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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081146
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】タッチスクリーンに対するホバー検出
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/041 522
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023204455
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】18/074,623
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
(71)【出願人】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cypress Semiconductor Corporation
【住所又は居所原語表記】198 Champion Court, San Jose, CA 95134, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴァスィル マンヂイ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリイ マハリタ
(72)【発明者】
【氏名】オレクサンドル カーピン
(72)【発明者】
【氏名】ミハイロ クレホベスキー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロディミル ビーデイ
(57)【要約】
【課題】本発明はタッチスクリーンに対するホバー検出を改善するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】デバイスのセンサアレイによって検出された測定信号データは、測定信号データから、生成された表現を作成するために使用される。生成された表現は、生成された表現と測定信号データの測定された表現との間の相関に対応する相関係数を作成するために、測定信号データの測定された表現と比較される。相関係数が第1の閾値を超える場合、デバイスに対してホバーイベントが検出される。相関係数が第1の閾値を超えない場合、測定信号データはホバーイベントを示さないと決定される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスのセンサアレイによって検出された測定信号データを受信したことに応答して、前記測定信号データから、生成された表現を作成することと、
前記生成された表現と前記測定信号データの測定された表現との間の相関に対応する相関係数を作成するために、前記生成された表現を前記測定信号データの前記測定された表現と比較することと、
前記相関係数が第1の閾値を超えることに応答して、前記デバイスに対するホバーイベントを検出することと、
前記相関係数が前記第1の閾値を超えないことに応答して、前記測定信号データが前記ホバーイベントを示していないと決定することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記生成された表現を作成することは、
前記デバイスのディスプレイに近接するオブジェクトを検出する前記センサアレイの動作中にリアルタイムで前記生成された表現を作成することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記ホバーイベントを検出したことに応答して、前記ホバーイベントが発生したことを示すために信号を前記デバイスに送信することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記信号は、発生している前記ホバーイベントに基づいて決定された動作を実行するように前記デバイスをトリガする、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記生成された表現を作成することは、前記測定信号データから、生成された曲線を作成することを含み、前記測定された表現は、前記測定信号データのプロットに対応する測定された曲線を含み、
前記生成された表現を前記測定された表現と比較することは、前記相関係数を作成するために前記生成された曲線と前記測定された曲線との間の類似度を決定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記相関係数が前記第1の閾値を超えないことに応答して、前記測定信号データがノイズを含むと決定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記ホバーイベントを検出したことに応答して、前記ホバーイベントに関連付けられたホバー位置を決定するために前記測定信号データを使用して位置フィルタリングを実行することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
フィルタリングされた測定信号データを作成するために、前記測定信号データからノイズを除去するために前記測定信号データをフィルタリングすることと、
ベースラインセンサ情報を作成するために前記センサアレイについてベースライン更新を実行することと、
修正された測定信号データを作成するために、前記ベースラインセンサ情報に基づいて、前記フィルタリングされた測定信号データを修正することと、
前記修正された測定信号データを使用して、前記測定された表現を生成することと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、
前記修正された測定信号データの平均を第2の閾値と比較することと、
前記修正された測定信号データの前記平均が前記第2の閾値を超えることに応答して、前記ホバーイベントが発生したか否かを決定するため、および前記ホバーイベントの位置を特定するために、ホバー検出および位置検出を実行することと、
を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記修正された測定信号データの平均を第2の閾値と比較することと、
前記修正された測定信号データの前記平均が前記第2の閾値を超えないことに応答して、前記測定信号データが前記ホバーイベントを示していないと決定することと、
を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記修正された測定信号データの平均を第2の閾値と比較することと、
前記修正された測定信号データの前記平均が前記第2の閾値を超えないことに応答して、前記修正された測定信号データの前記平均を第3の閾値と比較することと、
前記修正された測定信号データの前記平均が前記第3の閾値を超えることに応答して、前記測定信号データとして前記センサアレイによって検出されたオブジェクトの近接を決定および前記デバイスに送信することと、
を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、
前記修正された測定信号データの平均を第2の閾値と比較することと、
前記修正された測定信号データの前記平均が前記第2の閾値を超えないことに応答して、前記測定信号データの前記平均を第3の閾値と比較することと、
前記修正された測定信号データの前記平均が前記第3の閾値を超えないことに応答して、前記測定信号データとして前記センサアレイによって検出されたオブジェクトがないと決定することと、
を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記相関係数が前記第1の閾値を超えないことに応答して、前記測定信号データとして前記センサアレイによって検出されたオブジェクトの近接を決定および前記デバイスに送信することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記生成された表現を作成することは、
前記測定信号データに対して最良にフィットするガウス曲線に基づいて、前記生成された表現を作成することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
機械実行可能コードを含む非一時的な機械可読記憶媒体であって、
前記機械実行可能コードは、機械によって実行されたとき、前記機械に、
デバイスのセンサアレイによって検出された測定信号データを使用してガウス分布を構築させ、
前記ガウス分布と前記測定信号データの測定信号プロファイルとの間のピアソン相関係数を計算させ、前記ピアソン相関係数は、前記ガウス分布と前記測定信号プロファイルとの間の類似度を表し、
前記ピアソン相関係数が第1の閾値を超えることに応答して、前記センサアレイに対するオブジェクトのホバーイベントを検出させ、
前記ピアソン相関係数が前記第1の閾値を超えないことに応答して、前記測定信号データが前記ホバーイベントを示していないと決定させる、
非一時的な機械可読記憶媒体。
【請求項16】
前記機械実行可能コードは、前記機械に、
前記測定信号データのサブセットを検出した第1の組のセンサを特定させ、
前記測定信号データを検出しなかった第2の組のセンサを特定させ、
前記測定信号データの前記サブセットを、前記第2の組のセンサと関連付けるために前記測定信号データのミラーリングされたサブセットとしてミラーリングすることによって、測定信号データの拡張ベクトルを形成させ、
前記拡張ベクトルを前記測定信号プロファイルとして利用させる、
請求項15に記載の非一時的な機械可読記憶媒体。
【請求項17】
前記機械実行可能コードは、前記機械に、
前記測定信号データが前記センサアレイの閾値数のエッジセンサによって検出されたと決定したことに応答して、前記測定信号データ内に含まれるために、1つまたは複数の仮想センサを仮想センサ信号データと共に計算させる、
請求項15に記載の非一時的な機械可読記憶媒体。
【請求項18】
前記機械実行可能コードは、前記機械に、
形状基準および量基準を利用して、前記測定信号プロファイルの大域的最大値を特定するための大域的最大値探索の候補を特定させ、前記大域的最大値の前記候補は、前記量基準および前記形状基準を使用して、センサの周辺で最大量の信号を有するセンサのインデックスとして決定される、
請求項15に記載の非一時的な機械可読記憶媒体。
【請求項19】
測定信号データの組としてキャパシタンス信号値を測定するように構成されたセンサのセンサアレイと、
ホバー検出モジュールと、
を含むシステムであって、
前記ホバー検出モジュールは、
前記センサアレイによって検出された測定信号データの組を受信し、
測定信号データの前記組から、生成された表現を作成し、
前記生成された表現と測定信号データの前記組の測定された表現との間の相関に対応する相関係数を作成するために、前記生成された表現を測定信号データの前記組の前記測定された表現と比較し、
前記相関係数が第1の閾値を超えることに応答して、前記センサアレイに対してホバリングしているオブジェクトのホバーイベントを検出し、
前記相関係数が前記第1の閾値を超えないことに応答して、測定信号データの前記組が前記ホバーイベントを示していないと決定する、
ように構成される、
システム。
【請求項20】
前記ホバー検出モジュールは、前記相関係数が前記第1の閾値を超えることに応答して、生成された表現の頂点として前記ホバーイベントの位置を計算する、
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチスクリーンに対するホバー検出の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのデバイスは、ユーザがデバイスとインタフェースできるタッチスクリーンを含む。例えば、空港のキオスクは、ユーザがタッチまたはホバージェスチャを介して搭乗券にアクセスおよび印刷することを可能にし得る。多機能プリンタは、ユーザがタッチまたはホバージェスチャを使用してコピー機能、ファックス機能、スキャン機能などの、多機能プリンタのさまざまな機能にアクセスすることを可能にし得る。これらのデバイスは、タッチスクリーンとの物理的接触を最小限に抑え、清浄度を向上させる(例えば、細菌の拡散を減少させる)ために、キオスク、プリンタ、および産業用パネルなどの、低解像度アイコンベースのタッチスクリーンに対するホバージェスチャを検出するために使用されることができるインテリジェント・タッチレス・ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)を利用し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
この発明の概要は、発明を実施するための形態で以下にさらに説明される概念の選択を簡略化された形で紹介するために提供される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な要因または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を制限するために使用されることも意図していない。
【0004】
本明細書に提示される技術の一実施形態では、方法が提供される。方法は、デバイスのセンサアレイによって検出された測定信号データを受信したことに応答して、測定信号データから、生成された表現を作成することを含む。生成された表現は、生成された表現と測定信号データの測定された表現との間の相関に対応する相関係数を作成するために、測定信号データの測定された表現と比較される。相関係数がホバー閾値を超えることに応答して、デバイスに対するホバーイベントが検出される。相関係数がホバー閾値を超えないことに応答して、測定信号データがホバーイベントを示さないという決定が行われる。
【0005】
本明細書に提示される技術の一実施形態では、装置が提供される。装置は、デバイスのセンサアレイによって検出された測定信号データを受信したことに応答して、測定信号データから、生成された表現を作成するための手段を含む。装置は、生成された表現と測定信号データの測定された表現との間の相関に対応する相関係数を作成するために、生成された表現を測定信号データの測定された表現と比較するための手段を含む。装置は、相関係数がホバー閾値を超えることに応答して、デバイスに対するホバーイベントを検出するための手段を含む。装置は、相関係数がホバー閾値を超えないことに応答して、測定信号データがホバーイベントを示していないと決定するための手段を含む。
【0006】
本明細書に提示される技術の一実施形態では、機械実行可能コードを含む非一時的な機械可読記憶媒体が提供される。機械実行可能コードは、機械に、デバイスのセンサアレイによって検出された測定信号データを使用してガウス分布を構築させる。機械実行可能コードは、機械に、ガウス分布と測定信号データの測定信号プロファイルとの間のピアソン相関係数を計算させ、ピアソン相関係数は、ガウス分布と測定信号プロファイルとの間の類似度を表す。機械実行可能コードは、機械に、ピアソン相関係数がホバー閾値を超えることに応答して、センサアレイに対するオブジェクトのホバーイベントを検出させる。機械実行可能コードは、機械に、ピアソン相関係数がホバー閾値を超えないことに応答して、測定信号データがホバーイベントを示していないと決定させる。
【0007】
本明細書に提示される技術の一実施形態では、システムが提供される。システムは、測定信号データの組としてキャパシタンス信号値を測定するように構成されたセンサのセンサアレイを含む。システムは、センサアレイによって検出された測定信号データの組を受信するように構成されたホバー検出モジュールを含む。ホバー検出モジュールは、測定信号データの組から、生成された表現を作成する。ホバー検出モジュールは、生成された表現と測定信号データの組の測定された表現との間の相関に対応する相関係数を作成するために、生成された表現を測定信号データの組の測定された表現と比較する。ホバー検出モジュールは、相関係数がホバー閾値を超えることに応答して、センサアレイに対してホバリングしているオブジェクトのホバーイベントを検出する。ホバー検出モジュールは、相関係数がホバー閾値を超えないことに応答して、測定信号データの組がホバーイベントを示していないと決定する。
【0008】
前述および関連する目的の達成のために、以下の説明および添付の図面は、特定の例示的な態様および実施態様を記載する。これらは、1つまたは複数の態様が採用され得るさまざまな方法のいくつかを示しているにすぎない。本開示の他の態様、利点および新規な特徴は、添付の図面と併せて考慮されたとき、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、ホバーイベントを検出するためのホバー検出モジュールを含むデバイスを示す構成要素ブロック図である。
図1B】本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、ホバーイベントを検出するためのホバー検出モジュールを含むデバイスを示す構成要素ブロック図である。
図2】本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、ホバーイベントを検出するためのホバー検出モジュールを含むキオスクを示す構成要素ブロック図である。
図3】本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、タッチスクリーンに対するホバーイベントを検出するための例示的な方法の図である。
図4】本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、ホバーイベントを検出するためにホバー検出モジュールによって使用される情報を示すチャートの例の図である。
図5】本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、ホバーイベントを検出するためにホバー検出モジュールによって使用される情報を示すチャートの例の図である。
図6】本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、タッチスクリーンに対するホバーイベントを検出するための例示的な方法の図である。
図7】本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、本明細書に記載される提供されるもののうちの1つまたは複数が実施され得る例示的なコンピューティング環境を示す。
図8】本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、本明細書に記載される提供されるもののうちの1つまたは複数を具現化するように構成されたプロセッサ実行可能命令が含まれ得る、例示的なコンピュータ可読媒体の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、特許請求される主題が図面を参照しつつ説明されるが、全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を指すために一般に使用される。以下の記述では、説明の目的で、特許請求される主題の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、特許請求される主題がこれらの具体的な詳細を伴わずとも実践され得ることは明らかであり得る。他の例では、特許請求される主題の説明を容易にするために、よく知られた構造およびデバイスはブロック図形式で示される。
【0011】
タッチスクリーンに対するホバー検出を改善するためのシステムおよび方法が提供される。多くのタッチスクリーンは、ホバージェスチャを介したユーザ入力をサポートする。これらのタッチスクリーンは、タッチレス入力を検出するために、インテリジェント・タッチレス・ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)または他のタッチレス技術を利用し得る。従来のホバー検出技術はいくつかの欠点を有している。従来のホバー検出技術は、ユーザがホバージェスチャの一部としてタッチスクリーン上でホバリング(例えば、指で)している可能性があるが、タッチスクリーンにタッチしていないため、信号対ノイズ比が悪いことに悩まされる。指がタッチスクリーンから遠く、したがって電極との容量結合が減少し得るため、いかなる検出された有用な信号も、ユーザがタッチスクリーンに触れた場合と比較して低い。従来のホバー検出技術は、位置検出精度が制限され(例えば、指の正確な位置を検出することができない)、線形性が低く(例えば、指が線に沿って水平、垂直、または斜めに動かされたときの、指の実際の位置からの登録されたホバージェスチャのずれ)、ジッタに悩まされる。従来のホバー検出技術は、温度変化、外部ノイズ、および、誤検出(例えば、タッチスクリーン上でユーザがホバリングしていないときにホバーイベントを検出する)をもたらし得るスプリアスオブジェクト(例えば、タッチスクリーン上に置かれたコーヒーマグ、雨、汚れなど)、によって悪影響を受ける。したがって、従来のホバー検出技術は、温度変化または外部ノイズに起因する誤ったホバー検出の影響を受けやすく、小さなホバー距離検出に制限(例えば、10mm以下のホバー距離に制限)され、水除去技術を欠き、リアルタイムのベースライン回復機能を欠き(例えば、センサのベースラインキャパシタンスをリアルタイムで更新する能力を欠き)、最適でない位置計算技術、著しいノイズ、および実質的な信号ミスマッチに起因して精度および線形性が悪い。
【0012】
それに応じて、本明細書で提供されるように、開示されるホバー検出技術は、従来のホバー検出技術の技術的問題を克服し、タッチスクリーンおよびタッチスクリーンを利用するデバイスの機能動作を改善する。この改善は、測定信号データ(例えば、センサアレイのセンサによって測定されたキャパシタンス値に対応する応答信号)がホバーイベント(例えば、タッチスクリーン上をホバリングする指)を示すか否かを正確に決定することができるホバー検出モジュールによって提供される。具体的には、ホバー検出モジュールがセンサアレイから測定信号データを受信したとき、ホバー検出モジュールは、測定信号データから構築された生成された表現(例えば、最良にフィットするガウス分布/曲線)を作成する。生成された表現は、真の/実際のホバーイベントについてセンサアレイによって検出される理想的な/予想される応答信号を表し得る。測定信号データは、測定信号データの、測定された表現(例えば、各センサによって検出された応答信号を表す曲線)によって表され得る。このように、測定された表現は、センサアレイによって検出された測定信号データの直接的な表現である。いくつかの実施形態では、測定信号データは、測定された表現および生成された表現の作成前に前処理され得る(例えば、ノイズを除去するためにフィルタリングされ、センサアレイのベースラインに対して差分計算され、欠落した測定値を埋めるために拡張され、タッチスクリーンのエッジ付近の測定信号データについて仮想センサを使用して修正される)。
【0013】
ホバー検出モジュールは、測定された表現が生成された表現とどれだけ類似しているか(例えば、曲線フィッティングによってなど、2つの曲線がどれだけ類似しているか)を示す相関係数を作成するために、測定された表現を生成された表現と比較する。したがって、相関係数は、生成された表現に対する測定された表現の間の類似度(例えば、0.53が低い類似度であり、0.95が高い類似度である、などの0と1との間の値)を示す。相関係数が大きいほど、測定された表現は生成された表現により類似している。
【0014】
最良にフィットするガウス分布/曲線など、生成された表現は、単にノイズではなく実際のホバーイベントがある場合にどのような予想される応答信号がセンサアレイによって検出されるかについての表現である。すなわち、生成された表現のベル形状の曲線は、どのように、センサアレイ上でホバリングしている指の下のセンサが最大応答信号を検出し、一方で、最大応答信号を検出しているセンサから離れるにつれて次第に減少するより小さい応答信号を他のセンサが検出するのか、を反映している。さらに詳細に説明されるように、図4は、ベル形状の曲線を有する生成された表現408の一実施形態を示す。相関係数が大きいほど、したがって、測定された表現(例えば、センサアレイによって検出された実際の測定された応答信号)が、生成された表現(例えば、実際の/真のホバーイベントについて理想的な/予想される応答信号)により類似しているほど、測定信号データは、ノイズではなく実際の/真のホバーイベントを示す可能性が高い。図4の実施形態は、測定された表現406が、生成された表現408と高い類似度を有する実際の/真のホバーイベントを示す大きな相関係数(例えば、0.95)の一実施形態を示す。さらに詳細に説明されるように、図5は、実際の/真のホバーイベントがないことを示すが、代わりにノイズ(例えば、取込み、記憶、送信、処理および/または変換中に信号に生じ得る望ましくないおよび/または未知の修正)に対応する小さな相関係数(例えば、0.65)の実施形態を示し、スパイク形状を有する測定された表現506は、ベル形状の曲線を有する生成された表現508との低い類似度を有する。
【0015】
相関係数がホバー閾値を超える場合、ホバーイベントが検出される。ホバーイベントの位置を特定するために、位置検出およびフィルタリングが実行される。このようにして、ホバーイベントおよびホバーイベントの位置がデバイスに提供される。これにより、デバイスに、ホバーイベントおよび位置に基づいて特定の動作またはコマンドを実行させ得る(例えば、ユーザによって上でホバーされたユーザインタフェース要素の機能を呼び出す)。相関係数がホバー閾値を超えない場合、ホバーイベントは検出されない。
【0016】
このホバー検出技術は、実際の/真のホバーイベントを検出する精度を改善し、実際の/真のホバーイベントをノイズから区別し、誤検出を低減する。ホバー検出を改善することは、いまや高精度で正確なユーザ入力に基づいて動作することができるデバイス(例えば、キオスク、産業用パネル、多機能プリンタ、タッチスクリーン/タッチパネル、および/または、ホバージェスチャ入力をサポートする多種多様な他のデバイスおよびコンピュータ)の、機能動作を改善する。このホバー検出技術は、信号対ノイズ比を改善し、位置検出精度を改善し、線形性を改善し、ジッタを低減する。このホバー検出技術は、温度変化または外部ノイズからの誤ったホバー検出の影響を受けにくく、従来のホバー検出技術と比較して、ずっと大きなホバー検出距離(例えば、10mmよりもずっと大きなホバー検出距離)をサポートする。これらの改善は、生成された表現が(例えば、リアルタイムで)測定信号データから構築され、ホバーイベントが実際に発生したか否かをより正確に決定するために係数が決定されてホバー閾値と比較されることから可能になる。
【0017】
図1Aは、本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、ホバーイベントを検出するためのホバー検出モジュール101を含むデバイス100を示す構成要素ブロック図である。デバイス100は、ホバーおよび/またはタッチジェスチャをサポートする電子デバイス(例えば、タブレット、プリンタ、産業用パネル、セキュリティパネル、キオスクなど)に対応し得る。デバイス100は、プロセッサ、メモリ、永続記憶装置、ネットワーク通信機能、ファームウェア、ディスプレイ(例えば、タッチパネルまたはタッチスクリーン)、および/または本明細書で提供される開示されたホバー検出技術によってその機能動作が改善される他のハードウェアまたはソフトウェアを含み得る。デバイス100は、本明細書で提供される開示されたホバー検出技術を実施するように構成されたホバー検出モジュール101をホストし得る(例えば、ホバー検出モジュール101は、ファームウェアによって実施され得、および/またはデバイス100のプロセッサを使用して機能を実行し得る)。デバイス100は、ホバージェスチャおよびタッチジェスチャを検出するために使用されるセンサアレイ104を含み得る。センサアレイ104は、センサ106、センサ108および/または他のセンサなど、複数のセンサ(例えば、電極)を含む。
【0018】
センサアレイ104のセンサは、測定信号データとしてキャパシタンス値(例えば、応答信号)を測定するように構成される。センサは、ベースラインキャパシタンス(例えば、センサ自体の寄生キャパシタンス)、およびセンサによって検出された任意の追加のキャパシタンス(例えば、指110のキャパシタンス)を含む、キャパシタンス値を測定し得る。指110がセンサに近いほど、測定信号データ内に含めるためにセンサによって測定されることになるキャパシタンス値は大きくなる。いくつかの実施形態では、センサアレイ104は自己キャパシタンス・センサ・アレイである。いくつかの実施形態では、センサアレイ104は相互キャパシタンス・センサ・アレイである。続いてより詳細に議論されるように、ホバー検出モジュール101は、測定信号データが実際の/真のホバーイベントを示しているか否かを正確に検出するために、センサアレイ104によって検出された測定信号データを受信して処理するように構成され、これは、センサアレイ104およびデバイス100の動作中にリアルタイムで実行され得る。
【0019】
ホバー検出モジュール101は、誤検出を低減するために、いつ測定信号データがホバーイベントを示していないのかを正確に特定することができる。いくつかの実施形態では、測定信号データは、図1Bによって示されるように、雲120がセンサアレイ104に雨122を降らせているときなどの天候イベント中にセンサアレイ104によって生成される。従来のホバー検出技術は、測定信号データが、ホバーイベントに対応しておらず、代わりに雨122に起因するノイズの多い応答信号である、と決定することができないだろう。対照的に、ホバー検出モジュール101は、測定信号データから構築された生成された表現を作成し、表現間の類似度を示す相関係数を作成するために測定信号データの測定された表現を生成された表現と比較し、相関係数がホバー閾値を超えるか否かに基づいてホバーイベントか否かを検出することによって、測定信号データがホバーイベントに対応しないと決定することができる。測定信号データは雨122の結果であるため、測定された表現(例えば、雨122がセンサアレイ104にタッチした所に鋭いスパイクを有する曲線)は、生成された表現(例えば、最良にフィットするガウス分布/曲線のベル曲線形状)とは異なり、したがって、相関係数は小さく、ホバー閾値を超えないことになる。
【0020】
ホバー検出モジュール101は、多種多様なデバイスに対して実施され得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、ホバー検出モジュール101は、図2によって示されるように、キオスク200に対して実施され得る。キオスク200は、キオスク200の、ファームウェア、プロセッサ、メモリ、および/または、他のハードウェアおよび/またはソフトウェアリソースを介して、ホバー検出モジュール101のホバー検出機能を実行し得る。キオスク200は、ホバーおよび/またはタッチ入力を検出するためのセンサアレイを有するタッチパネルなどのディスプレイ202を含む。ホバー検出モジュール101は、誤検出入力を低減し、ホバー入力およびホバー入力の位置を検出する精度を高めることによって、キオスク200の動作を改善する。これは、そうでなければ、ホバー入力を介してユーザによって呼び出されなかった機能(例えば、印刷ユーザインタフェース要素に対してのホバージェスチャとして誤って検出された、汚れ、雨、またはコーヒーマグに基づいてレシートを印刷する)をキオスク200が間違って/不必要に呼び出すことを防止する。
【0021】
図3は、本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、タッチスクリーンに対するホバーイベントを検出するための例示的な方法300の図である。いくつかの実施形態では、方法300は、タッチスクリーンおよびタッチスクリーンを使用するデバイスの精度および機能動作を改善するために、ホバー検出モジュール101によって実施され得る。方法300の動作302の間に、ホバー検出モジュール101は、デバイスのセンサアレイによって検出された測定信号データを受信する。いくつかの実施形態では、測定信号データは、センサアレイのセンサによって測定された容量値(応答信号、カウント)を含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、ホバー検出モジュール101は、測定信号データに対して前処理を実行し得る。いくつかの実施形態では、測定信号データは、フィルタリングされた測定信号データを作成するために、測定信号データからノイズを除去するためにフィルタリングされる。フィルタリングは、信号対のいず比(SNR)を改善するために実行される。センサアレイのセンサが時間と共にドリフト/変化し得るベースラインキャパシタンス(例えば、寄生キャパシタンス)を有し得るので、ベースラインセンサ情報を作成するためにセンサアレイについてベースライン更新が実行され得る。ベースラインセンサ情報は、修正された測定信号データ(差分測定信号データとも称される)を作成するために、フィルタリングされた測定信号データを修正するために使用され得る。具体的には、ベースラインセンサ情報は、修正された測定信号データを作成するために、フィルタリングされた測定信号データから減算され得、その結果、修正された測定信号データがセンサ内に存在するベースライン/寄生キャパシタンスを計算に入れないようにし得る。このように、ベースライン更新を実行することによって、ホバーイベントが終了した後(例えば、指がもはやセンサアレイ上をホバリングしていない)の残留信号が除去され、誤ったホバー固着イベントが防止され、温度ドリフトからの信号が補償される。修正された測定信号データは、修正された信号データの測定された表現(応答信号の測定信号プロファイル)を生成するために使用されることができる。
【0023】
ホバー検出モジュール101は、測定信号データに対して他の前処理を実行し得る。前処理を実行するいくつかの実施形態では、ホバー検出モジュール101は、測定信号データのサブセットを検出した第1の組のセンサを特定する。ホバー検出モジュール101は、測定信号データを検出しなかった第2の組のセンサを特定する。ホバー検出モジュール101は、第2の組のセンサについて測定値を関連付けるために、測定信号データの拡張ベクトルを形成する。拡張ベクトルは、測定信号データのサブセットを、第2の組のセンサと関連付けるために、ミラーリングされた信号データとしてミラーリングすることによって形成される。このように、拡張ベクトルは、修正された信号データの測定された表現(応答信号の測定信号プロファイル)を生成するために使用されることができる。前処理を実行するいくつかの実施形態では、測定信号データは、センサアレイの閾値数のエッジセンサによって検出されていると特定され得る(例えば、指がセンサアレイのエッジの近くをホバリングしている可能性がある)。それに応じて、測定信号データ内に含まれるために、1つまたは複数の仮想センサが仮想センサ信号データと共に計算される。(例えば、センサアレイのエッジを越えて仮想的に配置される仮想センサ)。
【0024】
方法300の動作304の間に、測定信号データの、測定された表現が作成される。測定された表現は、実行された任意の前処理を計算に入れ得る、センサアレイのセンサによって測定された応答信号の表現である。
【0025】
方法300の動作306の間に、生成された表現が測定信号データから構築される。生成された表現は、実際の/真のホバーイベントについてどんな応答信号がセンサによって検出されるかの理想的な/予想される表現である。いくつかの実施形態では、生成された表現はガウス分布(例えば、ベル形状を有する最良にフィットするガウス曲線)である。生成された表現は、センサアレイの1つの次元に沿って、センサについて、測定されたキャパシタンス値のベル形状を有し得る。別の実施形態では、測定データから2次元のベル形状の曲線が構築され得る。この実施形態では、相互キャパシタンス値が使用され得る。自己または相互キャパシタンスに基づく1次元および2次元の曲線の両方について、最大キャパシタンス値(例えば、ベル形状の最大)は、実際の/真の指(または他のオブジェクトまたは身体部分)が実際の/真のホバーイベントに対して位置する場所に最も近いセンサに対応し、当該センサの両側のセンサについてはキャパシタンス値がだんだんと小さくなる。いくつかの実施形態では、生成された表現は、デバイスのディスプレイに近接するオブジェクトを検出するセンサアレイの動作中にリアルタイムで構築される。いくつかの実施形態では、生成された表現は、測定信号データから構築された生成された曲線(例えば、センサが実際の/真のホバーイベントに対して検出するであろうものを反映するキャパシタンス値の理想的な/予想される応答信号にセンサをマッピングするデータ構造)に対応し、測定された表現は、測定信号データのプロットに対応する測定された曲線(例えば、各センサによって測定されたキャパシタンス値の応答信号にセンサをマッピングするデータ構造として記憶される)を含む。このように、生成された曲線と測定された曲線との間の類似度を示す相関係数を作成するために、生成された曲線と測定された曲線との間の類似度が決定されることができる(例えば、カーブフィッティングによって)。
【0026】
生成された表現を構築するいくつかの実施形態では、ホバー検出モジュール101は、形状基準および/または量基準を使用して測定信号データ(測定信号プロファイル)を評価する。基準は、測定信号データの大域的最大値を特定するための大域的最大探索の候補を特定するために使用される(例えば、ベル曲線の最大値など、生成された表現の最大値として使用されることができる測定信号データ内の値)。大域的最大の候補は、量基準および形状基準を制約として使用して、センサの周辺で応答信号の最大量を有するセンサのインデックスとして決定される。
【0027】
方法300の動作308の間に、生成された表現と測定された表現との間の相関(類似度)に対応する相関係数を作成するために、生成された表現と測定された表現とが比較される。いくつかの実施形態では、相関係数は、生成された表現(ガウス分布)と測定された表現(測定信号プロファイル)との間のピアソン相関係数として計算される。相関係数が大きいほど(例えば、0から1のスケールで1に近いほど)、センサアレイによって検出された測定信号データに対応する測定された表現は、実際の/真のホバーイベントに対してセンサアレイによってどんな応答信号が検出されるのかの理想的な/予想される表現に対応する生成された表現により類似する。したがって、相関係数が大きいほど、センサアレイによって検出された測定信号データの、測定された表現は、ノイズではなくホバーイベントを示す可能性がより高い。
【0028】
方法300の動作310の間に、測定信号データがホバーイベントを示すか否かを決定するために、相関係数がホバー閾値(例えば、0.82)と比較され得る。相関係数がホバー閾値を超える場合、ホバーイベントが検出される。ホバーイベントを検出したことに応答して、ホバーイベントのホバー位置を決定するために、測定信号データを使用して位置フィルタリングが実行され得る。位置フィルタリングを実行することにより、精度、線形性およびジッタを改善する。いくつかの実施形態では、ホバー検出モジュール101は、生成された表現の頂点としてホバーイベントのホバー位置を計算し、その実施形態は図4のホバー位置401として示されている。ホバー検出モジュール101は、ホバーイベントが発生したことおよびホバーイベントのホバー位置を示すために信号をデバイスに(例えば、キオスクのプロセッサに)送信し得る。デバイスは、動作が実行される(例えば、ユーザがスキャン・ユーザ・インタフェース要素上をホバリングし、したがって、スキャン動作がキオスクによって実行される)べきか否かを決定するために、ホバーイベントおよびホバー位置を評価し得る。
【0029】
相関係数がホバー閾値を超えない場合、測定信号データがホバーイベントを示さないという決定が行われる。いくつかの実施形態では、ホバー検出モジュール101は、測定信号データがノイズを示すと決定する。いくつかの実施形態では、ホバー検出モジュール101は、ホバーイベントが検出されない場合、センサアレイによって測定信号データとして検出されたオブジェクトの近接を決定し得る。近接は、デバイスに送信され得る。
【0030】
図4は、本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、ホバーイベントを検出するためにホバー検出モジュール101によって使用される情報を示すチャート400の例の図である。チャート400は、ホバーイベントを検出するためにホバー検出モジュール101によって使用されるデータを表す。このデータは、メモリまたは永続記憶装置内など、ホバー検出モジュール101によってさまざまなデータ構造内に記憶され得る。チャート400は、センサアレイ(例えば、センサ0~11)の1つの次元に沿ったセンサを表すx軸402を含む。チャートは、センサアレイのセンサによって測定された応答信号(またはカウント)を表すy軸404を含む。応答信号は、センサによって測定されたキャパシタンス値に対応し得る。応答信号は、処理のために測定信号データとしてホバー検出モジュール101に提供され得る。
【0031】
チャート400は、測定信号データの測定された表現406(例えば、センサによって測定された応答信号を表す曲線)を示す。いくつかの実施形態では、測定された表現406は、フィルタリング、ベースライン化、および/または他の前処理後など、前処理後の測定信号データを表し得る。
【0032】
チャート400は、測定信号データから構築された生成された表現408を示す。生成された表現408は、実際の/真のホバーイベントがあった場合に、センサアレイによって測定されるであろう理想的な/予想される応答信号を表す。生成された表現408は、ベル形状を有するガウス分布/曲線を含み得る。生成された表現408の最大値は、最大応答信号を有するであろうセンサ(例えば、指410の真下のセンサ)に対応する。当該センサから、理想的な/予想される応答信号は、センサが当該センサから離れるほど次第に衰え、したがってベル形状を特徴付ける。
【0033】
生成された表現408と測定された表現406とは、相関係数を決定するために比較される。測定された表現406の形状が、生成された表現408のベル形状に非常に類似しているため、相関係数は大きな値(例えば、0から1.0のスケールで0.94)を有し得る。相関係数がホバー閾値(例えば、0.74)を超え得、したがってホバーイベントが検出され得る。いくつかの実施形態では、ホバー検出モジュール101は、生成された表現408の頂点としてホバーイベントのホバー位置401を計算する。
【0034】
図5は、本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、ホバーイベントを検出するためにホバー検出モジュール101によって使用される情報を示すチャート500の例の図である。チャート500は、ホバーイベントを検出するためにホバー検出モジュール101によって使用されるデータを表す。このデータは、メモリまたは永続記憶装置内など、ホバー検出モジュール101によってさまざまなデータ構造内に記憶され得る。チャート500は、センサアレイ(例えば、センサ0~11)の1つの次元に沿ったセンサを表すx軸502を含む。チャートは、センサアレイのセンサによって測定された応答信号(またはカウント)を表すy軸504を含む。応答信号は、センサによって測定されたキャパシタンス値に対応し得る。応答信号は、処理のために測定信号データとしてホバー検出モジュール101に提供され得る。
【0035】
チャート500は、測定信号データの測定された表現506(例えば、センサによって測定された応答信号を表す曲線)を示す。いくつかの実施形態では、測定された表現506は、フィルタリング、ベースライン化、および/または他の前処理後など、前処理後の測定信号データを表し得る。
【0036】
チャート500は、測定信号データから構築された生成された表現508を示す。生成された表現508は、実際の/真のホバーイベントがあった場合に、センサアレイによって測定されるであろう理想的な/予想される応答信号を表す。生成された表現508は、ベル形状を有するガウス分布/曲線を含み得る。生成された表現508の最大値は、最大応答信号を有するであろうセンサ(例えば、指の真下のセンサ)に対応する。当該センサから、理想的な/予想される応答信号は、センサが当該センサから離れるほど次第に衰え、したがってベル形状を特徴付ける。
【0037】
生成された表現508と測定された表現506とは、相関係数を決定するために比較される。測定された表現506の形状が、生成された表現508のベル形状と非常に異なっているため、相関係数は小さな値(例えば、0から1.0のスケールで0.54)を有し得る。相関係数がホバー閾値(例えば、0.74)を超え得ないため、ホバー検出モジュール101は、ホバーイベントが検出されず、代わりにノイズ510が検出されたと決定し得る。
【0038】
図6は、本明細書に提示される技術のうちの少なくともいくつかに係る、タッチスクリーンに対するホバーイベントを検出するための例示的な方法600の図である。ホバー検出モジュール101は、タッチスクリーンに関連付けられたデバイスに対する、ホバーイベント検出、タッチイベント検出および/または近接検出を実行するために、方法600を実行するように構成され得る。ホバー検出モジュール101は、タッチモード606またはホバー/近接モード608のいずれかにあり得、また、モード間で切り替わり得る。デバイスのセンサアレイは、センサアレイのセンサによって検出された応答信号の測定信号データを作成するために、スキャン604を実行し得る。
【0039】
ホバー検出モジュール101がタッチモード606にあるのかまたはホバー/近接モード608にあるのかにかかわらず、ホバー検出モジュール101は、測定信号データに対して任意選択の前処理を実行し得る。前処理は、信号対ノイズ比を改善し、ホバー検出を誤ってトリガする可能性があるノイズを除去するために、測定信号データからノイズを除去するための生データフィルタリング610を含み得る。前処理は、ベースラインセンサ情報を更新/リセットする(例えば、センサのベースライン/寄生キャパシタンス値を更新する)ベースライン更新/リセット612を含み得る。前処理は、測定信号データからベースラインセンサ情報が除去されている差分測定信号データ(修正された測定信号データとも称される)を作成するために測定信号データ(フィルタリングされた測定信号データ)とベースラインセンサ情報との間の差分を計算する、差分動作614を含み得る。
【0040】
ホバー検出モジュール101がタッチモード606にある場合、タッチイベントが検出されたか否かおよびタッチイベントの位置を検出する618ためにタッチ検出機能616が実行される。タッチイベントが検出された場合、タッチイベントおよびタッチイベントの位置がデバイスに報告620される。タッチイベントが検出されなかった場合、ホバー検出モジュール101は、タッチモード606からホバー/近接モード608に遷移し得る。
【0041】
タッチイベントが検出されなかったためにホバー検出モジュール101がホバー/近接モード608に移行したのか、またはホバー検出モジュール101が既にホバー/近接モード608にあって測定信号データの任意選択の前処理を完了したのか、にかかわらず、差分測定信号データの平均が平均ホバー閾値と比較628される。差分測定信号データの平均が平均ホバー閾値を超えない場合、ホバーイベントは検出されず、近接検出が実行され得る。近接検出の一部として、差分測定信号データの平均は平均近接閾値と比較638される。差分測定信号データの平均が平均近接閾値を超えない場合、ホバー検出モジュール101は、オブジェクトが検出されなかったことをデバイスに報告642する。差分測定信号データの平均が平均近接閾値を超える場合、ホバー検出モジュール101は、検出されたオブジェクトの近接をデバイスに報告640する。
【0042】
比較628に基づいて差分測定信号データの平均が平均ホバー閾値を超える場合、ホバーイベントが検出されたか否かを決定632するためにホバーイベントおよび位置検出630が実行される。ホバーイベントおよび位置検出630は、差分測定信号データの測定された表現を作成することと、差分測定信号データから構築された生成された表現を作成することと、ホバーイベントが検出されるか否かを決定するためにホバー閾値と比較される相関係数を作成するために、測定された表現を生成された表現と比較することと、を含み得る。ホバーイベントが検出されない場合、ホバー検出モジュール101は、検出されたオブジェクトの近接をデバイスに報告640する。ホバーイベントが検出された場合、ホバーイベントのホバー位置を決定するために位置フィルタリング634が実行される。このように、ホバーイベントおよびホバー位置がデバイスに報告636される。
【0043】
図7および以下の議論は、本明細書に記載される提供されるもののうちの1つまたは複数の実施形態を実施するための適切なコンピューティング環境の簡単で一般的な説明を提供する。図7の動作環境は、適切な動作環境の一例にすぎず、動作環境の使用範囲または機能性に関するいかなる制約も示唆することを意図していない。例示的なコンピューティングデバイスは、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、モバイルデバイス(携帯電話、携帯情報端末(PDA)、メディアプレーヤなど)、キオスク、タッチ・パネル・ディスプレイ、プリンタ、産業用パネル、低解像度アイコンベースのタッチスクリーン、マルチプロセッサシステム、家電製品、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステムまたはデバイスのいずれかを含む分散型コンピューティング環境、などを含むがこれらに限定されない。
【0044】
必須ではないが、実施形態は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行される「コンピュータ可読命令」の一般的な文脈で記述される。コンピュータ可読命令は、コンピュータ可読媒体(以下で議論)を介して配信され得る。コンピュータ可読命令は、具体的なタスクを実行するか、または具体的な抽象データの型を実施する、関数、オブジェクト、アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)、データ構造などの、プログラムモジュールとして実施され得る。典型的には、コンピュータ可読命令の機能は、さまざまな環境において所望に応じて組み合わされるか、または分散され得る。
【0045】
図7は、本明細書で提供される1つまたは複数の実施形態を実施するように構成されたコンピューティングデバイス702を含むシステムの例700を示す。一構成では、コンピューティングデバイス702は、処理ユニット706とメモリ708とを含む。コンピューティングデバイスの正確な構成およびタイプに応じて、メモリ708は、揮発性(例えばRAMなど)、不揮発性(例えば、ROM、フラッシュメモリなど)、またはその2つの何らかの組合せであり得る。この構成は、図7において破線704で示されている。
【0046】
本明細書で提供されるように、コンピューティングデバイス702は、センサアレイ731によって検出された測定信号データがホバーイベントを示すのか、ホバーイベントを示さない(例えば、ノイズを示す)のかを決定するように構成されたホバー検出モジュール101を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、デバイス702は、追加の特徴および/または機能を含み得る。例えば、デバイス702はまた、磁気記憶装置、光学記憶装置などを含むがこれらに限定されない(例えば、取り外し可能および/または取り外し不可能な)追加の記憶装置も含み得る。こうした追加の記憶装置は、図7において記憶装置710によって示されている。一実施形態では、本明細書で提供される1つまたは複数の実施形態を実施するためのコンピュータ可読命令は、記憶装置710内にあり得る。記憶装置710はまた、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラムなどを実施するためのコンピュータ可読命令を記憶し得る。コンピュータ可読命令は、例えば、処理ユニット706による実行のためにメモリ708にロードされ得る。
【0048】
本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ記憶媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令または他のデータなどの情報の記憶のための任意の方法または技術で実施された揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り外し不可能な媒体を含む。メモリ708および記憶装置710は、コンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、または、所望の情報を記憶するために使用されることができ、デバイス702によってアクセスされることができる任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない。任意のこうしたコンピュータ記憶媒体は、デバイス702の一部であり得る。
【0049】
デバイス702はまた、デバイス702が他のデバイスと通信することを可能にする通信接続716も含み得る。通信接続716は、モデム、ネットワーク・インタフェース・カード(NIC)、統合ネットワークインタフェース、無線周波数送信機/受信機、赤外線ポート、USB接続、またはデバイス702を他のコンピューティングデバイスに接続するための他のインタフェースを含み得るが、これらに限定されない。通信接続716は、有線接続または無線接続を含み得る。通信接続716は、通信媒体を送信および/または受信し得る。
【0050】
「コンピュータ可読媒体」という用語は、通信媒体を含み得る。通信媒体は、典型的には、コンピュータ可読命令または他のデータを、搬送波または他の伝送メカニズムなどの「変調されたデータ信号」内に具現化し、任意の情報配信媒体を含む。「変調されたデータ信号」という用語は、信号内で情報をエンコードするように設定または変更されたそれの特性の1つまたは複数を有する信号を含み得る。
【0051】
デバイス702は、キーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチ入力デバイス、赤外線カメラ、ビデオ入力デバイス、および/または任意の他の入力デバイスなどの、入力デバイス714を含み得る。1つまたは複数のディスプレイ、スピーカ、プリンタ、および/または任意の他の出力デバイスなどの、出力デバイス712もまた、デバイス702に含まれ得る。入力デバイス714および出力デバイス712は、有線接続、無線接続、またはそれらの任意の組合せを介してデバイス702に接続され得る。一実施形態では、別のコンピューティングデバイスからの入力デバイスまたは出力デバイスが、コンピューティングデバイス702の入力デバイス714または出力デバイス712として使用され得る。
【0052】
デバイス702の構成要素は、バスなどのさまざまな相互接続によって接続され得る。こうした相互接続は、PCI Express、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、Firewire(IEEE794)、光バス構造などの周辺構成要素相互接続(PCI)を含み得る。一実施形態では、デバイス702の構成要素は、ネットワークによって相互接続され得る。例えば、メモリ708は、ネットワークによって相互接続された、異なる物理位置に位置する複数の物理メモリユニットから構成され得る。
【0053】
当業者は、コンピュータ可読命令を記憶するために利用される記憶デバイスがネットワークにわたって分散され得ることに気付くであろう。例えば、ネットワーク718を介してアクセス可能なコンピューティングデバイス720は、本明細書で提供される1つまたは複数の実施形態を実施するためのコンピュータ可読命令を記憶し得る。コンピューティングデバイス702は、コンピューティングデバイス720にアクセスし得、実行のためにコンピュータ可読命令の一部または全部をダウンロードし得る。あるいは、コンピューティングデバイス702は、必要に応じてコンピュータ可読命令の区画をダウンロードし得るか、またはいくつかの命令はコンピューティングデバイス702で実行され得、いくつかはコンピューティングデバイス720で実行され得る。
【0054】
図8にこれらの方法で考案され得る例示的なコンピュータ可読媒体が示されており、実施態様800はコンピュータ可読メモリデバイス802(例えば、CD-R、DVD-Rまたはハード・ディスク・ドライブのプラッタ)を含み、符号化されたコンピュータ可読データ804がその上にある。次に、このコンピュータ可読データ804は、デバイス810のプロセッサ812上で実行されたとき、デバイス810に本明細書に提示される技術に従って動作させる実施形態を提供する、コンピュータ命令806の組を含む。いくつかの実施形態では、デバイス810は、ホバー検出モジュール、センサアレイ、タッチパネル、プリンタ、キオスクなどに対応し得る。本明細書に提示される技術に従って動作するように構成された多くのこうしたコンピュータ可読媒体が、当業者によって考案され得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ実行可能コンピュータ命令806は、例えば、図3の例示的な方法300の少なくともいくつかおよび/または図6の例示的な方法600の少なくともいくつかなど、方法808を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ実行可能コンピュータ命令806は、例えば、例示的なホバー検出モジュール101の少なくともいくつかなど、システムを実施するように構成される。多くのこうしたコンピュータ可読媒体は、本明細書に提示される技術に従って動作することが企図されている。
【0055】
ここに開示される技術の一実施形態は方法を含む。方法は、デバイスのセンサアレイによって検出された測定信号データを受信したことに応答して、測定信号データから、生成された表現を作成することと、生成された表現と測定信号データの測定された表現との間の相関に対応する相関係数を作成するために、生成された表現を測定信号データの測定された表現と比較することと、相関係数が第1の閾値を超えることに応答して、デバイスに対するホバーイベントを検出することと、相関係数が第1の閾値を超えないことに応答して、測定信号データがホバーイベントを示していないと決定することと、を含む。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、方法は、生成された表現を、デバイスのディスプレイに近接するオブジェクトを検出するセンサアレイの動作中にリアルタイムで作成することを含む。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、方法は、ホバーイベントを検出したことに応答して、ホバーイベントが発生したことを示すために信号をデバイスに送信することを含む。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、信号は、発生しているホバーイベントに基づいて決定された動作を実行するようにデバイスをトリガする。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、方法は、測定信号データから、生成された曲線を作成することを含み、測定された表現は、測定信号データのプロットに対応する測定された曲線を含み、生成された表現を測定された表現と比較することは、相関係数を作成するために、生成された曲線と測定された曲線との間の類似度を決定することを含む。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、方法は、相関係数が第1の閾値を超えないことに応答して、測定信号データがノイズであると決定することを含む。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、方法は、ホバーイベントを検出したことに応答して、ホバーイベントに関連付けられたホバー位置を決定するために測定信号データを使用して位置フィルタリングを実行することを含む。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、方法は、フィルタリングされた測定信号データを作成するために、測定信号データからノイズを除去するために測定信号データをフィルタリングすることと、ベースラインセンサ情報を作成するためにセンサアレイについてベースライン更新を実行することと、修正された測定信号データを作成するために、ベースラインセンサ情報に基づいて、フィルタリングされた測定信号データを修正することと、修正された測定信号データを使用して、測定された表現を生成することと、を含む。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、方法は、修正された測定信号データの平均を第2の閾値と比較することと、修正された測定信号データの平均が第2の閾値を超えることに応答して、ホバーイベントが発生したか否かを決定するため、およびホバーイベントの位置を特定するために、ホバー検出および位置検出を実行することと、を含む。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、方法は、修正された測定信号データの平均を第2の閾値と比較することと、修正された測定信号データの平均が前記第2の閾値を超えないことに応答して、測定信号データがホバーイベントを示していないと決定することと、を含む。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、方法は、修正された測定信号データの平均を第2の閾値と比較することと、修正された測定信号データの平均が第2の閾値を超えないことに応答して、修正された測定信号データの平均を第3の閾値と比較することと、修正された測定信号データの平均が第3の閾値を超えることに応答して、測定信号データとしてセンサアレイによって検出されたオブジェクトの近接を決定およびデバイスに送信することと、を含む。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、方法は、修正された測定信号データの平均を第2の閾値と比較することと、修正された測定信号データの平均が第2の閾値を超えないことに応答して、測定信号データの平均を第3の閾値と比較することと、修正された測定信号データの平均が第3の閾値を超えないことに応答して、測定信号データとしてセンサアレイによって検出されたオブジェクトがないと決定することと、を含む。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、方法は、相関係数が第1の閾値を超えないことに応答して、測定信号データとしてセンサアレイによって検出されたオブジェクトの近接を決定およびデバイスに送信することを含む。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、方法は、測定信号データから、最良にフィットするガウス曲線に基づいて、生成された表現を作成することを含む。
【0069】
ここに開示された技術の一実施形態は、非一時的な機械可読記憶媒体を含む。非一時的な機械可読記憶媒体は、機械によって実行されたとき、機械に、デバイスのセンサアレイによって検出された測定信号データを使用してガウス分布を構築させ、ガウス分布と測定信号データの測定信号プロファイルとの間のピアソン相関係数を計算させ、ピアソン相関係数は、ガウス分布と測定信号プロファイルとの間の類似度を表し、ピアソン相関係数が第1の閾値を超えることに応答して、センサアレイに対するオブジェクトのホバーイベントを検出させ、およびピアソン相関係数が第1の閾値を超えないことに応答して、測定信号データがホバーイベントを示していないと決定させる、機械実行可能コードを含む。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、機械実行可能コードは、機械に、測定信号データのサブセットを検出した第1の組のセンサを特定させ、測定信号データのサブセットを検出しなかった第2の組のセンサを特定させ、測定信号データのサブセットを、第2の組のセンサと関連付けるために測定信号データのミラーリングされたサブセットとしてミラーリングすることによって、測定信号データの拡張ベクトルを形成させ、および拡張ベクトルを測定信号プロファイルとして利用させる。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、機械実行可能コードは、機械に、測定信号データがセンサアレイの閾値数のエッジセンサによって検出されたと決定したことに応答して、測定信号データ内に含まれるために、1つまたは複数の仮想センサを仮想センサ信号データと共に計算させる。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、機械実行可能コードは、機械に、形状基準および量基準を利用して、測定信号プロファイルの大域的最大値を特定するための大域的最大値探索の候補を特定させ、大域的最大値の候補は、量基準および形状基準を使用して、センサの周辺で最大量の信号を有するセンサのインデックスとして決定される。
【0073】
ここに開示される技術の一実施形態はシステムを含む。システムは、測定信号データの組としてキャパシタンス信号値を測定するように構成されたセンサのセンサアレイと、センサアレイによって検出された測定信号データの組を受信し、測定信号データの組から、生成された表現を作成し、生成された表現と測定信号データの組の測定された表現との間の相関に対応する相関係数を作成するために、生成された表現を測定信号データの組の測定された表現と比較し、相関係数が第1の閾値を超えることに応答して、センサアレイに対してホバリングしているオブジェクトのホバーイベントを検出し、および相関係数が第1の閾値を超えないことに応答して、測定信号データの組がホバーイベントを示していないと決定する、ように構成されたホバー検出モジュールと、を含む。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、ホバー検出モジュールは、相関係数が第1の閾値を超えることに応答して、生成された表現の頂点としてホバーイベントの位置を計算する。
【0075】
実施形態のさまざまな動作が本明細書で提供される。一実施形態では、記載される動作のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータ可読命令を構成し得、コンピュータ可読命令は、コンピューティングデバイスによって実行された場合、コンピューティングデバイスに、記載された動作を実行させる。動作のいくつかまたはすべてが記載されている順序は、これらの動作が必然的に順序依存的であることを意味すると解釈されるべきではない。代替的な順序付けは、本明細書の利益を享受する当業者によって理解されるであろう。さらに、本明細書で提供される各実施形態に必ずしもすべての動作が存在するわけではないことが理解されよう。また、いくつかの実施形態では、すべての動作が必要であるわけではないことが理解されよう。
【0076】
さらに、特に指定されない限り、「第1の」、「第2の」などは、時間的側面、空間的側面、順序付けなどを意味することを意図しない。むしろ、こうした用語は、単に特徴、要素、項目などの識別子、名前などとして使用されるにすぎない。例えば、第1のオブジェクトおよび第2のオブジェクトは、一般に、オブジェクトAおよびオブジェクトB、または2つの異なる若しくは2つの同一のオブジェクト、または同じオブジェクトに対応する。
【0077】
さらに、「例示的な」は、本明細書では、例(example)、例(instance)、例図(illustration)などとして役立つことを意味するために使用され、必ずしも有利であるとは限らない。本明細書で使用される場合、「または」は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することを意図している。さらに、本出願で使用される「1つの(a)」および「1つの(an)」は、特に指定されない限り、または文脈から単数形を対象とすることが明らかでない限り、一般に「1つまたは複数」を意味すると解釈されることができる。また、AおよびB、のうちの少なくとも1つなどは、一般に、AまたはBおよび/またはAとBの両方を意味する。さらに、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、および/またはそれらの変形が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される限り、こうした用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図される。
【0078】
また、本開示は、1つまたは複数の実施態様に関して示しおよび説明されてきたが、本明細書および添付の図面を読んで理解することに基づいて、同等の変更および修正が当業者には思い浮かぶであろう。本開示は、すべてのこうした修正および変更を含み、以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。具体的には、上述の構成要素(例えば、要素、リソースなど)によって実行されるさまざまな機能に関して、こうした構成要素を説明するために使用される用語は、別段の指示がない限り、開示された構造と構造的に同等ではなくても、記載された構成要素の特定の機能を実行する(例えば、機能的に等価な)任意の構成要素、に対応することが意図される。さらに、本開示の特定の特徴は、いくつかの実施態様のうちの1つのみに関して開示されている場合もあるが、こうした特徴は、任意の所与のまたは特定の用途について所望され有利となり得るように、他の実施態様の1つまたは複数の他の特徴と組み合わされ得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】