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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081217
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】エレベータの作業用かご装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B66B7/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194675
(22)【出願日】2022-12-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 由真
(72)【発明者】
【氏名】下村 祐輝
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305DA05
3F305DA21
(57)【要約】
【課題】防護天井の直交する第1方向及び第2方向の寸法を制限なく自由に設定することができるエレベータの作業用かご装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るエレベータの作業用かご装置は、かご外枠に設けられる作業床と、作業床の上方に設けられる防護天井とを備え、防護天井は、第1方向に第1辺部及び第2辺部、第1方向と直交する第2方向に第3辺部及び第4辺部を有するベース20と、ベース20に着脱可能であるとともに、ベース20の第1辺部ないし第4辺部の各辺部に対して選択的に設けられる1つ以上の延伸パネル35,40とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご外枠に設けられる作業床と、
作業床の上方に設けられる防護天井とを備え、
防護天井は、
第1方向に第1辺部及び第2辺部、第1方向と直交する第2方向に第3辺部及び第4辺部を有するベースと、
ベースに着脱可能であるとともに、ベースの第1辺部ないし第4辺部の各辺部に対して選択的に設けられる1つ以上の延伸パネルとを備える
エレベータの作業用かご装置。
【請求項2】
延伸パネルとして、上下に重なる第1パネル及び第2パネルがスライド可能に連結される伸縮式と、1枚のパネルのみからなる非伸縮式の2種類の延伸パネルが選択的に提供される
請求項1に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項3】
ベースは、第1辺部ないし第4辺部の各辺部に係止部を備え、
延伸パネルは、ベースの係止部に係脱可能に係合する係合部を備える
請求項1又は請求項2に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項4】
ベースは、シーブへの巻き掛けにより生じる主ロープの平行部を通すことができる大きさを有する開口と、主ロープを通すための切欠き又はスリットを有して開口を塞ぐ蓋パネルとを備える
請求項1又は請求項2に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項5】
開口は、円形であり、
蓋パネルは、開口よりも大きい円板であり、周方向等分2箇所に切欠きを有する
請求項4に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項6】
防護天井は、ベースの隣り合う2辺部に対して設けられる2つの延伸パネルの端縁部間に生じる欠落部を埋める角パネルを備える
請求項1又は請求項2に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項7】
角パネルは、上下に重なる第1角パネル及び第2角パネルがスライド可能に連結される伸縮式である
請求項6に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項8】
ベースは、かご外枠の上横枠に着脱可能に固定される脚を備える
請求項1又は請求項2に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項9】
脚は、係止部を備え、
延伸パネルは、脚に向かって斜め下方に伸びるアームを備え、
アームは、先端側に脚の係止部に係脱可能に係合する係合部を備える
請求項8に記載のエレベータの作業用かご装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降路内を昇降可能なかご外枠に設けられる作業床と、作業床の上方に設けられる防護天井とを備え、エレベータの据付工事で使用されるエレベータの作業用かご装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエレベータの作業用かご装置として、第1方向と直交する第2方向において中心で折曲可能な第1の防護天井部と、第1の防護天井部に対して第1方向にスライド可能で、第2方向において中心で折曲可能な第2の防護天井部とを備え、第1及び第2の防護天井部を伸縮することで防護天井の第1方向の寸法を可変とするとともに、第1及び第2の防護天井部を折曲することで防護天井の第2方向の寸法を可変とし、天井のサイズが異なっても1つの防護天井で対処することができる装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-138939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された装置にあっては、防護天井の第1方向の寸法を伸縮のみで可変させるため、最小寸法と最大寸法が互いに制限し合ってしまうという問題、すなわち、最大寸法を大きくしたければ、最小寸法も大きくなってしまい、逆に、最小寸法を小さくしたければ、最大寸法も小さくなってしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献1に記載された装置にあっては、防護天井の第2方向の寸法を折曲のみで可変させるため、防護天井の第2方向の寸法を小さくするほど、防護天井の高さ寸法が大きくなってしまい、昇降路の頂部寸法が小さい場合は、装置が昇降路の最上部に到達できなくなるおそれが生じるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、防護天井の直交する第1方向及び第2方向の寸法を制限なく自由に設定することができるエレベータの作業用かご装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベータの作業用かご装置は、
かご外枠に設けられる作業床と、
作業床の上方に設けられる防護天井とを備え、
防護天井は、
第1方向に第1辺部及び第2辺部、第1方向と直交する第2方向に第3辺部及び第4辺部を有するベースと、
ベースに着脱可能であるとともに、ベースの第1辺部ないし第4辺部の各辺部に対して選択的に設けられる1つ以上の延伸パネルとを備える
エレベータの作業用かご装置である。
【0008】
ここで、本発明に係るエレベータの作業用かご装置の一態様として、
延伸パネルとして、上下に重なる第1パネル及び第2パネルがスライド可能に連結される伸縮式と、1枚のパネルのみからなる非伸縮式の2種類の延伸パネルが選択的に提供される
との構成を採用することができる。
【0009】
また、本発明に係るエレベータの作業用かご装置の他態様として、
ベースは、第1辺部ないし第4辺部の各辺部に係止部を備え、
延伸パネルは、ベースの係止部に係脱可能に係合する係合部を備える
との構成を採用することができる。
【0010】
また、本発明に係るエレベータの作業用かご装置の別の態様として、
ベースは、シーブへの巻き掛けにより生じる主ロープの平行部を通すことができる大きさを有する開口と、主ロープを通すための切欠き又はスリットを有して開口を塞ぐ蓋パネルとを備える
との構成を採用することができる。
【0011】
また、この場合、
開口は、円形であり、
蓋パネルは、開口よりも大きい円板であり、周方向等分2箇所に切欠きを有する
との構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明に係るエレベータの作業用かご装置のさらに別の態様として、
防護天井は、ベースの隣り合う2辺部に対して設けられる2つの延伸パネルの端縁部間に生じる欠落部を埋める角パネルを備える
との構成を採用することができる。
【0013】
また、この場合、
角パネルは、上下に重なる第1角パネル及び第2角パネルがスライド可能に連結される伸縮式である
との構成を採用することができる。
【0014】
また、本発明に係るエレベータの作業用かご装置のさらに別の態様として、
ベースは、かご外枠の上横枠に着脱可能に固定される脚を備える
との構成を採用することができる。
【0015】
また、この場合、
脚は、係止部を備え、
延伸パネルは、脚に向かって斜め下方に伸びるアームを備え、
アームは、先端側に脚の係止部に係脱可能に係合する係合部を備える
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ベースの第1辺部ないし第4辺部の各辺部に対して延伸パネルの使用の有無を選択することにより、防護天井の直交する第1方向及び第2方向の寸法を適宜設定することができる。このため、本発明によれば、防護天井の直交する第1方向及び第2方向の寸法を制限なく自由に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態に係るエレベータの作業用かご装置の斜視図である。
図2図2は、作業用かご装置の防護天井の斜視図である。
図3図3は、防護天井の分解斜視図である。
図4図4は、防護天井のベースの斜視図である。
図5図5(a)は、防護天井の伸縮式延伸パネルの分解斜視図である。図5(b)は、伸縮式延伸パネルの斜視図である。
図6図6(a)は、伸縮式延伸パネルをベースに取り付ける状態の斜視図である。図6(b)は、伸縮式延伸パネルをベースに取り付けた状態の斜視図である。
図7図7(a)は、非伸縮式延伸パネルをベースに取り付ける状態の斜視図である。図7(b)は、非伸縮式延伸パネルをベースに取り付けた状態の斜視図である。
図8図8は、防護天井の角部の分解斜視図である。
図9図9(a)は、1つの伸縮式延伸パネルと2つの非伸縮式延伸パネルを用いて構成した防護天井の斜視図である。図9(b)は、伸縮式延伸パネルを伸長した状態の斜視図である。
図10図10(a)は、2つの伸縮式延伸パネルと2つの非伸縮式延伸パネルを用いて構成した防護天井の斜視図である。図10(b)は、伸縮式延伸パネルを伸長した状態の斜視図である。
図11図11(a)は、延伸パネルを用いずにベースだけで構成した防護天井の斜視図である。図11(b)は、2つの非伸縮式延伸パネルを用いて構成した防護天井の斜視図である。
図12図12(a)は、2つの伸縮式延伸パネルを用いて構成した防護天井の斜視図である。図12(b)は、2つの伸縮式延伸パネルを非伸縮式延伸パネルの形態で用いて構成した防護天井の斜視図である。
図13図13は、蓋パネルを取り外して構成した防護天井の斜視図である。
図14図14は、異なる蓋パネルを用いて構成した防護天井の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態に係るエレベータの作業用かご装置について説明する。なお、エレベータの作業用かご装置(以下、略して「作業用かご装置」という)とは、エレベータの据付工事において、予め他の工法(足場、ゴンドラ等の使用)にてガイドレール工事及び機械室工事を施工し、本設(実際にエレベータの構成として使用される)の装置(かご外枠、主ロープ、巻上機、カウンターウェイト等)を駆動可能な状態にした後、かご外枠に作業場を設け、昇降路内でかご外枠を昇降させて他の工事を施工する工法に用いられる装置のことをいう。
【0019】
図1に示すように、作業用かご装置1は、本設のかご外枠2と、本設のかごシーブケース3と、本設の主ロープ4と、仮設の下部作業場5と、仮設の上部作業場8とを備える。
【0020】
かご外枠2は、左右の縦枠2a,2aと、下横枠2bと、上横枠2cとで構成される。各枠2a,2b,2cは、たとえばチャンネル鋼(溝形鋼)を用いて構成される。下横枠2bは、左右の縦枠2a,2aの下端部同士を連結する。上横枠2cは、左右の縦枠2a,2aの上端部同士を連結する。上横枠2cは、所定の間隔を空けて配置した2本の鋼材を用いて構成される。
【0021】
上横枠2cの中央部の下には、かごシーブケース3が取り付けられる。かごシーブケース3内には、かごシーブ(図示しない)が回転可能に収容される。主ロープ4は、一端が昇降路の上部に固定され、上横枠2cの2本の鋼材間の隙間を通ってかごシーブに巻き掛けられるとともに、カウンターウェイト(図示しない)のシーブ(図示しない)に巻き掛けられ、他端が昇降路の上部に固定される(いわゆる2:1ローピング)。主ロープ4は、所定の間隔を空けて並列する複数本のロープで構成される。巻上機(図示しない)の駆動シーブ(図示しない)が回転駆動することにより、主ロープ4が走行し、これに伴い、かごシーブが取り付けられている作業用かご装置1が昇降路内を昇降可能となる。
【0022】
下部作業場5は、下部作業床6と、墜落防止設備7とを備える。下部作業床6は、かご外枠2の下横枠2bの上に設置される本設のかご床を用いて構成される。墜落防止設備7は、下部作業床6を取り囲むようにして設置される防護パネル、手すり、中さん、幅木等で構成される。
【0023】
上部作業場8は、上部作業床9と、墜落防止設備11~13と、防護天井15とを備える。上部作業床9は、複数本の足場板10,…で構成される。墜落防止設備11は、かご外枠2の左右の縦枠2a,2aに取り付けられる手すり、中さん等で構成される。墜落防止設備12は、上部作業床9の外周一辺に取り付けられる手すり、中さん等で構成される。墜落防止設備13は、幅木で構成される。
【0024】
図2及び図3に示すように、防護天井15は、ベース20と、延伸パネル35と、延伸パネル40と、角パネル45とを備える。ベース20は、第1方向Xに第1辺部及び第2辺部、第1方向Xと直交する第2方向Yに第3辺部及び第4辺部を有する。本実施形態においては、第1辺部及び第2辺部は平行であり、第3辺部及び第4辺部は平行である。延伸パネル35は、ベース20に着脱可能であるとともに、ベース20の第1辺部及び第2辺部の各辺部に対して選択的に設けられる。延伸パネル40は、ベース20に着脱可能であるとともに、ベース20の第3辺部及び第4辺部の各辺部に対して選択的に設けられる。角パネル45は、ベース20の隣り合う2辺部に対して設けられる2つの延伸パネル35,40の端縁部間に生じる欠落部を埋める。
【0025】
ベース20は、ベース本体21と、蓋パネル32とを備える。延伸パネル35は、第1パネル36と、第2パネル37とを備える。延伸パネル40は、パネル41を備える。角パネル45は、第1角パネル46と、第2角パネル47とを備える。ベース本体21は、平面視にて矩形状(本実施形態においては、正方形状)を有する。延伸パネル35のパネル(第1パネル36及び第2パネル37)は、ベース本体21の第1辺部及び第2辺部と同じ幅を有し、平面視にて矩形状(本実施形態においては、長方形状)を有する。延伸パネル40のパネル(パネル41)は、ベース本体21の第3辺部及び第4辺部と同じ幅を有し、平面視にて矩形状(本実施形態においては、長方形状)を有する。角パネル45のパネル(第1角パネル46及び第2角パネル47)は、延伸パネル35のパネル(第1パネル36及び第2パネル37)の端縁部及び延伸パネル40のパネル(パネル41)の端縁部と同じ幅を有し、平面視にて矩形状(本実施形態においては、正方形状)を有する。ベース本体21、蓋パネル32、延伸パネル35のパネル(第1パネル36及び第2パネル37)、延伸パネル40のパネル(パネル41)及び角パネル45のパネル(第1角パネル46及び第2角パネル47)は、水平面に沿って配置され、全体的に平面視にて矩形状(本実施形態においては、長方形状)を有し、防護天井15の天井部を構成する。
【0026】
図4に示すように、ベース20のベース本体21は、第2方向Yにおける両端部が上方に帯状に屈曲されて(起立部)強度向上が図られた鋼板、アルミ板等の金属板を用いて構成される。ベース本体21は、かごシーブへの巻き掛けにより生じる主ロープ4の平行部を通すことができる大きさを有する開口21aを中心に有する。開口21aは、円形である。ベース本体21は、開口21aを横切る線(本実施形態においては、第1方向Xに沿う中心線)に沿って2つの分割体22,22に分割される。2つの分割体22,22の分割端部同士が連結片23を介して連結されることにより、1つのベース本体21となる。ベース本体21を分割式にするのは、防護天井15をかご外枠2に設置するに際し、主ロープ4を開口21a内に配置するためである。なお、分割体22の分割端部と連結片23とは、ネジ及びネジ孔の組み合わせ、ネジ及びナットの組み合わせ等の公知の結合手段により分離可能に結合される。
【0027】
ベース20は、脚24を備える。脚24は、かご外枠2の上横枠2cに着脱可能に固定され、防護天井15をかご外枠2に固定する。脚24は、2つの分割体22,22のそれぞれに設けられる。より詳しくは、脚24は、ベース本体21の第3辺部及び第4辺部の各辺部に設けられる。脚24は、2本の上脚25,25と、2本の下脚26,26と、ブラケット27とを備える。いずれも金属材を用いて構成される。2本の上脚25,25は、ベース本体21の第3辺部及び第4辺部の各辺部に第1方向Xに間隔を有して接合される。上脚25及び下脚26は、スライド可能に連結され、脚24を伸縮可能とする。ブラケット27は、2本の下脚26,26の下端部同士を連結し、かご外枠2の上横枠2cに着脱可能に固定される。
【0028】
ベース20は、第1辺部及び第2辺部の各辺部に係止部28を備えるとともに、第3辺部及び第4辺部の各辺部に係止部30を備える。係止部28は、第1辺部及び第2辺部の各辺部に第2方向Yに間隔を有して2箇所に設けられる。係止部30は、第3辺部及び第4辺部の各辺部に第1方向Xに間隔を有して2箇所に設けられる。係止部28,30は、軸部を備える。一例として、係止部28は、ベース本体21(の起立部)に形成される孔に挿通され、必要に応じてワッシャが挿通され、ナットが螺合されるボルトを用いて構成される。一例として、係止部30は、上脚25に形成される孔に挿通され、必要に応じてワッシャが挿通され、ナットが螺合されるボルトを用いて構成される。
【0029】
ベース20は、第1辺部及び第2辺部の各辺部の下方箇所に係止部29を備えるとともに、第3辺部及び第4辺部の各辺部の下方箇所に係止部31を備える。係止部29は、第1辺部及び第2辺部の各辺部の下方箇所に第2方向Yに間隔を有して2箇所に設けられる。係止部31は、第3辺部及び第4辺部の各辺部の下方箇所に第1方向Xに間隔を有して2箇所に設けられる。係止部29,31は、軸部を備える。一例として、係止部29は、上脚25(に接合されるブラケット)に形成される孔に挿通され、必要に応じてワッシャが挿通され、ナットが螺合されるボルトを用いて構成される。一例として、係止部31は、上脚25に形成される孔に挿通され、必要に応じてワッシャが挿通され、ナットが螺合されるボルトを用いて構成される。
【0030】
ベース20の蓋パネル32は、主ロープ4を通すための切欠き32aを有してベース本体21の開口21aを塞ぐ。蓋パネル32は、開口21aよりも大きい円板であり、周方向等分2箇所(第2方向Yの2箇所)に切欠き32a,32aを有する。蓋パネル32は、鋼板、アルミ板等の金属板又は樹脂板を用いて構成される。なお、ベース本体21の開口21aの周縁部と蓋パネル32とは、ネジ及びネジ孔の組み合わせ、ネジ及びナットの組み合わせ等の公知の結合手段により分離可能に結合される。これにより、蓋パネル32は、ベース本体21の開口21aの周縁部に着脱可能に取り付けられる。
【0031】
図5に示すように、延伸パネル35は、第1パネル36及び第2パネル37がスライド可能に連結される伸縮式である。一例として、第1パネル36の両端部には、第1パネル36の短辺に沿ってスライド長孔36a,36aが形成され、第2パネル37の両端部には、リベットナット37a,37aが接合され、スライド長孔36a,36aに挿通される蝶ネジ(図示しない)がリベットナット37a,37aに螺合し、蝶ネジを緩めると、延伸パネル35が伸縮可能となり、蝶ネジを締めると、延伸パネル35の伸縮状態が固定される。第1パネル36及び第2パネル37は、鋼板、アルミ板等の金属板を用いて構成される。なお、第1パネル36及び第2パネル37は、軽量化のために、パンチング加工が施されている。第1パネル36のパンチングの孔は、第1パネル36の長辺に沿う長孔であり、第2パネル37のパンチングの孔は、第2パネル37の短辺に沿う長孔である。
【0032】
延伸パネル35は、ブラケット38と、アーム39とを備える。ブラケット38は、第1パネル36の両端部の下面に第1パネル36の短辺に沿って接合される。ブラケット38は、先端側に係合部38aを備える。アーム39は、一端がブラケット38に回転可能に接続され、第1パネル36の短辺に沿って斜め下方に伸び、先端側に係合部39aを備える。係合部38a,39aは、フック部を備える。図6に示すように、係合部38aは、ベース20の係止部28に上方から係合し、係脱可能に係合する。係合部39aは、ベース20の係止部29に上方から係合し、係脱可能に係合する。そして、ベース20の係止部28,29のボルト・ナットを締結することにより、延伸パネル35は、ベース20に一体的に取り付けられる。
【0033】
図7に示すように、延伸パネル40は、1枚のパネル41のみからなる非伸縮式である。パネル41は、鋼板、アルミ板等の金属板を用いて構成される。なお、パネル41は、軽量化のために、パンチング加工が施されている。パンチングの孔は、パネル41の長辺に沿った長孔である。
【0034】
延伸パネル40は、ブラケット42と、アーム43とを備える。ブラケット42は、パネル41の両端部の下面にパネル41の短辺に沿って接合される。ブラケット42は、先端側に係合部42aを備える。アーム43は、一端がブラケット42に回転可能に接続され、パネル41の短辺に沿って斜め下方に伸び、先端側に係合部43aを備える。係合部42a,43aは、フック部を備える。係合部42aは、ベース20の係止部30に上方から係合し、係脱可能に係合する。係合部43aは、ベース20の係止部31に上方から係合し、係脱可能に係合する。そして、ベース20の係止部30,31のボルト・ナットを締結することにより、延伸パネル40は、ベース20に一体的に取り付けられる。
【0035】
図8に示すように、角パネル45は、第1角パネル46及び第2角パネル47がスライド可能に連結される伸縮式である。一例として、第1角パネル46には、第1角パネル46の直交2辺の一方の辺に沿ってスライド長孔46a,46aが形成され、第2角パネル47には、リベットナット47a,47aが接合され、スライド長孔46a,46aに挿通される蝶ネジ(図示しない)がリベットナット47a,47aに螺合し、蝶ネジを緩めると、角パネル45が伸縮可能となり、蝶ネジを締めると、角パネル45の伸縮状態が固定される。第1角パネル46及び第2角パネル47は、鋼板、アルミ板等の金属板を用いて構成される。
【0036】
第1角パネル46の直交2辺の一方の辺には、リベットナット46b,46bが接合され、延伸パネル35の第1パネル36の両端部には、孔36b,36bが形成され、孔36b,36bに挿通されるネジ(図示しない)がリベットナット46b,46bに螺合することにより、第1パネル36及び第1角パネル46が連結される。第1角パネル46の直交2辺の他方の辺には、リベットナット46c,46cが接合され、延伸パネル40のパネル41の両端部には、孔41a,41aが形成され、孔41a,41aに挿通されるネジ(図示しない)がリベットナット46c,46cに螺合することにより、パネル41及び第1角パネル46が連結される。これにより、延伸パネル35、角パネル45及び延伸パネル40は、一体的に連結される。
【0037】
本実施形態に係る作業用かご装置1は以上の構成からなる。次に、防護天井15の構成例について説明する。なお、以下の説明において、延伸パネル35を伸縮式延伸パネル35といい、延伸パネル40を非伸縮式延伸パネル40という。
【0038】
図9(a)は、1つの収縮状態(非伸長状態)の伸縮式延伸パネル35と2つの非伸縮式延伸パネル40,40を用いて構成した防護天井15の構成例(構成例1)を示す。
【0039】
図9(b)は、1つの伸長状態の伸縮式延伸パネル35と2つの非伸縮式延伸パネル40,40を用いて構成した防護天井15の構成例(構成例2)を示す。なお、伸縮式延伸パネル35を伸長状態にするときは、角パネル45も伸長状態にし、伸長に伴って生じる欠落部を埋めるようにする(以下、同様)。
【0040】
図10(a)は、2つの収縮状態の伸縮式延伸パネル35,35と2つの非伸縮式延伸パネル40,40を用いて構成した防護天井15の構成例(構成例3)を示す。
【0041】
図10(b)は、2つの伸長状態の伸縮式延伸パネル35,35と2つの非伸縮式延伸パネル40,40を用いて構成した防護天井15の構成例(構成例4)を示す。
【0042】
あるいは、1つの伸長状態の伸縮式延伸パネル35と1つの収縮状態の伸縮式延伸パネル35と2つの非伸縮式延伸パネル40,40を用いて防護天井15を構成するようにしてもよい(構成例5)。
【0043】
あるいは、上記構成例1~5において2つではなく1つの非伸縮式延伸パネル40を用いて防護天井15を構成するようにしてもよい(構成例6~10)。
【0044】
図11(a)は、延伸パネル35,40を用いずにベース20だけで構成した防護天井15の構成例(構成例11)を示す。
【0045】
図11(b)は、伸縮式延伸パネル35を用いずに2つの非伸縮式延伸パネル40,40を用いて構成した防護天井15の構成例(構成例12)を示す。
【0046】
あるいは、伸縮式延伸パネル35を用いずに1つの非伸縮式延伸パネル40を用いて防護天井15を構成するようにしてもよい(構成例13)。
【0047】
図12(a)は、非伸縮式延伸パネル40を用いずに2つの収縮状態の伸縮式延伸パネル35,35を用いて構成した防護天井15の構成例(構成例14)を示す。
【0048】
あるいは、非伸縮式延伸パネル40を用いずに2つの伸長状態の伸縮式延伸パネル35,35を用いて防護天井15を構成するようにしてもよい(構成例15)。
【0049】
あるいは、非伸縮式延伸パネル40を用いずに1つの伸長状態の伸縮式延伸パネル35と1つの収縮状態の伸縮式延伸パネル35を用いて防護天井15を構成するようにしてもよい(構成例16)。
【0050】
あるいは、非伸縮式延伸パネル40を用いずに1つの収縮状態の伸縮式延伸パネル35を用いて防護天井15を構成するようにしてもよい(構成例17)。
【0051】
あるいは、非伸縮式延伸パネル40を用いずに1つの伸長状態の伸縮式延伸パネル35を用いて防護天井15を構成するようにしてもよい(構成例18)。
【0052】
図12(b)は、伸縮式延伸パネル35の第2パネル37を用いずに2つの伸縮式延伸パネル35,35を非伸縮式延伸パネルの形態で用いて構成した防護天井15の構成例(構成例19)を示す。
【0053】
あるいは、伸縮式延伸パネル35の第2パネル37を用いずに1つの伸縮式延伸パネル35を非伸縮式延伸パネルの形態で用いて防護天井15を構成するようにしてもよい(構成例20)。
【0054】
以上のとおり、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、ベース20の第1辺部ないし第4辺部の各辺部に対して延伸パネル35,40の使用の有無及び伸長パネル35の伸長の有無を選択することにより、防護天井15の直交する第1方向X及び第2方向Yの寸法を適宜設定することができる。このため、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、防護天井15の直交する第1方向X及び第2方向Yの寸法を制限なく自由に設定することができる。しかも、サイズ(ベース20の各辺部からの突出長さ)が異なる複数種類の延伸パネル35,40を選択的に提供することにより、さらにバリエーションを増やすことができる。
【0055】
また、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、防護天井15の天井部は、ベース本体21、蓋パネル32、延伸パネル35のパネル(第1パネル36及び第2パネル37)、延伸パネル40のパネル(パネル41)及び角パネル45のパネル(第1角パネル46及び第2角パネル47)で構成され、直交する第1方向X及び第2方向Yの寸法に関わらず、常に水平面に沿って展開される。このため、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、防護天井15の高さ寸法が変化することはなく、昇降路の頂部寸法が小さい場合に、作業用かご装置1が昇降路の最上部に到達できなくなるおそれは生じ得ない。
【0056】
また、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、係合部38a,39a,42a,43aをベース20の係止部28~31に係脱させるだけで延伸パネル35,40を簡単に着脱することができる。このため、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、装置の組み立て・分解を簡単かつ迅速に実施することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、ベース本体21に開口21aが形成され、切欠き32a,32aを有して開口21aを塞ぐ蓋パネル32が設けられ、これにより、主ロープ4と干渉することなく防護天井15を設置することができる。このため、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、いわゆる2:1ローピングのエレベータに対して防護天井15を適用することができる。
【0058】
また、主ロープの一端がかご外枠2の上横枠2cの中央部に固定され、主ロープの他端がカウンターウェイトに固定される、いわゆる1:1ローピングタイプのエレベータに対しても、図13に示すように、蓋パネル32を取り外すことにより、防護天井15を適用することができる。
【0059】
あるいは、図14に示すように、外周の一部から中心部に至る形状のスリット32b(より好ましくは、中心部が拡大する形状のスリット32b)を有する蓋パネル32を使用することによっても、いわゆる1:1ローピングのエレベータに対して防護天井15を適用することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、防護天井15の天井部の角部に生じる欠落部を角パネル45で埋めるようにしている。このため、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、防護天井15の天井部を適正な形状に仕上げることができ、高い防護効果を得ることができる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0062】
上記実施形態においては、ベース20の第1辺部及び第2辺部に伸縮式延伸パネル35が適用され、ベース20の第3辺部及び第4辺部に非伸縮式延伸パネル40が適用される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ベース20の第1辺部及び第2辺部に非伸縮式延伸パネルが適用されるようにしたり、ベース20の第3辺部及び第4辺部に伸縮式延伸パネルが適用されるようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、延伸パネル35,40は、ベース20の係止部28~31と延伸パネル35,40の係合部38a,39a,42a,43aとの係合構造により、ベース20に取り付けられる。しかし、ベースへの延伸パネルの取付構造は、これに限定されず、各種の公知の構造を採用することができるのは言うまでもない。
【0064】
また、上記実施形態においては、延伸パネル35,40において補強部材としてアーム39,43が用いられる。しかし、耐荷重性に問題がないのであれば、アーム39,43は必須ではない。
【0065】
また、「矩形」、「正方形」、「長方形」、「中央」、「中心」、「端部」、「同じ」、「平行」、「直交」、「沿って」、「上下」、といった形状、部位、状態又は方向を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
【符号の説明】
【0066】
1…作業用かご装置、2…かご外枠、2a…縦枠、2b…下横枠、2c…上横枠、3…かごシーブケース、4…主ロープ、5…下部作業場、6…下部作業床、7…墜落防止設備、8…上部作業場、9…上部作業床、10…足場板、11~13…墜落防止設備、15…防護天井、20…ベース、21…ベース本体、21a…開口、22…分割体、23…連結片、24…脚、25…上脚、26…下脚、27…ブラケット、28~31…係止部(軸部)、32…蓋パネル、32a…切欠き、32b…スリット、35…延伸パネル(伸縮式延伸パネル)、36…第1パネル、36a…スライド長孔、36b…孔、37…第2パネル、37a…リベットナット、38…ブラケット、38a…係合部(フック部)、39…アーム、39a…係合部(フック部)、40…延伸パネル(非伸縮式延伸パネル)、41…パネル、41a…孔、42…ブラケット、42a…係合部(フック部)、43…アーム、43a…係合部(フック部)、45…角パネル、46…第1角パネル、46a…スライド長孔、46b,46c…リベットナット、47…第2角パネル、47a…リベットナット、X…第1方向、Y…第2方向
図1
図2
図3
図4
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図6
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図8
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図10
図11
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図13
図14