(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081283
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】大麦若葉末及び大麦若葉末を含有する造粒物
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20240611BHJP
A61K 36/8998 20060101ALI20240611BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240611BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240611BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20240611BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20240611BHJP
【FI】
A23L7/10 H
A61K36/8998
A61P1/14
A23L33/105
A23L2/00 Q
A23L2/00 R
A23L2/38 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194797
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏哉
(72)【発明者】
【氏名】小関 善史
【テーマコード(参考)】
4B018
4B023
4B117
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE03
4B018MD29
4B018MD49
4B018ME11
4B018MF04
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4B023LC09
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4B117LP20
4C088AB73
4C088AC05
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4C088MA43
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA73
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明の課題は、整腸効果を発揮する大麦若葉末、及びこれを含有する造粒物を提供することにある。
【解決手段】大麦若葉末中のヘミセルロース含有量が5~30重量%であることを特徴とする、大麦若葉末を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大麦若葉末中のヘミセルロース含有量が5~30重量%であることを特徴とする、大麦若葉末。
【請求項2】
請求項1に記載の大麦若葉末を含有する食品又は飲料。
【請求項3】
請求項1に記載の大麦若葉末を含有することを特徴とする造粒物。
【請求項4】
飲料用であることを特徴とする請求項3に記載の造粒物。
【請求項5】
請求項3に記載の造粒物を含有する食品又は飲料。
【請求項6】
ヘミセルロース含有量が5~30重量%である大麦若葉末を含有することを特徴とする、整腸組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大麦若葉末及び大麦若葉末を含有する造粒物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の変化、食事内容の偏り、ストレスなどの影響によって様々な生活習慣病が蔓延している。生活習慣に起因する症状の一つとして便秘や下痢などの腸の不調が知られている。特に便秘は、腹痛、頭痛、肌荒れなど様々な問題を引き起こす場合があり、大腸ガンの原因ともなり得る。そこで、便秘などの腸の不調を改善することを目的として、整腸作用を有する食品の開発が進められている。
【0003】
整腸作用を有する食品としては、例えば、ラクトコッカス属菌を含有する整腸組成物(特許文献1)が知られている。しかしながら、これまで開発された食品については必ずしも整腸作用が十分ではなく、新たな整腸作用を有する食品の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、整腸効果を発揮する大麦若葉末、及びこれを含有する造粒物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、整腸作用を有する食品について研究する中で、大麦若葉末中のヘミセルロース含有量が所定の範囲である場合に、優れた整腸効果が発揮されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]
大麦若葉末中のヘミセルロース含有量が5~30重量%であることを特徴とする、大麦若葉末。
[2]
[1]に記載の大麦若葉末を含有する食品又は飲料。
[3]
[1]に記載の大麦若葉末を含有することを特徴とする造粒物。
[4]
飲料用であることを特徴とする[3]に記載の造粒物。
[5]
[3]に記載の造粒物を含有する食品又は飲料。
[6]
[1]に記載の大麦若葉末を含有することを特徴とする、整腸組成物。
[7]
[1]に記載の大麦若葉末を含有することを特徴とする、便通改善組成物。
[8]
[1]に記載の大麦若葉末を含有することを特徴とする、腸内環境改善組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の大麦若葉末及びこれを含有する造粒物は、大麦若葉末中のヘミセルロース含有量が所定の範囲である場合に、優れた整腸効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
[A.大麦若葉末]
大麦(Hordeum vulgare L.)は中央アジア原産とされ、イネ科に属する一年生又は越年生草本である。本発明に用いる大麦について、品種は特に限定されない。いずれの品種の大麦であっても用いることができ、野生種や交雑種であっても用いることができる。
【0011】
本発明の大麦若葉とは、葉の部分を含む大麦の植物体を意味し、葉とともに茎その他の部分を含んでもよい。整腸効果をより顕著に発揮する観点から、葉のみ、又は、葉とともに茎を含んでいることが好ましい。
【0012】
大麦若葉としては、いずれの収穫時期に収穫されたものであってもよく、特に限定されないが、整腸効果をより顕著に発揮する観点から、成熟期前、すなわち、分けつ開始期から出穂開始前期に収穫されたものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、背丈が10cm以上、好ましくは10-90cm程度、特に好ましくは20-80cm程度、とりわけ30-70cm程度である大麦から収穫した大麦若葉を用いることが好ましい。
【0013】
本発明の大麦若葉末とは、大麦若葉を粉末化したものを意味する。本発明の大麦若葉末としては、大麦若葉の粉砕末、大麦若葉の搾汁の乾燥粉末、大麦若葉の抽出物の乾燥粉末などが挙げられるが、整腸効果をより顕著に発揮する観点から、大麦若葉の粉砕末を用いることが好ましい。
【0014】
本発明の大麦若葉の粉砕末は、例えば、乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせることにより、得ることができる。乾燥処理及び粉砕処理は同時に行ってもよく、又はいずれを先に行ってもよいが、乾燥処理を先に行った後に粉砕処理を行うことが好ましい。大麦若葉を乾燥粉末化するに際して、さらに必要に応じて、ブランチング処理、殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理を組み合わせて行ってもよい。また、粉砕処理を行う回数は特に限定されず、粗粉砕処理を行った後に、より細かく粉砕する微粉砕処理を行うなどのように、1回又は2回以上の処理として実施してもよい。
【0015】
ブランチング処理は大麦若葉の緑色を鮮やかに保つための処理であり、ブランチング処理の方法としては、熱水処理や蒸煮処理などが挙げられる。
【0016】
熱水処理としては、例えば、70-100℃、好ましくは80-100℃の熱水又は水蒸気中で、大麦若葉を60-240秒間、好ましくは90-180秒間処理する方法などが挙げられる。
【0017】
蒸煮処理としては、常圧又は加圧下において、大麦若葉を水蒸気により蒸煮する処理と冷却する処理とを繰り返す間歇的蒸煮処理が好ましい。間歇的蒸煮処理において、水蒸気により蒸煮する処理は、例えば、20-40秒間、好ましくは30秒間行われる。蒸煮処理後の冷却処理は、直ちに行われることが好ましく、その方法は特に限定されない。
【0018】
殺菌処理は当業者に通常知られている殺菌処理であれば特に限定されないが、例えば、温度、圧力、電磁波、薬剤などを用いて物理的又は化学的に微生物を殺滅させる処理であるということができる。
【0019】
乾燥処理及び粉砕処理に追加してブランチング処理を行う場合、ブランチング処理は乾燥処理の前に行われることが好ましい。また、乾燥処理及び粉砕処理に追加して殺菌処理を行う場合、殺菌処理は、乾燥処理の後か、粉砕処理の前又は後に行われることが好ましい。
【0020】
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、大麦若葉の水分含量が10重量%以下、好ましくは5重量%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行われ得る。
【0021】
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、当業者が通常使用する任意の方法により植物体を粉砕する処理が挙げられる。粉砕処理に際して、粒度の均一化、粉砕時間の短縮など、粉砕効率を上げる観点から、粗粉砕及び微粉砕を組み合わせて行うことが好ましい。
【0022】
粉砕処理において、粗粉砕工程では、大麦若葉をカッター、スライサー、ダイサーなどの当業者が通常用いる任意の粗粉砕用の機器又は器具を用いて、例えば、大麦若葉の長径が約20mm以下、好ましくは約0.1-10mmとなるように破砕する。微粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの当業者が通常用いる任意の微粉採用の機器や器具を用いて大麦若葉を微粉砕する。
【0023】
本発明の大麦若葉の搾汁の乾燥粉末は、例えば、大麦若葉の搾汁液を粉末化する方法により得ることができる。具体的には、ミキサー、ジューサー等の機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過等の手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得た後、スプレードライ、フリーズドライ等によって粉末化することにより得ることができる。粉末化を行う際には、必要に応じて賦形剤を添加してもよい。
【0024】
本発明の大麦若葉の抽出物の乾燥粉末は、例えば、大麦若葉の抽出液を粉末化する方法により得ることができる。具体的には、大麦若葉の細片化物に、エタノール、水、含水エタノール等の抽出溶媒を加え、必要に応じて攪拌や加温して抽出液を得た後、スプレードライ、フリーズドライ等によって粉末化することにより得ることができる。粉末化を行う際には、必要に応じて賦形剤を添加してもよい。
【0025】
[B.大麦若葉末中のヘミセルロース]
本発明の大麦若葉末は、ヘミセルロースを含有する。ヘミセルロースとは、サウスゲート法によりヘミセルロースとして定量される非セルロース多糖類を意味する。
【0026】
ヘミセルロースは、例えば、サウスゲート法によって定量することができる。サウスゲート法とは、食物繊維を構成糖ごとに分画し定量を行う分析方法であり、試料中のデンプンを酵素処理後、各濃度の硫酸への溶解度でヘミセルロース画分、セルロース画分、リグニン画分に分画して、各画分の構成糖を定量する方法である。具体的には、組成物よりデンプンを酵素除去した後、5%硫酸を加え、逆流冷却器を付けて加熱(100℃、2時間半)し、得られた可溶画分を定容後、フェノール硫酸法でグルコースを定量し、係数0.9を乗じることにより、ヘミセルロースを定量することができる。
【0027】
大麦若葉末中のヘミセルロース含有量の下限は特に制限されないが、整腸効果をより顕著に発揮する観点から、5重量%以上であってもよく、8重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、13重量%以上であることがさらに好ましく、15重量%であることが特に好ましく、16重量%以上であることが最も好ましい。大麦若葉末中のヘミセルロース含有量の上限は特に制限されないが、整腸効果をより顕著に発揮する観点から、30重量%以下であってもよく、28重量%以下であることが好ましく、25重量%以下であることがより好ましく、22重量%以下であることがさらに好ましく、20重量%以下であることが特に好ましく、19.5重量%以下であることが最も好ましい。
【0028】
[C.大麦若葉末を含有する食品又は飲料]
本発明の一態様は、大麦若葉末を含有する食品又は飲料(以下、「本発明の食品又は飲料」ともいう)である。本発明の食品又は飲料は、大麦若葉末のみであってもよいし、大麦若葉末以外に、通常使用される他の食品素材を含有することができる。このような素材として、種々の賦形剤、結合剤、光沢剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、香料、添加剤などを好適に選択することができる。
【0029】
本発明の食品の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、ペースト状、スティック状などを挙げることができる。これらの剤形の中でも、製造性及び摂取のしやすさの観点から、粉末状、顆粒状、錠状が特に好ましい。なお、顆粒とは造粒物のことを意味する。本発明の食品の形態が粉末状又は顆粒状の場合には、流動性が良く、分包に充填しやすいなど製造性において優れた特徴を有する。本発明の食品の具体例としては、例えば、大麦若葉末を含有する錠剤、ソフトカプセル、ハードカプセル等を挙げられる。
【0030】
本発明の飲料の形態としては、液状の飲料又は粉末飲料が挙げられる。粉末飲料とは、水や湯、牛乳、豆乳などの液体に混ぜて飲用に供する粉末状の加工食品を意味する。本発明の飲料の形態はいずれであっても良いが、本発明の大麦若葉末は水に懸濁した際に分散しやすいという特徴を有しているため、粉末飲料の形態であることが特に好ましい。粉末飲料の形態は、重量が軽く携行しやすい点と保存しやすい点においても好ましい。本発明の飲料の具体例としては、例えば、青汁、野菜ジュース、スムージー、これらの飲料を粉末化した粉末飲料等を挙げられる。
【0031】
本発明の食品又は飲料は、上記のとおり、大麦若葉末のみであってもよいし、大麦若葉末以外に、通常使用される他の食品素材を含有することができる。本発明の食品又は飲料が大麦若葉末以外の食品素材を含有する場合、食品又は飲料中の大麦若葉末の含有量としては特に制限されないが、整腸効果をより顕著に発揮する観点から、例えば、食品又は飲料全体の乾燥質量換算で、0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましく、1重量%以上がさらに好ましく、10重量%以上がなおさらに好ましく、20重量%以上が特に好ましい。
【0032】
本発明の食品又は飲料において、大麦若葉末の1日当たりの摂取量は特に限定されないが、例えば、0.01-100gであってよく、0.05-70gが好ましく、0.5-50gがより好ましく、1-30gがさらに好ましい。同様に、本発明の食品又は飲料において、大麦若葉末の1回当りの摂取量は特に限定されないが、例えば0.01-30gであってよく、0.05-20gが好ましく、0.1-10gがより好ましく、0.3-7gがさらに好ましい。
【0033】
[D.大麦若葉末を含有する造粒物]
本発明の大麦若葉末は、造粒物として用いることが特に好ましい。造粒した大麦若葉末は、液体への分散性と飲みやすさが向上するため、粉末飲料として用いるのに適しており、飲料用造粒物として用いることができる。飲料用造粒物とは、摂取時に、消費者が、水や湯、牛乳、豆乳などの液体に混合して、飲料として飲用に供される造粒物のこと(造粒物である粉末飲料)を意味する。
【0034】
造粒とは、複数の粒子を凝集させ、集合体を形成させる操作のことを意味する。前記集合体(造粒物)においては粒子が凝集する際に粒子間に空隙が形成されており、造粒物と造粒に用いる原料の粒子には構造的な違いがある。造粒物は、賦形剤や甘味料など、特定植物の緑葉以外の原料をさらに配合してもよい。本発明の造粒物は何らかの方法によって複数の粒子が凝集した集合体であればよく、造粒物の大きさは特に限定されない。
【0035】
造粒方法としては、当業者が通常用いる造粒方法を適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、流動層造粒法、押出造粒法、転動造粒法、攪拌造粒法等が挙げられる。いずれの造粒方法であっても、市場で入手可能な任意の造粒装置を用い、乾燥温度等の各種製造条件を適宜設定することにより造粒物を製造することができる。造粒しやすさ及び分散性に優れた造粒物を得られる観点から流動層造粒が特に好ましい。流動層造粒とは、原料となる粉体粒子に風を当てて空気流により流動化させながら、水などの結合液を噴霧することにより、粉体粒子同士を結着させ、粉体粒子の凝集体である造粒物を形成させる方法である。
【0036】
本発明の大麦若葉末を造粒物として用いる場合、造粒物における大麦若葉末の含有量としては特に制限されるものではないが、大麦若葉末を効率よく摂取できる観点から、造粒物におけるお大麦若葉末の含有量は多いことが好ましく、例えば、乾燥重量として、10重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましく、90重量%以上であることが特に好ましく、100重量%が最も好ましい。
【0037】
[E.整腸組成物]
本発明の大麦若葉末、及び、大麦若葉末を含有する造粒物は、優れた整腸効果を発揮するため、整腸組成物として用いることができる。整腸組成物として用いる場合には、整腸に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではない。例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに整腸の効果がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の整腸組成物は、製品の包装などに、大麦若葉末が整腸の有効成分として表示されているものに限られず、例えば、大麦若葉末に含まれる特定の成分(食物繊維など)を有効成分として表示しているものであってもよく、有効成分を特定していないものであってもよい。
【0038】
本発明において整腸効果とは、お腹の調子を整える作用を意味する。お腹の調子を整える作用とは、便通を改善させる作用や腸内環境を改善する作用などを包含する概念である。便通改善作用とは、例えば、便秘傾向の人においては、排便の頻度や量を増加させる作用や便秘に伴う腹痛を和らげる作用、便臭や便の状態を改善する作用などを意味し、下痢傾向の人においては、下痢の頻度や程度を低減させる作用や下痢に伴う腹痛の改善作用、便臭や便の状態を改善する作用などを意味する。腸内環境改善作用とは、例えば、腸内フローラを良好にする作用や腸内において善玉菌を増やしたり、悪玉菌を減らしたりする作用などを意味する。一般に、便が腸内にとどまる時間が長くなるほど悪玉菌が増えることが知られている。本発明においては、便通改善作用により悪玉菌の増殖が抑制される結果、腸内フローラが良好になり腸内環境が改善される。したがって、本発明の整腸組成物は、便通改善組成物や腸内環境改善組成物として有用である。
【0039】
本発明の整腸組成物としては、具体的には、「便通を改善」、「お通じを改善」、「排便回数・排便量を増やす」、「お通じの回数や量を増やす」、「お通じの習慣を改善」、「便の状態(便の色、臭い、量、形)を整える」、「お腹のつらさを和らげる」「便秘気味の方に」、「おなかの調子をすっきり整えたい方に」、「おなかの調子が気になる方に」、「お腹の調子に悩む方に」、「腸内環境を改善」、「大腸の腸内環境を改善」、「腸内環境を良好にする」、「腸内フローラを良好にする」、「腸の調子を整える」、「ビフィズス菌を増やす」、「善玉菌を増やす」、「悪玉菌を減らす」などを、製品又は広告物のいずれの箇所、例えば、製品の本体、包装、説明書、製品販売のホームページなどに表示したものを例示することができる。
【0040】
本発明の整腸組成物は、後述する実施例に示すように、湿糞便重量を増大させて排泄をスムーズにすることにより、便通改善効果を発揮する。
【実施例0041】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の形態をとることができる。
【0042】
1.ヘミセルロース含有量の違いによる効果の検証
大麦若葉末中のヘミセルロース含有量が整腸作用に与える影響について、以下に記載する試験を実施して評価した。
【0043】
[1-1.大麦若葉末の調製]
栽培場所又は栽培時期が異なる5つの大麦について、背丈が約30cmになった時点で大麦の地上部である若葉及び茎を含む大麦若葉を刈り取り、水洗い後に切断して前処理を行った。前処理した大麦若葉について、それぞれ、ブランチング処理後、冷水で冷却し、続いて、乾燥処理、粗粉砕処理、微粉砕処理を行い、粒径が同程度である大麦若葉末A-Eを作製した。
【0044】
[1-2.大麦若葉末中のヘミセルロース含有量の測定]
大麦若葉末A-Eについて、大麦若葉末におけるヘミセルロースの含有量をサウスゲート法によって測定した。測定結果を表1に示す。
【0045】
【0046】
[1-3.被験物質の調製]
大麦若葉末A-E、カゼイン、MF固形飼料(オリエンタル酵母工業株式会社)を混合し、表2に示す被験物質を調製した。なお、カゼインは整腸効果には影響を与えない成分である。
【0047】
【0048】
[1-4.試験方法]
雄性ICR系マウス(7週齢:日本エスエルシー株式会社)を5日間馴化させ、試験に供した。馴化期間中、マウスにはMF粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社製)を自由摂取させた。その後、マウスを5群に群分け(1群6匹)して試験を開始した。試験期間中は、各群のマウスに被験物質を自由摂取させた。試験開始後7日目の24時間において、湿糞便重量及び糞便個数を測定した。
【0049】
[1-5.結果]
試験結果を表3に示す(数値は平均値)。
【0050】
【0051】
表3に示すように、ヘミセルロース含有量が5~30重量%である大麦若葉末A-Eを投与した実施例1-5において、いずれも整腸効果が認められた。
【0052】
2.飲料用造粒物の製造
流動層造粒によって、実施例6-17の飲料用造粒物を製造した。具体的には、表4に示す原料を混合後、原料を流動化させた状態で水を噴霧し、その後、熱風により乾燥させて、実施例6-17の飲料用造粒物を製造した。製造した飲料用造粒物を1包あたり5gとなるようにアルミニウムパウチに充填した。実施例6-17の飲料用造粒物は、流動性がよく充填が容易であった。実施例6-17の飲料用造粒物は、例えば、100-150mLの水に分散させることによって、飲料として飲用することができる。実施例6-17の飲料用造粒物は、水への分散性がよく、少しの攪拌で均一に分散するため、飲みやすいものであった。実施例6-17の飲料用造粒物を継続的に摂取することにより、整腸効果が発揮される。
【0053】