(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008127
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 17/02 20060101AFI20240112BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B62J17/02
B62J23/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109715
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山倉 裕
(72)【発明者】
【氏名】野口 康太
(57)【要約】
【課題】応力集中を緩和しながらウインドスクリーンを支持できる鞍乗り型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗り型車両は、フロントフォーク(14)と、前記フロントフォーク(14)を操舵自在に支持する車体フレーム(11)と、ヘッドライト(40)と、前記ヘッドライト(40)の上方に支持されるウインドスクリーン(35)と、を備える鞍乗り型車両において、前記ヘッドライト(40)と前記ウインドスクリーン(35)との間にはフロントバイザー(31)が配置され、前記ヘッドライト(40)と、前記ウインドスクリーン(35)と、前記フロントバイザー(31)とは、一体の金属ステー(50)に組み付けられ、前記車体フレーム(11)にはフロントカウルステー(45)が支持され、前記フロントカウルステー(45)には前記金属ステー(50)が支持される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントフォーク(14)と、前記フロントフォーク(14)を操舵自在に支持する車体フレーム(11)と、ヘッドライト(40)と、前記ヘッドライト(40)の上方に支持されるウインドスクリーン(35)と、を備える鞍乗り型車両において、
前記ヘッドライト(40)と前記ウインドスクリーン(35)との間にはフロントバイザー(31)が配置され、
前記ヘッドライト(40)と、前記ウインドスクリーン(35)と、前記フロントバイザー(31)とは、一体の金属ステー(50)に組み付けられ、
前記車体フレーム(11)にはフロントカウルステー(45)が支持され、
前記フロントカウルステー(45)には前記金属ステー(50)が支持される
ことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記金属ステー(50)は、左右一対のスクリーン係合部(54)と、左右一対のバイザー係合部(56)と、左右一対のライト係合部(58)と、を備え、
前記ウインドスクリーン(35)は、前記左右一対のスクリーン係合部(54)に係合して前記金属ステー(50)に組み付けられ、
前記フロントバイザー(31)は、前記左右一対のバイザー係合部(56)に係合して前記金属ステー(50)に組み付けられ、
前記ヘッドライト(40)は、前記左右一対のライト係合部(58)に係合して前記金属ステー(50)に組み付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記金属ステー(50)は左右対称に形成される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記金属ステー(50)は、上下方向に厚さを有する折り曲げ板状の後端ステー(57)を備え、
前記後端ステー(57)は、前後方向に延びる前側のライト係合部(58)と、前記ライト係合部(58)の後端から後下がりに延びるカウルステー係合部(59)と、を備え、
前記ヘッドライト(40)は、前記ライト係合部(58)に係合して前記金属ステー(50)に組み付けられ、
前記フロントカウルステー(45)は、前記カウルステー係合部(59)に係合して前記金属ステー(50)に組み付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記ヘッドライト(40)は、柱状に突出する突出部(41B)を有し、
前記金属ステー(50)は、前記突出部(41B)が貫通する貫通孔(58A)が形成されたライト係合部(58)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記金属ステー(50)は、前記ウインドスクリーン(35)が締結部材(75)により固定される開口状の固定孔(54A)が設けられたスクリーン係合部(54)を備え、
前記固定孔(54A)は、本体孔部(54A2)と、前記本体孔部(54A2)と連続的な開口形状を形成し且つ前記本体孔部(54A2)よりも開口幅が大きい着脱孔部(54A1)と、を備え、
前記締結部材(75)が前記本体孔部(54A2)に挿通された状態で、前記締結部材(75)には、前記着脱孔部(54A1)を通過可能で且つ前記本体孔部(54A2)よりも大きい固定部材(76)が支持されることにより前記ウインドスクリーン(35)が前記スクリーン係合部(54)に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウインドスクリーンを備える鞍乗り型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、ヘッドライトの周囲を覆う樹脂製のロワーカバーに、ウインドスクリーンが支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウインドスクリーンが樹脂製のカバーに支持される場合に、カバーの薄肉形状部分などに応力集中が生じるという課題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、応力集中を緩和しながらウインドスクリーンを支持できる鞍乗り型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、フロントフォークと、前記フロントフォークを操舵自在に支持する車体フレームと、ヘッドライトと、前記ヘッドライトの上方に支持されるウインドスクリーンと、を備える鞍乗り型車両において、前記ヘッドライトと前記ウインドスクリーンとの間にはフロントバイザーが配置され、前記ヘッドライトと、前記ウインドスクリーンと、前記フロントバイザーとは、一体の金属ステーに組み付けられ、前記車体フレームにはフロントカウルステーが支持され、前記フロントカウルステーには前記金属ステーが支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
応力集中を緩和しながらウインドスクリーンを支持できる鞍乗り型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の斜視図である。
【
図2】ヘッドライトの上部周辺を示す斜視図である。
【
図3】板金ステーに組み付けられたフロントバイザーとウインドスクリーンとヘッドライトとを後方から見た斜視図である。
【
図4】フロントバイザーとウインドスクリーンとを前方から見た斜視図である。
【
図5】フロントバイザーとウインドスクリーンとを後方から見た斜視図である。
【
図6】フロントバイザーと板金ステーにフロントカウルステーの上部が固定された状態を示す後方からの斜視図である。
【
図7】板金ステーの後端ステーの周辺を示す断面図である。
【
図8】フロントバイザーとフロントカウルステーとの締結部の断面図である。
【
図9】フロントバイザーの下端部とフロントカウルステーとの締結部を示す下方から見た斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の前部の側面図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の前部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の斜視図である。
図1では、車体カバー30などの図示が適宜に省略されている。
図1に示すように、鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸(不図示)に支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸(不図示)に支持される。ピボット軸は、車幅方向に水平に延びる軸であり、スイングアーム16の前端部に挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、を備える。鞍乗り型車両10は、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29を備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
鞍乗り型車両10は、車体カバー30を備える。なお、
図1では、車体カバー30の一部のみを図示している。
本実施の形態の車体フレーム11のフロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から下方に延びるダウンフレーム19Aと、ダウンフレーム19Aの下端から下方に延びて後方に湾曲して延びる左右一対のロアフレーム19Bと、ロアフレーム19Bの左右両端から前方に延びる略U字状のフロントサブフレーム19Cと、を有する。フロントサブフレーム19Cは、フロントフォーク14を前方から囲んだ状態でロアフレーム19Bに固定される。フロントサブフレーム19Cには、フロントカウルステー45が固定される。フロントカウルステー45には、前方のヘッドライト40が固定される。フロントカウルステー45の後上面にはメータユニット60が固定される。フロントカウルステー45は、樹脂製である。
【0016】
図2は、ヘッドライト40の上部周辺を示す斜視図である。
図2では、ヘッドライト40の周囲に配置されるフロントバイザー31やウインドスクリーン35などの図示は省略している。また、
図2などでは、見分け易いように、ドット模様の網掛けを付して板金ステー50を示している。
ヘッドライト40は、図示しない光源やリフレクタが収容されるハウジング41と、ハウジング41の前方に支持され開口42Aが形成されたインナーカバー42と、インナーカバー42の開口42Aに装着されたアウターレンズ43と、を備える。ハウジング41と、インナーカバー42と、アウターレンズ43とは、樹脂製である。
【0017】
ハウジング41の上部には、左右方向に延びる上面部41Aが形成される。上面部41Aには左右一対のダボ形状部(突出部)41Bが形成される。ダボ形状部41Bは、柱状に突出する。詳細には、ダボ形状部41Bは、上方に突出する軸状の基部41B1と、基部41B1の上方に形成された膨出部41B2とを有する。膨出部41B2は、上方に進むに連れて基部41B1よりも大径に膨出した後に、上方に進むに連れて窄まる。ダボ形状部41Bには、板金ステー(金属ステー)50が差し込まれる。板金ステー50はヘッドライト40の上方に配置される。
【0018】
板金ステー50は、左右対称に形成される。なお、本実施の形態における左右対称とは、形状が一部異なる場合も含む意味で用いており、いわゆる略左右対称も含んだ意味で用いる。板金ステー50は、上面視で略U字状の接続部51を備える。本実施の形態では、接続部51は、パイプ状に形成される。詳細には、接続部51は、左右方向に延びるパイプ中央部51Aを備える。パイプ中央部51Aの左右両端には、後方に進むに連れて左右方向外側に傾斜する左右一対のパイプ延出部51Bが形成される。
【0019】
図3は、板金ステー50に組み付けられたフロントバイザー31とウインドスクリーン35とヘッドライト40とを後方から見た斜視図である。
図2、
図3に示すように、接続部51には、ステー53、55、57が溶接されて固定されている。すなわち、接続部51のパイプ中央部51Aには、パイプ中央部51Aから前方に延出する前ステー(第1のステー)53が固定される。接続部51のパイプ中央部51Aの後方には、パイプ中央部51Aから後方に延出する後ステー(第2のステー)55が固定される。パイプ延出部51Bの後端部には、後端ステー(第3のステー)57が固定される。
【0020】
前ステー53は、左右方向に折り曲げられた曲げ板状に形成される。前ステー53は、パイプ中央部51Aに沿って延在するブリッジ部53Aと、ブリッジ部53Aの左右両側に設けられた左右一対のスクリーン係合部54と、を備える。前ステー53には、正面視で上方に凹んだ切り欠き53Bが形成されている。換言すれば、この切り欠き53Bにより、前ステー53の左右には、左右一対のスクリーン係合部54が形成されている。
【0021】
スクリーン係合部54は、前後方向に延びており、断面が上方に凹んだ角型の略U字状に形成されている。スクリーン係合部54の凹み形状の底部には、スクリーン固定孔(固定孔)54Aが形成される。スクリーン固定孔54Aは、大径孔状の着脱孔部54A1と、着脱孔部54A1の後方に連続的に形成され且つ着脱孔部54A1よりも開口幅が小さい本体孔部54A2と、を備える。スクリーン固定孔54Aには、第1の締結部材の一例としてのボルト75(
図4参照)および固定部材の一例としてのウエルナット76(
図5参照)が挿通される。スクリーン係合部54には、ウインドスクリーン35が固定される。
【0022】
後ステー55は、折り曲げ板状に形成される。後ステー55は、パイプ中央部51Aから後方に延出する板状の延出部55Aと、延出部55Aの後端から上方に立ち上がる板状の起立部55Bと、を備える。延出部55Aの前部には、上面視で後方に凹んだ略U字状の切り欠き55A1が形成される。また、起立部55Bには、正面視で下方に凹んだ切り欠き55B1が形成される。切り欠き55B1よりも左右外側の起立部55Bの部分により、起立部55Bには、本実施の形態のバイザー係合部56が形成される。バイザー係合部56には、前後方向に貫通するバイザー固定孔56Aが形成される。バイザー固定孔56Aには、第2の締結部材の一例としてのタッピングスクリュー71(
図3参照)が挿通される。バイザー係合部56には、フロントバイザー31が固定される。
【0023】
後端ステー57は、パイプ延出部51Bの後端部に固定される。後端ステー57は、パイプ延出部51Bの車幅方向外側に固定される。後端ステー57は、上下方向に厚さを有する折り曲げ板状に形成される。後端ステー57は、前後方向に延びる前側のライト係合部58と、ライト係合部58の後端から後下がりに延びるカウルステー係合部59と、を備える。
【0024】
ライト係合部58には、上下方向に貫通するライト貫通孔(貫通孔)58Aが形成される。ライト貫通孔58Aは、ヘッドライト40のダボ形状部41Bの膨出部41B2よりも大径に形成される。ライト貫通孔58Aには、ダボ形状部41Bが貫通した状態で配置される。ライト貫通孔58Aにより、板状の後端ステー57が、ヘッドライト40のダボ形状部41Bと干渉することが回避可能である。また、ダボ形状部41Bにより、組み立て時に板金ステー50をヘッドライト40の上部に仮保持させることが可能である。さらに、ライト貫通孔58Aにダボ形状部41Bが貫通した状態でヘッドライト40が支持されることにより、ヘッドライト40の前後方向の振動を抑えることもできる。特に、本実施の形態では、ライト貫通孔58Aにグロメット41C(
図2参照)を介してダボ形状部41Bが配置されるため、ヘッドライト40の前後方向の振動を、より抑えることができる。
【0025】
カウルステー係合部59の後部には、厚み方向に貫通するカウルステー固定孔59Aが形成される。カウルステー固定孔59Aには、第3の締結部材の一例としての段付きボルト81(
図6参照)が挿通される。カウルステー係合部59には、フロントカウルステー45が固定される。
カウルステー係合部59の前部には、厚み方向に貫通する操安貫通孔59Bが形成される。操安貫通孔59Bはカウルステー固定孔59Aよりも大径に形成される。操安貫通孔59Bにより、走行風が操安貫通孔59Bに進入し易くて、操安性、すなわち、操縦性と走行安定性とが確保される。
【0026】
図4は、フロントバイザー31とウインドスクリーン35とを前方から見た斜視図である。
図5は、フロントバイザー31とウインドスクリーン35とを後方から見た斜視図である。
フロントバイザー31は、樹脂製である。フロントバイザー31は、ヘッドライト40の前方に配置される。フロントバイザー31は、前後方向(上下方向)に厚みを有し、左右幅を有するカバー部材である。フロントバイザー31は、側面視では、ヘッドライト40の前方からヘッドライト40の上方に後上がり延びる。フロントバイザー31は、ヘッドライト40が固定されるバイザー下部32と、バイザー下部32の上端から後方に延びてウインドスクリーン35が固定されるバイザー上部33と、を有する。
【0027】
バイザー下部32には、ヘッドライト40の外周形状に対応する開口32Aが形成される。換言すれば、バイザー下部32には、ヘッドライト40のアウターレンズ43の外形に対応する開口32Aが形成される。開口32Aを通じて、ヘッドライト40のアウターレンズ43が前方に露出する。
【0028】
図3に示すように、バイザー上部33の後面(内面)には、左右一対のステー固定部31Aが形成される。ステー固定部31Aには、タッピングスクリュー71が締結される。タッピングスクリュー71により、板金ステー50のバイザー係合部56がフロントバイザー31に固定される。
換言すれば、タッピングスクリュー71により、フロントバイザー31が板金ステー50に固定される。
【0029】
バイザー上部33には、板金ステー50のスクリーン係合部54の位置に対応して、左右一対の下側(前側)の長孔33Aが形成される。長孔33Aは上下方向(前後方向)に延びる。長孔33Aは、板金ステー50のスクリーン係合部54に関し、スクリーン固定孔54Aを前方(上方)に露出させる。
また、長孔33Aの上方(後方)には、左右一対の上側(後側)の長孔33Bが形成される。上側の長孔33Bも、下側の長孔33Aと同様に、上下方向に延びる。上側の長孔33Bは、下側の長孔33Aよりも車幅方向外側の位置に形成される。長孔33A,33Bの開口幅は、締結前のウエルナット76の外形に対応する。
【0030】
ウインドスクリーン35には、フロントバイザー31の長孔33A、33Bに対応する位置に、後方(下方)に凹んだ形状の固定部35A、35Bが形成される。各固定部35A、35Bには、ボルト75およびウエルナット76が、挿入される孔(不図示)が形成される。
【0031】
前側の固定部35Aでは、ボルト75およびウエルナット76は、フロントバイザー31の下側の長孔33Aの下部を貫通した状態で、板金ステー50の着脱孔部54A1に挿入される。
後側の固定部35Bでは、ボルト75およびウエルナット76は、フロントバイザー31の上側の長孔33Bの下部に挿入される。
【0032】
上下(前後)の固定部35A、35Bに、ボルト75およびウエルナット76が挿入された状態で、ウインドスクリーン35をフロントバイザー31に対して後上方に移動させる。これにより、ウインドスクリーン35と共に、上下のボルト75およびウエルナット76が、長孔33A、33B内を後上方に移動する。このとき、前側のボルト75およびウエルナット76は、板金ステー50のスクリーン固定孔54Aを着脱孔部54A1から本体孔部54A2に移動する。
【0033】
そして、ボルト75を締結すると、ボルト75の締結に伴ってウエルナット76が本体孔部54A2やフロントバイザー31の長孔33A、33Bよりも大きくなった状態で締結される。
これにより、前側の固定部35Aでは、ボルト75およびウエルナット76により、ウインドスクリーン35およびフロントバイザー31が板金ステー50に共締めされる。また、後側の固定部35Bでは、ボルト75およびウエルナット76により、ウインドスクリーン35がフロントバイザー31に固定される。
【0034】
よって、ウインドスクリーン35およびフロントバイザー31が板金ステー50に組み付けられる。ボルト75およびウエルナット76により、ウインドスクリーン35を取り付けることにより、ウインドスクリーン35に過剰な力が作用した場合には、ウインドスクリーン35がフロントバイザー31および板金ステー50に対して前方に移動し易く衝撃を逃がし易くなっている。また、ボルト75およびウエルナット76により、ウインドスクリーン35を板金ステー50に取り付ける構造であるため、ウインドスクリーン35を板金ステー50に組み付けし易くなっている。
【0035】
図3、
図5に示すように、バイザー上部33において、ステー固定部31A(
図3参照)の左右方向外側には、左右一対の上部カウルステー固定部31Bが形成される。上部カウルステー固定部31Bは、矩形板状の座部31B1を有する。座部31B1には、厚み方向に矩形状に凹んだクリップ装着部31B2が形成される。座部31B1の中央部には厚み方向に貫通する貫通孔31B3が形成される。
【0036】
バイザー下部32において、バイザー下部32の下端部には、左右一対の下部カウルステー固定部31Cが形成される。下部カウルステー固定部31Cは、後方に突出する。下部カウルステー固定部31Cは、上面31C1を有する。上面31C1には厚み方向に貫通するボルト孔31C2が形成される。
【0037】
図3に示すように、フロントバイザー31およびウインドスクリーン35が組み付けられた板金ステー50は、ヘッドライト40に組み付けられる。すなわち、板金ステー50のライト係合部58が、ヘッドライト40のダボ形状部41Bに装着される。換言すれば、ダボ形状部41Bがライト係合部58のライト貫通孔58Aに差し込まれた状態で、板金ステー50がヘッドライト40の上方に支持される。
【0038】
ヘッドライト40のハウジング41の外周部には、第4の締結部材の一例としてのタッピングスクリュー72が挿通される。タッピングスクリュー72は左右一対状に設けられており、複数設けられている。このタッピングスクリュー72がフロントバイザー31に締結されることにより、ヘッドライト40がフロントバイザー31に固定される。
【0039】
図6は、フロントバイザー31と板金ステー50にフロントカウルステー45の上部が固定された状態を示す後方からの斜視図である。
図7は、板金ステー50の後端ステー57の周辺を示す断面図である。
フロントカウルステー45はヘッドライト40を後方から覆う形状である。フロントカウルステー45は、樹脂製である。フロントカウルステー45は、メータユニット60が支持される平面状のメータ支持部45Aを有する。
【0040】
メータ支持部45Aの下部には、左右一対のステー固定部45Bが形成される。ステー固定部45Bは、前方に凹んだ凹み状に形成される。
図7に示すように、ステー固定部45Bは、段付きボルト81とナット82とにより板金ステー50に固定される。ステー固定部45Bにおいて、フロントカウルステー45は板金ステー50に固定される。
【0041】
図8は、フロントバイザー31とフロントカウルステー45との締結部の断面図である。
メータ支持部45Aの上部には、左右一対のバイザー固定部45Cが形成される。バイザー固定部45Cはメータ支持部45Aに対して凹み状に形成される。バイザー固定部45Cには、第5の締結部材の一例としての段付きボルト83が挿通される。この段付きボルト83は、フロントバイザー31の上部カウルステー固定部31Bに挿通される。上部カウルステー固定部31Bには、クリップナット84が装着される。クリップナット84は、クリップ部84Aと、クリップ部84Aに固定されたナット部84Bと、を有する。クリップ部84Aには、ナット部84Bよりも大径の貫通孔84A1が形成される。クリップナット84では、クリップ部84Aがクリップ装着部31B2に装着された状態で、ナット部84Bに段付きボルト83が締結される。これにより、フロントカウルステー45の上部にフロントバイザー31が固定される。
【0042】
図9は、フロントバイザー31の下端部とフロントカウルステー45との締結部を示す下方から見た斜視図である。
フロントカウルステー45の下部には、左右一対の下側バイザー固定部45Dが形成される。下側バイザー固定部45Dには、下部カウルステー固定部31Cの上面31C1(
図3参照)が下方から接触した状態で、段付きボルト83が挿通される。段付きボルト83は、図示しないナットに締結される。これにより、フロントカウルステー45の下部にフロントバイザー31が固定される。
【0043】
図10は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の前部の側面図である。
図11は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の前部の平面図である。
図10、
図11では、ウインドスクリーン35の図示は省略している。
フロントカウルステー45には、
図6に示すように、メータ支持部45Aの左右外側に対応して、左右一対のユニットカバー固定部45Eが形成されている。ユニットカバー固定部45Eは、ステー固定部45Bよりも上方で、バイザー固定部45Cよりも下方に設けられている。ユニットカバー固定部45Eには、第6の締結部材の一例としてのボルト62が車幅方向外側から挿通される。ボルト62により、メータユニット60を覆うユニットカバー61が、フロントカウルステー45に固定される。ユニットカバー61は、メータユニット60と車両側面視で重複する。また、ユニットカバー61は、メータユニット60と平面視で重複する。
【0044】
本実施の形態ではウインドスクリーン35が、板金ステー50を介して、樹脂製のヘッドライト40や、フロントバイザー31、フロントカウルステー45に固定される。このため、ウインドスクリーン35を支持する部品、部材が補強されており、ウインドスクリーン35が走行風を受ける場合などに、ウインドスクリーン35から直接的に力を受けやすいフロントバイザー31などが受ける応力集中が緩和され易くなっている。特に、ウインドスクリーン35が前後方向に長い場合には、応力集中の緩和効果を期待し易くなる。
【0045】
以上説明したように、本発明を適用した本実施の形態によれば、フロントフォーク14と、フロントフォーク14を操舵自在に支持する車体フレーム11と、ヘッドライト40と、ヘッドライト40の上方に支持されるウインドスクリーン35と、を備える鞍乗り型車両において、ヘッドライト40とウインドスクリーン35との間にはフロントバイザー31が配置され、ヘッドライト40と、ウインドスクリーン35と、フロントバイザー31とは、一体の板金ステー50に組み付けられ、車体フレーム11にはフロントカウルステー45が支持され、フロントカウルステー45には板金ステー50が支持される。
この構成によれば、応力集中を緩和しながらウインドスクリーン35を支持できる。
【0046】
本実施の形態では、板金ステー50は、左右一対のスクリーン係合部54と、左右一対のバイザー係合部56と、左右一対のライト係合部58と、を備え、ウインドスクリーン35は、左右一対のスクリーン係合部54に係合して板金ステー50に組み付けられ、フロントバイザー31は、左右一対のバイザー係合部56に係合して板金ステー50に組み付けられ、ヘッドライト40は、左右一対のライト係合部58に係合して板金ステー50に組み付けられる。
この構成によれば、走行風から受ける力を左右にバランス良く分散させ易く、応力集中を抑制し易くできる。
【0047】
また、本実施の形態では、板金ステー50は左右対称に形成される。
この構成によれば、走行風から受ける力を、より左右にバランス良く分散させ易く、応力集中を抑制し易くできる。
【0048】
また、本実施の形態では、板金ステー50は、上下方向に厚さを有する折り曲げ板状の後端ステー57を備え、後端ステー57は、前後方向に延びる前側のライト係合部58と、ライト係合部58の後端から後下がりに延びるカウルステー係合部59と、を備え、ヘッドライト40は、ライト係合部58に係合して板金ステー50に組み付けられ、フロントカウルステー45は、カウルステー係合部59に係合して板金ステー50に組み付けられる。
この構成によれば、ヘッドライト40の前後方向の振動を抑えることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、ヘッドライト40は、柱状に突出するダボ形状部41Bを有し、板金ステー50は、ダボ形状部41Bが貫通するライト貫通孔58Aが形成されたライト係合部58を備える。
この構成によれば、ダボ形状部41Bを利用して、組み立て時に板金ステー50を仮止めできる。また、この構成によれば、ダボ形状部41Bを利用して、ヘッドライト40の前後方向の振動を抑制することもできる。
【0050】
また、本実施の形態では、板金ステー50は、ウインドスクリーン35がボルト75により固定される開口状のスクリーン固定孔54Aが設けられたスクリーン係合部54を備え、スクリーン固定孔54Aは、本体孔部54A2と、本体孔部54A2と連続的な開口形状を形成し且つ本体孔部54A2よりも開口幅が大きい着脱孔部54A1と、を備え、ボルト75が本体孔部54A2に挿通された状態で、ボルト75には、着脱孔部54A1を通過可能で且つ本体孔部54A2よりも大きいウエルナット76が支持されることによりウインドスクリーン35がスクリーン係合部54に固定される。
この構成によれば、ウインドスクリーン35に過剰な力が作用した場合にウインドスクリーン35を板金ステー50から離脱させるようにすることができ、過剰な応力集中が作用することを抑制することができる。また、この構成によれば、ウインドスクリーン35を板金ステー50に組み付けがし易くできる。
【0051】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0052】
上記実施の形態では、締結部材62、71、72、75、81、83は、タッピングスクリューや、ボルト、段付きボルトなどの構成を例示したが、具体的な構成は適用箇所に応じて適宜に変更してもよい。
【0053】
上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として前輪13と後輪15とを有する自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【0054】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0055】
(構成1)フロントフォークと、前記フロントフォークを操舵自在に支持する車体フレームと、ヘッドライトと、前記ヘッドライトの上方に支持されるウインドスクリーンと、を備える鞍乗り型車両において、前記ヘッドライトと前記ウインドスクリーンとの間にはフロントバイザーが配置され、前記ヘッドライトと、前記ウインドスクリーンと、前記フロントバイザーとは、一体の金属ステーに組み付けられ、前記車体フレームにはフロントカウルステーが支持され、前記フロントカウルステーには前記金属ステーが支持されることを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、応力集中を緩和しながらウインドスクリーンを支持できる。
【0056】
(構成2)前記金属ステーは、左右一対のスクリーン係合部と、左右一対のバイザー係合部と、左右一対のライト係合部と、を備え、前記ウインドスクリーンは、前記左右一対のスクリーン係合部に係合して前記金属ステーに組み付けられ、前記フロントバイザーは、前記左右一対のバイザー係合部に係合して前記金属ステーに組み付けられ、前記ヘッドライトは、前記左右一対のライト係合部に係合して前記金属ステーに組み付けられることを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、走行風から受ける力を左右にバランス良く分散させ易く、応力集中を抑制し易くできる。
【0057】
(構成3)前記金属ステーは左右対称に形成されることを特徴とする構成1または2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、走行風から受ける力を、より左右にバランス良く分散させ易く、応力集中を抑制し易くできる。
【0058】
(構成4)前記金属ステーは、上下方向に厚さを有する折り曲げ板状の後端ステーを備え、前記後端ステーは、前後方向に延びる前側のライト係合部と、前記ライト係合部の後端から後下がりに延びるカウルステー係合部と、を備え、前記ヘッドライトは、前記ライト係合部に係合して前記金属ステーに組み付けられ、前記フロントカウルステーは、前記カウルステー係合部に係合して前記金属ステーに組み付けられることを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ヘッドライトの前後方向の振動を抑えることができる。
【0059】
(構成5)前記ヘッドライトは、柱状に突出する突出部を有し、前記金属ステーは、前記突出部が貫通する貫通孔が形成されたライト係合部を備えることを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、突出部を利用して、組み立て時に金属ステーを仮止めできる。また、この構成によれば、突出部を利用して、ヘッドライトの前後方向の振動を抑制することもできる。
【0060】
(構成6)前記金属ステーは、前記ウインドスクリーンが締結部材により固定される開口状の固定孔が設けられたスクリーン係合部を備え、前記固定孔は、本体孔部と、前記本体孔部と連続的な開口形状を形成し且つ前記本体孔部よりも開口幅が大きい着脱孔部と、を備え、前記締結部材が前記本体孔部に挿通された状態で、前記締結部材には、前記着脱孔部を通過可能で且つ前記本体孔部よりも大きい固定部材が支持されることにより前記ウインドスクリーンが前記スクリーン係合部に固定されることを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ウインドスクリーンに過剰な力が作用した場合にウインドスクリーンを金属ステーから離脱させるようにすることができ、過剰な応力集中が作用することを抑制することができる。また、この構成によれば、ウインドスクリーンを金属ステーに組み付けがし易くできる。
【符号の説明】
【0061】
10 鞍乗り型車両
11 車体フレーム
14 フロントフォーク
31 フロントバイザー
35 ウインドスクリーン
40 ヘッドライト
41B ダボ形状部(突出部)
45 フロントカウルステー
50 板金ステー(金属ステー)
54 スクリーン係合部
54A スクリーン固定孔(固定孔)
54A1 着脱孔部
54A2 本体孔部
56 バイザー係合部
57 後端ステー
58 ライト係合部
58A ライト貫通孔(貫通孔)
59 カウルステー係合部
75 ボルト(締結部材)
76 ウエルナット(固定部材)