(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081265
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ミストブロワおよび液体ノズルの製造方法
(51)【国際特許分類】
B05B 17/00 20060101AFI20240611BHJP
A01M 7/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B05B17/00
A01M7/00 L
A01M7/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194762
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷本 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】沓名 知之
(72)【発明者】
【氏名】小出 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】座間 亮二
【テーマコード(参考)】
2B121
4D074
【Fターム(参考)】
2B121CB02
2B121CB24
2B121CB45
2B121CB47
2B121CB51
2B121CC31
4D074AA05
4D074BB06
4D074CC03
4D074CC14
4D074CC32
4D074CC33
(57)【要約】
【課題】液体を微粒化することができる技術を提供する。
【解決手段】ミストブロワは、液体を貯留する液体タンクと、ファンと、ファンにより送り出された空気が流れる放出管と、放出管の内部に配置されており、液体タンクに貯留されている液体を放出管内に放出する液体ノズル本体と、液体ノズル本体と離れている対向体と、を備えている。液体ノズル本体は、最小の直径を有する絞り部を備え、液体が通過する液体通路と、ファンにより送り出された空気が流れるノズル側面と、を備えている。液体は、絞り部の放出口から放出される。対向体は、放出口に対向して配置される対向面と、対向面に接続されており、ファンにより送り出された空気が流れる対向体側面と、を備えている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体タンクと、
ファンと、
前記ファンにより送り出された空気が流れる放出管と、
前記放出管の内部に配置されており、前記液体タンクに貯留されている前記液体を前記放出管内に放出する液体ノズル本体と、
前記液体ノズル本体と離れている対向体と、を備えており、
前記液体ノズル本体は、
最小の直径を有する絞り部を備え、前記液体が通過する液体通路と、
前記ファンにより送り出された空気が流れるノズル側面と、を備えており、
前記液体は、前記絞り部の放出口から放出され、
前記対向体は、
前記放出口に対向して配置される対向面と、
前記対向面に接続されており、前記ファンにより送り出された空気が流れる対向体側面と、を備えている、ミストブロワ。
【請求項2】
前記ノズル側面は、第1直径を有する円形状を有しており、
前記対向体側面は、第2直径を有する円形状を有しており、
前記第2直径は、前記第1直径の60%以上かつ100%以下である、請求項1に記載のミストブロワ。
【請求項3】
前記液体ノズル本体と前記対向体とを接続する接続体をさらに備えている、請求項1または2に記載のミストブロワ。
【請求項4】
前記対向体側面の周方向に関して、前記接続体の外面の長さは、前記対向体側面の長さの50%以下である、請求項3に記載のミストブロワ。
【請求項5】
前記接続体は、前記対向体と一体的に形成されており、前記液体ノズル本体と別体である、請求項3または4に記載のミストブロワ。
【請求項6】
前記対向面と前記液体ノズル本体との間の距離は、前記絞り部の前記直径の200%以上かつ600%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のミストブロワ。
【請求項7】
液体タンクに貯留されている液体を、空気が流れる放出管に放出する液体ノズルの製造方法であって、
前記液体ノズルは、
第1方向に延びている貫通孔であって、前記液体が通過する前記貫通孔を有するベース体と、
前記ベース体に圧入可能な圧入体と、を備えており、
前記貫通孔は、
前記貫通孔内で最小の直径を有する絞り部と、
前記絞り部の直径よりも大きい直径を有する第1孔部と、
前記絞り部に対して前記第1孔部と反対側に配置されており、前記絞り部の前記直径よりも大きい直径を有する第2孔部と、を備えており、
前記製造方法は、
前記絞り部から所定距離離れた位置まで前記圧入体を前記第2孔部に圧入する圧入工程と、
前記圧入工程後に、前記絞り部と前記圧入体との間の位置で、前記第1方向に直交する第2方向に前記ベース体を切削して、前記ベース体を前記ベース体の側面から内面まで貫通する開口を形成する開口形成工程と、を備えている、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ミストブロワおよび液体ノズルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ミストブロワが開示されている。ミストブロワは、液体を貯留する液体タンクと、ファンと、ファンにより送り出された空気が流れる放出管と、放出管の内部に配置されており、液体タンクに貯留されている液体を放出管内に放出する液体ノズルと、を備えている。液体ノズルは、液体ノズルの外部に液体を放出する放出口を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のミストブロワでは、通常、放出口から放出された液体は、前端面上を液体ノズルの角部まで移動した後に角部で液体ノズルから離れて微粒化される。一方で、放出口から放出された液体の一部は、前端面上を角部に向かって移動することなく、放出直後に前端面から離れてミスト化される。放出口近傍で前端面から離れた液体の粒径は、液体ノズルの角部で微粒化された液体の粒径よりも大きくなる。本明細書では、液体を微粒化することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、ミストブロワを開示する。ミストブロワは、液体を貯留する液体タンクと、ファンと、ファンにより送り出された空気が流れる放出管と、放出管の内部に配置されており、液体タンクに貯留されている液体を放出管内に放出する液体ノズル本体と、液体ノズル本体と離れている対向体と、を備えている。液体ノズル本体は、最小の直径を有する絞り部を備え、液体が通過する液体通路と、ファンにより送り出された空気が流れるノズル側面と、を備えている。液体は、絞り部の放出口から放出される。対向体は、放出口に対向して配置される対向面と、対向面に接続されており、ファンにより送り出された空気が流れる対向体側面と、を備えている。
【0006】
上記の構成によれば、放出口から放出された液体は、対向体の対向面に当たり、対向面上を対向体側面まで移動する。その後、液体は、ファンにより送り出された空気により、対向体から離れる。これにより、液体を微粒化することができる。
【0007】
本明細書は、液体ノズルの製造方法を開示する。液体ノズルは、液体タンクに貯留されている液体を、空気が流れる放出管に放出する。液体ノズルは、第1方向に延びている貫通孔であって、液体が通過する貫通孔を有するベース体と、ベース体に圧入可能な圧入体と、を備えている。貫通孔は、貫通孔内で最小の直径を有する絞り部と、絞り部の直径よりも大きい直径を有する第1孔部と、絞り部に対して第1孔部と反対側に配置されており、絞り部の直径よりも大きい直径を有する第2孔部と、を備えている。製造方法は、絞り部から所定距離離れた位置まで圧入体を第2孔部に圧入する圧入工程と、圧入工程後に、絞り部と圧入体との間の位置で、第1方向に直交する第2方向にベース体を切削して、ベース体をベース体の側面から内面まで貫通する開口を形成する開口形成工程と、を備えている。
【0008】
上記の方法で製造される液体ノズルでは、絞り部から放出された液体は、圧入体に当たり、圧入体上を開口に向かって移動する。その後、液体は、開口から液体ノズルの外部に出る。液体は、液体ノズルの周りを流れる空気により、液体ノズルから離れる。これにより、液体を微粒化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】第1実施例の作業機2において、カバー部28が開いているときの斜視図である。
【
図4】第1実施例のファンユニット18と制御ユニット20の分解斜視図である。
【
図6】第1実施例の液体タンク24と、排出チューブ88と、供給ライン90の斜視図である。
【
図7】第1実施例の放出管10と、筒部材120と、液体ノズル122の断面斜視図である。
【
図8】第1実施例の液体ノズル122の斜視図である。
【
図9】第1実施例の第2供給管102と液体ノズル122の断面図である。
【
図10】第1実施例の液体ノズル122の前端近傍の断面図である。
【
図11】第1実施例の液体ノズル122の角部188の断面図である。
【
図12】第1実施例の液体ノズル122の接続体136近傍の断面図である。
【
図13】第1実施例の液体ノズル122の製造方法を示す液体ノズル122の断面図である。
【
図14】第1実施例の液体ノズル122の製造方法を示す液体ノズル122の断面図である。
【
図15】第2実施例の液体ノズル122の前端近傍の断面図である。
【
図16】第3実施例の液体ノズル122の接続体136近傍の断面図である。
【
図17】第4実施例の対向体134の対向体前端面184近傍の断面図である。
【
図18】第5実施例の液体ノズル122の角部188の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善されたミストブロワおよびそれに用いられる液体ノズルの製造方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0011】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0012】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ノズル側面は、第1直径を有する円形状を有していてもよい。対向体側面は、第2直径を有する円形状を有していてもよい。第2直径は、第1直径の60%以上かつ100%以下であってもよい。
【0014】
上記の構成によれば、空気が、液体ノズル本体のノズル側面に沿って流れた後に、対向体の対向体側面に沿って流れても、空気の流速が低下することを抑制することができる。これにより、液体をより微粒化することができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ミストブロワは、液体ノズル本体と対向体とを接続する接続体をさらに備えていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、液体ノズル本体に対する対向体の位置を固定することができる。これにより、液体を安定して微粒化することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、対向体側面の周方向に関して、接続体の外面の長さは、対向体側面の長さの50%以下であってもよい。
【0018】
上記の構成によれば、液体を、対向体側面の全周に亘って移動させることができる。これにより、液体をより微粒化することができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、接続体は、対向体と一体的に形成されており、液体ノズル本体と別体であってもよい。
【0020】
上記の構成によれば、液体ノズル本体と、対向体および接続体とを容易に作製することができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、対向面と液体ノズル本体との間の距離は、絞り部の直径の200%以上かつ600%以下であってもよい。
【0022】
上記の構成によれば、対向面と液体ノズル本体との間の距離が絞り部の直径の200%よりも小さいとき、放出口から放出された液体が、液体ノズル本体と対向体との間に溜まってしまい、液体を微粒化することが抑制される。一方、対向面と液体ノズル本体との間の距離が絞り部の直径の600%よりも大きいとき、対向面と液体ノズル本体との間の距離が絞り部の直径の600%以下である構成と比較して、対向体の対向体側面に沿って流れる空気の流速が低下する。これにより、液体を微粒化することが抑制される。上記の構成によれば、液体を微粒化することができる。
【0023】
(第1実施例)
図1に示すように、作業機2は、背負い式の作業機である。作業機2は、液体を放出する(散布する)ように構成されている。作業機2は、例えば、ミストブロワである。作業機2は、本体ユニット4と、フレームユニット6と、ハーネスユニット8と、放出管10と、ハンドルユニット12と、を備えている。フレームユニット6は、本体ユニット4に取り付けられている。ハーネスユニット8は、本体ユニット4に、直接的および/または間接的に取り付けられている。放出管10は、本体ユニット4の右側下部に取り付けられている。ハンドルユニット12は、放出管10に取り付けられている。ユーザは、ハーネスユニット8を装着して作業機2を背負った状態で、ハンドルユニット12を把持して放出管10を取り回すことにより、放出管10から液体を散布する。以下では、作業機2の上下方向と前後方向と左右方向のそれぞれは、作業機2を背負ったユーザから見た上下方向と前後方向と左右方向のそれぞれに対応している。
【0024】
図2に示すように、本体ユニット4は、本体ハウジング16と、ファンユニット18と、制御ユニット20と、液体タンク24と、を備えている。
図3に示すように、本体ハウジング16は、本体部26と、カバー部28と、を備えている。カバー部28は、左右方向に延びる回動軸周りを回動可能に本体部26に取り付けられている。
【0025】
図2に示すように、本体部26の内部には、第1内部空間32と第2内部空間34が画定されている。第1内部空間32には、ファンユニット18と制御ユニット20が配置される。
図3に示すように、本体部26の左側面の下部近傍には、カバー40が取り付けられており、第1内部空間32は、カバー40の吸気口40aを介して、作業機2の外部と連通している。第2内部空間34は、カバー部28が開くことにより、作業機2の外部と連通する。
図2に示すように、第2内部空間34には、複数(本実施例では2個)のバッテリパックBPが配置される。
【0026】
図4に示すように、ファンユニット18は、ファン44と、電動モータ46と、モータハウジング48と、蓋部材50と、コーン52と、筒部材54と、を備えている。ファン44は、例えば、軸流ファンである。電動モータ46のシャフト46aは、ファン44に連結されている。電動モータ46は、バッテリパックBP(
図2参照)の電力により動作する。電動モータ46は、ファン44を回転させる。電動モータ46は、例えば、ブラシレスモータである。モータハウジング48は、電動モータ46を収容している。モータハウジング48の外面には、複数の整流フィン55が形成されている。蓋部材50は、モータハウジング48の左端開口を閉じる。コーン52は、モータハウジング48の右端に連結されている。筒部材54は、略円筒形状を有する。筒部材54は、ファン44と、電動モータ46と、モータハウジング48と、蓋部材50を内部に収容している。筒部材54の内面は、複数の整流フィン55と連結している。筒部材54は、本体ハウジング16(
図2参照)に支持されている。
【0027】
制御ユニット20は、筒部材54の上部に取り付けられている。制御ユニット20は、複数のスイッチング素子(図示省略)とマイコンとを備えている制御基板56を備えている。制御基板56は、電動モータ46の回転を制御する。制御基板56は、ケース57に収容されている。筒部材54の上部には、開口54aが形成されており、ケース57の下面の少なくとも一部分は、筒部材54の開口54aを塞いでいる。ケース57は、例えば、金属材料からなる。制御ユニット20は、カバー部材58により覆われている。ケース57とカバー部材58は、筒部材54に取り付けられている。
【0028】
筒部材54には、
図1に示す放出管10が取り付けられている。放出管10は、本体ユニット4の右側に配置されている。放出管10は、筒部材54(
図2参照)に取り付けられている湾曲管60と、湾曲管60に取り付けられている蛇腹管62と、蛇腹管62に取り付けられている中間管64と、中間管64に取り付けられている先端管66と、を備えている。蛇腹管62は、中間管64と先端管66の向きを調整できるように構成されている。先端管66の先端には、ドーム形状を有する拡散カバー70が取り付けられている。
【0029】
図1に示すように、中間管64には、ハンドルユニット12が取り付けられている。ハンドルユニット12は、把持部72と、把持部72に取り付けられているトリガ74と、把持部72に連結されているヘッド部76と、ヘッド部76の後面に配置されている主電源ボタン78と、ヘッド部76の上面に配置されている調整ボタン80と、を備えている。ユーザは、把持部72を把持してハンドルユニット12を動かすことにより、中間管64と先端管66の向きを調整することができる。主電源ボタン78は、作業機2のオン状態とオフ状態を切り替えるユーザの操作を受け入れる。調整ボタン80は、電動モータ46(
図4参照)の回転数を調整するユーザの操作を受け入れる。
【0030】
作業機2がオン状態であるときに、ユーザによりトリガ74が押し込まれると、
図4に示す制御基板56は、バッテリパックBP(
図2参照)の電力により、電動モータ46のシャフト46aを回転させる。これにより、ファン44が回転し、空気が、複数の吸気口40a(
図3参照)を介して、作業機2の外部から第1内部空間32(
図2参照)に流入する。流入した空気は、筒部材54の内部に流入する。
図4に示すように、流入した空気は、ファン44により送り出され、複数の整流フィン55により整流された後、コーン52に沿って流れる。ケース57の下面の少なくとも一部分が筒部材54の開口54aを塞いでいるため、ファン44により送り出された空気は、ケース57の下面に沿って流れる。これにより、ケース57が冷却され、その結果、制御ユニット20(制御基板56)が冷却される。その後、空気は、
図5に示す放出管10の内部を流れて、拡散カバー70を通り、作業機2の外部に放出される。空気は、拡散カバー70の拡散フィン70aにより、先端管66の径方向外側に案内されて、広範囲に放出される。
【0031】
図3に示すように、液体タンク24は、本体ハウジング16の上部に取り付けられている。液体タンク24は、液体を貯留する。液体は、例えば、薬液または水である。
【0032】
図6に示すように、液体タンク24の下端には、排出部84と供給部86が形成されている。排出部84には、排出チューブ88が連結されている。排出チューブ88上の排出コック89をユーザが開くことにより、液体タンク24に貯留されている液体は、排出部84と排出チューブ88を介して、液体タンク24の外部に排出される。
【0033】
供給部86には、供給ライン90が連結されている。供給ライン90は、第1供給管92と、第1供給コック94と、電磁弁96と、供給チューブ98と、第2供給コック100(
図5参照)と、第2供給管102(
図5参照)と、第3供給コック104(
図5参照)と、を備えている。作業機2による作業時では、第1供給コック94と、第2供給コック100と、第3供給コック104が開いている。
図6に示すように、第1供給管92は、液体タンク24の供給部86に連結されている。第1供給コック94と電磁弁96は、第1供給管92上に配置されている。第1供給コック94は、ユーザに操作される。第1供給コック94は、第1供給管92を開閉する。図示省略されているが、電磁弁96は、本体ハウジング16(
図2参照)の内部に配置されている。電磁弁96は、制御基板56(
図4参照)の制御により開閉する。
【0034】
供給チューブ98は、第1供給管92に連結されている。
図5に示すように、供給チューブ98は、放出管10に沿って延びている。第2供給コック100は、供給チューブ98上に配置されている。供給チューブ98は、第2供給コック100が配置される位置で放出管10に固定されている。第2供給コック100は、ユーザに操作される。第2供給コック100は、供給チューブ98を開閉する。
【0035】
図7に示すように、第2供給管102は、供給チューブ98に連結されている。先端管66は、第1先端管67と、第1先端管67の前端に取り付けられている第2先端管68と、を備えており、第2供給管102は、第1先端管67と一体的に形成されている。第2供給管102は、外側部分108と、第1内側部分110と、第2内側部分112と、を備えている。外側部分108は、先端管66の外部に配置されている。第3供給コック104は、外側部分108に配置されている。第3供給コック104は、ユーザに操作される。第3供給コック104は、外側部分108を開閉する。第1内側部分110と第2内側部分112は、先端管66の内部に配置されている。第1内側部分110は、外側部分108の下端から下側に延びている。第2内側部分112は、第1内側部分110の下端から第2先端管68の放出開口68aに向かって延びている。第1供給コック94(
図6参照)と、電磁弁96(
図6参照)と、第2供給コック100(
図5参照)と、第3供給コック104が開いているとき、液体タンク24(
図5参照)内の液体は、第1供給管92(
図5参照)、供給チューブ98、第2供給管102の内部を流れることができる。
【0036】
以下では、先端管66の長手方向が前後方向に沿っている場合を例として説明をする。作業機2は、筒部材120と、液体ノズル122と、をさらに備えている。筒部材120は、第2先端管68の内部に配置されている。筒部材120は、前後方向に長手方向を有する略円筒形状を有する。筒部材120は、前側筒部124と、後側筒部126と、を備えている。前側筒部124は、複数のフィン128を介して、第2先端管68に連結されている。前側筒部124と、複数のフィン128と、第2先端管68は、一体的に形成されている。後側筒部126は、前側筒部124の後側に配置されている。後側筒部126は、フィン128と第2先端管68にねじで連結されている。筒部材120の内面の直径は、前側に向かうにつれて小さくなった後、大きくなる。先端管66の内部を流れる空気の一部は、
図7中の矢印F1のように筒部材120の内部を流れ、先端管66の内部を流れる空気の残りは、
図7中の矢印F2のように、筒部材120の外部を流れる。
【0037】
液体ノズル122は、例えば、高濃度少量噴霧(Ultra Low Volume)式のノズルである。液体ノズル122は、第2先端管68の内部に配置されている。液体ノズル122の前端は、第2先端管68の放出開口68aに最も近い位置に(最も前側に)配置されており、液体ノズル122の後端は、第2先端管68の放出開口68aから最も離れた位置に(最も後側に)配置されている。液体ノズル122の前端は、液体ノズル122の先端に対応し、液体ノズル122の後端は、液体ノズル122の基端に対応する。液体ノズル122は、前後方向に長手方向を有する。液体ノズル122は、金属材料、例えば、真鍮からなる。変形例では、液体ノズル122は、樹脂材料からなっていてもよい。
【0038】
図8に示すように、液体ノズル122は、液体ノズル本体132と、対向体134と、接続体136と、を備えている。液体ノズル本体132は、挿入部140と、ノズル部142と、を備えている。挿入部140は、略円筒形状を有する。
図9に示すように、挿入部140の外面には、弾性部材144が取り付けられている。弾性部材144は、例えば、Oリングである。また、挿入部140の外面には、雄ねじ部146が形成されている。第2内側部分112の内面には、雌ねじ部148が形成されている。挿入部140を第2内側部分112の内面に挿入して、挿入部140の雄ねじ部146を第2内側部分112の雌ねじ部148に螺合させることにより、挿入部140は、第2内側部分112に連結される。また、挿入部140が第2内側部分112に連結されているとき、弾性部材144は、挿入部140の外面と第2内側部分112の内面との間に挟まれている。これにより、挿入部140の外面と第2内側部分112の内面との間がシールされる。
【0039】
ノズル部142は、挿入部140の前端に連結されている。ノズル部142は、ノズル側面150を備えている。ノズル側面150は、ノズル部142の外形形状の少なくとも一部を形成している。
図7に示すように、先端管66の内部を流れる空気の一部は、矢印F1で示すように、ノズル側面150に沿って液体ノズル122の前端に向かって流れる。ノズル側面150は、第1ノズル側面152と、第2ノズル側面154と、を備えている。第1ノズル側面152の後端の直径は、第2内側部分112の外面の直径と略同一である。第1ノズル側面152の直径は、ノズル部142の後端から前端に向かうにつれて小さくなる。第1ノズル側面152は、滑らかな曲線形状を有する。第2ノズル側面154は、第1ノズル側面152の前側に配置されている。第2ノズル側面154の直径は、第1ノズル側面152の前端の直径と略同一であり、前後方向に亘って略一定である。第1ノズル側面152の少なくとも一部分と第2ノズル側面154は、後側筒部126に囲まれている。
【0040】
図9に示すように、液体ノズル122は、液体通路158をさらに備えている。液体通路158は、挿入部140とノズル部142の内部に配置されている。液体通路158は、液体ノズル122の後端から前端まで延びている。液体通路158は、液体ノズル122の中心軸CX上に配置されている。中心軸CXは、前後方向(液体ノズル122の長手方向)に延びている。液体通路158の断面は、略円形状を有する。
【0041】
液体通路158は、入口通路160と、第1移行通路162と、絞り通路164と、第2移行通路166と、出口通路168と、を備えている。入口通路160は、第2内側部分112の内部空間と連通している。入口通路160の直径は、例えば5mmである。入口通路160は、挿入部140の後端から前側に延びている。入口通路160は、挿入部140とノズル部142に跨って配置されている。
【0042】
図10に示すように、第1移行通路162は、入口通路160の前端(先端)に接続されている。第1移行通路162の直径は、前側に向かうにつれて徐々に小さくなる。絞り通路164は、第1移行通路162の前端に接続されている。絞り通路164の直径D1は、入口通路160の直径よりも小さい。絞り通路164の直径D1は、例えば0.5mmである。絞り通路164の前端は、放出口170に対応する。放出口170は、中心軸CX上に配置されている。第2移行通路166は、絞り通路164の前端に接続されている。第2移行通路166の直径は、前側に向かうにつれて徐々に大きくなる。出口通路168は、第2移行通路166の前端に接続されている。出口通路168の直径は、入口通路160の直径と略同一である。出口通路168は、液体ノズル本体132の前端面132aまで延びている。前端面132aは、液体ノズル本体132の先端面に対応する。
【0043】
対向体134は、液体ノズル本体132の前端面132aよりも前側に配置されている。対向体134は、液体ノズル本体132の前端面132aと離れている。これにより、対向体134と液体ノズル本体132の前端面132aとの間には、空間174が画定されている。対向体134は、全体として、略円板形状を有する。対向体134は、略円筒形状を有する被圧入体176と、略円板形状を有する圧入体178と、を備えている。圧入体178は、被圧入体176に圧入されている。圧入体178が被圧入体176に圧入されているとき、圧入体178の直径は、出口通路168の直径と略同一である。
【0044】
対向体134は、対向面180と、対向体側面182と、対向体前端面184と、を備えている。対向面180は、液体ノズル本体132の放出口170と対向している。対向面180は、液体ノズル本体132の前端面132aから離れている。対向面180と前端面132aとの間の距離L1は、絞り通路164の直径D1の200%以上かつ600%以下であり、本実施例では、直径D1の300%以上かつ500%以下に設定されている。対向面180は、略円形状を有する。対向面180の円中心は、中心軸CX上に配置されている。
【0045】
対向体側面182は、対向体134の側面に対応する。対向体側面182は、対向面180に接続されている。対向体側面182は、対向面180に略直交している。対向体側面182の断面は、略円形状を有する。対向体側面182の直径は、対向面180の直径と略同一である。対向体側面182の直径は、第2ノズル側面154の前端の直径(液体ノズル本体132の前端面132aの直径)の60%以上かつ100%以下である。本実施例では、対向体側面182の直径は、第2ノズル側面154の前端の直径の100%である。対向体側面182の直径は、前後方向に一定である。
【0046】
対向体前端面184は、対向体134の先端面に対応する。対向体前端面184は、対向体側面182に対して略直交している。対向体前端面184は、対向面180と反対側の面である。
【0047】
対向体134は、角部188をさらに備えている。
図11に示すように、角部188は、対向体側面182と対向体前端面184とを接続している。
図11は、角部188を拡大した断面図であり、角部188を誇張して図示している。角部188は、中心軸CX(
図10参照)の周りを一巡している。即ち、角部188は、対向体側面182の前端の周縁の全周に亘って配置されている。角部188は、対向体134の前端(先端)の角を構成している。角部188の曲率半径は、例えば、0.3mm以下である。角部188は、尖っている角である。角部188は、曲面形状を有する。変形例では、角部188は、曲面形状を有していなくてもよい。角部188は、側面接続箇所190で、対向体側面182に接続しており、前端接続箇所192で、対向体前端面184に接続している。角部188の近傍において、対向体側面182を延長した仮想側面194と、対向体前端面184を延長した仮想前端面196は、第1箇所198で略直角に交わっている。第1箇所198と側面接続箇所190との距離L2は、例えば、0.3mm以下である。第1箇所198と前端接続箇所192との距離L3は、例えば、0.3mm以下である。距離L3は、距離L2と略同一である。変形例では、距離L3は、距離L2と異なっていてもよい。
【0048】
図10に示すように、接続体136は、液体ノズル本体132の前端面132aと対向体134の対向面180を接続している。液体ノズル本体132と、対向体134の被圧入体176と、接続体136は、一体的に形成されている。
図12に示すように、接続体136は、第1接続体200と、第2接続体202と、を備えている。第1接続体200と第2接続体202は、中心軸CXの周りに配置されている。第1接続体200と第2接続体202は、中心軸CXの周方向に互いに離れて配置されている。このため、中心軸CXの周方向に関して、第1接続体200の一端と第2接続体202の一端との間には、第1開口204が画定されており、第1接続体200の他端と第2接続体202の他端との間には、第2開口206が画定されている。中心軸CXの周方向に関して、第1接続体200の位置を0度としたとき、第2接続体202は、180度の位置に配置されている。第1接続体200の内面200aは、第2接続体202の内面202aと対向している。第1接続体200の外面200bは、対向体134の対向体側面182と、液体ノズル本体132の第2ノズル側面154(
図10参照)に接続されている。なお、外面200bは、内面200aと反対側の面である。外面200bと中心軸CXとの距離は、第2ノズル側面154の前端の直径と、対向体側面182の直径のそれぞれと略同一である。第2接続体202の外面202bは、対向体134の対向体側面182と、液体ノズル本体132の第2ノズル側面154に接続されている。なお、外面202bは、内面202aと反対側の面である。外面202bと中心軸CXとの距離は、第2ノズル側面154の前端の直径と、対向体側面182の直径のそれぞれと略同一である。
【0049】
中心軸CXの周方向に関して、第1接続体200の外面200bの長さL4は、対向体側面182の周長の25%以下であり、本実施例では、対向体側面182の周長の15%以下である。また、中心軸CXの周方向に関して、第2接続体202の外面202bの長さL5は、対向体側面182の周長の25%以下であり、本実施例では、対向体側面182の周長の15%以下である。即ち、中心軸CXの周方向に関して、長さL4と長さL5の合計の長さは、対向体側面182の周長の50%以下であり、本実施例では、対向体側面182の周長の30%以下である。また、中心軸CXの周方向に関して、長さL4は、長さL5と略同一である。中心軸CXの周方向に関して、長さL4は、第1接続体200の内面200aの長さと略同一である。中心軸CXの周方向に関して、長さL5は、第2接続体202の内面202aの長さと略同一である。
【0050】
次に、液体ノズル122の製造方法を説明する。製造方法は、圧入工程と、開口形成工程と、を備えている。圧入工程と開口形成工程が順番に実行される。
図13に示すように、出発部材として、ベース体210と、圧入体178の2つの部材が準備される。ベース体210は、液体通路158を有しており、液体通路158は、ベース体210を前後方向に貫通している。また、図示省略されているが、ベース体210の後端近傍には、挿入部140が形成されている。
【0051】
圧入工程では、圧入体178を、ベース体210の前側から、
図13に示される矢印の向きに液体通路158の出口通路168に圧入する。
図14に示すように、圧入体178は、圧入体178の前端の位置がベース体210の前端の位置と略同一の位置となるまで出口通路168に圧入される。これにより、出口通路168は、前端近傍で圧入体178に塞がれる。
【0052】
開口形成工程では、第1切削刃220をベース体210に対して上側に配置し、第2切削刃222をベース体210に対して下側に配置する。中心軸CXの周方向に関して、第1切削刃220の位置を0度としたとき、第2切削刃222は、180度の位置に配置される。次に、第1切削刃220と第2切削刃222を、前後方向に関して、圧入体178と絞り通路164との間に配置する。次に、第1切削刃220を、所定の位置までベース体210の側面212から中心軸CXに向かって下側に(
図14に示される下矢印の方向に)移動させ、第2切削刃222を、所定の位置までベース体210の側面212から中心軸CXに向かって上側に(
図14に示される上矢印の方向に)移動させる。第1切削刃220がベース体210を切削することにより、ベース体210に第1開口204(
図12参照)が形成される。第1開口204は、ベース体210の側面212から内面214までベース体210を貫通している。また、第2切削刃222がベース体210を切削することにより、ベース体210に第2開口206(
図12参照)が形成される。第2開口206は、ベース体210の側面212から内面214までベース体210を貫通している。中心軸CXの周方向に関して、第1開口204の位置を0度としたとき、第2開口206は、180度の位置に配置される。
【0053】
図10に示すように、開口形成工程が実行された後のベース体210は、第1開口204と第2開口206よりも後側に位置する液体ノズル本体132と、第1開口204と第2開口206よりも前側に位置する対向体134の被圧入体176と、液体ノズル本体132と被圧入体176との間に配置される接続体136と、を備える。
【0054】
次に、液体ノズル122から放出された液体が微粒化される挙動を説明する。
図7に示すように、電動モータ46(
図4参照)の回転によりファン44(
図4参照)が回転すると、放出管10内に空気が流れる。空気は、放出管10内を先端管66まで流れた後、
図7中の矢印F1のように筒部材120の内部に流入し、液体ノズル本体132のノズル側面150に沿って液体ノズル122の前端(先端)に向かって流れる。また、液体ノズル本体132の第1ノズル側面152が筒部材120に囲まれており、第1ノズル側面152の直径がノズル部142の後端から前端に向かうにつれて小さくなるため、空気は、筒部材120の内部により流入し易くなるとともに、空気が流れる空間(第1ノズル側面152周りの空間)が狭まることにより、空気の流速が高められる。空気は、第1ノズル側面152と、第2ノズル側面154と、対向体134の対向体側面182を順番に通過して、筒部材120の後端から前端に向かって、筒部材120の内部を流れる。
【0055】
ここで、
図10に示すように、対向面180と前端面132aとの間の距離L1が絞り通路164の直径D1の600%よりも大きい比較例では、空気の一部が、第2ノズル側面154を通過した後、空間174に流入することがある。これにより、対向体側面182に沿って流れる空気の流速が低下する。一方、本実施例では、距離L1が直径D1の600%以下であるため、空気が第2ノズル側面154を通過した後に空間174に流入することが抑制される。これにより、対向体側面182に沿って流れる空気の流速が低下することが抑制される。また、空気が第2ノズル側面154と対向体側面182を通過することにより、空間174内の空気が、第1開口204と第2開口206から空間174の外部に吸い出される。
【0056】
さらに、空気が液体ノズル122の周りを流れることに伴い、対向体側面182近傍の領域と、対向体前端面184の前側領域との間で、圧力差が発生し、その結果、対向体前端面184の前側領域に、空気流(渦巻流)SW1が発生する。空気流SW1は、まず、中心軸CXに沿って対向体前端面184に向かって流れる。次に、空気流SW1は、中心軸CXから離れる方向に曲がり、対向体前端面184上を角部188に向かって流れる。最後に、空気流SW1は、角部188近傍で、対向体側面182に沿って流れる空気の流れと合流する。
【0057】
液体は、空間174内の空気が空間174の外部に吸い出されることに伴い、供給ライン90(
図6参照)と、入口通路160と、第1移行通路162と、絞り通路164を順番に通過した後、放出口170から放出される。放出された液体は、第2移行通路166と出口通路168を順番に通過し、対向体134の対向面180(圧入体178)に向けて空間174に放出される。液体は、対向面180(圧入体178)に当たった後、対向面180上を、対向体側面182に向かって対向面180の径方向外側に移動する。液体が対向面180に当たることにより、液体の流速が低下する。液体は、対向面180と対向体側面182との接続箇所まで移動すると、対向体側面182上に移動する。
【0058】
ここで、対向面180と前端面132aとの距離L1が絞り通路164の直径D1の200%よりも小さい比較例では、空間174内の空気が、第1開口204と第2開口206から空間174の外部に吸い出されることが抑制される。これにより、液体が対向面180と前端面132aとの間に溜まることがある。一方、本実施例では、距離L1が直径D1の200%以上であるため、空間174内の空気が、第1開口204と第2開口206から空間174の外部に吸い出される。これにより、液体が、対向面180と前端面132aとの間に溜まることが抑制される。この結果、液体は、対向面180から対向体側面182上に移動することができる。
【0059】
次に、液体は、対向体側面182に沿って流れる空気の流れにより、対向体側面182上を角部188(
図10参照)に向かって移動する。液体は、対向体側面182上を移動する間に、対向体側面182の全周に広がる。
【0060】
角部188が尖った角であるため、角部188まで移動した液体は、角部188上で液だまりを形成し難い。このため、液体は、液溜まりが形成されることなく、対向体側面182に沿って流れる空気の流れと空気流SW1により角部188から離れる。これにより、液体が微粒化される。液体は、直径が、例えば50マイクロメートル以下となるように微粒化される。
【0061】
本実施例の作業機2では、電動モータ46が使用されている。電動モータ駆動式(電動式)の作業機2のファン44の風量は、エンジン式の作業機のファン44の風量よりも低い。このような構成でも、本実施例の液体ノズル122が使用されることにより、液体を微粒化することができる。
【0062】
図7に示すように、微粒化された液体は、矢印F1で示される筒部材120の内部を流れる空気とともに先端管66内を流れる。その後、筒部材120の内部を流れる液体と空気は、矢印F2で示される筒部材120の外部を流れる空気と合流し、拡散カバー70から第2先端管68の外部に放出(散布)される。
【0063】
(効果)
本実施例の作業機2は、ミストブロワである。作業機2は、液体を貯留する液体タンク24と、ファン44と、ファン44により送り出された空気が流れる放出管10と、放出管10の内部に配置されており、液体タンク24に貯留されている液体を放出管10内に放出する液体ノズル本体132と、液体ノズル本体132と離れている対向体134と、を備えている。液体ノズル本体132は、最小の直径D1を有する絞り通路164(絞り部の一例)を備え、液体が通過する液体通路158と、ファン44により送り出された空気が流れるノズル側面150と、を備えている。液体は、絞り通路164の放出口170から放出される。対向体134は、放出口170に対向して配置される対向面180と、対向面180に接続されており、ファン44により送り出された空気が流れる対向体側面182と、を備えている。
【0064】
上記の構成によれば、放出口170から放出された液体は、対向体134の対向面180に当たり、対向面180上を対向体側面182まで移動する。その後、液体は、ファン44により送り出された空気により、対向体134から離れる。これにより、液体を微粒化することができる。
【0065】
本実施例の液体ノズル122は、液体タンク24に貯留されている液体を、空気が流れる放出管10に放出する。液体ノズル122は、前後方向(第1方向の一例)に延びている液体通路158(貫通孔の一例)であって、液体が通過する液体通路158を有するベース体210と、ベース体210に圧入可能な圧入体178と、を備えている液体通路158は、液体通路158内で最小の直径D1を有する絞り通路164(絞り部の一例)と、絞り通路164の直径D1よりも大きい直径を有する入口通路160(第1孔部の一例)と、絞り通路164に対して入口通路160と反対側に配置されており、絞り通路164の直径D1よりも大きい直径を有する出口通路168(第2孔部の一例)と、を備えている。製造方法は、圧入体178が絞り通路164から所定距離離れた位置まで圧入体178を出口通路168に圧入する圧入工程と、圧入工程後に、絞り通路164と圧入体178との間の位置で、前後方向に直交する方向(第2方向の一例)にベース体210を切削して、ベース体210をベース体210の側面212から内面214まで貫通する開口204、206を形成する開口形成工程と、を備えている。
【0066】
上記の製造方法で製造される液体ノズル122では、絞り通路164から放出された液体は、圧入体178に当たり、圧入体178上を開口204、206に向かって移動する。その後、液体は、開口204、206から液体ノズル122の外部に出る。液体は、液体ノズル122の周りを流れる空気により、液体ノズル122から離れる。これにより、液体を微粒化することができる。
【0067】
また、ノズル側面150の第2ノズル側面154は、円形状を有している。対向体側面182は、円形状を有している。対向体側面182の直径は、第2ノズル側面154の第径の60%以上かつ100%以下である。
【0068】
上記の構成によれば、空気が、液体ノズル本体132の第2ノズル側面154に沿って流れた後に、対向体134の対向体側面182に沿って流れても、空気の流速が低下することを抑制することができる。これにより、液体をより微粒化することができる。
【0069】
また、作業機2は、液体ノズル本体132と対向体134とを接続する接続体136をさらに備えている。
【0070】
上記の構成によれば、液体ノズル本体132に対する対向体134の位置を固定することができる。これにより、液体を安定して微粒化することができる。
【0071】
また、対向体側面182の周方向に関して、長さL4と長さL5の合計の長さ(接続体136の外面の長さ)は、対向体側面182の長さの50%以下である。
【0072】
上記の構成によれば、液体を、対向体側面182の全周に亘って移動させることができる。これにより、液体をより微粒化することができる。
【0073】
また、対向面180と液体ノズル本体132との間の距離L1は、絞り通路164の直径D1の200%以上かつ600%以下である。
【0074】
対向面180と液体ノズル本体132との間の距離L1が絞り通路164の直径D1の200%よりも小さいとき、放出口170から放出された液体が、液体ノズル本体132と対向体134との間に溜まってしまい、液体を微粒化することが抑制される。一方、対向面180と液体ノズル本体132との間の距離L1が絞り通路164の直径D1の600%よりも大きいとき、対向面180と液体ノズル本体132との間の距離L1が絞り通路164の直径D1の600%以下である構成と比較して、対向体134の対向体側面182に沿って流れる空気の流速が低下する。これにより、液体を微粒化することが抑制される。上記の構成によれば、液体を微粒化することができる。
【0075】
(第2実施例)
図15を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明する。第2実施例では、液体ノズル本体132と接続体136は、別体である。
図15では、液体ノズル本体132と接続体136との境界300が、一点鎖線により図示されている。接続体136は、後端面から突出する突起302を備えている。液体ノズル本体132は、前端面132aから凹む凹溝304と、を備えている。
図15では、突起302と凹溝304が隠れて見えないため、突起302と凹溝304が一点鎖線で図示されている。突起302は、凹溝304と嵌合する。これにより、液体ノズル本体132と接続体136が連結される。
【0076】
(効果)
接続体136は、対向体134と一体的に形成されており、液体ノズル本体132と別体である。
【0077】
上記の構成によれば、液体ノズル本体132と、対向体134および接続体136とを容易に作製することができる。
【0078】
(第3実施例)
図16を参照して、第3実施例を説明する。第3実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明する。第3実施例では、接続体136は、円筒形状を有する。接続体136は、複数(本実施例では4個)の開口350を有する。開口350は、接続体136を内面から外面まで貫通している。接続体136の外面の周方向に関して、4個の開口350は、等間隔に配置されている。開口350は、略円柱形状を有する。第3実施例では、液体は、液体ノズル本体132の放出口170から放出されて、対向体134の対向面180に当たった後、開口350を通過して対向体側面182まで移動する。
【0079】
(第4実施例)
図17を参照して、第4実施例を説明する。第4実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明する。第4実施例では、対向体134の対向体前端面184は、第1前端面400と、第2前端面402と、を備えている。第1前端面400は、略円形状を有する。第1前端面400の円中心は、中心軸CX上に配置されている。第1前端面400は、中心軸CXに対して略直交している。第2前端面402は、第1前端面400の周縁に配置されている。第2前端面402は、中心軸CXの周りを一巡している。第2前端面402は、第1前端面400に対して傾斜している。第2前端面402は、対向体側面182に対して傾斜している。第2前端面402と対向体側面182とがなす角度Aは、1度よりも大きく、かつ、180度よりも小さく、本実施例では、角度Aは、1度よりも大きく、かつ、90度以下である。
【0080】
(第5実施例)
図18を参照して、第5実施例を説明する。第5実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明する。第5実施例では、角部188は、第1曲面部450と、第2曲面部452と、平面部454と、を備えていてもよい。第1曲面部450は、側面接続箇所190で、対向体側面182に接続している。第2曲面部452は、前端接続箇所192で、対向体前端面184に接続している。第1曲面部450と第2曲面部452は、曲面形状を有する。平面部454は、第1曲面部450と第2曲面部452を接続している。平面部454は、平面形状を有する。
【0081】
(変形例)
一実施形態に係る作業機2は、エンジン式の作業機であってもよい。
【0082】
一実施形態に係る作業機2は、内蔵式バッテリを備えている作業機であってもよい。この場合、内蔵式バッテリは、電源コードを外部電源に接続することにより充電される。また、作業機2は、内蔵式バッテリを備えていなくてもよい。この場合、作業機2は、電源コードを介して外部電源から供給される電力により動作する。
【0083】
一実施形態に係る作業機2は、背負い式の作業機に限られず、例えば、載置式の作業機や手持ち式の作業機であってもよい。
【0084】
一実施形態に係る液体ノズル122では、角部188は、対向体側面182の周縁の周方向の一部分にのみ配置されていてもよい。
【0085】
一実施形態に係る液体ノズル122では、対向体側面182の断面は、多角形、例えば六角形、八角形、十角形、十二角形であってもよい。
【0086】
一実施形態に係る液体ノズル122では、液体ノズル本体132と、対向体134と、接続体136が一体的に形成されていてもよい。
【0087】
一実施形態に係る液体ノズル122は、接続体136を備えていなくてもよい。この場合、対向体134は、筒部材120に固定されている。
【符号の説明】
【0088】
2 :作業機
10 :放出管
24 :液体タンク
44 :ファン
56 :制御基板
66 :先端管
67 :第1先端管
68 :第2先端管
90 :供給ライン
120 :筒部材
122 :液体ノズル
132 :液体ノズル本体
132a :前端面
134 :対向体
136 :接続体
142 :ノズル部
150 :ノズル側面
158 :液体通路
160 :入口通路
162 :第1移行通路
164 :絞り通路
166 :第2移行通路
168 :出口通路
170 :放出口
176 :被圧入体
178 :圧入体
180 :対向面
182 :対向体側面
184 :対向体前端面
188 :角部
200 :第1接続体
200a :内面
200b :外面
202 :第2接続体
202a :内面
202b :外面
204 :第1開口
206 :第2開口
210 :ベース体
212 :側面
214 :内面
220 :第1切削刃
222 :第2切削刃
CX :中心軸
D1 :直径
L1、L2、L3:距離
L4、L5:長さ