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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081203
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B41J2/165 501
B41J2/165 207
B41J2/165 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194653
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 貴文
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸昌
(72)【発明者】
【氏名】洞田 竜児
(72)【発明者】
【氏名】林 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 善一郎
(72)【発明者】
【氏名】洞出 賢太
(72)【発明者】
【氏名】久保 功
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB07
2C056EB23
2C056EB39
2C056EB40
2C056EC07
2C056EC24
2C056EC54
2C056EC57
2C056FA10
2C056JA13
(57)【要約】
【課題】より正確にノズルの状態を検出する。
【解決手段】インクジェットヘッドに吐出駆動を行わせたときに、ノズルが正常な場合には、電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でない第1吐出状態信号が、信号処理回路から出力される。一方、インクジェットヘッドに吐出駆動を行わせたときに、ノズル内のインクが正常状態のときよりも高い場合には、電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下である第2吐出状態信号が、信号処理回路から出力される。吐出状態信号が第1吐出状態信号であるか第2吐出状態信号であるかによって、その後の処理を異ならせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドにおいて前記ノズルから液体を吐出させるための吐出駆動が行われたときに、前記ノズルにおける吐出状態に応じた吐出状態信号を出力する信号出力部と、
制御部と、を備え、
前記信号出力部は、前記吐出状態信号として、
第1期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第1条件を満たし、かつ、前記第1期間よりも後の第2期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第2条件を満たさない第1吐出状態信号と、
前記第1期間において前記第1条件を満たさず、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たす第2吐出状態信号と、を出力し、
前記制御部は、
前記液体吐出ヘッドに前記吐出駆動を行わせ、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、前記第1吐出状態信号である場合と、前記第2吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記信号出力部は、前記吐出状態信号として、
前記第1吐出状態信号と、
前記第2吐出状態信号と、
前記第1期間において前記第1条件を満たさず、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たさない第3吐出状態信号と、を出力し、
前記制御部は、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、前記第2吐出状態信号である場合と、前記第3吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記信号出力部は、前記吐出状態信号として、
前記第1吐出状態信号と、
前記第2吐出状態信号と、
前記第1期間において前記第1条件を満たし、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たす第4吐出状態信号と、を出力し、
前記制御部は、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、前記第2吐出状態信号である場合と、前記第4吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1期間の一部と前記第2期間の一部とが重複していることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1期間が終了するタイミングと、前記第2期間が開始するタイミングとが同じタイミングであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第2条件が、前記第1条件と同じ条件であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記信号出力部は、前記吐出状態信号として、
前記第1吐出状態信号と、
前記第2吐出状態信号と、
前記第1期間において前記第1条件を満たさず、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たさず、かつ、前記第2期間よりも後の第3期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第3条件を満たす第5吐出状態信号と、を出力し、
前記制御部は、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、前記第2吐出状態信号である場合と、前記第5吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第3条件が、前記第1条件と同じ条件であることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記信号出力部は、前記吐出状態信号として、
前記第1吐出状態信号と、
前記第2吐出状態信号と、
前記第1期間において前記第1条件を満たさず、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たさず、かつ、前記第1期間よりも前の第4期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第4条件を満たす第6吐出状態信号と、を出力し、
前記制御部は、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、
前記第2吐出状態信号である場合と、前記第6吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記第4条件が、前記第1条件と同じ条件であることを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記ノズルから液体を排出させる第1排出動作を行う第1排出手段、を備え、
前記制御部は、
前記液体吐出ヘッドに前記吐出駆動を行わせ、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、前記第3吐出状態信号である場合に、前記第1排出手段に前記第1排出動作を行わせることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記ノズルから前記第1排出動作よりも液体の排出量が少ない第2排出動作を行う第2排出手段、を備え、
前記制御部は、
前記液体吐出ヘッドに前記吐出駆動を行わせ、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、前記第2吐出状態信号である場合に、前記第2排出手段に前記第2排出動作を行わせる処理を実行することを特徴とする請求項11に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記液体吐出ヘッドが複数の前記ノズルを有し、
複数の前記ノズルから液体を排出させるパージを行うパージ手段、を備え、
前記制御部は、
複数の前記ノズルの各々について前記吐出駆動を行わせ、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が前記第3吐出状態信号である前記ノズルの数が所定数以上の場合に、前記パージ手段に前記パージを行わせることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記液体吐出ヘッドが複数の前記ノズルを有し、
前記制御部は、
複数の前記ノズルの各々について前記吐出駆動を行わせ、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が前記第2吐出状態信号である前記ノズルから液体を排出させる前記フラッシングを前記液体吐出ヘッドに行わせ、
前記フラッシングの後、少なくとも前記フラッシングが行われた前記ノズルについての前記吐出駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記液体吐出ヘッドが複数の前記ノズルを有し、
複数の前記ノズルから液体を排出させるパージを行うパージ手段、を備え、
前記制御部は、
所定時刻となったときに、前記液体吐出ヘッドに複数の前記ノズルの各々について前記吐出駆動を行わせ、
当該吐出駆動の直後に、当該吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が前記第2吐出状態信号である前記ノズル、および、当該吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が前記第3吐出状態信号である前記ノズルから液体を排出させるフラッシングを前記液体吐出ヘッドに行わせ、
その後、最初に被吐出媒体への液体の吐出を指示する吐出指示信号を受信したときに、当該吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が前記第3吐出状態信号であるノズルがある場合には、被吐出媒体への液体の吐出を開始する前に、前記パージ手段に前記パージを行わせることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記液体吐出ヘッドが複数の前記ノズルを有し、
前記制御部は、
前記複数ノズルの各々についての前記吐出駆動である第1吐出駆動を行わせ、
前記第1吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が前記第2吐出状態信号である前記ノズル、および、前記第1吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が前記第3吐出状態信号である前記ノズルから液体を排出させる第1フラッシングを前記液体吐出ヘッドに行わせ、
前記第1フラッシングの後に、前記第1フラッシングが行われた前記ノズルについての前記吐出駆動である第2吐出駆動を行わせ、
前記第2吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が前記第3吐出状態信号である前記ノズルから液体を排出させずに、前記第2吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が前記第2吐出状態信号である前記ノズルから液体を排出させる第2フラッシングを前記液体吐出ヘッドに行わせ、
前記第2フラッシングの後に、前記第2フラッシングが行われた前記ノズルについての前記吐出駆動である第3吐出駆動を行わせることを特徴とする請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項17】
前記制御部は、
被吐出媒体への液体の吐出を指示する吐出指示信号を受信したときに、
当該吐出指示信号を受信する前に最後に前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、前記第1吐出状態信号である場合に、前記液体吐出ヘッドに前記ノズルから被吐出媒体に液体を吐出させる第1吐出処理を実行し、
当該吐出指示信号を受信する前に最後に前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が前記第2吐出状態信号である場合に、前記第1吐出処理とは異なる態様で、前記液体吐出ヘッドに前記ノズルから被吐出媒体に液体を吐出させる第2吐出処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項18】
前記第1吐出状態信号は、第1期間において前記第1条件を満たし、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たさず、かつ、前記第2期間よりも後の第3期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第3条件を満たさない前記吐出状態信号であり、
前記第2吐出状態信号は、第1期間において前記第1条件を満たさず、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たし、かつ、前記第2期間よりも後の第3期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第3条件を満たさない前記吐出状態信号であり、
前記制御部は、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、前記第1期間において前記第1条件を満たし、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たさず、かつ、前記第2期間よりも後の第3期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第3条件を満たす第7吐出状態信号である場合には、再度、前記液体吐出ヘッドに前記吐出駆動を行わせることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項19】
前記第1吐出状態信号は、第1期間において前記第1条件を満たし、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たさず、かつ、前記第2期間よりも後の第3期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第3条件を満たさない前記吐出状態信号であり、
前記第2吐出状態信号は、第1期間において前記第1条件を満たさず、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たし、かつ、前記第2期間よりも後の第3期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第3条件を満たさない前記吐出状態信号であり、
前記制御部は、
前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、前記第1期間において前記第1条件を満たし、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たし、かつ、前記第2期間よりも後の第3期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第3条件を満たす第8吐出状態信号である場合には、再度、前記液体吐出ヘッドに前記吐出駆動を行わせることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出する液体吐出装置の一例として、特許文献1には、ノズルからインクを吐出して記録を行うプリンタが記載されている。特許文献1に記載のプリンタは、高電圧電源により電極に高電圧を印加した状態でノズルから電極に向けてインクが吐出されたときに、信号処理回路から電極における電圧の変化に応じた信号が出力される。そして、特許文献1に記載のプリンタでは、インクジェットヘッドにノズルからインクを吐出させるための検査用駆動を行わせ、このときに信号処理回路から出力される信号の、第1期間における最大値に基づいて、インクの吐出に異常があるノズルか否かを判定する。第1期間は、ノズルから正常にインクが吐出された場合に信号出力部から出力される信号が最大になると想定される期間である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-131463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載のプリンタでは、例えばノズル内のインクの粘度が高くなっている場合、検査用駆動が開始されてから、ノズルからインクが吐出されるまでの時間が長くなる。この場合、信号出力部から出力される信号の値が最大となる期間が第1期間よりも遅くなることがある。そして、この場合には、ノズルからインクが吐出されているにも関わらず、第1期間に最大値とならず異常ノズルであると判断されてしまう。
【0005】
本発明の目的は、より正確にノズルの状態を検出することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、ノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドにおいて前記ノズルから液体を吐出させるための吐出駆動が行われたときに、前記ノズルにおける吐出状態に応じた吐出状態信号を出力する信号出力部と、制御部と、を備え、前記信号出力部は、前記吐出状態信号として、第1期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第1条件を満たし、かつ、前記第1期間よりも後の第2期間において最大値および最小値の少なくとも一方に関する第2条件を満たさない第1吐出状態信号と、前記第1期間において前記第1条件を満たさず、かつ、前記第2期間において前記第2条件を満たす第2吐出状態信号と、を出力し、前記制御部は、前記液体吐出ヘッドに前記吐出駆動を行わせ、前記吐出駆動が行われたときの前記吐出状態信号が、前記第1吐出状態信号である場合と、前記第2吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせる。
【発明の効果】
【0007】
例えば、ノズルからの液体の吐出状態が正常状態であるときの吐出状態信号が第1吐出状態信号である場合、ノズル内の液体の粘度が高い高粘度異常状態、液体の吐出方向がずれているヨレ異常状態などの異常状態であるときの吐出状態信号が第2吐出状態信号となる。本発明では、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第1吐出状態信号である場合と第2吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせる。これにより、吐出状態が正常状態であるか、高粘度異常状態、ヨレ異常状態などの異常状態であるかに応じて適切な処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態のプリンタの概略構成図である。
図2】キャップ内に配置された電極、および、電極と高電圧電源回路および信号処理回路との接続関係を説明するための図である。
図3】(a)は吐出状態が正常状態のときの吐出状態信号を説明するための図であり、(b)は吐出状態が第1高粘度異常状態のときの吐出状態信号を説明するための図であり、(c)は吐出状態が第2高粘度異常状態のときの吐出状態信号を説明するための図であり、(d)は吐出状態が吐出量異常状態のときの吐出状態信号を説明するための図である。
図4】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図5】吐出状態の判定およびその後の処理の流れを示すフローチャートである。
図6図5の吐出判定処理の流れを示すフローチャートである。
図7】吐出量異常状態のノズルがある場合にフラッシングを行う例における、吐出状態の判定およびその後の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】吐出量異常状態のノズルが所定数以上ある場合にパージを行う例における、吐出状態の判定およびその後の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】フラッシングが行われた場合に再度吐出判定処理を実行する例における、吐出状態の判定およびその後の処理の流れを示すフローチャートである。
図10】最初の吐出判定処理の結果に基づくフラッシングにおいて吐出量異常状態、高粘度異常状態ノズルからインクを排出させ、再度の吐出判定処理の結果に基づくフラッシングにおいて高粘度異常状態のノズルからインクを排出させる例における、吐出状態の判定およびその後の処理の流れを示すフローチャートである。
図11】所定時刻に吐出判定処理を実行する例における、吐出状態の判定およびその後の処理の流れを示すフローチャートである。
図12】(a)は吐出状態が第3高粘度異常状態のときの吐出状態信号を説明するための図であり、(b)は吐出状態が第4高粘度異常状態のときの吐出状態信号を説明するための図であり、(c)は吐出状態が正常状態であるか、第1~第4高粘度異常状態であるかを判定する例における、吐出状態の判定およびその後の処理の流れを示すフローチャートである。
図13図12(c)の吐出判定処理の流れを示すフローチャートである。
図14】(a)は吐出状態が第1低粘度異常状態であるときの吐出状態信号を説明するための図であり、(b)は吐出状態が第2低粘度異常状態であるときの吐出状態信号を説明するための図であり、(c)は吐出状態が正常状態であるか、第1、第2高粘度異常状態であるか、第1、第2低粘度異常状態であるか吐出量異常状態であるかを判定する例における、吐出状態の判定およびその後の処理の流れを示すフローチャートである。
図15図14(c)の吐出判定処理の流れを示すフローチャートである。
図16】高粘度異常状態のノズルがあるか否かによって記録時の動作を異ならせる例における、吐出状態の判定およびその後の処理の流れを示すフローチャートである。
図17】(a)は第1期間の一部と第2期間の一部とが重複する例を説明するための図であり、(b)は第1期間の一部と第2期間の一部との間に空白の期間がある例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0010】
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2、サブタンク3、インクジェットヘッド4、プラテン5、搬送ローラ6,7、メンテナンスユニット8などを備えている。なお、本実施形態では、プリンタ1が本発明の「液体吐出装置」に相当し、インクジェットヘッド4が本発明の「ヘッド」に相当する。
【0011】
キャリッジ2は、走査方向に延びた2本のガイドレール11,12に支持されている。なお、以下では、図1に示すように、走査方向の右側および左側を定義して説明を行う。キャリッジ2は、図示しないベルトなどを介して、キャリッジモータ86(図4参照)に接続されている。キャリッジモータ86を駆動させると、キャリッジ2がガイドレール11,12に沿って走査方向に移動する。
【0012】
サブタンク3は、キャリッジ2に搭載されている。ここで、プリンタ1は、カートリッジホルダ13を備えている。カートリッジホルダ13には、4つのインクカートリッジ14が取り外し可能に装着される。カートリッジホルダ13に装着された4つのインクカートリッジ14は、走査方向に並んでおり、走査方向の右側に位置するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクを貯留している。なお、本実施形態では、インクが本発明の「液体」に相当する。
【0013】
インクジェットヘッド4は、キャリッジ2に搭載され、サブタンク3の下端部に接続されている。また、インクジェットヘッド4は、その下面であるノズル面4aに形成された複数のノズル10からインクを吐出する。より詳細に説明すると、複数のノズル10は、走査方向と直交する搬送方向に配列されることによってノズル列9を形成しており、ノズル面4aにおいて、4列のノズル列9が走査方向に並んでいる。4列のノズル列9間で、搬送方向のノズル10の位置は同じである。複数のノズル10には、右側のノズル列9を形成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクがサブタンク3から供給される。これにより、複数のノズル10からは、走査方向の右側のノズル列9を構成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
【0014】
プラテン5は、インクジェットヘッド4の下方に配置され、複数のノズル10と対向している。プラテン5は、走査方向に記録用紙Sの全長にわたって延び、記録用紙Sを下方から支持する。搬送ローラ6は、インクジェットヘッド4およびプラテン5よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ7は、インクジェットヘッド4およびプラテン5よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ6,7は、図示しないギヤなどを介して搬送モータ87(図4参照)に接続されている。搬送モータ87を駆動させると、搬送ローラ6,7が回転し、記録用紙Sが搬送方向に搬送される。
【0015】
そして、プリンタ1においては、後述する制御部80(図4参照)により、キャリッジモータ86を制御してキャリッジ2を走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド4に複数のノズル10からインクを吐出させる記録パスと、搬送モータ87を制御して搬送ローラ6,7に記録用紙Sを搬送させる搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Sへの記録を行うことができる。
【0016】
メンテナンスユニット8は、キャップ71と、吸引ポンプ72と、廃液タンク73とを備えている。キャップ71は、プラテン5よりも走査方向の右側に配置されている。キャリッジ2を、プラテン5よりも走査方向の右側のメンテナンス位置に位置させると、複数のノズル10がキャップ71と対向する。
【0017】
また、キャップ71は、キャップ昇降機構88(図4参照)に接続されている。キャップ昇降機構88を駆動させると、キャップ71が昇降する。キャリッジ2を上記メンテナンス位置に位置させることによって複数のノズル10とキャップ71とを対向させた状態で、キャップ昇降機構88によりキャップ71を上昇させると、キャップ71の上端部がノズル面4aに密着する。これにより、インクジェットヘッド4の複数のノズル10がキャップ71で覆われるキャップ状態となる。キャップ71を降下させた状態では、複数のノズル10がキャップ71に覆われない。なお、キャップ71はノズル面4aに密着することで複数のノズル10を覆うものであることには限られない。キャップ71は、例えば、インクジェットヘッド4のノズル面4aの周囲に配置される図示しないフレーム等に密着することで、複数のノズル10を覆うものであってもよい。
【0018】
吸引ポンプ72はチューブポンプなどであり、キャップ71および廃液タンク73と接続されている。そして、メンテナンスユニット8では、上記キャップ状態としたうえで吸引ポンプ72を駆動させると、複数のノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させる吸引パージを行うことができる。吸引パージによって排出されたインクは廃液タンク73に貯留される。
【0019】
なお、ここでは、便宜上、キャップ71が全てのノズル10をまとめて覆い、吸引パージにおいて、全てのノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させるものとして説明を行ったが、これには限られない。例えば、キャップ71が、ブラックインクを吐出する最も右側のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分と、カラーインクを吐出する左側3列のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分とを別々に備えており、吸引パージにおいて、インクジェットヘッド4内のブラックインクおよびカラーインクのいずれかを選択的に排出させることができるようになっていてもよい。あるいは、例えば、キャップ71が、ノズル列9毎に個別に設けられ、吸引パージにおいて、ノズル列9毎に個別に、ノズル10からインクを排出させることができるようになっていてもよい。
【0020】
また、図2に示すように、キャップ71内には、それぞれ、矩形の平面形状を有する電極76が配置されている。キャリッジ2をメンテナンス位置に位置させた状態で、電極76が、インクジェットヘッド4の複数のノズル10と対向する。電極76は、抵抗79を介して高電圧電源回路77に接続されている。そして、高電圧電源回路77は、電極76に例えば600V程度の所定の電圧を印加する。一方で、インクジェットヘッド4は、グランド電位に保持されている。これにより、インクジェットヘッド4と電極76との間に所定の電位差が生じる。電極76には、信号処理回路78が接続されている。信号処理回路78は、微分回路などを含み、電極76における電圧の変化に応じた信号を出力する。なお、本実施形態では、電極76と高電圧電源回路77と信号処理回路78と抵抗79とを合わせたものが、本発明の「信号出力部」に相当する。
【0021】
ここで、本実施形態では、上記キャップ状態とするとともに、高電圧電源回路77により電極76に所定電圧を印加した状態で、インクジェットヘッド4にノズル10から電極76に向けてインクを吐出させるための吐出駆動を行わせたときに、信号処理回路78から、ノズル10におけるインクの吐出状態に応じた吐出状態信号が出力される。
【0022】
より詳細に説明すると、ノズル10からのインクの吐出状態が正常状態であるときには、図3(a)に示すように、吐出状態信号の電圧値はV0から上昇し、期間T1aに閾値Vmax以上の最大値となる。その後、吐出状態信号の電圧値は低下し、期間T1bに閾値Vmin以下の最小値となる。その後、吐出状態信号の電圧値は減衰しながら増減を繰り返してV0に収束する。なお、本実施形態では、図3(a)に示す吐出状態信号が、本発明の「第1吐出状態信号」に相当する。また、期間T1a,T1bが本発明の「第1期間」に相当する。
【0023】
ノズル10からのインクの吐出状態が、正常状態のときよりもノズル10内のインクの粘度が高い第1高粘度異常状態のときには、吐出駆動の開始後ノズル10からインクが吐出されるまでの時間が正常状態のときよりも長い。そのため、図3(b)に実線で示すように、吐出状態信号の電圧値はV0から上昇し、期間T1aよりも後の期間T2aに閾値Vmax以上の最大値となる。その後、吐出状態信号の値は低下し、期間T1bよりも後の期間T2bに閾値Vmin以下の最小値となる。その後、吐出状態信号の電圧値は減衰しながら増減を繰り返してV0に収束する。なお、本実施形態では、図3(b)に実線で示す吐出状態信号が、本発明の「第2吐出状態信号」に相当し、期間T2a,T2bが本発明の「第2期間」に相当する。また、本実施形態では、期間T1aが終了するタイミングと、期間T2aが開始するタイミングとが同じタイミングである。また、期間T1bが終了するタイミングと、期間T2bが開始するタイミングとが同じタイミングである。なお、図3(b)では第1吐出状態信号を破線で示している。
【0024】
ノズル10からのインクの吐出状態が、ノズル10内のインクの粘度が正常状態のときよりも高く第1高粘度異常状態のときよりも低い第2高粘度異常状態のときには、吐出駆動の開始後ノズル10からインクが吐出されるまでの時間が、正常状態のときよりも長く第1高粘度異常のときよりも短い。そのため、図3(c)に実線で示すように、吐出状態信号の電圧値はV0から上昇し、期間T1a,期間T2aでの最大値がいずれも閾値Vmax以上となる。その後、吐出状態信号の電圧値は低下し、期間T1b,T2bでの最小値がいずれも閾値Vmin以下となる。その後、吐出状態信号の電圧値は減衰しながら増減を繰り返してV0に収束する。なお、本実施形態では、図3(c)に実線で示す吐出状態信号が、本発明の「第4吐出状態信号」に相当する。また、図3(c)では第1吐出状態信号を破線で示している。
【0025】
ノズル10からのインクの吐出状態が、インクが吐出される量が少ない吐出量異常状態であるときには、図3(d)に示すように、吐出状態信号の電圧値はV0からの変動が小さい。そのため、吐出状態信号の値は、期間T1a,T2aのいずれにおいても閾値Vmax以上の値となることはない。ここで、吐出量異常状態はインクが全く吐出されない不吐出も含む。また、吐出状態信号の値は、期間T1b,T2bのいずれにおいても閾値Vmin以下の値となることはない。なお、本実施形態では、図3(d)に実線で示す吐出状態信号が、本発明の「第3吐出状態信号」に相当する。また、図3(d)では、第1吐出状態信号を破線で示している。
【0026】
なお、本実施形態では、吐出状態信号の電圧値が閾値Vmax以上であるという条件、および、吐出状態信号の電圧値が閾値Vmin以下であるという条件が、本発明の「第1条件」および「第2条件」に相当する。すなわち、本実施形態において、第1条件と第2条件とは同じ条件である。
【0027】
本実施形態では、信号処理回路78から出力される吐出状態信号が電圧の信号であったが、信号処理回路78から出力される吐出状態信号は、電流の信号であってもよい。また、本実施形態では、電極76に所定電圧を印加し、インクジェットヘッド4をグランド電位に保持し、信号処理回路78が電極76の電圧に応じた信号を出力するように構成したが、これには限られない。電極76をグランド電位に保持し、インクジェットヘッド4に所定電圧を印加することによって、電極76とインクジェットヘッド4との間に電位差を生じさせ、信号処理回路78が、インクジェットヘッド4に接続され、インクジェットヘッド4における電圧の変化に応じた信号を出力するように構成してもよい。
【0028】
<プリンタの電気的構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。図4に示すように、プリンタ1は、制御部80を備えている。制御部80は、CPU81、ROM82、RAM83、フラッシュメモリ84、ASIC85などからなる。制御部80は、キャリッジモータ86、インクジェットヘッド4、搬送モータ87、キャップ昇降機構88、吸引ポンプ72、高電圧電源回路77等の動作を制御する。ここで、CPUは、Central Processing Unitの略語である。また、ROMはRead Only Memoryの略語である。また、RAMは、Random Access Memoryの略語である。また、ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略語である。
【0029】
なお、制御部80は、CPU81のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC85のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU81とASIC85とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのCPU81が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU81が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのASIC85が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC85が処理を分担して行うものであってもよい。
【0030】
<吐出状態の判定および吐出状態に応じた処理>
次に、プリンタ1において、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の各々について、インクの吐出状態を判定し、吐出状態に応じた処理を行うための処理について説明する。この処理は、適宜のタイミングで行われる。例えば、所定時刻となったときにこの処理が行われてもよい。あるいは、記録用紙Sへの記録を指示する記録指示信号を受信した後、記録のための処理を開始する前にこの処理が行われてもよい。あるいは、前回この処理が行われてから所定枚数の記録用紙Sに記録が行われたときにこの処理が行われてもよい。あるいは、プリンタ1において所定のエラーが発生した後そのエラーが解消したときにこの処理が行われてもよい。
【0031】
プリンタ1では、制御部80が、図5のフローチャートに沿って処理を行うことにより、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の各々についての吐出状態を判定し、吐出状態に応じた処理を行う。
【0032】
図5のフローチャートについて詳細に説明すると、制御部80は、まず、吐出判定処理を実行する(S101)。吐出判定処理において、制御部80は、図6のフローチャートに沿って処理を行う。
【0033】
図6のフローチャートについて詳細に説明すると、制御部80は、まず、インクジェットヘッド4の複数のノズル10のうちの1つを対象ノズルに設定する(S201)。続いて、制御部80は、吐出駆動処理を実行する(S202)。吐出駆動処理において、制御部80は、キャリッジモータ86、キャップ昇降機構88等を制御して上記キャップ状態にするとともに、高電圧電源回路77を制御して電極76に所定の電圧を印加した状態で、インクジェットヘッド4に対象ノズルからインクを吐出させるための吐出駆動を行わせる。
【0034】
続いて、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり(S203:YES)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でない場合に(S204:NO)、対象ノズルの吐出状態が正常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S205)。
【0035】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり(S203:YES)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下である場合に(S204:YES)、対象ノズルの吐出状態が第2高粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S206)。
【0036】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく(S203:NO)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下である場合に(S207:YES)、対象ノズルの吐出状態が第1高粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S208)。
【0037】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく(S203:NO)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でない場合に(S207:NO)、対象ノズルの吐出状態が吐出量異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S209)。
【0038】
S205,S206,S208,S209の処理の後、制御部80は、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に吐出状態の判定が完了していないノズル10がある場合には(S210:NO)、対象ノズルを吐出状態の判定が完了していないいずれかのノズル10に変更し(S211)、処理がS202に戻る。そして、インクジェットヘッド4の全てのノズル10についての吐出状態の判定が完了したときに(S210:YES)、図5のフローチャートに戻る。
【0039】
図5に戻って、制御部80は、続いて、S101の吐出判定処理でフラッシュメモリ84に記憶された吐出状態の情報に基づいて、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に吐出量異常状態のノズル10があるか否かを判断する(S102)。吐出量異常状態のノズル10がある場合、(S102:YES)、制御部80は、パージ処理を実行し(S103)、処理を終了する。パージ処理において、制御部80は、吸引ポンプ72、キャップ昇降機構88等を制御して上述の吸引パージを行わせる。なお、本実施形態では、吸引パージが、本発明の「第1排出動作」に相当し、吸引パージを行うメンテナンスユニット8が本発明の「第1排出手段」に相当する。
【0040】
吐出量異常状態のノズル10がない場合(S102:NO)、制御部80は、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に第1高粘度異常状態のノズル10があるか否かを判断する(S104)。第1高粘度異常状態のノズル10がない場合(S104:NO)、処理はS106に進む。第1高粘度異常状態のノズル10がある場合(S104:YES)、制御部80は、第1高粘度異常状態のノズル10についての強フラッシング処理を実行し(S105)、S106に進む。第1高粘度異常状態のノズル10についての強フラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、第1高粘度異常状態のノズル10について、ノズル10からインクを排出させる強フラッシング行わせる。なお、本実施形態では、強フラッシングが、本発明の「第2排出動作」に相当し、強フラッシングを行うインクジェットヘッド4が本発明の「第2排出手段」に相当する。
【0041】
S106において、制御部80は、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に第2高粘度異常状態のノズル10があるか否かを判断する。第2高粘度異常状態のノズル10がない場合(S106:NO)、制御部80は処理を終了する。第2高粘度異常状態のノズル10がある場合(S106:YES)、制御部80は、第2高粘度異常状態のノズル10についての弱フラッシング処理を実行し(S107)、処理を終了する。第2高粘度異常状態のノズル10についての弱フラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、第2高粘度異常状態のノズル10について、ノズル10からインクを排出させる弱フラッシング行わせる。弱フラッシングは強フラッシングよりもインクの排出量が少ない。
【0042】
<効果>
本実施形態では、吐出状態が正常状態のときの吐出状態信号が第1吐出状態信号である。また、吐出状態が第1高粘度異常状態のときの吐出状態信号が第2吐出状態信号である。そこで、本実施形態では、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第1吐出状態信号である場合と第2吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせる。これにより、吐出状態が正常状態であるか第1高粘度異常状態であるかに応じて適切な処理を実行することができる。
【0043】
また、本実施形態では、吐出状態が吐出量異常状態であるときの吐出状態信号が第3吐出状態信号である。そこで、本実施形態では、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第2吐出状態信号である場合と第3吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせる。これにより、吐出状態が第1高粘度異常状態であるか吐出量異常状態であるかに応じて適切な処理を実行することができる。
【0044】
また、本実施形態では、吐出状態が第2高粘度異常状態であるときの吐出状態信号が第4吐出状態信号となる。そこで、本実施形態では、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第2吐出状態信号である場合と第4吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせる。これにより、吐出状態が第1高粘度異常状態であるか第2高粘度異常状態であるかに応じて適切な処理を実行することができる。
【0045】
また、本実施形態では、期間T1aが終了するタイミングと期間T2aが開始するタイミングとが同じタイミングであり、期間T1bが終了するタイミングと期間T2bが開始するタイミングとが同じタイミングである。そのため、期間T1aと期間T2aとの間、および、期間T1bと期間T2bとの間に空白の期間がない。これにより、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第1吐出状態信号である場合と第2吐出状態信号である場合とをより正確に判断できる。
【0046】
また、本実施形態では、第1条件と第2条件とが同じ条件であるため、処理を簡単にすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、吐出状態が吐出量異常状態のノズル10を吸引パージによって回復させることができる。
【0048】
また、第1高粘度異常状態のノズル10は、吐出量異常状態のノズル10よりも回復させやすい。そこで、本実施形態では、吐出量異常状態のノズル10がある場合に、吸引パージによってノズル10を回復させる。また、吐出量異常状態のノズル10がなく第1高粘度異常状態のノズル10がある場合に、吸引パージよりもインクの排出量が少ない強フラッシングによって第1高粘度異常状態のノズル10を回復させる。これにより、第1高粘度異常状態のノズル10を吸引パージによって回復させる場合よりもインクの消費量を抑えることができる。
【0049】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0050】
上述の実施形態では、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に吐出量異常状態のノズル10がある場合に吸引パージを行わせたが、これには限られない。変形例1では、制御部80が、図7のフローチャートに沿って処理を行うことにより、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の各々についての吐出状態を判定し、その結果に応じた処理を行う。
【0051】
図7のフローチャートについてより詳細に説明すると、制御部80は、S101の吐出判定処理の後、吐出量異常状態のノズル10がある場合に(S102:YES)、吐出量異常状態のノズル10についての強フラッシング処理を実行し(S301)、S104に進む。S301の吐出量異常状態のノズル10についての強フラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、吐出量異常のノズル10について、強フラッシングを行わせる。なお、変形例1では、強フラッシングが、本発明の「第1排出動作」に相当し、強フラッシングを行うインクジェットヘッド4が本発明の「第1排出手段」に相当する。吐出量異常状態のノズル10がない場合(S102:NO)、処理はそのままS104に進む。
【0052】
第1高粘度異常状態のノズル10がある場合に(S104:YES)、制御部80は、第1高粘度異常状態のノズル10についての中フラッシング処理を実行し(S302)、S106に進む。S302の第1高粘度異常状態のノズル10についての中フラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、第1高粘度異常状態のノズル10について、ノズル10からインクを排出させる中フラッシングを行わせる。中フラッシングにおけるノズル10からのインクの排出量は、強フラッシングにおけるノズル10からのインクの排出量よりも少なく、弱フラッシングにおけるノズル10からのインクの排出量よりも多い。なお、変形例1では、中フラッシングが、本発明の「第2排出動作」に相当し、中フラッシングを行うインクジェットヘッド4が本発明の「第2排出手段」に相当する。第1高粘度異常のノズル10がない場合(S104:NO)、処理はそのままS106に進む。
【0053】
第2高粘度異常状態のノズル10がある場合に(S106:YES)、制御部80は、第2高粘度異常状態のノズル10についての弱フラッシング処理を実行し(S303)、処理を終了する。S303の第2高粘度異常状態のノズル10についての弱フラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、第2高粘度異常状態のノズル10について、弱フラッシングを行わせる。第2高粘度異常状態のノズル10がない場合(S106:NO)、制御部80は、そのまま処理を終了する。
【0054】
第1高粘度異常状態のノズル10は、吐出量異常状態のノズル10よりも回復させやすい。そこで、変形例1では、強フラッシングによって吐出量異常状態のノズル10を回復させ、強フラッシングよりもインクの排出量が少ない中フラッシングによって第1高粘度異常状態のノズル10を回復させる。これにより、第1高粘度異常状態のノズル10を強フラッシングによって回復させる場合よりもインクの消費量を抑えることができる。
【0055】
また、上述の実施形態および変形例1では、第1高粘度異常状態のノズル10をフラッシングにより回復させるようにしたが、これには限られない。例えば、メンテナンスユニット8において、吸引パージとして、強吸引パージと、強吸引パージよりもインクの排出量の少ない弱吸引パージとを行わせることができるようにしてもよい。そして、吐出量異常状態のノズル10がある場合には、強吸引パージを行わせてもよい。一方、吐出量異常状態のノズル10がなく、第1高粘度異常状態のノズル10がある場合に弱吸引パージを行わせてもよい。この場合に、さらに、吐出量異常状態のノズル10および第1高粘度異常状態のノズル10がなく、第2高粘度異常状態のノズル10がある場合に弱吸引パージよりもインクの排出量の少ない吸引パージを行わせてもよい。
【0056】
また、上述の実施形態では、吐出量異常状態のノズル10が1つでもあれば吸引パージを行わせるようにしたが、これには限られない。変形例2では、制御部80が、図8のフローチャートに沿って処理を行うことにより、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の各々についての吐出状態を判定し、その結果に応じた処理を行う。
【0057】
図8のフローチャートについてより詳細に説明すると、制御部80は、S101の吐出判定処理の後、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に吐出量異常状態のノズル10が2以上の所定数以上ある場合には(S401:YES)、パージ処理を実行し(S402)、処理を終了する。なお、変形例2では、吸引パージを行うメンテナンスユニット8が、本発明の「パージ手段」に相当する。
【0058】
インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に吐出量異常状態のノズル10が所定数以上ない場合には(S401:NO)、制御部80は、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に異常なノズル10があるか否かを判断する(S403)。ここで、異常なノズル10とは、吐出量異常状態のノズル10、第1高粘度異常状態のノズル10および第2高粘度異常状態のノズル10のことである。
【0059】
異常なノズル10がない場合(S403:NO)、制御部80はそのまま処理を終了する。異常なノズル10がある場合(S403:YES)、制御部80は、異常なノズルについてのフラッシング処理を実行し(S404)、処理を終了する。S404の異常なノズル10についてのフラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、異常なノズル10について、ノズル10からインクを排出させるフラッシングを行わせる。このフラッシングにおいて、吐出量異常状態のノズル10と、第1高粘度異常状態のノズル10と、第2高粘度異常状態のノズル10とでインクの排出量を同じとしてもよい。あるいは、このフラッシングにおいて、例えば変形例1と同様に、吐出量異常状態のノズル10と、第1高粘度異常状態のノズル10と、第2高粘度異常状態のノズル10とで、インクの排出量を異ならせてもよい。
【0060】
変形例2では、吐出量異常状態のノズル10の数が多い場合に、吸引パージによってこれらの吐出量異常状態のノズル10を回復させることができる。
【0061】
また、上述の実施形態では、強フラッシングおよび弱フラッシングの少なくとも一方を行わせた後、強フラッシングおよび弱フラッシングによってノズル10が実際に回復しているかに関係なく処理を終了したが、これには限られない。変形例3では、制御部80が、図9のフローチャートに沿って処理を行うことにより、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の各々についての吐出状態を判定し、その結果に応じた処理を行う。
【0062】
変形例3においても、制御部80は、上述の実施形態と同様、S101~S107の処理を実行する。ただし、図9に示すように、変形例3では、上述の実施形態とは異なり、S106で第2高粘度異常のノズル10がないと判定された場合、および、S107の弱フラッシング処理を実行した後に、処理がS501に進む。S501において、制御部80は、フラッシングが行われたか否かを判断する。より詳細には、強フラッシングおよび弱フラッシングの少なくとも一方が行われたか否かを判断する。フラッシングが行われていない場合(S501:NO)、制御部80は処理を終了する。フラッシングが行われた場合(S501:YES)、制御部80はS101に戻って吐出判定処理を実行する。また、S501から戻ったS101の吐出判定処理においては、最初のS101の吐出判定処理のときと同様に、インクジェットヘッド4の全てのノズル10について吐出状態の判定を行ってもよいし、強フラッシングおよび弱フラッシングが行われたノズル10についてのみ、吐出状態の判定を行ってもよい。
【0063】
変形例3では、フラッシングにより第1、第2高粘度異常状態のノズル10からインクを排出させた後、再度、吐出駆動を行わせることにより、フラッシングが行われたノズル10が回復したか否かを確認することができる。
【0064】
なお、変形例3の場合には、第1高粘度異常状態のノズル10および第2高粘度異常状態のノズル10がすべて回復するまで、吐出判定処理と、強フラッシング処理および弱フラッシング処理の少なくとも一方が繰り返されるが、これには限られない。例えば、所定回数これらの処理を繰り返しても、第1高粘度異常状態のノズル10および第2高粘度異常状態のノズル10のいずれかが回復しない場合には、処理を終了してもよい。また、このとき、制御部80が、プリンタ1の図示しない表示部、プリンタ1に接続された図示しないPCのディスプレイなどに、回復しなかったノズル10があることを報知するためのメッセージ等を表示させるための信号を出力してもよい。
【0065】
また、異常なノズル10を回復させるために動作を行う手順は以上に説明したものには限られない。変形例4では、制御部80が、図10のフローチャートに沿って処理を行うことにより、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の各々についての吐出状態を判定し、その結果に応じた処理を行う。
【0066】
より詳細に説明すると、制御部80は、S101の吐出判定処理の後、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に吐出量異常状態のノズル10が2以上の所定数以上ある場合には(S601:YES)、変形例2と同様、パージ処理を実行し(S602)、処理を終了する。なお、変形例4では、S101の吐出判定処理において行われる吐出駆動が、本発明の「第1吐出駆動」に相当する。
【0067】
インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に吐出量異常状態のノズル10が所定数以上ない場合には(S601:NO)、制御部80は、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に異常なノズル10があるか否かを判断する(S603)。ここで、異常なノズル10とは、吐出量異常状態のノズル10、第1高粘度異常状態のノズル10および第2高粘度異常状態のノズル10のことである。
【0068】
異常なノズル10がない場合(S603:NO)、制御部80はそのまま処理を終了する。異常なノズル10がある場合(S603:YES)、制御部80は、吐出量異常状態のノズル10および高粘度異常状態のノズル10についてのフラッシング処理を実行する(S604)。ここで、高粘度異常状態のノズル10とは、第1高粘度異常状態のノズル10および第2高粘度異常状態のノズル10のことである。S604のフラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、吐出量異常状態のノズル10および高粘度異常状態のノズル10について、フラッシングを行わせる。このフラッシングにおいて、吐出量異常状態のノズル10と、第1高粘度異常状態のノズル10と、第2高粘度異常状態のノズル10とでインクの排出量を同じとしてもよい。あるいは、このフラッシングにおいて、例えば変形例1と同様に、吐出量異常状態のノズル10と、第1高粘度異常状態のノズル10と、第2高粘度異常状態のノズル10とで、インクの排出量を異ならせてもよい。なお、変形例4では、S604で行わせるフラッシングが、本発明の「第1フラッシング」に相当する。
【0069】
続いて、制御部80は、吐出判定処理を実行する(S605)。制御部80は、S605の吐出判定処理においても、S101の吐出判定処理と同様に、ノズル10の吐出状態の判定を行う。ただし、S605の吐出判定処理では、制御部80が、インクジェットヘッド4の全てのノズル10についての吐出状態を判定してもよいし、S604でフラッシングが行われたノズル10についてのみ吐出状態を判定してよい。
【0070】
続いて、制御部80は、S605の吐出判定処理の結果に基づいて、高粘度異常状態のノズル10があるか否かを判断する(S606)。高粘度異常状態のノズル10がない場合(S606:NO)、制御部80は処理を終了する。高粘度異常状態のノズル10がある場合(S606:YES)、制御部80は、高粘度異常状態のノズル10についてのフラッシング処理を実行し(S607)、S605に戻る。S607のフラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、高粘度異常状態のノズル10について、フラッシングを行わせる。このフラッシングにおいて、第1高粘度異常状態のノズル10と、第2高粘度異常状態のノズル10とでインクの排出量を同じとしてもよい。あるいは、このフラッシングにおいて、第1高粘度異常状態のノズル10と、第2高粘度異常状態のノズル10とで、インクの排出量を異ならせてもよい。なお、S607のフラッシング処理において、吐出量異常状態のノズル10からはインクを排出させない。
【0071】
なお、変形例4では、S607で行わせるフラッシングが、本発明の「第2フラッシング」に相当する。また、変形例4では、最初のS605の吐出判定処理において行われる吐出駆動が、本発明の「第2吐出駆動」に相当し、S607のフラッシング処理の後のS605の吐出判定処理において行われる吐出駆動が、本発明の「第3吐出駆動」に相当する。
【0072】
吐出量異常状態のノズル10は、高粘度異常状態のノズル10よりもフラッシングによって回復する可能性が低い。そこで、変形例4では、第1吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が、第2吐出状態信号であるノズル10、および、第3吐出状態信号であるノズル10からインクを排出させる第1フラッシングを行う。すなわち、第1フラッシングでは、吐出量異常状態のノズル10および高粘度異常状態のノズル10の両方からインクを排出させる。その後、第2吐出駆動を行わせることにより、第1フラッシングによりノズル10が回復したか否かを確認することができる。さらに、第2吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が、第3吐出状態信号であるノズルからは液体を排出させずに、第2吐出状態信号であるノズルから液体を排出させる第2フラッシングを行う。すなわち、第2フラッシングでは、吐出量異常状態のノズル10からはインクを排出させず、高粘度異常状態のノズル10からインクを排出させる。これにより、第2フラッシングにおいて、フラッシングよって回復しにくい吐出量異常状態のノズル10から不必要にインクが排出されないようにしてインクの消費量を抑えることができる。さらに、この後、第3吐出駆動を行わせることにより、第2フラッシングが行われたノズルが回復したか否かを確認することができる。
【0073】
なお、変形例4の場合には、高粘度異常状態のノズル10がすべて回復するまで、吐出判定処理と、高粘度異常状態のノズル10についてのフラッシングが繰り返されるが、これには限られない。例えば、所定回数これらの処理を繰り返しても、高粘度異常状態のノズル10が回復しない場合には、処理を終了してもよい。また、このとき、制御部80が、変形例3と同様に、プリンタ1の図示しない表示部、プリンタ1に接続された図示しないPCのディスプレイなどに、回復しなかったノズル10があることを報知するためのメッセージ等を表示させるための信号を出力してもよい。
【0074】
変形例5は、所定時刻になったときに吐出判定処理を実行する場合の一例である。変形例5では、プリンタ1に電力が供給されている間、制御部80が、図11のフローチャートに沿って処理を行う。
【0075】
より詳細に説明すると、制御部80は、所定時刻となるまで待機しており(S701:NO)、所定時刻となったときに(S701:YES)、上述の実施形態のS101と同様の吐出判定処理を実行する(S702)。ここで、制御部80は、例えば、プリンタ1に内蔵された図示しない時計が示す時刻に基づいて、S701の判断を行う。
【0076】
続いて、制御部80は、S702の吐出判定処理の結果に基づいて、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に異常なノズル10があるか否かを判断する(S703)。異常なノズル10がない場合(S703:NO)、S701に戻る。異常なノズル10がある場合(S703:YES)、制御部80は、吐出量異常状態のノズル10および高粘度異常状態のノズル10についてフラッシング処理を実行する(S704)。
【0077】
続いて、制御部80は、記録用紙Sへの記録を行うことを指示する記録指示信号を受信せず(S705:NO)、かつ、次の日の所定時刻となっていない間は(S706:NO)待機する。そして、記録指示信号を受信することなく(S705:NO)次の日の所定時刻となったときには(S706:YES)、処理がS702に戻る。
【0078】
記録指示信号を受信したときに(S705:YES)、制御部80は、S702の吐出判定処理の結果に基づいて吐出量異常状態のノズル10があるか否かを判断する(S707)。吐出量異常状態のノズル10がない場合には(S707:NO)、処理がそのままS709に進む。吐出量異常状態のノズル10がある場合には(S707:YES)、制御部80は、パージ処理を実行してから処理をS709に進める。
【0079】
S709において、制御部80は、記録処理を実行する。記録処理において、制御部80は、キャリッジモータ86を制御してキャリッジ2を走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド4に複数のノズル10からインクを吐出させる記録パスと、搬送モータ87を制御して搬送ローラ6,7に記録用紙Sを搬送させる搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Sへの記録を行わせる。そして、S709の記録処理の後、処理は、S701に戻る。
【0080】
所定時刻には、第1高粘度異常のノズル10および吐出量異常のノズル10からインクを排出させるフラッシングを行わせることによって、これらのノズル10の回復を図ることができる。所定時刻は、例えば夜中など、プリンタ1が使用されておらず、騒音が問題となる時刻に設定されることがあるため、所定時刻には吸引パージを行わないことにより、騒音の発生を抑えることができる。また、吐出量異常のノズル10が存在する場合には、その後最初に記録用紙Sへの記録を行う直前に吸引パージを行うことにより、プリンタ1が使用され、騒音が問題となりにくいタイミングで吸引パージによって吐出量異常のノズル10を確実に回復させることができる。
【0081】
また、上述の実施形態では、ノズル10における吐出状態が、正常状態であるか、吐出量異常状態であるか、第1高粘度異常状態であるか、第2高粘度異常状態であるかを判定し、吐出状態に応じた処理を実行したが、これには限られない。
【0082】
例えば、上述の実施形態において、吐出状態信号の電圧値が、期間T1a,T2aの両方において閾値Vmax以上かつ期間T1b,T2bの両方において閾値Vmin以下である場合に、正常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させてもよいし、第1高粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させてもよい。あるいは、この場合に、吐出状態信号の電圧値の、期間T1aでの最大値と期間T2aでの最大値との大小関係、および、期間T1bにおける最小値と期間T2bでの最小値との大小関係の少なくとも一方に基づいて、正常状態であることおよび第1高粘度異常状態であることのいずれかをフラッシュメモリ84に記憶させてもよい。
【0083】
変形例6では、ノズル10における吐出状態が、正常状態であるか、吐出量異常状態であるか、第1高粘度異常状態であるか、第2高粘度異常であるか、インクの粘度が第1高粘度異常状態のときよりも高い第3高粘度異常状態であるか、インクの粘度が第1高粘度異常状態のときよりも高く第3高粘度異常状態のときよりも低い第4高粘度異常であるかを判定し、吐出状態に応じた処理を実行する。
【0084】
より詳細に説明すると、吐出状態が第3高粘度異常状態のときには、第1高粘度異常状態のときよりも吐出駆動が開始されてから、ノズル10からインクが吐出されるまでの時間が長くなる。そのため、図12(a)に実線で示すように、吐出状態が第3高粘度異常状態のときの吐出状態信号の変化は、第1高粘度異常状態のときの変化から遅れたものとなる。そのため、吐出状態が第3高粘度異常のときの吐出状態信号は、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T2aよりも後の期間T3aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bよりも後の期間T3bにおいて閾値Vmin以下である。
【0085】
吐出状態が第4高粘度異常状態のときには、吐出駆動が開始されてから、ノズル10からインクが吐出されるまでの時間が、第1高粘度異常のときよりも長く、第3高粘度異常状態のときよりも短くなる。そのため、図12(b)に実線で示すように、吐出状態が第4高粘度異常状態のときの吐出状態信号の変化は、第1高粘度異常状態のときの変化から遅れ、かつ、第3高粘度異常状態のときの変化から早まったものとなる。そのため、吐出状態が第4高粘度異常のときの吐出状態信号は、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつは期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり、かつ、期間T2aよりも後の期間T3aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bよりも後の期間T3bにおいて閾値Vmin以下である。
【0086】
なお、変形例6では、図12(a)に実線で示す吐出状態信号が、本発明の「第5吐出状態信号」に相当し、期間T3a,T3bが本発明の「第3期間」に相当する。また、変形例6では、期間T2aが終了するタイミングと期間T3aが開始するタイミングとが同じタイミングである。また、変形例6では、期間T2bが終了するタイミングと期間T3bが開始するタイミングとが同じタイミングである。
【0087】
また、変形例6では、第1吐出状態信号は、電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T3aにおいて閾値Vmax以上または期間T3bにおいて閾値Vmin以下でない。また、変形例6では、第2吐出状態信号は、電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり、かつ、期間T3aにおいて閾値Vmax以上または期間T3bにおいて閾値Vmin以下でない。
【0088】
また、変形例6では、吐出状態信号の電圧値が閾値Vmax以上であるという条件、および、吐出状態信号の電圧値が閾値Vmin以下であるという条件が、本発明の「第1条件」、「第2条件」および「第3条件」に相当する。すなわち、本実施形態において、第1条件と第2条件と第3条件とは同じ条件である。
【0089】
そして、変形例6では、制御部80が、図12(c)のフローチャートに沿って処理を行うことにより、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の各々についての吐出状態を判定し、その結果に応じた処理を行う。
【0090】
より詳細に説明すると、制御部80は、まず、吐出判定処理を実行する(S801)。S801の吐出判定処理において、制御部80は、図13のフローチャートに沿って処理を行う。
【0091】
図13のフローチャートについて詳細に説明すると、制御部80は、上述の実施形態のS101の吐出判定処理と同様、S201,S202の処理を実行する。
【0092】
続いて、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり(S901:YES)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく(S902:NO)、かつ、期間T3aにおいて閾値Vmax以上または期間T3bにおいて閾値Vmin以下でない場合に(S903:NO)、対象ノズルの吐出状態が正常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S904)。
【0093】
また、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり(S901:YES)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく(S902:NO)、かつ、期間T3aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T3bにおいて閾値Vmin以上である場合に(S903:YES)、処理がS202に戻る。なお、この場合の吐出状態信号が、本発明の「第7吐出状態信号」に相当する。
【0094】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり(S901:YES)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり(S902:YES)、かつ、期間T3aにおいて閾値Vmax以上または期間T3bにおいて閾値Vmin以下でない場合に(S905:NO)、対象ノズルの吐出状態が第2高粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S906)。
【0095】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり(S901:YES)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり(S902:YES)、かつ、期間T3aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T3bにおいて閾値Vmin以下である場合に(S905:YES)、処理がS202に戻る。なお、以下では、この場合の吐出状態信号を、本発明の「第8吐出状態信号」に相当する。
【0096】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく(S901:NO)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり(S907:YES)、かつ、期間T3aにおいて閾値Vmax以上または期間T3bにおいて閾値Vmin以下でない場合に(S908:NO)、対象ノズルの吐出状態が第1高粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S909)。
【0097】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく(S901:NO)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり(S907:YES)、かつ、期間T3aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T3bにおいて閾値Vmin以下である場合に(S908:YES)、対象ノズルの吐出状態が第4高粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S910)。
【0098】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく(S901:NO)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく(S907:NO)、かつ、期間T3aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T3bにおいて閾値Vmin以下である場合に(S911:YES)、対象ノズルの吐出状態が第3高粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S912)。
【0099】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく(S901:NO)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく(S907:NO)、かつ、期間T3aにおいて閾値Vmax以上または期間T3bにおいて閾値Vmin以下でない場合に(S911:NO)、対象ノズルの吐出状態が吐出量異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S913)。
【0100】
また、制御部80は、S904,S906,S909,S910,S912,S913の処理の後、上述の実施形態のS101の吐出判定処理と同様、S210,S211の処理を実行する。
【0101】
図12(c)に戻って、制御部80は、吐出量異常状態のノズル10がある場合、(S802:YES)、パージ処理を実行し(S803)、処理を終了する。吐出量異常状態のノズル10がない場合(S802:NO)、制御部80は、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に高粘度異常状態のノズル10があるか否かを判断する(S804)。S804における高粘度異常状態のノズル10とは、第1高粘度異常のノズル10、第2高粘度異常のノズル10、第3高粘度異常のノズル10および第4高粘度異常のノズル10のことである。高粘度異常状態のノズル10がない場合(S804:NO)、制御部80は処理を終了する。高粘度異常状態のノズル10がある場合(S804:YES)、制御部80は、高粘度異常状態のノズル10についてのフラッシング処理を実行し(S805)、処理を終了する。
【0102】
S805のフラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、高粘度異常状態のノズル10について、フラッシングを行わせる。このとき、第4高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量は、第3高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量よりも少なくてもよいし、第3高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量と同じであってもよい。また、第1高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量は、第4高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量よりも少なくてもよいし、第4高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量と同じであってもよい。また、第2高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量は、第1高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量よりも少なくてもよいし、第1高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量と同じであってもよい。
【0103】
変形例6では、吐出状態が正常状態であるときの吐出状態信号が第1吐出状態信号となり、吐出状態が第1高粘度異常状態であるときに吐出状態信号が第2吐出状態信号となり、吐出状態が第3高粘度異常状態であるときの吐出状態信号が第5吐出状態信号となる。変形例6では、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第2吐出状態信号である場合と第5吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせる。これにより、吐出状態が第1高粘度異常状態であるか第3高粘度異常状態であるかに応じて適切な処理を実行することができる。
【0104】
また、変形例6では、第1条件と第3条件とが同じ条件であるため、第1条件と第3条件とが異なる場合よりも、処理を簡単にすることができる。
【0105】
また、通常、ノズル10における吐出状態によらず、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第7吐出状態信号および第8吐出状態信号となることは考えにくい。したがって、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第7吐出状態信号および第8吐出状態信号である場合、吐出状態信号が吐出状態を正確に示すものでない可能性が高い。そこで、変形例6では、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第7吐出状態信号および第8吐出状態信号である場合に、再度、インクジェットヘッド4に吐出駆動を行わせる。これにより、再度吐出駆動を行わせたときの吐出状態信号が示す吐出状態に応じて適切な処理を実行することができる。
【0106】
変形例7では、ノズル10における吐出状態が、正常状態であるか、吐出量異常状態であるか、第1高粘度異常状態であるか、第2高粘度異常状態であるか、正常状態のときよりもインクの粘度が低い第1低粘度異常状態であるか、正常状態のときよりもインクの粘度が低く第1低粘度異常状態のときよりもインクの粘度が高い第2低粘度異常状態であるかを判定し、吐出状態に応じた処理を実行する。
【0107】
より詳細に説明すると、吐出状態が第1低粘度異常状態のときには、正常状態のときよりも吐出駆動が開始されてから、ノズル10からインクが吐出されるまでの時間が短くなる。そのため、図14(a)に実線で示すように、吐出状態が第1低粘度異常状態のときの吐出状態信号の変化は、正常状態のときの変化から早まったものとなる。そのため、吐出状態が第1低粘度異常状態のときの吐出状態信号は、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T1aよりも後の期間T4aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bよりも前の期間T4bにおいて閾値Vmin以下である。
【0108】
吐出状態が第2低粘度異常状態のときには、吐出駆動が開始されてから、ノズル10からインクが吐出されるまでの時間が、正常状態のときよりも短く、第1低粘度異常状態のときよりも長い。そのため、図14(b)に実線で示すように、吐出状態が第2低粘度異常状態のときの吐出状態信号の変化は、正常状態のときの変化から早まり、第1低粘度異常状態のときの変化から遅れたものとなる。そのため、吐出状態が第2低粘度異常状態のときの吐出状態信号は、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T1aよりも後の期間T4aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bよりも前の期間T4bにおいて閾値Vmin以下である。
【0109】
なお、変形例7では、図14(a)に実線で示す吐出状態信号が本発明の第6吐出状態信号に相当し、期間T4a,T4bが本発明の「第4期間」に相当する。また、変形例4では、期間T4aが終了するタイミングと期間T1aが開始するタイミングとが同じタイミングである。また、変形例7では、期間T4bが終了するタイミングと期間T1bが開始するタイミングとが同じタイミングである。
【0110】
また、変形例7では、第1吐出状態信号は、電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T4aにおいて閾値Vmax以上または期間T4bにおいて閾値Vmin以下でない。また、変形例6では、第2吐出状態信号は、電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり、かつ、期間T4aにおいて閾値Vmax以上または期間T4bにおいて閾値Vmin以下でない。
【0111】
また、変形例7では、吐出状態信号の電圧値が閾値Vmax以上であるという条件、および、吐出状態信号の電圧値が閾値Vmin以下であるという条件が、本発明の「第1条件」、「第2条件」および「第4条件」に相当する。すなわち、本実施形態において、第1条件と第2条件と第4条件とは同じ条件である。
【0112】
そして、変形例7では、制御部80が、図14(c)のフローチャートに沿って処理を行うことにより、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の各々についての吐出状態を判定し、その結果に応じた処理を行う。
【0113】
より詳細に説明すると、制御部80は、まず、吐出判定処理を実行する(S1001)。S1001の吐出判定処理において、制御部80は、図15のフローチャートに沿って処理を行う。
【0114】
図15のフローチャートについて詳細に説明すると、制御部80は、上述の実施形態のS101の吐出判定処理と同様、S201,S202の処理を実行する。
【0115】
続いて、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり(S1101:YES)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく(S1102:NO)、かつ、期間T4aにおいて閾値Vmax以上または期間T4bにおいて閾値Vmin以下でない場合に(S1103:NO)、対象ノズルの吐出状態が正常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S1104)。
【0116】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり(S1101:YES)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく(S1102:NO)、かつ、期間T4aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T4bにおいて閾値Vmin以下である場合に(S1103:YES)、対象ノズルの吐出状態が第2低粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S1105)。
【0117】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり(S1101:YES)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり(S1102:YES)、かつ、期間T4aにおいて閾値Vmax以上または期間T4bにおいて閾値Vmin以下でない場合に(S1106:NO)、対象ノズルの吐出状態が第2高粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S1107)。
【0118】
また、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T1bにおいて閾値Vmin以下であり(S1101:YES)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり(S1102:YES)、かつ、期間T4aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T4bにおいて閾値Vmin以下である場合に(S1106:YES)、処理がS202に戻る。
【0119】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく(S1101:NO)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり(S1108:YES)、かつ、期間T4aにおいて閾値Vmax以上または期間T4bにおいて閾値Vmin以下でない場合に(S1109:NO)、対象ノズルの吐出状態が第1高粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S1110)。
【0120】
また、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく(S1101:NO)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T2bにおいて閾値Vmin以下であり(S1108:YES)、かつ、期間T4aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T4bにおいて閾値Vmin以下である場合に(S1109:YES)、処理がS202に戻る。
【0121】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく(S1101:NO)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく(S1108:NO)、かつ、期間T4aにおいて閾値Vmax以上かつ期間T4bにおいて閾値Vmin以下である場合に(S1111:YES)、対象ノズルの吐出状態が第1低粘度異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S1112)。
【0122】
また、制御部80は、S202で吐出駆動を行わせたときに信号処理回路78から出力される吐出状態信号の電圧値が、期間T1aにおいて閾値Vmax以上または期間T1bにおいて閾値Vmin以下でなく(S1101:NO)、かつ、期間T2aにおいて閾値Vmax以上または期間T2bにおいて閾値Vmin以下でなく(S1108:NO)、かつ、期間T4aにおいて閾値Vmax以上または期間T4bにおいて閾値Vmin以下でない場合に(S1111:NO)、対象ノズルの吐出状態が吐出量異常状態であることをフラッシュメモリ84に記憶させる(S1113)。
【0123】
また、制御部80は、S1104,S1105,S1107,S1110,S1112,S1113の処理の後、上述の実施形態のS101の吐出判定処理と同様、S210,S211の処理を実行する。
【0124】
図14(c)に戻って、制御部80は、吐出量異常状態のノズル10がある場合、(S1002:YES)、パージ処理を実行し(S1003)、処理を終了する。吐出量異常状態のノズル10がない場合(S1002:NO)、制御部80は、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に高粘度異常状態のノズル10があるか否かを判断する(S1004)。S1004における高粘度異常状態のノズル10とは、第1高粘度異常状態のノズル10および第2高粘度異常状態のノズル10のことである。高粘度異常状態のノズル10がない場合(S1004:NO)、処理はS1006に進む。高粘度異常状態のノズル10がある場合(S1004:YES)、制御部80は、高粘度異常状態のノズル10についてのフラッシング処理を実行し(S1005)、S1006に進む。
【0125】
S1005のフラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、高粘度異常状態のノズル10について、フラッシングを行わせる。このとき、第2高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量は、第1高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量よりも少なくてもよいし、第1高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量と同じであってもよい。
【0126】
S1006において、制御部80は、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に低粘度異常状態のノズル10があるか否かを判断する。S1006における低粘度異常状態のノズル10とは、第1低粘度異常状態のノズル10および第2低粘度異常状態のノズル10のことである。低粘度異常状態のノズル10がない場合(S1006:NO)、制御部80は処理を終了する。低粘度異常状態のノズル10がある場合(S1006:YES)、制御部80は、低粘度異常状態のノズル10についてのフラッシング処理を実行し(S1007)、処理を終了する。
【0127】
S1007のフラッシング処理において、制御部80は、インクジェットヘッド4に、低粘度異常状態のノズル10について、フラッシングを行わせる。低粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量は、高粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量よりも少ない。また、第2低粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量は、第1低粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量よりも少なくてもよいし、第1低粘度異常状態のノズル10からのフラッシングによるインクの排出量と同じであってもよい。
【0128】
変形例7では、吐出状態が正常状態のときに吐出状態信号が第1吐出状態信号となり、吐出状態が第1高粘度異常状態のときに吐出状態信号が第2吐出状態信号となり、吐出状態が第1低粘度異常のときに吐出状態信号が第6吐出状態信号となる。変形例7では、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第2吐出状態信号である場合と第6吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせる。これにより、吐出状態が高粘度異常状態であるか低粘度異常状態であるかに応じて適切な処理を実行することができる。
【0129】
また、変形例7では、第1条件と第4条件とが同じ条件であるため、第1条件と第4条件とが異なる場合よりも、処理を簡単にすることができる。
【0130】
また、第1~第4高粘度異常状態および第1、第2低粘度異常状態のうち、判定を行う粘度異常状態の数および組み合わせは、以上の例で説明したものには限られない。第1~第4高粘度異常状態および第1、第2低粘度異常状態のうち、判定を行う粘度異常状態の数および組み合わせは、以上の例で説明したものとは別のものであってもよい。
【0131】
また、以上では、ノズル10におけるインクの吐出状態に応じて、ノズル10を回復させるための処理を異ならせる例について説明したが、これには限られない。
【0132】
変形例8では、制御部80が、記録用紙Sへの記録を行うことを指示する記録指示信号を受信したときに、図16のフローチャートに沿って処理を行う。
【0133】
より詳細に説明すると、記録指示信号を受信したときに、制御部80は、上述の実施形態のS101と同様の吐出判定処理を実行する(S1201)。続いて、制御部80は、S1201の吐出判定処理の結果に基づいて、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に吐出量異常状態のノズル10があるか否かを判断する(S1202)。吐出量異常状態のノズル10がある場合(S1202:YES)、制御部80は、パージ処理を実行してから(S1203)、第1記録処理を実行する(S1204)。第1記録処理において、制御部80は、変形例5で説明したのと同様、記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせることによって記録用紙Sへの記録を行わせる。
【0134】
吐出量異常状態のノズル10がない場合(S1202:NO)、制御部80は、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に高粘度異常状態のノズル10があるか否かを判断する(S1205)。高粘度異常状態のノズル10がない場合(S1205:NO)、制御部80は、第1記録処理を実行する(S1204)。
【0135】
高粘度異常状態のノズル10がある場合(S1205:YES)、制御部80は、第2記録処理を実行する(S1206)。第2記録処理において、制御部80は、記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせることによって記録用紙Sへの記録を行わせる。ただし、第2記録処理では、第1記録処理とは異なる態様で記録用紙Sへの記録を行わせる。例えば、第2記録処理では、第1記録処理よりも記録パスでのキャリッジ2の移動速度を遅くするとともに、ノズル10からインクを吐出させる周期を長くする。
【0136】
なお、変形例8では、第1記録処理よって繰り返し行わせる記録パスおよび搬送動作が、本発明の「第1吐出動作」に相当する。また、第1記録処理よって繰り返し行わせる記録パスおよび搬送動作が、本発明の「第2吐出動作」に相当する。
【0137】
吐出状態が正常状態である場合と高粘度異常状態である場合とで、ノズル10から記録用紙Sに向けてインクを吐出させるようにインクジェットヘッド4を駆動させてから、このインクが記録用紙Sに着弾するまでの時間が変わる。そこで、変形例8では、吐出状態が正常状態である場合と高粘度異常状態である場合とで、ノズル10から記録用紙Sにインクを吐出させて記録を行うときの、インクジェットヘッド4の駆動態様を異ならせる。これにより、吐出状態が正常状態であるか高粘度異常状態であるかによらず、記録用紙Sの適切な位置にインクを着弾させて記録を行うことができる。
【0138】
また、変形例8では、吐出量異常状態のノズル10が1つでもあればパージ処理を実行したが、これには限られない。例えば、吐出量異常状態のノズル10が2以上の所定数以上ある場合にパージ処理を実行し、吐出量異常状態のノズル10の数が所定個数未満のときには、S1205に進むようにしてもよい。また、変形例8では、高粘度異常状態のノズル10が1つでもあれば第2記録処理を実行するようにしたが、これには限られない。例えば、高粘度異常状態のノズル10が2以上の所定個数以上ある場合に第2記録処理を実行し、高粘度異常状態のノズル10が所定個数未満の場合に第1記録処理を実行するようにしてもよい。
【0139】
また、以上では、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第2吐出状態信号である場合に、ノズル10における吐出状態が第1高粘度異常状態であるとして説明を行ったが、これには限られない。例えば、ノズル10における吐出状態が、インクの吐出方向にずれがあるヨレ異常状態の場合にも、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第2吐出状態信号になる。そして、ノズル10における吐出状態がヨレ異常の状態のときにも、以上の例で説明した、吐出状態が第1高粘度異常状態である場合と同様の処理を行うことにより、ヨレ異常状態のノズル10を回復させたり、ヨレ異常状態のノズル10から吐出させたインクを記録用紙Sの適切な位置にインクを着弾させたりすることができる。
【0140】
また、以上の例では、吐出状態を判定するために設定される条件が、吐出状態信号の電圧値が閾値Vmax以上であるという条件と、吐出状態信号の電圧値が閾値Vmin以下である条件とであったが、これには限られない。
【0141】
例えば、吐出状態信号に設定される条件は、吐出状態信号の電圧値が閾値Vmax以上であるという条件と、吐出状態信号の電圧値が閾値Vmin以上であるという条件のうち、一方のみであってもよい。あるいは、例えば、吐出状態信号を判定するための条件は、吐出状態信号の電圧値の最大値と最小値との差が閾値以上であるという条件であってもよい。
【0142】
また、以上の例では、吐出状態信号の判定のために、期間T1a~T4aに対して同じ閾値Vmaxを設定し、期間T1b~T4bに対して同じ閾値Vminを設定していることにより、第1~第4条件がすべて同じ条件であった。しかしながら、これには限られない。期間T1a~T4aに対して設定する閾値の少なくとも一部が他の閾値と異なっていてもよいし、期間T1b~T4bに対して設定する閾値の少なくとも一部が他の閾値と異なっていてもよい。この場合、第1~第4条件のうち少なくとも1つの条件が他の条件と異なる。
【0143】
さらには、第1~第4条件は、吐出状態信号の最大値および最小値の少なくとも一方に関する別の条件であってもよい。このとき、第1~第4条件はすべて同じであってもよいし、少なくとも1つの条件が他の条件と異なっていてもよい。
【0144】
また、以上の例では、期間T1aが終了するタイミングと期間T2aが開始するタイミングとが同じタイミングであり、期間T1bが終了するタイミングと期間T2bが開始するタイミングとが同じタイミングであったが、これには限られない。変形例9では、図17(a)に示すように、期間T1aが終了する前に期間T2aが開始しており、期間T1aの一部と期間T2aの一部とが重複している。また、期間T1bが終了する前に期間T2bが開始しており、期間T1bの一部と期間T2bの一部とが重複している。
【0145】
この場合でも、期間T1aと期間T2aとの間、および、期間T1bと期間T2bとの間に空白の期間がないため、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第1吐出状態信号である場合と第2吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせることにより、ノズル10から正常にインクが吐出されるか、第1高粘度異常があるかに応じて適切な処理を実行することができる。
【0146】
変形例10では、図17(b)に示すように、期間T1aが終了した後に期間T2aが開始しており、期間T1aと期間T2aとの間に空白の期間がある。また、期間T1bが終了した後に期間T2bが開始しており、期間T1bと期間T2bとの間に空白の期間がある。
【0147】
この場合でも、上記空白の期間がそれほど長くなければ、吐出駆動が行われたときの吐出状態信号が第1吐出状態信号である場合と第2吐出状態信号である場合とで、その後の処理を異ならせることにより、ノズル10から正常にインクが吐出されるか、第1高粘度異常があるかに応じて適切な処理を実行することができる。
【0148】
変形例6の期間T2aと期間T3aとの関係、期間T2bと期間T3bとの関係、および、変形例7の期間T4aと期間T1aとの関係、期間T4bと期間T1bとの関係についても変形例9,10で説明したのと同様の関係であってもよい。
【0149】
また、以上の例では、プリンタ1が、パージとして、吸引パージを行ったが、これには限られない。例えば、インクカートリッジ15とインクジェットヘッド4との間の流路等にインクジェットヘッド4内のインクを加圧する加圧ポンプが設けられていてもよい。そして、複数のノズル10がキャップ71で覆われた状態で上記加圧ポンプを駆動させることによってインクジェットヘッド4内のインクを排出させる加圧パージを行ってもよい。
【0150】
なお、上述の実施形態において吸引パージの代わりに加圧パージを行う場合、加圧パージが本発明の「第1排出動作」に相当し、加圧パージを行うためのキャップ71と加圧ポンプとが本発明の「第1排出手段」を構成している。一方、変形例2,5において吸引パージの代わりに加圧パージを行う場合、加圧パージを行うためのキャップ71と加圧ポンプとが本発明の「パージ手段」を構成している。
【0151】
あるいは、吸引ポンプ72を駆動させることによる吸引パージと、上述の加圧ポンプを駆動させることによる加圧パージの両方行ってもよい。上述の実施形態において吸引パージと加圧パージの両方を行う場合、吸引パージおよび加圧パージが本発明の「第1排出動作」に相当し、吸引パージおよび加圧パージを行うためのメンテナンスユニット8と加圧ポンプとが本発明の「第1排出手段」を構成している。一方、変形例2,5において吸引パージと加圧パージの両方を行う場合、吸引パージおよび加圧パージを行うためのメンテナンスユニット8と加圧ポンプとが本発明の「パージ手段」を構成している。
【0152】
また、以上の例では、インクジェットヘッド4に検査用駆動を行わせたときの、ノズル10からキャップ71内に配置された電極76における電圧の変化に応じて信号処理回路78から出力される信号に基づいて吐出状態を判定したが、これには限られない。
【0153】
例えば、電極76の代わりに、鉛直方向に延びており、キャリッジ2がメンテナンス位置に位置している状態でノズル10の下方の空間と対向する電極を設けてもよい。そして、信号処理回路78から、キャリッジ2をメンテナンス位置に位置させた状態で検査用駆動を行ったときの上記電極の電圧の変化に応じた信号を出力するようにしてもよい。そして、この信号に基づいて吐出状態を判定してもよい。
【0154】
あるいは、例えば、キャリッジ2がメンテナンス位置等の所定位置に位置している状態で、ノズル10から吐出されたインクを直接検出し、検出結果に応じた信号を出力する光センサを設けてもよい。そして、この光センサから出力される信号に基づいて吐出状態を判定してもよい。
【0155】
あるいは、例えば、特許第4929699号公報に記載されているのと同様に、インクジェットヘッドのノズルが形成されたプレートに、ノズルからインクが吐出されたときの電圧の変化を検出する電圧検出回路を接続し、キャリッジを検査位置に移動させた状態でノズルからインクを吐出させるための動作を行わせたときに電圧検出回路から出力された信号に基づいて吐出状態を判定してもよい。
【0156】
あるいは、例えば、特許第6231759号公報に記載されているのと同様に、インクジェットヘッドの基板を、温度検知素子を備えたものとしてもよい。そして、インクの吐出のために第1印加電圧を印加してヒータを駆動した後に、インクが吐出されないように第2印加電圧を印加してヒータを駆動し、第2印加電圧を印加してから、その後、所定時間が経過するまでの間の、温度検知素子で検知された温度の変化に基づいて、ノズル10に第1~第3異常があるか否かに応じた信号を出力するようにしてもよい。そして、この信号に基づいて吐出状態を判定してもよい。
【0157】
また、以上の例では、インクジェットヘッド4の全てのノズル10について、検査用駆動を行わせて吐出状態を判定したが、これには限られない。例えば、各ノズル列9における1つおきのノズル10等、インクジェットヘッド4の一部のノズル10についてのみ、検査用駆動を行わせて吐出状態を判定してもよい。そして、それ以外のノズル10については、上記一部のノズル10についての判定結果に基づいてノズル10の吐出状態を推定してもよい。
【0158】
また、上述の実施形態では、キャリッジとともに走査方向に移動しつつ複数のノズルからインクを吐出する、いわゆるシリアルヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。例えば、走査方向に記録用紙の全長にわたって延び、走査方向に配列された複数のノズルを有する、いわゆるラインヘッドを備えたプリンタに本発明を適用することも可能である。
【0159】
また、以上では、ノズルからインクを吐出して記録用紙Sに記録を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。Tシャツ、屋外広告用のシート、スマートフォン等の携帯端末のケース、段ボール、樹脂部材など、記録用紙以外の被記録媒体に画像を記録するプリンタにも適用され得る。また、インク以外の液滴、例えば、液体状にした樹脂や金属の液滴を吐出する液体吐出装置にも適用され得る。
【符号の説明】
【0160】
1:プリンタ
4:インクジェットヘッド
8:メンテナンスユニット
10:ノズル
76:電極
77:高電圧電源回路
78:信号処理回路
79:抵抗
80:制御部
図1
図2
図3
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図5
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図10
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