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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081221
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】アタッチメントおよび印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B41J2/175 119
B41J2/175 151
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194680
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大屋 瞬
(72)【発明者】
【氏名】小泉 義弘
(72)【発明者】
【氏名】水谷 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】長島 巧
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056FA10
2C056KC01
2C056KC05
2C056KC30
(57)【要約】
【課題】印刷装置に装着できなくなる可能性を低減したカートリッジを装着可能にするアタッチメントを提供すること。
【解決手段】印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるアタッチメントであって、カートリッジ装着部は、液体を受け入れる液体導入部と、非適合のカートリッジと干渉することにより非適合のカートリッジの装着のための回転装着方向への回転移動を制限する制限機構と、を有し、アタッチメントは、制限機構の一部を予め定められた挿入方向に押すことによって制限機構による制限を解除するための解除部と、カートリッジ装着部と協働してアタッチメントの装着状態を維持するための維持部と、有する、アタッチメント。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるアタッチメントであって、
前記カートリッジ装着部は、液体を受け入れる液体導入部と、非適合のカートリッジと干渉することにより前記非適合のカートリッジの装着のための回転装着方向への回転移動を制限する制限機構と、を有し、
前記アタッチメントは、前記制限機構の一部を予め定められた挿入方向に押すことによって前記制限機構による制限を解除するための解除部と、前記カートリッジ装着部と協働して前記アタッチメントの装着状態を維持するための維持部と、有する、アタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載のアタッチメントであって、
前記制限機構は、
装置当接部と、
前記制限機構の一部としての先端部を有し、前記装置当接部と当接して前記回転移動を制限する制限位置と、前記装置当接部と当接せずに前記回転移動を可能とする解除位置とに移動可能な回転制限部と、を有し、
前記カートリッジ装着部は、前記先端部を露出させるための開口部を有する主壁をさらに有し、
前記解除部は、前記先端部を前記挿入方向に押すことにより、前記回転制限部を前記制限位置から前記解除位置に移動させることによって、前記制限機構による制限を解除する、アタッチメント。
【請求項3】
請求項2に記載のアタッチメントであって、
前記維持部は、前記挿入方向に沿って、前記開口部に圧入される圧入部を有する、アタッチメント。
【請求項4】
請求項2に記載のアタッチメントであって、
前記維持部は、前記主壁と係合する爪部を有する、アタッチメント。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載のアタッチメントと、
前記カートリッジ装着部を有する前記印刷装置と、
前記カートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジと、を備える印刷システムであって、
前記カートリッジは、前記アタッチメントが装着されている前記カートリッジ装着部に前記挿入方向に挿入された後、前記回転装着方向に前記回転移動することにより前記カートリッジ装着部に装着され、前記カートリッジの装着状態において、前記アタッチメントと対向する対向面を有する、印刷システム。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷システムであって、
前記カートリッジは、前記対向面と交差するカートリッジ後壁と、前記カートリッジ後壁から凹んだカートリッジ凹部と、をさらに有し、
前記カートリッジ装着部は、前記カートリッジが前記回転装着方向に前記回転移動する過程において、前記カートリッジ凹部に入り込む突起部をさらに有する、印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アタッチメントおよび印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カートリッジが着脱可能に装着される液体噴射装置がある(例えば、特許文献1)。この液体噴射装置では、カートリッジが液体噴射装置に挿入されることにより、カートリッジの液体供給口が液体噴射装置の液体導入部に接続される。また、この液体噴射装置では、適合しないカートリッジと干渉することにより、カートリッジのさらなる挿入を制限するために装置側識別部材を備えている。適合しないカートリッジが挿入された場合、装置側識別部材と適合しないカートリッジとが干渉することにより、カートリッジのさらなる挿入が制限される。一方、適合するカートリッジが挿入されると、装置側識別部材とカートリッジに設けられたカートリッジ側識別部材とが嵌め合わされ、カートリッジは装置側識別部材と干渉せずに装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/098287号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のカートリッジの場合には、例えば落下による衝撃により、カートリッジ側識別部材が変形した場合、液体噴射装置に装着できなくなるおそれがある。このような課題は、適合しないカートリッジについての装着のための移動の制限が装置側識別部材により行われる場合に限られない。また、このような課題は、挿入により装着されるカートリッジに限られず、挿入後さらにカートリッジが移動されることにより装着されるカートリッジに共通する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるアタッチメントが提供される。前記カートリッジ装着部は、液体を受け入れる液体導入部と、非適合のカートリッジと干渉することにより前記非適合のカートリッジの装着のための回転装着方向への回転移動を制限する制限機構と、を有する。前記アタッチメントは、前記制限機構の一部を予め定められた挿入方向に押すことによって前記制限機構による制限を解除するための解除部と、前記カートリッジ装着部と協働して前記アタッチメントの装着状態を維持するための維持部と、有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】印刷システムの構成を示す斜視図。
図2】装着状態における標準カートリッジとカートリッジ装着部との断面図。
図3】標準カートリッジの装着過程を説明する図。
図4】カートリッジ装着部の斜視図である。
図5】制限機構を説明する図。
図6】特殊カートリッジの斜視図。
図7】アタッチメントの第1の斜視図。
図8】アタッチメントの第2の斜視図。
図9】アタッチメントが装着されたカートリッジ装着部の斜視図。
図10】アタッチメントが装着されたカートリッジ装着部の断面図。
図11】第2実施形態に係るアタッチメントの第1の斜視図。
図12】第2実施形態に係るアタッチメントの第2の斜視図。
図13】第2実施形態に係るアタッチメントが装着されたカートリッジ装着部の斜視図。
図14】第2実施形態に係るアタッチメントが装着されたカートリッジ装着部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
A-1.印刷システムの構成:
図1は、本開示の実施形態としての印刷システム1の構成を示す斜視図である。図1には、互いに直交する3つの空間軸であるXYZ軸が描かれている。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向は、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を示している。X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向と逆の方向が、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向である。X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向を、それぞれ-X方向,-Y方向,-Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸に沿った方向で正負を問わないものを、それぞれX方向,Y方向,Z方向とよぶ。+Y方向を手前側、-Y方向を奥側ともよぶ。これ以降に示す図及び説明についても同様である。
【0008】
印刷システム1は、液体噴射装置としての印刷装置10と、印刷装置10に液体であるインクを供給する標準カートリッジ104とを備える。なお、印刷システム1は、標準カートリッジ104に代えて、後述する特殊カートリッジ204を有することもできる。標準カートリッジ104は後述する標準解除部503を有するのに対して、特殊カートリッジ204は標準解除部503が無い。以下、印刷システム1に標準カートリッジ104が装着される場合を例示して、印刷システム1について説明する。
【0009】
本実施形態の印刷装置10は、インクを吐出ヘッド22から吐出するインクジェットプリンターである。この印刷装置10は、ポスター等の大判の用紙(A2~A0等)に印刷を行う大型のプリンターである。印刷装置10は、カートリッジ装着部6と、キャリッジ20と、吐出ヘッド22と、駆動機構30と、制御部31とを備える。
【0010】
カートリッジ装着部6には、複数の標準カートリッジ104がそれぞれ着脱可能に装着される。本実施形態では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のインクに対応して4種類の標準カートリッジ104が1つずつ、すなわち合計4つの標準カートリッジ104がカートリッジ装着部6に装着される。ブラックのインクを収容する標準カートリッジ104を標準カートリッジ104Kとも呼び、イエローのインクを収容する標準カートリッジ104を標準カートリッジ104Yとも呼び、マゼンタのインクを収容する標準カートリッジ104を標準カートリッジ104Mとも呼び、シアンのインクを収容する標準カートリッジ104を標準カートリッジ104Cとも呼ぶ。本実施形態において、標準カートリッジ104C,104M,104Yは、互いに同じ外形形状を有する。そして、標準カートリッジ104Kは、標準カートリッジ104C,104M,104Yよりも多くの液体を収容可能に構成されている。よって、標準カートリッジ104C,104M,104Yを第1種標準カートリッジ104Aとも呼び、標準カートリッジ104Kを第2種標準カートリッジ104Bとも呼ぶ。
【0011】
印刷装置10は、+Y方向側の前面に交換用カバー13を有する。交換用カバー13の+Z方向側を+Y方向側である手前側に倒すと、カートリッジ装着部6の挿抜開口部674が現れて、標準カートリッジ104の着脱が可能となる。カートリッジ装着部6に標準カートリッジ104が装着されると、液体流通管としてのチューブ24を介してキャリッジ20に設けられた吐出ヘッド22にインクが供給可能となる。本実施形態では、水頭差を利用して標準カートリッジ104から吐出ヘッド22にインクが供給される。具体的には、液体貯留部699内のインクの液面と吐出ヘッド22との水頭差によってインクが吐出ヘッド22に供給される。なお、他の実施形態では、印刷装置10の図示しないポンプ機構によって、標準カートリッジ104内のインクを吸引することで、インクが吐出ヘッド22に供給されてもよい。なお、チューブ24は、インクの種類毎に設けられている。なお、標準カートリッジ104がカートリッジ装着部6に装着されて、液体としてのインクが印刷装置10に供給できる状態を「装着状態」とも呼ぶ。
【0012】
吐出ヘッド22には、インクの種類毎にノズルが設けられている。吐出ヘッド22は、ノズルから印刷用紙2に向かってインクを吐出して文字や画像等のデータを印刷する。なお、本実施形態では、印刷装置10は、カートリッジ装着部6がキャリッジ20の動きとは連動しない、いわゆる「オフキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターである。キャリッジ20にカートリッジ装着部6が設けられ、キャリッジ20と共にカートリッジ装着部6が移動する、いわゆる「オンキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターにも本開示は適用できる。
【0013】
制御部31は、印刷装置10の各部の制御や、標準カートリッジ104との信号の授受を行う。キャリッジ20は、吐出ヘッド22を印刷用紙2に対して相対的に移動させる。
【0014】
駆動機構30は、制御部31からの制御信号に基づいてキャリッジを往復移動させる。駆動機構30は、タイミングベルト32と、駆動モーター34とを備える。タイミングベルト32を介して駆動モーター34の動力をキャリッジ20に伝達することによって、キャリッジ20がX方向に沿った方向である主走査方向に往復移動する。また、印刷装置10は、印刷用紙2を+Y方向である副走査方向に移動させるための搬送機構を備える。印刷が行なわれる際には、搬送機構によって印刷用紙2が副走査方向に移動し、前面カバー11上に印刷完了後の印刷用紙2が出力される。
【0015】
本実施形態では、印刷システム1の使用状態において、印刷用紙2を搬送する副走査方向に沿った軸をY軸とし、重力方向に沿った軸をZ軸とし、キャリッジ20の移動方向に沿った軸をX軸とする。ここで、「印刷システム1の使用状態」とは、水平な面に印刷システム1が設置された状態をいう。また、本実施形態では、副走査方向を+Y方向、その逆方向を-Y方向とし、重力方向を-Z方向、反重力方向を+Z方向とする。X方向とY方向は水平方向に沿った方向である。また、印刷システム1を前面側から見たときに、右側から左側に向かう方向を+X方向とし、その逆方向を-X方向とする。また本実施形態では、装着のためにカートリッジ装着部6に標準カートリッジ104が挿入される挿入方向が-Y方向であり、標準カートリッジ104がカートリッジ装着部6から取り外される方向が+Y方向である。よって、カートリッジ装着部6のうち、-Y方向側を奥側とも呼び、+Y方向側を手前側とも呼ぶ。また、本実施形態では、複数の標準カートリッジ104の配列方向がX方向となる。
【0016】
A-2.装着状態におけるカートリッジ装着部と標準カートリッジ:
図2は、装着状態における、液体導入部642の中心軸CA1を通るYZ面を切断面とする標準カートリッジ104とカートリッジ装着部6との断面図である。図2に示すように、装着状態において、標準カートリッジ104は、カートリッジ装着部6の上方に配置された収容室61に収容される。
【0017】
カートリッジ装着部6は、収容室61の下方に配置された液体貯留部699と、液体導入部642とを有する。収容室61は、収容室底壁を形成する支持部材610を有する。支持部材610は、支持部材610の底部を形成する主壁613を有する。支持部材610は、カートリッジ装着部6の第2装置壁62の近くに設けられている回転支点698を中心に、回転移動可能である。
【0018】
液体貯留部699は、図1に示すチューブ24を介して吐出ヘッド22と連通すると共に、液体導入部642と連通する。液体貯留部699には、大気を取り込むための、図示しない大気導入口が形成されている。液体導入部642は、筒状の部材であり、内部に液体を流通させる導入部流路682を有する。液体導入部642は、液体としてのインクを受け入れる。
【0019】
標準カートリッジ104がカートリッジ装着部6に装着された装着状態では、標準カートリッジ104の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続される。これにより、標準カートリッジ104の液体収容部450に収容されたインクが、液体供給部442を介して液体導入部642に供給される。また、本実施形態では、液体供給部442から液体導入部642にインクが供給される一方で、液体貯留部699に収容された空気が気泡となって液体導入部642、液体供給部442を流通して液体収容部450に流通する。これにより、液体収容部450の気液交換が行われる。なお、他の実施形態では、標準カートリッジ104が液体収容部450と外部とを連通させる大気連通路を有し、この大気連通路を介して気液交換が行われてもよい。この場合、大気連通路は液体供給部442とは異なる位置に配置されており、例えば、液体収容部450を形成する壁に形成される。
【0020】
液体導入部642の中心軸CA1は、装着状態における液体供給部442の中心軸CA2と平行であり、Z方向に対して傾斜している。また、液体供給部442の中心軸CA2とは、液体供給部442が延びる方向に沿った方向である。
【0021】
A-3.カートリッジの装着方法の概要:
図3は、標準カートリッジ104のカートリッジ装着部6への装着過程を説明する図である。図3に示すように、標準カートリッジ104がカートリッジ装着部6に装着される際には、まず標準カートリッジ104は、カートリッジ装着部6の挿抜開口部674から収容室61内に挿入方向D1である-Y方向に向かって挿入される。これにより、標準カートリッジ104の前壁42が位置決めされる。
【0022】
標準カートリッジ104の前壁42が位置決めされた挿入完了後に、標準カートリッジ104は、回転支点698を中心として、後壁47が下方に移動するように、矢印に示す回転装着方向CD2に移動される。これにより、標準カートリッジ104の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続される。
【0023】
なお、標準カートリッジ104が、カートリッジ装着部6から取り外れる場合には、上記の手順が逆行して行われる。すなわち、標準カートリッジ104は、回転支点698を支点として矢印に示す回転方向CD3に回転移動される。その後、標準カートリッジ104は、収容室61から引き出される。カートリッジ装着部6は、支持部材610と対向する位置に、装着状態における支持部材610を概ね+Z方向に向かって付勢する付勢部材を有する。この付勢部材により、標準カートリッジ104の回転方向CD3への回転移動が補助される。図2に示す状態のように、標準カートリッジ104の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続される状態を装着状態とも呼ぶ。対して、標準カートリッジ104の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続されていない状態を非装着状態とも呼ぶ。
【0024】
A-4.カートリッジ装着部の詳細構成:
図4は、カートリッジ装着部6の斜視図である。図4では、理解の容易のためにカートリッジ装着部6の一部の構成の図示は省略している。カートリッジ装着部6について、X方向を幅方向、Y方向を奥行方向、Z方向を高さ方向とも呼ぶ。以下において、特に状態についての記載がない場合には、標準カートリッジ104がカートリッジ装着部6に装着されていない初期配置状態のときのカートリッジ装着部6を前提に各要素について説明する。
【0025】
図3に示すように、カートリッジ装着部6は、標準カートリッジ104が収容される収容室61を形成する。収容室61は、略直方体形状である。収容室61のうちで、各標準カートリッジ104C,104M,104Y,104Kを収容する部分であるスロット61C,61M,61Y,61Kは、概ね各標準カートリッジ104C,104M,104Y,104Kの外観形状に対応している。本実施形態では、標準カートリッジ104Kは他の標準カートリッジ104C,104M,104Yに比べ、収容する液体の量を大きくするためにX方向の寸法が大きい。よって、本実施形態では、スロット61Kの幅は、他のスロット61C,61M,61Yの幅よりも大きい。
【0026】
図3および図4に示すように、カートリッジ装着部6は、収容室61を形成する4つの装置壁62,63,65,66,67と、4つの支持部材610とを有する。本開示において「壁」とは、単一の壁に加え、複数の壁によって構成された壁を含む概念である。第2装置壁62は、収容室61の-Y方向側の壁を形成する。第2装置壁62は、印刷装置10の使用状態において、概ね垂直な壁である。
【0027】
図4に示すように、第1装置壁67は、Y方向において第2装置壁62と対向する。第1装置壁67は、標準カートリッジ104を収容室61に挿入したり取り外したりする際に通過させる挿抜開口部674を形成する。図3に示すように、装置上壁63は、収容室61の+Z方向側の壁を形成する。図4に示すように、第1装置側壁65は、収容室61の+X方向側の壁を形成する。第2装置側壁66は、X方向において第1装置側壁65と対向し、収容室61の-X方向側の壁を形成する。第1装置側壁65および第2装置側壁66は、第2装置壁62と第1装置壁67と装置上壁63と交差する。
【0028】
支持部材610は、装着される標準カートリッジ104の数に応じて4つ設けられている。支持部材610は、Z方向において装置上壁63と対向する。4つの支持部材610は、X方向に並んでいる。支持部材610は、Y方向に沿って延びる部材である。支持部材610は、装着部底壁としての主壁613と、第1支持側壁611と、第2支持側壁612とを有する。主壁613は、Z方向において装置上壁63と対向し、収容室61の-Z方向側の壁を形成する。装置上壁63および主壁613は、第2装置壁62と第1装置壁67と交差する。本開示において、「交わる」や「交差する」とは、(i)2つの要素が相互に交差し実際に交わる状態、(ii)一方の要素を延ばした場合に他方の要素に交わる状態、及び、(iii)相互の要素をそれぞれ延ばした場合に互いの要素が交わる状態、のいずれかの状態であることを意味する。
【0029】
主壁613のうち、第1装置壁67に近い端部には、導入開口部614と、開口部615とが形成されている。導入開口部614と開口部615とは、主壁613の厚み方向に主壁613を貫通する。導入開口部614は、液体導入部642の先端と、装置側位置決め部644の先端とを露出させるために設けられている。開口部615は、導入開口部614よりも+Y方向側にある。開口部615は、後述する回転制限部661の先端部661aが露出させるために設けられている。
【0030】
第1支持側壁611は、主壁613の+X方向側端部から反重力方向である+Z方向に立ち上がる。第2支持側壁612は、主壁613の-X軸方向側端部から+Z方向に立ち上がる。第1支持側壁611と第2支持側壁612とは、X方向において対向する。
【0031】
図3に示すように、カートリッジ装着部6は、制限機構660を有する。制限機構660は、装置側位置決め部644よりも手前側にある。制限機構660は、回転制限部661と、装置当接部662とを有する。回転制限部661は、4つの支持部材610に対応して、4つ設けられている。各回転制限部661は、各支持部材610に取り付けられている。回転制限部661は、液体導入部642の手前側に配置されている。装置当接部662は、カートリッジ装着部6に取り付けられている。装置当接部662は、装着される標準カートリッジ104の数に応じて4つ設けられている。図3に示すように、装置当接部662の近傍に回転制限部661が配置されている。後述するように、回転制限部661は、非適合のカートリッジと干渉することにより、非適合のカートリッジの装着のための移動を制限する。
【0032】
図3に示すように、カートリッジ装着部6は、上記した構成に加え、4つの装置側位置決め部644と、突起部697とを有する。装置側位置決め部644は、カートリッジ装着部6の+Y方向における端部に、装着される標準カートリッジ104の数に対応して、4つ設けられている。
【0033】
装置側位置決め部644は、液体導入部642の手前側に配置されている。装置側位置決め部644は、略直方体形状である。標準カートリッジ104が有する中空のカートリッジ側位置決め部448の中空部に、カートリッジ装着部6が有する突起である装置側位置決め部644が入り込むことで、液体供給部442による液体供給部442の中心軸CA2と交差する動きが規制される。これにより、液体導入部642の軸方向である中心軸CA1と交差する方向における液体供給部442の液体導入部642に対する位置決めが行われる。カートリッジ装着部6の初期配置状態では、装置側位置決め部644は、収容室61内に位置することなく、収容室61よりも-Z方向側に位置する。つまり、装置側位置決め部644は、主壁613に対して収容室61を挟んで反対側に位置する。これにより、標準カートリッジ104がカートリッジ装着部6の収容室61に挿入される場合に、装置側位置決め部644に標準カートリッジ104が衝突することを防止できる。
【0034】
図3に示すように、係合形成体677は、支持部材610よりも+Y方向側に形成されている。また、係合形成体677は、挿抜開口部674よりも-Z方向側に位置する。係合形成体677の-Y方向側の面には、突起部697が形成されている。突起部697は、係合形成体677の-Y方向側の面から-Y方向に突出している。標準カートリッジ104の装着状態では、図2に示すように、突起部697が、標準カートリッジ104の凹んでいるカートリッジ凹部497に入り込み、突起部697とカートリッジ凹部497とが係合することで、装着状態が維持される。
【0035】
A-5.制限機構の詳細:
図5は、制限機構660を説明する図である。図5に示す回転制限部661は、X方向を厚み方向とする平板部材である。回転制限部661は、第1回転制限部651および第2回転制限部652を有する。第1回転制限部651は、X方向から視た場合、概ねZ方向に延びる部分である。第2回転制限部652は、第1回転制限部651から-Y方向に突き出る部分である。第1回転制限部651のZ方向における中央付近には、厚み方向に回転ピン653が挿通されている。回転制限部661は、回転ピン653を支点として回動可能である。そして、回動することにより、回転制限部661は、実線で示す制限位置PO1と、二点破線で示す解除位置PO2とに移動可能である。回転制限部661は、図示しない付勢部材により付勢されることにより、標準解除部503に押されていない状態では、制限位置PO1に保たれる。
【0036】
装置当接部662は、標準カートリッジ104が回転装着方向CD2へ回転移動する過程で、制限位置PO1の第2回転制限部652の先端が通る経路上に配置されている。このため、回転制限部661が制限位置PO1に位置している状態では、回転制限部661の第2回転制限部652の先端と、装置当接部662とが干渉するため、標準カートリッジ104の回転装着方向CD2への回転移動が制限される。対して、標準カートリッジ104が挿入完了位置まで挿入された状態では、第1回転制限部651の+Z方向における先端部661aが標準カートリッジ104の後述する標準解除部503に押され、回転制限部661は、付勢部材の付勢力に抗して解除位置PO2に移動する。回転制限部661が解除位置PO2に位置している状態では、回転制限部661の第2回転制限部652の先端と、装置当接部662とは干渉しないため、標準カートリッジ104は、回転制限部661を伴って、回転装着方向CD2へ回転移動することができる。具体的には、標準カートリッジ104が挿入された後、後述するアダプター部402の底面が、支持部材610の主壁613を押しながら回転装着方向CD2へ回転移動する。回転制限部661は、支持部材610に取り付けられているため、標準カートリッジ104は、回転制限部661を伴って、回転装着方向CD2へ回転移動する。
【0037】
A-6.カートリッジの詳細構成:
図6は、第1種標準カートリッジ104Aに対応する特殊カートリッジ204の斜視図である。標準カートリッジ104と同様に、カートリッジとしての特殊カートリッジ204も液体を収容可能が互いに異なる第1種特殊カートリッジ204Aと、第2種特殊カートリッジとを含む。本実施形態では、第1種特殊カートリッジ204Aについて説明し、第2種特殊カートリッジについては説明を省略する。
【0038】
第1種特殊カートリッジ204Aについて、Y方向は奥行方向、Z方向が高さ方向、X方向が幅方向である。第1種特殊カートリッジ204Aの外形について、Y方向の寸法が最も大きく、Z方向の寸法、X方向の寸法の順に小さい。第1種特殊カートリッジ204Aを示す図について、X方向、Y方向、Z方向は、第1種特殊カートリッジ204Aのカートリッジ装着部6への挿入が完了した後の状態を基準としている。
【0039】
図6に示すように、第1種特殊カートリッジ204Aは、上壁43を形成する液体収容体401と、底壁44を形成するアダプター部402とを備える。アダプター部402は、液体収容体401に嵌合によって取り付けられる。アダプター部402は、標準カートリッジ104が印刷装置10に装着された装着姿勢において、液体収容部450の下方に位置する。液体収容体401とアダプター部402とは、合成樹脂によって形成されている。液体収容体401とアダプター部402とは同じ材料によって形成されていてもよいし、異なる材料によって形成されていてもよい。
【0040】
第1種特殊カートリッジ204Aの外形は、略直方体形状である。液体収容体401は、前壁42と、後壁47と、上壁43と、第1側壁45と、第2側壁46とを有する。アダプター部402は、底壁44を有する。各壁42,43,44,45,46,47は、各面42,43,44,45,46,47とも呼ぶ。前壁42と後壁47とは、挿入方向D1に沿ったY方向において対向する。後壁47のZ方向の長さは、前壁42とのZ方向の長さよりも短い。上壁43と底壁44とは、Z方向において対向する。Z方向は、液体供給部442の延びる方向に沿った中心軸CA2と平行である。第1側壁45と第2側壁46とはX方向において対向する。
【0041】
装着状態において、前壁42は、第1種特殊カートリッジ204Aがカートリッジ装着部6に挿入される挿入方向D1側に位置する。後壁47は、前壁42は、挿入方向D1と逆方向側に位置する。上壁43は、+Z方向側に位置し、前壁42と後壁47とに交差する。底壁44は、装着状態において重力方向側である-Z方向側に位置し、回転装着方向CD2の接続先端面を形成する。つまり、底壁44は、回転装着方向CD2側に位置する。底壁44は、前壁42と後壁47とに交差する。第1側壁45は+X方向側に位置し、第2側壁46は-X方向側に位置する。第1側壁45と第2側壁46とはそれぞれ、前壁42と後壁47と上壁43と底壁44とに交差する。
【0042】
液体収容体401は、液体を収容する液体収容部450と、液体供給部442とを有する。液体収容部450は、液体収容体401の内部空間である。液体供給部442は、液体収容体401の底壁からアダプター部402側に突出する筒状部材である。液体供給部442は、液体収容体401と連通する。液体供給部442は、アダプター部402内に配置される。
【0043】
アダプター部402は、液体収容体401側の面が開放された箱形状である。アダプター部402は、底壁44に加え、カートリッジ後壁411と、対向面48とを有する。カートリッジ後壁411は、後壁47と略平行である。対向面48は、底壁44と同一平面上にある。対向面48は、カートリッジ側位置決め部448よりも+Y方向側にある。対向面48は、装着状態において、後述するアタッチメント700を挟んで、装置側位置決め部644と対向する。
【0044】
標準カートリッジ104は、特殊カートリッジ204に無い標準解除部503を有する。標準解除部503は、図6の破線にて示すように、対向面48に配置されている。標準解除部503は、対向面48から-Z方向に突出する。上記のように、標準カートリッジ104が装着される過程で、標準解除部503は、制限機構660の第1回転制限部651の先端部661aを押して、制限機構660の制限を解除する。標準解除部503は、対向面48から突出しているため、標準カートリッジ104が落下した場合などに、標準解除部503が破損するおそれがある。この点、特殊カートリッジ204は、標準解除部503が無いため、標準解除部503や標準解除部503と対向面48との接続部分が損傷するおそれがない。
【0045】
上記のように、回転制限部661は、非適合のカートリッジと干渉することにより、非適合のカートリッジの装着のための移動を制限する。ここで、非適合のカートリッジとは、標準カートリッジ104および特殊カートリッジ204以外のカートリッジと、挿入完了位置まで挿入されていない標準カートリッジ104とを含む。標準カートリッジ104および特殊カートリッジ204以外のカートリッジとは、例えば、Y方向の寸法が、標準カートリッジ104のY方向の寸法よりも長いまたは短いカートリッジである。
【0046】
A-7.アタッチメント:
図7は、アタッチメント700の第1の斜視図である。図8は、アタッチメント700の第2の斜視図である。図9は、カートリッジ装着部6にアタッチメント700が装着された状態を示す斜視図である。図10は、カートリッジ装着部6にアタッチメント700が装着された状態を示す断面図である。アタッチメント700は、特殊カートリッジ204をカートリッジ装着部6に装着するために用いられる。アタッチメント700を示す図について、X方向、Y方向、Z方向は、アタッチメント700のカートリッジ装着部6への挿入が完了した後の状態を基準としている。
【0047】
図7に示すように、合成樹脂製であるアタッチメント700は、本体部710と、解除部720と、維持部730とを有する。解除部720は、制限機構660の一部としての先端部661aを挿入方向D1に押すことによって制限機構660による制限を解除する。維持部730は、カートリッジ装着部6と協働してアタッチメント700の装着状態を維持する。
【0048】
図7および図8に示すように、本体部710は、各々がX方向に延びる2つの平板が直角に交わるように配置された形状を有する。図7に示すように、解除部720は、略直方体であり、本体部710に接続されている。解除部720は、本体部710のX方向の中央位置に配置されている。維持部730は、解除部720の+X方向側の面と、解除部720の-X方向側の面とに接続されている。
【0049】
維持部730は、4つの圧入部731を有する。圧入部731は、アタッチメント700がカートリッジ装着部6に装着される場合に、挿入方向D1に沿って、開口部615に圧入される。2つの圧入部731は、解除部720の+X方向側の面から+X方向に突出する。2つの解除部720の-X方向側の面から-X方向に突出する。
【0050】
特殊カートリッジ204がカートリッジ装着部6に装着される場合には、まず、カートリッジ装着部6にアタッチメント700が装着される。具体的には、図9に示すように、開口部615にアタッチメント700の解除部720が-Y方向に挿入されて、アタッチメント700は装着される。挿入される過程で、図7に示すアタッチメント700の解除部720は、回転制限部661の先端部661aを挿入方向D1に押す。これにより、図10に示すように、回転制限部661は、解除位置PO2に移動するため、制限機構660による制限が解除される。ここで、図7に示す、解除部720の+X方向側の面に配置された2つの圧入部731の+X方向側の先端から、解除部720の-X方向側の面に配置された2つの圧入部731の-X方向側の先端までの距離Dは、開口部615のX方向の幅よりも大きい。このため、開口部615にアタッチメント700が挿入された状態で、圧入部731に、開口部615を広げる方向への内力が生じ、アタッチメント700のカートリッジ装着部6への装着状態が維持される。
【0051】
次に、アタッチメント700が装着されているカートリッジ装着部6に、特殊カートリッジ204が挿入方向D1に挿入される。その後、特殊カートリッジ204は、回転装着方向CD2に回転移動されて、カートリッジ装着部6に装着される。図10に示すように、装着状態において、特殊カートリッジ204の対向面48は、アタッチメント700と対向する。特殊カートリッジ204は、対向面48を有するため、アタッチメント700と干渉せずに、アタッチメント700が装着されているカートリッジ装着部6に挿入されることができる。特殊カートリッジ204が回転装着方向CD2に回転移動する過程で、図6に示すカートリッジ凹部497に、図10に示す突起部697が入り込む。これにより、特殊カートリッジ204のカートリッジ装着部6への装着状態が維持される。
【0052】
以上説明した第1実施形態によれば、特殊カートリッジ204は、標準解除部503を有さないため、標準解除部503の変形により印刷装置10へ装着できなくなることを防止することができる。そして、アタッチメント700を用いることにより、特殊カートリッジ204を印刷装置10に装着することができる。アタッチメント700は、解除部720と、維持部730と有する。解除部720によって、カートリッジ装着部6の制限機構660による制限を解除することができる。そして、維持部730によって、アタッチメント700のカートリッジ装着部6への装着状態を良好に維持することができる。また、解除部720は、先端部661aを挿入方向D1に押すことにより、制限機構660による制限を解除することができる。
【0053】
また、維持部730は、圧入部731を有するため、アタッチメント700のカートリッジ装着部6への装着状態を良好に維持することができる。また、特殊カートリッジ204は、対向面48を有するため、アタッチメント700と干渉せずに、アタッチメント700が装着されているカートリッジ装着部6に挿入されることができる。また、特殊カートリッジ204は、対向面48を有するため、対向面48から突出する標準解除部503を有する標準カートリッジ104と比較して、落下による衝撃を受けにくくすることができる。また、特殊カートリッジ204は、突起部697と係合するカートリッジ凹部497を有する。これにより、特殊カートリッジ204のカートリッジ装着部6への装着状態を維持することができる。
【0054】
B.第2実施形態:
第2実施形態は、アタッチメント2700の形状が、第1実施形態と異なる。上記第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0055】
図11は、アタッチメント2700の第1の斜視図である。図12は、アタッチメント2700の第2の斜視図である。図13は、カートリッジ装着部6にアタッチメント2700が装着された状態を示す斜視図である。図14は、カートリッジ装着部6にアタッチメント2700が装着された状態を示す断面図である。アタッチメント2700を示す図について、X方向、Y方向、Z方向は、アタッチメント2700のカートリッジ装着部6への挿入が完了した後の状態を基準としている。
【0056】
図11および図12に示すように、アタッチメント2700は、本体部2710と、解除部2720と、維持部2730とを有する。本体部2710は、-Y方向に延びる平板である。解除部2720は、略直方体である。解除部2720は、本体部2710と、後述する第1爪部2731とに接続されている。維持部2730は、本体部2710のY方向における両端部に配置されている。維持部2730は、爪部としての第1爪部2731および第2爪部2732を有する。第1爪部2731は、本体部2710の+Y方向側の端部から略垂直に立ち上がる。第2爪部2732は、本体部2710の-Y方向側の端部から略垂直に立ち上がる。第1爪部2731の-Y方向側の面は、段差2731aが形成されている。段差2731aは、本体部2710とZ方向に対向する。同様に、第2爪部2732の+Y方向側の面は、段差2732aが形成されている。段差2732aは、本体部2710とZ方向に対向する。
【0057】
図13に示すように、アタッチメント2700は、本体部2710が主壁613と略平行に装着される。具体的には、まず、図14に示すように、解除部2720が回転制限部661の先端部661aを挿入方向D1に押すように、アタッチメント2700が挿入方向D1に移動される。アタッチメント2700は、第1爪部2731の段差2731aが図13に示す支持部材610が有する支持部材段差610aと当接されるまで移動される。次に、第1爪部2731と第2爪部2732とが支持部材610と係合される。
【0058】
具体的には、図11に示す第1爪部2731の段差2731aが図13に示す主壁613が有する支持部材段差610aと係合する。支持部材段差610aは、主壁613の+Y方向の端部に形成されている。詳細には、主壁613は、法線ベクトルが+Y方向と平行な端面610bを有する。支持部材段差610aは、端面610bの-Z方向に配置され、端面610bよりも、-Y方向に奥まった面との境界に形成されている。図14に示す第2爪部2732の段差2732aが主壁613と係合する。詳細には、主壁613の下を向く面と段差2732aとが当接して、第2爪部2732と、主壁613とが係合する。これにより、アタッチメント2700のカートリッジ装着部6への装着状態が維持される。
【0059】
以上説明した第2実施形態によれば、維持部2730は、主壁613と係合する第1爪部2731と第2爪部2732とを有するため、アタッチメント2700のカートリッジ装着部6への装着状態が良好に維持される。
【0060】
C.他の実施形態:
(C1)上記第1実施形態では、維持部730は、圧入部731を有する。上記第2実施形態では、維持部2730は、第1爪部2731と第2爪部2732とを有する。他の実施形態として、維持部が、圧入部と爪部とのいずれも有していてもよい。
【0061】
(C2)本開示は、インクジェットプリンター及びそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の印刷装置及びそのカートリッジにも適用することができる。例えば、以下のような各種の印刷装置及びそのカートリッジに適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材を噴射する印刷装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材を噴射する印刷装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する印刷装置
(5)精密ピペットとしての試料印刷装置
(6)潤滑油の印刷装置
(7)樹脂液の印刷装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する印刷装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する印刷装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する印刷装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッドを備える印刷装置
【0062】
なお、「液滴」とは、印刷装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、印刷装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
【0063】
D.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0064】
(1)本開示の第1形態によれば、印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるアタッチメントが提供される。前記カートリッジ装着部は、液体を受け入れる液体導入部と、非適合のカートリッジと干渉することにより前記非適合のカートリッジの装着のための回転装着方向への回転移動を制限する制限機構と、を有し、前記アタッチメントは、前記制限機構の一部を予め定められた挿入方向に押すことによって前記制限機構による制限を解除するための解除部と、前記カートリッジ装着部と協働して前記アタッチメントの装着状態を維持するための維持部と、有する。この形態によれば、アタッチメントを用いることにより、制限機構の制限を解除するための構造を一体に有さないカートリッジを、カートリッジ装着部に装着することができる。このカートリッジは、制限機構の制限を解除するための構造を一体に有さないため、落下などの衝撃による変形の可能性を低くすることができる。アタッチメントの解除部によって、カートリッジ装着部の制限機構による制限を解除することができる。そして、維持部によって、アタッチメントのカートリッジ装着部への装着状態を良好に維持することができる。
【0065】
(2)上記形態のアタッチメントにおいて、前記制限機構は、装置当接部と、前記制限機構の一部としての先端部を有し、前記装置当接部と当接して前記回転移動を制限する制限位置と、前記装置当接部と当接せずに前記回転移動を可能とする解除位置とに移動可能な回転制限部と、を有し、前記カートリッジ装着部は、前記先端部を露出させるための開口部を有する主壁をさらに有し、前記解除部は、前記先端部を前記挿入方向に押すことにより、前記回転制限部を前記制限位置から前記解除位置に移動させることによって、前記制限機構による制限を解除してもよい。この形態によれば、回転制限部が制限位置から解除位置に移動することにより、制限機構の制限が解除される機構において、解除部は、先端部を挿入方向に押すことにより、制限機構による制限を解除することができる。
【0066】
(3)上記形態のアタッチメントにおいて、前記維持部は、前記挿入方向に沿って、前記開口部に圧入される圧入部を有してもよい。この形態によれば、アタッチメントのカートリッジ装着部への装着状態を良好に維持することができる。
【0067】
(4)上記形態のアタッチメントにおいて、前記維持部は、前記主壁と係合する爪部を有してもよい。この形態によれば、アタッチメントのカートリッジ装着部への装着状態を良好に維持することができる。
【0068】
(5)上記形態のアタッチメントと、前記カートリッジ装着部を有する前記印刷装置と、前記カートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジと、を備える印刷システムが提供されてもよい。前記カートリッジは、前記アタッチメントが装着されている前記カートリッジ装着部に前記挿入方向に挿入された後、前記回転装着方向に前記回転移動することにより前記カートリッジ装着部に装着され、前記カートリッジの装着状態において、前記アタッチメントと対向する対向面を有する。この形態によれば、カートリッジは、対向面を有するため、対向面から突出する、制限機構の制限を解除するための構造を有するカートリッジと比較して、落下による衝撃を受けにくくすることができる。
【0069】
(6)上記形態の印刷システムにおいて、前記カートリッジは、前記対向面と交差するカートリッジ後壁と、前記カートリッジ後壁から凹んだカートリッジ凹部と、をさらに有し、前記カートリッジ装着部は、前記カートリッジが前記回転装着方向に前記回転移動する過程において、前記カートリッジ凹部に入り込む突起部をさらに有してもよい。この形態によれば、カートリッジ凹部に突起部が入り込むため、カートリッジのカートリッジ装着部への装着状態を維持することができる。
【0070】
本開示は、上記形態の他に、カートリッジの製造方法、印刷システムなどの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0071】
1…印刷システム、2…印刷用紙、6…カートリッジ装着部、10…印刷装置、13…交換用カバー、20…キャリッジ、22…吐出ヘッド、24…チューブ、30…駆動機構、31…制御部、32…タイミングベルト、34…駆動モーター、42…前壁、43…上壁、44…底壁、45…第1側壁、46…第2側壁、47…後壁、48…対向面、61…収容室、61C,61M,61Y,61K…スロット、62…第2装置壁、63…装置上壁、65…第1装置側壁、66…第2装置側壁、67…第1装置壁、104…標準カートリッジ、104A…第1種標準カートリッジ、104B…第2種標準カートリッジ、204…特殊カートリッジ、204A…第1種特殊カートリッジ、401…液体収容体、402…アダプター部、411…カートリッジ後壁、442…液体供給部、448…カートリッジ側位置決め部、450…液体収容部、497…カートリッジ凹部、503…標準解除部、610…支持部材、610a…支持部材段差、610b…端面,611…第1支持側壁、612…第2支持側壁、613…主壁、614…導入開口部、615…開口部、642…液体導入部、644…装置側位置決め部、651…第1回転制限部、652…第2回転制限部、653…回転ピン、660…制限機構、661…回転制限部、661a…先端部、662…装置当接部、674…挿抜開口部、677…係合形成体、682…導入部流路、697…突起部、698…回転支点、699…液体貯留部、700,2700…アタッチメント、710,2710…本体部、720,2720…解除部、730,2730…維持部、731…圧入部、2731…第1爪部、2731a,2732a…段差、2732…第2爪部、CA1,CA2…中心軸、CD2…回転装着方向、CD3…回転方向、D1…挿入方向、PO1…制限位置、PO2…解除位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14