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特開2024-81175光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング方法、及び振動デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081175
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング方法、及び振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20240611BHJP
   G01W 1/02 20060101ALI20240611BHJP
   G01W 1/14 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G01H9/00 E
G01W1/02 A
G01W1/14 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194594
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】美島 咲子
(72)【発明者】
【氏名】松下 崇
(72)【発明者】
【氏名】河野 航
(72)【発明者】
【氏名】樋野 智之
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BA08
2G064BC12
2G064DD08
2G064DD14
(57)【要約】
【課題】インテロゲータでの気象の判定に寄与すること。
【解決手段】本開示に係る光ファイバセンシングシステム(1)は、光ファイバ(10)と、光ファイバ(10)に接続されたインテロゲータ(20)と、光ファイバ(10)の近傍に配置された振動デバイス(30)と、を備える。振動デバイス(30)は、振動デバイス(30)の設置位置の気象情報を取得する気象情報取得部(31)と、気象情報に応じた振動を光ファイバ(10)に加える変換部(32)と、を備える。インテロゲータ(20)は、光ファイバ(10)から受信した光信号に基づいて、振動デバイス(30)により光ファイバ(10)に加えられた振動を検出し、検出された振動に基づいて振動デバイス(30)の設置位置の気象を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと、
前記光ファイバに接続されたインテロゲータと、
前記光ファイバの近傍に配置された振動デバイスと、を備え、
前記振動デバイスは、
前記振動デバイスの設置位置の気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記気象情報に応じた振動を前記光ファイバに加える変換部と、を備え、
前記インテロゲータは、前記光ファイバから受信した光信号に基づいて、前記振動デバイスにより前記光ファイバに加えられた振動を検出し、検出された振動に基づいて前記振動デバイスの設置位置の気象を判定する、
光ファイバセンシングシステム。
【請求項2】
前記インテロゲータは、前記光ファイバに加えられた振動の頻度及び強度の少なくとも1つに基づいて、前記振動デバイスの設置位置の気象を判定する、
請求項1に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項3】
外部から前記振動デバイスへの給電が無い状態で、前記気象情報取得部及び前記変換部は動作する、
請求項2に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項4】
前記気象情報取得部及び前記変換部は、プロペラであり、
前記プロペラの羽根部分は、風が当たると回転して、前記光ファイバに当たることで、前記光ファイバに振動を加え、
前記インテロゲータは、前記光ファイバに加えられた振動の頻度に基づいて、前記振動デバイスの設置位置の風力を判定する、
請求項3に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項5】
前記気象情報取得部及び前記変換部は、一端に開口部が設けられ、前記開口部から雨水を受ける円筒部材と、前記円筒部材を回動自在に支持する支持部材と、を備える鹿威しであり、
前記円筒部材は、前記円筒部材の内部に貯留された雨水が一定量に達すると、自重により回動して、前記光ファイバに当たることで、前記光ファイバに振動を加え、
前記インテロゲータは、前記光ファイバに加えられた振動の頻度に基づいて、前記振動デバイスの設置位置の雨量を判定する、
請求項3に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項6】
前記気象情報取得部は、太陽光で発電するソーラーパネルであり、
前記変換部は、前記ソーラーパネルにより発電された電力を蓄電する蓄電池と、プロペラと、前記蓄電池に蓄電された電力で前記プロペラを回転駆動するモータと、を備え、
前記プロペラの羽根部分は、前記モータにより前記プロペラが回転駆動されると、前記光ファイバに当たることで、前記光ファイバに振動を加え、
前記インテロゲータは、前記光ファイバに加えられた振動の頻度及び強度に基づいて、前記振動デバイスの設置位置の日照時間を判定する、
請求項3に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項7】
光ファイバセンシングシステムにより実行される光ファイバセンシング方法であって、
前記光ファイバセンシングシステムは、
光ファイバと、
前記光ファイバに接続されたインテロゲータと、
前記光ファイバの近傍に配置された振動デバイスと、を備え、
前記光ファイバセンシング方法は、
前記振動デバイスが、前記振動デバイスの設置位置の気象情報を取得し、取得された気象情報に応じた振動を前記光ファイバに加える第1ステップと、
前記インテロゲータが、前記光ファイバから受信した光信号に基づいて、前記振動デバイスにより前記光ファイバに加えられた振動を検出し、検出された振動に基づいて前記振動デバイスの設置位置の気象を判定する第2ステップと、を含む、
光ファイバセンシング方法。
【請求項8】
前記第2ステップでは、前記インテロゲータが、前記光ファイバに加えられた振動の頻度及び強度の少なくとも1つに基づいて、前記振動デバイスの設置位置の気象を判定する、
請求項7に記載の光ファイバセンシング方法。
【請求項9】
外部から前記振動デバイスへの給電が無い状態で、前記振動デバイスは動作する、
請求項8に記載の光ファイバセンシング方法。
【請求項10】
前記振動デバイスは、プロペラであり、
前記第1ステップでは、前記プロペラの羽根部分が、風が当たると回転して、前記光ファイバに当たることで、前記光ファイバに振動を加え、
前記第2ステップでは、前記インテロゲータが、前記光ファイバに加えられた振動の頻度に基づいて、前記振動デバイスの設置位置の風力を判定する、
請求項9に記載の光ファイバセンシング方法。
【請求項11】
前記振動デバイスは、一端に開口部が設けられ、前記開口部から雨水を受ける円筒部材と、前記円筒部材を回動自在に支持する支持部材と、を備える鹿威しであり、
前記第1ステップでは、前記円筒部材が、前記円筒部材の内部に貯留された雨水が一定量に達すると、自重により回動して、前記光ファイバに当たることで、前記光ファイバに振動を加え、
前記第2ステップでは、前記インテロゲータが、前記光ファイバに加えられた振動の頻度に基づいて、前記振動デバイスの設置位置の雨量を判定する、
請求項9に記載の光ファイバセンシング方法。
【請求項12】
前記振動デバイスは、太陽光で発電するソーラーパネルと、前記ソーラーパネルで発電された電力を蓄電する蓄電池と、プロペラと、前記蓄電池に蓄電された電力で前記プロペラを回転駆動するモータと、を備え、
前記第1ステップでは、前記モータにより前記プロペラが回転駆動されると、前記プロペラの羽根部分が、前記光ファイバに当たることで、前記光ファイバに振動を加え、
前記第2ステップでは、前記インテロゲータが、前記光ファイバに加えられた振動の頻度及び強度に基づいて、前記振動デバイスの設置位置の日照時間を判定する、
請求項9に記載の光ファイバセンシング方法。
【請求項13】
光ファイバの近傍に配置された振動デバイスであって、
前記振動デバイスの設置位置の気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記気象情報に応じた振動を前記光ファイバに加える変換部と、を備える、
振動デバイス。
【請求項14】
外部から前記振動デバイスへの給電が無い状態で、前記気象情報取得部及び前記変換部は動作する、
請求項13に記載の振動デバイス。
【請求項15】
前記気象情報取得部及び前記変換部は、プロペラであり、
前記プロペラの羽根部分は、風が当たると回転して、前記光ファイバに当たることで、前記光ファイバに振動を加える、
請求項14に記載の振動デバイス。
【請求項16】
前記気象情報取得部及び前記変換部は、一端に開口部が設けられ、前記開口部から雨水を受ける円筒部材と、前記円筒部材を回動自在に支持する支持部材と、を備える鹿威しであり、
前記円筒部材は、前記円筒部材の内部に貯留された雨水が一定量に達すると、自重により回動して、前記光ファイバに当たることで、前記光ファイバに振動を加える、
請求項14に記載の振動デバイス。
【請求項17】
前記気象情報取得部は、太陽光で発電するソーラーパネルであり、
前記変換部は、前記ソーラーパネルにより発電された電力を蓄電する蓄電池と、プロペラと、前記蓄電池に蓄電された電力で前記プロペラを回転駆動するモータと、を備え、
前記プロペラの羽根部分は、前記モータにより前記プロペラが回転駆動されると、前記光ファイバに当たることで、前記光ファイバに振動を加える、
請求項14に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング方法、及び振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバセンシングと呼ばれる技術により、光ファイバに沿った各地点で光ファイバに加えられた振動や音を検出することが可能である(特許文献1)。
例えば、DAS(Distributed Acoustic Sensing)を利用した光ファイバセンシングでは、光ファイバに接続されたインテロゲータが、パルス光を光ファイバに入力し、そのパルス光の後方散乱光を光ファイバから受信する。
【0003】
光ファイバに振動や音が加えられると、光ファイバを伝送される後方散乱光の特性(例えば、位相)が変化する。そのため、インテロゲータは、後方散乱光を分析することで、光ファイバに加えられた振動や音を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2021/111691号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、インテロゲータは、光ファイバから受信された後方散乱光に基づいて、光ファイバに加えられた振動を検出することができる。
そのため、光ファイバに加えられた振動が、光ファイバの周辺の気象に応じた振動であれば、インテロゲータは、光ファイバから受信された後方散乱光に基づいて、光ファイバの周辺の気象を判定することが可能となる。
【0006】
そこで本開示の目的は、上述した課題に鑑み、インテロゲータでの気象の判定に寄与し得る、光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング方法、及び振動デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様による光ファイバセンシングシステムは、
光ファイバと、
前記光ファイバに接続されたインテロゲータと、
前記光ファイバの近傍に配置された振動デバイスと、を備え、
前記振動デバイスは、
前記振動デバイスの設置位置の気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記気象情報に応じた振動を前記光ファイバに加える変換部と、を備え、
前記インテロゲータは、前記光ファイバから受信した光信号に基づいて、前記振動デバイスにより前記光ファイバに加えられた振動を検出し、検出された振動に基づいて前記振動デバイスの設置位置の気象を判定する。
【0008】
一態様による光ファイバセンシング方法は、
光ファイバセンシングシステムにより実行される光ファイバセンシング方法であって、
前記光ファイバセンシングシステムは、
光ファイバと、
前記光ファイバに接続されたインテロゲータと、
前記光ファイバの近傍に配置された振動デバイスと、を備え、
前記光ファイバセンシング方法は、
前記振動デバイスが、前記振動デバイスの設置位置の気象情報を取得し、取得された気象情報に応じた振動を前記光ファイバに加える第1ステップと、
前記インテロゲータが、前記光ファイバから受信した光信号に基づいて、前記振動デバイスにより前記光ファイバに加えられた振動を検出し、検出された振動に基づいて前記振動デバイスの設置位置の気象を判定する第2ステップと、を含む。
【0009】
一態様による振動デバイスは、
光ファイバの近傍に配置された振動デバイスであって、
前記振動デバイスの設置位置の気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記気象情報に応じた振動を前記光ファイバに加える変換部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
上述した態様によれば、インテロゲータでの気象の判定に寄与し得る、光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング方法、及び振動デバイスを提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムの構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る振動デバイスの構成例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る対応テーブルの例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る気象情報取得部及び変換部の具体的な構成例1を示す図である。
図5】実施の形態1に係る気象情報取得部及び変換部の具体的な構成例2を示す図である。
図6】実施の形態1に係る気象情報取得部及び変換部の具体的な構成例3を示す図である。
図7】実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムの概略的な動作の流れの例を説明するフロー図である。
図8】実施の形態1に係るインテロゲータを実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステム1の構成例を示す図である。図1に示されるように、本実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステム1は、光ファイバ10と、インテロゲータ20と、N個の振動デバイス30-1~30-Nと、を備えている。
【0014】
以下、どの振動デバイス30-1~30-Nであるかを特定しない場合は、単に「振動デバイス30」と称す。また、図1は、複数個の振動デバイス30が設けられた例を示しているが、これには限定されず、振動デバイス30は、1個でも良い。すなわち、Nは1以上であれば良い。
【0015】
光ファイバ10は、例えば、電柱や鉄塔などの柱間を架空するように敷設される。また、光ファイバ10は、光ファイバ10を被覆して構成される光ファイバケーブル(不図示)の態様で、敷設されても良い。
【0016】
振動デバイス30は、光ファイバ10の近傍に配置される。例えば、光ファイバ10が柱間を架空している場合には、振動デバイス30は、柱に取り付けても良い。
ここで、光ファイバ10の近傍とは、例えば、光ファイバ10から一定の距離以内などである。また、一定の距離とは、例えば、後述のように、振動デバイス30が、機械的な振動を光ファイバ10に加えることが可能な距離などである。
【0017】
図2は、本実施の形態1に係る振動デバイス30の構成例を示す図である。図2に示されるように、本実施の形態1に係る振動デバイス30は、気象情報取得部31と、変換部32と、を備えている。
【0018】
気象情報取得部31は、振動デバイス30の設置位置の気象情報を取得する。
変換部32は、気象情報取得部31により取得された気象情報に応じた機械的な振動を光ファイバ10に加える。
【0019】
ここで、気象情報取得部31及び変換部32は、外部から振動デバイス30への給電(例えば、商用電源による給電)が無い状態で、上記の動作を行うものである。なお、気象情報取得部31及び変換部32の具体的な構成例については後述する。
【0020】
インテロゲータ20は、光ファイバ10の一端に接続される。例えば、インテロゲータ20は、DASを利用したDASインテロゲータである。
インテロゲータ20は、光ファイバ10にパルス光を送信する。すると、そのパルス光が光ファイバ10を伝送されることに伴い、後方散乱光が発生する。インテロゲータ20は、その後方散乱光を、光ファイバ10から、光信号として受信する。
【0021】
ここで、振動デバイス30の変換部32により光ファイバ10に機械的な振動が加えられると、光ファイバ10を伝送される光信号は、特性(例えば、波長)が変化する。そのため、インテロゲータ20は、光ファイバ10から受信された光信号を分析することで、光ファイバ10に加えられた振動を検出することができる。
【0022】
また、インテロゲータ20は、光ファイバ10にパルス光が送信された時刻と、光ファイバ10から光信号が受信された時刻と、の時間差に基づいて、その光信号が発生した位置(インテロゲータ20からの光ファイバ10の距離)を特定することができる。
そのため、インテロゲータ20は、光信号の分析により振動が検出された場合は、光信号が発生した位置を、振動が発生した位置として特定することができる。
【0023】
また、インテロゲータ20は、振動が発生した位置を、図3に示されるような対応テーブルと照合することで、振動が発生した振動デバイス30及びその振動デバイス30の設置位置の緯度及び経度を特定することができる。なお、図3に示される対応テーブルは、不図示のメモリなどに予め記憶させておけば良い。
【0024】
ここで、振動デバイス30の変換部32により光ファイバ10に加えられた振動は、上述したように、振動デバイス30の設置位置の気象情報に応じた振動である。
そのため、インテロゲータ20は、振動デバイス30の変換部32により光ファイバ10に加えられた振動に基づいて、振動デバイス30の設置位置の気象を判定することができる。具体的には、インテロゲータ20は、光ファイバ10に加えられた振動の頻度及び強度の少なくとも1つに基づいて、振動デバイス30の設置位置の気象を判定する。
【0025】
以下、振動デバイス30内の気象情報取得部31及び変換部32の具体的な構成について説明する。
(1)構成例1
図4は、本実施の形態1に係る気象情報取得部31及び変換部32の具体的な構成例1を示す図である。本構成例1では、気象情報取得部31及び変換部32は、プロペラ300により実現される。
【0026】
プロペラ300は、光ファイバ10の近傍に配置される。
プロペラ300の羽根部分は、風が当たると回転して、光ファイバ10に当たる。これにより、光ファイバ10に機械的な振動が加えられる。
【0027】
ここで、プロペラ300により光ファイバ10に加えられた振動の頻度は、振動デバイス30(プロペラ300)の設置位置の風力に応じた頻度になる。すなわち、風力が強ければ、振動の頻度は大きくなる。
【0028】
そのため、インテロゲータ20は、光ファイバ10から受信された光信号に基づいて、光ファイバ10に加えられた振動の頻度を算出する。そして、インテロゲータ20は、算出された振動の頻度に基づいて、振動デバイス30の設置位置の風力を判定する。
【0029】
(2)構成例2
図5は、本実施の形態1に係る気象情報取得部31及び変換部32の具体的な構成例2を示す図である。本構成例2では、気象情報取得部31及び変換部32は、鹿威し310により実現される。
【0030】
鹿威し310は、光ファイバ10の近傍に配置される。
鹿威し310は、一端に開口部313が設けられ、開口部313から雨水を受ける円筒部材311と、円筒部材311を回動自在に支持する支持部材312と、を備える。
円筒部材311は、開口部313から受けた雨水を内部に貯留する。円筒部材311は、円筒部材311の内部に貯留された雨水が一定量に達すると、自重により回動して、光ファイバ10に当たる。これにより、光ファイバ10に機械的な振動が加えられる。なお、円筒部材311は、自重により回動すると、開口部313から排出用容器314へ雨水を排出し、排出動作が完了すると、元の位置に戻る。
【0031】
ここで、鹿威し310により光ファイバ10に加えられた振動の頻度は、振動デバイス30(鹿威し310)の設置位置の雨量に応じた頻度になる。すなわち、雨量が多ければ、振動の頻度は大きくなる。
【0032】
そのため、インテロゲータ20は、光ファイバ10から受信された光信号に基づいて、光ファイバ10に加えられた振動の頻度を算出する。そして、インテロゲータ20は、算出された振動の頻度に基づいて、振動デバイス30の設置位置の雨量を判定する。
【0033】
(3)構成例3
図6は、本実施の形態1に係る気象情報取得部31及び変換部32の具体的な構成例3を示す図である。本構成例3では、気象情報取得部31は、ソーラーパネル320により実現され、また、変換部32は、蓄電池321、モータ322、及びプロペラ323により実現される。
【0034】
ソーラーパネル320は、太陽光で発電する。
蓄電池321は、ソーラーパネル320で発電された電力を蓄電する。
モータ322は、蓄電池321に蓄電された電力でプロペラ323を回転駆動する。プロペラ323は、光ファイバ10の近傍に配置される。
プロペラ323の羽根部分は、モータ322によりプロペラ323が回転駆動されると、光ファイバ10に当たる。これにより、光ファイバ10に機械的な振動が加えられる。
【0035】
ここで、蓄電池321に蓄電された電力は、振動デバイス30(ソーラーパネル320)の設置位置の日照時間に応じた電力になる。そのため、蓄電池321に蓄電された電力で回転駆動されたプロペラ323により光ファイバ10に加えられた振動の頻度及び強度は、振動デバイス30の設置位置の日照時間に応じた頻度及び強度になる。すなわち、日照時間が長ければ、振動の頻度及び強度は大きくなる。
【0036】
そのため、インテロゲータ20は、光ファイバ10から受信された光信号に基づいて、光ファイバ10に加えられた振動の頻度及び強度を算出する。そして、インテロゲータ20は、算出された振動の頻度及び強度に基づいて、振動デバイス30の設置位置の日照時間を判定する。
【0037】
図7は、本実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステム1の概略的な動作の流れの例を説明するフロー図である。
図7に示されるように、まず、気象情報取得部31は、振動デバイス30の設置位置の気象情報を取得する(ステップS11)。
次に、変換部32は、気象情報取得部31により取得された気象情報に応じた機械的な振動を光ファイバ10に加える(ステップS12)。
【0038】
その後、インテロゲータ20は、光ファイバ10から受信された光信号に基づいて、振動デバイス30の変換部32により光ファイバ10に加えられた振動を検出すると共に、光ファイバ10に振動を加えた振動デバイス30及び振動デバイス30の設置位置を特定する。そして、インテロゲータ20は、検出された振動に基づいて、特定された振動デバイス30の設置位置の気象を判定する(ステップS13)。
【0039】
上述したように本実施の形態1によれば、気象情報取得部31は、振動デバイス30の設置位置の気象情報を取得する。変換部32は、気象情報に応じた機械的な振動を光ファイバ10に加える。インテロゲータ20は、光ファイバ10から受信された光信号に基づいて、振動デバイス30の変換部32により光ファイバ10に加えられた振動を検出し、検出された振動に基づいて、振動デバイス30の設置位置の気象を判定する。これにより、インテロゲータ20で振動デバイス30の設置位置の気象を判定するのに寄与し得る。
【0040】
また、本実施の形態1によれば、気象情報取得部31及び変換部32は、外部から振動デバイス30への給電が無い状態で、動作を行う。これにより、振動デバイス30への外部からの給電が不要になるため、振動デバイス30のメンテナンスが容易になる。その結果、長期にわたって、振動デバイス30の設置位置の気象を判定できるようになる。
【0041】
<他の実施の形態>
上述した実施の形態1では、振動デバイス30内の気象情報取得部31及び変換部32の具体的な構成例1~3について説明したが、これには限定されない。
例えば、具体的な構成例3のように、振動デバイス30が、ソーラーパネル320を用いる場合、蓄電池321に電力を蓄電することが可能である。そのため、振動デバイス30は、蓄電池321に蓄電された電力を用いて、センサにより気象をセンシングすることも可能である。例えば、振動デバイス30は、蓄電池321に蓄電された電力を用いて、超音波を発する超音波センサを駆動し、振動デバイス30の設置位置の積雪量をセンシングしても良い。そして、振動デバイス30は、超音波センサに対応して設けられたアクチュエータを使用して、センシングされた積雪量に応じた機械的な振動を光ファイバ10に振動を加えても良い。
【0042】
<実施の形態に係るインテロゲータのハードウェア構成>
以下、上述した実施の形態1に係るインテロゲータ20を実現するコンピュータのハードウェア構成例について説明する。
図8は、上述した実施の形態1に係るインテロゲータ20を実現するコンピュータ90のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0043】
図8に示されるように、コンピュータ90は、プロセッサ91、メモリ92、ストレージ93、入出力インタフェース(入出力I/F)94、及び通信インタフェース(通信I/F)95などを備えている。プロセッサ91、メモリ92、ストレージ93、入出力インタフェース94、及び通信インタフェース95は、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路で接続されている。
【0044】
プロセッサ91は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ92は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。ストレージ93は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はメモリカードなどの記憶装置である。また、ストレージ93は、RAMやROMなどのメモリであっても良い。
【0045】
ストレージ93には、プログラムが記憶される。このプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、上述したインテロゲータ20における1又はそれ以上の機能をコンピュータ90に行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。上述したインテロゲータ20における構成要素は、プロセッサ91がストレージ93に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現されても良い。また、上述したインテロゲータ20における記憶機能は、メモリ92又はストレージ93により実現されても良い。
【0046】
また、上述したプログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されても良い。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD又はその他のメモリ技術、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されても良い。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0047】
入出力インタフェース94は、表示装置941、入力装置942、音出力装置943などと接続される。表示装置941は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、モニタのような、プロセッサ91により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置942は、オペレータの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、及びタッチセンサなどである。表示装置941及び入力装置942は一体化され、タッチパネルとして実現されていても良い。音出力装置943は、スピーカのような、プロセッサ91により処理された音響データに対応する音を音響出力する装置である。
【0048】
通信インタフェース95は、外部の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信インタフェース95は、有線通信路又は無線通信路を介して外部装置と通信する。
【0049】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述した実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、上述した実施の形態は、一部又は全部を相互に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 光ファイバセンシングシステム
10 光ファイバ
20 インテロゲータ
30,30-1~30-N 振動デバイス
31 気象情報取得部
32 変換部
300 プロペラ
310 鹿威し
311 円筒部材
312 支持部材
313 開口部
314 排出用容器
320 ソーラーパネル
321 蓄電池
322 モータ
323 プロペラ
90 コンピュータ
91 プロセッサ
92 メモリ
93 ストレージ
94 入出力インタフェース
941 表示装置
942 入力装置
943 音出力装置
95 通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8