(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081182
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20240611BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20240611BHJP
H01R 13/648 20060101ALI20240611BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01R13/533 A
H01R12/71
H01R13/648
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194611
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真下 誠
(72)【発明者】
【氏名】岩本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】森口 雅勝
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
5E223
5E322
【Fターム(参考)】
5E021FA09
5E021FB02
5E021FB20
5E021FC21
5E021LA10
5E021LA15
5E087EE11
5E087MM08
5E087QQ04
5E087RR11
5E223AA21
5E223AB74
5E223BA07
5E223CD01
5E223DB08
5E223DB23
5E223EA03
5E223EB04
5E322AA03
5E322AB01
5E322EA07
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】コネクタに内蔵されるICの熱を逃がしやすくする。
【解決手段】コネクタ装置1は、回路基板10と、回路基板10に設置されるコネクタ20と、回路基板10及びコネクタ20の少なくとも一部を収容するハウジング70と、を備えている。コネクタ20は、サブ基板35と、サブ基板35に実装されるIC36と、IC36の熱をハウジング70に伝える伝熱部(例えば、放熱シート39及びシールドカバー38)と、を有している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に設置されるコネクタと、
前記回路基板及び前記コネクタの少なくとも一部を収容するハウジングと、を備え、
前記コネクタは、サブ基板と、前記サブ基板に実装されるICと、前記ICの熱を前記ハウジングに伝える伝熱部と、を有しているコネクタ装置。
【請求項2】
前記コネクタは、前記ICを覆うシールドカバーを有し、
前記シールドカバーは、前記伝熱部の少なくとも一部を構成する請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、開口部を有し、
前記シールドカバーは、前記開口部を介して前記ハウジングの外部に延設される延設部と、前記延設部の先端部から前記ハウジングの外面に沿って広がるカバー側張出部と、を有し、
前記カバー側張出部は、ボルトを用いて、前記ハウジングの外面に固定される請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記コネクタは、前記ハウジングの外面に固定される外導体を有し、
前記外導体及び前記カバー側張出部は、前記ボルトを用いて、前記ハウジングの外面に共締めされる請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記シールドカバーは、弾性変形する弾性接触片を有し、前記弾性接触片の弾性力によって前記ハウジングに押し付けられた状態で配置される請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記コネクタは、前記伝熱部の少なくとも一部を構成する外導体を有している請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記伝熱部は、金属によって構成される請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記コネクタは、前記回路基板に実装される実装コネクタ部と、前記実装コネクタ部に接続される中継コネクタ部と、を有し、
前記サブ基板及び前記ICは、前記中継コネクタ部に設けられる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に設置される基板用コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のコネクタにIC(Integrated Circuit)を内蔵させる場合、ICの発熱が問題となる。
【0005】
本開示は、コネクタに内蔵されるICの熱を逃がしやすい技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタ装置は、回路基板と、
前記回路基板に設置されるコネクタと、
前記回路基板及び前記コネクタの少なくとも一部を収容するハウジングと、を備え、
前記コネクタは、サブ基板と、前記サブ基板に実装されるICと、前記ICの熱を前記ハウジングに伝える伝熱部と、を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタ装置によれば、コネクタに内蔵されるICの熱を逃がしやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態のコネクタ装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、一部切断したコネクタ装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、中継コネクタ部の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、ボルトによる締結部分を通る平面で切断したコネクタ装置の平面断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態におけるコネクタ装置を、ボルトによる締結部分を通る平面で切断した平面断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態におけるコネクタ装置の
図7相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕回路基板と、
前記回路基板に設置されるコネクタと、
前記回路基板及び前記コネクタの少なくとも一部を収容するハウジングと、を備え、
前記コネクタは、サブ基板と、前記サブ基板に実装されるICと、前記ICの熱を前記ハウジングに伝える伝熱部と、を有しているコネクタ装置。
【0011】
この構成によれば、ICの熱を、伝熱部を介してハウジングに逃がすことができる。
【0012】
〔2〕前記コネクタは、前記ICを覆うシールドカバーを有し、
前記シールドカバーは、前記伝熱部の少なくとも一部を構成する〔1〕に記載のコネクタ装置。
【0013】
この構成によれば、ICを覆うシールドカバーを利用して、ICの熱をハウジングに逃がすことができる。
【0014】
〔3〕前記ハウジングは、開口部を有し、
前記シールドカバーは、前記開口部を介して前記ハウジングの外部に延設される延設部と、前記延設部の先端部から前記ハウジングの外面に沿って広がるカバー側張出部と、を有し、
前記カバー側張出部は、ボルトを用いて、前記ハウジングの外面に固定される〔2〕に記載のコネクタ装置。
【0015】
この構成によれば、ハウジングの外部から、ボルトを用いてカバー側張出部をハウジングに固定することができる。これにより、カバー側張出部がハウジングに押し付けられ、シールドカバーからハウジングへより熱が伝わりやすくなる。
【0016】
〔4〕前記コネクタは、前記ハウジングの外面に固定される外導体を有し、
前記外導体及び前記カバー側張出部は、前記ボルトを用いて、前記ハウジングの外面に共締めされる〔3〕に記載のコネクタ装置。
【0017】
この構成によれば、外導体をハウジングに固定する構成を利用して、シールドカバーをハウジングに押し付けることができる。
【0018】
〔5〕前記シールドカバーは、弾性変形する弾性接触片を有し、前記弾性接触片の弾性力によって前記ハウジングに押し付けられた状態で配置される〔2〕に記載のコネクタ装置。
【0019】
この構成によれば、シールドカバーがハウジングに押し付けられ、シールドカバーからハウジングへより熱が伝わりやすくなる。
【0020】
〔6〕前記コネクタは、前記伝熱部の少なくとも一部を構成する外導体を有している〔1〕に記載のコネクタ装置。
【0021】
この構成によれば、コネクタの外導体を利用して、ICの熱をハウジングに逃がすことができる。
【0022】
〔7〕前記伝熱部は、金属によって構成される〔1〕から〔6〕のいずれか一つに記載のコネクタ装置。
【0023】
この構成によれば、ICの熱が、より一層ハウジングに伝わりやすくなる。
【0024】
〔8〕前記コネクタは、前記回路基板に実装される実装コネクタ部と、前記実装コネクタ部に接続される中継コネクタ部と、を有し、
前記サブ基板及び前記ICは、前記中継コネクタ部に設けられる〔1〕から〔7〕のいずれか一つに記載のコネクタ装置。
【0025】
この構成によれば、搭載するICの種類が異なる中継コネクタ部を複数用意しておくことで、実装コネクタ部に接続する中継コネクタ部の種類に応じて、複数種類の通信仕様に対応したコネクタを構成することができる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0027】
<第1実施形態>
(コネクタ装置1の概要)
図1には、第1実施形態のコネクタ装置1が開示されている。コネクタ装置1は、例えば車両に搭載される。コネクタ装置1は、
図2に示すように、回路基板10と、回路基板10に設置されるコネクタ20と、回路基板10及びコネクタ20の少なくとも一部を収容するハウジング70と、を備えている。
【0028】
本実施形態において、回路基板10に対してコネクタ20が設置される側を上側と定義する。コネクタ20に対して図示しない相手側コネクタが嵌合される側を前側と定義する。上下方向及び前後方向と直交する方向を幅方向と定義する。図面においては、上方、下方、前方、後方をそれぞれ「U」「L」「F」「B」と表記する。
【0029】
(回路基板10)
回路基板10は、
図2に示すように、板状をなしている。回路基板10の板厚方向は、上下方向である。回路基板10には、実装面11が形成されている。実装面11は、回路基板10の上面に形成されている。
【0030】
(コネクタ20)
コネクタ20は、回路基板10に設置される基板用コネクタである。コネクタ20は、
図2に示すように、回路基板10に実装される実装コネクタ部21と、実装コネクタ部21に接続される中継コネクタ部22と、を有している。
【0031】
実装コネクタ部21は、
図2に示すように、例えばカードエッジコネクタとして構成される。実装コネクタ部21には、中継コネクタ部22が着脱可能に接続される。実装コネクタ部21の前面には、挿入溝が形成されている。この挿入溝に対し、前方から中継コネクタ部22が挿入されることで、中継コネクタ部22が実装コネクタ部21に接続される。
【0032】
中継コネクタ部22には、図示しない相手側コネクタが接続される。中継コネクタ部22は、例えば車両の搭載機器の数や、通信仕様(例えば通信速度など)に応じて予め複数種類用意される。そして、搭載される車両の仕様に応じた中継コネクタ部22が実装コネクタ部21に接続されることで、コネクタ装置1が複数種類の車両に対応可能となる。
【0033】
中継コネクタ部22は、
図3に示すように、嵌合部材31と、内導体32と、外導体33と、誘電体34と、サブ基板35と、IC(Integrated Circuit)36と、中継部37と、シールドカバー38と、放熱シート39と、第1固定部材40Aと、第2固定部材40Bと、を有している。
【0034】
嵌合部材31は、
図3に示すように、図示しない相手側コネクタと嵌合する。嵌合部材31は、絶縁性を有し、例えば樹脂製である。嵌合部材31は、角筒状のフード部31Aと、フード部31Aの後面を覆う後壁部31Bと、を有している。
【0035】
内導体32は、導電性を有し、例えば金属製である。内導体32は、
図3に示すように、前後方向に延びる形態をなしている。内導体32は、前後方向と直交する方向に間隔を空けて複数設けられている。
図6に示すように、内導体32の前端部は、フード部31A内に突出しており、内導体32の後端部は、後壁部31Bよりも後方に突出している。内導体32は、中継部37を介してサブ基板35の導電路に電気的に接続されている。
【0036】
外導体33は、導電性を有し、例えば金属製である。外導体33は、
図3に示すように、第1外導体部材41と、第2外導体部材42と、を有している。第2外導体部材42は、第1外導体部材41に係止されることで、第1外導体部材41に連結される。
【0037】
第1外導体部材41は、内導体32の外周を覆う。第1外導体部材41は、前後方向に厚さを有する壁部43を有している。壁部43には、内導体32を挿通させる内導体挿通孔44が形成されている。第1外導体部材41は、内導体挿通孔44の周縁部から前方に向けて筒状に突出する筒部45を有している。筒部45は、嵌合部材31の後壁部31Bを貫通してフード部31A内に突出している。第1外導体部材41は、
図5に示すように、ハウジング70に固定される外導体側張出部46を有している。外導体側張出部46は、壁部43の幅方向両側の上下中央から幅方向両側に張り出している。外導体側張出部46は、ハウジング70の外面70Aに沿って広がっている。外導体側張出部46には、ボルト80が貫通する貫通孔46Aが形成されている。外導体側張出部46は、ボルト80を用いてハウジング70に固定される。第1外導体部材41は、
図3に示すように、第2外導体部材42を係止する係止部47を有している。係止部47は、壁部43よりも後方の位置に設けられている。
【0038】
第2外導体部材42は、係止部47に係止され、第1外導体部材41の後側に配置される。第2外導体部材42は、
図3及び
図6に示すように、外導体底部48と、外導体底部48の幅方向両側から上方に立ち上がる載置部49と、を有している。外導体底部48は、板状をなしている。外導体底部48の板厚方向は、上下方向である。サブ基板35は、幅方向両側の載置部49に支持されるように載置される。第2外導体部材42及びサブ基板35は、上述した第1固定部材40Aによって回路基板10に固定される。第1固定部材40Aは、雄ねじ部40Cと、雄ねじ部40Cの基端部に設けられる頭部40Dと、頭部40Dの基端部に凹んで形成される雌ねじ部40Eと、を含む。雄ねじ部40Cは、サブ基板35の挿通孔35A及び外導体底部48の挿通孔48Aに上方から挿通され、回路基板10の取付孔10Aにねじ込んで締め付けられる。これにより、サブ基板35及び第2外導体部材42が、回路基板10に固定される。
【0039】
誘電体34は、
図6に示すように、内導体32と外導体33との間に配置されている。
【0040】
サブ基板35は、
図6に示すように、板状をなしている。サブ基板35は、回路基板10と並列に配置される。サブ基板35の板厚方向は、上下方向である。サブ基板35は、コネクタ20に内蔵される基板である。サブ基板35は、実装コネクタ部21に着脱可能に接続される。サブ基板35は、
図5に示すように、サブ基板本体51と、サブグランド回路52と、を有している。
【0041】
サブ基板本体51は、
図3に示すように、板状をなしている。サブ基板本体51は、絶縁性を有しており、例えば樹脂製である。サブ基板本体51には、サブ実装面53が形成されている。サブ実装面53は、サブ基板本体51の上面に形成されている。
【0042】
サブグランド回路52は、
図5及び
図7に示すように、サブ基板本体51(より具体的には、サブ実装面53)に設けられている。サブグランド回路52には、サブ実装面53に実装されたIC36が電気的に接続されている。サブグランド回路52は、サブ実装面53に沿って前後方向に延びるサブ延設回路54を有している。サブ延設回路54は、幅方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0043】
IC36は、ICチップを樹脂モールドした構成をなす。IC36は、
図6に示すように、サブ基板35のサブ実装面53(上面)に実装されている。
【0044】
シールドカバー38は、導電性を有し、例えば金属製である。シールドカバー38は、例えば金属板を曲げ加工して形成される。シールドカバー38は、
図3及び
図5に示すように、カバー本体38Aと、一対の延設部38Bと、一対のカバー側張出部38Cと、を有している。カバー本体38Aは、IC36を上方から覆う。また、カバー本体38Aは、IC36を、前後方向及び幅方向から覆う。一対の延設部38Bは、カバー本体38Aの幅方向両側から前方へ延びる形態をなしている。一対のカバー側張出部38Cは、一対の延設部38Bの前端部から幅方向に互いに離れるように張り出している。
【0045】
放熱シート39は、例えばシリコンやアクリルなどの樹脂によって構成される。放熱シート39は、
図6に示すように、IC36とシールドカバー38の間に上下に挟まれた状態で配置される。放熱シート39は、IC36とシールドカバー38に接触した状態で配置される。
【0046】
第2固定部材40Bは、
図3に示すように、雄ねじ部40Fと、雄ねじ部40Fの基端部に設けられる頭部40Gと、を含む。雄ねじ部40Fは、
図6に示すように、上方からシールドカバー38の挿通孔38Dに挿通され、第1固定部材40Aの雌ねじ部40Eにねじ込んで締め付けられる。これにより、シールドカバー38が、サブ基板35に固定される。
【0047】
(ハウジング70)
ハウジング70は、導電性を有し、例えば金属製である。ハウジング70は、
図1に示すように、箱状をなしている。ハウジング70は、
図2及び
図6に示すように、回路基板10及びコネクタ20の一部を収容する。ハウジング70は、開口部71を有している。中継コネクタ部22は、開口部71を介してハウジング70内に挿入され、回路基板10に実装された実装コネクタ部21に接続される。
【0048】
ハウジング70は、
図4に示すように、ハウジング本体72と、カバー73と、を有している。ハウジング本体72は、回路基板10及びコネクタ20の一部を収容する。ハウジング本体72には、基板挿入口74が形成されている。ハウジング本体72内には、基板挿入口74から回路基板10が挿入される。
【0049】
カバー73は、
図1及び
図4に示すように、基板挿入口74を覆う。カバー73は、ハウジング本体72に固定される。カバー73は、ハウジング用ボルト75を用いてハウジング本体72に固定される。複数(本実施形態では4)のハウジング用ボルト75は、カバー73の複数個所(本実施形態では4カ所)の挿通孔76に挿通され、ハウジング本体72のハウジング側取付孔77にねじ込んで締め付けられる。カバー73には、上述した開口部71が設けられている。
【0050】
開口部71から挿入された中継コネクタ部22は、
図5に示すように、ボルト80を用いて、ハウジング70の外面70Aに固定される。ハウジング70の外面70Aには、取付孔78が形成されている。取付孔78は、開口部71の幅方向両側に設けられている。シールドカバー38の一対のカバー側張出部38Cは、一対の外導体側張出部46の後側に配置される。各々のカバー側張出部38Cには、カバー側張出部38Cを前後方向に貫通する貫通孔38Eが形成されている。各々の外導体側張出部46には、外導体側張出部46を前後方向に貫通する貫通孔46Aが形成されている。貫通孔38Eと貫通孔46Aは、前後方向に並んで配置される。ボルト80は、貫通孔46A及び貫通孔38Eを貫通し、取付孔78にねじ込んで締め付けられる。これにより、外導体33及びカバー側張出部38Cが、ハウジング70の外面70Aに共締めされる。
【0051】
(コネクタ装置1の作用及び効果)
図6に示すように、IC36には、放熱シート39が接触しており、放熱シート39には、シールドカバー38が接触している。
図5に示すように、シールドカバー38の延設部38Bは、開口部71を介してハウジング70の外部に延設されている。延設部38Bから張り出したカバー側張出部38Cは、ボルト80を用いてハウジング70の外面に固定される。このため、IC36の熱は、放熱シート39及びシールドカバー38を介してハウジング70に伝えられる。従って、この構成によれば、IC36の熱を、放熱シート39及びシールドカバー38を介してハウジング70に逃がすことができる。また、カバー側張出部38Cがボルト80を用いてハウジング70に固定されることで、カバー側張出部38Cがハウジング70に押し付けられる。このため、シールドカバー38からハウジング70へより熱が伝わりやすくなる。しかも、カバー側張出部38Cは、ハウジング70に対して、外導体33と共締めされる。つまり、この構成によれば、外導体33をハウジング70に固定する構成を利用して、シールドカバー38をハウジング70に押し付けることができる。
【0052】
また、IC36は、サブグランド回路52に電気的に接続されている。
図7に示すように、サブグランド回路52のサブ延設回路54は、シールドカバー38のカバー本体38Aに電気的に接続されている。シールドカバー38は、
図6に示すように、カバー側張出部38Cがボルト80を用いてハウジング70に固定されることで、ハウジング70に電気的に接続されている。このため、IC36の熱は、サブグランド回路52及びシールドカバー38を介してハウジング70に伝えられる。従って、この構成によれば、IC36の熱を、サブグランド回路52及びシールドカバー38を介してハウジング70に逃がすことができる。しかも、サブグランド回路52及びシールドカバー38は、金属によって構成されている。このため、IC36の熱が、より一層、ハウジング70に伝わりやすい。
【0053】
<第2実施形態>
第2実施形態では、シールドカバーをハウジングの内面に接触させる構成について説明する。なお、第2実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成について同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0054】
第2実施形態のコネクタ装置201は、
図8に示すように、第1実施形態のシールドカバー38に代えてシールドカバー238を備える。第2実施形態のコネクタ装置201は、その他の点で、第1実施形態のコネクタ装置1と共通する。
【0055】
シールドカバー238は、導電性を有し、例えば金属製である。シールドカバー238は、例えば金属板を曲げ加工して形成される。シールドカバー238は、カバー本体38Aと、一対のアーム部238Bと、一対の弾性接触片238Cと、を有している。一対のアーム部238Bは、カバー本体38Aの幅方向両側から前方に延設されている。一対の弾性接触片238Cは、一対のアーム部238Bの先端部から幅方向外側に折り返している。各々の弾性接触片238Cは、各々のアーム部238Bに片持ち支持されており、各々のアーム部238Bを支点として幅方向に撓み変形する。
【0056】
シールドカバー238は、一対の弾性接触片238Cを幅方向内側に撓ませた状態で、ハウジング70の開口部71に挿入される。シールドカバー238が開口部71に挿入された状態では、一対の弾性接触片238Cが弾性力によって幅方向外側に広がるように変形し、開口部71の内周面を押圧する。つまり、弾性接触片238Cは、ハウジング70の内面70Bに押し付けられる。
【0057】
以上の様に、第2実施形態のコネクタ装置201では、シールドカバー238の弾性接触片238Cが、ハウジング70の内面70Bに接触している。この構成によれば、シールドカバー238に伝えられたIC36の熱を、ハウジング70に逃がすことができる。しかも、弾性接触片238Cは、弾性接触片238Cの弾性力によってハウジング70に押し付けられた状態で配置される。この構成によれば、シールドカバー238からハウジング70へより熱が伝わりやすくなる。
【0058】
<第3実施形態>
第3実施形態では、シールドカバーをハウジングの内面に接触させる他の構成について説明する。なお、第3実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成について同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0059】
第3実施形態のコネクタ装置301は、
図9に示すように、回路基板10と、回路基板10に設置されるコネクタ320と、回路基板10及びコネクタ320の一部を収容するハウジング370と、を備えている。コネクタ320は、シールドカバー38に代えてシールドカバー338を有する点で、第1実施形態のコネクタ20とは異なり、その他の点で共通する。ハウジング370は、天壁371が段差状になっている点で、第1実施形態のハウジング70とは異なり、その他の点で共通する。
【0060】
シールドカバー338は、導電性を有し、例えば金属製である。シールドカバー338は、例えば金属板を曲げ加工して形成される。シールドカバー338は、
図9及び
図10に示すように、IC36を上方から覆う。シールドカバー338は、前板部340と、後板部341と、一対の側板部342と、天板部343と、突出部344と、を有している。前板部340は、IC36の前側を覆う。後板部341は、IC36の後側を覆う。一対の側板部342は、ICの幅方向両側を覆う。天板部343は、IC36の上側を覆う。天板部343は、前板部340、後板部341、一対の側板部342の各々の上端部に連なっている。突出部344は、天板部343から上方に突出している。突出部344は、天板部343の幅方向両側に設けられている。突出部344は、例えば金属板を切り起こして形成される。
【0061】
ハウジング370の天壁371は、第1天壁部372と、第2天壁部373と、段差部374と、を有している。第2天壁部373は、段差部374を介して第1天壁部372に連なっており、第1天壁部372よりも低い位置に配置されている。第2天壁部373の下面には、突出部344が接触している。つまり、シールドカバー338が、ハウジング370の内面370Bに接触している。
【0062】
図9に示すように、シールドカバー338の天板部343とIC36との間には、放熱シート39が挟まれている。放熱シート39は、シールドカバー338の天板部343とIC36に接触した状態で配置される。IC36の熱は、放熱シート39を介してシールドカバー338に伝えられる。
【0063】
図9に示すように、シールドカバー338の前板部340は、サブグランド回路52に電気的に接続されている。このため、IC36の熱は、サブグランド回路52を介してシールドカバー338に伝えられる。
【0064】
シールドカバー338に伝えられた熱は、突出部344からハウジング370に伝えられる。つまり、第3実施形態のコネクタ装置301によれば、シールドカバー338を利用して、ハウジング370の内面370Bに逃がすことができる。
【0065】
<第4実施形態>
第4実施形態では、シールドカバーを利用することなくICの熱をハウジングに逃がすことが可能な構成について説明する。なお、第4実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成について同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0066】
第4実施形態のコネクタ装置401は、
図11に示すように、回路基板10と、回路基板10に設置されるコネクタ420と、回路基板10及びコネクタ420の一部を収容するハウジング470と、を備えている。コネクタ420は、シールドカバー38に代えて導電部材440を備える点で、第1実施形態のコネクタ20とは異なり、その他の点で共通する。ハウジング470は、天壁471が段差状になっている点で、第1実施形態のハウジング70とは異なり、その他の点で共通する。
【0067】
ハウジング470の天壁471は、第1天壁部472と、第2天壁部473と、段差部474と、を有している。第2天壁部473は、段差部474を介して第1天壁部472に連なっており、第1天壁部472よりも低い位置に配置されている。
【0068】
導電部材440は、
図12に示すように、幅方向両側のサブ延設回路54のそれぞれに設けられている。各々の導電部材440は、サブ基板35のサブグランド回路52と第2天壁部473との間に配置され、サブグランド回路52と第2天壁部473とに電気的に接続される。導電部材440は、第2天壁部473に接触する接触導電部441と、接触導電部441とサブグランド回路52との間に配置される付勢部材442と、接触導電部441を上下方向にガイドするガイド部443と、を有している。付勢部材442は、例えばバネ部材であり、接触導電部441をサブグランド回路52から離れる方向に付勢する。接触導電部441は、第2天壁部473に押し当てられる。つまり、導電部材440は、サブグランド回路52とハウジング470の内面470Bとに押し当てられる。
【0069】
以上の様に、第4実施形態のコネクタ装置401では、IC36がサブグランド回路52に電気的に接続されている。サブグランド回路52には、導電部材440が接触しており、導電部材440には、ハウジング70が接触している。この構成によれば、IC36の熱を、サブグランド回路52及び導電部材440を介してハウジング470に逃がすことができる。しかも、導電部材440は、サブグランド回路52とハウジング470とに押し当てられる。この構成によれば、IC36の熱が、サブグランド回路52及び導電部材440を介してハウジング470により伝わりやすくなる。
【0070】
<第5実施形態>
第5実施形態では、コネクタの外導体を利用してICの熱をハウジングに逃がすことが可能な構成について説明する。なお、第5実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成について同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0071】
第5実施形態のコネクタ装置501は、
図13に示すように、回路基板10と、回路基板10に設置されるコネクタ520と、回路基板10及びコネクタ520の一部を収容するハウジング70と、を備えている。
【0072】
コネクタ520は、サブ基板35に代えてサブ基板535を備える点、放熱シート39に代えて放熱シート539を備える点、外導体33の外導体側張出部46が単独でハウジング70に固定される点で第1実施形態のコネクタ20と共通する。コネクタ520は、その他の点で第1実施形態のコネクタ20と共通する。
【0073】
サブ基板535は、
図13及び
図14に示すように、サブ基板本体51と、サブグランド回路552と、を有している。サブグランド回路552は、サブ基板本体51(より具体的には、サブ実装面53)に設けられている。サブグランド回路552には、サブ実装面53に実装されたIC36が電気的に接続されている。サブグランド回路552は、サブ実装面53に沿って前後方向に延びるサブ延設回路554を有している。サブ延設回路554は、幅方向に間隔をあけて複数設けられている。サブ延設回路554は、サブ基板本体51の上下両面に設けられている。上下両面のサブ延設回路554は、サブ基板本体51を板厚方向に貫通するビア555を介して電気的に接続されている。
【0074】
放熱シート539は、サブ基板本体51の下面に設けられるサブ延設回路554と外導体33の外導体底部48の上面との間に設けられ、サブ延設回路554と外導体底部48に接触する。
【0075】
外導体33の外導体側張出部46は、ボルト80を用いて、ハウジング70に固定される(
図8参照)。これにより、外導体33が、ハウジング70に押し付けられた状態で、ハウジング70に接触する。
【0076】
以上の様に、第5実施形態のコネクタ装置501では、IC36がサブグランド回路552に電気的に接続されている。サブグランド回路552は、放熱シート539に接触しており、放熱シート539は、外導体33に接触している。外導体33は、ハウジング70に接触している。この構成によれば、IC36の熱を、サブグランド回路552、放熱シート539、外導体33を介してハウジング70に逃がすことができる。しかも、外導体33の外導体側張出部46は、ハウジング70に押し付けられる。この構成によれば、外導体33の熱が、ハウジング70に伝わりやすくなる。
【0077】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
(1)上記各実施形態では、コネクタが、実装コネクタ部と中継コネクタ部とを互いに別体とした構成であったが、実装コネクタ部と中継コネクタ部とを一体とした構成であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…コネクタ装置
10…回路基板
10A…取付孔
11…実装面
20…コネクタ
21…実装コネクタ部
22…中継コネクタ部
31…嵌合部材
31A…フード部
31B…後壁部
32…内導体
33…外導体
34…誘電体
35…サブ基板
35A…挿通孔
37…中継部
38…シールドカバー
38A…カバー本体
38B…延設部
38C…カバー側張出部
38D…挿通孔
38E…貫通孔
39…放熱シート
40A…第1固定部材
40B…第2固定部材
40C…雄ねじ部
40D…頭部
40E…雌ねじ部
40F…雄ねじ部
40G…頭部
41…第1外導体部材
42…第2外導体部材
43…壁部
44…内導体挿通孔
45…筒部
46…外導体側張出部
46A…貫通孔
47…係止部
48…外導体底部
48A…挿通孔
49…載置部
51…サブ基板本体
52…サブグランド回路
53…サブ実装面
54…サブ延設回路
70…ハウジング
70A…外面
70B…内面
71…開口部
72…ハウジング本体
73…カバー
74…基板挿入口
75…ハウジング用ボルト
76…挿通孔
77…ハウジング側取付孔
78…取付孔
80…ボルト
201…コネクタ装置
238…シールドカバー
238B…アーム部
238C…弾性接触片
301…コネクタ装置
320…コネクタ
338…シールドカバー
340…前板部
341…後板部
342…側板部
343…天板部
344…突出部
370…ハウジング
370B…内面
371…天壁
372…第1天壁部
373…第2天壁部
374…段差部
401…コネクタ装置
420…コネクタ
440…導電部材
441…接触導電部
442…付勢部材
443…ガイド部
470…ハウジング
470B…内面
471…天壁
472…第1天壁部
473…第2天壁部
474…段差部
501…コネクタ装置
520…コネクタ
535…サブ基板
539…放熱シート
552…サブグランド回路
554…サブ延設回路
555…ビア