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特開2024-81129マルチモダリティ眼科撮像システムのための光学要素移動機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081129
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】マルチモダリティ眼科撮像システムのための光学要素移動機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240610BHJP
   A61B 3/18 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
A61B3/10 300
A61B3/10 100
A61B3/18
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197213
(22)【出願日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】22211420.9
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509012991
【氏名又は名称】オプトス ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エステル ボーランド
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AB02
4C316AB07
4C316AB08
4C316AB11
4C316AB12
4C316AB16
4C316FC01
4C316FY01
4C316FY04
4C316FY05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】眼の一部の画像を取得するために、第1及び第2の撮像モードで動作可能な、眼科撮像装置で使用するための移動機構を提供する。
【解決手段】第1の光路及び第2の光路に沿って伝搬する光を用いて眼120を撮像するための眼科撮像装置100の移動機構110であって、第1の光学要素を第1の光路の内外に移動させ、第2の光学要素を第2の光路の内外に同時に移動させるように配置された移動機構は、第1の回転位置と第2の光学要素との間で光学要素を回転させるように配置された移動機構であって、第1及び第2の光学要素がそれぞれ第1の回転位置にあり撮像装置が第1の撮像モードで動作している場合には、第1及び第2の光学要素は第1及び第2の光路にあり、第1及び第2の光学要素がそれぞれ第2の回転位置にあり撮像装置が第2の撮像モードで動作している場合には、第1及び第2の光学要素がそれぞれ第1及び第2の光路から外れて配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼(120)の部分の画像を取得するために第1の撮像モード及び第2の撮像モードで動作可能な眼科撮像装置(100)であって、前記眼科撮像装置(100)は、
光源(130)と、
光検出器(140)と、
光学系システム(150)であって、前記光源(130)からの光(LI)で前記眼(120)の部分を照射し、眼(120)の照射された部分からの光(LC)を集光するように構成され、前記集光された光(LC)を第1の光(L1)と第2の光(L2)とに分割し、前記第1の光(L1)を第1の光路(P1 ; 202)を介して前記光検出器(140)に向けて伝搬し、前記第2の光(L2)を第2の光路(P2 ; 203)を介して前記光検出器(140)に向けて伝搬し、前記第1の光路(P1 ; 202)は前記第2の光路(P2 ; 203)とは異なる、光学システム(150)と、
移動機構(110)であって、第1の光学要素(161; 224)を前記第1の光路(P1 ; 202)に移動させ、同時に、第2の光学要素(162; 234)を前記第2の光路(P2 ; 203)に出入りさせるように配置され、第1の光路(P1)および第2の光路(P1)が前記移動機構(110)を通過する、移動機構(110)と、を備え、
前記移動機構(110)が、
光学要素マウント(112)であって、前記第1の光学要素(161; 224)および前記第2の光学要素(162; 234)を支持するように配置され、前記第1の光学要素(161; 224)および前記第2の光学要素(162; 234)のそれぞれを第1の回転位置(118-1)と第2の回転位置(118-2)との間で回転させるように前記光学要素マウント(112)が動作可能であることにより、
前記第1の光学要素(161; 224)および前記第2の光学要素(162; 234)が前記第1の回転位置(118-1)にあるときに、前記第1の光学要素(161; 224)が前記第1の光路(P1; 202)に配置され、前記第2の光学要素(162; 234)が前記第2の光路(P2; 203)に配置され、
前記第1の光学要素(161; 224)及び前記第2の光学要素(162; 234)が前記第2の回転位置(118-2)にあるときに、前記第1の光学要素(161; 224)が前記第1の光路(P1; 202)から外れて配置され、前記第2の光学要素(162; 234)が前記第2の光路(P2; 203)から外れて配置される、
光学要素マウント(112)と、
前記第1の光学要素(161; 224)及び前記第2の光学要素(162; 234)を前記第1の回転位置(118-1)又は前記第2の回転位置(118-2)に設定するように、前記光学要素マウント(112)を駆動するように配置されたアクチュエータ(114; 250)と、
前記眼科撮像装置(100)が前記第1の撮像モードで動作しているときに、前記第1の光学要素(161; 224)及び前記第2の光学要素(162; 234)の回転位置を前記第1の回転位置(118-1)に設定し、前記眼科撮像装置(100)が前記第2の撮像モードで動作しているときに、前記第1の光学要素(161; 224)及び前記第2の光学要素(162; 234)の回転位置を前記第2の回転位置(118-2)に設定するように、前記アクチュエータ(114; 250)を制御するように構成された、コントローラ(116)と、
を備えた、眼科撮像装置(100)。
【請求項2】
前記光学要素マウント(112)は、
前記第1の光学要素(224)を支持するように配置され、第1の回転可能なマウント(220)が第1の回転軸(301)を中心に回転可能であることにより、前記第1の回転位置(118-1)にあるときに、前記第1の光学要素(224)が前記第1の光路(202)に配置され、前記第2の回転位置(118-2)にあるときに、前記第1の光学要素(224)が前記第1の光路(202)から外れて配置される、第1の回転可能なマウント(220)と、
前記第2の光学要素(234)を支持するように配置され、第2の回転可能なマウント(230)が、第2の回転軸を中心に回転可能であることにより、前記第1の回転位置(118-1)にあるときに、前記第2の光学要素(234)が前記第2の光路(203)に配置され、前記第2の回転位置(118-2)にあるときに、前記第2の光学要素(234)が前記第2の光路(203)から外れて配置される、第2の回転可能なマウント(230)と、を備え、
前記第1の回転軸(301)が前記第2の回転軸に平行であり、前記第1の回転軸(301)が前記第1の光路(202)に対して垂直であり、前記第2の回転軸が前記第2の光路(203)に対して垂直であり、
前記移動機構(110)は、前記第1の回転可能なマウント(220)と前記第2の回転可能なマウント(230)との間に機械的リンク(240)をさらに備え、前記機械的リンク(240)は、前記第1の回転可能なマウント(220)及び前記第2の回転可能なマウント(230)の一方が回転するときに、前記第1の回転可能なマウント(220)及び前記第2の回転可能なマウント(230)の他方が同時に回転するように配置され、
前記アクチュエータ(114; 250)は、前記第1の回転軸(301)および前記第2の回転軸のそれぞれ1つを中心に前記第1の回転可能なマウント(220)および前記第2の回転可能なマウント(230)の1つを回転させるように配置され、
前記コントローラ(116)は、前記第1の回転可能なマウント(220)及び前記第2の回転可能なマウント(230)の一つを回転させるように、前記アクチュエータ(114; 250)を制御するように構成されることで、前記第1の回転位置にあるときに、前記第1の光学要素(224)が前記第1の光路(202)に配置され、前記第2の光学要素(234)が前記第2の光路(203)に配置され、前記第2の回転位置にあるときに、前記第1の光学要素(224)が前記第1の光路(202)から外れて配置され、前記第2の光学要素(234)が前記第2の光路(203)から外れて配置される、請求項1に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項3】
前記第1の回転軸(301)及び前記第2の回転軸が、前記第1の光路(202)及び前記第2の光路(203)をそれぞれ通過する、請求項2に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項4】
前記光学要素マウント(112)が、前記第1の光学要素(161)及び前記第2の光学要素(162)を支持するように配置された回転可能なマウントを備え、前記回転可能なマウントが、前記第1の光路及び前記第2の光路に垂直な回転軸を中心として回転可能であることにより、
前記第1の回転位置にあるときに、前記第1の光学要素(161)が前記第1の光路(P1)に配置され、前記第2の回転位置にあるときに、前記第1の光学要素(161)が前記第1の光路(P1)から外れて配置され、
前記第1の回転位置にあるときに、前記第2の光学要素(162)が前記第2の光路(P2)に配置され、前記第2の回転位置にあるときに、前記第2の光学要素(162)は第2の光路(P2)から外れて配置され、
前記アクチュエータ(114)は、前記回転軸を中心として前記回転可能なマウントを回転させるように配置され、
前記コントローラ(116)が、前記回転可能なマウントを回転するように前記アクチュエータ(114)を制御するように構成されることで、前記第1の回転位置にあるときに、前記第1の光学要素(161)が前記第1の光路(P1)に配置され、前記第2の光学要素(162)が前記第2の光路(P2)に配置される、前記第2の回転位置にあるときに、前記第1の光学要素(161)が前記第1の光路(P1)から外れて配置され、前記第2の光学要素(162)が前記第2の光路(P2)から外れて配置される、請求項1に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項5】
前記移動機構(110)は、さらに、前記第1の光学要素(224)を前記第1の光路(202)及び前記第2の光路(203)の内外に移動させると同時に、前記第2の光学要素(234)を前記第1の光路(202)の内外に移動させるときに、同時に、第3の光学要素(226)を支持し前記回転させるように前記光学要素マウント(112)をさらに配置することによって、前記第3の光学要素(226)を前記第1の光路(202)の内外に移動させるように構成されることで、前記第1の光学要素(224)及び前記第2の光学要素(234)が前記第1の回転位置(118-1)にあるときに、前記第3の光学要素(226)が前記第1の光路(202)に配置され、前記第1の光学要素(224)及び前記第2の光学要素(234)が前記第2の回転位置(118-2)にあるときに、前記第3の光学要素(226)が前記第1の光路(202)から外れて配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項6】
前記第1の回転可能なマウント(220)は、直方体の第1の側部に前記第1の光学要素(224)を支持するように配置され、前記直方体の対向する第2の側部に前記第3の光学要素(226)を支持するように配置された中空の直方体を備え、
前記直方体の前記第1の側部および前記直方体の前記第2の側部の各々は、前記第1の光学要素(224)および前記第2の光学要素(234)が前記第1の回転位置にあるときに、前記第1の光路(202)に沿って、前記直方体および前記第1の光学要素および前記第3の光学要素を通して、光を伝搬させるそれぞれの開口を有し、
前記直方体の第3の側部および前記直方体の対向する第4の側部の各々は、前記第1の光学要素(224)および前記第2の光学要素(234)が前記第2の回転位置にあるときに、前記第1の光路(202)に沿って、前記直方体を通して、前記光学要素を通過することなく、光を伝搬させるそれぞれの開口を有する、請求項2または請求項3を引用する、請求項5に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項7】
前記移動機構(110)は、前記第1の光学要素(224)及び前記第3の光学要素(226)をさらに含み、前記第1の光学要素(224)は偏光子を含み、前記第3の光学要素(226)は波長プレートを含む、請求項6に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項8】
前記光学要素マウント(112)は、前記第1の光学要素(224)及び前記第3の光学要素(226)をさらに備え、前記光学要素マウント(112)は、前記第1光学要素(224)及び前記第3の光学要素(226)を、前記光学要素マウント(112)に作用する重力の方向に対して傾斜する回転軸回りに回転させるよう動作可能であり、前記第1の光学要素(224)及び前記第3の光学要素(226)は、前記回転軸回りにそれぞれ異なるモーメントを有し、前記移動機構(110)は、前記回転軸回りに、前記第1の光学要素(224)のモーメントと前記第3の光学要素(226)のモーメントとが合成された合成モーメントを低減させるよう構成されたカウンタバランス(310)をさらに備え、請求項5に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項9】
前記第3の光学要素(226)は、前記光学要素マウント(112)を中心として手動で回転可能となるように前記光学要素マウント(112)に回転可能に取付けられる、請求項5に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項10】
前記第1の光学要素(161; 224)及び前記第2の光学要素(162; 234)の少なくとも一方は、前記光学要素マウント(112)の回りに手動で回転可能となるように前記光学要素マウント(112)に回転可能に取付けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項11】
前記光学要素マウント(112)は、円弧に沿って移動するように、前記第1の光学要素(224)及び前記第2の光学要素(234)の回転に伴って回転するように配置される突出部(500)を備え、
前記移動機構(110)は、さらに、
前記第1の光学要素(224)及び前記第2の光学要素(234)の回転中に前記突出部(500)が光検出器(530)の近傍に回転されるとき、前記突出部(500)を検出するために配置され、前記光検出器(530)による前記突出部(500)の検出が、前記第1の光学要素(224)及び前記第2の光学要素(234)が前記第1の回転位置及び前記第2の回転位置の一方であることを示すように前記移動機構(110)に配置される前記光検出器(530)と、
前記光検出器(530)のためのハウジング(510)であって、前記ハウジング(510)は、前記光検出器(530)から前記ハウジング(510)の外部への漏光を抑制するように、前記光検出器(530)を取囲むように配置されるハウジング(510)と、を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項12】
前記光検出器(530)は、第1の光検出器(530)であり、前記移動機構(110)は、前記第1の光学要素(224)および前記第2の光学要素(234)の回転中に前記突出部(500)が第2の光検出器(540)の近傍に回転されたときに前記突出部(500)を検出するように配置された前記第2の光検出器(540)をさらに備え、前記第2の光検出器(540)は、前記第2の光検出器(540)による前記突出部(500)の検出が、前記第1の光学要素(224)および前記第2の光学要素(234)が前記第1の回転位置(118-1)および前記第2の回転位置(118-2)の他方にあることを示すように、移動機構(110)に配置され、
前記ハウジング(510)はさらに、前記第2の光検出器(540)から前記ハウジング(510)の外部への漏光を抑制するように前記第2の光検出器(540)を取囲むように配置され、前記ハウジング(510)はさらに、前記第1の光検出器(530)と前記第2の光検出器(540)との間の光の伝播を抑制するように配置される、請求項11に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項13】
前記光検出器(530)は、前記ハウジング(510)に取付けられ、前記ハウジング(510)は、前記移動機構(110)から取外し可能である、請求項11に記載の眼科撮像装置(100)。
【請求項14】
前記第1の撮像モードは、反射率撮像モードであり、前記眼科撮像装置(100)は、前記眼(120)の反射率画像を取得し、
前記第2の撮像モードは、蛍光撮像モードであり、前記眼科撮像装置(100)は、前記眼(120)の蛍光画像を取得し、
前記第1の光学要素(161; 224)および前記第2の光学要素(162; 234)のそれぞれは、偏光子を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科撮像装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の例示的態様は、概して、眼科撮像システムの分野に関し、特に、マルチモダリティ眼科撮像システムの光路の内外に光学要素を移動させるための機構に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの眼科撮像システムは、複数の撮像モダリティを用いて眼を撮像することができ、様々な眼疾患の診断に役立つ補完的情報を提供する異なるタイプのイメージを取得する。例えば、多モード眼科撮像装置は、眼底の画像(場合によっては、広視野または超広視野(UWF)画像を取得するように構成されている)の形態をとることができ、これは、以下の撮像モダリティ、フルカラー(加齢黄斑変性の特徴と考えられる)、無赤色(ドルーゼおよび滲出物のような網膜血管および関連する出血の観察に有用)、自己蛍光(網膜色素上皮(RPE)のレベルでの代謝変化の可視化を可能にする)、およびリスクのある領域の同定を助ける。区域的萎縮または脈絡膜血管新生、血管造影(眼の血管網の撮像)、例えばフルオレセイン血管造影(FA)またはインドシアニングリーン血管造影。一例を挙げると、Optos(登録商標)California(登録商標)システムは前述の画像診断法をすべて備えたUWF SLOである。また、例えば、Optos(登録商標)Silverstone(登録商標)システムのように、さらなる撮像モダリティとして、前述の撮像モダリティの1つ以上を光干渉断層撮影(OCT)と組み合わせることも知られている。
【0003】
しかしながら、利用可能な撮像モダリティは、典型的には、レーザ源及び/又は走査システムのような眼科撮像装置の1つ以上の要素を共有しているにもかかわらず、単一の眼科撮像装置に幾つかの撮像モダリティを設けることは、装置のサイズ及び複雑さを増大させる傾向がある。特定のモダリティに特有である1つ以上の光学要素は、そのモダリティが使用されるときには、光路に移動される傾向があり、光学要素(複数可)によって悪影響を受けない別の撮像モダリティが使用されるときには、光路外に移動される。一例を挙げて説明すると、フルカラー反射率および自動蛍光(AF)撮像モダリティを有するマルチモーダルSLOの形態のマルチモーダル眼科撮像装置において、光源、ビーム走査システムおよび光検出器は、典型的には、両方の撮像モダリティにおいて使用される。フルカラーモードでは、画質を改善するために、帰還光路に偏光子と1/4波長プレートがしばしば必要とされる。しかし、これらの光学要素は、AFモードで使用される場合には、この撮像モードで通常遭遇するずっと低い強度の帰還光信号を減衰させるので、信号対雑音を減少させることになり、したがって、通常、AF撮像のために帰還光路から除去される。
【0004】
従来の眼科撮像装置では、特定の撮像モードに必要とされる光学要素は、通常、必要な移動を提供する機械的な移動機構によって、帰還光路の内外に移動される/される。上記のマルチモーダルSLOの例を継続すると、偏光子および4分の1波長プレートは、通常、支持フレームに取付けられ、これらの要素を、フルカラーモードで撮像するために、帰還光路にスライドさせ、また、AFモードで撮像するために、帰還光路外にスライドさせる。従来、この移動は、通常、モータの回転を必要とされる移動に変換する機構、例えば、ラックおよびピニオン、ねじ(例えば、ボールねじまたは親ねじ)アクチュエータまたはクランクを用いて達成される。
【0005】
しかしながら、これらの従来の(平行)移動機構は、眼科撮像装置でかなりの容積を占める傾向があり、これは、典型的な空間的制約が与えられると、望ましくない。さらに、これらの移動機構は、(撮像システムの光学配置に応じて)重力に抗して光学要素(複数可)を持ち上げることが要求されることがあり、これは、モータのトルク要求を増大させ、場合によっては、回転-移動変換機構に滑りを誘発することがある。また、これらの回転-移動変換機構は、光学要素(複数可)を帰還光路の内外に移動させるときに遅くなる傾向があり、これは、眼科撮像システムが1つの撮像モダリティから別のモダリティに切り替えることができる速さを制限し得る。
【発明の概要】
【0006】
本明細書の第1の例としての態様によれば、眼の一部の画像を取得するために、第1の撮像モード及び第2の撮像モードで動作可能な、眼科撮像装置で使用するための移動機構が提供される。眼科撮像装置は、光源と、光検出器と、光学システムとを備える。光学システムは、光源からの光で眼の一部を照射し、眼の照射された部分からの光を集光するように配置され、光学システムは、さらに、集光された光を第1の光と第2の光とに分割するように配置され、第1の光を移動機構を通過する第1の光路を介して光検出器に導き、第2の光路を通過する第2の光路を介して第2の光検出器に導き、第1の光路は第2の光路とは異なる。移動機構は、第1の光学要素を第1の光路の内外に移動させ、同時に第2の光学要素を第2の光路の内外に移動させるように配置されている。移動機構は、第1の光学要素及び第2の光学要素を支持するように配置された光学要素マウントを備え、光学要素マウントは、第1の回転位置と第2の回転位置との間で第1の光学要素及び第2の光学要素の各々を回転させるように動作可能であり、第1の光学要素及び第2の光学要素が第1の回転位置にある場合、第1の光学要素は第1の光路に配置され、第2の光学要素は第2の光路に配置され、第1の光学要素及び第2の光学要素が第2の回転位置にある場合、第1の光学要素は第1の光路から外れて配置され、第2の光学要素は第2の光路から外れて配置される。移動機構は、第1の光学要素及び第2の光学要素を第1の回転位置又は第2の回転位置に設定するように光学要素マウントを駆動するように配置されたアクチュエータをさらに含む。移動機構は、さらに、眼科撮像装置が第1の撮像モードで動作しているときには、第1の光学要素及び第2の光学要素の回転位置を第1の回転位置に設定するためにアクチュエータを制御するように構成されたコントローラを含み、眼科撮像装置が第2の撮像モードで動作しているときには、第2の回転位置を制御する。
【0007】
第1の実施形態の移動機構の第1の例の実施形態では、光学要素マウントは、第1の光学要素を支持するように配置された第1の回転可能なマウントを備え、第1の回転軸を中心に回転可能であり、第1の回転位置にあるとき、第1の光学要素は第1の光路に配置され、第2の回転位置にあるとき、第1の光学要素は第1の光路から外れて配置される。第1の実施形態では、光学要素マウントはさらに、第2の光学要素を支持するように配置された第2の回転可能なマウントを備え、第2の回転軸を中心に回転可能な第2のマウントを備え、第1の回転位置では、第2の光学要素が第2の光路に配置され、第2の回転位置では、第2の光学要素が第2の光路から外れて配置され、第1の回転軸が第2の回転軸に平行であり、第1の回転軸が第1の光路に垂直であり、第2の回転軸が第2の光路に垂直である。第1の実施形態では、移動機構は、第1の回転可能なマウントと第2の回転可能なマウントとの間の機械的リンクをさらに含み、この機械的リンクは、第1の回転可能なマウントと第2の回転可能なマウントのうちの一方が回転するときに、第1の回転可能なマウントと第2の回転可能なマウントのうちの一方が同時に回転するように配置されている。第1の実施形態では、アクチュエータは、第1の回転軸及び第2の回転軸のそれぞれの1つを中心に第1の回転可能なマウント及び第2の回転可能なマウントの1つを回転させるように配置され、コントローラは、第1の回転位置で第1の光学要素が第1の光路に配置され、第2の光学要素が第2の光路に配置され、第2の回転位置で第1の光学要素が第1の光路から外れて配置され、第2の光学要素が第2の光路から外れて配置されるように、アクチュエータを第1の回転可能なマウント及び第2の回転可能なマウントの1つを回転させるように制御するように配置される。第1実施形態では、第1の回転軸及び第2の回転軸が、第1の光路及び第2の光路をそれぞれ通過してもよい。
【0008】
第1の実施形態の移動機構の第2の例の実施形態では、光学要素マウントは、第1の光学要素及び第2の光学要素を支持するように配置された回転可能なマウントを備え、回転可能なマウントは、第1の光路及び第2の光路に垂直な回転軸を中心に回転可能である。このように、第1の回転位置において、第1の光学要素が第1の光路に配置され、第2の回転位置において、第1の光学要素が第1の光路から外れて配置される場合、第1の回転位置において、第2の光学要素が第2の光路に配置される場合、及び第2の回転位置において、第2の光学要素が第2の光路から外れて配置される。第2の実施形態では、アクチュエータは、回転軸を中心に回転可能なマウントを回転させるように配置され、コントローラは、第1の回転位置で第1の光学要素が第1の光路に配置され、第2の光学要素が第2の光路に配置されるように、及び第2の回転位置で第1の光学要素が第1の光路から外れて配置され、第2の光学要素が第2の光路から外れて配置されるように、アクチュエータを回転させるように制御するように配置される。
【0009】
上記に設定された第1および/または第2の実施形態では、移動機構は、第1の光学要素を第1の光路の内外に移動させ、同時に第2の光学要素を第2の光路の内外に移動させるときに、第3の光学要素を第1の光路の内外に同時に移動させるように構成されてもよく、第3の光学要素を支持し、第1の光学要素および第2の光学要素が第1の回転位置にある場合に、第3の光学要素が第1の光路に配置されるように第3の光学要素を回転させるように、さらに配置されることによって、第1の光学要素および第2の光学要素が第2の回転位置にある場合に、第3の光学要素が第1の光路から外れて配置されるように構成される。
【0010】
第1の実施形態は、移動機構の上記の配置を含む場合、第1の回転可能なマウントは、直方体の第1の側部に第1の光学要素を支持するように配置され、直方体の対向する第2の側部に第3の光学要素を支持するように配置される中空の直方体を備えることができ、直方体の第1の側部および第2の側部のそれぞれは、光が第1の光路に沿って伝搬することを可能にするように、直方体および第1および第3の光学要素を介して、それぞれの開口を有し、第1の光学要素および第2の光学要素が第2の回転位置にある場合、直方体の第3の側部および直方体の対向する第4の側部のそれぞれは、光が第1の光路に沿って、直方体を介して、任意の光学要素を通過することなく伝搬することを可能にするように、それぞれの開口を有する。この場合、移動機構は、第1の光学要素および第3の光学要素をさらに備えてもよく、第1の光学要素は偏光子を備え、第3の光学要素は波長プレートを備える。
【0011】
加えて、または代替的に、第1の実施形態は、移動機構の上述の配置を含む場合、光学要素マウントは、第1の光学要素及び第3の光学要素をさらに含み、光学要素マウントは、光学要素マウントに作用する重力の方向に対して傾斜する回転軸を中心として、第1の光学要素及び第3の光学要素を回転させるように動作可能であり、第1の光学要素及び第3の光学要素は、回転軸を中心とする異なるそれぞれのモーメントを有し、移動機構は、回転軸を中心とする合成モーメントを低減するように配置されたカウンタバランスをさらに含み、合成モーメントは、回転軸を中心とする第1の光学要素のモーメントと回転軸を中心とする第3の光学要素のモーメントとの組み合わせを含む。この場合、第3の光学要素は、光学要素マウントを中心として手動で回転可能となるように光学要素マウントに回転可能に取付けられていてもよい。
【0012】
第1の実施形態において、又は上記に設定されたその実施形態のいずれかにおいて、第1の光学要素及び/又は第2の光学要素は、さらなる実施形態に従って、光学要素マウントに回転可能に取付けられて、光学要素マウントを中心として手動で回転可能となるようにしてもよい。
【0013】
上記の第1の例またはその実施形態のいずれかにおいて、前記光学要素マウントは、円の円弧に沿って移動するように、前記第1の光学要素および前記第2の光学要素の回転とともに回転するように配置される突出部を備え、前記移動機構は、前記第1の光学要素および前記第2の光学要素の回転中に前記突出部が前記光検出器の近傍に回転されると前記突出部を検出するように配置される光検出器であって、前記光検出器による前記突出部の検出が、前記第1の回転位置および前記第2の回転位置のいずれかにあることを示すように、前記移動機構に配置される光検出器と、前記光検出器のためのハウジングであって、前記光検出器から前記ハウジングの外部への漏光を抑制するように前記光検出器を取囲むように配置されるハウジングと、をさらに備えることができる。この場合、前記光検出器は、第1の光検出器であってもよく、前記移動機構は、前記第1の光学要素及び前記第の2光学要素の回転時に前記突起部が前記第2の光検出器の近傍に回転したときに前記突起部を検出するように配置された第2の光検出器をさらに備え、前記第2の光検出器による前記突起部の検出が前記第1の回転位置及び前記第2の回転位置の他方にあることを示すように前記第2の光検出器を前記移動機構に配置してもよい。さらに、ハウジングは、第2の光検出器からハウジングの外部への漏光を抑制するように第2の光検出器を取囲むようにさらに配置されてもよく、ハウジングは、さらに、第1の光検出器と第2の光検出器との間の光の伝搬を抑制するように配置されている。光検出器は、ハウジングに取付けられてもよく、ハウジングは、移動機構から取外し可能であってもよい。
【0014】
ここでの第2の例としての態様によれば、眼の画像を取得するために第1の撮像モード及び第2の撮像モードで動作可能な眼科撮像装置が提供される。眼科撮像装置は、光源と、光検出器と、光源からの光で眼の一部を照射し、眼の照射された部分からの光を集光するように配置された光学システムとを備え、光学システムは、さらに、集光された光を第1の光と第2の光とに分割するように配置され、第1の光路を介して第1の光を光検出器に導き、第2の光路を介して第2の光を光検出器に導くように配置され、第1の光路は第2の光路とは異なる。眼科撮像装置は、さらに、上記に設定された第1の例の態様又はその実施形態のいずれかに係る移動機構を備え、この移動機構は、第1の光学要素を第1の光路の内外に移動させ、同時に第2の光学要素を第2の光路の内外に移動させるように配置されており、第1の光路及び第2の光路は、移動機構を通過する。第1の撮像モードは、反射率撮像モードであってよく、眼科撮像装置は、眼の反射率画像を取得し、第2の撮像モードは、蛍光撮像モードであってよく、眼科撮像装置は、眼の蛍光画像を取得し、第1の光学要素及び第2の光学要素のそれぞれは、偏光子を備えてよい。
【0015】
さらに、本明細書の第3の例の態様によれば、第1の撮像モード及び第2の撮像モードで動作して眼の一部の画像を取得することができる眼科撮像装置において、それぞれの光路の内外への光学要素の移動を制御するコンピュータで実現される方法が提供される。眼科撮像装置は、光源と、光検出器と、光源からの光で眼の一部を照射し、眼の照射された部分からの光を集光するように配置された光学システムであって、集光された光を第1の光と第2の光とに分割するようにさらに配置され、第1の光路を介して第1の光を光検出器に導き、第2の光路を介して第2の光路を光検出器に導くように配置され、第1の光路は第2の光路とは異なる、光学システム。前記方法は、前記眼科撮像装置が、前記第1の撮像モードで動作することから前記第2の撮像モードで動作することに切り替わることを決定することと、前記第1の撮像モードで動作することから前記第2の撮像モードで動作することに切り替わることを決定することに応答して、前記第1の光学要素及び前記第2の光学要素を、前記第1の光路から外れて配置され、前記第2の光学要素が前記第2の光路から外れて配置されるように、前記第1の光学要素及び前記第2の光学要素を同時に第2の回転位置に回転させる制御信号を生成することと、前記眼科撮像装置が、前記第2の撮像モードで動作することから前記第1の撮像モードで動作することに切り替わることを決定することに応答して、前記第1の光学要素及び前記第2の光学要素が前記第1の光路に配置されるように、前記第1の光学要素及び前記第2の光学要素を、前記第1の光路に配置されるように、同時に第1の回転位置に回転させる制御信号を生成することと 第2の光路に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下に説明する添付図面を参照して、例示的実施形態を非限定的例として詳細に説明する。図の異なるものに現れる同様の参照番号は、別段の指示がない限り、同一または機能的に同様の要素を示すことができる。
【0017】
図1図1は、例示的な一実施形態による移動機構を備える眼科撮像装置の概略図である。
図2図2は、眼科撮像装置の一部を形成する走査システムの一例の概略図である。
図3A図3Aは、本明細書の実施形態例による移動機構と、光学システム150の要素とを備えるモジュールの等角図であり、移動機構の光学要素は、それぞれの光路に配置されるように、第1の回転位置にある。
図3B図3Bは、図3Aに示すモジュールの上面図である。
図3C図3Cは、移動機構の光学要素が、それぞれの光路から外れて配置されるように第2の回転位置にある、モジュールの等角投影図である。
図3D図3Dは、図3Cに示すモジュールの上面図である。
図4A図4Aは、図3Aから図3Dに示す第1の回転可能なマウント220の等角図である。
図4B図4Bは、図4Aに示す第1の回転可能なマウント220の断面図である。
図5図5は、代替実施形態における光学要素マウント112の実施例の等角図である。
図6A図6Aは、図3Aから図3Dに示す第2の回転可能なマウント230の側部図である。
図6B図6Bは、図3Aから図3Dに示す検出モジュール280の等角図である。
図6C図6Cは、突起部500が第1の光検出器530の近傍まで回転されたときの検出モジュール280の断面図である。
図6D図6Dは、突起部500が第2の光検出器540の近傍で回転したときの検出モジュール280の断面図である。
図7図7は、本明細書の第2の実施形態例による光学要素の移動を制御するコンピュータで実現される方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者らは、従来の移動機構について上述した課題に少なくとも部分的に対処する移動機構の必要性に鑑み、光学要素の回転によって第1の光学要素および第2の光学要素をそれぞれ第1の光路および第2の光路の内外に移動させるように配置した移動機構を考え出した。それらを移動するよりむしろ光学要素を回転させることによって、回転-移動変換機構の必要性および光学要素を帰還光路の内外へ移動させるときの滑りおよび遅延などの付随する欠点を回避しつつ、電気モータなどの容易に利用可能な回転アクチュエータを使用することができる。さらに、考え出された移動機構は、モータが光路の内外に1つ以上の光学要素を直接回転することを可能にし、したがって、歯車装置の必要性を除去する。これにより、移動機構の質量と要素数が減少する可能性がある。
【0019】
さらに、光学要素を光路の内外にスライドさせるのではなく、回転させることによって、光学要素を、帰還光路から外れるときに、帰還光路の側部により近づけることが可能になり、これは、移動機構のサイズを低減するのに役立つ可能性がある。
【0020】
加えて、移動機構が、重力に抗して1つ以上の光学要素を移動するように配置されるいくつかの例示的実施形態では、回転軸を中心とする回転による光学要素(複数可)の移動も、回転軸を中心とする駆動質量を分配することによって、または移動機構のアクチュエータが重力によって生じるトルクに対抗する必要がないように回転軸を配向することによって、必要なトルクが低減されるための端緒を開いてもよい。
【0021】
ここで実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、第1の実施形態例に係る移動機構110を備える眼科撮像装置100の概略図である。移動機構110は、本実施形態のように、眼科撮像装置100に取外し可能に取付けられていてもよく、その結果、例えば、検査及び調整のために取外し、その後、必要に応じて再度取付けることができる。眼科撮像装置100は、第1の撮像モード及び第2の撮像モードにおいて眼120を撮像するように動作可能であり、移動機構110に加えて、光源130、光検出器140、及び光学システム150を含む。
【0023】
光学システム150は、光源130からの光LIを眼120の一部に照射し、眼120の照射された部分からの光LCを集光するように配置されている。眼120の照射部は、本実施形態におけるように、眼120の網膜の一部を含んでもよいが、照射部は、そのように限定されず、代わりに、例えば、前方セグメントの一部等の、眼120の別の部分を含んでもよい。光学システム150はさらに、集光された光LCを第1の光L1、及び第2の光L2に分割し、本実施例のように、第1の波長λ1(またはλ1を中心とする波長の狭い範囲)を有する第1の光L1と、と、第2の波長λ2(またはλ2を中心とする波長の範囲と重複しないλ2を中心とする狭い範囲)を有する第2の光L2とを有する。光学システム150は、本実施形態のように、集光された光LCから第1の光L1を分割するための第1のダイクロイックフィルタと、集光された光LCから第2の光L2を分割するための第2のダイクロイックフィルタとを備えることができる。
【0024】
光学システム150は、さらに、眼科撮像装置100に移動機構110が設けられている場合に移動機構110を通過する第1の(直線)光路P1を含む光路を介して、光検出器140に向けて第1の光L1を伝搬または案内するように(光ファイバ、ミラー等の1つ以上の光学部品を使用して)配置され、移動機構110が眼科撮像装置100に設けられている場合に移動機構110を通過する第2の異なる(直線)光路P2を含む光路を介して、第2の光L2を光検出器140に伝搬または案内するように配置される。第2の光路P2は、本実施形態のように、第1の光路P1に平行であってもよい。しかしながら、光学システム150によって集光された光LC が分割される要素の数は2つに限定されず、2つを超える当該要素は、移動機構110を通過するそれぞれの光路を介して、光検出器140に向けて伝搬または案内されてもよいことに留意されたい。第1の光路P1に沿って伝搬する光源と、第2の光路P2とに沿って伝搬する光源とを提供するとともに影響を与える、本願明細書における眼科撮像装置100の要素に関する教示は、移動機構110を通過する1つ以上の追加光路に沿って伝搬する光源(複数可)を提供し、それらに沿って伝搬する光に影響を与えるために含まれうる、追加のそのような要素に適用可能である。
【0025】
光源130は、一般に、例えば可視スペクトル(例えば、赤色光および緑色光)および/または近赤外スペクトルにおいて眼120を撮像するのに適した1つ以上の波長範囲の光を生成するように配置される。光源130は、例えば、1つ以上のレーザダイオードまたはスーパールミネッセントダイオード(または、レーザダイオードまたはスーパールミネッセントダイオードの組み合わせ)を備え、さらに、1つ以上の光ビームを生成するように配置された1つ以上の光学要素(コリメータ、アパーチャ、レンズなど)を有してもよい。一例を挙げて説明すると、本実施形態の光源130は、赤色光(例えば、波長635nm)を生成するように配置された赤色レーザと、緑色光(例えば、波長532nm)を生成するように配置された緑色レーザとを含むが、光源130は、より一般的には、(眼科撮像装置100の第1の光学チャネルを画定する)第1の波長の光を生成するように配置された第1のレーザと、(眼科撮像装置100の第2の光学チャネルを画定する)第2の異なる波長の光を生成するように配置された第2のレーザとを含むことができることは理解されよう。本実施形態におけるように、2つの光学チャネルは、眼120の一部が光学システム150によって照射される光LIの単一の光において組み合わされてもよい。しかし、光学システム150は、代わりに、各々が光学チャネルのそれぞれを含んでいる2つの別々のビームで眼120の一部を照射してもよい。いずれの場合も、光学システム(以下でさらに説明する)は、円柱レンズ又は他の周知の要素又は線場照射を生成するための光学アセンブリを使用して生成される(フライング)光スポット又は光線(眼科撮像装置100が線場システムである場合)で眼120の一部を照射するように配置することができる。
【0026】
眼科撮像装置100がOCT撮像モードで動作可能である例示的な実施形態では、光源130は、波長掃引光源(眼科撮像装置100が周波数走査OCT(SS-OCT)システムである場合)又は広帯域光源(眼科撮像装置100がスペクトル領域OCT(SD-OCT)システムである場合)をさらに含み得る。
【0027】
この光検出器140は、本実施形態のように、第1の光L1を検出するように配置された第1の光検出器(図示せず)と、第2の光L2を検出するように配置された第2の光検出器(図示せず)とを備えてもよい。しかし、代わりに、光検出器140は、第1の光L1と第2の光L2の両方を検出するように構成された単一の光検出器を備えてもよい。光検出器140は、1つ以上の平衡光検出器構成(各々が、出力光電流が互いに差し引かれる2つの逆付勢されたフォトダイオードを含み、差し引かれた電流信号がトランスインピーダンス増幅器によって電圧検出信号に変換される)を備えていてもよい。眼科撮像装置100がOCT撮像モダリティを特徴とする例示的な実施形態では、光検出器140は、分光器(SD-OCT設定が使用される場合)又はフォトダイオード検出器(SS-OCT設定が使用される場合)をさらに含んでもよい。
【0028】
光学システム150は、本実施形態のように、点走査システムを備え、点走査によって照射される眼120の一部を横切る光源130光からの光LIの2次元点走査を実行し、点走査中に照射領域からの光を集光するように構成される。
【0029】
このような光学システムの一例を図2に示す。光学システム150は、本実施形態の場合と同様に、走査要素およびミラーを備えることができ、光学システム150は、ミラーを介して眼120の一部を横切る光ビームを走査する走査要素によって二次元点走査を行うように配置される。このような走査システムの一例は、広視野の網膜走査を行うことができるが、その内容が参照により本明細書に組み込まれているWO 2014/53824 A1に記載されている。このような走査システムの要素は図2に示されており、光カプラ151、第1の走査要素152、第1の曲面ミラー153、第2の走査要素154および第2の曲面ミラー155を備える。この光ビームは光カプラ151を介して光学システム150に入射する。次に、光ビームは、順番に、第1の走査要素152、第1の曲面ミラー153、第2の走査要素154、及び第2の曲面ミラー155によって反射されてから、眼120に入射される。光学システム150によって集光された眼120の照射された部分からの光は、光学カプラ151を介して光学システム150に入射した光路と同じ光路を光学システム150を通って逆順にたどり、光学カプラ151を介して光学システム150から出射する。
【0030】
二次元点走査は、眼120の一部を横切る第1の方向に光ビームを走査するために第1の軸156を中心に回転する第1の走査要素152によって実行され、眼120の一部を横切る第2の方向に光ビームを走査するために第2の軸157を中心に回転する第2の走査要素154によって実行される(これは、本実施形態のように、第1の方向に直交してもよい)。したがって、第1の走査要素152及び第2の走査要素154を回転させることによって、眼120の一部の異なる位置に光ビームを操縦することが可能である。第1の走査要素152及び第2の走査要素154の回転は、光ビームが所定の走査パターンに従って眼120の一部を横切って走査されるように、走査システムコントローラ(図示せず)によって調整することができる。
【0031】
図2の例では、第1の曲面ミラー153が楕円面ミラー(およびスリットミラーと呼ばれる)であり、第2の曲面ミラー155も楕円面ミラーである。楕円面ミラーの各々は、それぞれの第1の焦点及びそれぞれの第2の焦点を有する。第1の走査要素152は第1の曲面ミラー153の第1の焦点に配置され、第2の走査要素154は第1の曲面ミラー153の第2の焦点に配置される。また、第2の走査要素154は、第2の曲面ミラー155の第1の焦点に配置され、眼120(より具体的には、本例では眼120の瞳)は、第2の曲面ミラー155の第2の焦点に配置されている。
【0032】
第1の走査要素152及び第2の走査要素154は、本実施例におけるように、各々がガルバノメータ光学スキャナ(又は「ガルボ」)であってよいが、例えば、MEMS走査ミラー又は共鳴走査ミラーなどの別の種類の走査要素を代替的に使用することもできる。
【0033】
図2を参照して上述された種類の光学システム150は、(中でも)カラー、赤色フリー、AF、ICG、およびOCTなどの様々な撮像モードで使用されてもよい。しかしながら、光学システム150は、代替的に、例えば、眼120の結像された部分にわたるライン-フィールド走査を実施するような他の方法で配置されてもよい。光学システム150は、さらに、光源130からの光LBをフィルタリングし、誘導し、および/またはコリメートするための光学要素などの追加の光学要素と、円柱レンズまたは光学システム150がラインフィールドシステムである場合に光を生成する他の手段とを備えることができる。
【0034】
再び図1を参照すると、移動機構110は、光学要素マウント112と、アクチュエータ114と、コントローラ116とを備える。移動機構110は、第1の光学要素161を第1の光路P1に出入りさせ(第1の光学要素161が第2の光路P2に入ることなく)、第2の光学要素162を第2の光路P2に同時に出入りさせる(第2の光学要素162が第1の光路P1に入ることなく)ように配置される。さらに、移動機構110は、本実施形態のように、第1の光学要素161を第1の光路P1の内外に移動させ、第2の光学要素162を第2の光路P2の内外に同時に移動させるときに、第3の光学要素(図1には示されていない)を第1の光路P1の内外に同時に移動させる、および/または第4の光学要素(図1には示されていない)を第2の光路P2の内外に同時に移動させるように配置されてもよい。
【0035】
移動機構110は、第1の光学要素161を第1の光路P1に出し入れするときに、第2の光学要素162を第2の光路P2に出し入れすると同時に、フィルタ(例えば、赤外線フィルタ)などの第5の光学素子(図1には図示せず)を第1の光路P1または第2の光路P2に出し入れするように、第1の光学要素161および第2の光学要素162が後述する第2の回転位置118-2にあるときに第5の光学素子が第1の光路P1および第2の光路P2の一方に配置されるように、第1の光学要素161および第2の光学要素162が後述する第1の回転位置118-1にあるときに第5の光学素子が第1の光路P1および第2の光路P2の一方の外側に配置されるように、配置することができる。
【0036】
図3Aおよび図3Bは、それぞれ、移動機構、光学要素マウント210、第1の光路202、第2の光路203、第1の光学要素224、第2の光学要素234、第3の光学要素226、第4の光学要素236、ならびに移動機構110、光学要素マウント112、第1の光路P1、第2の光路P2、第1の光学要素161、第2の光学要素162、第3の光学要素、第4の光学要素、および光学システム150の要素を構成するモジュールを備える、眼科撮像装置100のモジュール200の等角図および上面図であり、それぞれ、図1を参照して上述した。本実施形態では、アクチュエータ114は、電気モータ250の形態で提供される。
【0037】
モジュール200の図示された要素は、モジュール200のベースプレート290に固定されるが、これらの要素は、別法として、眼科撮像装置100の1つ以上の他の部分の図示された要素に設けられてもよい。
【0038】
眼科撮像装置100の動作中、集光された光LC は、本実施形態の場合のように、入射軸201(y軸方向に平行)に沿ってモジュール200に入り、青色光を分割するために設けられ得るダイクロイックなどの光学システム150(ラベルなし)の任意の要素を通過することができる。集光された光LCは、本実施形態のように、2つのダイクロイックフィルタを用いて、上述の第1の光L1と第2の光L2に分割してもよい。具体的には、眼科撮像装置100による撮像のときに、集光された光LCは、集光された光LCから第1の光L1を光検出器140に向けて第1(直線)の光路202(x軸に平行)に沿って第1の波長λ1の光を反射することにより(図3Aおよび図3Bには図示せず)、分割されるように配置された第1のダイクロイック270に入る。集光された光CCのうち第1のダイクロイック270によって分割されていない部分は、第2のダイクロイック275に入る。これは、集光された光CCから第2の光L2を、第2の波長λ2の光を光検出器140に向けて第2の(直線)光路203に沿って反射することによって分割するように配置される。ただし、第1の光L1及び第2の光L2を第1の光路202及び第2の光路203にそれぞれ案内する光学システム150の要素は、限られているわけではない。例えば、別の例示的な実施形態では、第2のダイクロイック275を従来のミラーで置き換えてもよい。第1の光L1および第2の光L2は、光学システム150で使用される光配置によって決定される任意の光路に沿ってモジュール200に入ることができる。
【0039】
光学要素マウント210は、第1の光学要素224及び第2の光学要素234の両方を支持するように配置される。光学要素マウント210は、本実施形態のように、第3の光学要素226及び第4の光学要素236を支持するようにさらに配置されていてもよく、また、第5の光学要素を支持するように変形されていてもよい。一例として、光学要素マウント210は、本実施形態の場合のように、第1の光学要素224及び第3の光学要素226を支持するように配置された第1の回転可能なマウント220と、第2の光学要素234及び第4の光学要素236並びに第5の光学要素(ここに設けられる)を支持するように配置された第2の回転可能なマウント230とを備え得る。第5の光学要素(提供されるところ)は、代替として、第1の回転可能なマウント220に搭載されてもよいことに留意されたい。
【0040】
また、光学要素マウント210は、上述したように、2つの別個の回転可能なマウントを有する必要はなく、後述するように、代替的に、単一の回転可能なマウントを備えてもよく、これは、第1の光学要素224および第2の光学要素234、ならびに第3の光学要素226、第4の光学要素236、および第5の光学要素(含まれる場合)を支持するように配置される。
【0041】
また、光学要素マウント210は、図3Aに示すようにブラケットを備えることができ、このブラケットは、第1の回転可能なマウント220および第2の回転可能なマウント230がそれぞれの回転軸を中心に回転できるように支持するように配置される。しかしながら、ブラケットは省略してもよく、第1の回転可能なマウント220および第2の回転可能なマウント230は、代替的には、単独でベースプレート290に回転可能に取付けられてもよい。
【0042】
第1の光学要素224および第2の光学要素234は、本実施形態のように、それぞれ偏光子を備えてもよい。しかしながら、これらの要素のいずれか又は両方は、代替的に又は追加的に、例えば、波長プレート、4分の1波長プレート、光学フィルタ又はレンズ等の別の光学要素を備えてもよい。第3の光学要素226及び第4の光学要素236は、本実施形態のように、それぞれが波長プレートを含むものであってもよい。しかし、これらの要素のいずれか又は両方は、代替的に又は追加的に、例えば偏光子、光学フィルタ、又はレンズのような別の光学要素を備えることができる。提供される上記第5の光学要素は、赤外線(IR)フィルタおよび/または例えば、偏光子、波長プレート、またはレンズ等の任意の他の光学要素を含んでもよい。前述の光学要素がとる形態は、上記の例に限定されず、眼科撮像装置100の撮像モードの要件によって決定される。
【0043】
モジュール200が眼科撮像装置100に設けられるとき、図示されたモジュール200の要素は、図示されたy軸方向が、垂直方向から垂直方向(又は数度(例えば、15度未満)である)、すなわち、眼科撮像装置100に作用する重力方向と反対方向(又は、ほぼ同じ方向)となるように向けられる。したがって、第1の回転可能なマウント220は、移動機構が眼科撮像装置100に設けられる場合、第1の光路202及び第2の光路203、並びに第1の回転可能なマウント220及び第2の回転可能なマウント230のそれぞれの回転軸が実質的に水平である状態で、第2の回転可能なマウント230の上方にある。
【0044】
第1の光学要素224及び第2の光学要素234は、本実施形態におけるように、光学要素マウント210に回転可能に取付けられ、光学要素マウント210を中心として手動で回転可能となるようにしてもよい。同様に、第3の光学要素226、第4の光学要素236及び第5の光学要素(ある場合)は、光学要素マウント210を中心に手動で回転可能となるように光学要素マウント210に回転可能に取付けられてもよい。しかしながら、これらの光学要素のうちのいくつかのみが、要件に従って、このように回転可能に取付けられてもよい。したがって、一般に、第1の回転可能なマウント220または第2の回転可能なマウント230に取付けられた任意の光学要素は、回転可能なマウントを通過する光路を中心に、手で回転可能になるように回転可能に取付けられてもよい。光学要素が偏光子である場合、この手動回転可能性により、技術者は、これらのアーチファクトがしばしば所望の網膜信号と比較して明確に定義された偏光状態を有するので、眼から戻る光における非網膜信号(反射およびグレアを含む)の排除を最大にするように偏光子を回転させることができる。
【0045】
第1の回転可能なマウント220は、本実施形態の場合のように、直方体の第1の側部に第1の光学要素224を支持するように、直方体の対向する第2の側部に第3の光学要素226を支持するように配置された中空の直方体を備えることができる。しかし、第1の回転可能なマウント220は、この形成に限定されず、第1の光L1が通過するその面が、第1の回転可能なマウント220の回転軸に対して並行となるように、第1の光学要素224および第3の光学要素226を支持することを可能にする任意の代替形成をとり得る。さらに、第2の回転可能なマウント230は、本実施形態の場合のように、第1の回転可能なマウント220の中空の直方体と同じ特徴および代替物を共有する第2の中空の直方体を備えることができる。第1の中空の直方体または第2の中空の直方体はまた、上述の第5の光学要素を支持してもよい。
【0046】
図4Aは、図に示す第1の回転可能なマウント220の等角拡大図である。3A および 3B前述のように、本実施形態の第1の回転可能なマウント220は、中空直方体であり、3対の平行な対向側部を有する。
【0047】
光学要素マウント210は、第1の光学要素224及び第2の光学要素234が第1の回転位置118-1にあるとき、第1の光学要素224が第1の光路202に配置され、第2の光学要素234が第2の光路203に配置されるように、第1の光学要素224及び第2の光学要素234の各々を第1の回転位置118-1と第2の回転位置118-2との間で回転させるように動作可能である。しかしながら、第1の光学要素224及び第2の光学要素234が、第2の回転位置118-2にある場合、第1の光学要素224は、第1の光路202から外れて配置され、第2の光学要素234は、第2の光路203から外れて配置され、第1の光L1及び第2の光L2は、それぞれ、第1の光路202及び第2の光路203に沿って、自由空間を介して、すなわち、移動機構110のいずれの光学要素も通過することなく、伝搬することが可能である。各光学要素の回転位置は、その中心が光学要素の回転軸にある、極座標システム(具体的には、回転角度に関して)において定義されてもよい。
【0048】
光学要素マウント210は、本実施形態のように、図3A および3Bに示すように、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第1の回転位置118-1にあるときに、第3の光学要素226および第4の光学要素236がそれぞれ第1の光路202および第2の光路203に配置されるように、第3の光学要素226および第4の光学要素236を回転させるように動作可能であってもよい。
【0049】
さらに、光学要素マウント210は、本実施形態のように、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第2の回転位置118-2にある場合に、それぞれ、第1の光路202および第2の光路203から外れて配置されるように、第3の光学要素226および第4の光学要素236を回転させるように動作可能であってもよい。図3Cおよび3Dは、それぞれ、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第2の回転位置118-2にある状態の、モジュール200の等角図および上面図である。
【0050】
第1の回転可能なマウント220は、本実施形態のように、図4Aに示される第1の回転軸301を中心に回転可能であってもよく、それにより、第1の回転位置118-1において、第1の光学要素224(および第3の光学要素226)が第1の光路202に配置される場合、および第2の回転位置118-2において、第1の光学要素224(および第3の光学要素226)が第1の光路202から外れて配置される。図4Bは、x-y平面における中空の直方体の中心を通る第1の回転可能なマウント220の断面図である。第1の回転可能なマウント220は、第1の直方体軸302および垂直な第2の直方体軸303を有する。第1の回転可能なマウント220は、第1の光学要素224が第2の回転位置118-2にあるとき、第1の直方体軸302が第1の光路202(およびx軸方向)に位置合わせされ、第1の光学要素224が第1の回転位置118-1にあるとき、第2の直方体軸303が第1の光路202に位置合わせされるように、第1の回転軸301(z軸方向)を中心に回転可能である。第1の回転軸301は、第1の光路202(及び入射軸201)に直交している。しかし、第1の回転軸301は、代替的には、第1の光路202に対してある角度で配置され得る。
【0051】
同様に、第2の回転可能なマウント230は、本実施形態のように、第1の回転軸301に平行である第2の回転軸を中心に回転可能であり、第1の回転位置118-1に、第2の光学要素234(及び第4の光学要素236)が第2の光路203に配置され、第2の回転位置118-2に、第2の光学要素234(及び第4の光学要素236)が第2の光路203から外れて配置されるようにしてもよい。第2の回転可能なマウント230は、同様に、第1の直方体軸および垂直な第2の直方体軸を有する。第2の回転可能なマウント230は、第2の光学要素234が第2の回転位置118-2にあるとき、第2の直方体軸が第2の光路203(およびx軸方向)に位置合わせされるように、第2の回転軸(z軸方向)に関して回転可能であり、第2の光学要素234が第1の回転位置118-1にあるとき、第2の直方体軸は第2の光路203に位置合わせされる。第2の回転軸は、第2の光路203(および入射軸201)に垂直である。しかし、第2の回転軸は、代替的には、第2の光路203に対してある角度で配置されてもよい。
【0052】
第5の光学要素が、上述のように、第1の回転可能なマウント220または第2の回転可能なマウント230に取付けられる場合、光学要素マウント210は、さらに、第1の光学要素224及び第2の光学要素234が第2の回転位置118-2にあるとき、第5の光学要素が第1の光路202(第1の回転可能なマウント220に取付けられるとき)又は第2の光路203(第2の回転可能なマウント230に取付けられるとき)に配置されるように、第5の光学要素を回転させるように動作可能であり得る。例えば、第5の光学要素は、第1の回転可能なマウント220または第2の回転可能なマウント230の中空の直方体の第3の側部または第4の側部のいずれかに支持されてもよい。
【0053】
図4Aおよび4Bを参照すると、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第1の回転位置118-1にある場合に、直方体の第1の側部および直方体の第2の側部はそれぞれ、光が第1の光路202に沿って、直方体および第1の光学要素224および第3の光学要素226を通って伝播することを可能にするそれぞれの開口を有する。これらのそれぞれの開口は、図4Bにおける直方体第2の直方体軸303に沿って示され、それによって、光は、第1の光学要素224および第3の光学要素226を通過してもよい。
【0054】
直方体の第3の側部および直方体の対向する第4の側部は、それぞれ、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第2の回転位置118-2にある場合に、光が第1の光路202に沿って、直方体300を介して、いかなる光学要素も介さずに伝播することを可能にするそれぞれの開口を有する。これらのそれぞれの開口は、図4Bにおける直方体第1の直方体軸302に沿って示され、それによって、光は、自由空間のみ、すなわち、いずれの光学要素も通過することなく、直方体を通過し得る。
【0055】
直方体の第5の側部および直方体の対向する第6の側部は、第1の回転軸301の中心に位置し、本実施形態のように、ボールベアリング(または他のタイプの転がり軸受)、ブッシュ、または他の(好ましくは低摩擦)継手を介して、第1の回転可能なマウント220をベースプレート290およびブラケットと係合するように配置された突起を備えることができる。しかし、これらの突出部は任意であり、図示したものとは異なる手段によって回転を可能にしてもよい。例えば、第5の側部又は第6の側部の一方のみが、モータ250の車軸を収容する穴又は他のレセプタクルを備えてもよい。さらに、回転軸は、直方体の第5および第6の面の中心にある必要はない。
【0056】
第1の回転軸301は、本実施形態のように、第1の光路202を通過することができる。したがって、第1の光路202は、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第2の回転位置118-2にある場合に、通過して、第1の直方体軸302に対して平行であり得、第1の光路202は、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第1の回転位置118-1にある場合に、第2の直方体軸303を通過して平行であり得る。
【0057】
第1の光学要素224および第3の光学要素226は、本実施形態のように、それぞれ異なる質量を有してもよい。同様に、第2の光学要素234及び第4の光学要素236は、本実施形態のように、それぞれ異なる質量を有してもよい。特に、本実施形態では、偏光子(第1の光学要素224および第2の光学要素234の例として)は、(第3の光学要素226および第4の光学要素236の例として)波長プレートより重い。
【0058】
第1の回転軸301は、本例のように、光学要素マウント112に作用する重力の方向に対して傾いていてもよい。上述したように、本実施形態の移動機構110が眼科撮像装置100に設けられた場合、入射軸201は、重力の方向に対して平行(または平行である15度以内)であり、第1の回転軸301は、重力の方向に対して垂直である。しかし、いくつかの例示的な実施形態において、第1の回転軸301は、以下でより詳細に説明するように、重力に平行であってもよい。
【0059】
第1の回転軸301が重力の方向に対して傾いている場合、移動機構110は、本実施形態におけるように、第1の回転軸301を中心とする第1の光学要素224のモーメントと第1の回転軸301を中心とする第3の光学要素226のモーメントとの組み合わせを含む、第1の回転軸301を中心とする合成モーメント(トルク)を低減(好ましくはゼロに)するように配置されたカウンタバランス310をさらに備えてもよい。言い換えると、カウンタバランス310は、第3の光学要素226および第1の光学要素224の第1の回転軸301を中心とするそれぞれのモーメントの差によって生じる重力の作用下で、第1の回転可能なマウント220(したがって、第3の光学要素226および第1の光学要素224)の回転を低減(または防止)するように配置される。カウンタバランス310が設けられる場合、一般に、第1の光学要素224および第3の光学要素226の軽いほうに取付けられ、第1の光学要素224と第3の光学要素226との間の差に実質的に等しい質量を有する。図4Aおよび4Bに示されるように、本実施形態において、カウンタバランス310は、その質量中心が直方体第2の直方体軸303に存在するように、第3の光学要素226に隣接して搭載される。カウンタバランス310の質量は、第3の光学要素226およびカウンタバランス310の第1の回転軸301の周りの合成モーメントが第1の光学要素224のモーメントと等しくなるように選択される。したがって、(本実施形態のアクチュエータ114の例として)モータ250が必要とするトルクは、重力によって誘発される合成モーメントに抗して作用する(または小さな合成モーメントに抗して作用する)必要がないので、モータの最大トルク要件を低減することができる。さらに、第1の回転可能なマウント220が、第1の回転位置118-1または第2の回転位置118-2にあるとき、重力によって誘発されるモーメントが小さいまたはゼロであることによって、モータ250をオフにすることができ、または最小限のトルクしか発揮することができず、それによって、移動機構110の効率が向上する。
【0060】
上述したように、第2の回転可能なマウント230は、図4A及び図4Bに示すように、本実施形態における第1の回転可能なマウント220と同じであり、同じカウンタバランスを含む。しかし、第2の回転可能なマウント230は、第2の回転軸を中心に回転可能であり、これは、本実施形態のように、第2の光路203を通過して、第1の回転軸301に関して上述したように、第2の光路203に対して垂直であり得る。第2の回転可能なマウント230は、上述の代替物のいくつかを有する(または有していない)ことによって、第1の回転可能なマウント220と異なり得る。第1の回転軸301は、本実施形態のように、第2の回転軸と平行であるとよい。ただし、第2の回転軸に対して傾斜してもよい。
【0061】
再び図3A~3Dを参照すると、移動機構110は、本実施形態におけるように、第1の回転可能なマウント220と第2の回転可能なマウント230との間の機械的リンクをさらに備えることができる。機械的リンクは、第1の回転可能なマウント220および第2の回転可能なマウント230の他方が回転するときに、第1の回転可能なマウント220および第2の回転可能なマウント230の一方が同時に回転するように配置される。したがって、第1の回転可能なマウント220および第2の回転可能なマウント230は、第1の回転位置118-1と第2の回転位置118-2との間の第1の光学要素224および第2の光学要素234の回転位置を変化させるために、同時に回転させることができる。
【0062】
機械的リンクは、本実施形態のように、図3A及び3Cに示すように、第1の回転可能なマウント220の第5の面を第2の回転可能なマウント230の第5の面に接続する機械的リンク240の形態で設けることができる。機械的リンク240は、それぞれの第5の面で(例えば、ボールジョイントなどによって)接続されるそれぞれの点の周りを回転することができ、各点は、それぞれの回転可能なマウントの回転軸から、好ましくは第1の回転可能なマウント220および第2の回転可能なマウント230が、互いに同期して(すなわち同じ角速度で)回転するように、同じ量だけオフセットされる。しかしながら、機械的リンクは、多くの他の代替形態で設けられてもよく、例えば、第1の回転軸301および第2の回転軸のまわりにそれぞれ回転するように配置され、第1および第2の歯車と噛み合う中間歯車を介してともに結合され、第1および第2の歯車を同じ意味で(すなわち、時計回りまたは反時計回りに)回転させる、第1の歯車および第2の歯車の形態である。代替的に、機械的リンクは、第1の回転軸301及び第2の回転軸を中心にそれぞれ回転するように配置された第1の車輪及び第2の車輪を機械的に連結する、緊張された又は歯付きベルトの形成で提供することができる。
【0063】
本実施形態の光学要素マウント112は、実質的に水平であるそれぞれの回転軸を中心に互いに同期して回転するように機械的に結合された2つの別個の回転可能な要素マウントを備えるが、光学要素マウント112は、そうでなければ、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第1の回転位置118-1にあるときに第1の光学要素224が第1の光路202に配置され、第2の光学要素234が第2の光路203に配置されるように、第1の光学要素224および第2の光学要素234の各々を第1の回転位置118-1と第2の回転位置118-2との間で回転させるように構成され得、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第2の回転位置118-2にあるときに、第1の光学要素224が第1の光路202から外れて配置され、第2の光学要素234が第2の光路203から外れて配置されるように構成され得る。
【0064】
例えば、別の実施例の移動機構において、光学要素マウントは、第1の光学要素161及び第2の光学要素162を支持するように配置された回転可能なマウントを備え、回転可能なマウントは、第1の光路P1及び第2の光路P2に対して垂直な回転軸を中心に回転可能である。このように、第1の回転位置118-1であるとき、第1の光学要素161が第1の光路P1に配置され、第2の回転位置118-2であるとき、第1の光学要素161が第1の光路P1から外れて配置される。また、第1の回転位置118-1であるとき、第2の光学要素162が第2の光路P2に配置される。また、第2の回転位置118-2であるとき、第2の光学要素162が第2の光路P2このような代替実施形態では、アクチュエータ114は、回転軸を中心に回転可能なマウントを回転させるように配置され、コントローラ116は、第1の回転位置118-1で、第1の光学要素161が第1の光路P1に配置され、第2の光学要素162が第2の光路P2に配置される場合、および第2の回転位置118-2で、第1の光学要素161が第1の光路P1から外れて配置され、第2の光学要素162が第2の光路P2から外れて配置されるように、アクチュエータ114を回転させるように制御するように配置される。
【0065】
この代替実施形態では、光学要素マウント112は、中空の直方体を備えてもよく、直方体の第1の面に、第1の光学要素161および第2の光学要素162を支持するように配置され、さらに、直方体の対向する第2の面に、第3の光学要素および第4の光学要素を支持するように配置され、第1の光学要素161および第3の光学要素は、直方体に取付けられ、第1の光学要素161および第2の光学要素162が第1の回転位置118-1にある場合、光は、直方体を介して、および第1および第3の光学要素を介して伝搬することができるように、第1および第3の光学要素と位置合わせされる直方体の第1および第2の面に設けられる開口を有する。同様に、第2の光学要素162及び第4の光学要素は、第2の光学要素161及び第2の光学要素162が第2の回転位置118-2にあるときに、光が直方体を通り、第2及び第4の光学要素を経て第2の光路P2に沿って伝播することができるように、第2及び第4の光学要素と位置合わせされている直方体の第1及び第2の面に設けられた開口を備えて直方体に取付けられる。この代替実施形態では、第2の回転可能なマウントを回転的に取付けるための機械的リンクまたはハードウェアが不要であるため、移動機構の複雑さおよび部品数を低減することができる。
【0066】
別の実施例の移動機構が眼科撮像装置100に設けられる場合、光学要素マウント112は、取付けられた光学要素を、重力の方向に平行な(またはこの方向に対して例えば15度よりも小さい角度だけ傾いた)回転軸を中心に回転するように動作可能である。その結果、上記実施形態のカウンタバランスを配置することができ、それによって移動機構をさらに単純化し、その質量を低減することができる。加えて、その回転軸を中心とする光学要素マウント112の慣性モーメントの結果としての低下は、光路P1およびP2への光学要素の切り替えの遅れを低減し得る。
【0067】
図5は、この代替実施形態による光学要素マウント112の実施例の等角図である。上述のように、光学要素マウント112は、中空の直方体401を備え、この中空の直方体は、直方体401の第1の面に第1の光学要素224および第2の光学要素234を支持するように配置され、さらに、直方体401の対向する第2の面に第3の光学要素226および第4の光学要素236を支持するように配置される。光学要素マウント112は、上述したように、重力の方向に平行な回転軸402を中心として、取付けられた光学要素を回転させるように動作可能である。第1の光学要素224、第2の光学要素234、第3の光学要素226及び第4の光学要素236は、図2A図2Dを参照して上述した通りである。
【0068】
上述した第1の実施形態または別の実施例では、光学要素マウント112は、円弧に沿って移動するように、第1の光学要素224及び第2の光学要素234が回転するにつれて回転する突出部を備え得る。図6Aは、第2の回転可能なマウント230の側部図であり、第2の回転可能なマウント230から突出する突出部500を示している。
【0069】
移動機構110は、光検出器をさらに備えてもよい。光検出器は、図3Bに示されているように、検出モジュール280に設けられている。図6Bは、検出モジュール280の拡大等角図を示す。図6Cおよび6Dは、検出モジュール280の第1の光検出器530および第2の光検出器540を示す、検出モジュール280のx-y平面における断面図である。第1の光検出器530は、本実施形態のように、第1の光学要素224および第2の光学要素234の回転中に突出部500が第1の光学要素530の近傍(すなわち、所定の距離、または所定の位置の範囲)に回転されたときに突出部500を検出するように配置されてもよく、突出部500の検出により、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第1の回転位置118-1にあることを示すように、移動機構110に配置される第1の光検出器530である。第1の光検出器530は、本実施形態のように、ギャップを横切って光ビームを照射するように配置され得、それは、突出部500によって遮断され得、具体的には、図3Aおよび3Bの場合のように、第2の回転可能なマウント230に取付けられた第2の光学要素234が第1の回転位置118-1にある場合に遮断され得る。しかし、任意の他の光検出器構成が使用されてもよく、これは、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第1の回転位置118-1にある場合に、突出部500の存在を示すことができる。
【0070】
第2の光検出器540は、第1の光学要素224及び第2の光学要素234の回転中に、突出部500が第2の光検出器540の近傍に回転するとき、突出部500を検出するために、第1の光検出器530に同様に配置されてもよく、第2の光検出器530は、突出部500の検出が、第1の光学要素224及び第2の光学要素234が第2の回転位置にあることを示すように、移動機構110に配置される。図6Dにおいて、第1の光検出器530は、ギャップを横切って光を発し、これは、図3Cおよび3Dの場合と同様に、特に第2の回転可能なマウント230に取付けられた第2の光学要素234が第2の回転位置118-2にある場合に、突出部500によって遮断することができる。しかしながら、第2の光学要素234が第2の回転位置118-2にある場合に、突出部500の存在を示すことができる任意の光検出器構成が使用されてもよい。
【0071】
移動機構110は、図6Bに示すように、光検出器530及び540のためのハウジング510をさらに有していてもよい。ハウジング510には、突出部500が第1の光検出器530と第2の光検出器540との間の円弧に沿って移動できるようにするための円弧状スリット520が設けられている。ハウジング510は、本実施形態のように、第1の光検出器530および第2の光検出器540からハウジング510の外部への漏光を防止(または少なくとも抑制)するように、第1の光検出器530および第2の光検出器540を取囲むように配置されてもよい。ハウジング510は、第1の光検出器530と第2の光検出器540との間の光の伝播を防止(または少なくとも抑制)するようにさらに配置されてもよい。したがって、ハウジング510は、第1の光検出器530および第2の光検出器540を取囲み、ハウジング510から逃げることができる光の量を低減(好ましくは最小化)する。さらに、図6Cおよび6Dに図示されるように、ハウジング510の部分550は、第1の光検出器530と第2の光検出器540との間の光の通過を遮断するために提供され得る。第1の光検出器530および第2の光検出器540からハウジング510の外部への光の逃げを抑えることによって、眼科撮像装置100の第1の光L1および第2の光L2に対する妨害を回避することができ、したがって、最終的には、光検出におけるシグナル対ノイズの低減を介して、眼科撮像装置100の画質を改善することが可能になる。また、第1の光検出器530と第2の光検出器540との混線を防止することで、現在の回転位置の指示に対する信頼性が向上する。
【0072】
なお、第1の光検出器530および第2の光検出器540は、本実施形態のように、いずれもハウジング510に取付けられていてもよい。より具体的には、本実施形態では、光検出器530および540は、ハウジング510に取付けられるプリント回路基プレートに取付けられる。しかし、光検出器530及び540は、代わりにハウジング510に直接取付けることもできる。ハウジング510は、本実施形態のように、移動機構110から取外し可能であってもよい。ハウジング510は、例えば、ハウジングを貫通してベースプレート290に入るねじを使用してベースプレート290に取付けることができる。したがって、第1の光検出器530及び第2の光検出器540は、マウントから容易に取外すことができ、調整され、修理され、又は交換されることができ、したがって、眼科撮像装置100のサービス性が向上する。
【0073】
検出モジュール280は、第2の回転可能なマウント230の突出部500と相互作用するように上述したが、光学要素マウント160の配置に応じて、別の配置を代替的に採用してもよい。例えば、上述のように、光学要素マウント112は、4つ全ての光学要素を支持する中空の直方体の形態の単一の回転可能なマウントを備える場合、突出部は、上述の中空の直方体の下端に配置されてもよい。この場合の回転軸は、入射軸201と平行であるため、検出要素は、突出部が、それに沿って第1の光検出器530と第2の光検出器540との間を進む円弧に沿って回転し得るように、中空の直方体の下端の下のブラケットに配置されてもよい。
【0074】
さらに、前述の光学的検出器は、検出器と突出部500との間で物理的に接触することなく、突出部500が検出器の近傍に来たことを検出することができる任意の種類の近接検出器と置き換えることができる。近接検出器は、例えば、容量近接検出器または誘導近接検出器であってもよい。あるいは、前述の光検出器は、突出部500の検出のために検出器と突出部500との間の物理的接触に依存する機械的検出器(例えば、マイクロスイッチ等)と置き換えられてもよい。例えば、第1の光学要素224および第2の光学要素234の回転中に機械的スイッチを起動するように、突出部500が回転されるとき、突出部500を検出するように機械的スイッチが配置されてもよい。機械スイッチが第1の光検出器530に代わる場合、機械スイッチは、突出部500の検出が、第1の光学要素224および第2の光学要素234が第1の回転位置118-1にあることを示すように、移動機構110に配置される。第1の光学要素224および第2の光学要素234(および任意のさらに支持される光学要素)の回転位置を判断するために、2つの検出器が提供される場合、上述のように、これらの検出器の検出器タイプは、上記で設定された異なるタイプの同一または任意の組み合わせであってもよい。さらに、光検出器ではない、それらの近傍の突出部を検出するように配置される1つ以上の検出器を備える例示的な実施形態では、ハウジング510は省略されてもよい(光を遮断する目的以外で必要とされる場合を除き、たとえば、ダストカバーとして作用する)。
【0075】
再び図1を参照すると、アクチュエータ114は、光学要素マウント112を駆動して、第1の光学要素161および第2の光学要素162を第1の回転位置118-1または第2の回転位置118-2に設定するように配置される。アクチュエータ114は、本実施形態のように、図3A~3Dに示す、第2回転軸を中心に第2の回転可能なマウント230を回転させるように配置されるモータ250の形態で設けられてもよい。しかしながら、アクチュエータ114は、代替的に、第1の回転軸301を中心に第1の回転可能なマウント220を回転させるように配置することができ、機械的リンク240が、第2の回転可能なマウント230を第1の回転可能なマウント220と同期して回転させる。モータ250は、光学要素マウント210のブラケットに固定され、その車軸が第2の回転軸と整列し、第2の回転可能なマウント230に連結されるようになっている。しかし、他の配置も可能である。例えば、モータはその代わりにベースプレート290の下側に固定されてもよいが、そうでなければ第2の回転可能なマウント230を駆動するのと同じように構成される。アクチュエータ114は、本実施形態では電気モータ250の形態をとるが、回転可能なマウントを回転させるための任意の他の駆動システム、リニアモータおよびリニアモータのリニア駆動を第1の回転可能なマウント220または第2の回転可能なマウント230の回転に変換するための機械的配置などを代替的に使用してもよい。
【0076】
コントローラ116は、アクチュエータ114を制御して、眼科撮像装置100が第1の撮像モードで動作しているときは、第1の光学要素161及び第2の光学要素162の回転位置を第1の回転位置118-1に設定し、眼科撮像装置100が第2の撮像モードで動作しているときは、第2の回転位置118-2に設定するように配置される。コントローラ116は、本実施形態のように、第1の回転可能なマウント220及び第2の回転可能なマウント230の一方を回転させるアクチュエータ114を制御するように配置してもよく、第1の回転位置118-1では、第1の光学要素161が第1の光路P1に配置され、第2の光学要素162が第2の光路P2に配置され、第2の回転位置118-2では、第1の光学要素161が第1の光路P1から外れて、第2の光学要素162が第2の光路P2から外れて配置される。
【0077】
眼科撮像装置100の第1の撮像モードは、本実施形態のように、カラー撮像モードであってもよいが、第2の撮像モードは自己蛍光である。従って、眼科撮像装置100がカラー撮像モードで動作する場合には、偏光子と1/4波長プレートとの組合せが第1の光路P1及び第2の光路P2の各々の中に配置される。しかし、AF撮像モードで動作しているときは、偏光子および4分の1波長プレートは、第1および第2の光路の外で回転され、第1の光L1および第2の光L2の望ましくない減衰を防止する。この減衰は、AFモードでは、比較的低レベルのシグナルである傾向がある。
【0078】
また、上述した移動機構110は、眼科撮像装置100の他の撮像モードに対しても有利であり得る。例えば、眼科撮像装置100の第1の撮像モードは、IR SLO眼追跡を採用するOCTであってもよく、眼科撮像装置100の第2の撮像モードは、ICG血管造影であってもよい。このようなとき、上記第5の光学要素は、赤外線フィルタを備え、第2(赤色)の光路P2 においてICG血管造影撮像方式に必要とされる場合がある。しかしながら、第1の撮像方式では、IR SLO眼追跡のためにこのIRフィルタが好ましくは除去され、代わりに、偏光子および4分の1波長プレートが含まれるべきであり、上述のように、第2の光路P2における光学要素のこの変化は、移動機構110によって達成されてもよい。
【0079】
図7は、第2の実施形態に係る、第1の実施形態例の眼科撮像装置100におけるそれぞれの光路への及び光路からの光学要素の移動を制御するコンピュータで実現される方法を示すフロー図である。以下の方法ステップにおいて、前述の説明で説明したものと同じ参照符号を付して説明する要素は同じであり、ここではその説明を繰り返さない。この方法は、コントローラ116によって実行され、これは、上述のように、特に、光学要素マウント112を駆動するように配置されたアクチュエータ114を制御することによって、移動機構110の動作を制御することができる。コントローラ116は、コンピュータ読み取可能な命令を格納する記憶装置と、プロセッサとを含んでもよく、前記プロセッサは、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、図7を参照して本明細書に記載される方法を実行させる。
【0080】
図7のS10において、コントローラ116は、例えば、入力装置(例えば、キーボード)を介してユーザによって提供されるコマンドに基づいて、または所定のスケジュール(記憶装置に記憶されるか、または他の方法でプロセッサに利用可能にされる)に基づいて、眼科撮像装置100が、第1の撮像モードでの動作から第2の撮像モードでの動作に切り替わるべきかどうかを判断する。
【0081】
図7のS20において、コントローラ116は、眼科撮像装置100が、第1の撮像モードでの動作から第2の撮像モードでの動作へ切り替わると判断することに応答して、第1の光学要素161は第1の光路P1から外れて配置され、第2の光学要素162は第2の光路P2から外れて配置されるように、第1の光学要素161及び第2の光学要素162を(例えば、上記実施形態のアクチュエータ114によって)同時に第2の回転位置118-2へ回転させる制御信号を生成する。
【0082】
図7のS30において、コントローラ116は、入力装置(例えば、キーボード)を介してユーザによって提供されるコマンドに基づいて、または所定のスケジュール、例えば、眼科撮像装置100が第2の撮像モードでの動作から第1の撮像モードでの動作に切り換えるべきか否かに基づいて決定する。
【0083】
図7のS40において、コントローラ116は、眼科撮像装置100が、第2の撮像モードでの動作から第1の撮像モードでの動作に切り替わるべきであると判断することに応答して、第1の光路P1に第1の光学要素161が配置され、第2の光学要素162が第2の光路P2に配置されるように、第1の光学要素161及び第2の光学要素162を(例えば、上記実施形態のアクチュエータ114によって)同時に第1の回転位置118-1に回転させる制御信号を生成する。
【0084】
図7のS10~S40は特定の順序で記載されているが、上記のコンピュータ実施方法は、それに限定されるものではない。例えば、S10およびS20の前にS30およびS40を実行してもよい。
【0085】
前述の説明において、例示的な態様は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明される。したがって、明細書は限定的ではなく例示的であるとみなされるべきである。同様に、例示的な実施形態の機能性および利点を強調する図面において図示される図は、例示的な目的のためにのみ提示される。例示的実施形態のアーキテクチャは、それが付属の図に示される方法以外の方法で利用され得るように、十分に柔軟性があり、構成可能である。
【0086】
コントローラ116の機能などの、本明細書で提示される実施形態のいくつかの態様は、コンピュータプログラムとして、または命令の命令またはシーケンスを有する1つ以上のプログラムなどのソフトウェアとして提供されてもよく、1つの実施形態では、それぞれが非一時的であり得る、マシンアクセス可能または機械読み取可能媒体、命令ストア、またはコンピュータ読み取可能記憶デバイスなどの製造物品に含まれるかまたは記憶される。一時的でない機械アクセス可能媒体、機械読み取可能媒体、命令格納、またはコンピュータ読み取可能記憶装置のプログラムまたは命令は、コンピュータシステムまたは他の電子装置をプログラムするために使用することができる。機械可読媒体、命令格納、および格納装置は、フロッピーディスケット、光ディスク、および光磁気ディスク、または電子命令を格納または送信するのに適した他のタイプの媒体/機械可読媒体/命令格納/格納装置を含むことができるが、これらに限定されない。本明細書に記載する技術は、任意の特定のソフトウェア構成に限定されない。彼らは、あらゆる計算処理環境において適用可能性を見出す可能性がある。本明細書に用いる用語「コンピュータ読み取可能である」、「マシンアクセス可能な媒体」、「マシン読み取可能な媒体」、「命令ストア」、及び「コンピュータ読み取可能な記憶装置」は、機械、コンピュータ、又はコンピュータプロセッサによって実行するための命令又は命令のシーケンスを記憶、符号化、又は送信することができ、マシン/コンピュータ/コンピュータプロセッサに本明細書に記載する方法のいずれか1つを実行させる任意の媒体を含むものとする。さらに、1つの形態または別の形態(例えば、プログラム、手順、プロセス、アプリケーション、モジュール、ユニット、論理など)において、動作をとるまたは結果を起こすように、ソフトウェアで話すことが当技術分野では一般的である。このような表現は、処理システムによるソフトウェアの実行により、プロセッサが結果を生成するための動作を実行させることを記載する簡単な方法に過ぎない。
【0087】
また、コントローラの機能の一部又は全部は、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイの調製によって、又は従来の要素回路の適切なネットワークを相互接続することによって実施することができる。
【0088】
コンピュータプログラム製品は、記憶媒体または媒体、インストラクション、または記憶装置の形成で提供され、それに、またはその中に記憶されたインストラクションを有し、それを制御するために使用することができ、またはコンピュータまたはコンピュータプロセッサに、本明細書に記載する例示的な実施形成の手順のいずれかを実行させることができる。記憶媒体/記憶装置は、限定としてではなく例として、光ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ、フラッシュカード、磁気カード、光カード、ナノシステム、分子メモリ集積回路、RAID、遠隔データ記憶/アーカイブ/ウェアハウジング、および/または命令および/またはデータを記憶するのに適した任意の他のタイプの装置を含むことができる。
【0089】
コンピュータ可読媒体または媒体、命令格納装置、または記憶装置のいずれかに格納されている一部の実施形態は、システムのハードウェアの両方を制御し、システムまたはマイクロプロセッサが、本明細書に記載する実施形態の例の結果を利用して、人間のユーザまたは他の機構と対話することを可能にするためのソフトウェアを含む。かかるソフトウェアは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、およびユーザアプリケーションを含むことができるが、これらに限定されない。最終的には、このようなコンピュータ読み取可能媒体又は記憶装置は、上述したように、本発明の例示の態様を実行するためのソフトウェアをさらに含む。
【0090】
本システムのプログラミングおよび/またはソフトウェアに含まれるのは、本明細書に記載される手順を実施するためのソフトウェアモジュールである。本明細書のいくつかの実施形態において、モジュールはソフトウェアを含むが、本明細書の他の実施形態において、モジュールはハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む。
【0091】
本発明の様々な例示的な実施形態を上述したが、それらは限定ではなく例として提示されたものであることを理解すべきである。その中で種々の形態および詳細の変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求の範囲およびそれらの同等物に従ってのみ規定されるべきである。
【0092】
さらに、要約書の目的は、特許庁及び一般公衆、特に、特許又は法律の用語又は用語に精通していない当該技術分野の科学者、技術者及び実践者が、カーソルインスペクションから出願の技術的開示の性質及び本質を迅速に決定できるようにすることである。要約書は、ここで提示される例示的な実施形態の範囲について、いかなる方法でも限定することを意図しない。また、クレームに記載された手順は提示された順番で実行される必要はないことを理解されたい。
【0093】
本明細書は、多くの特定の実施形態の詳細を含むが、これらは、任意の発明の範囲またはクレームされ得るものの限定と解釈すべきではなく、むしろ、本明細書に記載する特定の実施形態に特有の特徴の説明と解釈すべきである。個別の実施形態の文脈で本明細書に記載される特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施形態において別個に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、そのようなものとして最初にクレームされたものでさえも説明され得るが、いくつかの場合には、クレームされた組み合わせから1つ以上の特徴は、組み合わせから除外されることができ、クレームされた組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形に向けることができる。
【0094】
特定の状況では、マルチタスクと並列処理が有利な場合がある。さらに、上述の実施形態における種々の要素の分離は、全ての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、記載されたプログラム要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一体化され得るか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
【0095】
次に、いくつかの例示的な実施形態および実施形態を説明したが、前述の実施形態は例示的であり、限定的ではないことは明らかである。特に、ここに提示される例の多くは、装置またはソフトウェア要素の特定の組み合わせを伴うが、それらの要素は、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わされてもよい。一実施形態に関連してのみ論じられた作用、要素及び特徴は、他の実施形態又は実施形態における同様の役割から除外することを意図していない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7