装置用多層ガス供給モジュール。
【請求項10】
前記複数層のポートは、
エピタキシャル層を形成する原料ガスを吐出する第1層のポート;及び
前記第1層のポートより上側に位置し、前記原料ガスの上方拡散を遮断する遮断ガスを吐出する第2層のポート;を含む、請求項8に記載のエピタキシャル成長装置用多層ガス供給モジュール。
【請求項11】
前記通過ホールは、
前記第1層のポートに対応する第1層の通過ホール;及び
前記第2層のポートに対応する第2層の通過ホール;を含み、
前記第2層の通過ホールは、
円筒形状を有し、
前記第1層の通過ホールは、
円筒形状のものとコーン形状のものが混合されている、請求項10に記載のエピタキシャル成長装置用多層ガス供給モジュール。
【請求項12】
反応チャンバ;
前記反応チャンバ内に位置し、ウエハが安着するように形成されるサセプタ;及び
前記ウエハにエピタキシャル層を形成するために前記反応チャンバに対してガスを供給するように形成される多層ガス供給モジュール;
を含み、
前記多層ガス供給モジュールは、
層別に異なるガスを吐出する複数層のポートを備え、前記複数層のポートのうち各層のポートは前記ウエハの中央領域に対応するセンターポートと前記ウエハの両側の縁部領域に対応する一対のエッジポートとを備える、インジェクタ;及び
前記各層のポートのうち前記センターポートと前記エッジポートに入力されるガス流量を互いに独立的に配分するように形成される流量配分ユニット;
を含む、
エピタキシャル成長装置。
【請求項13】
前記複数層のポートのうち各層のポートは、
前記センターポートと前記一対のエッジポートの間にそれぞれ配置される一対のミドルポートをさらに含み、
前記流量配分ユニットは、
前記ミドルポートに入力されるガス流量を前記センターポートと前記エッジポートに入力されるガス流量と独立的に配分するように形成される、請求項12に記載のエピタキシャル成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハに対してエピタキシャル層を成長させるために使用されるエピタキシャル成長装置とそのガス供給モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エピタキシャル成長(Epitaxial growth)は、シード(Seed)ウエハに対して格子方向を維持しながら単結晶成長方式で新しい層を積み重ねることである。エピタキシャル成長のためにはウエハにガスを作用させる成長装置が必要である。
【0003】
エピタキシャル成長装置のガス供給系統は、ガスタンクからチャンバ内にガスが注入される手順に従って、インジェクタ(Injector)、バッフル(Baffle)、インサート(Insert)、及びライナー(Liner)から構成される。
【0004】
ガス供給において重要な事項はチャンバ内に均一なガス分布を形成することである。これにより、大面積基板(6インチ以上のサイズを有する基板)において均一なエピタキシャル層の厚さを実現することができる。エピタキシャル層の均一度は1%以下であることが好ましい。
【0005】
しかしながら、従来のガス供給系統は、複数のガスが単層注入口を介してチャンバに注入されてガス分布の均一度を達成することが困難であった。特に、大面積基板に対してはさらに難しい。また、基板の中心部と縁部におけるガス分布が均一ではない。これにより、成長されたエピ層の厚さの不均一度が5%以上に悪化する結果を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、大面積基板において均一なエピタキシャル層を成長させるために基板の全体領域において均一なガス分布を形成できる、エピタキシャル成長装置及びそれに使用される多層ガス供給モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を実現するための本発明の一側面によるエピタキシャル成長装置は、反応チャンバ;前記反応チャンバ内に位置し、ウエハが安着するように形成されるサセプタ;及び前記ウエハにエピタキシャル層を形成するために前記反応チャンバに対してガスを供給するように形成される多層ガス供給モジュールを含み、前記多層ガス供給モジュールは、層別に異なるガスを吐出する複数層のポートを備え、前記複数層のポートのうち各層のポートは前記ウエハの中央領域に対応するセンターポート、前記ウエハの両側の縁部領域に対応する一対のエッジポート、及び前記センターポートと前記一対のエッジポートの間にそれぞれ配置される一対のミドルポートを備える、インジェクタ;ソースモジュールから前記ガスが入力される単一流入ライン、前記単一流入ラインから分岐して前記ポートのそれぞれに直接連結される複数の分岐ライン、及び前記ポートのそれぞれに連結された流量制御器(Mass Flow Controller)を備えて、前記ガスを前記ポートに対して独立的に配分するように構成される流量配分ユニット;及び前記インジェクタの前方に位置して前記ポートから吐出されたガスを通過させる通過ホールを備え、前記通過ホールのうち前記複数層のポートの少なくとも一層のポートに対応する通過ホールは異なる形状に形成される、バッフルを含んでもよい。
【0008】
ここで、前記センターポート、前記ミドルポート、及び前記エッジポートは、互いに同一の幅を有すしてもよい。
【0009】
ここで、前記複数層のポートは、前記エピタキシャル層を形成する原料ガスを吐出する第1層のポート;及び前記第1層のポートより上側に位置し、前記の原料ガスの上方拡散を遮断する遮断ガスを吐出する第2層のポートを含んでもよい。
【0010】
ここで、前記複数層のポートは、前記第1層のポートの下側に配置され、前記エピタキシャル層の成長時に発生する副産物を浄化する浄化ガスを吐出する第3層のポートをさらに含んでもよい。
【0011】
ここで、前記通過ホールは、前記第1層のポートに対応する第1層の通過ホール;前記第2層のポートに対応する第2層の通過ホール;及び前記第3層のポートに対応する第3層の通過ホールを含み、前記第2層の通過ホールは、円筒形状を有し、前記第1層の通過ホール及び前記第3層の通過ホールは、円筒形状とコーン形状のものが混合されていてもよい。
【0012】
ここで、前記第1層の通過ホール及び前記第3層の通過ホールのうち前記センターポートに対応する通過ホールは円筒形状を有し、前記第1層の通過ホール及び前記第3層の通過ホールのうち前記エッジポートに対応する通過ホールはコーン形状を有し、前記第3層の通過ホールは、前記第1層の通過ホールに比べて小さいの断面積を有してもよい。
【0013】
本発明の他の一側面によるエピタキシャル成長装置用の供給調節モジュールは、エピタキシャル成長装置の反応チャンバ内に投入されるガスを供給するための多層ガス供給モジュールであって、層別に異なるガスを吐出する複数層のポートを備え、前記複数層のポートのうち各層のポートはウエハの中央領域に対応するセンターポート、前記ウエハの両側の縁部領域に対応する一対のエッジポート、及び前記センターポートと前記一対のエッジポートの間にそれぞれ配置される一対のミドルポートを備える、インジェクタ;前記ガスを生成するソースモジュールから前記ガスが入力される単一流入ライン、前記単一流入ラインから分岐して前記ポートのそれぞれ直接連結される複数の分岐ライン、及び前記ポートのそれぞれに連結された流量制御器(Mass Flow Controller)を備えて、前記ガスを前記ポートに対して独立的に配分するように構成される流量配分ユニット;及び前記インジェクタの前方に位置し、前記ポートから吐出されたガスを通過させる通過ホールを備え、前記通過ホールのうち前記複数層のポートの少なくとも一層のポートに対応する通過ホールは互いに異なる形状に形成される、バッフルを含んでもよい。
【0014】
ここで、前記センターポート、前記ミドルポート、及び前記エッジポートは、互いに同一の幅を有してもよい。
【0015】
ここで、前記複数層のポートは、エピタキシャル層を形成する原料ガスを吐出する第1層のポート;及び前記第1層のポートより上側に位置し、前記原料ガスの上方拡散を遮断する遮断ガスを吐出する第2層のポートを含んでもよい。
【0016】
ここで、前記通過ホールは、前記第1層のポートに対応する第1層の通過ホール;及び前記第2層のポートに対応する第2層の通過ホールを含み、前記第2層の通過ホールは、円筒形状を有し、前記第1層の通過ホールは、円筒形状とコーン形状のものが混合されていてもよい。
【0017】
本発明のまた他の一側面によるエピタキシャル成長装置は、反応チャンバ;前記反応チャンバ内に位置し、ウエハが安着するように形成されるサセプタ;及び前記ウエハにエピタキシャル層を形成するために前記反応チャンバに対してガスを供給するように形成される多層ガス供給モジュールを含み、前記多層ガス供給モジュールは、層別に異なるガスを吐出する複数層のポートを備え、前記複数層のポートの各層のポートは前記ウエハの中央領域に対応するセンターポートと前記ウエハの両側の縁部領域に対応する一対のエッジポートを備える、インジェクタ;及び前記各層のポートのうち前記センターポートと前記エッジポートに入力されるガス流量を互いに独立的に配分するように形成される流量配分ユニットを含んでもよい。
【0018】
ここで、前記複数層のポートの各層のポートは、前記センターポートと前記一対のエッジポートの間にそれぞれ配置される一対のミドルポートをさらに含み、前記流量配分ユニットは、前記ミドルポートに入力されるガス流量を前記センターポートと前記エッジポートに入力されるガス流量と独立的に配分するように形成されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
前記のように構成される本発明によるエピタキシャル成長装置及びそれに使用される多層ガス供給モジュールによれば、反応チャンバ内のサセプタに安着したウエハに対してガスを供給する多層ガス供給モジュールは、層別に異なるガスを出力する複数層のポートを備え、各層のポートはセンターポートとそれを基準に左右に配置される一対のエッジのポートなどを備えるインジェクタを介して各ポート別に独立的にガスの流量を配分するので、大面積基板の全体領域において均一なガス分布を形成してエピタキシャル層が均一に成長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例によるエピタキシャル成長装置に対する概念図である。
図2図1のエピタキシャル成長装置の一部構成を示す斜視図である。
図3図2のインジェクタ関連構成を示す横断面図である。
図4図2のバッフルとインジェクタに対する正面図である。
図5図4のセンターポート及び対応する通過ホールの形状を示す断面図である。
図6図4のミドルポート及び対応する通過ホールの形状を示す断面図である。
図7図4のエッジポート及び対応する通過ホールの形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例によるエピタキシャル成長装置及びそれに使用される多層ガス供給モジュールに対して添付の図面を参照して詳しく説明する。本明細書においては異なる実施例であっても同一・類似した構成に対しては同一・類似した参照番号を付与し、その説明は最初の説明に代えられる。
【0022】
図1は、本発明の一実施例によるエピタキシャル成長装置に対する概念図であり、図2は、図1のエピタキシャル成長装置の一部構成を示す斜視図である。
【0023】
本図を参照すると、エピタキシャル成長装置100は、反応チャンバ110、サセプタ150、多層ガス供給モジュール200、及びソースモジュール300を含む。
【0024】
反応チャンバ110は、エピタキシャル反応が起こる反応空間を有する。反応空間は、図面には簡単に四角ボックスで表示されているが、具体的には下部ハウジング(図示せず)と上部ハウジング(図示せず)が積層されたものであってもよい。上部ハウジングと下部ハウジングは石英ガラスのような透明な材質で形成されてもよい。反応空間の左側では多層ガス供給モジュール200によりガス供給が行われ、反応空間の右側ではガスの排出が行われてもよい。
【0025】
サセプタ150は反応空間に位置し、ウエハWが定着する対象である。サセプタ150は、平らな円盤の形状を有してもよい。サセプタ150は、カーボングラファイト(Carbon graphite)またはカーボングラファイトに炭化ケイ素がコーティングされた材料で製作されてもよい。ウエハWは6インチまたは8インチ以上のサイズを有するものであるため、大面積に分類される。
【0026】
多層ガス供給モジュール200は反応チャンバ110内にガスを提供し、該当ガスの流動を調節する構成である。多層ガス供給モジュール200は、インジェクタ210、流量配分ユニット230、バッフル250、インサート270、及びライナー290を含んでもよい。
【0027】
インジェクタ210は、ソースモジュール300から入力されたガスを反応チャンバ110に向かう方向に吐出する構成を有する。インジェクタ210は、層別に異なるガスを出力する複数層のポート211、212、213を備えてもよい。
【0028】
第1層のポート211は、ウエハWにエピタキシャル層を形成するための原料ガスを吐出する。第1層のポート211は、ウエハWの表面より0.5ないし1mm上に設置されてもよい。第1層のポート211を介してチャンバ110内に注入されたガスはウエハWの熱によりウエハWの表面に吸着される。例えば、炭化シリコンエピタキシャル層を形成する場合、前記原料ガスは、シリコン、炭素であってもよい。これらは運搬ガスである水素ガスと共に第1層のポート211から吐出され、窒素及びアルミニウムも吐出されることができる。
【0029】
シリコン原料ガスとしては、SiH、SiHCl、SiHCl、SiCl、Siなどシリコンが含まれたガスのうちいずれであってもよい。炭素原料ガスは、C、C、CH、COH、CHOH、Cなど炭素及び水素を含む炭化水素系のガスであってもよい。不純物として注入される物質としては、N-typeである場合は窒素、P-typeである場合はアルミニウムが使用される。不純物ガスは第1層のポート211から原料ガスと同時に、または若干の時間差を置いて吐出される。以上に加えて、第1層のポート211はHCl、N2、Al、ArなどSiCの成長に必要なガスを吐出することもできる。
【0030】
第2層のポート212は第1層のポート211より上に位置する。第2層のポート212は、原料ガスが上方に分散されることを遮断する遮断ガスを吐出する。遮断ガスは、例えば、炭化シリコンエピタキシャル層成長工程において、水素ガスであってもよい。水素ガスはウエハWの上において水素遮断膜(水素ドーム)を形成する。第1層のポート211から吐出されたガスは水素遮断膜に阻まれてチャンバ110の上部空間に拡散されない。このような水素遮断膜により原料ガスがウエハWにのみ作用することにより、ウエハWに作用する原料ガスのガス濃度は高く維持される。これにより、炭化シリコンエピタキシャル層の成長速度が分当たり25μm以上になることができる。第2層のポート212は、ウエハWの表面より1.5ないし3mm上に設置されてもよい。その場合、吐出された水素ガスはウエハWの表面に吸着されず、ウエハWの上側に効果的に遮断膜を形成することができる。
【0031】
第3層のポート213は第1層のポート211の下に配置される。第3層のポート213は副産物を浄化する浄化ガスを吐出する。前記副産物は、エピタキシャル層の成長時に発生する。前記浄化ガスはアルゴンガスであってもよい。前記浄化ガスはエピタキシャル層の成長が終了する始点に投入されてもよい。第3層のポート213は、ウエハWの表面より0.2ないし0.4mm上に設置されてもよい。
【0032】
第3層のポート213は水素とCH(主にC)系列の炭化水素ガスを吐出することもできる。SiC成長時にP-typeまたはN-typeそして半絶縁SiCが成長する時に考慮しなければならないプロセス変数はC/SIの割合である。第1層のポート211から吐出されるシリコンと炭化水素の割合が適正しない場合、第3層のポート213から炭素ガスを追加で吐出してC/SIの割合を調整することができる。C/SIの割合は0.6~2.7までの割合を合わせることにより、P-typeまたはN-type及び半絶縁SiCを用途に合わせて成長させることができる。ここで、水素は炭素ガスを運搬する役割を果たす。
【0033】
第1層のポート211ないし第3層のポート213において、各層のポートはウエハWの領域に対応するポート216、217、218に区分される。これについては、図3を参照して説明する。
【0034】
流量配分ユニット230はインジェクタ210に入力されるガス流量をインジェクタ210のポート別に配分する構成を有する。前記領域別ガス流量は互いに独立的であってもよい。これも図3を参照して具体的に説明する。
【0035】
再び図1及び図2を参照すると、バッフル250はインジェクタ210を介して入力されたガスが通過する通過ホール251、253、255を備える構成を有する。通過ホール251、253、255の形状はインジェクタ210のポート211、212、213/216、217、218に応じて異なってもよい。これは、図4ないし図7においてより具体的に説明する。
【0036】
再び図1及び図2を参照すると、インサート270はバッフル250とライナー290の間に配置されて、バッフル250を通過したガスをライナー290に案内する構成を有する。インサート270もガスを通過させる複数の区域を有してもよい。
【0037】
ライナー290はサセプタ150を囲んでガスがウエハWで流動するように誘導する構成を有する。そのために、ライナー290は概ねリング状を有してもよい。ライナー290の一側にはウエハWに向かってガスを吐出する部分が、そして、他側にはウエハWから離れたガスを排出する部分が形成されてもよい。
【0038】
ソースモジュール300は、反応チャンバ110に供給されなければならないガスを保存するガスタンクであってもよく、それと連結された中間分配器であってもよい。
【0039】
以下で、インジェクタ210及び流量配分ユニット230については図3を参照して説明する。図3は、図2のインジェクタ関連構成を示す横断面図である。
【0040】
本図を追加で参照すると、インジェクタ210、具体的に、その個別層のポート211、212、213は、センターポート216、エッジポート217、及びミドルポート218を有する。
【0041】
センターポート216はウエハWの中央領域に対応して位置する。エッジポート217はウエハWの両側の縁部領域に対応して一対で備えられてもよい。ミドルポート218はセンターポート216とエッジポート217の間に配置されてもよい。ミドルポート218もセンターポート216を基準に左右両側に配置され、一対で備えられてもよい。センターポート216の中心を通る仮想の線Lに対して、センターポート216の左右部分、一対のエッジポート217及び一対のミドルポート218は、互いに対称的であってもよい。センターポート216、エッジポート217、及びミドルポート218は、互いに同一の幅(図面上、左右方向の長さ)あるいは体積を有してもよい。ひいては、ミドルポート218なしに、センターポート216と一対のエッジポート217のみで構成されてもよい。その場合、センターポート216とエッジポート217の領域がミドルポート218をカバーするように大きくなってもよい。
【0042】
流量配分ユニット230は流入ライン231と分岐ライン235を有する。流入ライン231はソースモジュール300に連通してガスが入力される1つの(単一)ラインである。それに対して、分岐ライン235は流入ライン231から分岐して、各ポート211、212、213/216、217、218)連結される。
【0043】
流量配分ユニット230は、ポート211、212、213/216、217、218のそれぞれに連結された流量制御器(Mass Flow Controller、図示せず)を有してもよい。前記流量制御器のそれぞれに対する設定により、各ポート211、212、213/216、217、218に対するガスの投入量が独立的に配分されることができる。例えば、センターポート216に対するガスの投入量を最も低くし、一対のエッジポート217に対するガスの投入量を最も高くすることができる。一対のミドルポート218に対するガスの投入量はそれらの中間水準になってもよい。流量配分ユニット230はまた、一対のエッジポート217と一対のミドルポート218からの投入量がセンターポート216を基準に互いに対称するようにガスを配分してもよい。
【0044】
次に、インジェクタ210を介して複数の領域に区分されて吐出されるガスを反応チャンバ110側に向かって通過させるバッフル250について図4ないし図7を参照して説明する。
【0045】
まず、図4は、図2に示すバッフル250とインジェクタ210に対する正面図である。
【0046】
本図を参照すると、各ポート211、212、213/216、217、218から吐出されたガスはバッフル250の通過ホール251、253、255を通過する。
【0047】
通過ホール251、253、255は、第1層の通過ホール251、第2層の通過ホール253、及び第3層の通過ホール255を有する。第1層の通過ホール251は第1層のポート211に対応して位置する。第2層の通過ホール253は、第2層のポート212に対応して位置し、第3層の通過ホール255も第3層のポート213に対応して位置する。
【0048】
第2層の通過ホール253は、センターポート216、ミドルポート218、及びエッジポート217に対して対応する位置において均一なサイズを有する。それに対して、第1層の通過ホール251及び第3層の通過ホール255は、センターポート216に対応するものからエッジポート217に対応するものに行くほどサイズが小さくなってもよい。このような構成は、第2層の通過ホール253を通過する遮断ガスは領域とは関係なく多くの量がチャンバ110に注入され、第1層の通過ホール251及び第3層の通過ホール255を通過する原料ガス及び浄化ガスはウエハWの領域別に異なる速度で注入できるようにするためである。具体的に、ウエハWの中央よりは縁部においてガスの流速が遅くなるため、センターポート216からエッジポート217に対応する位置に行くほど通過ホールのサイズを減らしてそれを通過するガスの流速を補償することができる。
【0049】
次に、図5は、図4のセンターポート及び対応する通過ホールの形状を示す断面図であり、図6は、図4のミドルポート及び対応する通過ホールの形状を示す断面図であり、図7は、図4のエッジポート及び対応する通過ホールの形状を示す断面図である。
【0050】
本図を参照すると、第1層のポート211から第3層のポート213の全てにおいて、センターポート216、ミドルポート218、及びエッジポート217は互いに均一なサイズを有してもよい。また、第2層の通過ホール253のうちセンターポート216、ミドルポート218、及びエッジポート217に対応するものも互いに同一サイズを有してもよい。それらは円筒形状を有しているため、各自の入力端から出力端まで幅(直径)の変化がない。
【0051】
第1層の通過ホール251と第3層の通過ホール255は円筒形状のものとコーン(cone)形状のものが混合されている。例えば、センターポート216に対応する通過ホール251、255はシリンダー形状であるが、エッジポート217及びミドルポート218に対応する通過ホール251、255はコーン形状であってもよい。
【0052】
センターポート216に対応する通過ホール251、253、255は、第2層の通過ホール253から第1層の通過ホール251を経て第3層の通過ホール255を向かう方向に幅が小さくなる。このような関係はミドルポート218に対応する通過ホール251、253、255とエッジポート217に対応する通過ホール251、253、255にも同様に適用される。このような関係はウエハWに近接する高さであるほど注入されるガスの速度が高くなる。
【0053】
前記のようなエピタキシャル成長装置及びそれに使用される多層ガス供給モジュールは、前述の実施例の構成と作動方式に限定されるものではない。前記実施例は各実施例の全部又は一部が選択的に組み合わされて多様な変形が行われるように構成されることもできる。
【符号の説明】
【0054】
100 エピタキシャル成長装置
110 反応チャンバ
150 サセプタ
200 多層ガス供給モジュール
210 インジェクタ
230 流量配分ユニット
250 バッフル
270 インサート
290 ライナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7