(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081274
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】車両周辺監視装置、車両周辺監視方法及び車両周辺監視プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240611BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G08G1/16 C
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194779
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐来
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
5C054FC12
5C054FE01
5C054FE21
5C054HA30
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】自車両が交差点に接近したときに、自車両の周辺の様子を映し出している周辺画像を表示したことに起因して運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することができる車両周辺監視装置を提供する。
【解決手段】車両周辺監視装置10は、自車両100の周辺の画像である周辺画像を取得する画像取得装置61、周辺画像を表示する表示装置30、及び、自車両が交差点300に接近したときに当該交差点に対する自車両からの視界の広さを表す視界値が所定視界閾値以下であるとの表示条件が成立した場合、周辺画像を表示装置により表示させる制御装置90を備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺の画像である周辺画像を取得する画像取得装置、
前記周辺画像を表示する表示装置、及び、
前記自車両が交差点に接近したときに当該交差点に対する前記自車両からの視界の広さを表す視界値が所定視界閾値以下であるとの表示条件が成立した場合、前記周辺画像を前記表示装置により表示させるように構成された制御装置、
を備えた車両周辺監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両周辺監視装置において、
前記視界値は、前記自車両から当該自車両が走行している道路の端までの距離が短いほど小さくなる値であって、前記自車両の横に存在する遮蔽物の前記交差点に近い側の端から当該交差点までの距離が短いほど小さくなる値である、
車両周辺監視装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両周辺監視装置において、
前記制御装置は、前記周辺画像に基づいて前記自車両が前記交差点に接近したか否かを判定するとともに、前記周辺画像に基づいて前記視界値を取得するように構成されている、
車両周辺監視装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両周辺監視装置において、
前記制御装置は、前記自車両の前方に前記交差点が存在することを示す道路標識又は路面標示を検出した場合、前記自車両が交差点に接近したと判定するように構成されている、
車両周辺監視装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両周辺監視装置において、
前記自車両が非優先道路を走行している場合、前記表示条件は、前記自車両から前記交差点までの距離が第1交差点距離閾値以下であり且つ前記自車両の走行速度が所定速度閾値以下であるとの条件を含んでおり、
前記自車両が優先道路を走行している場合、前記表示条件は、前記自車両から前記交差点までの距離が第2交差点距離閾値以下であるとの条件を含んでおり、前記自車両の走行速度に関する条件を含んでいない、
車両周辺監視装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車両周辺監視装置において、
前記制御装置は、表示終了条件が成立した場合、前記表示装置における前記周辺画像の表示を終了するように構成されており、
前記表示終了条件は、前記自車両の運転者から前記表示装置における前記周辺画像の表示の終了が要請されたとの条件、前記自車両の走行速度が表示終了速度閾値以上であるとの条件、前記表示装置における前記周辺画像の表示の開始から経過した時間が表示終了時間閾値以上であるとの条件、及び、前記自車両の位置と地図情報とから前記自車両が前記交差点を通過したと判定されたとの条件の少なくとも1つを含んでいる、
車両周辺監視装置。
【請求項7】
自車両の周辺の画像である周辺画像を取得し、前記周辺画像を表示する車両周辺監視方法であって、
前記自車両が交差点に接近したときに当該交差点に対する前記自車両からの視界の広さを表す視界値が所定視界閾値以下であるとの表示条件が成立した場合、前記周辺画像を前記表示装置により表示させる工程を含む、
車両周辺監視方法。
【請求項8】
自車両の周辺の画像である周辺画像を取得し、前記周辺画像を表示する車両周辺監視プログラムであって、
前記自車両が交差点に接近したときに当該交差点に対する前記自車両からの視界の広さを表す視界値が所定視界閾値以下であるとの表示条件が成立した場合、前記周辺画像を前記表示装置により表示させるように構成された、
車両周辺監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺監視装置、車両周辺監視方法及び車両周辺監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラにより撮像した自車両の周辺の画像(カメラ画像)を車内のディスプレイに表示することにより、自車両の運転者による運転操作を支援する車両周辺監視装置が知られている。こうした車両周辺監視装置として、運転者が自車両を左折又は右折させようとしてウインカーレバーを操作したときに自車両の左方又は右方を映し出しているカメラ画像をディスプレイに表示する車両周辺監視装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
自車両が交差点に接近したときに自車両の側方に建物が存在すると、その建物が運転者の視界を遮る遮蔽物となり、運転者にとって死角が生じ、運転者の視界が悪くなる。こうした場面においては、死角となっている領域についての情報を運転者が得られるように、自車両の周辺(特に、側方)を映し出しているカメラ画像(周辺画像)をディスプレイに表示することが望まれる。しかしながら、こうした周辺画像を不必要にディスプレイに表示すると、運転者に煩わしさを感じさせてしまうことにもなる。
【0005】
本発明の目的は、自車両が交差点に接近したときに、自車両の周辺の様子を映し出している周辺画像を表示したことに起因して運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することができる車両周辺監視装置を提供することにある。
【0006】
本発明に係る車両周辺監視装置は、自車両の周辺の画像である周辺画像を取得する画像取得装置、前記周辺画像を表示する表示装置、及び、前記自車両が交差点に接近したときに当該交差点に対する前記自車両からの視界の広さを表す視界値が所定視界閾値以下であるとの表示条件が成立した場合、前記周辺画像を前記表示装置により表示させるように構成された制御装置を備えている。
【0007】
表示装置により常に周辺画像が表示されていると、自車両の運転者に煩わしさを感じさせてしまう可能性がある。本発明に係る車両周辺監視装置によれば、交差点に自車両が接近したときにその交差点における視界が悪い場合に周辺画像が表示される。このため、周辺画像を表示したことに起因して運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することができる。
【0008】
尚、本発明に係る車両周辺監視装置において、前記視界値は、例えば、前記自車両から当該自車両が走行している道路の端までの距離が短いほど小さくなる値であって、前記自車両の横に存在する遮蔽物の前記交差点に近い側の端から当該交差点までの距離が短いほど小さくなる値である。
【0009】
自車両から当該自車両が走行している道路の端までの距離が短いと、交差点における視界が悪く、表示装置により周辺画像を表示させることが好ましく、又、自車両の横に存在する遮蔽物の交差点に近い側の端から当該交差点までの距離が短いと、交差点における視界が悪く、表示装置により周辺画像を表示させることが好ましい。
【0010】
本発明に係る車両周辺監視装置によれば、自車両から当該自車両が走行している道路の端までの距離が短いほど、視界値が小さいため、表示装置により周辺画像が表示されやすくなり、又、自車両の横に存在する遮蔽物の交差点に近い側の端から当該交差点までの距離が短いほど、視界値が小さいため、表示装置により周辺画像が表示されやすくなる。従って、交差点における視界が悪いほど、表示装置により周辺画像が表示されやすくなる。このため、周辺画像を表示したことに起因して運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することができる。
【0011】
又、本発明に係る車両周辺監視装置において、前記制御装置は、前記周辺画像に基づいて前記自車両が前記交差点に接近したか否かを判定するとともに、前記周辺画像に基づいて前記視界値を取得するように構成されてもよい。
【0012】
自車両の周辺の状況に関する情報として、画像情報の他に、電波や音波等の電磁波の反射情報があるが、自車両が交差点に接近したか否かや交差点における視界の広さを判定するための情報として、電磁波の反射情報を用いるよりも、画像情報を用いたほうが、より正確な判定を行うことができる。
【0013】
本発明に係る車両周辺監視装置によれば、自車両が交差点に接近したか否かが周辺画像に基づいて判定されるとともに、視界値が周辺画像に基づいて取得される。このため、自車両が交差点に接近したか否かをより正確に判定することができるとともに、交差点における視界の広さをより正確に表した視界値を取得することができる。
【0014】
又、本発明に係る車両周辺監視装置において、前記制御装置は、前記自車両の前方に前記交差点が存在することを示す道路標識又は路面標示を検出した場合、前記自車両が交差点に接近したと判定するように構成されてもよい。
【0015】
道路標識や路面標示の中には、交差点が存在することを示すものがある。本発明に係る車両周辺監視装置によれば、自車両の前方に交差点が存在することを示す道路標識又は路面標示を検出した場合、自車両が交差点に接近したと判定される。これによれば、自車両が交差点に接近したことを正確に判定することができる。
【0016】
又、本発明に係る車両周辺監視装置において、前記自車両が非優先道路を走行している場合、前記表示条件は、例えば、前記自車両から前記交差点までの距離が第1交差点距離閾値以下であり且つ前記自車両の走行速度が所定速度閾値以下であるとの条件を含んでいる。更に、前記自車両が優先道路を走行している場合、前記表示条件は、例えば、前記自車両から前記交差点までの距離が第2交差点距離閾値以下であるとの条件を含んでおり、前記自車両の走行速度に関する条件を含んでいない。
【0017】
自車両が非優先道路を走行しているときに自車両が交差点に接近した場合、通常、運転者は、自車両を減速させる。従って、自車両が非優先道路を走行している場合、自車両の走行速度が大きいうちは、表示装置により周辺画像を表示する必要性に乏しい。
【0018】
一方、自車両が優先道路を走行しているときには、自車両が交差点に接近しても、信号機等で自車両の進行が規制されない限り、運転者が自車両を減速させることは少ない。従って、自車両が優先道路を走行しているときには、自車両の走行速度に関わらず、表示装置により周辺画像を表示することが望まれる。
【0019】
本発明に係る車両周辺監視装置によれば、自車両が非優先道路を走行している場合、表示条件は、自車両から交差点までの距離が第1交差点距離閾値以下であり且つ自車両の走行速度が所定速度閾値以下であるとの条件を含んでいる。従って、表示装置により周辺画像を表示する必要性に乏しいうちは、表示装置による周辺画像の表示が行われない。このため、周辺画像の不要な表示が行われることを抑制することができる。
【0020】
一方、本発明に係る車両周辺監視装置によれば、自車両が優先道路を走行している場合、表示条件は、自車両から交差点までの距離が第2交差点距離閾値以下であるとの条件を含んでおり、自車両の走行速度に関する条件を含んでいない。従って、自車両の走行速度に関わらず、自車両と交差点との間の距離が短くなれば、周辺画像の表示が行われる。このため、周辺画像の表示を適切に行うことができる。
【0021】
本発明に係る車両周辺監視装置において、前記制御装置は、表示終了条件が成立した場合、前記表示装置における前記周辺画像の表示を終了するように構成されてもよい。この場合、前記表示終了条件は、例えば、前記自車両の運転者から前記表示装置における前記周辺画像の表示の終了が要請されたとの条件、前記自車両の走行速度が表示終了速度閾値以上であるとの条件、前記表示装置における前記周辺画像の表示の開始から経過した時間が表示終了時間閾値以上であるとの条件、及び、前記自車両の位置と地図情報とから前記自車両が前記交差点を通過したと判定されたとの条件の少なくとも1つを含んでいる。
【0022】
周辺画像の表示を開始した後、その表示を不必要に続けていると、運転者に煩わしさを感じさせてしまう。本発明に係る車両周辺監視装置によれば、自車両の運転者から表示装置における周辺画像の表示の終了が要請された場合、又は、自車両の走行速度が表示終了速度閾値以上となった場合、又は、表示装置における周辺画像の表示の開始から経過した時間が表示終了時間閾値以上となった場合、又は、自車両の位置と地図情報とから自車両が交差点を通過したと判定された場合、周辺画像の表示が終了される。このため、適切なタイミングで、周辺画像の表示を終了させることができる。
【0023】
又、本発明に係る車両周辺監視方法は、自車両の周辺の画像である周辺画像を取得し、前記周辺画像を表示する方法であって、前記自車両が交差点に接近したときに当該交差点に対する前記自車両からの視界の広さを表す視界値が所定視界閾値以下であるとの表示条件が成立した場合、前記周辺画像を前記表示装置により表示させる工程を含んでいる。
【0024】
本発明に係る車両周辺監視方法によれば、先に述べた理由と同じ理由から、周辺画像を表示したことに起因して運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することができる。
【0025】
又、本発明に係る車両周辺監視プログラムは、自車両の周辺の画像である周辺画像を取得し、前記周辺画像を表示するプログラムであって、前記自車両が交差点に接近したときに当該交差点に対する前記自車両からの視界の広さを表す視界値が所定視界閾値以下であるとの表示条件が成立した場合、前記周辺画像を前記表示装置により表示させるように構成されている。
【0026】
本発明に係る車両周辺監視プログラムによれば、先に述べた理由と同じ理由から、周辺画像を表示したことに起因して運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することができる。
【0027】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両周辺監視装置を示した図である。
【
図3】
図3は、前方カメラ及び後方カメラを示した図である。
【
図4】
図4は、左側カメラ及び右側カメラを示した図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る車両周辺監視装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図8】
図8は、自車両が交差点に接近した場面を示した図であって、当該交差点について、視界値を取得する方法を説明する図である。
【
図9】
図9は、自車両が交差点に接近した場面を示した図であって、
図8に示した交差点に比べ、交差点から離れた位置に遮蔽物が存在する場面を示した図である。
【
図10】
図10は、自車両が交差点に接近した場面を示した図であって、
図8に示した交差点に比べ、自車両から離れた位置に遮蔽物が存在する場面を示した図である。
【
図11】
図11は、自車両が交差点に接近した場面を示した図であって、当該交差点について、視界値を取得する別の方法を説明する図である。
【
図12】
図12は、自車両が交差点に接近した場面を示した図であって、
図11に示した交差点に比べ、交差点から離れた位置に遮蔽物が存在する場面を示した図である。
【
図13】
図13は、自車両が交差点に接近した場面を示した図であって、
図11に示した交差点に比べ、自車両から離れた位置に遮蔽物が存在する場面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両周辺監視装置、車両周辺監視方法及び車両周辺監視プログラムについて説明する。
図1に示したように、本発明の実施形態に係る車両周辺監視装置10は、自車両100に搭載される。尚、本発明に係る車両周辺監視装置、車両周辺監視方法及び車両周辺監視プログラムは、自車両100を自動運転させることが可能なシステムにおいて、自車両100を運転者が運転する場面にも適用可能である。
【0030】
車両周辺監視装置10は、制御装置としてのECU(電子制御装置)90を備えている。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。本例において、車両周辺監視装置10は、1つのECUを備えたものであるが、後述するように、複数のECUを備え、後述する各種処理をそれらECUにそれぞれ分担して実行させるように構成されてもよい。
【0031】
又、
図1に示したように、自車両100には、アクセルペダル21、アクセルペダル操作量センサ22、ブレーキペダル23、ブレーキペダル操作量センサ24、ハンドル25、ステアリングシャフト26、操舵角センサ27及び車速検出装置28が搭載されている。
【0032】
アクセルペダル21は、自車両100を加速するために運転者により操作される機器である。アクセルペダル操作量センサ22は、アクセルペダル21の操作量を検出するセンサである。アクセルペダル操作量センサ22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、アクセルペダル操作量センサ22によりアクセルペダル21の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。
【0033】
ブレーキペダル23は、自車両100を減速させるために運転者により操作される機器である。ブレーキペダル操作量センサ24は、ブレーキペダル23の操作量を検出するセンサである。ブレーキペダル操作量センサ24は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、ブレーキペダル操作量センサ24によりブレーキペダル23の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。
【0034】
操舵角センサ27は、中立位置に対するステアリングシャフト26の回転角度を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。ステアリングシャフト26は、ハンドル25に接続されており、自車両100の運転者によるハンドル25に対する操作により回転される。ECU90は、操舵角センサ27によりステアリングシャフト26の回転角度を操舵角θとして取得する。
【0035】
車速検出装置28は、自車両100の走行速度を検出する装置であり、例えば、自車両100の各車輪に設けられた車輪速センサを含んでいる。車速検出装置28は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、車速検出装置28により自車両100の走行速度を自車速Vとして取得する。
【0036】
更に、自車両100には、表示装置30が搭載されている。表示装置30は、自車両100の運転席に座っている運転者が視認することができる位置に搭載されている。表示装置30は、後述する周辺画像IMG_Sを含む各種画像を表示する装置であり、本例においては、
図2に示したように、ディスプレイ31を含んでいる。本例において、ディスプレイ31は、いわゆるカーナビゲーション装置のディスプレイである。表示装置30は、ECU90に電気的に接続されている。表示装置30は、ECU90からの指令に応じた画像をディスプレイ31に表示する。
【0037】
更に、自車両100には、自動表示機能オンスイッチ41、自動表示機能オフスイッチ42、ドライバーモニターカメラ43及び音声認識装置44が搭載されている。
【0038】
自動表示機能オンスイッチ41は、自動表示機能をオン状態(作動状態)とするために自車両100の運転者により操作される機器であり、ECU90に電気的に接続されている。自動表示機能は、後述するように、所定の条件が成立したときに表示装置30により後述する周辺画像IMG_Sをディスプレイ31に自動で表示する機能である。ECU90は、自動表示機能オンスイッチ41が操作されると、自動表示機能をオン状態とすることが要求されたと判断し、自動表示機能をオン状態とする。
【0039】
自動表示機能オフスイッチ42は、自動表示機能をオフ状態(非作動状態)とするために自車両100の運転者により操作される機器であり、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、自動表示機能オフスイッチ42が操作されると、自動表示機能をオフ状態とすることが要求されたと判断し、自動表示機能をオフ状態とする。
【0040】
尚、自動表示機能オンスイッチ41と自動表示機能オフスイッチ42とは、1つのスイッチに統合されていてもよい。
【0041】
ドライバーモニターカメラ43は、自車両100の運転席に座っている運転者を撮像する機器であり、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、ドライバーモニターカメラ43が撮像した運転者の画像の情報又はデータ(運転者画像情報ID又は運転者画像データ)を取得する。
【0042】
音声認識装置44は、自車両100の室内の乗員(特に、運転者)が発する声を検出する機器であり、例えば、マイクロフォンである。音声認識装置44は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、音声認識装置44により自車両100の室内の乗員(特に、運転者)が発する声に関する情報又はデータ(音声情報IV又は音声データ)を取得する。
【0043】
更に、自車両100には、周辺情報取得装置60が搭載されている。周辺情報取得装置60は、自車両100の周辺の状況に関する情報又はデータを取得する装置であり、本例においては、画像取得装置61及び物標検出装置62を含んでいる。
【0044】
画像取得装置61は、自車両100の周辺の画像を取得する装置であって、特に、自車両100の周辺を撮像して自車両100の周辺の画像情報IC又は画像データを取得する装置である。本例において、画像取得装置61は、前方カメラ611、後方カメラ612、左側カメラ613及び右側カメラ614を含んでいる。
【0045】
図3に示したように、前方カメラ611は、自車両100の前方の所定範囲601を撮像することができるように自車両100に取り付けられている。又、後方カメラ612は、自車両100の後方の所定範囲602を撮像することができるように自車両100に取り付けられている。又、
図4に示したように、左側カメラ613は、自車両100の左方の所定範囲603を撮像することができるように自車両100に取り付けられている。又、右側カメラ614は、自車両100の右方の所定範囲604を撮像することができるように自車両100に取り付けられている。
【0046】
前方カメラ611が撮像する所定範囲601の左側領域は、左側カメラ613が撮像する所定範囲603の前方領域と部分的に重なっている。又、前方カメラ611が撮像する所定範囲601の右側領域は、右側カメラ614が撮像する所定範囲604の前方領域と部分的に重なっている。又、後方カメラ612が撮像する所定範囲602の左側領域は、左側カメラ613が撮像する所定範囲603の後方領域と部分的に重なっている。又、後方カメラ612が撮像する所定範囲602の右側領域は、右側カメラ614が撮像する所定範囲604の後方領域と部分的に重なっている。
【0047】
画像取得装置61は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、画像取得装置61の前方カメラ611、後方カメラ612、左側カメラ613及び右側カメラ614がそれぞれ撮像して得た自車両100の周辺の画像情報IC又は画像データを周辺検出情報ISとして取得する。ECU90は、画像情報ICに基づいて自車両100の周辺を映し出している画像(周辺画像IMG_S)を表示装置30によりディスプレイ31に表示することができる。
【0048】
物標検出装置62は、自車両100の周辺の物体を検出する装置であって、特に、自車両100の周辺の物体に関する情報又はデータ(物標情報IO又は物標データ)を取得する装置である。物標検出装置62は、例えば、レーダセンサ(ミリ波レーダ)等の電波センサ、超音波センサ(クリアランスソナー)等の音波センサ、及び、レーザーレーダ(LiDAR)等の光センサ等の電磁波センサを含んでいる。
【0049】
物標検出装置62は、電磁波を発信し、その電磁波が物体により反射された場合、その電磁波(反射波)を受信する。物標情報IOは、それら発信された電磁波及び反射波に関する情報である。物標検出装置62は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、物標検出装置62から物標情報IO又は物標データを周辺検出情報ISとして取得する。
【0050】
更に、自車両100には、道路情報取得装置70が搭載されている。道路情報取得装置70は、自車両100が走行している道路に関する情報(道路情報IR)を取得する装置であり、本例において、GPS受信機71及び地図データベース72を含んでいる。
【0051】
GPS受信機71は、GPS信号を受信する機器であり、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、GPS受信機71が受信したGPS信号に基づいて自車両100の現在位置を取得する。
【0052】
地図データベース72は、地図情報又は地図データを保存する機器であり、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、自車両100の現在位置に基づいて地図データベース72から自車両100の周辺の地図情報を周辺検出情報ISとして取得する。本例において、自車両100の周辺の地図情報には、自車両100が走行している道路に関する情報又はデータ(道路情報IR又は道路データ)が含まれている。
【0053】
尚、周辺情報取得装置60は、道路脇に設けられた設備から無線で発信される道路に関する情報を受信する装置を含んでいてもよく、この場合、その情報を周辺検出情報ISとして取得するように構成される。
【0054】
<車両周辺監視装置の作動>
次に、車両周辺監視装置10の作動について説明する。車両周辺監視装置10は、
図5に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、車両周辺監視装置10は、
図5に示したルーチンのステップS500から処理を開始し、その処理をステップS505に進め、周辺画像表示フラグX1の値が「0」であるか否かを判定する。周辺画像表示フラグX1の値は、表示装置30による周辺画像IMG_Sの表示が行われている場合、「1」に設定されており、表示装置30による周辺画像IMG_Sの表示が行われていない場合、「0」に設定されている。
【0055】
車両周辺監視装置10は、ステップS505にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS510に進め、自動表示機能がオン状態にあるか否かを判定する。先に述べたように、自動表示機能は、自動表示機能オンスイッチ41が操作されると、オン状態とされ、自動表示機能オフスイッチ42が操作されると、オフ状態とされる。尚、自動表示機能オンスイッチ41及び自動表示機能オフスイッチ42が設けられておらず、車両周辺監視装置10が常に自動表示機能をオン状態にしておくように構成されている場合、ステップS510の判定は、省略される。
【0056】
車両周辺監視装置10は、ステップS510にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS515に進め、表示条件Cdpyが成立しているか否かを判定する。表示条件Cdpyは、交差点条件Cis及び低視界条件Cfovを含んでいる。
【0057】
交差点条件Cisは、自車両100が交差点300に接近したとの条件である。車両周辺監視装置10は、画像情報IC及び/又は道路情報IR等の周辺検出情報ISに基づいて自車両100が交差点に接近したか否かを判定する。
【0058】
例えば、車両周辺監視装置10は、画像情報ICに基づいて交差点300を検出する場合、先に交差点300が存在することを示す道路標識又は路面標示を画像情報ICに基づいて検出する処理を行い、当該道路標識又は路面標示を検出した場合、自車両100が交差点300に接近したと判定する。
【0059】
又、車両周辺監視装置10は、道路情報IRに基づいて交差点300を検出する場合、GPS信号に基づいて取得した自車両100の現在位置と地図データベース72に保存されている地図情報とから、自車両100の前方に交差点300が存在することを検出する処理を行い、交差点300を検出した場合、自車両100が交差点300に接近していると判定する。
【0060】
又、先に交差点300が存在することを示す道路標識には、交差点における方面や方向を示す案内標識、交差点が存在することを示す警戒標識、車両の一時停止が求められることを示す規制標識、及び、停止線が存在することを示す指示標識等が含まれる。
【0061】
又、先に交差点300が存在することを示す路面標示には、停止線の路面標示、横断歩道の路面標示、及び、先に横断歩道があることを予告する路面標示等が含まれる。
【0062】
尚、本例においては、交差点条件Cisは、交差点距離Dが所定の距離(所定交差点距離閾値Dth)以下であるとの条件である。
図6に示したように、交差点距離Dは、自車両100から交差点300までの距離であり、特に、本例においては、自車両100の前端から交差点300の中央地点300Cまでの距離である。車両周辺監視装置10は、周辺検出情報ISに基づいて交差点300を検出し、交差点距離Dを取得する。
【0063】
尚、交差点300は、
図6に示したように、一方の道路301が他方の道路302を通り抜けずに他方の道路302に接続する形の交差点(いわゆるT字交差点)のみならず、
図7に示したように、一方の道路301が他方の道路302を通り抜ける形の交差点(いわゆる十字交差点)を含む。尚、
図6に示した例において、一方の道路301は、非優先道路であり、他方の道路302は、優先道路である。尚、自車両100が走行している道路が優先道路であるか或いは非優先道路であるかは、例えば、画像情報ICに基づいて検出される路面標示に基づいて判定可能である。
【0064】
又、低視界条件Cfovは、視界値FOVが所定の値(所定視界閾値FOVth)以下であるとの条件であり、特に、本例においては、左側視界値FOV_Lが所定の値(所定左側視界閾値FOV_Lth)以下であるか或いは右側視界値FOV_Rが所定の値(所定右側視界閾値FOV_Rth)以下であるとの条件である。
【0065】
視界値FOVは、交差点300における自車両100の運転者の視界の広さを表す値である。又、左側視界値FOV_Lは、
図8に示したように、自車両100から見て交差点300に左側から接続する道路302Lがある場合において、その道路302Lに対する自車両100の運転者の視界の広さを表す値である。又、右側視界値FOV_Rは、
図8に示したように、自車両100から見て交差点300に右側から接続する道路302Rに対する自車両100の運転者の視界の広さを表す値である。
【0066】
車両周辺監視装置10は、以下のようにして視界値FOVを取得する。
【0067】
即ち、車両周辺監視装置10は、自車両100から見て交差点300に左側から接続する道路302Lがある場合、周辺検出情報ISに基づいて左側遮蔽物400Lを検出する処理を行う。
図8に示したように、左側遮蔽物400Lは、自車両100の左側に存在する遮蔽物400である。尚、本例において、遮蔽物400は、例えば、ビルディング等の建物である。
【0068】
車両周辺監視装置10は、左側遮蔽物400Lを検出した場合、検出した左側遮蔽物400Lについて、周辺検出情報ISに基づいて左側遮蔽物端PL1を検出する。
図8に示したように、左側遮蔽物端PL1は、左側遮蔽物400Lの交差点300側の端である。
【0069】
尚、車両周辺監視装置10は、複数の左側遮蔽物400Lを検出した場合には、それら複数の左側遮蔽物400Lのうち、交差点300に最も近い左側遮蔽物400Lの交差点300側の端を左側遮蔽物端PL1として検出する。
【0070】
次いで、車両周辺監視装置10は、周辺検出情報ISに基づいて左側交点PL2を検出する。
図8に示したように、左側交点PL2は、左側遮蔽物端PL1と自車両100とを通る直線LLと左側交差道路端302LEとの交点である。左側交差道路端302LEは、自車両100から見て交差点300に左側から接続する道路302Lの左側遮蔽物400L側の端(道路端)である。
【0071】
次いで、車両周辺監視装置10は、左側交点PL2に基づいて左側交点距離DLを左側視界値FOV_Lとして取得する。
図8に示したように、左側交点距離DLは、左側交点PL2と自車両100との間の自車両100の車幅方向(横方向)における距離(左側交点距離DL)である。特に、本例において、左側交点距離DLは、左側交点PL2と自車両100の前後方向に延びるセンターラインCLとの間の距離である。
【0072】
同様に、車両周辺監視装置10は、自車両100から見て交差点300に右側から接続する道路302Rがある場合、周辺検出情報ISに基づいて右側遮蔽物400Rを検出する処理を行う。
図8に示したように、右側遮蔽物400Rは、自車両100の右側に存在する遮蔽物400である。
【0073】
車両周辺監視装置10は、右側遮蔽物400Rを検出した場合、検出した右側遮蔽物400Rについて、周辺検出情報ISに基づいて右側遮蔽物端PR1を検出する。
図8に示したように、右側遮蔽物端PR1は、右側遮蔽物400Rの交差点300側の端である。
【0074】
尚、車両周辺監視装置10は、複数の右側遮蔽物400Rを検出した場合には、それら複数の右側遮蔽物400Rのうち、交差点300に最も近い右側遮蔽物400Rの交差点300側の端を右側遮蔽物端PR1として検出する。
【0075】
次いで、車両周辺監視装置10は、周辺検出情報ISに基づいて右側交点PR2を検出する。
図8に示したように、右側交点PR2は、右側遮蔽物端PR1と自車両100とを通る直線LRと右側交差道路端302REとの交点である。右側交差道路端302REは、自車両100から見て交差点300に右側から接続する道路302Rの右側遮蔽物400R側の端(道路端)である。
【0076】
次いで、車両周辺監視装置10は、右側交点PR2に基づいて右側交点距離DRを右側視界値FOV_Rとして取得する。
図8に示したように、右側交点距離DRは、右側交点PR2と自車両100との間の自車両100の車幅方向(横方向)における距離(右側交点距離DR)である。特に、本例において、右側交点距離DRは、右側交点PR2と自車両100の前後方向に延びるセンターラインCLとの間の距離である。
【0077】
斯くして取得される視界値FOVは、自車両100の横に存在する遮蔽物400の交差点300に近い側の端と交差点300との距離が小さいほど小さい値をとり、自車両100の横に存在する遮蔽物400と自車両100との間の距離が小さいほど小さい値をとる。
【0078】
即ち、
図8に示した例と
図9に示した例とを比較した場合、
図8に示した例における左側遮蔽物端PL1は、
図9に示した例における左側遮蔽物端PL1よりも、交差点300の近くにある。この場合、
図8に示した例における左側交点距離DLは、
図9に示した例における左側交点距離DLよりも短くなる。従って、
図8に示した例における左側視界値FOV_Lは、
図9に示した例における左側視界値FOV_Lよりも小さい値をとる。即ち、交差点300における自車両100から左側の視界は、
図9に示した例よりも、
図8に示した例のほうが狭い。
【0079】
同様に、
図8に示した例と
図9に示した例とを比較した場合、
図8に示した例における右側遮蔽物端PR1は、
図9に示した例における右側遮蔽物端PR1よりも、交差点300の近くにある。この場合、
図8に示した例における右側交点距離DRは、
図9に示した例における右側交点距離DRよりも短くなる。従って、
図8に示した例における右側視界値FOV_Rは、
図9に示した例における右側視界値FOV_Rよりも小さい値をとる。即ち、交差点300における自車両100から右側の視界は、
図9に示した例よりも、
図8に示した例のほうが狭い。
【0080】
従って、視界値FOVは、自車両100の横に存在する遮蔽物400の交差点300に近い側の端と交差点300との距離が小さいほど小さい値をとる。
【0081】
又、
図8に示した例と
図10に示した例とを比較した場合、
図8に示した例における左側遮蔽物端PL1は、
図10に示した例における左側遮蔽物端PL1よりも、自車両100の近くにある。この場合、
図8に示した例における左側交点距離DLは、
図10に示した例における左側交点距離DLよりも短くなる。従って、
図8に示した例における左側視界値FOV_Lは、
図10に示した例における左側視界値FOV_Lよりも小さい値をとる。即ち、交差点300における自車両100から左側の視界は、
図10に示した例よりも、
図8に示した例のほうが狭い。
【0082】
同様に、
図8に示した例と
図10に示した例とを比較した場合、
図8に示した例における右側遮蔽物端PR1は、
図10に示した例における右側遮蔽物端PR1よりも、自車両100の近くにある。この場合、
図8に示した例における右側交点距離DRは、
図10に示した例における右側交点距離DRよりも短くなる。従って、
図8に示した例における右側視界値FOV_Rは、
図10に示した例における右側視界値FOV_Rよりも小さい値をとる。即ち、交差点300における自車両100から右側の視界は、
図10に示した例よりも、
図8に示した例のほうが狭い。
【0083】
従って、視界値FOVは、自車両100の横に存在する遮蔽物400と自車両100との間の距離が小さいほど小さい値をとる。
【0084】
<変形例>
或いは、車両周辺監視装置10は、以下のようにして視界値FOVを取得するように構成されてもよい。
【0085】
即ち、車両周辺監視装置10は、
図11に示したように、自車両100から見て交差点300に左側から接続する道路302Lがある場合、周辺検出情報ISに基づいて左側遮蔽物400Lを検出する処理を行う。
【0086】
車両周辺監視装置10は、左側遮蔽物400Lを検出した場合、検出した左側遮蔽物400Lについて、周辺検出情報ISに基づいて左側遮蔽物端PL1を検出する。
【0087】
次いで、車両周辺監視装置10は、検出した左側遮蔽物端PL1について、周辺検出情報ISに基づいて左側交差道路端距離DLxを取得する。
図11に示したように、左側交差道路端距離DLxは、左側遮蔽物端PL1と左側交差道路端302LEとの間の自車両100の前後方向における距離である。
【0088】
更に、車両周辺監視装置10は、検出した左側遮蔽物端PL1について、周辺検出情報ISに基づいて左側遮蔽物距離DLyを取得する。
図11に示したように、左側遮蔽物距離DLyは、左側遮蔽物端PL1と自車両100との間の自車両100の車幅方向(横方向)における距離である。特に、本例において、左側遮蔽物距離DLyは、左側遮蔽物端PL1と自車両100の前後方向に延びるセンターラインCLとの間の距離である。
【0089】
次いで、車両周辺監視装置10は、左側交差道路端距離DLxにゼロよりも大きい所定の係数aを乗じた値と左側遮蔽物距離DLyにゼロよりも大きい所定の係数bを乗じた値との合計値を左側視界値FOV_Lとして取得する(FOV_L=a×DLx+b×DLy)。係数a及び係数bは、適宜設定される係数である。
【0090】
別の言い方をすると、車両周辺監視装置10は、左側遮蔽物距離DLyが大きいほど大きくなり且つ左側交差道路端距離DLxが大きいほど大きくなる値を左側視界値FOV_Lとして取得する。
【0091】
同様に、車両周辺監視装置10は、
図11に示したように、自車両100から見て交差点300に右側から接続する道路302Rがある場合、周辺検出情報ISに基づいて右側遮蔽物400Rを検出する処理を行う。
【0092】
車両周辺監視装置10は、右側遮蔽物400Rを検出した場合、検出した右側遮蔽物400Rについて、周辺検出情報ISに基づいて右側遮蔽物端PR1を検出する。
【0093】
次いで、車両周辺監視装置10は、検出した右側遮蔽物端PR1について、周辺検出情報ISに基づいて右側交差道路端距離DRxを取得する。
図11に示したように、右側交差道路端距離DRxは、右側遮蔽物端PR1と右側交差道路端302REとの間の自車両100の前後方向における距離である。
【0094】
更に、車両周辺監視装置10は、検出した右側遮蔽物端PR1について、周辺検出情報ISに基づいて右側遮蔽物距離DRyを取得する。
図11に示したように、右側遮蔽物距離DRyは、右側遮蔽物端PR1と自車両100との間の自車両100の車幅方向(横方向)における距離である。特に、本例において、右側遮蔽物距離DRyは、右側遮蔽物端PR1と自車両100の前後方向に延びるセンターラインCLとの間の距離である。
【0095】
次いで、車両周辺監視装置10は、右側交差道路端距離DRxにゼロよりも大きい所定の係数cを乗じた値と右側遮蔽物距離DRyにゼロよりも大きい所定の係数dを乗じた値との合計値を右側視界値FOV_Rとして取得する(FOV_R=c×DRx+d×DRy)。係数c及び係数dは、適宜設定される係数である。
【0096】
別の言い方をすると、車両周辺監視装置10は、右側遮蔽物距離DRyが大きいほど大きくなり且つ右側交差道路端距離DRxが大きいほど大きくなる値を右側視界値FOV_Rとして取得する。
【0097】
斯くして取得される視界値FOVも、自車両100の横に存在する遮蔽物400の交差点300に近い側の端と交差点300との距離が小さいほど小さい値をとり、自車両100の横に存在する遮蔽物400と自車両100との間の距離が小さいほど小さい値をとる。
【0098】
即ち、
図11に示した例と
図12に示した例とを比較した場合、
図11に示した例における左側遮蔽物端PL1は、
図12に示した例における左側遮蔽物端PL1よりも、交差点300の近くにある。この場合、
図11に示した例における左側交差道路端距離DLxは、
図12に示した例における左側交差道路端距離DLxよりも短くなる。従って、
図11に示した例における左側視界値FOV_Lは、
図12に示した例における左側視界値FOV_Lよりも小さい値をとる。即ち、交差点300における自車両100から左側の視界は、
図12に示した例よりも、
図11に示した例のほうが狭い。
【0099】
同様に、
図11に示した例と
図12に示した例とを比較した場合、
図11に示した例における右側遮蔽物端PR1は、
図12に示した例における右側遮蔽物端PR1よりも、交差点300の近くにある。この場合、
図11に示した例における右側交差道路端距離DRxは、
図12に示した例における右側交差道路端距離DRxよりも短くなる。従って、
図11に示した例における右側視界値FOV_Rは、
図12に示した例における右側視界値FOV_Rよりも小さい値をとる。即ち、交差点300における自車両100から右側の視界は、
図12に示した例よりも、
図11に示した例のほうが狭い。
【0100】
従って、視界値FOVは、自車両100の横に存在する遮蔽物400の交差点300に近い側の端と交差点300との距離が小さいほど小さい値をとる。
【0101】
又、
図11に示した例と
図13に示した例とを比較した場合、
図11に示した例における左側遮蔽物端PL1は、
図13に示した例における左側遮蔽物端PL1よりも、自車両100の近くにある。この場合、
図11に示した例における左側遮蔽物距離DLyは、
図13に示した例における左側遮蔽物距離DLyよりも短くなる。従って、
図11に示した例における左側視界値FOV_Lは、
図13に示した例における左側視界値FOV_Lよりも小さい値をとる。即ち、交差点300における自車両100から左側の視界は、
図13に示した例よりも、
図11に示した例のほうが狭い。
【0102】
同様に、
図11に示した例と
図13に示した例とを比較した場合、
図11に示した例における右側遮蔽物端PR1は、
図13に示した例における右側遮蔽物端PR1よりも、自車両100の近くにある。この場合、
図11に示した例における右側遮蔽物距離DRyは、
図13に示した例における右側遮蔽物距離DRyよりも短くなる。従って、
図11に示した例における右側視界値FOV_Rは、
図13に示した例における右側視界値FOV_Rよりも小さい値をとる。即ち、交差点300における自車両100から右側の視界は、
図12に示した例よりも、
図11に示した例のほうが狭い。
【0103】
従って、視界値FOVは、自車両100の横に存在する遮蔽物400と自車両100との間の距離が小さいほど小さい値をとる。
【0104】
車両周辺監視装置10は、ステップS515にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS520に進め、第1追加表示条件C1が成立しているか否かを判定する。第1追加表示条件C1は、自車速Vが所定の速度(所定速度閾値Vth)以下であるとの条件(車速条件)である。尚、第1追加表示条件C1は、任意の条件である。従って、ステップS520の判定は、省略されてもよい。
【0105】
尚、自車両100が非優先道路を走行しているときに自車両100が交差点300に接近した場合、通常、運転者は、自車両100を減速させる。従って、自車両100が非優先道路を走行している場合、自車両100の走行速度(自車速V)が大きいうちは、表示装置30により周辺画像IMG_Sを表示する必要性に乏しい。
【0106】
一方、自車両100が優先道路を走行しているときには、自車両100が交差点300に接近しても、信号機等で自車両100の進行が規制されない限り、運転者が自車両100を減速させることは少ない。従って、自車両100が優先道路を走行しているときには、自車両100の走行速度(自車速V)に関わらず、表示装置30により周辺画像IMG_Sを表示することが望まれる。
【0107】
そこで、車両周辺監視装置10は、自車両100が非優先道路を走行している場合、ステップS520の判定を行い、自車両100が優先道路を走行している場合、ステップS520の判定を省略するように構成されてもよい。
【0108】
更に、この場合において、自車両100が非優先道路を走行している場合と自車両100が優先道路を走行している場合とで、ステップS515にて判定される交差点条件Cisにおける所定交差点距離閾値Dthを異ならせてもよい。より具体的には、自車両100が非優先道路を走行している場合には、交差点条件Cisを交差点距離Dが第1交差点距離閾値D1以下であるとの条件に設定し、自車両100が優先道路を走行している場合には、交差点条件Cisを交差点距離Dが第2交差点距離閾値D2以下であるとの条件に設定してもよい。尚、この場合、第2交差点距離閾値D2は、第1交差点距離閾値D1よりも大きい距離に設定される。
【0109】
これによれば、自車両100が非優先道路を走行している場合、少なくとも、自車速Vが所定速度閾値Vth以下であるとの条件(車速条件)が成立しているときに限り、表示装置30による周辺画像IMG_Sの表示が行われる。別の言い方をすると、自車速Vが所定速度閾値Vthよりも大きく、表示装置30により周辺画像IMG_Sを表示する必要性に乏しいうちは、表示装置30による周辺画像IMG_Sの表示が行われない。このため、周辺画像IMG_Sの不要な表示が行われることを抑制することができる。
【0110】
一方、自車両100が優先道路を走行している場合、ステップS520の判定が省略されるので、自車両100走行速度(自車速V)に関わらず、所定の条件が成立すれば、周辺画像IMG_Sの表示が行われる。このため、周辺画像IMG_Sの表示を適切に行うことができる。
【0111】
車両周辺監視装置10は、ステップS520にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS525に進め、第2追加表示条件C2が成立しているか否かを判定する。第2追加表示条件C2は、自車両100の運転者が表示装置30のディスプレイ31を利用していないとの条件(ディスプレイ利用条件)である。
【0112】
車両周辺監視装置10は、ディスプレイ31に対するタッチ操作が最後に行われてから所定の時間(所定無操作時間Top)以上が経過している場合、第2追加表示条件C2が成立していると判定する。
【0113】
尚、車両周辺監視装置10は、運転者画像情報IDに基づいて自車両100の運転者がディスプレイ31を利用していないと判定するように構成されてもよい。この場合、例えば、車両周辺監視装置10は、運転者画像情報IDに基づいて運転者がディスプレイ31を見なくなってから所定の時間(所定無視認時間Tvc)以上経過している場合、第2追加表示条件C2が成立していると判定する。尚、第2追加表示条件C2は、任意の条件である。従って、ステップS525の判定は、省略されてもよい。
【0114】
車両周辺監視装置10は、ステップS525にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS530に進め、表示装置30により周辺画像IMG_Sをディスプレイ31に表示する。このときに表示される周辺画像IMG_Sは、画像情報ICに基づいて生成される画像であって、自車両100の左側、自車両100の前方及び自車両100の右側を映し出している画像である。又、このときに表示される周辺画像IMG_Sは、少なくとも、自車両100の運転者の死角になっている領域が映し出されている画像である。
【0115】
尚、ステップS515において、左側視界値FOV_Lが所定左側視界閾値FOV_Lth以下であり且つ右側視界値FOV_Rが所定右側視界閾値FOV_Rthよりも大きいと判定されている場合、車両周辺監視装置10は、周辺画像IMG_Sとして、左側周辺画像IMG_Lを表示装置30によりディスプレイ31に表示するようになっていてもよい。左側周辺画像IMG_Lは、画像情報ICに基づいて生成される画像であって、自車両100の左側を映し出している画像である。
【0116】
又、ステップS515において、左側視界値FOV_Lが所定左側視界閾値FOV_Lthよりも大きく且つ右側視界値FOV_Rが所定右側視界閾値FOV_Rth以下であると判定されている場合、車両周辺監視装置10は、周辺画像IMG_Sとして、右側周辺画像IMG_Rを表示装置30によりディスプレイ31に表示するようになっていてもよい。右側周辺画像IMG_Rは、画像情報ICに基づいて生成される画像であって、自車両100の右側を映し出している画像である。
【0117】
次いで、車両周辺監視装置10は、処理をステップS535に進め、周辺画像表示フラグX1の値を「1」に設定し、その後、処理をステップS595に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0118】
一方、車両周辺監視装置10は、ステップS510、ステップS515、ステップS520及びステップS525にて「No」と判定した場合、処理をステップS595に直接進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0119】
又、車両周辺監視装置10は、ステップS505にて「No」と判定した場合、処理をステップS540に進め、表示終了条件Cendが成立しているか否かを判定する。表示終了条件Cendは、表示装置30による周辺画像IMG_Sの表示を終了するべき状況が生じたとの条件である。
【0120】
本例において、車両周辺監視装置10は、自動表示機能オフスイッチ42が操作され、自動表示機能をオフ状態とすることが要求された場合、又は、音声情報IVに基づいて自動表示機能をオフ状態とすることを要求する音声が検出された場合、又は、自車速Vが所定の速度(所定表示終了速度閾値Vend)以上となった場合、又は、表示装置30による周辺画像IMG_Sの表示が開始されてから所定の時間(所定表示終了時間閾値Tend)が経過した場合、又は、道路情報IRに基づいて自車両100が交差点300を通過したと判断された場合、又は、アクセルペダル操作量APが所定の操作量(所定表示終了操作量閾値APend)以上となった場合、又は、ブレーキペダル操作量BPが所定の操作量(所定表示終了操作量閾値BPend)以上となった場合、又は、操舵角θが所定の値(所定表示終了操舵角閾値θend)以上となった場合、表示終了条件Cendが成立したと判定する。
【0121】
尚、車両周辺監視装置10は、道路情報IRではなく、画像情報IC及び/又は物標情報IOに基づいて自車両100が交差点300を通過したか否かを判断するように構成されてもよい。この場合、車両周辺監視装置10は、交差点300を検出してから自車両100が走行した距離が交差点300を検出したときに取得した交差点距離Dよりも大きくなっているとの条件が成立している場合に限り、自車両100が交差点300を通過したと判断することにより、判断精度を向上させるようにしてもよい。
【0122】
車両周辺監視装置10は、ステップS540にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS540に進め、表示装置30による周辺画像IMG_Sの表示を終了する。
【0123】
次いで、車両周辺監視装置10は、処理をステップS550に進め、周辺画像表示フラグX1の値を「0」に設定し、その後、処理をステップS595に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0124】
車両周辺監視装置10によれば、交差点300に自車両100が接近したときにその交差点300における視界が悪い場合に限り、周辺画像IMG_Sが表示される。このため、周辺画像IMG_Sを表示したことに起因して運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することができる。
【0125】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0126】
10…車両周辺監視装置、30…表示装置、31…ディスプレイ、60…周辺情報取得装置、61…画像取得装置、90…ECU、100…自車両、300…交差点、400…遮蔽物