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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081281
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20240611BHJP
   E03C 1/08 20060101ALI20240611BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
A47K3/28
E03C1/08
B05B1/18 101
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194792
(22)【出願日】2022-12-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】511178681
【氏名又は名称】株式会社 Toshin
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】乙黒 孝一
【テーマコード(参考)】
2D060
2D132
4F033
【Fターム(参考)】
2D060CB03
2D060CC16
2D132FA02
2D132FA06
2D132FB02
2D132FB03
2D132FJ02
2D132FJ08
2D132FJ25
2D132FJ28
2D132FJ29
2D132FJ31
2D132FJ34
2D132FJ35
4F033AA11
4F033BA04
4F033CA11
4F033DA05
4F033EA01
4F033FA03
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】使用において変形を伴う散水板において、散水板がシャワーヘッド本体に対して移動しないシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】本発明のシャワーヘッド1は、流入口7および吐水口4を有するヘッド本体1と、ヘッド本体1の吐水口4を塞ぐように配置され、外周部14が吐水口4の外周壁12に固定された散水板5と、ヘッド本体1内に配置される散水板5の可動手段15と、を備え、散水板5が弾性体からなり、可動手段15が散水板5の中央部5aを吐水方向の前後に移動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口および吐水口を有するヘッド本体と、
前記ヘッド本体の吐水口を塞ぐように配置され、外周部が吐水口の外周壁に固定された散水板と、
前記ヘッド本体内に配置される前記散水板の可動手段と、を備え、
前記散水板が弾性体からなり、前記可動手段が前記散水板の中央部を吐水方向の前後に移動させるシャワーヘッド。
【請求項2】
前記散水板には複数の吐水孔が設けられ、前記散水板の中央部が吐水方向の前後に移動することで、吐水孔の吐水方向への角度が変化する請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記可動手段は一端が前記散水板の中央部に接続され、散水板の中央部を前方に押し出して散水板を凸形状に変形させる押出機構と、散水板の中央部を後方に引き入れて散水板を凹形状に変形させる引入機構と、を有する請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記散水板は、吐水方向の前後に反転することで前記凸形状と凹形状とに変形する請求項3に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記可動手段は一端が散水板の中央部と一体成形され、一端が散水板の内部に埋め込まれている請求項3に記載のシャワーヘッド。
【請求項6】
前記散水板の外周部は、ヘッド本体の吐水口の外周壁に螺合されるリング状の固定部材の締め付けによって、吐水口の外周壁に固定される請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項7】
前記散水板の外周部には、前記ヘッド本体の吐水口側に突出するフランジが設けられ、前記ヘッド本体の吐水口の外周壁には、前記リング状の固定部材の締め付け時に散水板の前記フランジを受け入れる凹部が設けられる請求項6に記載のシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室、洗面化粧台あるいは流し台などにおける給湯水設備の一部として使用されるシャワーヘッドに係り、特にシャワー吐水の広がりを調節可能なシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からシャワー吐水の広がりを調整可能なシャワーヘッドとしては、弾性体による散水板に通水孔が形成されており、この散水板を変形させることにより散水板を通過する吐水の広がりを調節するシャワーヘッドが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2001-327424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたシャワーヘッドにあっては、散水板の変形にあたり、散水板とシャワーヘッド本体との接続部分である散水板の外周部分を往復移動させるため、接続部分の水密性が低い恐れがある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、変形を伴う散水板とシャワーヘッド本体との間の水密性を高めたシャワーヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシャワーヘッドは、流入口および吐水口を有するヘッド本体と、ヘッド本体の吐水口を塞ぐように配置され、外周部が吐水口の外周壁に固定された散水板と、ヘッド本体内に配置される散水板の可動手段とを備え、散水板が弾性体からなり、可動手段が散水板の中央部を吐水方向の前後に移動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシャワーヘッドによれば、散水板の中央部を吐水方向の前後に移動させる可動手段をヘッド本体内に配置することにより、散水板とシャワーヘッド本体との接続部分が移動しないため、変形を伴う散水板の水密性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るシャワーヘッドの斜視図である。
図2】上記実施形態に係るシャワーヘッドの断面図である。
図3図2中A部拡大図である。
図4】上記実施形態に係るシャワーヘッドの可動手段の断面斜視図である。
図5】上記実施形態に係るシャワーヘッドの可動手段の分解斜視図である。
図6】上記実施形態に係るシャワーヘッドの可動手段の動作説明図である。
図7】(a)上記実施形態に係るシャワーヘッドの散水板が凸形状に変形した状態を示す断面図、(b)上記実施形態に係るシャワーヘッドの散水板が凹形状に変形した状態を示す断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るシャワーヘッドの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のシャワーヘッドについて、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、シャワーヘッドの構成部材、シャワーヘッドの周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1図2に示されるようにシャワーヘッド10は、使用者が手に持つ把持部3と、把持部3の下端に設けられシャワーホース(図示せず)が接続される流入口7と把持部3の上端に設けられるヘッド本体1とを備えている。
【0011】
ヘッド本体1は、ケース2aと散水板5と固定部8とを備えている。ケース2aは、樹脂や金属材料を用いた筒状体であり、外郭を形成する底部2bと周壁部2cとを有している。
【0012】
底部2bは、断面が円弧状に形成されており、円弧の曲率半径が散水板5の半径よりも大きく設定され、内部空間41が大きく確保されている。周壁部2cは、底部2bの外縁から吐水方向を示す軸線Oに沿って延設された円筒形状をしている。軸線Oは、把持部3の軸線Lに対して折り曲げ方向の内側が鋭角になるように交差している。
【0013】
周壁部2cと把持部3との接続部分には、流入口7と略同じ大きさの孔である取水口2dが設けられている。取水口2dは周壁部2cの底部2b側に開口しており、取水口2dには、流入口7から把持部3の内部を経て湯水が流入する。取水口2dより吐水方向における下流側には、周壁部2cの端部により吐水口4が形成されている。吐水口4は、取水口2dよりも拡径されており、ここから湯水が吐水される。なお、吐水方向の前側とは吐水方向の下流側を指し、吐水方向の後側とは吐水方向の上流側を指す。
【0014】
散水板5は、ヘッド本体1の吐水口4を塞ぐように配置されている。外周部14は、図3に示されるように吐水口4の外周壁12に固定されている。散水板5の外径は、吐水口4の内径よりも大きく、外周壁12の吐水方向における端面に接触している。本実施形態では散水板5はエラストマなどゴム弾性を有する弾性体からなり、柔軟性を有するため変形が可能である。散水板5には全面に複数の吐水孔5bが設けられている。
【0015】
吐水孔5bは、それぞれが略同一の孔径を有し、散水板5の面に対して略直角に貫通している。複数の吐水孔5bは、散水板5の中央部5aと外周部14との間に、円周状かつ帯状に設けられている。複数の吐水孔5bは、散水板5の正面視において上下方向および左右方向ともに対称に形成されている。
【0016】
固定部8は、リング状の固定部材9と、散水板5の外周部14に設けられたフランジ11と、吐水口4の外周壁12に形成された凹部13とを備えている。
【0017】
固定部材9は、ヘッド本体1に設けられた吐水口4の外周壁12に螺合されている。散水板5の外周部14は、固定部材9の締め付けによって吐水口4の外周壁12に固定される。前述のように散水板5の外径は、吐水口4の内径よりも大きく、外周壁12の吐水方向における端面に接触している。このため散水板5の外周部14は、外周壁12の端面と固定部材9とにより押圧され固定されている。
【0018】
フランジ11は、外周部14の周方向の全周に形成されており、吐水口4の底部2b側に突出している。また、凹部13は、外周壁12の周方向の全周に形成され、リング状の固定部材9の締め付け時に、散水板5のフランジ11を受け入れることができる。散水板5の外周部14は、フランジ11を凹部13に嵌合した状態で固定部材9を締め付けることによりヘッド本体1に固定される。このため散水板5は、表面を強く押圧されることにより、外周部14が半径方向の中心側へ引き込まれた場合においても外周壁12から外れることがなく高い水密性を有している。
【0019】
図4に示されるように、ヘッド本体1内には、散水板5の中央部5aを吐水方向の前後に移動させる可動手段15が配置されている。可動手段15は、ヘッド本体1の底部2bに固定された可動本体22と、散水板5の中央部5aと連接するノック部24と、を備えている。
【0020】
可動本体22は、前述のように底部2bに固定され、散水板5よりも吐水方向において後側であるヘッド本体1の内部に位置している。このようにシャワーヘッド1は、散水板5の一部を往復運動させることにより散水板5を変形させるのではなく、ヘッド本体1および散水板5により囲まれたヘッド本体1内部に、固定した可動本体22と散水板5を一体に連結することにより散水板5を変形させている。このためシャワーヘッド1は、往復運動する機構部分におけるパッキン等の防水措置が不要になり、散水板5とヘッド本体1との間の水密性を高くすることができる。
【0021】
図4に示される可動本体22は、散水板5の中央部5aを吐水方向の前後に移動させる手段として、例えばノックカム機構を利用することができる。このノックカム機構は、ノック部24を長手方向に往復運動可能に支持するホルダー25と、ホルダー25の内周面25bに支持され、長手方向に往復移動および周方向に回転移動する回転体23とを備えている。
【0022】
図5(a)および図5(b)に示されるようにホルダー25は、内周面25bに長手方向に延びたカム溝38を有している。カム溝38は、ノック部24が取り付けられる先端側からホルダー25の中ほどまで長手方向に形成されている。複数のカム溝38の間にはリブ40が形成されており、リブ40の先端には斜面40bが設けられている。斜面40bはホルダー25の長手方向に対して略45度の角度に傾いている。なお、図4に示されるように、回転体23とノック部24とは、スナップフィット23dとスナップフィット係合部24hとにより互いに係合されているが、図5ではホルダー25の内周面25bの説明のためにスナップフィット23dを図示していない。
【0023】
カム溝38は、ホルダー25の内周面25bと同一面である深溝38aと、内周面25bよりもホルダー25の半径方向における中心側へ突出した浅溝38bとから構成されている。深溝38aと浅溝38bとは周方向に交互に形成されている。浅溝38bの一端に形成された斜面38cは、リブ40の斜面40bと段差のない連続した斜面として形成されている。
【0024】
ノック部24は、円板形状の押圧板24aと、押圧板24aから吐水方向の後側に延びる円筒状の本体24bとを有している。ノック部24の先端に設けられた押圧板24aは、散水板5の中央部5aとインサート成形により一体成型され、散水板5の内部に埋め込まれている。このため、散水板5の中央部5aと押圧板24aとの接続部分との間には、高い水密性が確保される。
【0025】
図5(a)および(b)に示されるように、本体24bには、円筒状の本体24bから外周方向に突出した凸部24gと、本体24bの端部に形成されたカム24cとが設けられている。凸部24gは、カム溝38と同数設けられている。凸部24gは、浅溝38bの双方に組み合わされた場合においても、浅溝38bの底と接触しない高さに設定されている。
【0026】
凸部24gをカム溝38に組み合わせることにより、ノック部24がホルダー25の長手方向に往復移動可能となる。また、凸部24gとカム溝38とがホルダー25の周方向においては噛み合っているので、ノック部24がホルダー25に対して回転することはない。凸部24gの数は、ノック部24がホルダー25に対してスムーズに往復運動できればよく、カム溝38と同数でなくてもよい。
【0027】
カム24cは、ノック部24の端部に、本体24bの長手方向に突出するように設けられている。カム24cは、凸部24gよりも内周側にカム溝38と同数設けられている。カム24cの頂部24dは、凸部24gの周方向における幅寸法の中心に形成され、ホルダー25に対して回転することなく、カム溝38に沿って長手方向に往復移動する。
【0028】
また、図4に示されるように、本体24bの内周面には回転体23と係合するためのスナップフィット係合部24hが設けられている。スナップフィット係合部24hは、本体24bの内周面から中心方向に向かって突出している。
【0029】
回転体23には、長手方向に設けられたリブ23aと、リブ23aの先端に形成された斜面23bと、ノック部24側に突出してスナップフィット係合部24hと係合するスナップフィット23dとが設けられている。
【0030】
リブ23aは深溝38aと同数設けられている。リブ23aは、ホルダー25の内周面25bに、回転移動可能かつ往復運動可能に支持されている。またリブ23aの幅は、カム溝38の幅よりも狭く形成されている。このためリブ23aは、ホルダー25の内周面25bと同一面である深溝38aに組み込まれて往復移動することができる。一方、リブ23aは、内周面25bから中心方向へ突出した浅溝38bには組み込まれることがない。リブ23aの斜面23bと浅溝38bの斜面38cとが干渉するからである。斜面23bの頂部23cは、リブ23aの周方向における幅寸法の中心から外れた位置に形成されている。リブ23aが深溝38aに組み込まれると、頂部23cは深溝38aの幅方向における中心から外れた位置において、深溝38a内を往復運動する。
【0031】
スナップフィット23dは、回転体23端部からノック部24側に突出しており、ノック部24のスナップフィット係合部24hと係合している。スナップフィット23dとスナップフィット係合部24hとは、長手方向において係合しているが回転方向では係合していない。このため回転体23が吐水方向の前後に移動した場合は、ノック部24は回転体23と連動して吐水方向の前後に移動するが、回転体23の回転がノック部24には伝達されることはない。
【0032】
ここでノックカム機構の動きを説明する。図6(a)~(c)は、リブ23aの頂部23cとカム24cとの位置関係、およびリブ23aの頂部23cと、斜面38cおよび斜面40bとの位置関係を説明するために、実際には接触している回転体23とノック部24とを説明用に長手方向に離隔して表したものである。図6(a)に示されるように、回転体23はスプリング42によりノック部24方向へと押されている。このためリブ23aの頂部23cは、深溝38aに組み込まれた状態ではカム24cの点Xに押圧されて位置決めされる。一方リブ23aの頂部23cは、深溝38aに組み込まれていない場合は、スプリング42押圧され、浅溝38bの斜面38cにおける点Yに位置決めされる。なお、図6(a)に示されるh寸法が、散水板5が吐水方向の前後に移動するときの移動量となる。ここで、ノック部24と回転体23とを係合させるスナップフィット係合部24hとスナップフィット23dとの間には、回転体23の動きを円滑にするための軸方向のクリアランス(図示せず)が設けられている。このため、前述の散水板5の移動量は、実際には前記h寸法から前記クリアランスを減じた分となる。
【0033】
以下で、回転体23の点Xから点Yへの移動を説明する。図6(b)に示されるように、ノック部24がノックされ回転体23が深溝38aから押し出されると、頂部23cは回転しながらカム24cの点Xから滑り落ちて点Zおよび浅溝38bの斜面38cにおける点Z’で停止する。
【0034】
次に、図6(c)に示されるように、ノック部24がスプリング42によって吐水方向における前側に押し戻されると、頂部23cは浅溝38bの斜面38cに乗り上げることにより、点Z’から点Yまで滑り落ちて位置決めされる。
【0035】
図6(c)に示されるように、斜面23bの頂部23cは浅溝38bの中心に位置していない。このためノック部24が再度ノックされると、頂部23cが斜面24eを滑り落ちて隣の深溝38aへと移動して再び点Xに押圧されて位置決めされる。斜面24eはリブ40の斜面40bおよび浅溝38bの斜面38cと同一方向に傾いているため、回転体23は1方向にしか回転できない。このためノック部24をノックするたびに回転体23が同一方向に回転して図6(a)と図6(c)の状態が切り替わり、ノックカム機構が前進位置(点X)と後退位置(点Y)とに交互に位置決めされる。
【0036】
図7(a)に示されるように可動本体22は、散水板5の中央部5aが押されることにより、ノック部24が吐水方向の前進した位置で位置決めされた場合には、散水板5の中央部5aを前方に押す押出機構として機能する。また、図7(b)に示されるように可動本体22は、散水板5の中央部5aが押されることにより、ノック部24が吐水方向の後退した位置で位置決めされた場合には、散水板5の中央部5aを後方に引き入れる引入機構として機能する。このように可動本体22は、散水板5の中央部5aが押される度に散水板5の中央部5aを吐水方向の前後に移動させる。
【0037】
弾性体である散水板5は、可動本体22が押出機構として機能した場合には、吐水方向の前側に突出して、図7(a)に示されるように凸形状に変形する。また、散水板5は、可動本体22が引入機構として機能した場合には吐水方向の後側に引き入れられ、図7(b)に示されるように凹形状に変形する。散水板5は、可動本体22が吐水方向の前進した位置と後退した位置とに交互に位置決めされる度に、吐水方向の前後に反転して凸形状と凹形状とに変形する。
【0038】
散水板5の中央部5aが前方に押し出され凸形状になった状態では、図7(a)に示されるように、吐水孔5bは吐水方向Oに対して角度αに傾いている。このとき散水板5からの吐水は外側に広がり、例えば浴室内でシャワーを浴びる時のような、広範囲なシャワー吐水が得られる。
【0039】
凸状態の散水板5が、中央部5aを押圧されることにより可動手段15が後退した位置で位置決めされた場合は、散水板5の中央部5aが後方に引き入れられ凹形状となる。このとき図7(b)に示されるように、吐水孔5bは吐水方向Oに対して角度α′に傾いている。角度α′に傾いた散水板5からの吐水は内側に絞られ、赤ちゃんやペットなどを対象とした狭い範囲に適したシャワー吐水や、美容院など飛び跳ねを防止したいシャワー吐水が得られる。
【0040】
このようにシャワーヘッド1は、変形を伴う散水板5がヘッド本体1に対して移動する部分を有しないため、散水板5の外周部における水密性が高い。また、散水板5の中央部5aにおいても、押圧板24aは、散水板5の中央部5aとインサート成形により一体成型されており水が漏れることがない。
【0041】
(第2実施形態)
図8には本発明の第2実施形態に係るシャワーヘッド20が示されている。このシャワーヘッド20は、以下に説明する点で第1実施形態に係るシャワーヘッド1と相違し、その他の点では、第1実施形態に係るシャワーヘッド1と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0042】
図8に示されるシャワーヘッド20は、ノック部44の一端に形成された押圧板44cが散水板43の中央部43aに設けられた取付孔43bから散水板43の前側に露出した状態で、散水板43に固定されている。押圧板44cの外周部には凹溝44dが全周に設けられ、この凹溝44dに散水板43の中央部43aに設けられた凸条43fを嵌合させることで固定されている。凹溝44dと凸条43fとの間に接着剤を介在させことでより確実性を増すこともできる。また、押圧板44cの吐水方向の後側には押圧板44cよりも小径な筒部44eが設けられている。筒部44eの端部には、筒部44eよりも大径の爪部44fが半径方向外側に突出している。爪部44fがノック部44の本体44aに係合されることにより、本体44aの端面44bと押圧板44cとにより散水板43を挟み込んでいる。このような固定手段により、前記取付孔43bの周縁部には押圧板44cと端面44bとに挟持された散水板43のシール面43eが形成されるので、散水板43が変形した場合であっても、シール面43eの押圧板44aに対する面圧が低下しにくく水密性が確保される。また、押圧板44aは散水板43の中央部43aの前側に露出しているので、操作時の視認性がよい。さらに押圧板44aは、散水板43よりも硬質な樹脂で形成されているため、吐水方向切り替えのための押圧時に良好なクリック感を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ヘッド本体
2a ケース
2b 底部
2c 周壁部
2d 取水口
3 把持部
4 吐水口
5 散水板
5a 中央部
5b 吐水孔
7 流入口
8 固定部
9 固定部材
10 シャワーヘッド
11 フランジ
12 外周壁
13 凹部
14 外周部
15 可動手段
20 シャワーヘッド
22 可動本体
23 回転体
23a リブ
23b 斜面
23c 頂部
23d スナップフィット
24 ノック部
24a 押圧板
24b 本体
24g 凸部
24c カム
24d 頂部
24e 斜面
24f 底部
24h スナップフィット係合部
25 ホルダー
25b 内周面
38 カム溝
38a 深溝
38b 浅溝
38c 斜面
40 リブ
40b 斜面
40c 底部
41 内部空間
42 スプリング
43 散水板
43a 中央部
43b 取付孔
43e シール面
43f 凸条
44 ノック部
44a 本体
44b 端面
44c 押圧板
44d 凹溝
44e 筒部
44f 爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8