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特開2024-81201露光装置、LEDヘッド及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081201
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】露光装置、LEDヘッド及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20240611BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B41J2/447 101D
B41J2/447 101E
B41J2/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194645
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大介
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎太郎
【テーマコード(参考)】
2C162
【Fターム(参考)】
2C162AE21
2C162AE28
2C162AE40
2C162AE47
2C162AF23
2C162AF57
2C162AF70
2C162AH05
2C162AH38
2C162AH76
2C162AH85
2C162FA04
2C162FA17
(57)【要約】
【課題】解像度の異なる発光素子アレイでも、同じ駆動回路を使用できるようにする。
【解決手段】露光装置は、解像度がそれぞれ異なる第1の発光素子アレイ又は第2の発光素子アレイと、第1の発光素子アレイが接続された第1のモードと、第2の発光素子アレイが接続された第2のモードとの何れか一方で動作する駆動回路120とを備える。駆動回路120は、第1の補正用データ及び第2の補正用データの何れか一方を選択するマルチプレクサ124と、第1の発光素子アレイ又は第2の発光素子アレイに選択されたデータで設定される電流を流すLED駆動回路125と、第1のモードにおいて、マルチプレクサ124に第1の補正用データを選択させ、第1の発光素子アレイを第1の時分割で駆動させ、第2のモードにおいて、マルチプレクサ124に第2の補正用データを選択させ、第2の発光素子アレイを第2の時分割で駆動させる制御回路131とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の解像度の第1の発光素子アレイ及び前記第1の解像度とは異なる第2の解像度の第2の発光素子アレイの何れか一方と、
前記第1の発光素子アレイが接続された第1のモード、及び、前記第2の発光素子アレイが接続された第2のモードの何れか一方で動作する駆動回路と、を備え、
前記駆動回路は、
前記第1のモードで使用する電流を設定するための第1の補正用データ及び前記第2のモードで使用する電流を設定するための第2の補正用データを記憶する記憶部と、
前記第1の補正用データ及び前記第2の補正用データの何れか一方を選択データとして選択する選択部と、
前記第1の発光素子アレイ及び前記第2の発光素子アレイの何れか一方に、前記選択データで設定される電流を流す発光素子駆動部と、
前記第1のモードにおいて、前記選択部に前記第1の補正用データを選択させて、画像データに従って前記第1の発光素子アレイを第1の時分割で駆動させ、前記第2のモードにおいて、前記選択部に前記第2の補正用データを選択させて、画像データに従って前記第2の発光素子アレイを第2の時分割で駆動させる制御部と、を備えること
を特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記第1の発光素子アレイ及び前記第2の発光素子アレイの何れか一方と、前記駆動回路とは、分子間結合により張り合わされていること
を特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記第1の発光素子アレイ及び前記第2の発光素子アレイは、複数の発光サイリスタを配列したLED(Light-Emitting Diode)アレイであり、
前記制御部は、前記複数の発光サイリスタのゲートに電流を流すことにより、前記第1の時分割又は前記第2の時分割で、前記複数の発光サイリスタを駆動させること
を特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項4】
前記第1の発光素子アレイ及び前記第2の発光素子アレイは、複数の発光サイリスタを配列したLED(Light-Emitting Diode)アレイであり、
前記制御部は、前記複数の発光サイリスタのゲートに電流を流すことにより、前記第1の時分割又は前記第2の時分割で、前記複数の発光サイリスタを駆動させること
を特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項5】
前記第1の発光素子アレイ及び前記第2の発光素子アレイは、複数の発光LED(Light-Emitting Diode)を配列したLEDアレイであり、
前記制御部は、前記複数の発光LEDのコモンに電流を流すことにより、前記第1の時分割又は前記第2の時分割で前記複数の発光LEDを駆動させること
を特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項6】
前記第1の発光素子アレイ及び前記第2の発光素子アレイは、複数の発光LED(Light-Emitting Diode)を配列したLEDアレイであり、
前記制御部は、前記複数の発光LEDのコモンに電流を流すことにより、前記第1の時分割又は前記第2の時分割で前記複数の発光LEDを駆動させること
を特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の露光装置を備えること
を特徴とするLEDヘッド。
【請求項8】
請求項1から6の何れか一項に記載の露光装置を備えること
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、露光装置、LEDヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プリントの光プリントヘッドとして用いられる発光装置として、LED(Light-Emitting Diode)を多数配列したLEDアレイがある。LEDアレイヘッドでは、LEDアレイと、駆動回路とを接続するために、それぞれに多数のワイヤボンディング用のボンディングパッドが必要となる。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1に記載されているように、LEDアレイと、駆動回路とを一体形成することにより、このボンディングパッドを不要とすることができる。この場合、ワイヤの本数も減らすことができる。
【0004】
現在、以下のように、駆動回路と、LEDアレイとの一体形成が行われている。
まず、GaAs基板上に、GaAs,AlGaAs及びInGaP等からなる発光層を持った半導体薄膜がエピタキシャル成長により形成される。
その半導体薄膜は、GaAs基板からケミカルエッチング等によりリフトオフされ、Si等の分子間結合により異種基板に張り合わされる。その異種基板上には駆動回路が形成されており、その駆動回路と、半導体薄膜を加工して形成されたLEDアレイとを配線でつなぐことにより、LEDアレイと、駆動回路とを一体化したLEDアレイチップを形成することができる。
【0005】
この技術により、LEDアレイと、駆動回路とをそれぞれCOB(Chip On Board)基板上にダイボンディングで装着する必要がなくなる。また、LEDアレイと、駆動回路とをワイヤで結ぶ必要がなくなるだけでなく、それぞれにおいてワイヤボンディング用のパッドが不要となり、LEDアレイチップの小型化が可能となる。
【0006】
また、LEDアレイを、スイッチング機能を持った発光サイリスタアレイに置き換えることにより、駆動回路が簡略化され、より小型のLEDアレイチップを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-018837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、解像度の異なるLEDアレイ、例えば、600dpiのLEDアレイと、1200dpiのLEDアレイとでは、駆動方法の違いにより時分割の駆動方法が異なる。このため、解像度の異なるLEDアレイでは、異なる駆動回路を使用する必要がある。
【0009】
従って、LEDアレイチップ形成プロセスで、LEDアレイの解像度に合せて、そのLEDアレイを駆動するための駆動回路を変更する必要がある。
【0010】
そこで、本開示の一又は複数の態様は、発光素子アレイの解像度が異なっていても、同じ駆動回路を使用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様に係る露光装置は、第1の解像度の第1の発光素子アレイ及び前記第1の解像度とは異なる第2の解像度の第2の発光素子アレイの何れか一方と、前記第1の発光素子アレイが接続された第1のモード、及び、前記第2の発光素子アレイが接続された第2のモードの何れか一方で動作する駆動回路と、を備え、前記駆動回路は、前記第1のモードで使用する電流を設定するための第1の補正用データ及び前記第2のモードで使用する電流を設定するための第2の補正用データを記憶する記憶部と、前記第1の補正用データ及び前記第2の補正用データの何れか一方を選択データとして選択する選択部と、前記第1の発光素子アレイ及び前記第2の発光素子アレイの何れか一方に、前記選択データで設定される電流を流す発光素子駆動部と、前記第1のモードにおいて、前記選択部に前記第1の補正用データを選択させて、画像データに従って前記第1の発光素子アレイを第1の時分割で駆動させ、前記第2のモードにおいて、前記選択部に前記第2の補正用データを選択させて、画像データに従って前記第2の発光素子アレイを第2の時分割で駆動させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本開示の一態様に係るLEDヘッドは、上記の露光装置を備えることを特徴とする。
【0013】
本開示の一態様に係るLEDヘッドは、上記の露光装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一又は複数の態様によれば、発光素子アレイの解像度が異なっていても、同じ駆動回路を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係る露光装置を備える画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2】実施の形態1における駆動回路の構成を概略的に示すブロック図である。
図3】1200dpiのLEDアレイを構成する発光サイリスタの配線図である。
図4】600dpiのLEDアレイを構成する発光サイリスタの配線図である。
図5】LEDアレイが1200dpiである場合のブロック図である。
図6】LEDアレイが600dpiである場合のブロック図である。
図7】1200dpiのモードでの印刷駆動時のタイムチャートである。
図8】600dpiのモードでの印刷駆動時のタイムチャートである。
図9】実施の形態2における発光サイリスタヘッドの断面図である。
図10】変形例における、600dpiのLEDアレイを構成する発光LEDの配線図である。
図11】変形例における駆動回路の構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る露光装置を備える画像形成装置100の構成を概略的に示す断面図である。
なお、図1において、大文字のKは、ブラックに関連する要素を、大文字のYは、イエローに関連する要素を、大文字のMは、マゼンダに関連する要素を、大文字のCは、シアンに関連する要素を、それぞれ示すものとする。
【0017】
画像形成装置100は、例えば、電子写真方式のカラープリンタである。
画像形成装置100では、四つの独立した画像形成ユニット101K、101Y、101M、101Cが、記録媒体としての用紙の挿入側から排出側に沿って配置されている。
【0018】
画像形成ユニット101K、101Y、101M、101Cのそれぞれは、ブラック、イエロー、マゼンダ及びシアンの現像剤であるトナーを用いたトナー像(現像剤像)を形成する。なお、記録媒体として、用紙の他に、OHP(OverHead Projector)用紙、封筒、複写紙又は特殊紙等を使用することができる。
【0019】
画像形成ユニット101K、101Y、101M、101Cのそれぞれは、像担持体としての感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれと、帯電ローラ103K、103Y、103M、103Cのそれぞれと、現像ローラ104K、104Y、104M、104Cのそれぞれと、トナー供給ローラ105K、105Y、105Y、105M、105Cのそれぞれとを備える。
【0020】
感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれは、像を担持する像担持体である。
帯電ローラ103K、103Y、103M、103Cのそれぞれは、感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれの表面を一様に帯電させる帯電器である。
現像ローラ104K、104Y、104M、104Cのそれぞれは、感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれの表面に形成された静電潜像にトナーを付着させ、可視像である各色のトナー像を形成する現像器である。
【0021】
トナー供給ローラ105K、105Y、105Y、105M、105Cのそれぞれは、現像ローラ104K、104Y、104M、104Cのそれぞれにトナーを供給する現像剤供給器である。トナー供給ローラ105K、105Y、105Y、105M、105Cのそれぞれは、トナーカートリッジ106K、106Y、106M、106Cのそれぞれからのトナーを、現像ローラ104K、104Y、104M、104Cのそれぞれに供給する。
【0022】
また、現像ローラ104K、104Y、104M、104Cのそれぞれには、現像ブレード107K、107Y、107M、107Cのそれぞれが圧接されている。
現像ブレード107K、107Y、107M、107Cのそれぞれは、現像ローラ104K、104Y、104M、104Cのそれぞれの表面において、トナーを薄層化する。
【0023】
露光装置であるLEDヘッド108K、108Y、108M、108Cのそれぞれは、感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれよりも上方において、感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれと対向する位置に配置されている。
【0024】
LEDヘッド108K、108Y、108M、108Cのそれぞれは、それぞれの色の画像データに従って、感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれの表面を露光し、感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれに静電潜像を形成するLEDアレイ109K、109Y、109M、109Cのそれぞれを備えている。LEDアレイ109K、109Y、109M、109Cのそれぞれは、感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれに対向するように、配置されている。なお、LEDアレイ109K、109Y、109M、109Cのそれぞれを特に区別する必要がない場合には、LEDアレイ109K、109Y、109M、109Cの何れかをLEDアレイ109という。
【0025】
感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cよりも下方には、転写ユニットが配設されている。転写ユニットは、転写装置としての転写ローラ110K、110Y、110M、110Cと、搬送ベルト111とを備える。
【0026】
転写ローラ110K、110Y、110M、110Cのそれぞれは、搬送ベルト111を介して各感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれと対向して配置され、用紙をトナーと逆の極性に帯電させ、それぞれの色のトナー像を用紙に転写するローラである。
【0027】
搬送ベルト111は、図1中の矢印d方向へ走行自在にされている。搬送ベルト111は、用紙を矢印d方向へ搬送する。
【0028】
画像形成装置100の下部には、搬送ベルト111に用紙を供給するための給紙機構が配置されている。給紙機構は、用紙収容カセット112、用紙色測色部113、ホッピングローラ114及びレジストローラ115を備える。
【0029】
用紙収容カセット112は、用紙を収容する媒体収容部である。
用紙色測色部113は、用紙収容カセット112内に収容されている用紙の色を測色する媒体色測色部である。
【0030】
ホッピングローラ114は、用紙収容カセット112から一枚の用紙を取り出す。
レジストローラ115は、ホッピングローラ114で取り出された一枚の用紙を搬送ベルト111に供給する。
【0031】
更に、搬送ベルト111の排出側には、定着器116が設けられている。定着器116は、加熱ローラ及びバックアップローラを有し、用紙上に転写されたトナーを加圧及び加熱することによって定着させる。
【0032】
定着器116の排出側に、図示しない排出ローラ、ピンチローラ及び用紙スタッカ等が設けられており、定着器116で画像が定着された用紙が、画像形成装置100の外部に排出される。
【0033】
画像形成装置の動作について説明する。
先ず、用紙収容カセット112内の用紙は、ホッピングローラ114によって繰り出され、レジストローラ115へ送られる。続いて、その用紙は、レジストローラ115から搬送ベルト111に送られ、この搬送ベルト111の走行に伴って、画像形成ユニット101K、101Y、101M、101Cへと搬送される。
【0034】
画像形成ユニット101K、101Y、101M、101Cのそれぞれにおいて、感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれの表面は、帯電ローラ103K、103Y、103M、103Cのそれぞれによって一様に帯電される。そして、LEDヘッド108K、108Y、108M、108Cのそれぞれによって露光されることで、感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれの表面には、静電潜像が形成される。
【0035】
その静電潜像には、現像ローラ104K、104Y、104M、104Cのそれぞれで薄層化されたトナーが静電的に付着されて、感光体ドラム102K、102Y、102M、102Cのそれぞれの表面には、対応する色のトナー像が形成される。
【0036】
そのトナー像は、転写ローラ110K、110Y、110M、110Cのそれぞれによって搬送ベルト111によって搬送されてきた用紙に転写される。カラーのトナー像が転写された用紙は、定着器116に送られる。
【0037】
この定着器116は、カラーのトナー像を用紙に定着させる。これにより、その用紙には、カラー画像が形成される。トナー像が形成された用紙は、図示しない排出ローラ及びピンチローラに挟持され、用紙スタッカへ排出される。このような過程を経て、カラー画像が用紙上に形成される。
【0038】
図2は、実施の形態1における駆動回路120の構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示されている露光装置であるLEDヘッド108K、108Y、108M、108Cのそれぞれは、LEDアレイ109と、駆動回路120とを備えている。LEDアレイ109と、駆動回路120とは、一体化することでLEDアレイチップを構成する。言い換えると、LEDアレイ109と、駆動回路120とは、Si等の分子間結合により張り合わされている。
【0039】
実施の形態1では、露光装置は、第1の解像度の発光素子アレイである第1の発光素子アレイ及びその第1の解像度とは異なる第2の解像度の発光素子アレイである第2の発光素子アレイの何れか一方と、第1の発光素子アレイが接続された第1のモード及び第2の発光素子アレイが接続された第2のモードの何れか一方で動作する駆動回路120とを備える。
ここでは、駆動回路120は、1200dpiのLEDアレイ109と、600dpiのLEDアレイ109とに対応するものとして説明する。
【0040】
駆動回路120には、四つの印刷データ信号DATAI0~DATAI3が入力される。四つの印刷データ信号DATAI0~DATAI3が入力されるため、四画素分のデータをクロック信号毎に送出することができる。そのデータは、シフトレジスタ回路121に順次転送される。
【0041】
次に、ラッチ信号LOAD-Pが駆動回路120に入力されると、シフトレジスタ回路121から、ビットデータがラッチ回路122にラッチされる。
【0042】
続いて、そのビットデータと、駆動回路120に入力される印刷駆動信号STB-Nとによって、LEDアレイ109の内、Highレベルであるドットデータに対応する発光素子が点灯される。なお、符号VDDHは、電源を示し、符号HSYNC-Nは、時分割駆動において初期状態を設定するための同期信号を示し、符号VREFは、LED駆動電流の基準電圧を示す。
【0043】
メモリセルアレイ123は、各発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データ、LEDアレイ109の光量補正データ、又は、LEDアレイ109を使用した製品毎の固有データといった補正用データを格納する。補正用データは、LEDアレイ109への印加電位を調整することにより補正を行うものとする。ここでは、メモリセルアレイ123は、第1のモードで使用する電位を設定するための第1の補正用データ及び第2のモードで使用する電位を設定するための第2の補正用データを記憶する記憶部として機能する。
【0044】
マルチプレクサ124は、メモリセルアレイ123から読み出して出力する補正用データを切り替える。
言い換えると、マルチプレクサ124は、第1の補正用データ及び第2の補正用データの何れか一方を、選択データとして選択する選択部として機能する。
【0045】
LED駆動回路125は、LEDアレイ109を駆動する。
ここでは、LED駆動回路125は、第1の発光素子アレイ及び第2の発光素子アレイの何れか一方に、選択データで設定される電流を流す発光素子駆動部として機能する。
【0046】
書き込み制御回路130は、印刷駆動信号STB-Nと、ラッチ信号LOAD-Pとに基づき、LEDアレイ109に対する、駆動オン/オフ制御信号と、補正用データのメモリセルアレイ123に対する書き込み信号、及び、モード設定を行うときの書き込み指令信号を発生する。
【0047】
制御回路131は、マルチプレクサ124に対し、メモリセルアレイ123から読み出して出力する補正用データを切り替える信号を与える制御部として機能する。
例えば、制御回路131は、第1のモードにおいて、マルチプレクサ124に第1の補正用データを選択させて、ゲート駆動回路132に画像データに従って第1の発光素子アレイを第1の時分割で駆動させる。また、制御回路131は、第2のモードにおいて、マルチプレクサ124に第2の補正用データを選択させて、ゲート駆動回路132に画像データに従って第2の発光素子アレイを第2の時分割で駆動させる。
【0048】
ゲート駆動回路132は、書き込み制御回路130及び制御回路131からの切り替え信号により、ゲート出力をシフトするシフト部として機能する。
分割切替回路133は、時分割の切り替えを行う。
【0049】
以上のように、駆動回路120は、回路網(circutry)により構成することができる。
【0050】
図3は、1200dpiのLEDアレイ109を構成する発光サイリスタの配線図である。
ここでは、LEDアレイ109は、8分割のNゲート構成となっている。
図3では、LEDアレイ109に含まれている8ドットに対応する発光サイリスタからなる部分LEDアレイ140を用いて説明する。
【0051】
LED駆動回路125のパッドDO1から、アノード配線141が、部分LEDアレイ140に接続されている。
【0052】
部分LEDアレイ140を構成する発光サイリスタのそれぞれに、ゲートG1~G8のゲート配線142A~142Hがつながっている。ゲート配線142A~142Hは、それぞれのゲートG1~G8のビア143A~143Hにつながっている。
【0053】
部分LEDアレイ140に接続されるカソード配線144A~144Dは、それぞれカソードのビア145A~145Dに接続されており、図示しない配線で共通のカソードとなっている。
【0054】
図4は、600dpiのLEDアレイ109を構成する発光サイリスタの配線図である。
ここでは、LEDアレイ109は、4分割のNゲート構成となっている。
図4では、LEDアレイ109に含まれている4ドットに対応する発光サイリスタからなる部分LEDアレイ150を用いて説明する。
【0055】
LED駆動回路125のパッドDO1から、アノード配線151が、部分LEDアレイ150に接続されている。
【0056】
部分LEDアレイ150を構成する発光サイリスタのそれぞれに、ゲートG1、G3、G5、G7のゲート配線152A~152Dがつながっている。ゲート配線152A~152Dは、それぞれのゲートG1、G3、G5、G7のビア153A~153Dにつながっている。
【0057】
部分LEDアレイ150に接続されるカソード配線154A~154Dは、それぞれカソードのビア155A~155Dに接続されており、図示しない配線で共通のカソードとなっている。
【0058】
以上のように、本実施の形態では、第1の発光素子アレイ及び第2の発光素子アレイは、複数の発光サイリスタを配列したLEDアレイ109であり、制御回路131は、複数の発光サイリスタのゲートに電圧を印加することにより、第1の時分割又は第2の時分割で、複数の発光サイリスタを駆動させる。
【0059】
図5及び図6は、時分割切替制御の概要を示すブロック図である。
図5は、LEDアレイ109が1200dpiである場合のブロック図である。
分割切替回路133に、1200dpiを示すモード設定が指示されると、分割切替回路133は、書き込み制御回路130及び制御回路131に、1200dpiのモードでの処理を設定する。ここでは、分割切替回路133は、書き込み制御回路130及び制御回路131に、8分割の設定を行う。
【0060】
このような設定を受けて、書き込み制御回路130及び制御回路131は、駆動するゲートの選択を行う。
例えば、書き込み制御回路130及び制御回路131のそれぞれから、ゲート駆動回路132に切替信号が与えられる。制御回路131からは、ラッチ信号LOAD-P及び同期信号HSYNC-Nに同期して、使用するゲートを切り替えるためのゲート切替信号がゲート駆動回路132に与えられる。ここでは、全てのゲートG1~G8が選択される。また、書き込み制御回路130からは、印刷駆動信号STB-N及びラッチ信号LOAD-Pに同期して、使用するゲート出力の状態をオン及びオフに設定するためのオン/オフ切替信号がゲート駆動回路132に入力される。ここでは、全てのゲートG1~G8の出力がオンに設定される。
【0061】
また、書き込み制御回路130は、メモリセルアレイ123に書き込むタイミングを制御することにより、全てのゲートG1~G8に対応するメモリセルに補正用データを書き込む。
【0062】
図6は、LEDアレイ109が600dpiである場合のブロック図である。
分割切替回路133に、600dpiを示すモード設定が指示されると、分割切替回路133は、書き込み制御回路130及び制御回路131に、600dpiのモードでの処理を設定する。ここでは、分割切替回路133は、書き込み制御回路130及び制御回路131に、4分割の設定を行う。
【0063】
このような設定を受けて、書き込み制御回路130及び制御回路131は、駆動するゲートの選択を行う。
例えば、書き込み制御回路130及び制御回路131のそれぞれから、ゲート駆動回路132に切替信号が与えられる。制御回路131からは、ラッチ信号LOAD-P及び同期信号HSYNC-Nに同期して、使用するゲートを切り替えるためのゲート切替信号がゲート駆動回路132に与えられる。ここでは、四つのゲートG1、G3、G5、G7が選択される。また、書き込み制御回路130からは、印刷駆動信号STB-N及びラッチ信号LOAD-Pに同期して、ゲート出力の状態をオン及びオフに設定するためのオン/オフ切替信号がゲート駆動回路132に入力される。ここでは、四つのゲートG1、G3、G5、G7の出力がオンに設定される。
【0064】
また、書き込み制御回路130は、メモリセルアレイ123に書き込むタイミングを制御することにより、四つのゲートG1、G3、G5、G7に対応するメモリセルに補正用データを書き込む。
【0065】
図7及び図8は、印刷駆動時のタイムチャートを示す。
図7は、1200dpiのモードでの印刷駆動時のタイムチャートである。
実施の形態1では、分割切替回路133は、時分割切替のモード設定に応じて、データをシフトレジスタ回路121に書き込むことで、補正用データの格納先が、選択されたゲートに対応するメモリセルアレイ123となる。
【0066】
ここでは、図7において、ゲートG1に対応する印刷データ信号が入力される場合について説明する。
符号160で示される同期信号HSYNC-Nが制御回路131に入力されると、制御回路131は、ゲート駆動回路132に、全てのゲートG1~G8を使用するためのゲート切替信号を与える。また、制御回路131は、マルチプレクサ124を制御して、全てのゲートG1~G8に対応する補正用データを選択させる。
【0067】
分割切替回路133には、ゲートG1に対応する印刷データ信号161が入力される。分割切替回路133は、符号162で示されているクロック信号CLKIに応じて、その信号に対応するビットデータをシフトレジスタ回路121に書き込む。ここでは、12クロックのクロック信号CLKIが入力されるため、一つのクロックで4画素分のデータが書き込まれ、合計48画素分のビットデータが書き込まれる。
【0068】
次に、シフトレジスタ回路121に格納されたビットデータは、符号163で示されるラッチ信号LOAD-Pによりラッチ回路122にラッチされる。
そして、制御回路131により選択されたゲートG1~G8が駆動して、書き込み制御回路130により出力はオンに設定されているため、符号165の区間で選択されたゲートの出力はオンになる。符号164で示される印刷駆動信号STB-Nが書き込み制御回路130に入力されると、LED駆動回路125がオン/オフ動作を行う。
【0069】
ラッチ回路122から出力されるドットデータと、マルチプレクサ124から出力されるメモリセルアレイ123に格納された補正用データとによる制御用の電流に基づき、LED駆動回路125は、LEDアレイ109を駆動する為のLED駆動電流を出力する。これにより、駆動されているゲートの発光素子であるLEDが発光する。
なお、ラッチ信号LOAD-Pが入力されると、ラッチ回路122に、印刷データに対応するビットデータがラッチされ、制御回路131により駆動するゲートがシフトされる。
【0070】
図8は、600dpiのモードでの印刷駆動時のタイムチャートである。
ここでは、図8において、ゲートG1に対応する印刷データ信号が入力される場合について説明する。
符号170で示される同期信号HSYNC-Nが制御回路131に入力されると、制御回路131は、ゲート駆動回路132に、四つのゲートG1、G3、G5、G7を使用するためのゲート切替信号を与える。また、制御回路131は、マルチプレクサ124を制御して、四つのゲートG1、G3、G5、G7に対応する補正用データを選択させる。
【0071】
分割切替回路133には、ゲートG1に対応する印刷データ信号171が入力される。分割切替回路133は、符号172で示されているクロック信号CLKIに応じて、その信号に対応するビットデータをシフトレジスタ回路121に書き込む。ここでは、12クロックのクロック信号CLKIが入力されるため、一つのクロックで4画素分のデータが書き込まれ、合計48画素分のビットデータが書き込まれる。
【0072】
次に、シフトレジスタ回路121に格納されたビットデータは、符号173で示されるラッチ信号LOAD-Pによりラッチ回路122にラッチされる。
そして、制御回路131により選択されたゲートG1、G3、G5、G7が駆動して、書き込み制御回路130により出力はオンに設定されているため、符号175の区間で選択されたゲートの出力はオンになる。符号174で示される印刷駆動信号STB-Nが書き込み制御回路130に入力されると、LED駆動回路125がオン/オフ動作を行う。
【0073】
ラッチ回路122から出力されるドットデータと、マルチプレクサ124から出力されるメモリセルアレイ123に格納された補正用データとによる制御用の電流に基づき、LED駆動回路125は、LEDアレイ109を駆動する為のLED駆動電流を出力する。これにより、駆動されているゲートの発光素子であるLEDが発光する。
なお、ラッチ信号LOAD-Pが入力されると、ラッチ回路122に、印刷データに対応するビットデータがラッチされ、制御回路131により駆動するゲートがシフトされる。
【0074】
実施の形態1では、600dpiのモード設定時に、ゲートG1、G3、G5、G7が選択されているが、ゲートG2、G4、G6、G8等のように、分割数に対応していれば別のゲートが選択されてもよい。
【0075】
以上のように、実施の形態1によれば、時分割切替のモード設定により、駆動回路120において、600dpiの駆動を行うモードと、1200dpiの駆動を行うモードとを切り替えることができるため、LEDアレイ109に使用する駆動回路120を共通化することができる。そして、IC(Integrated Circuit)の共通化による大量生産によるコストダウン及びプロセス工程の短縮化が見込める。
【0076】
600dpiのLEDアレイ109と、1200dpiのLEDアレイ109のチップの形成は、配線パターンのマスク変更のみで変更可能であるため、IC部品自体を変えずに済む。
【0077】
600dpiのモード設定において、ゲートG1、G2、G3、G4のように隣接するゲートを使用する場合には、カソードをまたいで配線が行われるため、プロセス工程が増えてしまう。実施の形態1のように、使用するゲートが隣接しないようにすることで、カソードまたぐことなく配線可能となり、配線工程のマスクパターン修正のみで対応可能である。
【0078】
また、600dpiのモード設定において、ゲートG1、G2、G4、G7のように、非等間隔に配置されたゲートを使用することもできるが、実施の形態1のように、等間隔に配置されているゲートを使用することで、マスク設計のパターンを繰り返しで作成できる。プロセスの観点でもパターンの繰り返しの方が安定する。配線の反射による発光のばらつきも抑えられる。
【0079】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1に記載されているLEDアレイ109と、駆動回路120とを有するチップであるLEDアレイチップを用いて、画像形成装置100で用いられる光プリントヘッドであるLEDヘッドとしての発光サイリスタヘッドを説明する。
【0080】
図9は、実施の形態2における発光サイリスタヘッド180の断面図である。
図9に示されているように、発光サイリスタヘッド180は、ベース部材181と、COB基板182と、発光サイリスタチップ183と、レンズアレイ184と、レンズホルダ185と、クランパ186とを備える。
【0081】
ベース部材181は、COB基板182を固定するための部材であり、その側面にはクランパ186を用いて、COB基板182及びレンズホルダ185をベース部材181に固定するための開口部181aが設けられている。ベース部材181は、有機高分子材料等を用いて射出形成されている。
【0082】
COB基板182は、発光サイリスタチップ183を基板上に一体化したユニットである。
発光サイリスタチップ183は、IC上に発光サイリスタアレイであるLEDアレイ109を形成したものである。
【0083】
レンズアレイ184は、柱状の光学レンズを発光サイリスタチップ183に沿って多数配列した光学レンズ群である。
レンズホルダ185は、レンズアレイ184をベース部材181の所定の位置に保持する部分である。
クランパ186は、ベース部材181に設けられた開口部181aを介して、各構成部品を一体的に挟持するばね部材である。
【0084】
以上説明したように、実施の形態2におけるLEDヘッドとしての発光サイリスタヘッド180は、実施の形態1で説明した駆動回路120を用いることにより、600dpiのLEDアレイ109と、1200dpiのLEDアレイ109とを共通化できる。
【0085】
実施の形態1及び2では、駆動回路120を、サイリスタLEDに適用した例を説明したが、駆動回路120を、ゲートを使用しないアノード、カソードのみのLEDアレイに適用することもできる。
【0086】
図10は、600dpiのLEDアレイを構成する発光LEDの配線図である。
ここでは、LEDアレイは、4分割のコモンカソード構成となっている。
また、図11は、この変形例における駆動回路120#の構成を概略的に示すブロック図である。
図2に示されている駆動回路120のゲート駆動回路132の代わりに、カソード駆動回路134が設けられている。
【0087】
カソード駆動回路134は、書き込み制御回路130及び制御回路131からの切り替え信号により、カソード出力をシフトする。
【0088】
図10において、LED駆動回路125のパッドDO1から、アノード配線191が、部分LEDアレイ190に、4ドット毎に接続されている。
【0089】
部分LEDアレイ190に接続されるカソード配線192A、192B、192C、192Dは、それぞれカソードのビア193A、193B、193C、193Dに接続されており、IC内の4本の共通カソード配線194A、194B、194C、194Dとなっている。
【0090】
共通カソード配線194A、194B、194C、194Dのコモンカソードの先には図示しないパワーMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが接続されている。
【0091】
図2に示されている駆動回路120では、ラッチ信号LOAD-Pが入力されるとゲート駆動回路132によりゲートの駆動をシフトして、駆動しているゲートのLEDが発光する。一方、図11に示されている駆動回路120#では、ラッチ信号LOAD-Pが入力されたタイミングで、カソード駆動回路134が選択したコモンカソードのパワーMOSトランジスタを順次駆動して、カソードをオンするタイミングをシフトさせることで、LEDを発光させる。
【0092】
言い換えると、この変形例では、第1の発光素子アレイ及び第2の発光素子アレイは、複数の発光LEDを配列したLEDアレイであり、制御回路131は、複数の発光LEDのコモンに電流を流すことにより、第1の時分割又は第2の時分割で複数の発光LEDを駆動させる。
【符号の説明】
【0093】
100 画像形成装置、 109 LEDアレイ、 120 駆動回路、 121 シフトレジスタ回路、 122 ラッチ回路、 123 メモリセルアレイ、 124 マルチプレクサ、 125 LED駆動回路、 130 書き込み制御回路、 131 制御回路、 132 ゲート駆動回路、 133 分割切替回路、 180 発光サイリスタヘッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11