(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081164
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】投影装置、投影方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20240611BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240611BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240611BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20240611BHJP
G09G 5/373 20060101ALI20240611BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240611BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20240611BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240611BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
G03B21/14 Z
G09G5/00 510B
G09G5/00 550C
G09G5/38 100
G09G5/373 100
G09G5/373 200
G06F3/01 510
G06F3/0488
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194557
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 芳彦
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
2K203FA62
2K203FA82
2K203FB08
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5E555FA00
(57)【要約】
【課題】投影装置の揺動による投影画像の乱れを抑制することができる投影装置、投影方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御部と、制御部による制御に従って画像の投影に係る投影動作を行う画像投影部と、ユーザによる接触操作を検出する操作部と、自装置の揺動を検出する検出部と、を備え、制御部は、操作部により検出された接触操作に応じて画像投影部に行わせる投影動作を、検出部により検出された揺動の強度に基づいて制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
前記制御部による制御に従って画像の投影に係る投影動作を行う画像投影部と、
ユーザによる接触操作を検出する操作部と、
自装置の揺動を検出する検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記操作部により検出された前記接触操作に応じて前記画像投影部に行わせる前記投影動作を、前記検出部により検出された揺動の強度に基づいて制御する、
投影装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記接触操作に応じて、前記画像内に所定のオブジェクトを表示させ、又は表示させた前記オブジェクトを前記画像内において移動させ、
前記検出部により検出された揺動の強度が閾値を超える大きさとなっている揺動期間においては、前記接触操作に応じた前記オブジェクトの表示又は移動を所定の態様で制限する、
請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記揺動期間においては、前記接触操作に応じた前記オブジェクトの表示を行わせない、
請求項2に記載の投影装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像内で前記オブジェクトを移動させるための前記接触操作がなされている場合には、前記揺動期間においては前記オブジェクトを停止させる、
請求項2に記載の投影装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出部により検出された揺動の強度が閾値を超える大きさとなっている揺動期間においては、前記画像投影部による前記画像の投影を中止させる、
請求項1に記載の投影装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出部により検出された揺動の強度が前記閾値以下になったと判別された後に、前記画像投影部による前記画像の投影を開始させる、
請求項5に記載の投影装置。
【請求項7】
前記制御部は、手のうち所定以上の面積の部分を接触させる前記接触操作が前記操作部により検出された場合には、前記画像投影部による前記画像の投影を中止させ、又は開始させ、
指を前記操作部に接触させて移動させる前記接触操作が前記操作部により検出された場合には、前記画像内に表示させた所定のオブジェクトを前記指の移動軌跡に応じて移動させ、
2本の指を前記操作部に接触させた状態で前記2本の指の間隔を増大又は減少させる前記接触操作が前記操作部により検出された場合には、前記2本の指の間隔の増大又は減少に応じて前記画像を拡大又は縮小させる、
請求項1に記載の投影装置。
【請求項8】
ユーザの身体に装着した状態で用いることが可能であり、
前記操作部は、前記投影装置の表面のうち、前記投影装置が前記ユーザの身体に装着されている状態において前記ユーザの手により接触可能な位置に設けられている、
請求項1に記載の投影装置。
【請求項9】
画像の投影に係る投影動作を行う画像投影部と、ユーザによる接触操作を検出する操作部と、自装置の揺動を検出する検出部と、を備えた投影装置のコンピュータが実行する投影方法であって、
前記操作部により検出された前記接触操作に応じて前記画像投影部に行わせる前記投影動作を、前記検出部により検出された揺動の強度に基づいて制御する、
投影方法。
【請求項10】
画像の投影に係る投影動作を行う画像投影部と、ユーザによる接触操作を検出する操作部と、自装置の揺動を検出する検出部と、を備えた投影装置のコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、前記操作部により検出された前記接触操作に応じて前記画像投影部に行わせる前記投影動作を、前記検出部により検出された揺動の強度に基づいて制御するための処理を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置、投影方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光を射出して投影面に画像を投影する投影装置の小型化及び軽量化が進んでおり、これに伴って投影装置の用途や形態が多様化している。例えば特許文献1には、ユーザの身体に装着した状態で用いることが可能な投影装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、ユーザの身体に装着した投影装置により画像を投影すると、投影装置に設けられた押しボタンやスイッチを操作した際に投影装置が揺動し、投影される画像にも揺動等の乱れが生じてしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、投影装置の揺動による投影画像の乱れを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る投影装置は、
制御部と、
前記制御部による制御に従って画像の投影に係る投影動作を行う画像投影部と、
ユーザによる接触操作を検出する操作部と、
自装置の揺動を検出する検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記操作部により検出された前記接触操作に応じて前記画像投影部に行わせる前記投影動作を、前記検出部により検出された揺動の強度に基づいて制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、投影装置の揺動による投影画像の乱れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】投影装置の構成及びユーザへの装着態様を示す図である。
【
図2】待機状態における投影装置を鉛直方向上方(+Z方向)から見た図である。
【
図4】投影可能状態における投影装置を鉛直方向上方(+Z方向)から見た図である。
【
図5】投影装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図12】揺動の検出に応じた投影動作の制御を説明する図である。
【
図13】揺動の検出に応じた投影動作の制御の他の例を説明する図である。
【
図14】揺動の検出に応じた投影動作の制御の他の例を説明する図である。
【
図15】画像投影処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図16】第1の応答処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図17】第2の応答処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図18】第3の応答処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図19】種々のオブジェクトを含むレイヤー画像が重畳された投影画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
<投影装置の構成>
図1は、投影装置1の構成及びユーザUへの装着態様を示す図である。
投影装置1(プロジェクタ)は、画像データに応じて変調された光を光射出部101から射出することで投影面S(
図4参照)に投影画像40(
図4参照)を投影する。投影装置1は、ユーザUの身体に装着した状態で用いることができる。投影装置1は、例えば、ユーザUの胴体、又は胴体よりも下部の部位に装着されて用いられてもよい。本実施形態では、立っているユーザUの腰部に投影装置1が装着されて用いられる場合を例に挙げて説明する。以下では、鉛直方向上向きの方向をZ方向、Z方向に垂直、かつユーザUの前方に向かう方向をY方向、Z方向及びY方向に垂直、かつユーザUの右方に向かう方向をX方向とする。
【0011】
投影装置1は、本体部10と、取付部材20と、バッテリー30とを備える。
本体部10は、略直方体形状の筐体と、
図1における筐体の+Y方向側の面に設けられた光射出部101と、光射出部101から光を射出して投影面Sに投影画像40を投影する画像投影部16(
図5参照)と、ユーザUの手H(指を含む)による接触操作を検出する操作部15(
図4及び
図5参照)等を有する。操作部15は、本体部10の表面のうち操作部露出面10aにおいて露出している。
【0012】
取付部材20は、投影装置1をユーザUの身体に装着するためのアタッチメントである。取付部材20は、第1部材21と、第2部材22と、ヒンジ部23とを備える。第1部材21は、本体部10の表面のうち操作部露出面10aとは反対側の面に固定されている。第2部材22は、ユーザUの腰部に巻かれたベルト2(被取付部材)に取り付け可能である。ヒンジ部23は、第1部材21及び第2部材22を回動可能な状態で接続している部材である。
図1におけるヒンジ部23の回動軸は、Y方向に平行であるものとする。投影装置1は、取付部材20の第2部材22がベルト2に取り付けられることにより、ユーザUの腰部(
図1では、腰部の左側面)に装着される。
【0013】
バッテリー30は、例えば、収納ケースに入れられた状態でベルト2に取り付けられる。バッテリー30は、電源ケーブルを介して本体部10の筐体の側面10bに接続されており、本体部10に電力を供給する。本体部10の各部は、バッテリー30から供給される電力により動作する。なお、バッテリー30は、本体部10に内蔵されていてもよい。
【0014】
図1に示す状態では、操作部露出面10aが-X方向を向いており、側面10bが+Z方向を向いている。以下では、
図1に示す投影装置1の状態を「待機状態」と記す。操作部露出面10aは、側面10bよりも面積が大きいため、待機状態のように操作部露出面10aが鉛直方向に沿うような姿勢とすることで、投影装置1の左方向への張り出しを抑えたコンパクトな装着状態とすることができる。待機状態においては、画像投影部16による投影画像40の投影は行われない。
【0015】
図2は、待機状態における投影装置1を鉛直方向上方(+Z方向)から見た図である。
図2には、待機状態において+Z方向を向く側面10bが描かれている。側面10bには、図示しない外部機器(例えば、スマートフォン)に接続可能な映像入力端子102(例えば、HDMI(登録商標)端子)と、バッテリー30に繋がる電源ケーブルが接続される電源端子103と、が設けられている。映像入力端子102は、投影画像40を形成するためのコンテンツ画像データ132(
図5参照)を外部機器から受信する場合に使用される。本実施形態では、本体部10の内部に予めコンテンツ画像データ132が記憶されている例を用いて説明する。
【0016】
待機状態から、ヒンジ部23の回動軸の回りで第1部材21を90度回転させることで、投影画像40を投影することが可能な投影可能状態に移行させることができる。
図3は、投影可能状態の投影装置1を示す図である。
投影可能状態においては、操作部露出面10aが+Z方向を向いており、側面10bは-X方向を向いている。
【0017】
図4は、投影可能状態における投影装置1を鉛直方向上方(+Z方向)から見た図である。
図4には、投影可能状態において+Z方向を向く操作部露出面10aが描かれている。操作部露出面10aにおいては、操作部15が有するタッチパッド151、及び複数のタッチキー152が露出している。
図3に示すように、+Z方向を向いた操作部露出面10aは、ユーザUが手Hにより上方から容易に接触することができる。このように、操作部15は、投影装置1がユーザUの身体に装着されている状態においてユーザUの手Hにより接触可能な位置に設けられている。
【0018】
タッチパッド151(トラックパッドとも呼ばれる)は、ユーザUによる接触操作(例えば、手Hの指(ただし、手Hのうち指以外の部分であってもよい)による接触操作)を受け付ける操作面151aを有する。タッチパッド151は、操作面151aの内部に設けられた電極と指との間に生じる静電容量の変化に基づいて操作面151aへの指の接触位置を検出する、静電容量方式の接触検出装置である。タッチパッド151は、2本の指の接触位置を別個に検出することができる。また、タッチパッド151は、接触位置の他、接触面積を検出することもできる。これにより、例えば、操作面151aに接触しているのが指であるのか、又は手のひらであるのかを判別することが可能である。
【0019】
なお、タッチパッド151の方式は静電容量方式に限られず、指の接触を検出可能であればどのような方式であってもよい。例えば、操作面151aへの指の接触によりプローブ光が遮断されたことに基づいて接触位置を検出する方式などであってもよい。
【0020】
タッチキー152は、ユーザUの手Hの指(ただし、手Hのうち指以外の部分であってもよい)による接触操作を受け付ける操作面152aを有する。タッチキー152は、操作面152aへの指の接触の有無を検出する。タッチキー152による指の接触の検出方式は、タッチパッド151と同一の方式とすることができる。本実施形態の投影装置1は、4つのタッチキー152を有する。各タッチキー152には、例えば、投影画像40の投影開始、投影終了、一時停止、及びスキップといった種々の機能のうちのいずれかを割り当てることができる。
【0021】
このように、操作部15は、接触操作の対象となる操作面151a、152aを有する。また、取付部材20のヒンジ部23は、操作面151a、152aの向きが変わるように本体部10を回動させることができる。
図3及び
図4では、投影可能状態において操作面151a、152aの法線が鉛直方向上向きとなっているが、これに限られず、例えば、投影可能状態において操作面151a、152aの法線が鉛直方向上向きの成分を有する態様であってもよい。
【0022】
図3及び
図4に示す投影可能状態において、ユーザUにより所定の投影開始操作が行われると、画像投影部16は、光射出部101から+Y方向に光を射出し、当該光により投影面Sに投影画像40を投影する。投影開始操作は、タッチパッド151又はいずれかのタッチキー152に対する接触操作であってもよい。
【0023】
ユーザUの身体に装着可能な本実施形態の投影装置1は、場所を選ばずにハンズフリーで投影画像40を投影することができる。このような特長を生かして、例えば、建築現場において他の作業員と共有したい図面等の投影画像40を、投影面Sとしての壁面等に投影する用途等に用いることができる。このとき、基本的にユーザUは投影画像40の投影中には両手を空けた状態とすることができるため、投影画像40を投影しつつ他の作業を行うこともできる。また、安全性が求められる現場においては、両手を空けた状態とすることで、安全を確保することができる。
【0024】
図5は、投影装置1の機能構成を示すブロック図である。
投影装置1は、CPU11(Central Processing Unit)(制御部)と、RAM12(Random Access Memory)と、記憶部13と、レイヤー画像生成部14と、操作部15と、画像投影部16と、揺動検出部17(検出部)と、通信部18と、バス19などを備える。投影装置1の各部は、バス19を介して接続されている。
【0025】
CPU11は、記憶部13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、投影装置1の動作を制御するプロセッサである。なお、投影装置1は、複数のプロセッサ(例えば、複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU11が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサにより制御部が構成される。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0026】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0027】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム131及び各種データを記憶する。記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む。プログラム131は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。記憶部13には、コンテンツ画像データ132、レイヤー画像データ133、及び投影画像データ134等が記憶されている。
【0028】
コンテンツ画像データ132は、投影対象のコンテンツを含むコンテンツ画像41のデータである。
図6は、コンテンツ画像41の例を示す図である。
コンテンツ画像41の例としては、写真、プレゼンテーション資料、各種図面、及び文書等が挙げられる。コンテンツ画像41は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。本実施形態では、コンテンツ画像データ132は、予め外部機器から取り込まれて記憶部13に記憶されている。ただし、これに限られず、コンテンツ画像データ132は、投影画像40の投影時に映像入力端子102を介した有線通信または無線通信により外部機器から供給されてもよい。
【0029】
レイヤー画像データ133は、コンテンツ画像に重畳(オーバーレイ)させて表示されるレイヤー画像42のデータである。
図7は、レイヤー画像42の例を示す図である。
レイヤー画像42は、例えば、ポインタ401又はカーソル402(
図19参照)といった、コンテンツ画像41上の位置を指し示すためのオブジェクトや、メニューバー403及びドロップダウンリスト404(いずれも
図19参照)といった、投影装置1の設定変更や機能の実行のためのメニュー表示に係るオブジェクト等を含む。
【0030】
投影画像データ134は、投影装置1により投影される投影画像40のデータである。
図8は、投影画像40の例を示す図である。
投影画像40は、
図6のコンテンツ画像41に
図7のレイヤー画像42を重畳して得られた画像である。投影画像データ134は、CPU11が、コンテンツ画像データ132及びレイヤー画像データ133を合成することにより生成される。あるいは、CPU11とは別個に、コンテンツ画像データ132及びレイヤー画像データ133を合成する画像処理を行う画像処理プロセッサ(画像処理部)が設けられていてもよい。
【0031】
レイヤー画像生成部14は、レイヤー画像データ133を生成して記憶部13に記憶させる。レイヤー画像生成部14は、操作部15に対するユーザ操作等に応じて、レイヤー画像42に配置するポインタ401、カーソル402、メニューバー403及びドロップダウンリスト404といったオブジェクトの種別及び位置を特定し、当該オブジェクトを含むレイヤー画像データ133を生成する。レイヤー画像データ133の生成は、CPU11が行ってもよい。
【0032】
操作部15は、上述のタッチパッド151及びタッチキー152を有し、ユーザUによる操作面151a及び操作面152aへの接触操作を受け付けて、接触操作に応じた操作情報(接触の有無、接触位置、及び接触面積等)をCPU11に出力する。
【0033】
画像投影部16は、光源161及び表示素子162などを備える。画像投影部16は、CPU11による制御に従って画像の投影に係る投影動作を行う。ここで、投影動作には、画像を投影する動作のほか、画像の投影を中止する動作等の、画像の投影に関連する種々の動作が含まれるものとする。画像投影部16は、光源161から出力された光の強度分布を、CPU11から供給された投影画像データ134に応じて表示素子162により変調し、光射出部101から投影装置1の外部に射出することで投影画像40を投影する。
【0034】
光源161は、青色の波長帯域の光(青色光)、緑色の波長帯域の光(緑色光)、及び赤色の波長帯域の光(赤色光)を発する。各色の光は、レーザーダイオード又はLEDといった発光素子が射出した光をそのまま用いたものであってもよいし、発光素子が射出した光を蛍光体に入射させることで蛍光体が発生させた蛍光であってもよい。
【0035】
表示素子162は、空間的光変調素子(SOM:Spatial Optical Modulator)であり、例えば、デジタルマイクロミラー素子(DMD)である。DMDは、アレイ状に配列された複数の微小ミラーの各傾斜角度を、投影画像データ134の画素値に応じて個々に高速で切り替えて、各画素単位各画像フレーム単位でレンズ群への光反射の有無を定めることで、その反射光により、光像を形成する。1つの表示素子162に、赤色、緑色及び青色の光を時分割で入射することでカラーの投影画像40を投影してもよいし、赤色、緑色及び青色に対応する3つの表示素子162が変調した光を統合することでカラーの投影画像40を投影してもよい。表示素子162により変調された光像は、レンズ群により集光されて、光射出部101から射出される。
【0036】
揺動検出部17は、投影装置1の揺動を検出する。ここで、揺動は、投影装置1の周期的な振動の他、投影装置1の周期的でない揺れを含む。揺動検出部17は、例えば、3軸加速度センサを備える。3軸加速度センサは、投影装置1の動きに応じて生じる直交3軸方向の加速度を所定のサンプリング周波数で検出する。揺動検出部17は、検出された加速度に基づいて投影装置1の揺動(動き)の大きさを導出し、導出結果をCPU11に出力する。あるいは、揺動検出部17が、3軸加速度センサの検出結果をCPU11に出力し、CPU11が、当該出力結果に基づいて投影装置1の揺動の大きさを導出してもよい。揺動検出部17は、加速度センサ以外のセンサ、例えばジャイロセンサや地磁気センサ等を備えていてもよい。
【0037】
通信部18は、上述の映像入力端子102、及び、ネットワークカード又は通信モジュール等により構成され、外部装置との間で所定の通信規格に従って有線通信又は無線通信によるデータの送受信を行う。
【0038】
<投影装置の動作>
次に、投影装置1の動作について、投影画像40の投影中に操作部15に対する接触操作がなされた場合の動作を中心に説明する。
【0039】
ユーザUの身体に装着した投影装置1から投影画像40を投影している場合には、ユーザUが投影面Sを直接指で指し示すために投影面Sに近付くと、投影画像40の大きさや向きが変化してしまう。このため、本実施形態の投影装置1では、操作部15に対する所定の接触操作により、投影画像40内に
図8のポインタ401を表示させて投影画像40中の所望の点を指し示すことができるようになっている。また、ポインタ401の表示以外にも、操作部15に対する接触操作に応じて、投影画像40の投影中に種々の動作を画像投影部16に行わせることができる。
以下では、操作部15のうちタッチパッド151に対する代表的な3種類の接触操作(第1~第3の接触操作と記す)に応じた動作について説明する。
【0040】
図9は、第1の接触操作を示す図である。
第1の接触操作は、手Hのうち所定以上の面積の部分(例えば、手のひら)をタッチパッド151の操作面151aに接触させる操作である。タッチパッド151により第1の接触操作が検出された場合には、画像投影部16による投影画像40の投影が中止され、又は開始される。第1の接触操作は、一旦開始させた投影を一時的に中断させ、また再開させるための操作としてもよい。この場合、最初に投影画像40の投影を開始させるための投影開始操作、及び最後に投影画像40の投影を終了させるための投影終了操作は、第1の接触操作とは異なる操作であってもよい。
【0041】
詳しくは、第1の接触操作が検出された時点において投影画像40の投影が行われていた場合には、第1の接触操作に応じて投影画像40の投影が中止される。例えば、CPU11による制御に従って、画像投影部16の光源161による発光が停止され(又は、所定の遮光部材により遮光され)、画像投影部16及び光射出部101からの光の射出が停止される。
一方、第1の接触操作が検出された時点において投影画像40の投影が行われていなかった場合には、第1の接触操作に応じて投影画像40の投影が開始(中止されていた場合には、再開)される。例えば、CPU11による制御に従って、画像投影部16の光源161による発光が開始され(又は遮光が解除され)、投影画像データ134に基づいて表示素子162により変調された光が光射出部101から射出され、投影画像40が投影面Sに投影される。
【0042】
図10は、第2の接触操作を示す図である。
第2の接触操作は、手Hの指Fをタッチパッド151の操作面151aに接触させて移動させる操作である。投影画像40の投影中にタッチパッド151により第2の接触操作が検出された場合には、投影中の投影画像40内にポインタ401が表示される。詳しくは、第2の接触操作が検出されると、
図7に示すように、中央にポインタ401が配置されたレイヤー画像42のレイヤー画像データ133が生成される。このレイヤー画像データ133がコンテンツ画像データ132に合成されて投影画像データ134が生成され、当該投影画像データ134に基づいて、
図8に示すように中央にポインタ401を有する投影画像40が投影される。このような処理により投影画像40においてポインタ401を表示させることを、以下では「ポインタ401をオーバーレイ表示させる」とも記す。
【0043】
また、操作面151aにおける指Fの移動軌跡に応じて、表示されたポインタ401が投影画像40内において移動する。詳しくは、指Fの移動軌跡に応じてレイヤー画像42(レイヤー画像データ133)におけるポインタ401の位置が変更され、当該位置の変更後のポインタ401が投影画像40にオーバーレイ表示される。指Fの接触位置の変化に応じてこの処理が繰り返し実行されることで、投影画像40においてポインタ401が移動する。
図10に示す例では、ユーザUから見て(-Y方向から見て)左上方向に指Fが移動しているため、これに応じて、
図7及び
図8に示すように、ポインタ401もレイヤー画像42及び投影画像40において左上方向に移動する。
なお、第2の接触操作が検出された時点において投影画像40が投影されていなかった場合には、第2の接触操作は投影装置1の動作に反映されない。
【0044】
図11は、第3の接触操作を示す図である。
図12は、第3の接触操作に応じた投影画像40の変化の例を示す図である。
第3の接触操作は、2本の指をタッチパッド151の操作面151aに接触させた状態で2本の指の間隔を増大又は減少させる操作である。投影画像40の投影中にタッチパッド151により第3の接触操作が検出された場合には、2本の指Fの間隔の増大又は減少に応じて投影画像40が拡大又は縮小される。例えば、
図11においては、タッチパッド151の操作面151aに接触した状態で親指と人差し指との間隔が増大している。このように2本の指Fの間隔を増大させる第3の接触操作が行われた場合には、2本の指Fの間隔の増大量に応じた拡大率で、投影画像40が拡大される。2本の指Fの間隔を減少させる第3の接触操作が行われた場合には、2本の指Fの間隔の減少量に応じた縮小率で、投影画像40が縮小される。投影画像40の拡大及び縮小は、同一の投影画像データ134に基づくデジタルズームイン及びデジタルズームアウトの処理により行われてもよい。
なお、第3の接触操作が検出された時点において投影画像40が投影されていなかった場合には、第3の接触操作は投影装置1の動作に反映されない。
【0045】
このようなタッチパッド151に対する第1~第3の接触操作によれば、従来の押しボタンやスイッチのように操作時に力を加える必要がないため、投影装置1の揺動を抑えつつ操作を行うことができる。これにより、投影画像40の揺動を効果的に抑制することができる。タッチキー152に対する接触操作についても同様の効果が得られる。
【0046】
ただし、タッチパッド151の操作面151aやタッチキー152の操作面152aへの手H(例えば、指F)の接触時に若干力が加わることがあり、この場合には、投影装置1及び投影画像40に揺動が生じ得る。
そこで、本実施形態の投影装置1では、CPU11は、操作部15により検出された接触操作に応じて画像投影部16に行わせる投影動作を、揺動検出部17により検出された揺動の強度に基づいて制御する。例えば、CPU11は、揺動検出部17により一定以上の大きさの揺動が検出された場合に、投影画像40が視認しにくくならないように投影動作を調整する。
【0047】
図12は、揺動の検出に応じた投影動作の制御を説明する図である。
図12の上段のグラフは、タッチパッド151に対する第2の接触操作の前後における投影装置1の揺動強度の推移を示している。縦軸の揺動強度は、揺動検出部17により検出された揺動の強度を表す。揺動強度は、例えば、所定の単位検出期間において検出された加速度(3軸方向について合成した加速度。以下同様)の極大値及び極小値の各絶対値、又は、単位検出期間における加速度の変動幅などであってもよい。あるいは、加速度の値を所定の方法で加工して揺動強度を導出してもよい。また、
図12に示すように、揺動強度に関する閾値Thが予め設定されている。閾値Thは、投影装置1の揺動に起因して生じる投影画像40の揺動が許容できるような揺動強度の範囲の上限以下の値に設定されている。
【0048】
図12に示す例においては、時点t0から時点t1の直前までは指Fがタッチパッド151の操作面151aに接触しておらず、時点t1において指Fが操作面151aに接触したものとする。また、時点t1以降、接触した指Fを操作面151a上で移動させる接触操作が継続的になされたものとする。よって、
図12の中段に示すように、時点t0から時点t1の直前までは操作が検出されず(「無操作」)、時点t1以降に操作が検出されている(「操作」)。このような第2の接触操作により、時点t0から時点t1の直前までは、揺動強度が閾値Th以下で推移し、時点t1において指Fの接触に起因して揺動強度が閾値Thを超えて増大しているものとする。また、その後、揺動強度が徐々に低減し、時点t2において閾値Th以下となったものとする。以下では、揺動強度が閾値Thを超える大きさとなっている期間を揺動期間Tと記す。
【0049】
本実施形態では、このように揺動強度が一時的に閾値Thを超えるような接触操作がなされた場合には、揺動期間Tにおいては、投影画像40内のポインタ401の表示又は移動が所定の態様で制限される。
一例を挙げると、揺動期間Tにおいては、接触操作に応じたポインタ401の表示が行われない。すなわち、
図12の下段に示すように、接触操作が開始された時点t1においては、揺動強度が閾値Thより大きいため、直ちにポインタ401の表示は行わず、揺動強度が閾値Th以下となる時点t2以降にポインタ401を表示させ、移動させる。これによれば、投影装置1及び投影画像40の揺動が大きく、ポインタ401を用いて所望の位置を指示するのが困難、または投影画像40を見ている者がポインタ401によって指示されている位置を視認することが困難な揺動期間Tにおいて、意図しない位置がポインタ401により指示されてしまう不具合の発生やポインタ401によって指示されている位置を視認することの困難性を抑制することができる。また、
図13に示すように、揺動期間Tにおいてはポインタ401を表示させた上で停止させ、時点t2以降にポインタ401を移動させてもよい。また、
図14に示すように、揺動期間Tにおいては画像投影部16による投影画像40の投影自体を中止(光源161の発光を停止)させ、時点t2以降に画像投影部16による投影画像40の投影を再開(光源161の発光を開始)させ、投影画像40においてポインタ401の表示及び移動を行ってもよい。
図13または
図14を参照して説明した実施形態においても、意図しない位置がポインタ401により指示されてしまう不具合の発生やポインタ401によって指示されている位置を視認することの困難性を抑制できる。
図14の実施形態では、さらに、揺動が大きい投影画像40を視認しなければならない不快感を抑制することができる。
【0050】
なお、上記では、指Fを接触させて移動させる第2の接触操作を例に挙げて説明したが、第1の接触操作、第3の接触操作、又は、これら以外の任意の接触操作についても、揺動期間Tにおいて、投影画像40が視認しにくくならないように投影動作が調整されてもよい。例えば、第1の接触操作に応じて揺動強度が閾値Thを超えた場合には、揺動期間Tにおいては第1の接触操作に応じた投影画像40の投影を開始(再開)させないこととしてもよい。また、第3の接触操作に応じて揺動強度が閾値Thを超えた場合には、揺動期間Tにおいては投影画像40の投影を中止し、揺動強度が閾値Th以下となった後に、第3の接触操作に応じて拡大又は縮小された投影画像40の投影を開始(再開)させてもよい。
【0051】
<画像投影処理>
次に、上述の動作を実現するためにCPU11が実行する画像投影処理について説明する。
図15は、画像投影処理の制御手順を示すフローチャートである。
画像投影処理は、投影装置1の電源が投入された場合に開始される。
【0052】
画像投影処理が開始されると、CPU11は、投影画像40の投影の開始を指示する投影開始操作がユーザUによりなされたか否かを判別する(ステップS101)。投影開始操作がなされていないと判別された場合には(ステップS101で“NO”)、CPU11は、再度ステップS101を実行する。
【0053】
投影開始操作がなされたと判別された場合には(ステップS101で“YES”)、CPU11は、投影装置1の揺動強度が閾値Th以下であるか否かを判別する(ステップS102)。ここでは、CPU11は、揺動検出部17から投影装置1の揺動強度に係るデータを取得し、予め設定されて記憶部13に記憶されている閾値Thと揺動強度とを比較することで上記の判別を行う。揺動強度が閾値Thより大きいと判別された場合には(ステップS102で“NO”)、CPU11は、再度ステップS102を実行する。
【0054】
揺動強度が閾値Th以下であると判別された場合には(ステップS102で“YES”)、CPU11は、投影画像40の投影を開始する(ステップS103)。ここでは、CPU11は、ステップS101の投影開始操作で指示されたコンテンツ画像41に係るコンテンツ画像データ132と、レイヤー画像42に係るレイヤー画像データ133とを合成して投影画像データ134を生成する。なお、レイヤー画像42に配置するオブジェクトがない場合には、レイヤー画像データ133の合成は省略してもよい。また、CPU11は、生成した投影画像データ134を画像投影部16に供給するとともに光源161の発光を開始させ、投影画像データ134に応じた投影画像40の投影を開始させる。ステップS102~S103のように、揺動強度が閾値Th以下であると判別された後に投影画像40の投影を開始させることで、投影される投影画像40の揺動を小さく抑えることができるため、揺動が大きい投影画像40を視認しなければならない不快感を抑制することができる。
【0055】
CPU11は、操作部15のタッチパッド151に対する接触操作が検出されたか否かを判別する(ステップS104)。また、接触操作が検出されたと判別された場合には(ステップS104で“YES”)、CPU11は、検出された接触操作が第1~第3の接触操作のいずれであるかを判別する(ステップS105~S107)。検出された接触操作が第1の接触操作であると判別された場合には(ステップS105で“YES”)、CPU11は、第1の応答処理を実行する(ステップS108)。ここでは、第1の接触操作は、タッチパッド151に対して接触した手Hがタッチパッド151から離れた時点で検出されるものとする。この場合、第1の応答処理は、手Hがタッチパッド151に接触していない状態で実行されることとなる。
【0056】
図16は、第1の応答処理の制御手順を示すフローチャートである。
第1の応答処理が呼び出されると、CPU11は、画像投影部16が投影画像40を投影中であるか否かを判別する(ステップS201)。画像投影部16が投影画像40を投影中であると判別された場合には(ステップS201で“YES”)、CPU11は、第1の接触操作に対する応答動作として、画像投影部16による投影画像40の投影を中止させる(ステップS202)。
【0057】
一方、画像投影部16が投影画像40を投影していないと判別された場合には(ステップS201で“NO”)、CPU11は、投影装置1の揺動強度が閾値Th以下であるか否かを判別する(ステップS203)。ステップS203の処理内容は、
図15のステップS102と同一である。揺動強度が閾値Thより大きいと判別された場合には(ステップS203で“NO”)、CPU11は、再度ステップS203を実行する。
【0058】
揺動強度が閾値Th以下であると判別された場合には(ステップS203で“YES”)、CPU11は、第1の接触操作に対する応答動作として、投影画像40の投影を再開させる(ステップS204)。
【0059】
ステップS202又はステップS204が終了すると、CPU11は、第1の応答処理を終了させて、処理を
図15の画像投影処理に戻す。
図15において、第1の応答処理(ステップS108)が終了すると、CPU11は、処理をステップS111に移行させる。
【0060】
なお、第1の接触操作は、タッチパッド151に対して手Hが接触した時点で検出されることとしてもよい。この場合には、手Hがタッチパッド151に接触している状態で
図16の第1の応答処理の一部又は全部が行われ得る。例えば、手Hがタッチパッド151に接触して第1の接触操作が検出され、手Hがタッチパッド151に接触したまま揺動強度が閾値以下となった場合には(ステップS203で“YES”)、手Hがタッチパッド151に接触した状態で投影画像40の投影が再開され得る(ステップS204)。
【0061】
図15のステップS104において検出された接触操作が第2の接触操作であると判別された場合には(ステップS105で“NO”、ステップS106で“YES”)、CPU11は、第2の応答処理を実行する(ステップS109)。
【0062】
図17は、第2の応答処理の制御手順を示すフローチャートである。
第2の接触操作は、指Fがタッチパッド151に接触した時点で開始され、指Fがタッチパッド151に接触している間、継続される。よって、第2の応答処理の一部又は全部は、指Fがタッチパッド151に接触している状態で行われる。ここでは、第2の応答処理の全体に亘って指Fがタッチパッド151に接触している場合を例に挙げて説明する。
【0063】
第2の応答処理が呼び出されると、CPU11は、投影装置1の揺動強度が閾値Th以下であるか否かを判別する(ステップS301)。ステップS301の処理内容は、
図15のステップS102と同一である。揺動強度が閾値Th以下であると判別された場合には(ステップS301で“YES”)、CPU11は、第2の接触操作に対する応答動作として、投影画像40においてポインタ401をオーバーレイ表示させ、指Fの接触位置の軌跡に応じてポインタ401を移動させる(ステップS302)。
【0064】
一方、揺動強度が閾値Thより大きいと判別された場合には(ステップS301で“NO”)、CPU11は、停止状態のポインタ401を投影画像40にオーバーレイ表示させる(ステップS303)。続いて、CPU11は、投影装置1の揺動強度が閾値Th以下であるか否かを判別する(ステップS304)。揺動強度が閾値Thより大きいと判別された場合には(ステップS304で“NO”)、CPU11は、再度ステップS304を実行する。揺動強度が閾値Th以下であると判別された場合には(ステップS304で“YES”)、CPU11は、第2の接触操作に対する応答動作として、指Fの接触位置の軌跡に応じてポインタ401を移動させる(ステップS305)。なお、ステップS305においては、揺動強度が閾値Thより大きい期間(ポインタ401が停止状態となっていた期間)の指Fの接触位置の軌跡を含めた指Fの軌跡に応じてポインタ401を移動させてもよい。あるいは、揺動強度が閾値Thより大きい期間の指Fの接触位置の軌跡は含めず、揺動強度が閾値Th以下となった後の指Fの接触位置の軌跡のみに応じてポインタ401を移動させてもよい。
【0065】
ステップS302又はステップS305が終了すると、CPU11は、第2の応答処理を終了させて、処理を
図15の画像投影処理に戻す。
なお、
図17に示した第2の応答処理は、
図13のように、揺動期間Tにおいて停止状態のポインタ401を表示させる場合に相当する。これに代えて、
図12のように、揺動期間Tにおいてポインタ401を非表示とする場合には、
図17においてステップS303~S305を省略すればよい。この場合において、ステップS301で揺動強度が閾値Thより大きいと判別された場合には、再度ステップS301を実行すればよい。
【0066】
また、第2の応答処理の途中で指Fがタッチパッド151から離れ、第2の接触操作が終了した場合には、第2の接触操作による指Fの軌跡をRAM12に記憶しておき、記憶された軌跡に基づいてステップS302、S303、S305の処理を実行してもよい。例えば、揺動強度が閾値Thより大きい期間に指Fがタッチパッド151から離れ、その後に揺動強度が閾値Th以下となった場合には(ステップS304で“YES”)、ステップS305では、RAM12に記憶された軌跡に基づいてポインタ401を移動させてもよい。
【0067】
図15に戻り、第2の応答処理(ステップS109)が終了すると、CPU11は、処理をステップS111に移行させる。
【0068】
図15のステップS104において検出された接触操作が第3の接触操作であると判別された場合には(ステップS105、S106で“NO”、ステップS107で“YES”)、CPU11は、第3の応答処理を実行する(ステップS110)。
【0069】
図18は、第3の応答処理の制御手順を示すフローチャートである。
第3の接触操作は、2本の指Fがタッチパッド151に接触した時点で開始され、指Fがタッチパッド151に接触している間、継続される。よって、第3の応答処理の一部又は全部は、指Fがタッチパッド151に接触している状態で行われる。ここでは、第3の応答処理の全体に亘って指Fがタッチパッド151に接触している場合を例に挙げて説明する。
【0070】
第3の応答処理が呼び出されると、CPU11は、投影装置1の揺動強度が閾値Th以下であるか否かを判別する(ステップS401)。ステップS401の処理内容は、
図15のステップS102と同一である。揺動強度が閾値Th以下であると判別された場合には(ステップS401で“YES”)、CPU11は、第3の接触操作に対する応答動作として、2本の指Fの間隔の変化に応じて投影画像40を拡大又は縮小させる(ステップS402)。
【0071】
一方、揺動強度が閾値Thより大きいと判別された場合には(ステップS401で“NO”)、CPU11は、投影画像40の投影を中止させる(ステップS403)。続いて、CPU11は、投影装置1の揺動強度が閾値Th以下であるか否かを判別する(ステップS404)。揺動強度が閾値Thより大きいと判別された場合には(ステップS404で“NO”)、CPU11は、再度ステップS404を実行する。揺動強度が閾値Th以下であると判別された場合には(ステップS404で“YES”)、CPU11は、投影画像40の投影を再開させ、第3の接触操作に対する応答動作として、2本の指Fの間隔の変化に応じて投影画像40を拡大又は縮小させる(ステップS405)。なお、ステップS405においては、揺動強度が閾値Thより大きい期間(投影画像40の投影が中止されていた期間)の指Fの接触位置の軌跡を含めた指Fの軌跡に応じて投影画像40を拡大又は縮小させてもよい。あるいは、揺動強度が閾値Thより大きい期間の指Fの接触位置の軌跡は含めず、揺動強度が閾値Th以下となった後の指Fの接触位置の軌跡のみに応じて投影画像40を拡大又は縮小させてもよい。
【0072】
ステップS402又はステップS405が終了すると、CPU11は、第3の応答処理を終了させて、処理を
図15の画像投影処理に戻す。
なお、第3の応答処理の途中で指Fがタッチパッド151から離れ、第3の接触操作が終了した場合には、第3の接触操作による指Fの軌跡をRAM12に記憶しておき、記憶された軌跡に基づいてステップS402、S403、S405の処理を実行してもよい。例えば、揺動強度が閾値Thより大きい期間に指Fがタッチパッド151から離れ、その後に揺動強度が閾値Th以下となった場合には(ステップS404で“YES”)、ステップS405では、RAM12に記憶された軌跡に基づいて投影画像40を拡大又は縮小させてもよい。
【0073】
図15において、第3の応答処理(ステップS110)が終了すると、CPU11は、処理をステップS111に移行させる。
【0074】
図15のステップS104において検出された接触操作が第1~第3の接触操作のいずれでもないと判別された場合には(ステップS105~S107で“NO”)、CPU11は、処理をステップS111に移行させる。なお、第1~第3の接触操作以外の操作(例えば、いずれかのタッチキー152に対する接触操作)がなされている場合には、CPU11は、ここで当該操作に対応する処理を実行してもよい。
【0075】
ステップS111では、CPU11は、投影画像40の投影の終了を指示する投影終了操作がユーザUによりなされたか否かを判別する。投影終了操作がなされていないと判別された場合には(ステップS111で“NO”)、CPU11は、処理をステップS104に戻す。投影終了操作がなされたと判別された場合には(ステップS111で“YES”)、CPU11は、画像投影部16による投影画像40の投影を終了させ(ステップS112)、画像投影処理を終了させる。
【0076】
<変形例>
続いて上記実施形態の変形例について説明する。本変形例は、揺動の検出に応じた動作制御を行う対象のオブジェクトが上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
【0077】
図19は、種々のオブジェクトを含むレイヤー画像42が重畳された投影画像40の例を示す図である。
図19に示す投影画像40においては、カーソル402、メニューバー403、及びドロップダウンリスト404がオーバーレイ表示されている。詳しくは、これらのカーソル402、メニューバー403、及びドロップダウンリスト404は、レイヤー画像42に配置されており、当該レイヤー画像42がコンテンツ画像41に重畳されることで、
図19に示す投影画像40が形成されている。このように、レイヤー画像42に含まれるオブジェクトは、上記実施形態のポインタ401に限られない。
【0078】
このうちカーソル402は、第2の接触操作による操作対象とされてもよい。すなわち、タッチパッド151の操作面151aに指Fを接触させて移動する接触操作により、カーソル402が移動するようにしてもよい。また、第2の接触操作により、このカーソル402を用いたドラッグ操作が可能であってもよく、当該ドラッグ操作により、他のオブジェクトを移動させることが可能であってもよい。また、第2の接触操作によりカーソル402を移動させることで、メニューバー403の任意の項目を指示して選択したり、当該選択に応じて表示されるドロップダウンリスト404内の項目を選択したりすることが可能であってもよい。
【0079】
カーソル402の移動を伴うこれらの操作は、上記実施形態におけるポインタ401の移動のための操作と同様に、投影装置1の揺動強度が閾値Thより大きい場合には適切に行うことが困難であり、誤動作に繋がる場合がある。このため、揺動強度が閾値Thより大きい揺動期間Tにおいて、ポインタ401の場合と同様の態様で、投影画像40内のカーソル402の表示又は移動、若しくは投影画像40の投影が制限されてもよい。
また、カーソル402以外の任意のオブジェクトについても、揺動期間Tにおいて、ポインタ401の場合と同様の態様で表示又は移動が制限されてもよい。例えば、揺動期間Tにおいてはメニューバー403やドロップダウンリスト404を表示させないようにしてもよい。
また、揺動の検出に応じた動作制御は上記に限られない。揺動期間Tにおいて或るオブジェクトを表示又は移動させるための接触操作を行うと誤動作が生じ得る場合には、揺動期間Tにおいて当該或るオブジェクトの表示又は移動、若しくは投影画像40の投影が制限されてもよい。また、揺動期間Tにおいて接触操作を行うと誤操作が生じ得る場合には、揺動期間Tにおいて当該接触操作に対応する処理の実行が所定の態様で制限されてもよい。
【0080】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る投影装置1は、制御部としてのCPU11と、CPU11による制御に従って投影画像40の投影に係る投影動作を行う画像投影部16と、ユーザUによる接触操作を検出する操作部15と、投影装置1の揺動を検出する揺動検出部17と、を備え、CPU11は、操作部15により検出された接触操作に応じて画像投影部16に行わせる投影動作を、揺動検出部17により検出された揺動の強度に基づいて制御する。
これにより、操作部15への接触操作の際に手Hから力が加わってしまった場合など、投影装置1が揺動している場合に、当該揺動による投影画像40の乱れを抑制することができる。例えば、揺動する投影画像40が投影され続けたり、投影画像40内に、ユーザが意図しない位置を指示するポインタ401が表示されたりする動作が行われないようにすることができる。
【0081】
また、CPU11は、揺動検出部17により検出された揺動の強度が閾値Th以下になったと判別された後に、画像投影部16による投影画像40の投影を開始させてもよい。これにより、揺動が小さい状態で投影画像40の投影を開始させることができる。
【0082】
また、CPU11は、手Hのうち所定以上の面積の部分を接触させる第1の接触操作が操作部15により検出された場合には、画像投影部16による投影画像40の投影を中止させ、又は開始させる。これにより、操作部15の操作面151aを覆う簡易な接触操作により、投影画像40の投影を中止させ、また再開させることができる。このような第1の接触操作は、操作面151aを視認せずに行うことができるため、投影の中止及び再開を簡易に切り替えることができる。
【0083】
また、CPU11は、指Fを操作部15に接触させて移動させる第2の接触操作が操作部15により検出された場合には、投影画像40内に表示させたポインタ401(オブジェクト)を指Fの移動軌跡に応じて移動させる。これにより、接触操作によって、投影装置1及び投影画像40の揺動を抑えつつ、投影画像40上でポインタ401を動かすことができる。よって、ユーザUが投影画像40に近付いて投影面Sを直接指で指し示すといった動作を行うことなく、その場で投影画像40上の任意の点を指し示すことができる。また、ポインタ401を動かすためにリモコン等の他の機器を持って操作する必要がないため、ユーザUの両手を空けた状態とすることができる。
【0084】
また、CPU11は、2本の指Fを操作部15に接触させた状態で2本の指Fの間隔を増大又は減少させる第3の接触操作が操作部15により検出された場合には、2本の指Fの間隔の増大又は減少に応じて投影画像40を拡大又は縮小させる。これにより、接触操作によって、投影装置1及び投影画像40の揺動を抑えつつ、投影画像40を拡大又は縮小させることができる。
【0085】
また、投影装置1は、ユーザUの身体に装着した状態で用いることが可能であり、操作部15は、投影装置1の表面のうち、投影装置1がユーザUの身体に装着されている状態においてユーザUの手Hにより接触可能な位置に設けられている。投影装置1をユーザUの身体に装着した状態であっても、接触操作を検出可能な操作部15を用いることで、操作時の投影装置1及び投影画像40の揺動を抑えつつ投影装置1を操作することができる。これにより、投影画像40を見やすくすることができる。また、ユーザUは、操作部15に対する接触操作を行わないときには、両手を空けた状態とすることができるため、投影画像40を投影しつつ他の作業を行うことができる。
【0086】
<その他>
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る投影装置、投影方法及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、投影装置1の装着位置は、ユーザUの腰部に限られず、胴体、脚、腕、肩、又は頭部等に装着した状態で使用することが可能であってもよい。また、投影装置1は、卓上等に載置した状態においても使用可能であってもよい。また、投影装置1は、ユーザUの身体に装着可能な構成となっていないものであってもよい。
【0087】
また、ユーザUが身に付けている被取付部材(上記実施形態では、ベルト2)に投影装置1を取り付ける態様に代えて、ユーザUの身体に投影装置1を直接取り付ける態様としてもよい。例えば、投影装置1の取付部材20がベルト又はバンド等を有し、当該ベルト又はバンドをユーザUの身体に巻き付けることで投影装置1を装着する態様であってもよい。
【0088】
また、
図1に示す待機状態において投影画像40を投影可能としてもよい。この場合には、-X方向に向いた状態の操作部露出面10aに設けられたタッチパッド151やタッチキー152に対して横方向から接触操作を行えばよい。
【0089】
また、操作部15は、タッチパッド151及びタッチキー152に限られず、ユーザUの手H(指を含む)による接触操作を検出することが可能であればどのような構成であってもよい。例えば、操作部15は、接触操作を行うためのソフトウェアキー(表示部の画面上にソフトウェアにより実現されたキー)やハードウェアキーを有していてもよい。よって、接触操作は、手H(指を含む)による接触対象の部材への力の印加を要しないか、ほぼ要しない操作に限られず、操作部15に対する力が或る程度掛かる操作(例えば上記のソフトウェアキーやハードウェアキーに対する操作)であってもよい。
【0090】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13のHDD、SSDを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0091】
また、上記実施形態における投影装置1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0092】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0093】
1 投影装置
10 本体部
10a 操作部露出面
10b 側面
101 光射出部
11 CPU(制御部)
12 RAM
13 記憶部
14 レイヤー画像生成部
15 操作部
151 タッチパッド
152 タッチキー
16 画像投影部
161 光源
17 揺動検出部(検出部)
18 通信部
19 バス
40 投影画像(画像)
401 ポインタ(オブジェクト)
402 カーソル(オブジェクト)
403 メニューバー(オブジェクト)
404 ドロップダウンリスト(オブジェクト)
F 指
H 手
S 投影面
T 揺動期間
Th 閾値
U ユーザ