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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081174
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/38 20060101AFI20240611BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240611BHJP
   B65H 5/22 20060101ALI20240611BHJP
   B65H 23/10 20060101ALI20240611BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B65H5/38
B65H5/06 N
B65H5/22 C
B65H23/10
B41J2/01 125
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194590
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 慶和
(72)【発明者】
【氏名】田中 貢
【テーマコード(参考)】
2C056
3F049
3F101
3F104
【Fターム(参考)】
2C056EA17
2C056HA29
2C056HA40
2C056HA46
2C056HA47
3F049AA05
3F049DA11
3F049DB11
3F049EA13
3F049FB00
3F049LA01
3F049LB01
3F101FB11
3F101FC05
3F101FC11
3F101FC16
3F101FC19
3F101LA01
3F101LB01
3F104AA01
3F104BA01
3F104BA17
3F104DA13
3F104DA29
3F104DA30
3F104FA07
(57)【要約】
【課題】加熱面と記録媒体との密着性を高める搬送装置を提供する。
【解決手段】 搬送装置100は、加熱面を有するヒータプレート72と、ヒータプレート72よりも記録媒体の搬送方向8Aの下流に位置しており、記録媒体をニップして搬送方向8Aに搬送する下流ローラ対と、を備えており、加熱面は、搬送方向8Aの上流を向く第1面と、第1面における搬送方向8Aの下流端に接続され、搬送方向8Aの下流を向く第2面と、を含み、第1面の下流端は、下流ローラ対のニップ位置D1を含み搬送方向8Aに沿った仮想線V1に対して、記録媒体の記録面90が向く第1側に位置し、第2面の搬送方向8Aに沿った長さL1は、第1面の搬送方向8Aに沿った長さL2よりも長い

【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱面を有するヒータプレートと、
上記ヒータプレートよりも記録媒体の搬送方向の下流に位置しており、上記記録媒体をニップして上記搬送方向に搬送する下流ローラ対と、を備えており、
上記加熱面は、
上記搬送方向の上流を向く第1面と、
上記第1面における上記搬送方向の下流端に接続され、上記搬送方向の下流を向く第2面と、を含み、
上記第1面の下流端は、上記下流ローラ対のニップ位置を含み上記搬送方向に沿った仮想線に対して、上記記録媒体の記録面が向く第1側に位置し、
上記第2面の上記搬送方向に沿った長さは、上記第1面の上記搬送方向に沿った長さよりも長い搬送装置。
【請求項2】
上記第2面の下流端は、上記仮想線に対して上記第1側に位置する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記ヒータプレートよりも上記搬送方向の上流に位置しており、上記記録媒体をニップして上記搬送方向に搬送する上流ローラ対をさらに備えており、
上記第1面の上流端は、上記仮想線に対して上記第1側とは反対の第2側に位置する請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
上記ヒータプレートよりも上記搬送方向の上流に位置しており、上記記録媒体を吸着する吸着面と、上記記録媒体を上記搬送方向へ搬送する搬送ベルトと、を有する吸着機構をさらに備えており、
上記吸着面は、上記仮想線に対して上記第1側とは反対の第2側に位置しており、
上記第1面の上流端は、上記仮想線に対して上記吸着面より離れている請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項5】
上記下流ローラ対は、下流駆動ローラを備えており、
上記上流ローラ対は、上流駆動ローラを備えており、
上記下流駆動ローラの搬送速度は、上記上流駆動ローラの搬送速度よりも大きい請求項3に記載の搬送装置。
【請求項6】
上記下流ローラ対は、下流駆動ローラを備えており、
上記下流駆動ローラの搬送速度は、上記搬送ベルトの搬送速度よりも大きい請求項4に記載の搬送装置。
【請求項7】
上記第2面は、平面または上方に膨出する湾曲面である請求項1に記載の搬送装置。
【請求項8】
上記ヒータプレートは、熱源をさらに備えており、
上記熱源は、上記加熱面より上記第1側とは反対の第2側に位置している請求項1に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を加熱するヒータを備える搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置の一例として、用紙(記録媒体)の搬送方向に沿って延びる板状のヒータを備える液体噴射装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ヒータは、搬送方向において、液体噴射ヘッドの下流に位置している。ヒータの上面は、用紙を加熱する加熱面と、用紙の印刷面とは反対の面を支持しつつ用紙を案内する搬送面とを兼ねている。用紙がヒータの加熱面に沿って搬送されることにより、用紙上のインクが乾燥する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-69531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱面が搬送方向に沿う平面である場合、加熱面と用紙との間に浮きが発生して、加熱面と用紙との密着性が低くなることがある。密着性が低いと、乾燥対象の用紙の温度が十分に上がらず、インクの定着性も低くなる。そこで、加熱面と記録媒体との密着性を高めるのが好ましい。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱面と記録媒体との密着性を高める搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る搬送装置は、加熱面を有するヒータプレートと、上記ヒータプレートよりも記録媒体の搬送方向の下流に位置しており、上記記録媒体をニップして上記搬送方向に搬送する下流ローラ対と、を備えており、上記加熱面は、上記搬送方向の上流を向く第1面と、上記第1面における上記搬送方向の下流端に接続され、上記搬送方向の下流を向く第2面と、を含み、上記第1面の下流端は、上記下流ローラ対のニップ位置を含み上記搬送方向に沿った仮想線に対して、上記記録媒体の記録面が向く第1側に位置し、 上記第2面の上記搬送方向に沿った長さは、上記第1面の上記搬送方向に沿った長さよりも長い。
【0007】
搬送される記録媒体は、第1面に接触しつつ第1側へ案内される。記録媒体が下流ローラ対にニップされると、第1面の下流端が第1側に位置するので、記録媒体がニップ位置と第1面の後端との間で第2面に密着する。
【0008】
(2) 上記第2面の下流端は、上記仮想線に対して上記第1側に位置してもよい。
【0009】
第2面の下流端においても記録媒体の密着性が向上する。
【0010】
(3) 本搬送装置は、上記ヒータプレートよりも上記搬送方向の上流に位置しており、上記記録媒体をニップして上記搬送方向に搬送する上流ローラ対をさらに備えており、上記第1面の上流端は、上記仮想線に対して上記第1側とは反対の第2側に位置してもよい。
【0011】
記録媒体が上流ローラ対と下流ローラ対とにそれぞれニップされるので、記録媒体に搬送方向に沿ったテンション(張力)が加わる。これにより、記録媒体が第2面に安定して密接する。第1面の上流端が仮想線に対して第2側にあるので、上流ローラ対にニップされて搬送される記録媒体の先端が第1面に当接して第1側へ案内される。
【0012】
(4) 本搬送装置は、上記ヒータプレートよりも上記搬送方向の上流に位置しており、上記記録媒体を吸着する吸着面と、上記記録媒体を上記搬送方向へ搬送する搬送ベルトと、を有する吸着機構をさらに備えており、上記吸着面は、上記仮想線に対して上記第1側とは反対の第2側に位置しており、上記第1面の上流端は、上記仮想線に対して上記吸着面より離れていてもよい。
【0013】
記録媒体が吸着面に吸着され、かつ下流ローラ対にニップされるので、記録媒体に搬送方向に沿ったテンション(張力)が加わる。これにより、記録媒体が第2面に安定して密接する。吸着面が仮想線に対して第2側にあり、かつ第1面の上流端が仮想線に対して吸着面より離れているので、吸着機構により搬送される記録媒体の先端が第1面に当接して第1側へ案内される。
【0014】
(5) 上記下流ローラ対は、下流駆動ローラを備えており、上記上流ローラ対は、上流駆動ローラを備えており、上記下流駆動ローラの搬送速度は、上記上流駆動ローラの搬送速度よりも大きくてもよい。
【0015】
下流ローラ対と上流ローラ対との間で、搬送方向に沿って記録媒体にテンションが加わるので、記録媒体が第2面に安定して密着する。
【0016】
(6) 上記下流ローラ対は、下流駆動ローラを備えており、上記下流駆動ローラの搬送速度は、上記搬送ベルトの搬送速度よりも大きくてもよい。
【0017】
下流ローラ対と搬送ベルトとの間で、搬送方向に沿って記録媒体にテンションが加わるので、記録媒体が第2面に安定して密着する。
【0018】
(7) 第2面は、平面または上方に膨出する湾曲面であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、記録媒体と第2面との密着性を向上できる。
【0020】
(8) 上記ヒータプレートは、熱源をさらに備えており、上記熱源は、上記加熱面より上記第1側とは反対の第2側に位置してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、加熱面と記録媒体との密着性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、搬送装置の外観斜視図である。
図2図2は、搬送装置の内部構造を示す縦断面図である。
図3図3は、ヒータユニットの構成を示す分解斜視図である。
図4図4は、ヒータプレート、導入ローラ対、および排出ローラ対との位置関係を示す側面図である。
図5図5は、ヒータプレートに向けて搬送されるシートを示す概略図である。
図6図6は、ヒータプレートに向けて搬送されるシートを示す概略図である。
図7図7は、排出ローラ対と導入ローラ対とにニップされているシートを示す概略図である。
図8図8は、ヒータプレート、支持機構、および排出ローラ対との位置関係を示す側面図である。
図9図9は、湾曲する定着面を有するヒータプレートを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0024】
また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、搬送装置100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口33が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、搬送装置100を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0025】
[搬送装置100の外観構成]
図1に示される搬送装置100は、インクジェット記録方式でロール体37(図2参照)をなすシートS(記録媒体の一例)に画像を記録する。
【0026】
搬送装置100は、筐体30を備える。筐体30は、上筐体31および下筐体32を備える。上筐体31および下筐体32は、全体として概ね直方体形状であって、卓上に載置可能な大きさである。筐体30は、右壁部30Rおよび左壁部30Lと、上壁部30Uおよび下壁部30D(図2参照)と、前壁部30Fおよび後壁部30Bと、を有する。右壁部30Rおよび左壁部30Lは、左右方向9に離れて位置する。上壁部30Uおよび下壁部30Dは、上下方向7に離れて位置する。前壁部30Fおよび後壁部30Bは、前後方向8に離れて位置する。
【0027】
前壁部30Fには、ヘッド38(図2参照)によって記録されたシートSが排出される排出口33が形成されている。排出口33は、前壁部30Fの上部に位置している。排出口33は、上下方向7よりも左右方向9に長い矩形状である。前壁部30Fの上部には、操作パネル44が設けられている。操作パネル44は、搬送装置100を動作させたり各種設定を画定したりするための入力を作業者から受け付ける。
【0028】
筐体30は、第1上カバー31Aと第2上カバー31Bとを有する。第1上カバー31Aは、上壁部30Uの後方側の一部と右壁部30Rの後方側の上部を形成している(図1参照)。第1上カバー31Aは、左右方向9に延びる回動軸15(図2参照)を中心に回動可能に後壁部30Bの上端部に連結されている。第1上カバー31Aは、図1および図2に示される閉位置から、上壁部30Uの後方側の一部が上方へ持ち上げられるようにして回動され開位置まで回動する。第1上カバー31Aが開位置まで回動すると、筐体30の内部空間30Aが外部へ露出される。
【0029】
第2上カバー31Bは、第1上カバー31Aの前方に位置している。第2上カバー31Bは、左壁部30Lの上部と右壁部30Rの前方側の上部と上壁部30Uの前方側と上壁部30Uの後方側の一部とを形成している(図1参照)。第2上カバー31Bは、左右方向9に延びる回動軸15を中心に回動可能に後壁部30Bの上端部に連結されている。第2上カバー31Bは、図1に示される閉位置から、上壁部30Uの前方側の一部が上方へ持ち上げられるようにして回動されて開位置まで回動する。閉位置の第2上カバー31Bは、筐体30の内部空間30Aを塞ぐ(図2参照)。開位置の第2上カバー31Bは、筐体30の内部空間30Aを外部に対して開く。
【0030】
図2に示されるように、搬送路43は、筐体30の内部空間30Aにおいてロール紙収容空間30Cから上向きに延びた後、排出口33まで前向きに延びている。具体的には、搬送路43は、第1搬送路43Aおよび第2搬送路43Bを有する。第1搬送路43Aは、ロール紙収容空間30Cから隙間42を通って後述のテンショナ45の上端まで上向き53に延びた後、搬送ローラ対36まで前向きに延びている。第2搬送路43Bは、搬送ローラ対36から前向きに延びて排出口33に繋がっている。以下の説明では、第2搬送路43Bにおいて、搬送ローラ対36から排出口33に向かう方向(前方)が搬送方向8Aとして説明される。
【0031】
[搬送装置100の内部構成]
筐体30の内部空間30Aには、2つのサイドフレーム20が設けられている。各サイドフレーム20は、鋼板からなる平板形状であり、支持する部材に応じた形状の切り欠きや貫通孔が適宜形成されている。2つのサイドフレーム20は、左右方向9に離れて位置する。各サイドフレーム20は、筐体30の下壁部30Dに連結されている。各サイドフレーム20の連結は、ネジ止めや溶接によりなされている。
【0032】
筐体30の内部空間30Aには、図2および図3に示されるように、ロール体ホルダ35、テンショナ45、搬送ローラ対36、ヘッド38、支持機構116、導入ローラ対50(上流ローラ対の一例)、ヒータユニット70、光学的ラインセンサ25、排出ローラ対40(下流ローラ対の一例)、およびカッターユニット26が配置されている。
【0033】
筐体30の内部空間30Aには、隔壁41が設けられている。隔壁41は、内部空間30Aの後方側の下部を仕切って、ロール紙収容空間30Cを区画する。ロール紙収容空間30Cは、隔壁41、後壁部30B、及び下壁部30Dによって包囲され、ヘッド38などから隔離された空間である。
【0034】
ロール紙収容空間30Cには、ロール体37、及びロール体ホルダ35が収容される。ロール体37は、芯管と、長尺のシートSとを有している。シートSは、芯管の軸芯の周方向にロール状に芯管に巻回されている。シートSは、搬送装置100が画像を記録可能な最小幅から最大幅までの幅をとり得る。すなわち、ロール紙収容空間30Cには、幅が異なる複数種類のロール体37が収容可能である。なお、ロール体37は、芯管を有さず、シートSがロール体ホルダ35に装着可能にロール状に巻回されていてもよい。
【0035】
ロール紙収容空間30Cは、後部において上向き53に開口している。詳細には、隔壁41と後壁部30Bとの間、すなわち、ロール体37の後端の上方に隙間42が形成されている。シートSは、ロール体ホルダ35によってロール体37の後端から上方に引き出され隙間42を介してテンショナ45へと案内される。
【0036】
ロール体ホルダ35は、ロール紙収容空間30Cに位置している。ロール体ホルダ35は、図示しないモータからの駆動力によって回転することでロール体37を回転させる。これにより、ロール体ホルダ35は、ロール体37からシートSを繰り出す。
【0037】
テンショナ45は、内部空間30Aの後部において隔壁41よりも上方に位置する。テンショナ45は、後壁部30Bに対向する外周面45Aを有している。外周面45Aは、左右方向9においてシートの最大幅以上の大きさであり、通紙中心に対して互いに対称な形状を有している。外周面45Aの上端は、上下方向7において搬送ローラ対36のニップ位置D1と概ね同じ上下位置にある。
【0038】
搬送ローラ対36は、テンショナ45の前方に位置する。搬送ローラ対36は、テンショナ45によって案内されたシートSを前向きに搬送する。具体的には、搬送ローラ対36は、搬送ローラ36Bとピンチローラ36Aとを有する。搬送ローラ36Bは、サイドフレーム20に回転可能に支持されている。搬送ローラ36Bは、図示しないモータから駆動伝達されて回転することによって、ピンチローラ36Aとの間にシートSをニップしつつ前向きにシートSを搬送する。
【0039】
ヘッド38は、搬送ローラ対36の前方であって、排出ローラ対40よりも後方に位置する。ヘッド38は、複数のノズル38Aを有する。複数のノズル38Aは、支持機構116に支持されたシートSへ向かってインクを液滴として下方へ吐出する。これにより、シートSの上面に画像が記録される。ヘッド38には、筐体30の内部空間30Aに配置されたインクタンク(図示せず)がチューブ(図示せず)によってインクを供給可能に接続されている。インクとしては、例えば、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子を含む水性インクが用いられる。本実施形態におけるインクは、加熱によってシートSに定着させることができるものであれば、特に限定されることはない。
【0040】
支持機構116は、搬送ローラ対36よりも前方に位置する。支持機構116は、ヘッド38の下方に位置している。支持機構116は、ヘッド38と上下方向7に対向している。支持機構116は、搬送ベルト117と、搬送ベルト117を支持する支持部118と、を有する。搬送ベルト117は、回転することによって、シートSの下面を支持しつつ前向きにシートSを搬送する。
【0041】
導入ローラ対50は、ヘッド38および支持機構116よりも前方に位置している。導入ローラ対50は、支持機構116によって搬送されたシートSを前向きに搬送する。具体的には。導入ローラ対50は、導入ローラ50B(上流駆動ローラの一例)と、拍車50Aと、を有する。導入ローラ50Bは、サイドフレーム20に回動可能に支持されている。導入ローラ50Bは、図示しないモータから駆動伝達されて回動することによって、拍車50Aとの間にシートSをニップしつつ前向きにシートSを搬送する。図2に示されるように、導入ローラ対50は、ニップ位置D2において、シートSをニップしている。
【0042】
ヒータユニット70は、導入ローラ対50よりも前方に位置している。ヒータユニット70は、第2搬送路43Bよりも下方に位置する。ヒータユニット70は、導入ローラ対50によって搬送されたシートSを下面から加熱する。ヒータユニット70は、加熱により、シートSに吐出されたインクを定着させる。ヒータユニット70の構成については後述する。
【0043】
光学的ラインセンサ25は、ヒータユニット70のよりも前方に位置している。光学的ラインセンサ25は、ヘッド38によりシートSに記録された画像に対して図示しない光源から照射した光の反射を受光して電気的に検知する。光学的ラインセンサ25は、例えば、光源を内蔵するCIS(コンタクトイメージセンサ)である。
【0044】
排出ローラ対40は、ヒータユニット70よりも前方に位置する。排出ローラ対40は、シートSの下面に当接する排出ローラ40B(下流駆動ローラの一例)と、シートSの上面に当接する拍車40Aとを有する。排出ローラ40Bは、回転することによって、拍車40Aとの間にシートSをニップしつつ前向きにシートSを搬送する。排出ローラ対40は、例えば、光学的ラインセンサ25の前後に一対に配置されている。排出ローラ対40は、例えば、導入ローラ対50のニップ位置D2と上下方向7において同じ位置(ニップ位置D1)でシートSをニップする。排出ローラによるシートSの搬送速度は、導入ローラ50BによるシートSの搬送速度よりも大きい。これにより、排出ローラ対40と導入ローラ対50との間に位置するシートSにテンションがかかる。
【0045】
カッターユニット26は、排出ローラ対40の前方に位置する。カッターユニット26は、シートSを切断するカッター28と、カッター28を保持するカッターホルダ27と、を有する。カッターユニット26は、シートSを左右方向9に沿って切断できれば、特に限定されない。例えば、カッターユニット26は、左右方向9に移動することによってシートSを切断してもよい。
【0046】
[ヒータユニット70]
図3に示されるように、ヒータユニット70の平面視における外径は、左右方向9に長い矩形である。ヒータユニット70の左右方向における両端は、例えば、左右方向9に一対に位置する金属製のフレーム60に固定されている。ヒータユニット70は、フレーム60を介してサイドフレーム20に支持される。ヒータユニット70は、前後方向8に搬送されるシートSの搬送路43を横断する。ヒータユニット70は、ポリイミドヒータ71と、ヒータプレート72と、を備える。
【0047】
ポリイミドヒータ71は、平面視における外径が矩形である。ポリイミドヒータ71は、上下方向7に面を向けている。ポリイミドヒータ71は、左右方向9に沿って長い。ポリイミドヒータ71は、例えば、搬送されるシートSの左右方向9における幅よりも左右方向9に長い。ポリイミドヒータ71は、図示しない電熱線を発熱体として発熱する。
【0048】
ヒータプレート72は、例えば、金属製の板体である。ヒータプレート72は、平面視における外径が矩形である。ヒータプレート72は、左右方向9に沿って長い。ヒータプレート72は、例えば、搬送されるシートSの左右方向9における幅よりも左右方向9に長い。ヒータプレート72は、上下方向7において、ポリイミドヒータ71に重なる。ヒータプレート72の下面は、ポリイミドヒータ71の上面に対向する。ヒータプレート72は、ポリイミドヒータ71によって加熱される。ヒータプレート72は、例えば、段付きネジ73によって四隅をフレームに固定されている。ヒータプレート72およびポリイミドヒータ71は、例えば、図示しない付勢部材(例えば、コイルバネ)によって上方に向けて付勢されている。
【0049】
ヒータプレート72の上面85は、搬送路43を搬送されるシートSの下面(以下、搬送面80ともいう)を支持する。ヒータプレート72の上面85(加熱面の一例)は、シートSを下面から加熱する。図4に示されるように、ヒータプレート72の上面85は、導入面86(第1面の一例)と、定着面87(第2面の一例)と、を有している。以下の説明では、排出ローラ対40のニップ位置D1を含み、搬送方向8Aに沿った方向を示す線が仮想線V1として説明される。仮想線V1は、例えば、導入ローラ対50のニップ位置D2を含む。仮想線V1に対して、シートSの上面が向く側を記録面側U1(第1側の一例)という。仮想線V1に対して、シートSの下面が向く側を搬送面側U2(第2側の一例)という。第1側は、例えば、第2搬送路43Bに対して、拍車40Aおよび拍車50Aが位置する側である。第2側は、第2搬送路43Bに対して、排出ローラ40Bおよび導入ローラ50Bが位置する側である。
【0050】
[導入面86]
導入面86は、ヒータプレート72において、搬送方向8Aの上流側に位置する面である。換言すると、導入面86は、ヒータプレート72において、後端側に位置する面である。導入面86は、例えば、矩形の平面である。導入面86は、搬送方向8Aの上流を向く。具体的には、導入面86は、法線向き5(図4参照)が鉛直上向きの成分および水平後向きの成分を有する面である。導入面86は、例えば、第2搬送路43Bに対して、上方且つ後方を向いて傾斜する面である。導入面86の上流端86Aは、上下方向7において、導入面86の下流端86Bよりも下方に位置している。導入面86は、シートSの搬送面80に当接する。
【0051】
導入面86の上流端86Aは、ヒータプレート72の上流端である。導入面86の上流端86Aは、上下方向7において、導入ローラ対50のニップ位置よりも下方に位置する。具体的には、導入面86の上流端86Aは、仮想線V1よりも搬送面側U2に位置する。
【0052】
導入面86の下流端86Bは、上下方向7において、導入ローラ対50のニップ位置D2よりも上方に位置する。具体的には、導入面86の下流端86Bは、仮想線V1よりも記録面側U1に位置する。
【0053】
[定着面87]
定着面87は、ヒータプレート72において、搬送方向8Aの下流側に位置する面である。換言すると、定着面87は、ヒータプレート72において、前端側に位置する面である。定着面87は、例えば、矩形の平面である。定着面87は、搬送方向8Aの下流を向く。具体的には、定着面87は、法線向き6(図4参照)が鉛直上向きの成分および水平前向きの成分を有する面である。定着面87は、例えば、第2搬送路43Bに対して、上方且つ前方を向いて傾斜する面である。定着面87の上流端87Aは、上下方向7において、定着面87の下流端よりも上方に位置している。定着面87の搬送方向8Aに沿った長さL1は、導入面86の搬送方向8Aに沿った長さL2よりも長い(L1>L2)。換言すると、図4から図6に示されるように、搬送方向8Aに沿う方向において、導入面86と定着面87との接続位置Cは、排出ローラ対40よりも導入ローラ対50の近くに位置している。定着面87は、シートSの搬送面80を加熱する。定着面87は、加熱により、シートSの記録面90に吐出されたインクを定着させる。
【0054】
定着面87の上流端87Aは、導入面86の下流端86Bに接続されている。定着面87の上流端87Aは、上下方向7において、排出ローラ対40のニップ位置D1よりも上方に位置する。具体的には、導入面86の上流端87Aは、導入面86の下流端86Bと同様に、仮想線V1よりも記録面側U1に位置する。
【0055】
定着面87の下流端87Bは、ヒータプレート72の下流端である。定着面87の下流端87Bは、上下方向7において、排出ローラ対40のニップ位置D1よりも上方に位置する。具体的には、定着面87の下流端87Bは、仮想線V1よりも記録面側U1に位置する。
【0056】
[搬送装置100における画像記録動作]
以下、搬送装置100における画像記録動作について説明する。
図2に示されるように、搬送ローラ対36が回動することにより、ロール体37からシートSが引き出される。シートSは、テンショナ45を通り、ヘッド38の位置に搬送される。ヘッド38のノズル38Aからは、シートSに対してインクが吐出される。シートSの記録面90にインクが吐出されることで、シートSに画像が記録される。
【0057】
図5に示されるように、画像の記録されたシートSは、導入ローラ対50にニップ位置D2でニップされる。シートSは、導入ローラ対50により、ヒータユニット70に向けて搬送される。ヒータユニット70に向けて搬送されたシートSは、ヒータプレート72の導入面86に接触する。具体的には、シートSの搬送面80が、導入面86に接触する。導入ローラ対50による搬送により、シートSは、導入面86に当接しつつ、搬送方向8Aの下流に向けて移動する。シートSは、搬送方向8Aに向けて、導入面86によりガイドされる。シートSは、導入面86との接触位置T1から接続位置Cに向けて移動することで、導入ローラ対50のニップ位置D2から記録面側U1に移動する。
【0058】
図6に示されるように、接続位置Cまで搬送されたシートSの先端は、接続位置Cを超えた位置で導入面86から定着面87に移動する。シートSは、接続位置Cから直下流の一部分において、上面85から離間する。シートSは、先端がさらに記録面側U1に向けて移動することで、記録面側U1から搬送面側U2に向けて撓む。シートSの搬送面80は、接続位置Cから搬送方向8Aにさらに搬送されることで、定着面87に接触する。シートSの先端は、定着面87を摺動しながら搬送面側U2に向けて移動する。
【0059】
図7に示されるように、定着面87の下流端87Bに到達したシートSの先端は、定着面87の下流端87Bまで定着面87と摺動し、下流端87Bより搬送方向8Aの下流側において定着面から離れる。定着面87の下流端87Bを通過したシートSの先端は、搬送面側U2に向けて撓む。シートSの先端はさらに搬送されることで、定着面87の下流端87Bよりも搬送面側U2に位置する排出ローラ対40のニップ位置D1にニップされる。
【0060】
排出ローラ40BによるシートSの搬送速度は、導入ローラ50Bの搬送速度よりも大きい。搬送速度とは、単位時間あたりに各ローラの回転によって搬送されると仮定されるシートSの搬送距離を、単位時間で除算した値である。これにより、導入ローラ対50と排出ローラ対40との間に位置するシートSは、導入ローラ50Bと排出ローラ40Bとの間で搬送方向8Aに沿って引っ張られるようにテンションが加わる。シートSにテンションが加わることにより、シートSは、仮想線V1に近づく向きへ移動して、接続位置Cと、定着面87の下流端87Bとの間で定着面87に押し付けられる。シートSが定着面87に押し付けられることにより、シートSは、定着面87に密接する。
【0061】
シートSが定着面87に押し付けられているので、シートSの搬送においてシートSに部分的な撓みなどが生じにくくなり、その結果、シートSが定着面87から浮き上がりにくくなる。シートSが搬送されている間、シートSとヒータプレート72とが安定して接触するので、シートSがポリイミドヒータ71から受ける熱量が安定して、シートSに吐出されたインクの定着性が安定する。排出ローラ対40および導入ローラ対50にニップされているシートSの上流側は、搬送により、連続して定着面87に押し付けられて上面85を通過する。
【0062】
[実施形態の作用効果]
前述された実施形態によれば、搬送されるシートSは、導入面86に接触しつつ記録面側U1へ案内される。シートSが排出ローラ対40にニップされると、接続位置Cが記録面側U1に位置するので、シートSがニップ位置D1と接続位置Cとの間で定着面87に密着する。
【0063】
また、定着面87の下流端87Bは、仮想線V1に対して記録面側U1に位置するので、定着面87の下流端87BにおいてもシートSの密着性が向上する。
【0064】
また、シートSが導入ローラ対50と排出ローラ対40とにそれぞれニップされるので、シートSに搬送方向8Aに沿ったテンションが加わる。これにより、シートSが定着面87に安定して密接する。導入面86の上流端87Aが仮想線V1に対して搬送面側U2にあるので、導入ローラ対50にニップされて搬送されるシートSの先端が導入面86に当接して記録面側U1へ案内される。
【0065】
また、排出ローラ40Bの搬送速度は、導入ローラ50Bの搬送速度よりも大きいので、排出ローラ対40と導入ローラ対50との間で、搬送方向8Aに沿ってシートSにテンションが加わるので、シートSが定着面87に安定して密着する。
【0066】
また、定着面87が平面なので、シートSと定着面87とが密着性しやすい。
【0067】
[変形例]
上記実施形態において、図8に示されるように、導入ローラ対50を有しなくてもよい。この場合、支持機構116(吸着機構の一例)によって、シートSをヒータユニット70に搬送してもよい。支持機構116は、例えば、吸着プラテンであり、板状の支持部118の上面が吸着面118Aであってよい。
【0068】
吸着面118Aは、搬送方向8Aに搬送されるシートSの搬送面80を支持する。吸着面118Aには、図示しない吸引孔が位置している。吸着面118Aは、図示しないポンプの駆動により、シートSを吸着する。吸着面118Aは、仮想線V1よりも搬送面側U2に位置している。搬送ベルト117は、無端ベルトである。搬送ベルト117は、回動により、吸着面118Aに吸着されているシートSを搬送方向8Aに搬送する。
【0069】
導入面86の上流端87Aは、仮想線V1に対して吸着面118Aよりも離れている。具体的には、導入面86の上流端87Aは、上下方向7において、仮想線V1に対して、吸着面118Aよりも下方に位置している。これにより、支持機構116を搬送されるシートSの先端は、支持機構116の下流端118Bを超えた後、導入面86に接触して、接続位置Cへ案内される。
【0070】
シートSが吸着面118Aに吸着され、かつ排出ローラ対40にニップされるので、シートSに搬送方向8Aに沿ったテンションが加わる。これにより、シートSが定着面87に安定して密接する。吸着面118Aが仮想線V1に対して搬送面側U2にあり、かつ導入面86の上流端87Aが仮想線V1に対して吸着面118Aより離れているので、支持機構116により搬送されるシートSの先端が導入面86に当接して接続位置Cへ案内される。
【0071】
排出ローラ40Bの搬送速度は、搬送ベルト117の搬送速度よりも大きい。これにより、排出ローラ40Bと搬送ベルト117との間で、搬送方向8Aに沿ったテンションがシートSに加わる。これにより、シートSが定着面87から浮くことを抑制できる。
【0072】
上記実施形態において、図9に示されるように、定着面87は、上方に膨出する湾曲面であってもよい。これにより、シートSと定着面87との密着性を向上できる。
【0073】
上記実施形態において、搬送方向8Aが前後方向(水平方向)にある例を示したが、これに限定されない。搬送方向8Aは、鉛直方向であってもよい。搬送方向8Aは、傾斜する方向であってもよい。
【0074】
上記実施形態において、導入ローラ対50に代えて、搬送ローラ対36がヒータユニット70に対してシートSを搬送してもよい。排出ローラ40Bの搬送速度は、搬送ローラ36Bの搬送速度よりも大きい。これにより、排出ローラ対40と搬送ローラ対との間に位置するシートSにテンションをかけることができる。定着面87へのシートSの密着性が向上する。
【0075】
上記実施形態において、定着面87の下流端は、仮想線V1上に位置していてもよい。接続位置Cとニップ位置との間でシートSにテンションが係るので、シートSの搬送面80に定着面87を密着できる。インクの定着性が向上する。
【符号の説明】
【0076】
8A 搬送方向
40 排出ローラ対
43 搬送路
50A 拍車
50B 導入ローラ
70 ヒータユニット
71 ポリイミドヒータ
72 ヒータプレート
80 搬送面
85 上面
87 定着面
86 導入面
86A,87A 上流端
86B,87B 下流端
100 搬送装置
117 搬送ベルト
118A 吸着面
D1 ニップ位置
U1 記録面側
U2 搬送面側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9