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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081312
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/00 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
F25D25/00 E
F25D25/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194836
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和人
(57)【要約】
【課題】内箱に案内部を設けずに、引き出し式の下段容器の上に前後方向に摺動する上段容器を設けることができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】小冷凍室15D(貯蔵室)に設けられ、前後方向に移動する下段容器7と、下段容器7の上方に設けられ、下段容器7に沿って前後方向に摺動する上段容器8と、を有し、上段容器8は、下段容器7に沿って前後方向に摺動する第1摺動部86を有し、下段容器7は、第1摺動部86の後方への移動を規制する第2規制面772(規制部)を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室に設けられ、前後方向に移動する下段容器と、
前記下段容器の上方に設けられ、前記下段容器に沿って前記前後方向に摺動する上段容器と、を有し、
前記上段容器は、前記下段容器に沿って前記前後方向に摺動する第1摺動部を有し、
前記下段容器は、前記第1摺動部の後方への移動を規制する規制部を有する冷蔵庫。
【請求項2】
前記上段容器は、前記第1摺動部の前方に設けられ前記下段容器に沿って前記前後方向に摺動する第2摺動部を有し、
前記下段容器は、前記第1摺動部および前記第2摺動部が摺動する上方を向く摺動面を有し、
前記第1摺動部および前記第2摺動部それぞれの前記摺動面と接触する摺動接触部は、上下方向における位置が互いに異なる請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第2摺動部の摺動接触部は、前記第1摺動部の摺動接触部よりも下側に配置され、
前記摺動面は、
前記上段容器が前記下段容器の後側部分の上方に重なると前記第2摺動部が嵌めこまれる凹部と、
前記凹部よりも前側に形成された第1摺動面と、
前記凹部よりも後側に形成された第2摺動面と、を有し、
前記第1摺動面は、前記第2摺動面よりも上下方向において下側に配置されている請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第2摺動面の前側部分は、後方から前方に向かって漸次下側に向かう傾斜面である請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記上段容器の重心は、前記第1摺動部と前記第2摺動部との間の位置に設けられている請求項2から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記上段容器は、前記第1摺動部よりも後方に位置する第3摺動部を有し、
前記下段容器は、前記第3摺動部が摺動する上方を向く第3摺動面を有する請求項2から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第3摺動面は、前記下段容器の後端に達し、
前記第3摺動面の後端部は、後方から前方に向かって漸次上方に向かう傾斜面である請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記摺動面は、
前記上段容器が前記下段容器の後側部分の上方に重なると前記第2摺動部が嵌めこまれる凹部と、
前記凹部よりも前側に形成された第1摺動面と、
前記凹部よりも後側に形成された第2摺動面と、を有し、
前記第3摺動面は、前記第2摺動面よりも上下方向において上側に配置されており、
前記規制部は、前記第2摺動面と前記第3摺動面の間に配置されている請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記貯蔵室に設けられ、後方に移動して前記貯蔵室に収納された前記下段容器の後側部分の上方に重なった前記上段容器の後端部に後方から接触する位置決め部を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記上段容器は、
底板部と、
前記底板部の幅方向の一方側の縁部から上方に延びる第1側壁部と、
前記底板部の幅方向の他方側の縁部から上方に延びる第2側壁部と、を有し、
前記第1側壁部および前記第2側壁部のうちのいずれか一方の側壁部の上端部は、他方の側壁部の上端部よりも下側に配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の引き出し式の貯蔵室として、扉とともに前後方向に移動する下段容器に沿って前後方向に摺動する上段容器を備えたものが知られている。このような冷蔵庫では、上下方向に重なった下段容器および上段容器を前方に引き出し、上段容器をのみ後方に移動させてから下段容器を使用することがある。下段容器よりも後方に移動した上段容器が下段容器の後方で落下しないように、上段容器を前後方向に案内するための案内部を内箱の側面に設ける必要がある。このため、上段容器の無い貯蔵室に上段容器を追加する場合には、内箱の金型を改造する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-106326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、内箱に案内部を設けずに、引き出し式の下段容器の上に前後方向に摺動する上段容器を設けることができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室に設けられ、前後方向に移動する下段容器と、前記下段容器の上方に設けられ、前記下段容器に沿って前記前後方向に摺動する上段容器と、を有し、前記上段容器は、前記下段容器に沿って前記前後方向に摺動する第1摺動部を有し、前記下段容器は、前記第1摺動部の後方への移動を規制する規制部を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態の冷蔵庫の正面図。
図2図1に示された小冷凍室を斜め前方から見た斜視図。
図3】扉が閉まった状態の小の側面図。
図4】扉が全開し上段容器が下段容器の後側部分の上方に配置された小冷凍室の側面図。
図5】扉が全開し上段容器が下段容器よりも後側に配置された小冷凍室の側面図。
図6】扉が全開し上段容器が下段容器の前側部分の上方に配置された小冷凍室の側面図。
図7】上段容器が下段容器の後側部分の上方に配置された状態を示す斜視図。
図8】上段容器と下段容器とを分解した斜視図。
図9】上段容器が下段容器よりも後側に配置された状態を示す斜視図。
図10】上段容器が下段容器の前側部分の上方に配置された状態を示す斜視図。
図11】上段容器と下段容器とを分解した側面図。
図12】一実施形態の変形例の冷蔵庫の扉が閉まった状態の小冷凍室の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。図中において、+X方向が右方向、-X方向が左方向、+Y方向が後方向、-Y方向が前方向、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向である。また、冷蔵庫において、後述する壁体の厚さ方向で庫内(貯蔵室、冷凍室など)側を「内側」、壁体を挟んで庫内側と反対側で冷蔵庫の外方を「外側」と定義している。
【0009】
図1を参照し、実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
【0010】
図1に示すように、冷蔵庫1は、壁体10および扉11を有する壁体を備える。冷蔵庫1は、例えば、壁体10、複数の扉11、複数の棚、複数の容器、冷却ユニット、および制御基板を有する。本実施形態では、複数の扉11以外の上記構成によって冷蔵庫本体が形成されている。
【0011】
図2に示すように、壁体10は、例えば、内箱3と、外箱4と、発泡断熱材5と、を含む。内箱3は、壁体10の内面を形成する部材であり、例えば合成樹脂製である。外箱4は、壁体10の外面を形成する部材であり、例えば鋼板等の金属製である。外箱4は、内箱3よりも一回り大きく形成されており、内箱3の外側に配置されている。発泡断熱材5は、例えば発泡ウレタンのような発泡状の断熱材であり、内箱3と外箱4との間に充填されている。これにより、壁体10は、断熱性を有する。
【0012】
図1に示すように、壁体10は、上壁12、下壁13、左右の側壁14,14、および後壁を有する。上壁12および下壁13は、略水平に広がっている。左右の側壁14,14は、下壁13の左右の端部から上方に起立し、上壁12の左右の端部に繋がる。後壁は、下壁13の後端部から上方に起立し、上壁12の後端部に繋がる。
【0013】
壁体10の内部には、複数の貯蔵室15が設けられている。複数の貯蔵室15は、例えば、冷蔵室15A、野菜室15B、製氷室15C、小冷凍室15D、および主冷凍室15Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室15Aが配置され、冷蔵室15Aの下方に野菜室15Bが配置され、野菜室15Bの下方に製氷室15Cおよび小冷凍室15Dが配置され、製氷室15Cおよび小冷凍室15Dの下方に主冷凍室15Eが配置されている。ただし、貯蔵室15の配置は、上記例に限定されることはない。壁体10は、各貯蔵室15の前面側に、各貯蔵室15に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0014】
複数の貯蔵室15の開口は、複数の扉11によって開閉可能に閉じられる。複数の扉11は、例えば、冷蔵室15Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉11Aa,11Ab、野菜室15Bの開口を閉じる野菜室扉11B、製氷室15Cの開口を閉じる製氷室扉11C、小冷凍室15Dの開口を閉じる小冷凍室扉11D、および主冷凍室15Eの開口を閉じる主冷凍室扉11Eを含む。
【0015】
左右の冷蔵室扉11Aa,11Abは、例えば、観音開き式の扉である。左右の冷蔵室扉11Aa,11Abは、ヒンジ10hによって壁体10に回動可能に支持されている。
本実施形態では、右冷蔵室扉11Abの幅寸法(左右方向の寸法)は、左冷蔵室扉11Aaの幅寸法よりも大きい。
【0016】
一方で、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eは、例えば、引き出し式の扉である。野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eは、案内部材によって壁体10に対して引き出し可能に支持されている。
【0017】
壁体10は、壁体10の内部を仕切る複数(ここでは2つ)の仕切部(図示省略)を有する。これら仕切部は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。一方の仕切部は、冷蔵室15Aと野菜室15Bとの間に位置し、冷蔵室15Aと野菜室15Bとの間を仕切っている。一方で、他方の仕切部は、野菜室15Bと、製氷室15Cおよび小冷凍室15Dとの間に位置し、野菜室15Bと、製氷室15Cおよび小冷凍室15Dとの間を仕切っている。なお、製氷室15Cおよび小冷凍室15Dと、主冷凍室15Eとの間には、仕切壁は設けられていない。
【0018】
複数の棚は、冷蔵室15Aに配置されている。複数の容器は、冷蔵室15Aに配置された冷蔵室容器(例えばチルド室容器)、野菜室15Bに配置された野菜室容器、製氷室15Cに配置された製氷室容器、小冷凍室15Dに配置された小冷凍室容器、および主冷凍室15Eに配置された主冷凍室容器を含む。
【0019】
冷却ユニットは、圧縮機を含む。冷却ユニットは、例えばダクト部品が形成する冷却風路に配置された冷却器やファンを含む。圧縮機は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられ、貯蔵室15の冷却に用いられる冷媒ガスを圧縮する。圧縮機により圧縮された冷媒ガスは、サクションパイプなどを経由して、冷却器に送られる。
【0020】
制御基板は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御基板は、冷蔵室15Aおよび主冷凍室15Eなどに設けられた温度センサの検出結果に基づき、上記のファン、および圧縮機等の駆動を制御する。制御基板は、例えば壁体10の上壁12の上に取り付けられている。
【0021】
冷却ユニットでは、冷却器で冷却された冷気がファンの回転によって冷却風路に流れ込む。冷却風路に流れ込んだ冷気は、下方から上方へ向かって流れながら流路形成部品に形成される吹出口より冷蔵室15A内、野菜室15B内へ吹き出す。
【0022】
左冷蔵室扉11Aaの後面側には、高さ位置を変更可能な扉容器と、下部に固定された扉容器と、が着脱可能に取り付けられている。
【0023】
ここで、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eの構成は、上述した左冷蔵室扉11Aaの構成と同様である。すなわち、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eの構成は、上述した左冷蔵室扉11Aaに関する説明において、「左冷蔵室扉11Aa」を「右冷蔵室扉11Ab」、「野菜室扉11B」、「製氷室扉11C」、「小冷凍室扉11D」、または「主冷凍室扉11E」と読み替えればよい。
【0024】
[小冷凍室の構成]
次に、小冷凍室15Dの具体的な構造について、図面を参照して説明する。
図2に示すように、小冷凍室15Dは、引出し式の小冷凍室扉11D有する。図3に示すように、小冷凍室扉11Dは、後方に移動して壁体10の開口部15aを塞ぐように配置されることによって小冷凍室15Dが閉じる。図4から図6に示すように、小冷凍室扉11Dは、前方に移動して開口部15aと離れた位置に配置されることによって小冷凍室15Dが開く。なお、図において、必要に応じて見やすいように小冷凍室扉11Dを省略した図もある。
【0025】
小冷凍室15Dには、被収容物をそれぞれ収容する2段の容器7、8が上下2段に重なって設けられている。上下2段の容器7、8のうちの下段の容器を下段容器7、上段の容器を上段容器8と表記する。下段容器7および上段容器8は、上述している小冷凍室容器に相当する。
図7および図8に示すように、上段容器8の幅寸法は、下段容器7の幅寸法と同じである。上段容器8の前後方向の寸法は、下段容器7の前後方向の寸法よりも小さい。下段容器7の上下方向の寸法は、上段容器8の上下方向の寸法よりも小さい。
図7図9および図10に示すように、上段容器8は、下段容器7の上縁部に沿って前後方向に摺動可能である。下段容器7の上縁部は、後述する下段容器7の側壁部74の上縁部741である。
【0026】
図2に示すように、下段容器7の前側には、小冷凍室扉11Dが取り付けられている。下段容器7の左右方向の両側には、それぞれ被案内部材61が取り付けられている。下段容器7の後側には、被案内部材61の後端部同士を連結する連結材62(図3参照)が取り付けられている。
被案内部材61は、内箱3の内側面3aに設けられた案内部63(図3から図6参照)に案内されて前後方向に移動可能である。下段容器7、上段容器8、小冷凍室扉11D、被案内部材61および連結材62は、小冷凍室扉11Dが前方に引き出されたり、後方に押されたりすることによって前後方向に一体に移動する。下段容器7、上段容器8、小冷凍室扉11D、被案内部材61および連結材62を合わせて引出し部16と表記する。引出し部16が前方に最大引き出された(全開された)状態では、下段容器7の後側部分は、小冷凍室15Dの内部に配置され、下段容器7の前側部分は小冷凍室15Dの前方に配置される。
【0027】
上段容器8が下段容器7の上縁部に沿って前後方向に移動した際の下段容器7に対する位置として、第1位置、第2位置および第3位置を以下のように設定する。第1位置は、図7に示すように、上段容器8が下段容器7の後側部分の上方に重なり、上段容器8の後端部8bが下段容器7の後端部7bの上方に重なる位置である。第1位置の上段容器8の前端部8aは、下段容器7の前後方向の中間部の上方に配置される。第2位置は、図9に示すように、上段容器8の後端部8bが下段容器7の後端部7bよりも後方に配置され、上段容器8の前後方向の中間部が下段容器7の後端部7bの上に重なる位置である。第2位置の上段容器8は、後側部分が下段容器7よりも後方に配置され、前側部分が下段容器7の後側部分の上方に重なる。第3位置は、図10に示すように、上段容器8が下段容器7の前側部分の上方に重なり、上段容器8の前端部8aが下段容器7の前端部7aの上方に重なる位置である。第3位置の上段容器8の後端部8bは、下段容器7の前後方向の中間部の上方に配置される。
【0028】
上段容器8は、下段容器7の上縁部に沿って第3位置から第2位置の間で前後方向に摺動可能である。下段容器7は、上段容器8が第3位置よりも前方に移動することを規制する第1規制部(第1規制面771)と、上段容器8が第2位置よりも後方に移動することを規制する第2規制部(第2規制面772)と、を有する。
【0029】
上段容器8は、引出し部16が後方に移動し、小冷凍室15Dに収納された状態において、下段容器7に対して第1位置、第3位置、および第1位置と第3位置の間の位置のいずれかに配置される。図3には、引出し部16が小冷凍室15Dに収納され、上段容器8が下段容器7に対して第1位置に配置された様子を示す。
引出し部16が小冷凍室15Dに収納されると、上段容器8は、内箱3の小冷凍室上板3bの下方に配置される。上段容器8の上端部8cは、小冷凍室上板3bと接触、または所定以下の隙間をあけた状態に配置される。
【0030】
図4から図6に示すように、上段容器8は、引出し部16が前方に移動し、小冷凍室15Dから引き出された状態において、第2位置と第3位置との間を移動可能である。図4に示すように、引出し部16が引き出されて小冷凍室扉11Dが全開された状態において、上段容器8が第1位置に配置されると、上段容器8の後側部分は、小冷凍室15Dの内部に配置され、上段容器8の前側部分は、小冷凍室15Dの前方に配置される。
【0031】
図5に示すように、引出し部16が引き出されて小冷凍室扉11Dが全開された状態において、上段容器8が第2位置に配置されると、上段容器8の前端部8aの近傍は小冷凍室15Dの前方に配置され、上段容器8の前端部8a近傍よりも後側の部分が小冷凍室15Dの内部に配置される。上段容器8における小冷凍室15Dの内部に配置された部分は、内箱3の小冷凍室上板3bの下方に配置される。この場合も、上段容器8の上端部8cは、小冷凍室上板3bと接触、または所定以下の隙間をあけた状態に配置される。上段容器8の上端部8cは、後述する上段容器8の第1側壁部84の上端部841に相当する。
【0032】
引出し部16が引き出された際に第2位置に配置された上段容器8は、下段容器7の上方に配置された前側部分が下段容器7と小冷凍室上板3bとに上下方向から挟まれている。このため、上段容器8は、下段容器7の後端部7bの直上となる位置を軸として、この軸よりも後方の部分が下方に向かい、この軸よりも前方の部分が上方に向かうように回転しようとしても、前側部分が内箱3の小冷凍室上板3bに下側から接触するため、回転せず、後方に傾いたり、後方へ落下したりすることが抑制される。
【0033】
図8に示すように、下段容器7は、上面が開口する深底の略直方体の容器である。下段容器7は、底板部71と、前壁部72と、後壁部73と、一対の側壁部74,74と、を有する。底板部71は、下段容器7の底面を構成する。以下では、下段容器7は、底面が水平に配置された姿勢であるものとする。下段容器7は、左右方向に対称となる形状である。
底板部71は、板面が水平面となり、板面が略四角形となる平板状である。前壁部72は、底板部71の前縁部から上方に延びている。後壁部73は、底板部71の後縁部から上方に延びている。一対の側壁部74,74のうちの一方の側壁部74は、底板部71の左側の側縁部から上方に延び、他方の側壁部74は、底板部71の右側の側縁部から上方に延びている。一対の側壁部74,74それぞれの上縁部741は、前後方向全体にわたって水平に延びている。
【0034】
一対の側壁部74,74それぞれの上縁部741のやや下側には、左右方向の外側に突出する凸部75が設けられている。凸部75は、側壁部74の前後方向全体にわたって延びている。上段容器8は、一対の側壁部74,74それぞれの上縁部741および一対の側壁部74,74それぞれに設けられた凸部75の上面に沿って前後方向に摺動する。以下では、凸部75の上面を摺動面76と表記する。
【0035】
図8および図11に示すように、摺動面76は、前後方向の中間部に下方に凹み、上方に開口する凹部763が形成されている。摺動面76のうち、凹部763よりも前側の部分を第1摺動面761と表記し、凹部763より後側の部分を第2摺動面762と表記する。
第1摺動面761における後端部近傍の部分で凹部763と接続される部分は、前側から後側に向かって漸次上側に向かって傾斜する傾斜面である。この傾斜面を第1傾斜面761aと表記する。第1摺動面761における第1傾斜面761aよりも前側の部分は、水平面である。この水平面を第1水平面761bと表記する。
第2摺動面762における前端部近傍の部分で凹部763と接続される部分は、前側から後側に向かって漸次下側に向かって傾斜する傾斜面である。この傾斜面を第2傾斜面762aと表記する。第2摺動面762における第2傾斜面762aよりも後側の部分は、水平面である。この水平面を第2水平面762bと表記する。
【0036】
図11に示すように、凹部763は、前側に配置される凹部前面763aと、下側に配置される凹部底面763bと、後側に配置される凹部後面763cに囲まれている。凹部前面763aは、上側から下側に向かって漸次後側に向かう方向に傾斜する傾斜面である。凹部前面763aの上端部が第1摺動面761の後端部と連続している。凹部後面763cは、上側から下側に向かって漸次前側に向かう方向に傾斜する傾斜面である。凹部後面763cの上端部が第2摺動面762の前端部と連続している。凹部底面763bは、水平面である。凹部底面763bの前端部は、凹部前面763aの下端部と連続している。凹部底面763bの後端部は、凹部後面763cの下端部と連続している。
第1摺動面761の後端部、すなわち第1傾斜面761aの後端部と、第2摺動面762の前端部、すなわち第2傾斜面762aの前端部とは、略同じ高さに配置されている。このため、第1水平面761bは、第2水平面762bよりも低い位置に配置されている。第1水平面761bは、凹部底面763bと同じ高さに配置されている。
【0037】
側壁部74には、摺動面76の前端部、すなわち第1摺動面761の前端部から上方に延び後方を向く第1規制面771が形成されている。側壁部74には、摺動面76の後端部、すなわち第2摺動面762の後端部から上方に延び前方を向く第2規制面772が形成されている。第1規制面771および第2規制面772の上端部は、側壁部74の上縁部741に達している。
側壁部74の上縁部741における後端部には、第2規制面772の上端部から後側に向かって漸次下方に向かって延びる第3傾斜面773が形成されている。側壁部74の上縁部741と、第3傾斜面773とのそれぞれが第3摺動面の一例である。なお、側壁部74の上縁部741と、第3傾斜面773との両方を全体として第3摺動面と見なしてもよい。
第1規制面771、第2規制面772および第3傾斜面773の幅寸法は、凸部75の突出寸法、すなわち摺動面76の幅寸法と同じである。
【0038】
図8に示すように、上段容器8は、上面が開口する略直方体の容器である。上段容器8は、底板部81と、前壁部82と、後壁部83と、第1側壁部84と第2側壁部85と、を有する。底板部81は、上段容器8の底面を構成する。以下では、上段容器8は、底面が水平に配置された姿勢であるものとする。
前壁部82は、底板部81の前縁部から上方に延びている。後壁部83は、底板部81の後縁部から上方に延びている。第1側壁部84は、底板部81の左側の縁部から上方に延びている。第2側壁部85は、底板部81の右側の縁部から上方に延びている。本実施形態では、上段容器8には、底板部81の上に着脱可能なトレイ811が設けられている。
【0039】
後壁部83の上部側には、左右方向の中間部に上方に開口する切り欠き部831が形成されている。切り欠き部831は、冷却ユニットの吹出口の前方に配置されている。上段容器8が小冷凍室15Dの奥まで収納されると、吹出口の先端の位置に切り欠き部831が配置され、吹出口から吹き出された冷気が上段容器8の内部に流入する。
図11に示すように、本実施形態の上段容器8は、底板部81と後壁部83とがなす角部から後方に突出する鍔部832を有する。
【0040】
第2側壁部85は、第1側壁部84よりも高さ寸法が小さい。第2側壁部85の上端部851は、第1側壁部84の上端部841よりも下側に配置されている。本実施形態の第2側壁部85の上縁は、前側部分よりも後側部分の方が低く形成されている。
【0041】
第1側壁部84および第2側壁部85のそれぞれの高さ方向の中間部には、第1摺動部86、第2摺動部87および第3摺動部88が設けられている。第1側壁部84に設けられた第1摺動部86、第2摺動部87および第3摺動部88と、第2側壁部85に設けられた第1摺動部86、第2摺動部87および第3摺動部88と、は左右対称の形状である。以下では、第2側壁部85に設けられた第1摺動部86、第2摺動部87および第3摺動部88について説明し、第1側壁部84に設けられた第1摺動部86、第2摺動部87および第3摺動部88の説明を省略する。
【0042】
第1摺動部86は、第2側壁部85の前後方向の中間部に設けられている。第1摺動部86は、第2側壁部85から右側に突出する第1突出部861と、第1突出部861の右側の端部から下方に延びる第1縦板部862と、を有する。第1突出部861は、板面が水平面となる平板状である。第1縦板部862は、板面が左右方向を向く鉛直面となる平板状である。第1摺動部86は、前後方向から見た形状がL字形状である。
【0043】
第2摺動部87は、第2側壁部85の前端部近傍に設けられている。第2摺動部87は、第2側壁部85から右側に突出する第2突出部871と、第2突出部871の右側の端部から下方に延びる第2縦板部872と、を有する。第2縦板部872は、板面が水平面となる平板状である。第2縦板部872は、板面が左右方向を向く鉛直面となる平板状である。第2摺動部87は、前後方向から見た形状がL字形状である。
【0044】
第3摺動部88は、第2側壁部85の後端部近傍に設けられている。第3摺動部88は、第2側壁部85から右側に突出している。第3摺動部88は、板面が水平面となる平板状である。第3摺動部88は、第1摺動部86の第1縦板部862および第2摺動部87の第2縦板部872のような縦板部を有していない。
【0045】
第1摺動部86、第2摺動部87および第3摺動部88は、第2摺動部87、第1摺動部86、第3摺動部88の順に前側から後側に向かって間隔をあけて配置されている。第1摺動部86の第1突出部861、第2摺動部87の第2突出部871および第3摺動部88は、第2側壁部85に対して同じ高さに配置されている。
第1摺動部86の第1縦板部862は、第2摺動部87の第2縦板部872よりも上下方向に長く形成されている。第1縦板部862の下端部86aは、第2縦板部872の下端部87aよりも下方に配置されている。第1縦板部862の下端部86aと、第2縦板部872の下端部87aとの高さの差は、下段容器7の第2摺動面762の第2水平面762bと、第1傾斜面761aの第1水平面761bおよび凹部763の凹部底面763bとの高さの差と略同じである。
以下では、第1縦板部862の下端部86aを第1摺動部86の下端部86aと表記し、第2縦板部872の下端部87aを第2摺動部87の下端部87aと表記し、第1縦板部862の後端部を第1摺動部86の後端部86bと表記し、第2縦板部872の前端部を第2摺動部87の前端部87bと表記する。第1摺動部86の下端部86aおよび第2摺動部87の下端部87aは、特許請求の範囲の「摺動接触部」に相当する。
【0046】
上段容器8が下段容器7の上に載置されると、第1側壁部84および第2側壁部85それぞれの第1摺動部86の第1突出部861、第2摺動部87の第2突出部871、第3摺動部88が下段容器7の側壁部74の上縁部741の上方に配置される。第1摺動部86の第1縦板部862および第2摺動部87の第2縦板部872は、下段容器7の側壁部74の幅方向の外側かつ摺動面76の上方に配置される。
【0047】
図3図4および図7に示すように、上段容器8が下段容器7の上方に第1位置において配置されると、第2摺動部87の下端部87aが摺動面76の凹部763に挿入され、第1摺動部86の下端部86aが第2摺動面762と接触する。第1摺動部86の第1突出部861、第2摺動部87の第2突出部871および第3摺動部88は、下段容器7の側壁部74の上縁部741に載置され、側壁部74の上縁部741と接触する。このとき、第3摺動部88は、下段容器7の側壁部74の上縁部741の後端部近傍の上に載置される。上段容器8は、第2摺動部87の下端部87aが凹部763に挿入されることによって、下段容器7に対する前後方向の移動が規制される。
【0048】
図5および図9に示すように、上段容器8が下段容器7の上に第2位置において配置されると、第2摺動部87の下端部87aが第2摺動面762の第2水平面762bと接触し、第1摺動部86の下端部86aが第2水平面762bの上方に間隔をあけて配置される。第1摺動部86の後端部86bは、第2規制面772に前方から接触する。第1摺動部86の第1突出部861および第2摺動部87の第2突出部871は、下段容器7の側壁部74の上縁部741の上方に隙間をあけて配置される。第3摺動部88は、下段容器7よりも後方に配置される。
【0049】
第2位置の下段容器7は、第2摺動部87が第2摺動面762の第2水平面762bと接触しているだけで、第1摺動部86および第3摺動部88は、下方から上段容器8に支持されていない。上述しているように、上段容器8の上方には、内箱3の小冷凍室上板3bが配置され、上段容器8は、下段容器7と内箱3の小冷凍室上板3bに上下から挟まれている。このため、上段容器8は、第2位置に配置された際に、下段容器7に支持されていない後側部分が前側部分よりも下がるように回転しようとしても、内箱3の小冷凍室上板3bに下側から接触することによってこの回転が抑制され、その結果、後方に傾いたり、後方へ落下したりすることが抑制される。
本実施形態では、上段容器8の重心の前後方向の位置が第1摺動部86と第2摺動部87との間に配置されている。このため、上段容器8の重心は、上段容器8が第2位置に配置された際には、上段容器8の上方に配置される。これにより、第2位置に配置された上段容器8は、下段容器7の後方に傾いたり、落下したりすることが抑制される。
上段容器8は、前後方向の中間部にある第1摺動部86が第2規制面772に前方から接触することによって、下段容器7に対して第2位置よりも後方に移動することが規制される。
【0050】
図6および図10に示すように、上段容器8が下段容器7の上に第3位置において配置されると、第2摺動部87の下端部87aが第1摺動面761の第1水平面761bと接触し、第1摺動部86の下端部86aが第1水平面761bの上方に間隔をあけて配置される。第2摺動部87の前端部87bは、第1規制面771に後方から接触する。第1摺動部86の第1突出部861、第2摺動部87の第2突出部871および第3摺動部88は、下段容器7の側壁部74の上縁部741に載置され、側壁部74の上縁部741接触する。上段容器8は、第2摺動部87の前端部87bが第1規制面771に接触することによって、下段容器7に対して第3位置よりも前方に移動することが規制される。
【0051】
次に、冷蔵庫1の動作について説明する。
上段容器8は、下段容器7が小冷凍室15Dから前方に引き出された状態で、前方に引き出されたり、後方に押されたりすると下段容器7の側壁部74の上縁部741に沿って。
図4および図7に示す状態の第1位置の上段容器8は、後方へ押されると、第2摺動部87の下端部87aが凹部763の凹部後面763cに沿って後方かつ上方に移動し、凹部763から外れて第2摺動面762の第2傾斜面762aの上に載置される。第2摺動部87の下端部87aが凹部底面763bよりも上方に移動することによって、上段容器8全体が上方に移動する。これにより、第1摺動部86の下端部86aが第2摺動面762と離れ、第1摺動部86の第1突出部861および第2摺動部87の第2突出部871は、下段容器7の側壁部74と離れる。このとき、上段容器8は、第1摺動部86の下端部86a以外は下段容器7と接触していない。この状態においても、上段容器8は、下段容器7と内箱3の小冷凍室上板3bに上下から挟まれているため、後方に傾いたり、後方へ落下したりすることが抑制される。
上段容器8は、更に後方へ押されると、第2摺動部87の下端部87aが第2傾斜面762aに沿って後方かつ上方に移動して第2水平面762bに到達する。上段容器8がさらに後方へ押されると、第2摺動部87の下端部87aが第2水平面762bに沿ってさらに後方へ移動する。図5に示すように、第2摺動部87が第2規制面772と接触すると上段容器8の後方への移動が規制され、上段容器8が第2位置に配置される。
【0052】
第2位置の上段容器8は、前方に引き出されると、第2摺動部87の下端部87aが第2水平面762bに接触した状態で沿って前方に移動する。第2位置の第3摺動部88は、下段容器7の後方に配置され、側壁部74の上縁部741と離れた状態であるため、側壁部74の上縁部741の上に載置されている時よりも若干下がる場合が想定される。このような場合でも、下段容器7の後方に配置された第3摺動部88は第3傾斜面773に沿って前方に移動できるため、第3摺動部88を側壁部74の上縁部741の上に案内することができる。上段容器8は、更に前方に引き出されると、第2摺動部87の下端部87aが第2傾斜面762aに沿って前方かつ下方に移動し、凹部763に挿入され、第1位置に配置される。
【0053】
図4および図7に示す第1位置の上段容器8は、前方に引き出されると、第2摺動部87の下端部87aが凹部763の凹部前面763aに沿って前方かつ上方に移動し、凹部763から外れて第1摺動面761の第1傾斜面761aの上に載置される。上段容器8は、更に前方へ引き出されると、第2摺動部87の下端部87aが第1傾斜面761aに沿って前方かつ下方に移動して、第1水平面761bに到達する。上段容器8がさらに前方に引き出されると、第2摺動部87の下端部87aが第1水平面761bに沿ってさらに前方へ移動し、図6に示すように、第2摺動部87の前端部87bが第1規制面771と接触する前方への移動が規制され第3位置に配置される。第2摺動部87が第1水平面761bに沿って移動するときには、第1摺動部86の第1突出部861、第2摺動部87の第2突出部871および第3摺動部88は、下段容器7の側壁部74の上縁部741の上に載置され、側壁部74の上縁部741に接触した状態で移動する。
このとき、第1摺動部86は、第2摺動面762の第2水平面762bに沿って移動し、第2摺動面762の第2傾斜面762aの上方に到達すると第2摺動面762とは離れる。第1摺動部86は、凹部763の上方を移動する場合も凹部763とは離れ、凹部763に挿入されない。第1摺動部86は、第1傾斜面761aの上方を移動する際も、第1傾斜面761aの後端部(凹部763の凹部前面763aの上端)とは接触しても他の部分とは接触しない。
【0054】
第3位置の上段容器8は、後方に押されると、第2摺動部87の下端部87aが第1水平面761bに沿って後方に移動する。第2摺動部87の下端部87aが第1傾斜面761aを後方に移動すると、第1傾斜面761aに沿って後方かつ上方に移動し、第2摺動部87の下端部87aが凹部に挿入され、第1位置に配置される。
【0055】
下段容器7(引出し部16)が前方に引き出され、上段容器8が第2位置に配置された状態のまま、下段容器7が小冷凍室15Dの方に押されると、上段容器8は、下段容器7に対して第2位置に配置されたまま後方に移動する。上段容器8の鍔部832が、小冷凍室15Dの後部に設けられた位置決め部9(図3参照)に接触すると、上段容器8は後方への移動が規制される。この状態で下段容器7が後方に移動すると、上段容器8に対して下段容器7が後方に移動し、上段容器8が第1位置に配置される。本実施形態の位置決め部9は、小冷凍室15Dの後部に設けられた吹き出し口の下方に設けられている。位置決め部9は、上段容器8の位置決めを行うための専用の部材であってもよいし、小冷凍室15Dの後部に設けられた部材や装置が上段容器8の位置決めの役割と、これ以外の役割とを兼用していてもよい。
位置決め部9が設けられていることによって、上段容器8が第2位置に配置されたまま下段容器7を小冷凍室15Dの内部に収納した場合でも、次に下段容器7が引き出されると、上段容器8は第1位置に配置されている。
【0056】
次に、冷蔵庫1の効果について説明する。
本実施形態に係る冷蔵庫1では、上段容器8が下段容器7の上縁部に沿って前後方向に摺動し、下段容器7に第2位置の上段容器8の第1摺動部86が接触することで、上段容器8の後方への移動することを規制する第2規制面772が設けられている。これにより、内箱3に上段容器8を前後方向に案内する案内部を設けなくても、上段容器8が第2位置よりも後方へ移動して下段容器7の後方で傾いたり落下したりすることを防止できる。すなわち、内箱3に上段容器8を前後方向に案内する案内部を設けずに、引き出し式の下段容器7の上に前後方向に摺動する上段容器8を設けることができる。
【0057】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、第1摺動部86の下端部86aよりも第2摺動部87の下端部87aが上下方向における下方となる位置に設けられ、上段容器8が第1位置に配置されると第2摺動部87の下端部86aが下段容器7の摺動面76に設けられた凹部763に嵌るように構成されている。このような構成とすることにより、第2摺動部87の下端部87aが凹部763に嵌ることで、上段容器8を第1位置に留めておくことができる。第1摺動部86は、凹部763と干渉しないため、第1摺動部86および第2摺動部87が同一の摺動面76を摺動する構成であっても、上段容器8の第2位置よりも前方における摺動を妨げることがない。
【0058】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、第2摺動面762の前側部分は、後方から前方に向かって漸次下側に向かう第2傾斜面762aである。第2傾斜面762aは、第2位置から第1位置に移動する上段容器8の第2摺動部87を凹部763に円滑に案内できる。
同様に、本実施形態に係る冷蔵庫1では、第1摺動面761の後側部分は、前方から後方に向かって漸次上側に向かう第1傾斜面761aである。第1傾斜面761aは、第3位置から第1位置に移動する上段容器8の第2摺動部87を凹部763に円滑に案内できる。
【0059】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、上段容器8の重心の前後方向の位置が第1摺動部86と第2摺動部87との間に配置されている。このため、上段容器8の重心は、上段容器8が第2位置に配置された際には、上段容器8の上方に配置される。これにより、第2位置に配置された上段容器8は、下段容器7の後方に傾いたり、落下したりすることが抑制される。
【0060】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、上段容器8は第1摺動部86よりも後方に位置する第3摺動部88を有する。このため、上段容器8が後方に移動する際に、第3摺動部88が下段容器7の側壁部74の上縁部741を摺動している間は、第1摺動部86を軸に上段容器8の後側部分が前側部分よりも下がるように回転することが抑制される。つまり、上段容器8の移動を安定させることができる。
【0061】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、下段容器7には、上段容器8が第2位置から第1位置に移動する際に、上段容器8の第3摺動部88を案内する前方に向かって漸次上方に向かう第3傾斜面773を有している。これにより、第2位置の上段容器8の第3摺動部88が下段容器7の側壁部74の上縁部741の高さよりも下がっていたとしても、第3摺動部88が第3傾斜面773に沿って前方に移動することによって、第3摺動部88を側壁部74の上縁部741の上に案内することができる。
【0062】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、第3摺動面が第2摺動面762よりも上下方向において上側に配置されており、規制部(第2規制面772)が第2摺動面762と第3摺動面の間に配置されている。このため、上段容器8を移動する際に、第1摺動部86の後方への移動を規制する規制部(第2規制面772)が第3摺動部88と干渉することが抑制される。
【0063】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、下段容器7(引出し部16)が前方に引き出され、上段容器8が第2位置に配置された状態のまま、下段容器7が小冷凍室15Dの方に押されると、上段容器8は、下段容器7に対して第2位置に配置されたまま後方に移動する。上段容器8の鍔部832が、小冷凍室15Dの後部に設けられた位置決め部9(図3参照)に接触し、上段容器8の後方への移動が規制されるように構成されている。このような構成により、下段容器7が前方に引き出され、上段容器8が第2位置に配置された状態のまま、下段容器7が小冷凍室15Dの方に押された場合でも、位置決め部9と接触した上段容器8に対して下段容器7が後方に移動し、小冷凍室15Dに収納された下段容器7および上段容器8を、上段容器8が下段容器7に対して第1位置に配置された状態とすることができる。
【0064】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、上段容器8の第2側壁部85は、第1側壁部84よりも高さ寸法が小さい。第2側壁部85の上端部851は、第1側壁部84の上端部841よりも下側に配置されている。
一般的に、大型の冷蔵庫の内箱3は、真空成型で成形される部材であり、この場合、部品の箱型形状のコーナー部には大きくC面を取り、成形性および製造性を良くすることが多い。このため、冷蔵庫庫内の側面側は、中央部に比べて、上部の収納空間が狭くなる。このため、冷蔵庫1の左右方向の外側(側部側)に設けられる第2側壁部85の上端部851を、冷蔵庫1の左右方向の中央側に設けられる第1側壁部84の上端部841よりも下側に配置することにより、内箱3の形状に対応させることができる。第1側壁部84の上端部841および第2側壁部85の上端部851のいずれも小冷凍室上板3bと接触、または所定以下の隙間をあけた状態に配置することができ、上段容器8が後方に傾いたり、転倒したりすることを抑制できる。
【0065】
以上、本発明による冷蔵庫の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、下段容器7および上段容器8は、小冷凍室15Dに設けられているが、小冷凍室15D以外の冷凍室や冷蔵室、野菜室などに設けられていてもよい。また、複数の容器が上下方向に重ねられて、それぞれ下側の容器に対して前後方向に移動する場合に、上下方向に隣り合う2段の容器に、本実施形態の下段容器7および上段容器8の構成を採用してもよい。
【0066】
上記の実施形態では、上段容器8の第1摺動部86と第2摺動部87は、第1側壁部84および第2側壁部85それぞれに対して別々に設けられている。これに対し、第1側壁部84および第2側壁部85は、第1側壁部84および第2側壁部85それぞれに対して一体に設けられていてもよい。例えば、図12に示すように、第1側壁部84および第2側壁に摺動部材89が設けられ、摺動部材89の後側部分に上記の第1摺動部86と同様の第1摺動部86Aが設けられ、前側部分に上記の第2摺動部87と同様の第2摺動部87Aが設けられていてもよい。このような場合も、第2摺動部87Aの下端部87Aaは、第1摺動部86Aの下端部86Aaよりも下方に配置されている。また、第3摺動部88も摺動部材89に一体に設けられていてもよい。
【0067】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、上段容器8に第2摺動部87が設けられ、下段容器7に第1位置の上段容器8の第2摺動部87が挿入される凹部763が形成されている。これに対し、第2摺動部87および凹部763が設けられていなくてもよい。下段容器7の摺動面76の形態は、上記以外であってもよい。
【0068】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、第1摺動部86の下端部86aよりも第2摺動部87の下端部87aが上下方向における下方となる位置に設けられているが、第1摺動部86の下端部86aと第2摺動部87の下端部87aの上下方向における位置は、適宜設定されてよい。第1摺動部86と第2摺動部87の前後方向の位置も適宜設定されてよい。
【0069】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、上段容器8の重心の前後方向の位置が第1摺動部86と第2摺動部87との間に配置されているが、上段容器8の重心の位置は、適宜設定されてよい。
【0070】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、上段容器8に第3摺動部88が設けられているが、設けられていなくてもよい。上段容器8に第3摺動部88が設けられている場合に、下段容器7に第3摺動部88を案内する第3傾斜面773が設けられていなくてもよい。
【0071】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、下段容器7および上段容器8を小冷凍室15Dに収納した際に上段容器8を第1位置に配置するための位置決め部9が設けられているが、位置決め部9が設けられていなくてもよい。
【0072】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、上段容器8の第2側壁部85は、第1側壁部84よりも高さ寸法が小さく、第2側壁部85の上端部851は、第1側壁部84の上端部841よりも下側に配置されている。これに対し、第1側壁部84と第2側壁部85とは同じ高さ寸法で、上端部が同じ高さに配置されていてもよい。上段容器8は、第1側壁部84と第2側壁部85とを入れ替えた形状であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…冷蔵庫、3…内箱、3b…小冷凍室上板、7…下段容器、8…上段容器、9…位置決め部、11D…小冷凍室扉、15E…主冷凍室、75…凸部、76…摺動面、84…第1側壁部、85…第2側壁部、86…第1摺動部、86a…下端部、86A…第1摺動部、86Aa…下端部、87 第2摺動部、87a…下端部、87A…第2摺動部、87Aa…下端部、88…第3摺動部、89…摺動部材、761…第1摺動面、761a…第1傾斜面、761b…第1水平面、762…第2摺動面、762a…第2傾斜面、762b…第2水平面、763…凹部、771…第1規制面、772…第2規制面、773…第3傾斜面、832…鍔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12