(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081177
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20240611BHJP
【FI】
G06Q10/0639
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194601
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】500147023
【氏名又は名称】デジタルアーツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】道具 登志夫
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA10
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】テレワーク中のメンバーの業務状況を容易に把握することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置10は、ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報を取得するデータ受付部11と、ユーザの画像情報に対応するアバターを設定するアバター選択部14と、ユーザの作業の対象となる業務の属性を業務情報として予め登録する業務情報登録部13と、ユーザの作業情報を業務情報と照合してユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいてユーザの業務に対する余裕度を求める作業情報解析部15と、設定されたユーザのアバターをユーザ端末に表示して、画像情報及び余裕度に基づいてアバターの表情を変更する表示制御部16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報を取得するデータ受付部と、
前記ユーザの画像情報に対応するアバターを設定するアバター選択部と、
前記ユーザの作業の対象となる業務の属性を業務情報として予め登録する業務情報登録部と、
前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求める作業情報解析部と、
設定されたユーザのアバターをユーザ端末に表示して、前記画像情報及び前記余裕度に基づいて前記アバターの表情を変更する表示制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記業務情報は、前記ユーザの業務の作業内容にかかる情報、予定作業時間及び作業期間を含み、
前記作業情報解析部は、前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間を求めて、当該作業時間、当該業務の予定作業時間及び作業期間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求める、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画像情報から抽出されるユーザの特徴に基づいて前記アバターの表情を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記アバターは、余裕度の度合いに応じて異なる顔の表情が設定されており、
前記表示制御部は、求めた前記余裕度に応じて前記アバターの表情を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記アバターは、バイタル情報の数値に応じて異なる顔の表情が設定されており、
前記データ受付部は、ユーザの前記バイタル情報を取得し、
前記表示制御部は、取得した前記バイタル情報に応じて前記アバターの表情を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報を取得するステップと、
前記ユーザの画像情報に対応するアバターを設定するステップと、
前記ユーザの作業の対象となる業務の属性を業務情報として予め登録するステップと、
前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求めるステップと、
設定されたユーザのアバターをユーザ端末に表示して、前記画像情報及び前記余裕度に基づいて前記アバターの表情を変更するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報を取得する機能、
前記ユーザの画像情報に対応するアバターを設定する機能、
前記ユーザの作業の対象となる業務の属性を業務情報として予め登録する機能、
前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求める機能、
設定されたユーザのアバターをユーザ端末に表示して、前記画像情報及び前記余裕度に基づいて前記アバターの表情を変更する機能、
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、働き方が多様化しており、在宅勤務、いわゆる「テレワーク」と呼ばれる勤務の形態が定着しつつある。
【0003】
テレワークでは、社内の連絡や会議等のコミュニケーションがオンラインツール上で行わるため、社員間のやりとりが簡潔かつ迅速に行われるというメリットがある。
一方で、社員が会社の拠点に集合して業務を実施する従来の働き方と比較して、社員それぞれの日々の業務の状況を把握することが難しい場合がある。従来では、予め定めた勤務のルールに基づいて社員の労務管理を自動化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
社員の多くがテレワークを実施することで業務の効率が向上する一方で、オンライン上では率直な意思疎通が難しく、業務の状況をお互いに把握することが難しい場合があった。特に、会社に出勤して業務を行う場合には、口頭での会話や職場におけるメンバーの表情、雰囲気等から互いの作業状態を把握、または察することができるものの、テレワークでは、業務の相談をメンバーにしたい場合であっても、その相手が相談をしても問題のない余裕のある時間なのか等、業務の状況を把握することは難しい。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、テレワーク中のメンバーの業務状況を容易に把握することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る情報処理装置は、ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報を取得するデータ受付部と、前記ユーザの画像情報に対応するアバターを設定するアバター選択部と、前記ユーザの作業の対象となる業務の属性を業務情報として予め登録する業務情報登録部と、前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求める作業情報解析部と、設定されたユーザのアバターをユーザ端末に表示して、前記画像情報及び前記余裕度に基づいて前記アバターの表情を変更する表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態により、テレワーク中のメンバーの業務状況を容易に把握することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す構成図。
【
図2】ユーザ端末のユーザにより選択されるアバターの一例を示す説明図。
【
図3】ユーザのユーザ端末における作業情報の一例を示す説明図。
【
図5】各ユーザのバイタル情報の一例を示す説明図。
【
図6】(A)ユーザ端末に表示される、業務管理の表示画面を示す説明図、(B)ユーザのアバターが変化した場合の、業務管理の表示画面を示す図。
【
図7】本実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示す図である。
【0011】
まず、全体の構成について説明する。
情報処理装置10は、ユーザ端末20からユーザの画像情報、作業情報を含むデータを受信して、ユーザ端末20に表示する表示データを送信するサーバである。表示データは、ユーザ端末20のユーザのそれぞれをアバター(仮想画像)によって表示するものであり、ユーザは他のユーザの業務状況をアバターを介して確認することができる。
【0012】
ユーザ端末20は、企業や団体等に属する社員が業務で使用するPC、スマホ、タブレット端末などの端末を示しており、情報処理装置10とネットワークを介して通信可能な端末である。なお、
図1では、ユーザ端末20a、20bの2つで記載しているが、この構成に限定されるものではなく、さらに複数のユーザ端末20が情報処理装置10と通信可能に接続されてもよい。
【0013】
カメラ21(21a,21b)は、ユーザ端末20に通信可能に接続されているデバイスであり、ユーザ端末20のユーザを撮像するカメラである。撮像された画像情報は、ユーザ端末20を介して情報処理装置10に送信される。画像情報には、カメラ21から取得されるユーザの静止画像、動画等が含まれる。なお、カメラ21は、ユーザ端末20に内蔵されているものであってもよい。
【0014】
バイタル情報取得デバイス22(22a,22b)は、ユーザ端末20と通信可能に構成されており、体温、呼吸数、心拍数等の、ユーザのバイタル情報を取得するためのデバイスである。取得されたバイタル情報は、情報処理装置10に送信される。なお、バイタル情報取得デバイス22は、ユーザのバイタル情報を取得できるものであればよく、ユーザに装着されるデバイスに限定されるものではない。
【0015】
表示部23(23a,23b)は、ユーザ端末20の情報を表示する出力装置である。
【0016】
本実施形態に係る情報処理装置10の具体的な構成について説明する。
実施形態に係る情報処理装置10は、ユーザ端末20からユーザの画像情報及び作業情報を取得し、作業情報に基づいてユーザの業務に対する余裕度を求めて、画像情報及び余裕度に基づいてユーザ端末20に表示される各ユーザのアバターの表情を随時変更するものである。なお、余裕度は、ユーザの業務に対する逼迫度合い(ゆとりのある状態か否か)を意味するものであり、余裕度が高ければ逼迫度合いは低く、ゆとりがある状態であることを意味する一方、余裕度が低ければ逼迫度合いは高く、ゆとりがない状態を意味する。余裕度の具体的な算出方法については後述する。
【0017】
情報処理装置10は、データ受付部11と、データ保存部12と、アバター選択部14と、作業情報解析部15と、表示制御部16と、バイタル情報判定部17と、を備えている。
【0018】
なお、情報処理装置10を構成する各ユニットの機能は、所定のプログラムコードを、プロセッサを用いて実行することによって実現しても良く、このようなソフトウェア処理に限らず、例えば、ASIC等を用いたハードウェア処理で実現してもよいし、ソフトウェア処理とハードウェア処理とを組み合わせて実現してもよい。
【0019】
データ受付部11は、ユーザ端末20から、ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報を取得する。また、ユーザ端末20のユーザのバイタル情報を取得してもよい。取得された情報は、データ保存部12においてユーザ端末20のユーザごとに随時記録される。
【0020】
作業情報とは、端末上でのユーザが実行している具体的な作業に関係する情報を意味しており、作業の実施時間、作業にかかるアプリケーション(文書作成アプリケーション、プログラム作成アプリケーション、メールソフトウェア等)、作業対象のデータの情報(例えばファイル、ファイル名、ファイルの拡張子)等である。作業情報は、ユーザ端末20から情報処理装置10に随時送信されて、データ保存部12に記録されていく。作業情報は、作業単位で記録されるものであり、例えば同一のアプリケーションが実行されて操作されている場合には、同一の作業情報として記録されて、操作されるアプリケーションが変わった場合には、別の作業情報として記録される。
【0021】
また、ユーザ端末20のユーザが、オンラインツールによるチャット、Web会議を実施している場合には、利用しているオンラインツールとともにチャット等のやりとりを行っている送信相手やWeb会議をしている相手、オンラインツール上で送受信したデータの情報(例えばファイル名、ファイルの拡張子)を作業情報として記録する。
【0022】
業務情報登録部13は、ユーザの作業の対象となる業務の属性を業務情報として予め登録する。業務情報の属性とは、業務のそれぞれを識別する業務ID、業務名、業務を担当する担当者、業務の作業内容、業務に関係するキーワード、作業の進捗状況を示す作業ステータス等、業務を特定するために必要な情報を意味しており、当該業務に対応して予定される作業時間(予定作業時間)、作業期間(作業開始日(または作業開始時間)から作業終了日(または作業終了時間))が含まれている。予定作業時間は、ユーザに割り当てられた業務に対して、作業完了までに必要な時間を意味する。作業期間は、ユーザの勤務時間(例えば9時から17時)に基づいて設定されてもよい。
【0023】
なお、予定作業時間、作業期間は、情報処理装置10の管理者や情報処理装置10へのアクセス権限を有するユーザ(例えば上位の職位者)により登録される。また、ユーザの業務が、別のシステムにより管理されている場合には、当該システムから予定作業時間、作業期間等の情報を抽出し、業務情報として登録してもよい。さらに、突発的に発生したユーザの業務(例えば障害への対応業務)について、ユーザ自身が業務情報を登録し、上位の職位者の承認に基づいて業務情報が変更できるようにしてもよい。
【0024】
アバター選択部14は、ユーザ端末20のユーザそれぞれに対応するアバターを設定する。設定されるアバターは、アバター選択部14において登録されている複数のアバターの中から、ユーザの選択より設定されてもよいし、情報処理装置10において自動的に設定されてもよい。ユーザの画像情報から取得される、ユーザの顔の特徴点(目、鼻、口、耳、頭の形等の特徴点)に基づいて自動的に生成する構成であってもよい。また、設定されるアバターは、随時取得される画像情報から抽出される、ユーザの顔の特徴(ユーザの視線、顔の向き等)に基づいて表示画像を変更可能に構成されてもよい。
【0025】
図2は、ユーザ端末20のユーザにより選択されるアバターの一例を示す説明図である。アバターのそれぞれを識別するアバターIDが付与されており、ユーザは任意のアバターを選択することができる。各アバターについて、ユーザの業務に対する余裕度の度合いに応じて異なる顔の表情が設定されている。余裕度が、高(ゆとりのある状態)、中(通常)、低(ゆとりのない状態)の3つのレベルに設定されており、レベルに応じて表情の異なるアバターが設定されている。また、バイタル情報に応じて表情の異なるアバターを設定してもよく、
図2では、バイタル情報の値が異常と判定された場合に、異常を示す表情のアバターが設定されている。
【0026】
図1に戻り説明を続ける。
作業情報解析部15は、ユーザの作業情報を業務情報と照合してユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいてユーザの業務に対する余裕度を求める。
【0027】
具体的には、作業情報解析部15は、受け付けたユーザの作業情報を業務情報登録部13に登録されている業務情報の属性と照合し、作業情報の各データについて業務情報の属性に一致する場合(一部が一致するものあってもよい)には、ユーザの実施している業務は当該業務情報に対応するものとして特定する。そして、特定された業務の作業時間を求める。求めた作業時間と予定作業時間から必要となる残りの作業時間を導出し、作業期間(作業終了日時までの残り時間)とを比較することで余裕度を求める。
【0028】
例えば、作業情報解析部15において求めた作業時間と予定作業時間とから業務完了までに現時点で必要となる残りの作業時間を、作業終了までの残り時間(期限までの残り時間)で割った場合、その値が1に近いまたは1を超える場合には業務が逼迫していると考えられるため、求めた値が0.5以上であれば余裕度を「低」とし、求めた値が0.5未満であれば余裕度を「高」とする。余裕度のレベルについては、例えば高、中、低のように、任意に設定することができる。
【0029】
図3は、ユーザ端末20のユーザの作業情報の一例を示す説明図である。
図3に示すように、2022年11月25日の山田太郎の作業情報が時系列に記録されている。作業にかかるアプリケーション、作業対象となるデータ、コミュニケーションツールの相手先、アクセス先のURL、勤怠情報に関する申請データが作業ごとに記録されている。
図3の最右段の業務IDは、作業情報に基づいて特定された業務の識別情報を示している。
【0030】
図4は、ユーザの業務情報の一例を示す説明図である。
図4に示すように、山田太郎が担当する業務の属性として、業務ID、業務名、作業期間、業務内容、業務かかるキーワード、担当者、予定作業時間が登録されている。また、業務情報として、作業時間、期間終了までの残り、残り作業時間、作業ステータス、余裕度が管理される。
【0031】
作業時間については、作業情報解析部15により特定された時間が随時更新される。現在の時間と作業終了時間(作業期間の終期)から、作業の期間終了までの残りの時間が管理され、作業時間と予定作業時間から残りの作業時間が管理される。作業ステータスについては、例えば「完了」または「作業中」等のステータスをユーザ端末20のユーザから受け付けてもよいし、特定の業務に対して所定時間(例えば5時間)作業をしていない場合には、完了しているものとしてステータスを「作業中」から「完了」に自動で変更してもよい。
【0032】
図3、
図4を用いて、作業情報に基づいて業務の特定、そして余裕度の導出について説明する。例えば、9時から10時の作業情報として、作業アプリケーションはチャット、データはファイルA、相手はY及びZと記録されており(
図3参照)。この作業情報を、業務情報と照合した場合に、業務ID:0111の担当者としてY、Zが登録されており、キーワードとしてAが登録されており、担当者、キーワードが作業情報のデータと一致する。このため、9時から10時の作業情報の業務として業務ID:0111が特定される。このように作業情報について、業務情報に基づいて該当業務を特定していき、業務の作業時間(複数の作業情報が特定された場合は作業時間を合計する)を求める。作業時間と予定作業時間から必要となる残りの作業時間を導出し、作業期間(作業終了日までの残り時間)とを比較して余裕度を求める。この場合、残りの作業時間が8時間に対して、期間終了までの残りは5時間となるため、業務は逼迫しており、余裕度は低となる。なお、複数の業務を持っている場合には、それぞれ余裕度を求める。複数の業務について、余裕度が異なる場合には、余裕度が低いものをユーザの余裕度としてもよい。
【0033】
表示制御部16は、設定されたユーザのアバターをユーザ端末20に表示して、画像情報及び余裕度に基づいてアバターの表情を変更する。画像情報に基づいてユーザの視線、顔の方向等を抽出して、抽出した顔の特徴に基づいてアバターの表情を変更する。
【0034】
そして、表示制御部16は、作業情報解析部15において求めた余裕度が変化した場合に、余裕度に応じて設定されているアバターの表情に変更する。余裕度に応じてアバターの表情が変更した場合に、画像情報に基づいて抽出されるユーザの特徴(視線、顔の向き等)を反映させてもよい。
【0035】
また、作業情報解析部15において求めた余裕度に基づきアバターの表情を変更させるのではなく、ユーザ端末20のユーザが余裕度を設定できる構成、例えば余裕度が高または低であることの入力を受け付ける構成にしてもよい。ユーザ自身が余裕度を高に設定することで、余裕のある時間であることをアバターを介して他のメンバーに伝えることができる。
【0036】
また、作業情報について余裕度が高いと推測できる条件を予め設定しておき、この条件を満たす場合に、余裕度を高に自動設定できる構成にしてもよい。余裕度が高いと推測できる作業情報の条件は、集中度が低い(作業が停滞している)ユーザや話しかけやすい状態にあるユーザを抽出する条件であり、例えば端末が一定時間ロックされている場合やキー入力やマウス移動が一定時間無い場合、またはユーザが休憩している情報を取得可能な場合には、休憩している情報を抽出した場合等が条件として設定できる。
【0037】
さらに、余裕度が高のユーザについて、他のユーザに通知し、相互に余裕度が高い場合には、情報処理装置10がコミュニケーションを促す通知をする構成にしてもよい。
【0038】
また、通常の業務時間を超えた時間帯に作業しているユーザ、すなわち残業しているユーザについては、余裕度を低に自動で設定してもよい。業務IDに対して重要度(または緊急度)の設定を可能にして、重要度の高い業務を実施しているユーザは、余裕度を低に自動で設定してもよい。
【0039】
また、データ保存部12においてユーザのバイタル情報を取得している場合には、バイタル情報判定部17は、取得したバイタル情報が異常値(予め定めた正常値を超える値)でないかを判定する。バイタル情報の異常を判定するための基準値は、情報処理装置10の管理者またはユーザにより予め設定される。
【0040】
この場合、表示制御部16は、取得したバイタル情報に応じてアバターの表情を変更してもよい。具体的には、取得したユーザのバイタル情報が異常と判定された場合、ユーザのアバターを、異常を示す表情に変更する。
【0041】
図5は、ユーザのバイタル情報の一例を示す説明図である。
図5に示すように、各ユーの体温、呼吸数、脈拍等のバイタル情報が随時取得されている。バイタル情報判定部17は、体温が37.5℃以上の場合を異常とする判定基準を設けており、異常と判定した場合、表示制御部16は、ユーザのアバターを、異常を示す表情に変更する。
【0042】
なお、アバターの表情については、余裕度、バイタル情報のいずれに基づいて変更するかは、優先度を設定してもよい。バイタル情報を優先的に設定している場合、余裕度に基づいてアバターの表情が変更されている場合であっても、バイタル情報が異常になったときには、ユーザのアバターを異常を示す表情に変更する。
【0043】
図6(A)は、ユーザ端末20に表示される、業務管理の表示画面を示す説明図である。
図6(A)に示すように、業務管理の表示画面上に、アバターに対応するユーザの氏名、所属、余裕度のレベルが表示されている。山田太郎及び特許花子のいずれも、余裕度が高いと判断されて、それぞれに設定されたアバターは、余裕度が高に設定されている表情に変更される。
【0044】
図6(B)は、ユーザのアバターが変化した場合の、業務管理の表示画面を示す図である。山田太郎は、余裕度が低いと判断されて、余裕度が低に設定されているアバターの表情に変更されている。一方、特許花子は、バイタル情報が異常値を示しているとして、異常を示すアバターの表情に変更されている。これにより、アバターの表情を介して他のメンバーが余裕がある状態なのか等、業務の状況を確認することができる。また、バイタル情報が異常になった場合には、情報処理装置10の管理者の表示画面に自動で通知する構成にしてもよい。
【0045】
続いて、本実施形態に係る情報処理装置10の動作について説明する。
図7は、本実施形態に係る情報処理方法のフローチャートである(適宜、
図1参照)。
【0046】
アバター選択部14は、ユーザ端末20のユーザそれぞれに対応するアバターを設定する(S10)。
【0047】
データ受付部11は、ユーザ端末20から、ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報、ユーザのバイタル情報を取得する(S11)。
【0048】
表示制御部16は、設定されたユーザのアバターをユーザ端末20に表示して、画像情報に基づいてユーザの視線、顔の方向等を抽出して、抽出した顔の特徴に基づいてアバターの表情を変更する(S12)。
【0049】
作業情報解析部15は、ユーザの作業情報を業務情報と照合してユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいてユーザの業務に対する余裕度を求める(S13)。
【0050】
表示制御部16は、余裕度が変化する場合に、求めた余裕度に対応するアバターの表情に変更する(S14;YES、S15)。余裕度が変化しない場合には、画像情報に基づきアバターを表示する(S14;NO)。
【0051】
バイタル情報判定部17は、取得したバイタル情報が異常値でないかを判定する。表示制御部16は、バイタル情報が異常の場合、アバターを異常時に対応する表情に変更する(S16;YES)。バイタル情報が異常のメンバーがいる場合には、管理者に通知して一度業務管理を終了してもよい。なお、メンバーのバイタル情報が異常となった場合であっても、S11からS16のステップを予め定めた時間継続させてもよい。
【0052】
バイタル情報が正常の場合には(S16;NO)、S11に戻り業務管理の表示を継続させる。
【0053】
以上述べた実施形態の情報処理装置によれば、ユーザ端末からユーザの画像情報及び作業情報を取得し、作業情報に基づいてユーザの業務に対する余裕度を求めて、画像情報及び余裕度に基づいて端末に表示される各ユーザのアバターの表情を随時変更することにより、テレワークにおいても、アバターの表情を介して他のメンバーの状況を察することができるため、プライバシーを保護しつつメンバーの業務状況を容易に把握することができる。
【0054】
なお、情報処理装置10で実行されるプログラムは、ROM等の記憶回路に予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供するようにしてもよい。また、情報処理装置10で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしてもよい。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10…情報処理装置、11…データ受付部、12…データ保存部、14…アバター選択部、15…作業情報解析部、16…表示制御部、17…バイタル情報判定部、20(20a,20b)…ユーザ端末、21(21a,21b)…カメラ、22(22a,22b)…バイタル情報取得デバイス、23(23a,23b)…表示部。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報を取得するデータ受付部と、
前記ユーザの画像情報に対応するアバターを設定するアバター選択部と、
前記ユーザの作業の対象となる業務の属性を業務情報として予め登録する業務情報登録部と、
前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求める作業情報解析部と、
設定されたユーザのアバターをユーザ端末に表示して、前記画像情報及び前記余裕度に基づいて前記アバターの表情を変更する表示制御部と、を備えて、
前記業務情報は、前記ユーザの業務の作業内容にかかる情報、予定作業時間及び作業期間を含み、
前記作業情報解析部は、前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間を求めて、当該作業時間、当該業務の予定作業時間及び作業期間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求める、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記画像情報から抽出されるユーザの特徴に基づいて前記アバターの表情を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記アバターは、余裕度の度合いに応じて異なる顔の表情が設定されており、
前記表示制御部は、求めた前記余裕度に応じて前記アバターの表情を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記アバターは、バイタル情報の数値に応じて異なる顔の表情が設定されており、
前記データ受付部は、ユーザの前記バイタル情報を取得し、
前記表示制御部は、取得した前記バイタル情報に応じて前記アバターの表情を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報を取得するステップと、
前記ユーザの画像情報に対応するアバターを設定するステップと、
前記ユーザの作業の対象となる業務の属性を業務情報として予め登録するステップと、
前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求めるステップと、
設定されたユーザのアバターをユーザ端末に表示して、前記画像情報及び前記余裕度に基づいて前記アバターの表情を変更するステップと、を含み、
前記業務情報は、前記ユーザの業務の作業内容にかかる情報、予定作業時間及び作業期間を含んで、
前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間を求めて、当該作業時間、当該業務の予定作業時間及び作業期間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求める、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータが、
ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報を取得するステップと、
前記ユーザの画像情報に対応するアバターを設定するステップと、
前記ユーザの作業の対象となる業務の属性を業務情報として予め登録するステップと、
前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求めるステップと、
設定されたユーザのアバターをユーザ端末に表示して、前記画像情報及び前記余裕度に基づいて前記アバターの表情を変更するステップと、を実行し、
前記業務情報は、前記ユーザの業務の作業内容にかかる情報、予定作業時間及び作業期間を含み、
前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間を求めて、当該作業時間、当該業務の予定作業時間及び作業期間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求める、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の実施形態に係る情報処理装置は、ユーザの画像情報及びユーザが実施する作業情報を取得するデータ受付部と、前記ユーザの画像情報に対応するアバターを設定するアバター選択部と、前記ユーザの作業の対象となる業務の属性を業務情報として予め登録する業務情報登録部と、前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求める作業情報解析部と、設定されたユーザのアバターをユーザ端末に表示して、前記画像情報及び前記余裕度に基づいて前記アバターの表情を変更する表示制御部と、を備えて、前記業務情報は、前記ユーザの業務の作業内容にかかる情報、予定作業時間及び作業期間を含み、前記作業情報解析部は、前記ユーザの作業情報を前記業務情報と照合して前記ユーザの業務を特定し、当該業務の作業時間を求めて、当該作業時間、当該業務の予定作業時間及び作業期間に基づいて前記ユーザの業務に対する余裕度を求める、を備えることを特徴とする。