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特開2024-81150バッテリ状態に基づく車両の始動方法、それを実施するための電気車両、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081150
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】バッテリ状態に基づく車両の始動方法、それを実施するための電気車両、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/80 20190101AFI20240610BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240610BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240610BHJP
   B60L 53/65 20190101ALI20240610BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240610BHJP
   B60L 58/18 20190101ALI20240610BHJP
【FI】
B60L53/80
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/65
B60L58/12
B60L58/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204510
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】111146595
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】597127029
【氏名又は名称】光陽工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100202740
【弁理士】
【氏名又は名称】増山 樹
(72)【発明者】
【氏名】ホアン イン ウェン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ チー フェイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ ユイ ロイ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA01
5G503FA06
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC26
5H125BC28
5H125CD02
5H125EE21
5H125EE26
5H125EE47
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】バッテリ状態に基づく車両の始動方法、それを実施するための電気車両、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】電気車両に適用される、バッテリ状態に基づく車両の始動方法であって、電気車両において第1バッテリと第2バッテリとの存在を検出することと、電気車両において第1バッテリと第2バッテリとが存在していると検出した場合、第1バッテリから第1ペアリングコードを取得し、第2バッテリから第2ペアリングコードを取得することと、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断することと、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致していると判断した場合、電気車両の始動を可能にすることと、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両に適用される、バッテリ状態に基づく車両の始動方法であって、
前記電気車両において第1バッテリと第2バッテリとの存在を検出することと、
前記電気車両において前記第1バッテリと前記第2バッテリとが存在していると検出した場合、前記第1バッテリから第1ペアリングコードを取得し、前記第2バッテリから第2ペアリングコードを取得することと、
前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断することと、
前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致していると判断した場合、前記電気車両の始動を可能にすることと、を含む、ことを特徴とするバッテリ状態に基づく車両の始動方法。
【請求項2】
前記バッテリ状態に基づく車両の始動方法は、
バッテリエネルギーステーションにより、第3バッテリを受けて、前記第3バッテリを受けたことに応じて前記第1バッテリに前記第1ペアリングコードを設定して、前記第1バッテリを提供することと、
前記バッテリエネルギーステーションにより、第4バッテリを受けて、前記第4バッテリを受けたことに応じて前記第4バッテリに前記第2ペアリングコードを設定して、前記第2バッテリを提供することと、を更に含み、
前記第3バッテリを受けた時刻と前記第4バッテリを受けた時刻とが所定の時間範囲内にある場合、前記バッテリエネルギーステーションにより設定された前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致している、ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ状態に基づく車両の始動方法。
【請求項3】
前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断することは、前記第1ペアリングコードが前記第2ペアリングコードと同一であるか否かを判断することであり、又は前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが共に1つの符号化アルゴリズムに一致しているか否かを判断することである、ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ状態に基づく車両の始動方法。
【請求項4】
前記電気車両の始動を可能にすることは、前記電気車両の電気スイッチをオンにさせることができることであり、又は前記電気車両のモータを作動させることができることである、ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ状態に基づく車両の始動方法。
【請求項5】
前記バッテリ状態に基づく車両の始動方法は、前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致していないと判断した場合、前記電気車両の表示ユニットにより異常通知を表示すること、を更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ状態に基づく車両の始動方法。
【請求項6】
前記バッテリ状態に基づく車両の始動方法は、前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致していないと判断した場合、ネットワークを介して異常通知を前記電気車両に関連するモバイル機器へ送信すること、を更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ状態に基づく車両の始動方法。
【請求項7】
バッテリ収納ユニットと、処理ユニットと、を備えており、
前記バッテリ収納ユニットは、第1バッテリと第2バッテリとを収納することができるように構成されており、
前記処理ユニットは、前記バッテリ収納ユニットと電気的に接続されており、且つ
前記第1バッテリと前記第2バッテリとの存在を検出し、
電気車両において前記第1バッテリと前記第2バッテリとが存在していると検出した場合、前記第1バッテリから第1ペアリングコードを取得し、前記第2バッテリから第2ペアリングコードを取得し、
前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断し、
前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致していると判断した場合、前記電気車両の始動が可能になるように構成されている、ことを特徴とする電気車両。
【請求項8】
前記電気車両の始動が可能になることは、前記電気車両の電気スイッチをオンにさせることができることであり、又は前記電気車両のモータを作動させることができることである、ことを特徴とする請求項7に記載の電気車両。
【請求項9】
前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致していないと判断した場合、前記処理ユニットは、前記電気車両の表示ユニットにより異常通知を表示することができる、ことを特徴とする請求項7に記載の電気車両。
【請求項10】
機器によりロードされて、電気車両に適用されるバッテリ状態に基づく車両の始動方法を実施するためのコンピュータプログラムであって、
第1プログラムコードと、第2プログラムコードと、第3プログラムコードと、第4プログラムコードと、を含んでおり、
前記第1プログラムコードは、前記電気車両において第1バッテリと第2バッテリとの存在を検出するように用いられ、
前記第2プログラムコードは、前記電気車両において前記第1バッテリと前記第2バッテリとが存在していると検出した場合、前記第1バッテリから第1ペアリングコードを取得し、前記第2バッテリから第2ペアリングコードを取得するように用いられ、
前記第3プログラムコードは、前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断するように用いられ、
前記第4プログラムコードは、前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致していると判断した場合、前記電気車両の始動を可能にするように用いられる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ状態に基づく車両の始動方法、及びそれを実施するための電気車両に関し、具体的には、電気車両のバッテリ状態に基づいて電気車両を始動させるか否かを判断する方法、及びそれを実施するための電気車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりや電気車両の著しい進歩に伴い、電気エネルギーを動力源とする電気車両を開発して、化石燃料を動力源とする従来の車両に代えることが、車両分野において重要な目標となりつつある。よって、電気車両の普及率は、ますます上がっている。電気車両の航続距離の向上や電気車両に対する使用意欲を促進するために、多くの国や都市では、公の場所に充電ステーションやエネルギーステーションが広く設置されて、電気自動車や電動二輪車に対して充電やバッテリ交換を行なうサービスが提供されている。これによって、電気車両の使用はより便利になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾特許出願公開第201936427号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電気車両において、充電式バッテリは、電気車両のメーカーにとって大きなコストの一つであり、且つその充電式バッテリには、ライフサイクルの制限がある。電動スクータのような電気車両にとっては、バッテリがパワー不足状態にある場合、それぞれの充電式バッテリの間でバッテリ容量の差異が大きい場合、又はそれぞれの充電式バッテリの間で使用サイクルの差異が大きい場合、これらの充電式バッテリを組み合わせて電気車両を始動させると、電気車両や充電式バッテリに異常が発生したり寿命が減少したりするおそれがある。
【0005】
このため、エネルギーステーションや電気車両における充電式バッテリに対して、どのように適切に充電又は交換するか、又はどのように電気車両の始動を管理するかは、電気車両業界において緊急に解決すべき問題である。
【0006】
したがって、本発明の目的は、従来技術の少なくとも一つの欠点を解決することができるバッテリ状態に基づく車両の始動方法、それを実施するための電気車両、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための手段として、本発明は、電気車両に適用される、バッテリ状態に基づく車両の始動方法であって、
前記電気車両において第1バッテリと第2バッテリとの存在を検出することと、
前記電気車両において前記第1バッテリと前記第2バッテリとが存在していると検出した場合、前記第1バッテリから第1ペアリングコードを取得し、前記第2バッテリから第2ペアリングコードを取得することと、
前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断することと、
前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致していると判断した場合、前記電気車両の始動を可能にすることと、を含む、ことを特徴とするバッテリ状態に基づく車両の始動方法を提供する。
【0008】
また、バッテリ収納ユニットと、処理ユニットと、を備えており、
前記バッテリ収納ユニットは、第1バッテリと第2バッテリとを収納することができるように構成されており、
前記処理ユニットは、前記バッテリ収納ユニットと電気的に接続されており、且つ
前記第1バッテリと前記第2バッテリとの存在を検出し、
前記電気車両において前記第1バッテリと前記第2バッテリとが存在していると検出した場合、前記第1バッテリから第1ペアリングコードを取得し、前記第2バッテリから第2ペアリングコードを取得し、
前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断し、
前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致していると判断した場合、前記電気車両の始動が可能になるように構成されている、ことを特徴とする電気車両を提供する。
【0009】
更に、機器によりロードされて、電気車両に適用されているバッテリ状態に基づく車両の始動方法を実施するためのコンピュータプログラムであって、
第1プログラムコードと、第2プログラムコードと、第3プログラムコードと、第4プログラムコードと、を含んでおり、
前記第1プログラムコードは、前記電気車両において第1バッテリと第2バッテリとの存在を検出するように用いられ、
前記第2プログラムコードは、前記電気車両において前記第1バッテリと前記第2バッテリとが存在していると検出した場合、前記第1バッテリから第1ペアリングコードを取得し、前記第2バッテリから第2ペアリングコードを取得するように用いられ、
前記第3プログラムコードは、前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断するように用いられ、
前記第4プログラムコードは、前記第1ペアリングコードと前記第2ペアリングコードとが互いに一致していると判断した場合、前記電気車両の始動を可能にするように用いられる、ことを特徴とするコンピュータプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るバッテリ状態に基づく車両の始動方法、それを実施するための電気車両、及びコンピュータプログラムによれば、電気車両におけるバッテリ状態に基づいて電気車両が始動可能であるか否かを決定することができる。これによって、バッテリ及び電気車両を更に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る一実施形態の電気車両の構成が示される模式図である。
図2】本発明に係る一実施形態のクラウドにより制御且つ管理され得るバッテリエネルギーステーションが示される模式図である。
図3】本発明に係る一実施形態のバッテリエネルギーステーションの構成が示される模式図である。
図4】本発明に係る一実施形態のバッテリ状態に基づく車両の始動方法が示されるフローチャートである。
図5】本発明に係る他の実施形態のバッテリ状態に基づく車両の始動方法が示されるフローチャートである。
図6】本発明に係る一実施形態のバッテリのペアリングコードを設定する方法が示されるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るバッテリ状態に基づく車両の始動方法、それを実施するための電気車両、及びコンピュータプログラムについて図面を参照して説明する。
【0013】
図1図6を参照して本発明に係るバッテリ状態に基づく車両の始動方法、それを実施するための電気車両100、及びコンピュータプログラムを説明する。ここで、図1は本発明に係る一実施形態の電気車両100の構成が示される模式図であり、図2は本発明に係る一実施形態のクラウドにより制御且つ管理され得るバッテリエネルギーステーション200が示される模式図であり、図3は本発明に係る一実施形態のバッテリエネルギーステーション200の構成が示される模式図である。
【0014】
また、図4は本発明に係る一実施形態のバッテリ状態に基づく車両の始動方法が示されるフローチャートであり、図5は本発明に係る他の実施形態のバッテリ状態に基づく車両の始動方法が示されるフローチャートであり、図6は本発明に係る一実施形態のバッテリのペアリングコードを設定する方法が示されるフローチャートである。
【0015】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る電気車両100が提供される。該実施形態に係る電気車両100は、バッテリの電力を動力源とする電動移動車(例えば、電動スクータ)であることができる。
【0016】
該電気車両100は、図1に示されるように、バッテリ収納ユニット110と、モータ120と、処理ユニット130と、を少なくとも備えている。
【0017】
バッテリ収納ユニット110は、図1に示されるように、複数のバッテリ(例えば、第1バッテリ112及び第2バッテリ114)を収納することができるように構成されている。それらのバッテリは、電気車両100における各種部品(例えば、モータ120)を作動するための電力を供給することができるよう、それぞれ並列または直列に接続されている。
【0018】
モータ120は、電気車両100を駆動して移動させたり、電気車両100における他の回転可能な部品を駆動して作動させたりすることができるように構成されている。
【0019】
処理ユニット130は、電気車両100におけるすべてのハードウェア及びソフトウェアの作動を制御するとともに、本発明に係るバッテリ状態に基づく車両の始動方法を実施することができるように構成されている。なお、該バッテリ状態に基づく車両の始動方法に関するより詳細な内容については、後述する。
【0020】
なお、いくつかの実施形態において電気車両100は記憶媒体を更に備えている。ここで、その記憶媒体は、電気車両100やバッテリに関連する情報を記憶するためのものである。
【0021】
いくつかの実施形態において、電気車両100は、ネットワーク接続ユニットを更に備えている。ネットワーク接続ユニットは、ネットワークと接続して電気車両100がネットワークと接続することができるように構成されている。いくつかの実施形態において、ネットワークは、有線ネットワーク、電気通信ネットワーク、又は無線ネットワーク(例えば、Wi-Fiなど)であるが、それらに限定されない。
【0022】
図2に示されるように、本発明に係る一実施形態のクラウドにより制御且つ管理され得るバッテリエネルギーステーションが提供される。本発明の一実施形態によれば、クラウドにより制御且つ管理され得るバッテリエネルギーステーションは、クラウドサーバ400と、少なくとも1つのバッテリエネルギーステーション200と、を備えている。
【0023】
留意されたいのは、クラウドサーバ400は電子装置であり得る。また、該クラウドサーバ400は、図2に示されるように、ネットワーク300を介して複数のバッテリエネルギーステーション200と接続して複数のバッテリエネルギーステーション200を管理することができるように構成されている。例えば、ネットワーク300は、有線ネットワーク、電気通信ネットワーク、又は無線ネットワーク(例えば、Wi-Fiなど)であるが、それらに限定されない。
【0024】
なお、いくつかの実施形態において、クラウドサーバ400は、同じ箇所または異なる箇所に配置されている他のバッテリエネルギーステーションを同時に管理することができるように構成されている。
【0025】
バッテリエネルギーステーション200は、複数のバッテリを受けて、それらのバッテリを電動スクータや電気自動車などの少なくとも1つの電気機器に提供することができるように構成されている。即ち、その電気機器は、バッテリエネルギーステーション200からバッテリを取得して使用することができる。
【0026】
図3に示されるように、本発明に係る一実施形態のバッテリエネルギーステーション200が提供される。本発明の一実施形態によれば、バッテリエネルギーステーション200は、バッテリ収納システム210と、パワーモジュール220と、ネットワーク接続ユニット230と、処理ユニット240と、を少なくとも備えている。
【0027】
バッテリ収納システム210は、複数のバッテリ(例えば、図3に示されるような第3バッテリ212及び第4バッテリ214)を収納するとともに、それらのバッテリを選択的に保持又は解放するための特定の機構(図示せず)を備えている。
【0028】
バッテリエネルギーステーション200は、バッテリを電動スクータや電気自動車などの少なくとも1つの電気機器に提供することができるように構成されている。即ち、その電気機器は、バッテリエネルギーステーション200からバッテリを取って使用することができる。
【0029】
パワーモジュール220は、電力網(図示せず)と電気的に接続されていて電力網から総電流を取得することによって、総電流に基づいて電力をバッテリエネルギーステーション200に供給するとともに、処理ユニット240からの信号に基づいてバッテリに対して充電を行なうことができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、バッテリ収納システム210は、複数のバッテリにそれぞれ対応している複数の充電モジュールを備えている。且つ、各充電モジュールには、上限電流、下限電流、又は上限電流と下限電流との両方があって、対応するバッテリに対して充電を行なうことができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、パワーモジュール220は、電力網によりバッテリエネルギーステーション200に供給される総電流を主動的に検出して、総電流に関連する情報を処理ユニット240へ送信することができるように構成されている。
【0032】
ネットワーク接続ユニット230は、ネットワークと接続してバッテリエネルギーステーション200がネットワークと接続することができるように構成されている。いくつかの実施形態において、ネットワークは、有線ネットワーク、電気通信ネットワーク、又は無線ネットワーク(例えば、Wi-Fiなど)であるが、それらに限定されない。
【0033】
処理ユニット240は、バッテリエネルギーステーション200におけるすべてのハードウェア及びソフトウェアの作動を制御するとともに、各バッテリに対応するペアリングコードを設定することができるように構成されている。なお、それに関するより詳細な内容については、後述する。
【0034】
図4に示されるように、本発明に係る一実施形態のバッテリ状態に基づく車両の始動方法が提供される。本発明に係る一実施形態のバッテリ状態に基づく車両の始動方法は、電気車両に適用され、且つ以下のステップS410~ステップS460を含む。
【0035】
まず、ステップS410において、電気車両において第1バッテリと第2バッテリとの存在を検出する。第1バッテリ又は第2バッテリが電気車両に存在することが検出されなかった場合(即ち、ステップS420における「いいえ」となった場合)、フローはステップS410に戻る。
電気車両において第1バッテリと第2バッテリとの両方が存在していると検出した場合(即ち、ステップS420における「はい」となった場合)、ステップS430において、第1バッテリから第1ペアリングコードを取得し、第2バッテリから第2ペアリングコードを取得する。
【0036】
そして、ステップS440において、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断する。
【0037】
いくつかの実施形態において、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断することは、第1ペアリングコードが第2ペアリングコードと同一であるか否かを判断することである。いくつかの実施形態において、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断することは、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが共に1つの符号化アルゴリズムに一致しているか否かを判断することである。
【0038】
なお、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致していないと判断した場合(即ち、ステップS450における「いいえ」となった場合)、方法のフローは終了する。言い換えれば、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致していない場合には、電気車両を始動させることができない。
【0039】
第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致していると判断した場合(即ち、ステップS450における「はい」となった場合)、ステップS460へ進み、即ち、電気車両の始動を可能にする。留意されたいのは、いくつかの実施形態において、電気車両の始動を可能にすることは、電気車両の電気スイッチをオンにすることを可能にすることであり、またいくつかの実施形態においては、電気車両のモータを作動させることを可能にすることである。
【0040】
図5に示されるように、本発明に係る他の実施形態のバッテリ状態に基づく車両の始動方法が提供される。本発明に係る他の実施形態のバッテリ状態に基づく車両の始動方法は、電気車両に適用され、且つ以下のステップS510~ステップS570を含む。
【0041】
まず、ステップS510において、電気車両において第1バッテリと第2バッテリとの存在を検出する。第1バッテリ又は第2バッテリが電気車両に存在することが検出されなかった場合(即ち、ステップS520における「いいえ」となった場合)、フローはステップS510に戻る。
【0042】
電気車両において第1バッテリと第2バッテリとの両方が存在していると検出した場合(即ち、ステップS520における「はい」となった場合)、ステップS530において、第1バッテリから第1ペアリングコードを取得し、第2バッテリから第2ペアリングコードを取得する。
【0043】
そして、ステップS540において、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断する。
【0044】
同様に、いくつかの実施形態において、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断することは、第1ペアリングコードが第2ペアリングコードと同一であるか否かを判断することである。いくつかの実施形態において、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断することは、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが共に1つの符号化アルゴリズムに一致しているか否かを判断することである。
【0045】
第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致していると判断した場合(即ち、ステップS550における「はい」となった場合)、フローはステップS560へ進み、即ち、電気車両を始動させることができる。同様に、いくつかの実施形態において、電気車両を始動させることができることは、電気車両の電気スイッチをオンにさせることができることであり、またいくつかの実施形態においては、電気車両のモータを作動させることができることである。
【0046】
第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致していないと判断した場合(即ち、ステップS550における「いいえ」となった場合)、フローはステップS570へ進み、即ち、電気車両の表示ユニットにより異常通知を表示し、又はネットワークを介して異常通知を電気車両に関連するモバイル機器へ送信し、又は電気車両の表示ユニットにより異常通知を表示するとともにネットワークを介して異常通知を電気車両に関連するモバイル機器へ送信する。言い換えれば、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致していない場合には、電気車両を始動させることができない。ここで、上記したモバイル機器は、例えば電気車両の使用者が所有するスマートフォンである。
【0047】
以下、対応するバッテリのペアリングコードを設定する方法について説明する。
【0048】
図6に示されるように、本発明に係る一実施形態のバッテリのペアリングコードを設定する方法が提供される。本発明に係る一実施形態のバッテリのペアリングコードを設定する方法は、バッテリに対して充電や交換作業を行なうことができるように構成されているバッテリエネルギーステーションに適用され、且つ以下のステップS610~ステップS650を含む。本実施形態では、バッテリエネルギーステーションは、第1バッテリと、第2バッテリと、を有している。
【0049】
まず、ステップS610において、バッテリエネルギーステーションにより、第3バッテリを受けて、第3バッテリを受けたことに応じて第1バッテリに第1ペアリングコードを設定して、第1バッテリを提供する。第1バッテリを提供することに応じて、第3バッテリのバッテリ交換作業が完了する。
【0050】
そして、ステップS620において、バッテリエネルギーステーションにより、第4バッテリを受ける。
【0051】
ステップS630において、第3バッテリを受けた時刻と第4バッテリを受けた時刻とが所定の時間範囲内にあるか否かを判断する。
【0052】
第3バッテリを受けた時刻と第4バッテリを受けた時刻とが所定の時間範囲内にあると判断した場合(即ち、ステップS630における「はい」となった場合)、フローはステップS640へ進み、即ち、第4バッテリを受けたことに応じて第2バッテリに第2ペアリングコードを設定して、第2バッテリを提供する。ここで、バッテリエネルギーステーションにより設定された第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとは互いに一致している。
【0053】
一方、第3バッテリを受けた時刻と第4バッテリを受けた時刻とが所定の時間範囲内にないと判断した場合(即ち、ステップS630における「いいえ」となった場合)、フローはステップS650へ進み、即ち、第4バッテリを受けたことに応じて第2バッテリに第2ペアリングコードを設定して、第2バッテリを提供する。ここで、第3バッテリを受けた時刻と第4バッテリを受けた時刻とが所定の時間範囲内にないため、バッテリエネルギーステーションにより設定された第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとは互いに一致していない。同様に、第2バッテリを提供することに応じて、第4バッテリのバッテリ交換作業が完了する。
【0054】
留意されたいのは、上記のように、電気車両にインストールされた第1バッテリの第1ペアリングコードと第2バッテリの第2ペアリングコードとが互いに一致していない場合、電気車両を始動させることができない。この際に、電気車両の使用者は、第1バッテリ及び第2バッテリを所定の時間範囲内においてバッテリエネルギーステーションに置いて
バッテリ交換作業を実行し、そのバッテリ交換作業の後に、互いに一致しているペアリングコードを有する2つの新たなバッテリを取得し、そしてその新たなバッテリにより電気車両を始動させることができる。
【0055】
以下、本発明に係る一実施形態のコンピュータプログラムについて説明する。本発明に係る一実施形態のコンピュータプログラムは、機器によりロードされて、電気車両に適用されるバッテリ状態に基づく車両の始動方法を実施するためのものである。
【0056】
該実施形態のコンピュータプログラムは、第1プログラムコードと、第2プログラムコードと、第3プログラムコードと、第4プログラムコードと、を含んでいる。
【0057】
第1プログラムコードは、電気車両において第1バッテリと第2バッテリとの存在を検出するように用いられる。
【0058】
第2プログラムコードは、電気車両において第1バッテリと第2バッテリとが存在していると検出した場合、第1バッテリから第1ペアリングコードを取得し、第2バッテリから第2ペアリングコードを取得するように用いられる。
【0059】
第3プログラムコードは、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致しているか否かを判断するように用いられる。
【0060】
第4プログラムコードは、第1ペアリングコードと第2ペアリングコードとが互いに一致していると判断した場合、電気車両を始動させることができるように用いられる。
【0061】
総括すると、本発明に係るバッテリ状態に基づく車両の始動方法、それを実施するための電気車両、及びコンピュータプログラムによれば、電気車両におけるバッテリ状態に基づいて電気車両が始動可能であるか否かを決定することができる。これによって、バッテリ及び電気車両を更に保護することができる。
【0062】
また、本発明に係る方法又はその一部は、プログラムコードのセットとして実施され得る。プログラムコードのセットは、フロッピーディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、任意の機器読取(例えば、コンピュータ読取)可能な記憶媒体のような物理記憶媒体に記憶されることができ、或いは、物理的な形態に限定されないコンピュータのプログラムとして実行されることができる。ここで、そのプログラムコードが機器(例えば、コンピュータ)により実行されると、その機器が本発明の方法を実施するための装置に変わる。更に、該プログラムコードは、1つ又はそれ以上の電線、ケーブル、光ファイバ、又は任意の伝送手段のような伝送媒体により伝送されることもできる。且つ、該プログラムコードが機器(例えば、コンピュータ)により受けてロードされて実行されると、そのような機器が本発明の方法を実施するための装置に変わる。この方法が汎用プロセッサにより実行されると、プログラムコードは、プロセッサが特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、略称:ASIC)と同様な機能のある特定の装置として作動するようにさせることができる。
【0063】
上記においては、本発明の全体的な理解を促すべく、多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変化例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るバッテリ状態に基づく車両の始動方法、それを実施するための電気車両、及びコンピュータプログラムによれば、バッテリ及び電気車両をより効果的に保護することができる。そのため、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0066】
100 電気車両
110 バッテリ収納ユニット
112 第1バッテリ
114 第2バッテリ
120 モータ
130 処理ユニット
200 バッテリエネルギーステーション
210 バッテリ収納システム
212 第3バッテリ
214 第4バッテリ
220 パワーモジュール
230 ネットワーク接続ユニット
240 処理ユニット
300 ネットワーク
400 クラウドサーバ
S410~S460 ステップ
S510~S570 ステップ
S610~S650 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6