(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081298
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】押しボタン構造
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20240611BHJP
H01H 3/12 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01H13/14 A
H01H3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194817
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】竹山 益弘
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS09H
5G206AS09J
5G206AS27H
5G206AS27J
5G206FS12H
5G206FS12J
5G206HS16
5G206HS17
5G206HS18
5G206HS23
5G206HS24
5G206HW14
5G206HW17
5G206HW33
5G206HW43
5G206HW54
5G206HW63
5G206HW73
5G206HW84
5G206HW93
5G206KS03
5G206NS02
(57)【要約】
【課題】取付部材にボタン部材を安定して保持することができる押しボタン構造を提供する。
【解決手段】スイッチ7が配置された取付部材3と、取付部材3に組付けられ、スイッチ7を押圧するボタン部材5とを備えた押しボタン構造1において、取付部材3に、ボタン部材5の押圧方向と交差する平面方向に延在され、ボタン部材5の押圧方向に貫通する穴部17が形成された壁部15を設け、ボタン部材5に、ボタン部材5の押圧方向に沿って延出され、穴部17に挿通される軸部23を設け、軸部23の穴部17を挿通した部分に、壁部15の裏面33に係合可能な係止部25を設けた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチが配置された取付部材と、
前記取付部材に組付けられ、前記スイッチを押圧するボタン部材と、
を備え、
前記取付部材には、前記ボタン部材の押圧方向と交差する平面方向に延在され、前記ボタン部材の押圧方向に貫通する穴部が形成された壁部が設けられ、
前記ボタン部材には、前記ボタン部材の押圧方向に沿って延出され、前記穴部に挿通される軸部が設けられ、
前記軸部の前記穴部を挿通した部分には、前記壁部の裏面に係合可能な係止部が設けられている押しボタン構造。
【請求項2】
前記軸部と前記穴部との間には、前記軸部の回転を規制する回転規制部が設けられている請求項1に記載の押しボタン構造。
【請求項3】
前記ボタン部材には、前記軸部から離間して配置され、前記ボタン部材の押圧方向に沿って延出された規制軸部が設けられ、
前記壁部には、前記規制軸部と対向する位置に配置され、前記規制軸部が挿入される規制穴部が設けられている請求項1又は2に記載の押しボタン構造。
【請求項4】
前記軸部は、前記スイッチと対向する位置に配置され、前記ボタン部材の押圧操作により、前記スイッチを押圧する請求項1又は2に記載の押しボタン構造。
【請求項5】
前記ボタン部材と前記壁部とのうちいずれか一方には、前記ボタン部材を押圧方向の反対方向に向けて付勢する弾性部が設けられている請求項1又は2に記載の押しボタン構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押しボタン構造としては、スイッチが配置された取付部材としてのケース部と、ケース部に組付けられ、スイッチを押圧するボタン部材としての押しボタン本体部とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この押しボタン構造では、押しボタン本体部に、弾性変形可能な爪部がケース部に向けて延出されて設けられている。ケース部には、爪部の先端部が係合可能な係止穴が設けられている。
【0003】
このような押しボタン構造では、押しボタン本体部をケース部に組付けるときに、爪部を弾性変形させ、爪部の先端部を係止穴に挿入させる。爪部が係止穴に挿入された状態で、爪部を弾性変形から復元させることにより、爪部の先端部が係止穴の縁部に係合される。爪部の先端部と係止穴の縁部との係合により、押しボタン本体部がケース部から脱落することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の押しボタン構造では、弾性変形可能な爪部の先端部を、係止穴の縁部に係合させることにより、取付部材からのボタン部材の脱落を防止している。しかしながら、弾性変形可能な爪部は、例えば、ボタン部材の縁部が押されたときに、ボタン部材に傾きが生じ、係止穴の縁部との係合を解除するように弾性変形して、取付部材からボタン部材が脱落してしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、取付部材にボタン部材を安定して保持することができる押しボタン構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る押しボタン構造は、スイッチが配置された取付部材と、前記取付部材に組付けられ、前記スイッチを押圧するボタン部材とを備え、前記取付部材には、前記ボタン部材の押圧方向と交差する平面方向に延在され、前記ボタン部材の押圧方向に貫通する穴部が形成された壁部が設けられ、前記ボタン部材には、前記ボタン部材の押圧方向に沿って延出され、前記穴部に挿通される軸部が設けられ、前記軸部の前記穴部を挿通した部分には、前記壁部の裏面に係合可能な係止部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取付部材にボタン部材を安定して保持することができる押しボタン構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る押しボタン構造の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る押しボタン構造の分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る押しボタン構造の断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る押しボタン構造のボタン部材を押圧したときの断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る押しボタン構造の取付部材の要部拡大上面図である。
【
図6】第1実施形態に係る押しボタン構造のボタン部材の斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る押しボタン構造のボタン部材の断面図である。
【
図8】第2実施形態に係る押しボタン構造の断面図である。
【
図10】第2実施形態に係る押しボタン構造の要部拡大断面図である。
【
図11】第2実施形態に係る押しボタン構造のボタン部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係る押しボタン構造について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
(第1実施形態)
図1~
図7を用いて第1実施形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る押しボタン構造1は、例えば、カーナビゲーションのような電子機器に適用される。
図1~
図7に示すように、押しボタン構造1は、取付部材3と、ボタン部材5とを備えている。
【0013】
図1~
図5に示すように、取付部材3は、例えば、合成樹脂などからなる。取付部材3は、例えば、機器(不図示)の取付部に取付可能な形状に形成されている。取付部材3には、内部に、機器に搭載された電気部品を操作するスイッチ7が設けられた回路基板9(
図3参照)を収容可能なスイッチ配置部11が設けられている。スイッチ配置部11に収容された回路基板9は、取付部材3が機器に取り付けられた状態で、機器に電気的に接続される。スイッチ配置部11には、ボタン配置部13が設けられている。
【0014】
図2に示すように、ボタン配置部13は、後述するボタン部材5を収容可能なように、外面からスイッチ配置部11の内部に向けて凹んで形成されている。なお、本実施形態では、ボタン配置部13に対して、複数のボタン部材が収容可能となっている。ボタン配置部13の底部は、スイッチ7から離間して配置された壁部15となっている。
図3に示すように、壁部15は、ボタン部材5の押圧方向と交差する平面方向(ここでは押圧方向と直交する平面方向)に延在されている。ここで、「押圧方向」とは、
図3の矢印で示すように、後述する軸部23の軸線方向に沿い、かつ、スイッチ7の軸線方向に沿った方向において、ボタン部材5がスイッチ7に近づくように向かう方向である。また、「押し戻し方向」とは、押圧方向と逆側に向かう、ボタン部材5がスイッチ7から離れるように向かう方向である。
【0015】
図3~
図5に示すように、壁部15には、ボタン部材5の押圧方向に貫通する穴部17と、複数(ここでは2つ)の規制穴部19とが設けられている。なお、本実施形態では、後述するボタン部材5に対して、1つの穴部17と、2つの規制穴部19とが設けられており、他のボタン部材(不図示)に対しては、1つの穴部17が設けられている。
図5に示すように、穴部17は、壁部15を平面と直交する方向から見たときに、一対の長辺と、一対の長辺を連結する一対の円弧状の辺とを有するように、長円状に形成されている。穴部17は、スイッチ7と対向する位置に配置されている。複数の規制穴部19は、それぞれ穴部17から離間して配置されている。規制穴部19は、壁部15を平面と直交する方向から見たときに、真円状に形成されている。なお、規制穴部19は、例えば、壁部15の厚さが、後述するボタン部材5の移動ストロークより厚い場合には、壁部15を貫通して形成しなくてもよい。この場合には、規制穴部19に対して、ボタン部材5が移動している間、常に、後述する規制軸部29の先端側が挿入されている状態となる。
【0016】
図6,
図7に示すように、ボタン部材5は、例えば、合成樹脂などからなる。ボタン部材5は、例えば、ボタン配置部13(
図2参照)に収容可能なように、壁部15側が開口された長方形の箱状に形成されている。ボタン部材5の開口と反対側に位置する壁部の外面は、操作者がボタン部材5を押圧操作する操作面21となっている。
図1に示すように、操作面21は、ボタン部材5がボタン配置部13に収容された状態で、取付部材3の外面側に配置される。
図3,
図4に示すように、ボタン部材5は、ボタン配置部13に対して、壁部15側に向けた押圧方向と、壁部15と反対側に向けた押し戻し方向とに移動可能なように、所定のストロークを有して収容される。ボタン部材5は、軸部23と、係止部25と、回転規制部27と、規制軸部29と、弾性部31とを備えている。
【0017】
図3,
図4,
図6,
図7に示すように、軸部23は、ボタン部材5の操作面21と反対側の面から壁部15に向けて、ボタン部材5と連続する一部材でボタン部材5の押圧方向に沿って延出されて形成されている。軸部23は、ボタン部材5がボタン配置部13に収容された状態で、穴部17を挿通可能なように、穴部17と対向する位置に配置されている。軸部23の長さは、ボタン部材5がボタン配置部13に収容された状態で、ボタン部材5の移動範囲において、穴部17から抜け出さないように設定されている。このため、
図3,
図4に示すように、軸部23の穴部17を挿通した先端側は、ボタン部材5が移動している間、常に、ボタン部材5と反対側に位置する壁部15の裏面33側に配置されている。軸部23の穴部17を挿通した先端は、スイッチ7と当接可能に配置される。軸部23は、ボタン部材5が傾いて穴部17の周縁に当接しても、弾性変形しない剛性を有するように設定されている。軸部23は、ボタン部材5の操作面21の押圧により、ボタン部材5と一体的に押圧方向に向けて移動し、軸部23の先端が、スイッチ7を押圧する。このとき、軸部23は、穴部17に挿通されているので、軸部23が傾くことなく、軸部23の移動がガイドされる。
【0018】
図3,
図4,
図6,
図7に示すように、係止部25は、軸部23に対して、穴部17を挿通した壁部15の裏面33側に配置される部分に、軸部23と連続する一部材で形成されている。係止部25は、軸部23の先端側から操作面21側に向けて広がるように傾斜して延出されている。係止部25は、軸部23と一体に設けられた部分を基端とし、先端を自由端とするように、軸部23に対して弾性変形可能に設けられている。係止部25は、軸部23に対して、対称形状となるように、一対設けられている。係止部25は、軸部23が穴部17に挿通されるときに、穴部17の周縁と当接して、先端が軸部23に近接するように弾性変形する。係止部25の弾性変形により、軸部23が穴部17に挿通可能となる。弾性変形された係止部25は、軸部23が穴部17を挿通し、壁部15の裏面33側に配置されると、復元する。
図3に示すように、復元された係止部25は、先端が、穴部17の周囲に位置する壁部15の裏面33に係合可能に配置される。係止部25は、ボタン部材5に、壁部15と反対側に向けた押し戻し方向に力が加わったときに、先端が、壁部15の裏面33に係合される。係止部25と壁部15の裏面33との係合により、軸部23が穴部17から抜け出ることがなく、ボタン部材5の取付部材3からの脱落を防止することができる。
【0019】
ここで、軸部23は、穴部17の周縁と当接しても弾性変形することがない。このため、例えば、操作者が、操作面21の長手方向の縁部を押圧して、押圧方向に対して、ボタン部材5が傾くように移動しようとしても、軸部23が弾性変形することがないので、ボタン部材5は、押圧方向に沿って移動することができる。このような軸部23の穴部17を挿通した壁部15の裏面33側に配置される部分には、係止部25が設けられている。このため、ボタン部材5が傾くように押圧されたとしても、軸部23が弾性変形することがなく、係止部25と壁部15の裏面33との係合が解除されることがない。仮に、軸部23が弾性変形したとしても、係止部25は、壁部15の裏面33側に配置されているので、係止部25が穴部17の周縁と干渉することがなく、係止部25が弾性変形されることがない。このため、係止部25と壁部15の裏面33との係合が解除されることがない。
【0020】
図3,
図4に示すように、回転規制部27は、軸部23に対して、穴部17の内部に配置される部分に設けられている。
図6に示すように、回転規制部27は、外面形状が、穴部17の内面形状と同一となるように、一対の長辺と、一対の長辺を連結する一対の円弧状の辺とを有するように、長円状に形成されている。回転規制部27は、ボタン部材5が、軸部23を軸心とした回転方向に移動(回転)しようとしたとき、一対の長辺部分の外面が、穴部17の一対の長辺部分の内面に当接する。回転規制部27の外面と穴部17の内面との当接により、軸部23が回転することがなく、ボタン部材5の回転を防止することができる。
【0021】
図3,
図4に示すように、規制軸部29は、ボタン部材5の操作面21と反対側の面から壁部15に向けて、ボタン部材5と連続する一部材でボタン部材5の押圧方向に沿って延出されて形成されている。規制軸部29は、ボタン部材5がボタン配置部13に収容された状態で、規制穴部19を挿通可能なように、複数の規制穴部19と対向する位置に複数(ここでは2つ)配置されている。複数の規制軸部29は、ボタン部材5の操作面21側において、それぞれ軸部23から離間し、長手方向の縁部近傍に配置されている。規制軸部29の長さは、ボタン部材5がボタン配置部13に収容された状態で、ボタン部材5の移動範囲において、規制穴部19から抜け出さないように設定されている。規制軸部29は、ボタン部材5が傾いて規制穴部19の周縁に当接しても、弾性変形しない剛性を有するように設定されている。規制軸部29は、ボタン部材5の操作面21の押圧により、ボタン部材5と一体的に、規制穴部19の内部を押圧方向に向けて移動する。このとき、例えば、操作面21の長手方向の縁部が押圧されて、ボタン部材5が傾こうとしたとき、規制軸部29の外面が、規制穴部19の内面に当接する。規制軸部29と規制穴部19との当接により、ボタン部材5が傾くことがなく、ボタン部材5の移動を安定化することができる。
【0022】
図3,
図4,
図6,
図7に示すように、弾性部31は、軸部23に対して、ボタン部材5が位置する壁部15の表面35側に配置される部分に、軸部23と連続する一部材で形成されている。弾性部31は、軸部23の外面から壁部15側に向けて広がるように傾斜して延出されている。弾性部31は、軸部23と一体に設けられた部分を基端とし、先端を自由端とするように、軸部23に対して弾性変形可能に設けられている。弾性部31は、軸部23に対して、対称形状となるように、一対設けられている。弾性部31の自由端は、壁部15の表面35に当接され、ボタン部材5を押圧方向と反対側の押し戻し方向に移動させるように、壁部15に付勢力を付与する付勢部37となっている。
図6に示すように、付勢部37は、弾性部31の幅方向に延出された円柱状に形成されている。付勢部37を円柱状に形成することにより、壁部15の表面35に対する当接面積を増大することができ、弾性部31の付勢力を壁部15に安定して付与させ、弾性部31によるボタン部材5の押し戻しを安定化することができる。なお、付勢部37は、例えば、球状に形成してもよい。
図3に示すように、弾性部31は、ボタン部材5がボタン配置部13に収容された状態で、付勢部37が壁部15の表面35に当接される。
図4に示すように、弾性部31は、ボタン部材5が押圧操作されたとき、弾性変形される。弾性変形された弾性部31は、ボタン部材5の押圧操作が解除されたとき、復元される。
図3に示すように、弾性部31が復元されることにより、付勢部37が壁部15に付勢力を付与し、ボタン部材5が押し戻し方向に移動される。
【0023】
このような弾性部31を軸部23(ボタン部材5)と一体に設けることにより、壁部15(取付部材3)とボタン部材5との間に、別部材の押し戻し部材を配置する必要がなく、部品点数を削減することができる。加えて、弾性部31を軸部23に設けることにより、ボタン部材5の操作面21の反対面と、壁部15の表面35との間に配置スペースを確保することができる。配置スペースを確保することにより、例えば、操作面21の表示を光らすための照射部材を配置することができる。なお、弾性部31は、ボタン部材5の操作面21の反対面、或いは壁部15の表面35に一体に設けられてもよい。この場合には、ボタン部材5の操作面21の反対面側、或いは壁部15の表面35側を簡易な形状とすることができる。
【0024】
弾性部31の付勢部37と係止部25の先端との押圧方向の間(距離)は、壁部15の厚さと同等、或いは狭く設定されている。このため、ボタン部材5が取付部材3に組付けられた状態では、壁部15に、厚さ方向の両側から弾性部31の付勢力と係止部25の付勢力とが付与された状態となる。このため、取付部材3に対するボタン部材5のがたつきを抑制することができ、ボタン部材5の支持を安定化することができる。弾性部31の付勢力は、例えば、弾性部31の厚さ、幅、延出長さ、傾斜角度などを変更することによって調整することができる。例えば、配置レイアウトの関係上、一対の弾性部31,31を対称形状にできない場合には、弾性部31の厚さや延出長さなどを調整し、一対の弾性部31,31の付勢力を同等に設定すればよい。
【0025】
なお、一対の係止部25,25と一対の弾性部31,31とは、それぞれの延出方向が同一方向となっているが、例えば、直交方向のように、延出方向を交差させてもよい。延出方向を交差させることにより、軸部23の軸回りにおける壁部15の付勢箇所が増大し、ボタン部材5の支持をさらに安定化することができる。加えて、係止部25及び弾性部31は、2つに限らず、1つ、或いは3つ以上設けてもよい。
【0026】
このような押しボタン構造1では、スイッチ7が配置された取付部材3と、取付部材3に組付けられ、スイッチ7を押圧するボタン部材5とを備えている。また、取付部材3には、ボタン部材5の押圧方向と交差する平面方向に延在され、ボタン部材5の押圧方向に貫通する穴部17が形成された壁部15が設けられている。さらに、ボタン部材5には、ボタン部材5の押圧方向に沿って延出され、穴部17に挿通される軸部23が設けられている。そして、軸部23の穴部17を挿通した部分には、壁部15の裏面33に係合可能な係止部25が設けられている。
【0027】
穴部17を挿通する軸部23は、ボタン部材5が傾くように押圧されて、穴部17の周縁と当接しても弾性変形することがない。この軸部23には、壁部15の裏面33に係合可能な係止部25が設けられているので、ボタン部材5が傾くように押圧されたとしても、軸部23が弾性変形することがなく、係止部25と壁部15の裏面33との係合が解除されることがない。加えて、係止部25は、ボタン部材5と反対側に位置する壁部15の裏面33側に配置される軸部23の穴部17を挿通した部分に設けられている。このため、仮に、軸部23が弾性変形したとしても、係止部25は、壁部15の裏面33側に配置されているので、係止部25が穴部17の周縁と干渉することがなく、係止部25と壁部15の裏面33との係合が解除されることがない。
【0028】
従って、このような押しボタン構造1では、ボタン部材5が傾くように押圧されたとしても、係止部25と壁部15の裏面33との係合が解除されることがなく、取付部材3にボタン部材5を安定して保持することができる。
【0029】
また、軸部23と穴部17との間には、軸部23の回転を規制する回転規制部27が設けられている。このため、回転規制部27による軸部23の回転規制により、ボタン部材5が回転することがなく、取付部材3にボタン部材5を安定して保持することができる。
【0030】
さらに、ボタン部材5には、軸部23から離間して配置され、ボタン部材5の押圧方向に沿って延出された規制軸部29が設けられている。そして、壁部15には、規制軸部29と対向する位置に配置され、規制軸部29が挿入される規制穴部19が設けられている。このため、ボタン部材5が傾くように押圧されても、規制軸部29の規制穴部19への挿通により、ボタン部材5が押圧方向に傾いて移動することを防止することができる。
【0031】
また、軸部23は、スイッチ7と対向する位置に配置され、ボタン部材5の押圧操作により、スイッチ7を押圧する。このため、ボタン部材5に対して、スイッチ7を押圧するための部分を別途設ける必要がなく、ボタン部材5の大型化を抑制することができる。
【0032】
さらに、ボタン部材5と壁部15とのうちいずれか一方(ここではボタン部材5)には、ボタン部材5を押圧方向の反対方向に向けて付勢する弾性部31が設けられている。このため、ボタン部材5と壁部15との間に、別部材の押し戻し部材を配置する必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0033】
また、弾性部31は、軸部23に設けられ、ボタン部材5側に位置する壁部15の表面35を付勢する。このため、ボタン部材5と壁部15との間に、配置スペースを確保することができ、部材の配置レイアウトの自由度を向上することができる。
【0034】
(第2実施形態)
図8~
図12を用いて第2実施形態について説明する。
【0035】
本実施形態に係る押しボタン構造101は、規制軸部29が、複数設けられている。また、規制穴部19は、壁部15を貫通して形成されている。さらに、スイッチ7は、複数の規制軸部29のそれぞれに対向する位置に複数配置されている。また、取付部材3と軸部23との間には、ボタン部材5の押圧操作による軸部23の壁部15の裏面33側への移動を規制するストッパ部103が設けられている。そして、軸部23には、取付部材3に対して、ボタン部材5を揺動可能に支持する支点部105が設けられている。
【0036】
なお、第1実施形態と同様の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0037】
図8に示すように、スイッチ7は、スイッチ配置部11に配置された回路基板9に対して、複数(ここでは2つ)の規制軸部29のそれぞれに対向する位置に、複数(ここでは2つ)配置されている。このため、スイッチ7は、ボタン部材5の押圧方向に向けた移動により、規制軸部29の先端によって押圧される。それぞれの規制軸部29の先端によって、それぞれのスイッチ7を押圧するために、ボタン部材5は、取付部材3に対して、揺動可能に支持されている。
図8~
図12に示すように、ボタン部材5を揺動可能に支持するために、軸部23には、ストッパ部103と、支点部105とが設けられている。なお、規制穴部19は、ボタン部材5の揺動による規制軸部29の押圧方向と押し戻し方向の移動を許容するために、壁部15を平面と直交する方向から見たときに、長円状に形成されている。
【0038】
図10~
図12に示すように、ストッパ部103は、軸部23に対して、穴部17の周囲に位置する壁部15の表面35側に配置される部分に設けられている。ストッパ部103は、穴部17に挿入されないように、壁部15の表面35側に向けて突出されている。ストッパ部103の壁部15の表面35と対向する対向面は、壁部15の表面35と平行な平面で形成されている。なお、ストッパ部103は、穴部17の周囲に位置するように、円盤状に形成されてもよい。ストッパ部103は、ボタン部材5がボタン配置部13に収容された状態で、壁部15の表面35と当接可能に配置される。ストッパ部103と壁部15の表面35との当接により、軸部23がボタン部材5の押圧方向に移動することを規制することができる。このため、ボタン部材5の操作面21において、軸部23が位置する部分を押圧されても、ボタン部材5が押圧方向に移動することがない。
【0039】
図8,
図9,
図11,
図12に示すように、支点部105は、軸部23に対して、回転規制部27と弾性部31との間に位置する壁部15の表面35側に配置される部分に設けられている。支点部105は、弾性変形可能なように、薄肉の板状に形成されている。支点部105は、弾性変形と復元により、ボタン部材5の操作面21側を、一対の規制軸部29,29が押圧方向と押し戻し方向に移動可能となるように、揺動可能に支持する。なお、支点部105は、ボタン部材5の操作面21側を、軸部23の軸回りに揺動可能となるように、弾性変形可能な小径の円柱状に形成してもよい。
【0040】
揺動可能に支持されたボタン部材5は、例えば、操作面21の一方の規制軸部29側が押圧されたとき、一方の規制軸部29が押圧方向に移動し、一方のスイッチ7が一方の規制軸部29の先端で押圧される。このとき、操作面21の他方の規制軸部29側は、押し戻し方向に移動され、他方の規制軸部29が押し戻し方向に移動し、他方のスイッチ7が他方の規制軸部29によって押圧されることがない。なお、ボタン部材5は、操作面21の押圧が解除されることにより、支点部105の復元と、弾性部31の復元によって、規制軸部29がスイッチ7を押圧しない位置に配置される。
【0041】
このような押しボタン構造101では、規制軸部29が、複数設けられている。また、規制穴部19は、壁部15を貫通して形成されている。さらに、スイッチ7は、複数の規制軸部29のそれぞれに対向する位置に複数配置されている。また、取付部材3と軸部23との間には、ボタン部材5の押圧操作による軸部23の壁部15の裏面33側への移動を規制するストッパ部103が設けられている。そして、軸部23には、取付部材3に対して、ボタン部材5を揺動可能に支持する支点部105が設けられている。
【0042】
取付部材3と軸部23との間にストッパ部103を設けることにより、軸部23の壁部15の裏面33側への移動を規制することができる。移動が規制された軸部23に支点部105を設けることにより、軸部23を支点として、ボタン部材5を揺動可能とすることができる。ボタン部材5を揺動可能とすることにより、ボタン部材5の押圧操作によって、複数の規制軸部29が、それぞれに対向する位置に配置されたスイッチ7を押圧する構造とすることができる。
【0043】
このような押しボタン構造101であっても、係止部25は、ボタン部材5と反対側に位置する壁部15の裏面33側に配置される軸部23の穴部17を挿通した部分に設けられている。軸部23は、ストッパ部103によって、壁部15の裏面33側への移動が規制されている。このため、ボタン部材5が押圧されたとしても、係止部25の配置位置に変動が生じることがなく、係止部25と壁部15の裏面33との係合が解除されることがない。従って、このような押しボタン構造101では、取付部材3にボタン部材5を安定して保持することができる。
【0044】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0045】
例えば、本実施形態に係る押しボタン構造では、係止部が、軸部のみに設けられているが、これに限らず、係止部を、規制軸部に設けてもよい。加えて、規制軸部を軸部とする場合には、規制軸部のみに、係止部を設けてもよい。
【0046】
また、規制軸部及び規制穴部は、2つとなっているが、これに限らず、規制軸部及び規制穴部を、3つ以上設けてもよい。この場合には、ボタン部材に傾きが生じそうな位置に、規制軸部及び規制穴部を配置すればよい。加えて、軸部は、ボタン部材の操作面の中央近傍に配置されているが、これに限らず、軸部を、ボタン部材の操作面のどの位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1,101 ボタン構造
3 取付部材
5 ボタン部材
7 スイッチ
15 壁部
17 穴部
19 規制穴部
23 軸部
25 係止部
27 回転規制部
29 規制軸部
31 弾性部
33 裏面
35 表面
103 ストッパ部
105 支点部