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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081249
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ハンディプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B65C 11/02 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B65C11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194729
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】FCLコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小口 達也
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095BA02
3E095CA06
3E095DA03
3E095DA24
3E095DA42
3E095FA12
(57)【要約】
【課題】ラベル押さえ部をラベル貼付に適切な姿勢にでき、ラベルを安定して貼り付けることができるハンディプリンタを提供する。
【解決手段】ハンディプリンタ1は、ラベルPのラベル排出口21と、ラベル排出口21から外部に排出されたラベルPを被貼付物Oに対して押さえるラベル押さえ部4と、ラベルPの貼付操作を行うレバー31と、レバー31による操作入力に応じてラベル押さえ部4の首振り角度を調整する調整部8と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルの排出口と、
前記排出口から外部に排出された前記ラベルを被貼付物に対して押さえるラベル押さえ部と、
前記ラベルの貼付操作を行う操作部と、
前記操作部による操作入力に応じて前記ラベル押さえ部の角度を調整する調整部と、
を備えるハンディプリンタ。
【請求項2】
固定刃と可動刃とを有する切断部を備え、
前記調整部は、前記操作部による操作入力に応じて前記可動刃に外力を付加して前記固定刃の方向に移動させる外力付加部を有する、
請求項1に記載のハンディプリンタ。
【請求項3】
前記調整部は、前記操作部と連動する連結部材と、
前記連結部材と前記ラベル押さえ部との間を連結するテンションバネと、
前記ラベル押さえ部を前記テンションバネの方向に付勢する加圧バネと、
を有する請求項2に記載のハンディプリンタ。
【請求項4】
前記操作部の操作量が小さい第1の操作範囲では前記調整部により前記ラベル押さえ部の前記角度が調整され、前記操作部の操作量が前記第1の操作範囲より大きい第2の操作範囲になると前記切断部の操作が行われる、
請求項3に記載のハンディプリンタ。
【請求項5】
検出センサと、制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出センサにより前記ラベル押さえ部の回動が検知されるとラベル印刷を開始する、
請求項1~4のいずれか一項に記載のハンディプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンディプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタで使用される、粘着面を有するラベル用紙は、剥離紙(台紙)を用いたものが一般的である。しかし、近年の廃棄物の削減要求や貼り付け作業改善要求(剥離紙からラベルを剥がす作業の省略)への対応から、剥離紙を用いないライナレスラベル用紙の需要が高まっている。
【0003】
ライナレスラベル用紙は、主にスーパーマーケット等で販売されている惣菜、肉、魚のラップフィルム上や、海外ではコーヒーのカップやハンバーガー等の、包装材上に、内容物の名前、値段、製造日、賞味期限等の情報を貼り付けることが一般的な目的となっている。ライナレスラベル用紙の場合、台紙が無いため粘着剤の貼り付き対策が必須となり、特殊な貼付け機が必要となる。このため、被貼付物の近くまでプリンタを移動させる、または、被貼付物をプリンタの近くまで移動させるのが通常となっており、ラベル貼付作業の効率が良くない問題がある。
【0004】
そこで、持ち運びが可能なハンディタイプのプリンタで、被貼付物に直接ライナレスラベルを貼り付けできる構造が提案されている。
【0005】
特許文献1、3には、印字されたラベルが排出される排出口に、排出口から排紙されたラベルを被貼付物へ押圧するラベル押さえ部が設けられている。特許文献1では、ラベル押さえ部はプリンタ本体に固定されている。一方、特許文献3には、ラベル押さえ部が外力により回動可能な構造が開示されている。特許文献3に記載の構造では、利用者がプリンタを被貼付物に押圧する力の大きさに応じて、ラベルや被貼付物に対するラベル押さえ部の角度を変化できるため、特許文献1に記載の固定構造に対してラベル貼付の安定化に有利と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-194971号公報
【特許文献2】特開2011-207518号公報
【特許文献3】特開2010-000778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に記載の従来のラベル押さえ部の可動構造では、例えば利用者の把持姿勢やプリンタの被貼付物への当て方など、プリンタの使われ方によっては、ラベル押さえ部がラベルを被貼付物に貼付しにくい姿勢となり、ラベルを安定して貼り付けできない場合が生じ得る。
【0008】
本開示は、ラベル押さえ部をラベル貼付に適切な姿勢にでき、ラベルを安定して貼り付けることができるハンディプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態の一観点に係るハンディプリンタは、ラベルの排出口と、前記排出口から外部に排出された前記ラベルを被貼付物に対して押さえるラベル押さえ部と、前記ラベルの貼付操作を行う操作部と、前記操作部による操作入力に応じて前記ラベル押さえ部の角度を調整する調整部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ラベル押さえ部をラベル貼付に適切な姿勢にでき、ラベルを安定して貼り付けることができるハンディプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るハンディプリンタの斜視図
図2図1に示すハンディプリンタの内部構成を示す模式図
図3】第1実施形態におけるラベル貼付手順の第1段階を示す図
図4】第1実施形態におけるラベル貼付手順の第2段階を示す図
図5図4中のラベル押さえ部近傍の拡大図
図6】第1実施形態におけるラベル貼付手順の第3段階を示す図
図7図6中のラベル押さえ部近傍の拡大図
図8】第1実施形態におけるラベル貼付手順の第4段階を示す図
図9図8中のラベル押さえ部近傍の拡大図
図10】第1実施形態におけるラベル貼付手順の第5段階を示す図
図11】ラベル押さえ部の構造の詳細を示す図
図12】ラベル押さえ部の幅方向の動作を説明する図
図13】ラベル押さえ部のジンバルの機能を説明する図
図14】ラベル押さえ部の変形例を示す図
図15】第2実施形態に係るハンディプリンタの内部構成を示す模式図
図16】第3実施形態に係るハンディプリンタの斜視図
図17図16に示すハンディプリンタの内部構成を示す模式図
図18】第3実施形態におけるラベル貼付手順の第1段階を示す図
図19】第3実施形態におけるラベル貼付手順の第2段階を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0013】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向は、図1におけるハンディプリンタ1の前後方向であり、ラベル排出口21からのライナレスラベルPの排出方向である。なお、「ライナレスラベルP」は、以下では「ラベルP」とも称する。Y方向は、図1におけるハンディプリンタ1及びラベルPの幅方向である。Z方向は、図1におけるハンディプリンタ1の上下方向であり、プリンタ本体2とグリップ3の積層方向及び可動刃72の移動方向である。なお、「ハンディプリンタ1」は、以下では「プリンタ1」とも称する。
【0014】
[第1実施形態]
図1図14を参照して第1実施形態を説明する。
【0015】
図1図2を参照して第1実施形態に係るプリンタ1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るプリンタ1の斜視図である。
【0016】
第1実施形態に係るプリンタ1は、ラベルPに印字されて切断されたラベルSを被貼付物Oに直接貼り付けできるものである。また、図1に示すように、第1実施形態のプリンタ1は、レバー31(操作部)の操作によりラベルPの被貼付物Oへの貼付操作を行うことができるガングリップタイプである。ガングリップタイプの場合、プリンタ1のグリップ3を把持している利用者が被貼付物Oの周囲に接近してレバー31を操作することによって、ラベルPを被貼付物Oに貼付することができる。
【0017】
図1に示すように、プリンタ1は、Z正方向側に配置されるプリンタ本体2を備える。プリンタ本体2にはラベル印刷に係る各要素が内部に収容されている(図2参照)。
【0018】
プリンタ本体2のX正方向側の前面2Aには、内部で印字されたラベルPが外部に排出されるラベル排出口21が開口されている。ラベル排出口21のY方向の寸法は、ラベルPの幅方向の寸法より大きく形成されており、これによりラベルPが排出されやすくなるよう構成されている。また、ラベル排出口21には、ラベル排出口21から外部に排出されたラベルPを被貼付物Oに対して押さえるラベル押さえ部4が設置されている。
【0019】
ラベル押さえ部4は、プリンタ1の利用者によって被貼付物Oに押し付けられることによって、Y方向の回転軸まわりに回動可能に設置される。以降ではこのようなラベル押さえ部4の回動を「首振り」とも表現する。ラベル押さえ部4の首振り動作の詳細については後述する。
【0020】
プリンタ本体2のZ正方向側の上面2Bには、印字ボタン22が設けられている。利用者によって印字ボタン22が押下されることによって、プリンタ1は印字動作のスタンバイ状態に移行することができる。印字ボタン22は上面2Bに限らず例えばレバー31の近傍など他の場所に設けても良い。
【0021】
プリンタ1は、Z負方向側に配置されるグリップ3を備える。グリップ3は、プリンタ1の利用者がプリンタ1の使用時に把持する部分である。グリップ3は、プリンタ本体2のZ負方向側の部分に接続され、内部がプリンタ本体2と連通するようプリンタ本体2と一体的に形成される。グリップ3は、ラベルPを被貼付物Oに貼付する際に、ラベル排出口21を被貼付物Oに向けやすいように、例えばラベル排出口21のラベル排出方向に対して長手方向が略直角または90度以上となるように形成されるのが好ましい。
【0022】
グリップ3は、X正方向側に突出するようにレバー31が設置される。レバー31は、グリップ3を把持している利用者が指でグリップ3側に引き込む操作を行うことによって、X負方向側に摺動し、その一部がグリップ3の内部に挿入可能に設置されている。また、グリップ3には、レバー31よりもX正方向側の位置に、レバー31をX正方向側から覆うようにトリガガード32が設けられる。トリガガード32は、プリンタ1が例えば机上などに載置されたときに、レバー31が載置面と接触して誤って押下されることを防止する。
【0023】
図2は、図1に示すプリンタ1の内部構成を示す模式図である。図2では、プリンタ1の筐体をXZ平面に沿った断面で示し、筐体の内部の要素を模式的に示している。図2に示すように、プリンタ1は、プリンタ本体2の内部に、ロール収納部5と、印字ユニット6と、切断部7と、調整部8と、を備える。
【0024】
ロール収納部5は、ラベルPがロール状に巻回されたライナレスラベルロールRを設置する。なお、「ライナレスラベルロールR」は、以下では「ラベルロールR」とも称する。ラベルロールRは、ラベルPの粘着面がロールRの中心側に向くように巻かれており、図2の例では、ラベルPは、ロール収納部5のラベルロールRからX正方向側へ引き出され、印刷面がZ正方向側を向き、粘着面がZ負方向側を向いた状態で搬送される。
【0025】
印字ユニット6は、ラベルPの印字と搬送を行う。印字ユニット6は、サーマルヘッド61とプラテンローラ62とを有する。サーマルヘッド61は、印刷データに対応した通電により選択的に発熱して、感熱紙であるラベルPに印刷を行う。プラテンローラ62は、例えばゴムなどの弾性体などで形成される円筒状の部材であり、図示しない駆動源により回転軸まわりに回転可能に構成される。
【0026】
ロール収納部5に設置されるラベルロールRから引き出されたラベルPは、サーマルヘッド61とプラテンローラ62との間を通過し、その後に切断部7によって切断されてラベルSとしてラベル排出口21から外部に排出されるよう設置される(図8など参照)。
【0027】
サーマルヘッド61の発熱部と、プラテンローラ62の周面とは、対向かつ密着するよう設置されている。また、プラテンローラ62の回転軸方向と、サーマルヘッド61の長手方向とは、共にY方向に沿って互いに平行となるように設置されている。これにより、ラベルPはプラテンローラ62とサーマルヘッド61との間に挟まれた状態となり、サーマルヘッド61により印刷が行われると共に、プラテンローラ62の回転により搬送方向(X正方向)に送り出される。
【0028】
印字ユニット6は、制御部63と検出センサ64とを有する。検出センサ64は、ラベル押さえ部4が被貼付部Oに押し付けられてY軸まわりに回動する首振り動作を行うことを検出する。検出センサ64は、例えば図2に示すような押しボタン式のスイッチであり、ラベル押さえ部4の首振り動作の回動方向に押しボタンが対向する位置に設置される。そして、ラベル押さえ部4の首振り動作によってラベル押さえ部4が押さえ検出センサ64と接触して検出センサ64の押しボタンが押圧されたときに、ON状態となって首振り動作を検出する(図5参照)。
【0029】
検出センサ64は、ラベル押さえ部4の首振り動作を検出できればよく、例えば光電式スイッチなど、図2に示す機械式スイッチ以外の構成でもよい。
【0030】
制御部63は、印字ユニット6の動作を制御する。制御部63は、印字ボタン22と検出センサ64と電気的に接続されており、印字ボタン22と検出センサ64からの入力信号に基づいて印字ユニット6の動作の開始と停止を制御する。例えば、印字ボタン22が押下され、かつ、検出センサ64がON状態となったときに、印字ユニット6は印字動作を開始する。また、検出センサ64がOFF状態となったとき、すなわちラベル押さえ部4が被貼付部Oから離れ、ラベル貼付が完了したときに、印字ユニット6は印字動作を停止する。
【0031】
印字ユニット6はガイド65を有する構成でもよい。ガイド65は、ラベルPをラベル排出口21まで誘導するよう搬送方向に沿って形成される部材である。ガイド65は、印字ユニット6内部からラベル排出口21まで延在するよう設けられ、ラベル排出口21付近ではラベル押さえ部4と対抗するように配置される。ガイド65とラベル押さえ部4とはラベルPの誘導路を構成し、ラベルPはガイド65とラベル押さえ部4の間を通過してラベル排出口21から排出される。
【0032】
図2では、図示の都合上、印字ボタン22と制御部63とがプリンタ本体2の外部に図示されているが、実際には印字ボタン22は図1に示すようにプリンタ本体2の上面2Bなどに設置され、制御部63はプリンタ本体2の内部に設置される。
【0033】
切断部7は、印字ユニット6によって印刷が行われたラベルPを切断する。切断部7は、印字ユニット6に対して搬送方向の下流側に配置される。切断部7は、固定刃71と可動刃72とを有する。可動刃72は、ラベルPの搬送方向及び幅方向に共に直行する方向(Z方向)に沿って移動可能に設けられる。
【0034】
図2に示すように、切断部7の作動前の状態では、固定刃71と可動刃72とはZ方向に対向配置され、固定刃71と可動刃72との間隙をラベルPが通過するよう設置される。また、固定刃71はラベルPに対してZ正方向側に配置され、可動刃72はラベルPに対してZ負方向側に配置される。そして、固定刃71は刃先がZ負方向側に配置され、可動刃72は刃先がZ正方向側に配置される。すなわち、固定刃71及び可動刃72は共に刃先がラベルPに向いている。
【0035】
切断部7の作動時には、可動刃72は、Z正方向に沿って固定刃71に向かって移動し、ラベルPを可動刃72の刃先と、固定刃71の刃先との間で挟み切断する(図8図9参照)。
【0036】
調整部8は、レバー31による操作入力に応じてラベル押さえ部4の首振り角度を調整する。調整部8は、レール81(連結部材)と、ラベル押さえ部4を加圧する加圧バネ82と、テンションバネ83と、を有する。
【0037】
レール81は、レバー31と連結され、レバー31の操作入力に応じてレバー31と連動してX方向に移動可能な連結部材である。レール81は、摺動部81Aと、連結部81Bと、を有する。摺動部81Aは、プリンタ本体2内において、印字ユニット6及び切断部7の下方に配置され、X方向に延在する長手状の部分である。また、摺動部81Aは、例えばプリンタ本体2の内壁などに設けられる不図示のガイドなどに連結されており、X方向に摺動可能に設置されている。連結部81Bは、摺動部81AのX負方向側端部と、レバー31とを連結する部分である。レール81は、連結部81Bを介してレバー31への操作入力が伝達されると、摺動部81AがX方向に摺動することで、レバー31と連動してX方向に移動することができる。
【0038】
テンションバネ83は、一端がレール81の摺動部81AのX正方向側端部に連結され、他端がラベル押さえ部4にZ負方向側から連結される。テンションバネ83は、例えば両端の間で収縮、伸長するコイルバネである。テンションバネ83のレール81及びラベル押さえ部4への固定手法は、バネ端部をコイル状にしたものを引っ掛けても良いし、ネジで固定しても良い。
【0039】
テンションバネ83は、レバー31とレール81がX負方向側に移動するとき、レール81とラベル押さえ部4とのそれぞれの接続位置の距離が相対的に増えるため、これにより伸長してラベル押さえ部4をレール81側に引っ張る外力を付加する。つまり、テンションバネ83は、ラベル押さえ部4に首振り動作と反対側の方向に外力を付加することができる。
【0040】
加圧バネ82は、一端がラベル押さえ部4に、好ましくはテンションバネ83の連結位置に連結され、他端が例えばプリンタ本体2の内壁などの固定物に連結される。加圧バネ82は、例えば両端の間で収縮、伸長するコイルバネである。
【0041】
加圧バネ82は、ラベル押さえ部4を基準として、テンションバネ83と反対側に配置され、かつ、その伸縮方向がテンションバネ83と略同一方向となるように設置される。図2の例では、テンションバネ83は、ラベル押さえ部4に対してZ負方向側に配置され、伸縮方向が略Z方向となるように設置されている。また、加圧バネ82は、ラベル押さえ部4をZ負方向側に付勢する。
【0042】
調整部8は、レバー31の操作に応じてレール81に連結されたテンションバネ83でラベル押さえ部4を引っ張ることによってラベル押さえ部4の首振り角度を調整することができる。
【0043】
レール81は、外力付加部81Cを有する。外力付加部81Cは、レバー31による操作入力に応じて切断部7の可動刃72に外力を付加して、可動刃72をZ正方向に設けられた固定刃71に移動させて、切断部7によりラベルPを切断させる。
【0044】
第1実施形態では、外力付加部81Cは、摺動部81AのX正方向側端部からZ正方向側に突出し、可動刃72のZ負方向側端部と対向するよう設けられる傾斜面である。可動刃72のZ負方向側端部には、レール81の外力付加部81Cと対向する位置に外力受け部72Aが設けられる。外力受け部72Aは、レール81の外力付加部81Cと当接可能に設けられる傾斜面であり、レール81の外力付加部81Cの傾斜面と、可動刃72の外力受け部72Aの傾斜面とが対向配置される。
【0045】
調整部8は、レバー31の操作に応じてレール81が外力付加部81Cと可動刃72の外力受け部72Aとが接触する位置までX負方向側に移動して、さらなるレール81のX負方向側への移動によって、外力付加部81Cが可動刃72に外力を付加する。外力付加部81Cの傾斜面の作用により、外力受け部72Aに付加された外力の向きがZ正方向側に変換されて、これにより可動刃72はZ正方向側に移動することができる。
【0046】
外力付加部81Cの傾斜面と、外力受け部72Aの傾斜面とは、Z方向に対する傾斜角度は略同一であり、法線方向が互いの方向となるよう形成されるのが好ましい。これにより、上述の外力付加部81Cから外力受け部72Aへの力の伝達と、可動刃72のZ正方向側への移動をより円滑に行うことができる。外力受け部72Aは外力付加部81Cとの摩擦を抑制するため外力付加部81C側に突出する曲面としてもよい。
【0047】
第1実施形態では、レバー31の操作量が小さい第1の操作範囲では、レバー31の操作量に応じて調整部8によりラベル押さえ部4の首振り角度が調整され、レバー31の操作量が第1の操作範囲より大きい第2の操作範囲になると、ラベル押さえ部4の首振り角度の調整とともに外力付加部81Cによる切断部7の操作が行われる。このように、レバー31の単一操作によって、ラベル押さえ部4の首振り角度の調整動作と、切断部7によるラベルPの切断動作の2つの動作を行うことができる。つまり、レバー31は、切断動作の操作と、ラベル押さえ部4の首振り角度固定の操作とを兼ねることができる。
【0048】
グリップ3の内部には、レバー31のX負方向の端面と接触するように加圧バネ33が設置されている。加圧バネ33は、X方向に収縮状態で設置され、レバー31は加圧バネ33によってX正方向側に付勢されており、利用者がレバー31を離したときには、レバー31は初期状態の位置に戻される。加圧バネ33は例えばコイルバネである。
【0049】
図3図10を参照して、第1実施形態のプリンタ1を用いたラベル貼付手順を説明する。
【0050】
図3は、第1実施形態におけるラベル貼付手順の第1段階を示す図である。図3に示す第1段階の前段階で利用者により印字ボタン22が押下され、第1段階ではラベルPの先端がラベル押さえ部4と対向するスタンバイ位置まで搬出される。この状態で利用者はグリップ3を把持して、図3に矢印F1で示すようにプリンタ1を被貼付物Oに接近させて、ラベル排出口21から外部に出ているラベルPの粘着面を被貼付物Oに接触させる。
【0051】
図4は、第1実施形態におけるラベル貼付手順の第2段階を示す図である。図5は、図4に示す点線Aで囲まれたラベル押さえ部近傍の拡大図である。
【0052】
第2段階では矢印F2で示すようにプリンタ1を被貼付物Oにさらに接近させる。これにより、矢印F4で示すようにラベル押さえ部4がY軸まわりにZ正方向側に回動して貼付け移動方向F3の反対方向に傾き、ラベル押さえ部4がラベルPと接触し続け、ラベルPを被貼付物Oに押圧してラベルPの先端部分を被貼付物Oに貼り付ける。
【0053】
図5に矢印F5で示すように、ラベル押さえ部4の回動に伴い、検出センサ64がラベル押さえ部4により押下されてON状態となり、制御部63が印字ユニット6の印字を開始する。印字が開始されると印字ユニット6がラベルPをスタンバイ位置から外部に搬送し始めるので、利用者により矢印F3方向にプリンタ1が移動されて、印字されたラベルPをラベル押さえ部4により押圧しながら被貼付物Oに貼付していく。
【0054】
図6は、第1実施形態におけるラベル貼付手順の第3段階を示す図である。図7は、図6に示す点線Bで囲まれたラベル押さえ部近傍の拡大図である。
【0055】
図6に矢印F6で示すように引き続きラベル貼付方向にプリンタ1を移動させつつ、矢印F7で示すように、利用者によりレバー31が引かれる。このとき、利用者はレバー31を完全に引き込みきらず、好ましくはレバー31の可動範囲の前半部分の範囲内で操作する。
【0056】
レバー31の操作に伴い、図6に矢印F8で示すように、レール81も連動してレバー31の操作量と同じ距離だけX負方向に移動する。これにより、レール81とラベル押さえ部4との相対距離が増えるため、図6図7に矢印F9で示すように、テンションバネ83がレール81側に引っ張られる。この結果、ラベル押さえ部4がテンションバネ83から引っ張り力を受けて、図6図7に矢印F10で示すように、Y軸まわりにZ負方向側に回動する。ラベル押さえ部4は、テンションバネ83による引っ張り力と、プリンタ1を被貼付物O側に押す力とが釣り合う位置で首振り角度が保持される。この首振り角度は、利用者がレバー31の操作量とプリンタ1を被貼付物O側に押す力とを同一量で維持し続ける間保持される。
【0057】
図6図7に示す第3段階では、図4図5に示すトリガ操作前の第2段階よりも被貼付物Oの貼付面とラベル押さえ部4の長辺とのなす角が大きくなっている。このようにラベル押さえ部4が所望の首振り角度で保持された状態で、ラベル押さえ部4によってラベル排出口21から搬出される印刷済のラベルPを被貼付物Oに押さえながらプリンタ1をラベル貼付方向に移動させることによって印刷済のラベルPが被貼付物Oに順次貼付されていく。
【0058】
本実施形態では、利用者はレバー31の操作量を調整することによって、ラベル押さえ部4の首振り角度を所望の角度で保持することが可能となる。これにより、例えば利用者の把持姿勢やプリンタ1の被貼付物Oへの当て方など、利用者によるさまざまな利用態様に応じて、ラベル押さえ部4を利用者にとって適切な首振り角度にできる。利用者はラベル押さえ部4の所望の首振り角度を保持したままラベル貼付方向にプリンタ1を移動させれば、被貼付物OへのラベルPの貼付をより簡易かつ低負荷で確実に行うことが可能となる。この結果、第1実施形態のプリンタ1では、プリンタ1の利用態様によらずラベルPを安定して被貼付物Oに貼り付けることが可能となる。
【0059】
図8は、第1実施形態におけるラベル貼付手順の第4段階を示す図である。図9は、図8に示す点線Cで囲まれたラベル押さえ部近傍の拡大図である。
【0060】
図8に矢印F11で示すように引き続きラベル貼付方向にプリンタ1を移動させつつ、矢印F12で示すように、利用者によりレバー31が第3段階よりさらに引かれる。このとき、利用者はレバー31をX負方向側の可動範囲の限界位置まで完全に引き込むのが好ましい。
【0061】
レバー31の操作に伴い、図8に矢印F13で示すようにレール81がレバー31の操作量と同じ距離だけX負方向に移動する。レバー31が第3段階の位置よりさらに移動することによって、レール81の外力付加部81Cが可動刃72の外力受け部72Aを押圧する。外力付加部81Cがレール81の移動方向に対してZ正方向に傾斜しているので外力付加部81Cにより付加されたX負方向側の外力が、Z正方向側に変換され外力受け部72Aを介して可動刃72に伝達され、図8図9に矢印F14で示すように、可動刃72がZ正方向に移動して固定刃71と重畳する位置まで移動し、ラベルPが固定刃71と可動刃72との間で挟まれて切断される。ラベルPのうち切断部7より搬送方向下流側の部分はラベルPから切り離されて被貼付物Oに貼付されるラベルSとなる。
【0062】
図10は、第1実施形態におけるラベル貼付手順の第5段階を示す図である。第5段階では、第4段階でラベルPから切断されたラベルSが被貼付物Oに貼付される。ラベルSの切断部分のZ負方向側の端部は湾曲して被貼付物Oから浮きやすい。利用者はラベル押さえ部4によってラベルSの端部まで被貼付物Oに押さえつけながらラベル貼付方向に移動させることによって、ラベルS全体が被貼付物Oに貼付される状態とすることができる。その後、図10に矢印F15で示すように、利用者はプリンタ1を被貼付物Oから離し、ラベル押さえ部4を被貼付物Oから離間させる。その後、利用者はレバー31を離す。レバー31は加圧バネ33の付勢力によって初期位置に戻され、テンションバネ83は初期状態に収縮する。ラベル押さえ部4は加圧バネ82の付勢力によって初期位置に戻され、検出センサ64はOFF状態になり、ラベル貼付作業が完了する。
【0063】
図11図14を参照してラベル押さえ部4の構造の詳細について説明する。図11は、ラベル押さえ部4の構造の詳細を示す図である。図11(A)は、ラベル押さえ部4が被貼付物Oに押圧されない無負荷状態のラベル押さえ部4の姿勢を示す図であり、(A1)は斜視図、(A2)はY方向視の側面図である。図11(B)は、ラベル押さえ部4が被貼付物Oに押圧されている状態のラベル押さえ部4の姿勢を示す図であり、(B1)は斜視図、(B2)はY方向視の側面図である。
【0064】
図11に示すように、ラベル押さえ部4は、例えば第1部材41と、第2部材42と、第3部材43の3種類の棒状部材を組み合わせて形成される。
【0065】
第1部材41は、Z方向視において略コの字型に形成される部材であり、それぞれX方向に延在しY方向に平行配置される一対の直線部材41A、41Bと、一対の直線部材41A、41BのX正方向側の先端部からY方向に延在し、一対の直線部材41A、41Bを連結する押圧部41Cと、を有する。押圧部41Cは、第1部材41のうち最もX正方向側に配置され、プリンタ1の使用時に被貼付物Oに貼付されるラベルPを押圧する部分である。
【0066】
第2部材42と第3部材43は、共にY方向に延在し、X方向に平行配置される。第2部材42と第3部材43はほぼ同じ長さであり、共に第1部材41の一対の直線部材41A、41Bに連結される。第1部材41は、第2部材42と第3部材43の長手方向のほぼ中央の位置に配置されるのが好ましい。押圧部41Cがプリンタ1の幅方向の略中央の位置に配置されるので、利用者がラベル押さえ部4を被貼付物Oに対して平行な状態で押し当てやすくでき、押圧部41Cを介してY方向に均等に押圧力を付加しやすくできる。
【0067】
第1部材41と、第2部材42と、第3部材43は、図11の例ではすべて断面円形状の丸棒であり、その太さもほぼ同一に形成される構成を例示しているが、各部材の断面形状や径は異なる構成でもよい。
【0068】
図11の例では、例えば図11(A1)に示すように、加圧バネ82A、82Bが2個設けられ、ラベル押さえ部4の第2部材42に連結されている。一対の加圧バネ82A、82Bは、第2部材42の長手方向の中央位置からほぼ同距離の位置にそれぞれ配置されるのが好ましい。これにより、加圧バネ82A、82Bからラベル押さえ部4に対してZ負方向側に付勢力を均等に付加することができる。
【0069】
第2部材42の両端部42A、42Bと、第3部材43の両端部43A、43Bとは、プリンタ本体2の内壁などの固定部に設けられる位置決め溝44A、44B、45A、45Bにそれぞれ挿入されている。図11(A2)などに示すように、位置決め溝44A、44B、45A、45Bは、Z方向が長手方向となるよう形成される。各端部42A、42B、43A、43Bは、外力の印加に応じて位置決め溝44A、44B、45A、45Bに沿って摺動する。つまり、ラベル押さえ部4が傾く範囲は、位置決め溝44A、44B、45A、45Bに倣う。
【0070】
第3部材43の長手方向の略中央の位置には、Z方向の両側から一対のジンバル46A、46Bが設置される。一般的に、ジンバル(Gimbal)とは、1つの軸を中心として物体を回転させる回転台の一種である。本実施形態では、一対のジンバル46A、46Bの頂点が、第3部材43の長手方向の略中央の同一位置において、Z方向の両側から第3部材43を挟んで配置されている。これにより、一対のジンバル46A、46Bによる支持位置を中心として、ラベル押さえ部4をY軸まわり及びX軸まわりに回動させることができる。
【0071】
図11(B)に示すように、被貼付物Oにラベル押さえ部4を接触させ押圧すると、ジンバル46A、46Bを支点としてラベル押さえ部4が矢印F4の方向へ回動する。このとき、図11(B2)に示すように、第3部材43の両端部43A、43Bは、ジンバル46A、46Bによって移動を規制されて初期位置に留まる。一方、第2部材42の両端部42A、42Bは、位置決め溝44A、44Bに沿ってZ正方向側へ移動する。
【0072】
ラベル押さえ部4は、加圧バネ82A、82BでZ負方向側に押圧されているため、被貼付物Oからラベル押さえ部4を離すと、加圧バネ82A、82Bの付勢力によって第2部材42の両端部42A、42Bが位置決め溝44A、44Bに沿ってZ負方向側に移動し、図11(A)に示す初期位置に戻る。
【0073】
図11に示す構成によって、ラベル押さえ部4はZ方向に沿った外力を受けた場合には、ジンバル46A、46Bを回転中心としてY軸まわりに回動することができる。
【0074】
図12は、ラベル押さえ部4の幅方向の動作を説明する図である。図12(A)は、ラベル押さえ部4が被貼付物Oに押圧されない無負荷状態のときのラベル押さえ部4の姿勢を示す図であり、(A1)はY負方向側から視た側面図、(A2)はX正方向から視た正面図、(A3)はY正方向側から視た側面図である。図12(B)は、ラベル押さえ部4が被貼付物Oに押圧され、かつY負方向側に相対的に大きい外力が付加されている状態のときのラベル押さえ部4の姿勢を示す図であり、(B1)はY負方向側から視た側面図、(B2)はX正方向から視た正面図、(B3)はY正方向側から視た側面図である。図12(C)は、ラベル押さえ部4が被貼付物Oに押圧され、かつY正方向側に相対的に大きい外力が付加されている状態のときのラベル押さえ部4の姿勢を示す図であり、(C1)はY負方向側から視た側面図、(C2)はX正方向から視た正面図、(C3)はY正方向側から視た側面図である。
【0075】
図12(A2)などに示すように、一対のジンバル46A、46Bは、正面方向から見ると上下に支点を持っており、図12(B2)、(C2)などに示すように、ラベル押さえ部4は幅方向に傾くことができる。ラベル押さえ部4は加圧バネ82A、82Bで押圧されるため、被貼付物Oからの押えが解放されると、図12(A)に示す初期位置に戻る。
【0076】
上記の構造から、被貼付物OにラベルPやラベルSを貼っている途中でプリンタ1が傾いたとしても、ラベル押さえ部4の先端の押圧部41Cが被貼付物Oに対して水平を維持できるため、安定してラベルを貼り付けることができる。
【0077】
図13は、ラベル押さえ部4のジンバル46A、46Bの機能を説明する図である。図13(A)は、ラベル押さえ部4がY軸まわりに回動する場合の姿勢を示す図であり、(A1)はX正方向から視た正面図、(A2)はY負方向側から視た側面図である。図13(B)は、ラベル押さえ部4がX軸まわりに回動する場合の姿勢を示す図であり、(B1)はX正方向から視た正面図、(B2)はY負方向側から視た側面図である。
【0078】
図13(A1)、(B1)などに示すように、一対のジンバル46A、46Bの構造は、上下の突起でラベル押さえ部4の支点を位置決めすることで、正面から見た際にZ方向の動きを限定しながら、左右の回転方向に対してはジンバル46A、46Bが軸となり、矢印F16、F17の方向にX軸まわりに回動して傾くことが可能な構造である。また、図13(A2)、(B2)に示すように、側面から見た際の動きは、一対のジンバル46A、46Bを支点として、矢印F4、F10の方向にY軸まわりに回動して首振りを行うことができる。
【0079】
図14は、ラベル押さえ部の変形例を示す図である。図14(A)は第1変形例に係るラベル押さえ部4Aを示す図であり、(A1)は斜視図、(A2)はY負方向から視た側面である。図14(B)は第2変形例に係るラベル押さえ部4Bを示す図であり、(B1)は斜視図、(B2)はY負方向から視た側面である。
【0080】
ラベル押さえ部4は図11などに例示した棒状のものに限られない。例えば、図14(A)に示すラベル押さえ部4Aのように、搬送方向に転がるローラ47を設ける構成や、図14(B)に示すラベル押さえ部4Bのように、柔軟性を有する板または固い板などの板材48を設ける構成でも良い。
【0081】
次に第1実施形態に係るプリンタ1の効果を説明する。第1実施形態のプリンタ1は、ラベルPを外部に搬出するラベル排出口21と、ラベル排出口21から外部に排出されたラベルPを被貼付物Oに対して押さえるラベル押さえ部4と、ラベルPの貼付操作を行う操作部としてのレバー31と、レバー31による操作入力に応じてラベル押さえ部4の首振り角度を調整する調整部8と、を備える。この構成により、利用者はレバー31の操作量を調整することによって、ラベル押さえ部4の首振り角度を所望の角度で保持することが可能となる。これにより、例えば利用者の把持姿勢やプリンタ1の被貼付物Oへの当て方など、利用者によるさまざまな利用態様に応じて、ラベル押さえ部4を利用者にとって適切な姿勢にできる。利用者はラベル押さえ部4の所望の姿勢を保持したままラベル貼付方向にプリンタ1を移動させれば、被貼付物OへのラベルSの貼付をより簡易かつ低負荷で確実に行うことが可能となる。このように、第1実施形態のプリンタ1は、ラベル押さえ部4をラベル貼付に適切な姿勢にでき、ラベルSを安定して貼り付けることができる。
【0082】
また、第1実施形態のプリンタ1は、固定刃71と可動刃72とを有する切断部7を備え、調整部8は、レバー31による操作入力に応じて可動刃72に外力を付加して固定刃71の方向に移動させる外力付加部81Cを有する。この構成により、単一のレバー31の操作でラベル押さえ部4の首振り角度の調整動作と切断部7によるラベルPの切断動作との2つの動作を行うことができるので、ラベル印刷作業を簡略化でき、作業効率を向上できる。
【0083】
また、第1実施形態のプリンタ1では、調整部8は、レバー31と連動するレール81と、レール81とラベル押さえ部4とを連結するテンションバネ83と、テンションバネ83側の方向にラベル押さえ部4を付勢する加圧バネ82と、を有する。レバー31の操作量に応じてレール81がテンションバネ83を引っ張ることにより、ラベル押さえ部4の首振り角度を調整する。外力付加部81Cは、レール81に設けられ、レバー31の操作量に応じたレール81の移動によって可動刃72に外力を付加する。この構成により、ラベル押さえ部4が調整部8のテンションバネ83及びレール81を介してレバー31と物理的に連結される構成となるので、レバー31の操作入力に応じた外力を直接ラベル押さえ部4に伝達することが可能となる。これにより、機械的な構造のみでラベル押さえ部4の首振り角度の調整が可能となるので、外力の伝達系統が簡易な構成となり故障の可能性を低くでき、装置の信頼性を向上できる。
【0084】
また、第1実施形態のプリンタ1は、当該プリンタ1の利用者が把持するグリップ3を備え、操作部は、グリップ3に設けられるレバー31である。レバー31の操作量が小さい第1の操作範囲では、レバー31の操作量に応じて調整部8によりラベル押さえ部4の首振り角度が調整され、レバー31の操作量が第1の操作範囲より大きい第2の操作範囲になると、外力付加部81Cによる切断部7の操作が行われる。この構成により、プリンタ1の利用者はグリップ3を介してプリンタを確実に把持できるので、印刷ラベルを被貼付物Oに貼付する際の位置決め精度を向上できる。また、グリップ3を把持している手の指でレバー31を操作すれば、首振り角度の調整や切断操作を実施されることが可能となるので、利用者は片手でラベル印刷操作を行うことが可能となり、プリンタ1の使いやすさを向上できる。
【0085】
また、第1実施形態のプリンタ1は、検出センサ64と、制御部63と、を備える。制御部63は、検出センサ64によりラベル押さえ部4の回動が検知されるとラベル印刷を開始する。この構成により、ラベル押さえ部4が被貼付物Oに押圧されて、ラベルPを確実に被貼付物Oに押し付けることができる状態であることが検出センサ64により検知された後に、ラベル印刷を開始させることができる。これにより、例えばラベル押さえ部4が被貼付物Oから離れている状態など、ラベル押さえ部4がラベルPを被貼付物Oに押圧できない状況において印刷されたラベルPがラベル排出口21から搬出されることを防止できる。この結果、ラベルPをより確実に被貼付物Oに貼付することが可能となる。
【0086】
[第2実施形態]
図15を参照して第2実施形態を説明する。図15は、第2実施形態に係るプリンタ1Aの内部構成を示す模式図である。
【0087】
図15に示すように、第2実施形態のプリンタ1Aは、レバー31の代わりに、操作部として電動ボタン34を備える。電動ボタン34は、例えば第1実施形態のレバー31と同様のグリップ3の位置に設けられる。
【0088】
調整部8Aは、加圧バネ82と、テンションバネ83と、巻き取りモータ84(第1駆動源)と、を有する。巻き取りモータ84は、第1配線85を介して電動ボタン34と電気的に接続されており、電動ボタン34の操作入力に応じて作動する。巻き取りモータ84の回転軸は例えばテンションバネ83の一端とワイヤ等を介して接続されており、モータが作動してワイヤを巻き取ることによって、テンションバネ83を引っ張ることができる。つまり、巻き取りモータ84は、電動ボタン34と電気的に接続され、テンションバネ83をラベル押さえ部4から離れる方向に外力を付加する。
【0089】
第2実施形態のプリンタ1Aは、オートカッタユニット7A(外力付加部)を備える。オートカッタユニット7Aは、固定刃71と、可動刃72と、モータ73(外力付加部、第2駆動源)と、を備える。モータ73は、第2配線86を介して電動ボタン34と電気的に接続されており、電動ボタン34の操作入力に応じて作動する。モータ73は、例えばギヤ等の伝達系を介して可動刃72に連結されており、モータ73が作動することによって可動刃72をZ方向に移動させることができる。つまり、オートカッタユニット7Aは、電動ボタン34と電気的に接続されるモータ73を有し、電動ボタン34の操作量に応じてモータ73から出力される駆動力によって可動刃72に外力を付加する。
【0090】
第2実施形態のプリンタ1Aでは、調整部8Aは、例えば電動ボタン34を押している間は巻き取りモータ84によりテンションバネ83を引っ張ることができる。これにより、第1実施形態の調整部8と同様に、テンションバネ83の引張力と、プリンタ1Aを被貼付物(不図示)側に押す力とが釣り合う位置にてラベル押さえ部4の首振り角度を保持することができる。なお、モータ保護を目的として、ラベル押さえ部4の角度を維持する際に、巻き取りモータ84の巻き取り部にはトルクリミッタ等により規定以上の負荷が加わると空転する仕組みを設けてもよい。
【0091】
第2実施形態のプリンタ1Aでは、例えば電動ボタン34を二回連続で押すなど、ラベル押さえ部4の首振り角度調整とは別の操作入力によって、オートカッタユニット7Aのモータ73を作動させてラベル切断動作を行うことができる。
【0092】
第2実施形態のプリンタ1Aにおける電動ボタン34の操作入力と、首振り角度調整と、切断動作との対応関係は、上記の例に限られない。例えば、電動ボタン34を1回クリックするごとに調整部8Aがラベル押さえ部4の首振り角度を所定角度ずつ変更する制御を行い、電動ボタン34を長押ししたときにオートカッタユニット7Aがラベル切断動作を行う構成としてもよい。
【0093】
第2実施形態のプリンタ1Aを用いたラベル貼付手順は、レバー31の代わりに電動ボタン34を操作する点以外は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0094】
第2実施形態のプリンタ1Aでは、調整部8Aは、ラベル押さえ部4との間に連結されるテンションバネ83と、テンションバネ83側の方向にラベル押さえ部4を付勢する加圧バネ82と、操作部としての電動ボタン34と電気的に接続され、テンションバネ83をラベル押さえ部4から離れる方向に外力を付加する巻き取りモータ84と、を有する。調整部8Aは、電動ボタン34の操作量に応じて調整部8Aの巻き取りモータ84がテンションバネ83を引っ張ることにより、加圧バネ82との付勢力と釣り合う位置にてラベル押さえ部4の首振り角度を保持する。外力付加部としてのオートカッタユニット7Aは、電動ボタン34と電気的に接続されるモータ73を有し、電動ボタン34の操作量に応じてモータ73から出力される駆動力によって可動刃72に外力を付加する。
【0095】
操作部としての電動ボタン34と、調整部8A及びオートカッタユニット7Aとが電気的に接続されるので、例えば利用者の嗜好などに合わせて、電動ボタン34の操作入力と、調整部8A及びオートカッタユニット7Aの動作との関連付けを任意の内容で設定することが可能となる。これにより、電動ボタン34の操作に基づく調整部8A及びオートカッタユニット7Aの動作の自由度を向上できるので、プリンタ1の汎用性や利便性を向上できる。
【0096】
[第3実施形態]
図16図19を参照して第3実施形態を説明する。
【0097】
図16図17を参照して、第3実施形態に係るプリンタ1Bの構成について説明する。図16は、第3実施形態に係るプリンタ1Bの斜視図である。図17は、図16に示すプリンタ1Bの内部構成を示す模式図である。
【0098】
プリンタの形状は、第1、第2実施形態のようにレバー31やグリップ3を有するガンタイプだけではなく他の形状であっても良い。例えば、図16に示すように、グリップ3を備えずプリンタ本体2のみで構成され、利用者がプリンタ本体2を把持する形状、例えばマウス型であってもよい。
【0099】
図16に示すように、第3実施形態のプリンタ1Bは、レバー31や電動ボタン34の代わりに、操作部としてプリンタ本体2の上面2Bに操作ボタン23を備える。操作ボタン23は例えば矩形状であり、操作ボタン23の矩形状の四辺のうち前方を除く三辺の周囲にはボタンガード24が設けられる。ボタンガード24の上面は、操作ボタン23の上面2Bの突出量より大きく形成されており、プリンタ1Bが机上などに載置されたときに、操作ボタン23が載置面と接触して誤動作することを防止できる。なお、ボタンガード24は、操作ボタン23の誤操作を防止できればよく、図16に例示する形状以外の構成でもよい。
【0100】
プリンタ本体2の内部には、操作ボタン23の底面23Aと接触するように操作ボタン復帰バネ25が設置されている。操作ボタン復帰バネ25は、Z方向に伸縮可能に配置され、操作ボタン23によって収縮状態で設置されている。これにより、操作ボタン23は操作ボタン復帰バネ25によってZ正方向側に付勢されており、利用者が操作ボタン23を離したときには、操作ボタン23は初期状態の位置に戻される。操作ボタン復帰バネ25は例えばコイルバネである。
【0101】
図17に示すように、調整部8Bは、加圧バネ82と、テンションバネ83と、レール87(連結部材)とを有する。レール87は、Z方向に延在する長手状の部材である。レール87のZ正方向側の基端部87A(外力付加部)は、操作ボタン23の底面23Aに接続される。レール87は、操作ボタン23と一体的に形成されるのが好ましい。レール87のZ負方向側の先端部87Bには、テンションバネ83の一端が連結される。
【0102】
レール87は、例えばプリンタ本体2の内壁などに設けられる不図示のガイドなどにZ方向に摺動可能に設置されている。レール87は、Z負方向への移動時に可動刃72と接触可能な位置に配置され、Y方向視において切断部7と重畳する位置に配置されるのが好ましい。
【0103】
調整部8Bは、操作ボタン23の操作量に応じてレール87がZ負方向側に移動し、これによりレール87の先端部87Bがテンションバネ83を引っ張ることができる。これにより、第1実施形態の調整部8と同様に、テンションバネ83の引張力と、プリンタ1Bを被貼付物O側に押す力とが釣り合う位置にてラベル押さえ部4の首振り角度を保持することができる。
【0104】
第3実施形態のプリンタ1Bでは、切断部7の固定刃71と可動刃72の配置が、第1、第2実施形態と反対となる。図17に示すように、切断部7の作動前の状態では、固定刃71はラベルPに対してZ負方向側に配置され、可動刃72はラベルPに対してZ正方向側に配置される。そして、固定刃71は刃先がZ正方向側に配置され、可動刃72は刃先がZ負方向側に配置される。
【0105】
図17に示すように、切断部7の作動前の状態では、基端部87Aが可動刃72のZ正方向側の端部よりもさらにZ正方向側に配置するよう設置されている。基端部87Aには、例えばZ負方向側に向いて形成される壁面など、レール87のZ負方向側への移動時に可動刃72のZ正方向側の端部と当接可能な部分が設けられている。すなわち第3実施形態では、基端部87Aが、操作ボタン23による操作入力に応じたレール87の移動によって、可動刃72をZ負方向側に押圧して可動刃72に外力を付加する外力付加部として機能する。
【0106】
第3実施形態のプリンタ1Bでは、操作ボタン23の操作量が小さい第1の操作範囲では、操作ボタン23の操作量に応じて調整部8Bによりラベル押さえ部4の首振り角度が調整され、操作ボタン23の操作量が第1の操作範囲より大きい第2の操作範囲になると、基端部87Aによる切断部7の操作が行われる。
【0107】
図18図19を参照して、第3実施形態のプリンタ1Bを用いたラベル貼付手順を説明する。
【0108】
図18は、第3実施形態におけるラベル貼付手順の第1段階を示す図である。図18に示す第1段階の前段階では、第1実施形態の第1、第2段階と同様に、利用者によってプリンタ1Bが被貼付物Oに接近されて、ラベル押さえ部4の先端部分が、被貼付物Oに接触されているラベルPの先端部分を被貼付物Oに押圧して被貼付物Oに貼り付ける。また、ラベル押さえ部4がY軸まわりにZ正方向側に回動して貼付け移動方向に対して傾き、検出センサ64がON状態になり、印字ユニット6が印字動作を開始してラベルPに印刷されてラベル排出口21から搬出される。
【0109】
プリンタ1Bをラベル貼付方向へ移動させつつ、図18に矢印F18で示すように操作ボタン23が押されると、矢印F19で示すようにレール87が操作ボタン23の操作量と同じ距離だけZ負方向側に移動する。レール87とラベル押さえ部4との相対距離が増えるため、矢印F20で示すように、レール87の先端部87Bに連結されるテンションバネ83がレール87側に引っ張られる。この結果、ラベル押さえ部4がテンションバネ83から引っ張り力を受けて、矢印F21で示す方向に回動する。ラベル押さえ部4は、テンションバネ83による引っ張り力と、プリンタ1Bを被貼付物O側に押す力とが釣り合う位置で首振り角度が保持される。この首振り角度は、利用者が操作ボタン23の操作量とプリンタ1Bを被貼付物O側に押す力とを同一量で維持し続ける間保持され、操作ボタン23を押す量とプリンタ1Bを被貼付物O側に押す力とを調整することによりラベル押さえ部4の首振り角度を調整できる。
【0110】
ラベル押さえ部4が所望の首振り角度で保持された状態で、ラベル押さえ部4によってラベル排出口21から搬出されるラベルPを被貼付物Oに押さえながらプリンタ1Bをラベル貼付方向に移動させることによって、図18に示すようにラベルPが被貼付物Oに順次貼付されていく。
【0111】
図19は、第3実施形態におけるラベル貼付手順の第2段階を示す図である。引き続きラベル貼付方向にプリンタ1Bを移動させつつ、矢印F22で示すように、利用者により操作ボタン23が第1段階よりさらに押される。このとき、利用者は操作ボタン23をZ負方向側の可動範囲の限界位置まで完全に押し込むのが好ましい。
【0112】
操作ボタン23の操作に伴い、図19に矢印F23で示すようにレール87も連動して操作ボタン23と同じ距離だけZ負方向に第1段階の位置よりさらに移動する。これにより、基端部87Aが可動刃72のZ正方向の端部を押圧し、可動刃72にZ負方向側に外力を付加する。これにより矢印F24で示すように、可動刃72がZ負方向側に移動して固定刃71と重畳する位置まで移動し、ラベルPが固定刃71と可動刃72との間で挟まれた位置で切断される。このとき、ラベルPのうち切断部7より搬送方向下流側の部分は、ラベルPから切り離されて被貼付物Oに貼付されるラベルSとなる。
【0113】
図19に示す第2段階の後は、第1実施形態の第5段階と同様に、第2段階でラベルPから切断されたラベルSの全体がラベル押さえ部4により押圧されて、被貼付物Oに貼付される。その後、利用者がプリンタ1Bを被貼付物Oから離すことによりラベル押さえ部4は初期位置に戻されて検出センサ64がOFF状態となりラベル貼付作業が完了する。
【0114】
第3実施形態に係るプリンタ1Bでは、操作部は、当該プリンタ1Bの本体2に設けられる操作ボタン23であり、操作ボタン23の操作量が小さい第1の操作範囲では、操作ボタン23の操作量に応じて調整部8Bによりラベル押さえ部4の首振り角度が調整され、操作ボタン23の操作量が第1の操作範囲より大きい第2の操作範囲になると、基端部87Aによる切断部7の操作が行われる。
【0115】
プリンタ1Bの利用者はプリンタ本体2を把持している手の指で操作ボタン23を操作すれば、首振り角度の調整や切断操作を実施されることが可能となるので、利用者は片手でラベル印刷操作を行うことが可能となり、プリンタ1Bの使いやすさを向上できる。
【0116】
第3実施形態では、レバー31以外の操作部として操作ボタン23を備える構成を例示したが、その他にもダイヤルなど回転操作により操作入力を行うものなど、他の入力要素を用いてもよい。同様に、第1実施形態のレバー31や第2実施形態の電動ボタン34の代わりに、グリップ3に操作部としてダイヤルなどの他の入力要素を用いてもよい。
【0117】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0118】
1、1A、1B ハンディプリンタ、2 プリンタ本体、21 ラベル排出口、23 操作ボタン、3 グリップ、31 レバー、34 電動ボタン、4、4A、4B ラベル押さえ部、6 印字ユニット、63 制御部、64 検出センサ、7 切断部、7A オートカッタユニット、71 固定刃、72 可動刃、73 モータ、8、8A、8B 調整部、81,87 レール、81C 外力付加部、82、82A、82B 加圧バネ、83 テンションバネ、84 巻き取りモータ、87A 基端部、P ラベル、O 被貼付物
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