(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081202
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】入力表示装置
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20240611BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01H36/00 V
G06F3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194647
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】天野 崇
【テーマコード(参考)】
5B020
5G046
【Fターム(参考)】
5B020DD03
5B020DD13
5G046AA02
5G046AB01
5G046AC21
5G046AD02
5G046AE05
(57)【要約】
【課題】 鍵盤状/突起状スイッチのタッチ操作の有無を精度良く検出することができる入力表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明の入力表示装置は、画像を表示するためのディスプレイ110と、ディスプレイ110上に取り付けられ静電容量型のタッチパネル120と、タッチパネル120上に取り付けられた鍵盤状/突起状スイッチ132と、タッチパネル120に操作対象が接近したとき、当該操作対象の位置を検出するタッチ検出部150と、タッチ検出部150で検出された操作対象の位置のバラツキに基づき鍵盤状/突起状スイッチ132へのタッチ操作の有無を判定する操作判定部160とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するためのディスプレイと、
前記ディスプレイ上に取り付けられた静電容量型のタッチパネルと、
前記タッチパネル上に設けられた鍵盤状/突起状スイッチと、
前記タッチパネルに操作対象が接近したとき、操作対象の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された操作対象の位置のバラツキに基づき鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作の有無を判定する判定手段と、
を有する入力表示装置。
【請求項2】
前記判定手段は、検出された操作対象の位置のバラツキが大きいか否か判定し、バラツキが大きいとき、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作が行われていないと判定し、バラツキが小さいとき、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作が行われていると判定する、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項3】
前記判定手段は、検出された操作対象の位置のバラツキと閾値とを比較し、バラツキが閾値以上であるとき、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作が行われていないと判定し、バラツキが閾値未満であるとき、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作が行われていると判定する、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項4】
前記判定手段は、検出された操作対象の位置を一定数取得し、取得した一定数の操作対象の位置から操作対象の位置のバラツキを算出する、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項5】
入力表示装置はさらに、前記タッチパネル上にカバーガラスを含み、前記カバーガラスは、少なくとも1つの鍵盤状/突起状スイッチを含み、
鍵盤状/突起状スイッチは、前記タッチパネルの表面から側方に延びる表面を含む、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項6】
前記ディスプレイは、車載用ディスプレイである、請求項1に記載の入力表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人と機械とのインターフェース機能を備えた入力表示装置に関し、特に、立体形状の操作部を含む入力表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイに重畳して配置されたタッチパネル上に凸部を設け、当該凸部と重なる位置に操作アイコン等の画像を表示する入力表示装置が開示されている(例えば、特許文献1)。ユーザーは、凸部をタッチ操作することで入力を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電容量型のタッチ操作を行うディスプレイ機器において、カバーガラスに凹凸形状を持たせることによりタッチ位置を触覚的に認知させ、注視せずともタッチ位置を理解することができるユーザーインタフェース(以降、立体UIと呼ぶ)の提案がなされている。
【0005】
図1(A)は、従来のフラットなタッチパネルの操作例であり、ユーザーUは、ディスプレイ10に表示された操作アイコン12を視認し、操作アイコン12(図の例は音符)の位置をタッチ操作することで入力を行う。
【0006】
図1(B)は、立体UIを有するタッチパネルの操作例、
図1(C)は、立体UIの概略断面図である。静電容量型のセンサを含むタッチパネル24上には、凹凸形状の透明なカバーレンズ26が取り付けられ、ディスプレイ20は、カバーレンズ26と重なる位置に操作アイコン22を表示する。ユーザーUは、カバーガラス26上に指をタッチすることで入力を行う。タッチ検出には、センサから距離が離れていても指の静電容量(距離)を検出することができる高感度静電センサが用いられ、厚みのあるカバーレンズ26の上からでもタッチの有無を判定することが可能である。これにより、運転中の車載ディスプレイへの注視が難しい状況下において、タッチミス(操作ミス)を低減することが可能である。
【0007】
立体UIでは、車室内に存在する多様な物理スイッチ(ボタン、ノブ、スライダー等)を模した形状とその操作検出をタッチパネルで実現するため、多種多様の操作ジェスチャに対応することが求められる。
【0008】
その一つとして、車載スイッチの中には、
図2(A)、(B)に示すように、ディスプレイから水平方向に突出する鍵盤状または突起状のスイッチ30がある。鍵盤状/突起状スイッチ30は、タッチパネル40から側方に延びる操作面32を有する。このような鍵盤状/突起状スイッチ30の操作方法は、通常のフラット形状のスイッチの操作方法と異なる。フラット形状のスイッチでは、
図2(C)に示すように、タッチパネル40上の平坦な操作面42に対し指Uを画面方向に触れるまたは押し込むが、鍵盤状/突起状スイッチでは、
図2(D)に示すように、タッチパネル40から側方に突出した操作面44に指Uを乗せることでのタッチ操作を行う。
【0009】
図3(A)、(B)に、より具体的な操作方法について説明する。
図3(A)は、フラット形状スイッチの概略断面であり、タッチパネル40上には平坦なカバーガラス42が取り付けられる。ユーザーは、指UをX方向に移動させ、カバーガラス42に指Uを接近させてタッチ操作を行う。このため、タッチパネル40のセンサから指Uまでの距離が大きく変化し、タッチ・非タッチのときに測定される静電容量の値の差が大きくなり、それ故、タッチ操作の有無の閾値判定が容易である。
【0010】
これに対し、鍵盤状/突起状スイッチでは、
図3(B)に示すように、タッチパネル40上にカバーガラス42が取り付けられ、カバーガラス42は、タッチパネル40から離れる方向に突出した突起部44を有する。
【0011】
ユーザーは、突起部44へのタッチ操作を行う場合、タッチパネル40から距離Dだけ離れた位置P1からY方向に指Uを移動させ、位置P2で突起部44の表面に指Uを乗せる。位置P1において、指Uは、タッチパネル40から距離Dであるが、カバーガラス42に非接触で空中に浮いているため、センサによって測定される静電容量は小さく、指Uのタッチ操作は検出されない。位置P2において、指Uは、タッチパネル40から距離Dであるが、指Uが突起部44の表面に接触するため、センタによって測定される静電容量が大きくなり、指Uのタッチ操作が検出される。
【0012】
しかしながら、指Uを突起部44の表面に乗せた場合に、指Uがタッチパネル40から距離Dだけ離れているため、位置P1の非接触時の静電容量と位置P2の接触時の静電容量の差が大きく変化せず、タッチ操作の有無の判定が難しくなる。このようなことから、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作において、精度良くタッチ操作の有無を判定することができる検出手法が必要となる。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、鍵盤状/突起状スイッチのタッチ操作の有無を精度良く検出することができる入力表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る入力表示装置は、画像を表示するためのディスプレイと、前記ディスプレイ上に取り付けられた静電容量型のタッチパネルと、前記タッチパネル上に設けられた鍵盤状/突起状スイッチと、前記タッチパネルに操作対象が接近したとき、操作対象の位置を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された操作対象の位置のバラツキに基づき鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作の有無を判定する判定手段とを有する。
【0015】
ある態様では、前記判定手段は、検出された操作対象の位置のバラツキが大きいか否か判定し、バラツキが大きいとき、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作が行われていないと判定し、バラツキが小さいとき、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作が行われていると判定する。ある態様では、前記判定手段は、検出された操作対象の位置のバラツキと閾値とを比較し、バラツキが閾値以上であるとき、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作が行われていないと判定し、バラツキが閾値未満であるとき、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作が行われていると判定する。ある態様では、前記判定手段は、検出された操作対象の位置を一定数取得し、取得した一定数の操作対象の位置から操作対象の位置のバラツキを算出する。ある態様では、入力表示装置はさらに、前記タッチパネル上にカバーガラスを含み、前記カバーガラスは、少なくとも1つの鍵盤状/突起状スイッチを含み、鍵盤状/突起状スイッチは、前記タッチパネルの表面から側方に延びる表面を含む。ある態様では、前記ディスプレイは、車載用ディスプレイである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検出された操作対象の位置のバラツキに基づき鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作の有無を判定するようにしたので、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作の判定精度を向上させ、誤判定を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1(A)は、フラットなタッチパネルの操作例を示し、
図1(B)は、立体UIのタッチパネルの操作例を示し、
図1(C)は、立体UIの概略断面図である。
【
図2】
図2(A)、(B)は、鍵盤状/突起状のスイッチの構成例を示す斜視図、
図2(C)は、フラット形状スイッチの操作例、
図2(D)は、鍵盤状/突起状スイッチの操作例を示す図である。
【
図3】
図3(A)は、フラット形状スイッチの具体的な操作例、
図3(B)は、鍵盤状/突起状スイッチの具体的な操作例を示す図である。
【
図4】本発明の実施例に係る入力表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】指が空中にあるときと、指を鍵盤状/突起状スイッチに乗せたときに検出された指位置(x、y座標)の遷移を表すグラフである。
【
図6】本発明の実施例による鍵盤状/突起状スイッチのタッチ操作の検出アルゴリズムを示す動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の入力表示装置は、人と機械との間のインターフェースを提供する。本発明の入力表示装置は、特に限定されないが、例えば、タッチパネル付きディスプレイを搭載する電子装置などに適用される。タッチパネル付きディスプレイを搭載する電子装置は、例えば、ナビゲーション機能、オーディオ・ビジュアル機能、テレビ機能などを備えた車載装置である。
【実施例0019】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の実施例に係る入力表示装置の構成を示すブロック図である。本実施例の入力表示装置100は、画像や映像を表示するためのディスプレイ110と、ディスプレイ110上に搭載された静電容量型のセンサを含むタッチパネル120と、タッチパネル120の表面に取り付けら、立体UIとしての鍵盤状/突起状スイッチ132を含むカバーガラス130と、ディスプレイ110の画像表示やタッチパネル120のタッチ検出などを制御するコントローラ140を含んで構成される。
【0020】
ディスプレイ110は、特に限定されないが、例えば、液晶パネルまたは有機ELパネルを含み、コントローラ140から提供される画像データを表示する。例えば、鍵盤状/突起状スイッチ132の対応する位置に入力操作を表す操作アイコンが表示されるようにしてもよい。
【0021】
タッチパネル120は、例えば、複数のX側およびY側の電極ラインが交差する位置に形成された複数のセンサ(検出部)を含み、当該センサは、ユーザーの指や手などがカバーガラス130や鍵盤状/突起状スイッチ132に接近または接触したときの静電容量を検出する。タッチパネル120は、ディスプレイ110上に搭載され、ユーザーがディスプレイ110に表示されたアイコン等への入力を行うための入力インターフェースを提供する。
【0022】
タッチパネル120の表面には、カバーガラス130が取り付けられる。カバーガラス130は、タッチパネル120の一部であってもよいし、あるいは、タッチパネル120とは別に用意されるものであってもよい。
【0023】
カバーガラス130には、立体UIとして、1つまたは複数の鍵盤状/突起状スイッチ132が形成される。鍵盤状/突起状スイッチ132は、鍵盤状または突起状の形状を有し、この突出した形状は、少なくともカバーガラス130から側方に延びる表面、つまりタッチパネル120から遠ざかる方向に延びる表面を含む。この表面は、少なくともユーザーの指を乗せることができる大きさである。
【0024】
鍵盤状/突起状スイッチ132の形状、サイズ、厚さ、材料等は、特に限定されないが、例えば、
図2(A)、(B)に示すように、タッチパネル40の表面から側方に延びる操作面32を含む。操作面32は、必ずしも透明である必要はなく、そこに入力操作の内容を表す文字、記号、図形等が描画されていてもよい。また、操作面32は、必ずしも平坦である必要はなく、多少の凹凸を含んでいたり、直線状に傾斜したり、湾曲していてもよい。
【0025】
また、鍵盤状/突起状スイッチ132は、カバーガラス130と一体に形成されていてもよいし、カバーガラス130と別体であってもよく、例えば、矩形状の鍵盤状/突起状スイッチ132の側面が両面接着剤等によってカバーガラス130に貼り付けられてもよい。この場合、鍵盤状/突起状スイッチ132は、カバーガラス130と異なる材料から構成することができ、例えば、アクリル、ポリカーボネートなどから構成される。
【0026】
タッチパネル120上の鍵盤状/突起状スイッチ132の座標位置は、コントローラ140のメモリに登録され、コントローラ140は、タッチパネル120に接近する指が検出されたとき、当該指が鍵盤状/突起状スイッチ132のタッチ操作か否かを判定する。また、コントローラ140は、ディスプレイ110を介して鍵盤状/突起状スイッチ132の近傍に入力操作を表すようなアイコンを表示させることが可能である。ユーザーは、鍵盤状/突起状スイッチ132の操作面に描画されたアイコン、あるいはディスプレイ110に表示されたアイコンを視認し、鍵盤状/突起状スイッチ132をタッチすることで入力操作を行う。
【0027】
コントローラ140は、ハードウエアおよび/またはソフトウエア資源を含み、例えば、演算処理部、ROM/RAMを含むマイクロコントローラなどを用いて、入力表示装置の処理全般を担う。例えば、ディスプレイ110の表示処理、タッチパネル120の出力値からタッチ検出や操作判定(タッチ位置や指距離の検出、タッチ操作の有無の判定)したり、それに応じて映像表示/映像切り替えの処理などを行う。
【0028】
ある態様では、コントローラ140は、
図4に示すように、タッチ検出部150、操作判定部160、表示制御部170、メモリ180を含んで構成される。タッチ検出部150は、タッチパネル120のX側および/またはY側の複数の電極ラインを駆動し、駆動した電極ラインの各検出部(センサ)の静電容量を測定し、測定結果に基づきタッチ位置を検出し、その検出結果を操作判定部160に提供する。
【0029】
操作判定部160は、タッチ検出部150の測定結果に基づきタッチパネル120へのタッチ操作や鍵盤状/突起状スイッチ132へのタッチ操作の有無を判定する。ここで言うタッチとは、ユーザーの指がカバーガラス130や鍵盤状/突起状スイッチ132への接触のみならず、指がカバーガラス130や鍵盤状/突起状スイッチ132に接近することを含む。例えば、ユーザーの指がカバーガラス130のフラットな表面に接触または接近したとき、操作判定部160は、対応する検出部(センサ)の静電容量の変化に基づきタッチ操作の有無を判定し、同様に、ユーザーの指が鍵盤状/突起状スイッチ132に接触または接近したとき、対応する検出部(センサ)の静電容量の変化に基づき鍵盤状/突起状スイッチ132へのタッチ操作の有無を判定する。
【0030】
表示制御部170は、ディスプレイ110に画像や映像を表示させたり、必要に応じて鍵盤状/突起状スイッチ132の対応する位置にはアイコンを表示させる。鍵盤状/突起状スイッチ132の操作面にアイコンが描画されていない場合には、ディスプレイ110に、鍵盤状/突起状スイッチ132の操作内容を表すアイコンを表示させることができる。また、表示制御部170は、操作判定部160によりタッチ操作があったと判定されたことに応じてディスプレイ110に表示する画像を別な画像に切替えたりする。
【0031】
メモリ180は、鍵盤状/突起状スイッチ132の座標やサイズ等に関する情報や、タッチ検出部150によって検出されたタッチ位置(指位置)の座標などを格納する。また、メモリ180は、鍵盤状/突起状スイッチ132の近傍に表示するためのアイコンなどの画像データを格納してもよい。
【0032】
次に、本実施例による鍵盤状/突起状スイッチのタッチ操作の検出動作について説明する。本実施例は、指が空中で鍵盤状/突起状スイッチに触れていない状態なのか、あるいは触れている状態なのかを、検出した指位置のブレ量またはバラツキに基づいて判定するアルゴリズムを用いる。
【0033】
図5は、指を鍵盤状/突起状スイッチに接近させたときに検出された指位置(x、y座標)のグラフであり、下のグラフは、検出された指位置を拡大したものである。●は、指が空中にあるときの指位置、すなわち、
図3(B)の位置P1において指Uが鍵盤状/突起状スイッチ44に接触していないときの指位置を示し、▲は、指を鍵盤状/突起状スイッチ132の表面に乗せたときの指位置、すなわち、
図3(B)の位置P2において指Uが鍵盤状/突起状スイッチ44の操作面に接触したときの指位置を示している。
【0034】
同グラフから明らかなように、指Uが鍵盤状/突起状スイッチの表面に触れているときに検出された指位置のブレ量(バラツキ)は小さいが、指が空中にあるときに検出された指位置のブレ量(バラツキ)が大きいことが分かる。つまり、指が鍵盤状/突起状スイッチに触れているか否かで、検出された指位置のブレ量(バラツキ)に大きさ差が生じる。本実施例の検出アルゴリズムは、検出される指位置のブレ量(バラツキ)に基づき、ブレ量が小さい場合には、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作があると判定し、ブレ量が大きい場合には、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作がないと判定する。
【0035】
検出アルゴリズムの具体的な一例を以下に示す。
1.タッチ検出部150で検出された指位置の遷移を一定数記録する。例えば、検出された一定数の指位置の座標がメモリ180に格納される。
2.記録した指位置(座標位置)の遷移について、例えば、分散や標準偏差などから、指位置の遷移量のバラツキを算出する。
3.バラツキが閾値以下の場合に、鍵盤状/突起状スイッチに指を乗せていると判定する。つまり、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作が行われたと判定する。
【0036】
ここで、バラツキの大小を判定するための閾値は、タッチパネル120のセンサの検出精度を踏まえて決定される。例えば、バラツキを分散により算出する場合には、分散が一定以上の値かどうか、もしくは、x、y座標位置の移動平均を求め、正規分布の1σを超えたらブレが大きい(空中に指がある)、1σ以内であればブレが小さい(鍵盤状スイッチにタッチしている)といった方法で閾値を設定する。なお、ブレ量(バラツキ)の判定は、上記のアルゴリズムに限らず、同グラフに示すようなブレ量の差異を判定可能なものであれば、その手法は問わない。
【0037】
図6に、本実施例の検出アルゴリズムの動作フローを示す。タッチ検出部150は、測定された静電容量に基づき指距離を検出する(S100)。指距離は、タッチパネル120のセンサから指までの距離である。タッチ検出部150によって検出された指距離は、操作判定部160に提供される。
【0038】
操作判定部160は、検出された指距離が閾値以上か否かを判定し(S110)、つまり、指距離が閾値以下であれば、タッチパネル120への指の接近があると判定する。操作判定部160は、指の接近があると判定すると、指位置の座標(X、Y座標)の取得を開始し、一定数の指位置の座標をメモリ180に格納する(S120)。取得する指位置の数は任意であるが、例えば、連続する10個分の指位置の座標を取得する。もし、センサが60fps(フレーム/秒)で静電容量の検出を行うのであれば、0.1秒の間に10個の連続する指位置の座標が取得される。
【0039】
次に、操作判定部160は、メモリに格納した一定数の指位置の座標から指位置のバラツキを算出する(S130)。バラツキの算出方法は任意であり、例えば、分散や標準偏差などを用いることができる。また、このバラツキは、指位置のX座標、Y座標のそれぞれで算出される。
【0040】
次に、操作判定部160は、バラツキが大きいか否かを判定する(S140)。例えば、バラツキの算出に分散を用いた場合には、バラツキが閾値を超えているかどうかを判定し、標準偏差を用いた場合には、バラツキが1σ以内に入るか否かを判定する。この判定は、指位置のX座標、Y座標のそれぞれで行われ、X座標、Y座標の双方のバラツキが閾値以上のとき、指位置のバラツキが大きいと判定される。
【0041】
バラツキが大きいと判定したとき、指が鍵盤状/突起状スイッチにタッチしていない(指が空中にある)と判定し、このルーチンを終了し、次の指検出への準備が成される。他方、バラツキが小さいと判定したとき、検出した指座標エリアに位置する鍵盤状/突起状スイッチに指がタッチしたと判定する(S150)。これにより、コントローラ140は、鍵盤状/突起状スイッチへの入力操作が行われたと判定する。
【0042】
このように本実施例によれば、鍵盤状/突起状スイッチでは、指が鍵盤状/突起状スイッチに触れているか否かで検出される指位置のブレ量(バラツキ)に大きさ差が生じるという事象を利用して、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作の有無を判定するようにしたので、鍵盤状/突起状スイッチへのタッチ操作の判定精度が向上し、誤判定を抑制することができる。
【0043】
上記実施例では、ユーザーが指をタッチパネル(カバーガラス)にタッチさせる例を用いたが、必ずしも指に限らず、手やその他の部材をタッチパネル(カバーガラス)にタッチさせた場合にも本発明が適用される。上記実施例では、バラツキの算出に、分散や標準偏差を用いたが、これは一例であり、他の方法でバラツキを算出するようにしてもよい。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。