(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081324
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】プログラム、体内水分量管理システム、及び体内水分量管理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240611BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194855
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】春原 隆司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊成
(72)【発明者】
【氏名】須藤 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】川村 慎一
(72)【発明者】
【氏名】井狩 誠二
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量の増加量を、治療時以外の時期に管理することが可能なプログラム、体内水分量管理システム、及び体内水分量管理方法を提供する。
【解決手段】プログラムは、透析患者の体内水分量を検出する検出装置から体内水分量を取得する処理と、取得した体内水分量と、体内水分量の基準値Rとに基づいて増加量Iを求める処理と、増加量Iが増加量閾値It1以上になった場合に、患者の体内水分量の増加に関する報知を行う処理とを、情報端末の制御部に実行させる。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量を、治療時以外の時期に取得する水分量取得処理と、
前記体内水分量と、体内水分量の基準値とに基づいて、体内水分量の増加量を求める増加量決定処理と、
前記増加量と、体内水分量の増加量に関する閾値とに基づいて、前記患者の体内水分量の増加に関する報知を行う報知処理と、をコンピュータのプロセッサに実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記治療は、透析治療であり、
透析治療が行われた後に前記水分量取得処理で最初に取得された体内水分量を、前記基準値に設定する処理を、コンピュータのプロセッサにさらに実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記基準値を設定した時点からの経過時間が短い程、前記閾値を低い値に設定する処理を、コンピュータのプロセッサにさらに実行させる、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記閾値の経時的変化と前記増加量の経時的変化とをグラフとしてディスプレイに表示させる処理を、コンピュータのプロセッサにさらに実行させる、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
患者の通院日又は通院曜日と、現在の日又は現在の曜日とに基づいて、次回の透析治療日を設定する処理を、コンピュータのプロセッサにさらに実行させ、
前記グラフは、前記次回の透析治療日までの前記閾値の経時的変化と前記増加量の経時的変化とを示す、請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記閾値と前記増加量とに基づいて次回の透析治療までに摂取可能な水分量である摂取可能水分量を決定し、前記患者へ前記摂取可能水分量を報知する処理、をコンピュータのプロセッサにさらに実行させる、請求項2~5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記増加量に基づいて、所定の時間当たりの増加量である体内水分量の増加率を求める処理と、
前記増加率と、増加率の閾値とに基づいて、体内水分量の増加率に関する報知を実行させる処理と、をコンピュータのプロセッサにさらに実行させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記水分量取得処理において取得された体内水分量と、前記増加量決定処理において求められた増加量との少なくとも一方を、患者が通院する医療機関の端末である医療機関端末に送信する処理、をコンピュータのプロセッサにさらに実行させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記報知処理は、前記増加量が前記増加量に関する閾値以上となった場合に、患者に水分摂取に対する注意を促す報知を行う処理を含み、
前記増加量が前記増加量に関する閾値よりも高い警告閾値以上となった場合に、前記注意を促す報知とは異なる態様で、患者に水分摂取を防止させるための警告を行う処理、をコンピュータのプロセッサにさらに実行させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量を、治療時以外の時期に取得する水分量取得部と、
前記体内水分量と、体内水分量の基準値とに基づいて、体内水分量の増加量を求める増加量決定部と、
前記増加量と、体内水分量の増加量に関する閾値とに基づいて、前記患者の体内水分量の増加に関する報知を行う報知部と、を備える、体内水分量管理システム。
【請求項11】
前記閾値を設定するための入力操作を受け付ける入力操作部と、
患者が通院する医療機関の端末である医療機関端末と、
前記患者の疾病情報が登録された疾病情報記憶部と、
前記入力操作部により入力操作を受け付ける際に、前記疾病情報を前記医療機関端末に表示する疾患表示制御部と、をさらに備える、請求項10に記載の体内水分量管理システム。
【請求項12】
体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量を、治療時以外の時期に取得し、
前記体内水分量と、体内水分量の基準値とに基づいて、体内水分量の増加量を求め、
前記増加量と、体内水分量の増加量に関する閾値とに基づいて、前記患者の体内水分量の増加に関する報知を行う、体内水分量管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、体内水分量管理システム、及び体内水分量管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、患者の血液中の老廃物が除去されるとともに、血液中の水分が除去される人工透析方法が記載されている。
【0003】
また、非特許文献1には、一般的な透析治療の方法として、1週間のうちに月曜、水曜、及び金曜に患者に対して人工透析が実施される方法と、火曜、木曜、及び土曜に患者に対して人工透析が実施される方法とが記載されている。これらの場合、1週間のうちの土曜及び日曜が2日間連続して人工透析が患者に対して実施されないか、又は、日曜及び月曜が2日間連続して人工透析が患者に対して実施されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Hui Zhang, Douglas E Schaubel, John D Kalbfleisch, Jennifer L Bragg-Gresham, Bruce M Robinson, Ronald L Pisoni, Bernard Canaud, Michel Jadoul, Takashi Akiba, Akira Saito, Friedrich K Port, and Rajiv Saran, Dialysis outcomes and analysis of practice patterns suggests the dialysis schedule affects day-of-week mortality, kidney international vol. 81 issue 11, p1108-1115 (米), 2012年6月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、2日間連続して人工透析が患者に対して実施されないことによって、患者が摂取した水分は、患者の体内に2日間以上蓄積する。このため、非特許文献1に記載されているように、患者の体内水分量が過剰となる。このため、人工透析が必要な患者には、体内水分量の増加量の管理が望まれている。なお、人工透析には、血液透析、及び腹膜透析が含まれる。
【0007】
また、上記のような人工透析が必要な患者以外にも、体内水分量を調整する治療を受けている患者は、体内水分量の増加量の管理が望まれている。例えば、うっ血性心不全を患っており利尿薬を使用している患者、又は、うっ血性心不全でなくとも利尿薬を使用している患者などに対しても、体内水分量の増加量の管理が望まれている。
【0008】
本開示の目的は、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量の増加量を、治療時以外の時期に管理することが可能なプログラム、体内水分量管理システム、及び体内水分量管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本開示の第1の態様に係るプログラムは、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量を、治療時以外の時期に取得する水分量取得処理と、前記体内水分量と、体内水分量の基準値とに基づいて、体内水分量の増加量を求める増加量決定処理と、前記増加量と、体内水分量の増加量に関する閾値とに基づいて、前記患者の体内水分量の増加に関する報知を行う報知処理と、をコンピュータのプロセッサに実行させる。
【0010】
第2の態様に係る体内水分量管理システムは、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量を、治療時以外の時期に取得する水分量取得部と、前記体内水分量と、体内水分量の基準値とに基づいて、体内水分量の増加量を求める増加量決定部と、前記増加量と、体内水分量の増加量に関する閾値とに基づいて、前記患者の体内水分量の増加に関する報知を行う報知部と、を備える。
【0011】
第3の態様に係る体内水分量管理方法は、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量を、治療時以外の時期に取得し、前記体内水分量と、体内水分量の基準値とに基づいて、体内水分量の増加量を求め、前記増加量と、体内水分量の増加量に関する閾値とに基づいて、前記患者の体内水分量の増加に関する報知を行う。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成によれば、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量の増加量が、治療時以外の時期に閾値以上になった場合に、患者の体内水分量の増加に関する報知が行われるので、治療時以外の時期において、患者は自身の体内水分量の増加量が大きいことを知ることができる。この結果、患者は、報知の有無に応じて、水分の摂取量を調整することができるので、患者の体内水分量の増加量を、治療時以外の時期に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る体内水分量管理システム100の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、検出装置10の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、情報端末20の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、記憶部24に記憶されたデータの例を示す図である。
【
図5】
図5は、医療機関端末30の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、サーバ装置40の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、データベース42aの構成を示す図である。
【
図8】
図8は、関係者端末50の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、制御部21の機能ブロック図である。
【
図10】
図10は、タッチパネル23に表示される画像の例を示す図(1)である。
【
図11】
図11は、タッチパネル23に表示される画像の例を示す図(2)である。
【
図12】
図12は、医療機関端末30の表示部33に表示される画像の例を示す図(1)である。
【
図13】
図13は、タッチパネル23に表示される画像の例を示す図(3)である。
【
図14】
図14は、医療機関端末30の表示部33に表示される画像の例を示す図(2)である。
【
図15】
図15は、タッチパネル23に表示される画像の例を示す図(4)である。
【
図16】
図16は、タッチパネル23に表示される画像の例を示す図(5)である。
【
図17】
図17は、タッチパネル23に表示される画像の例を示す図(6)である。
【
図18】
図18は、タッチパネル23に表示される画像の例を示す図(7)である。
【
図19】
図19は、タッチパネル23に表示される画像の例を示す図(8)である。
【
図20】
図20は、タッチパネル23に表示される画像の例を示す図(9)である。
【
図21】
図21は、一実施形態の第1変形例による体内水分量管理システム200の構成を示すブロック図である。
【
図22】
図22は、一実施形態の第2変形例による情報端末300の構成を示す図である。
【
図23】
図23は、一実施形態の第3変形例による情報端末400の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
【0015】
[体内水分量管理システム100の概要]
図1は、本実施形態に係る体内水分量管理システム100(以下「システム100」という)の構成を示すブロック図である。
【0016】
システム100は、患者の体内水分量を管理するシステムである。本実施形態では、「患者」として、血液透析治療を行っている患者を一例として挙げて説明するが、本開示はこれに限られない。すなわち、上記のシステムを、血液透析治療を行っている患者以外の者であって、体内水分量を調整する治療を受けている患者を対象として構成してもよい。例えば、上記のシステムを、腹膜透析を行っている患者を対象として構成してもよいし、うっ血性心不全を患っている患者(利尿薬を使用している患者)を対象としてもよい。また、上記のシステムを、うっ血性心不全を患っている患者以外で、利尿薬を使用している患者を対象としてもよい。
【0017】
患者に対して、1週間のうちに月曜・水曜・金曜に血液透析が実施される場合と、火曜・木曜・土曜に血液透析が実施される場合とがある。これらの場合、1週間のうちの土曜及び日曜は、2日間連続して除水を含む血液透析が患者に対して実施されないか、又は、日曜及び月曜は、2日間連続して除水を含む血液透析が患者に対して実施されない。2日間連続して血液透析(除水)が患者に対して実施されないことによって、患者が摂取した水分が、患者の体内に2日間以上蓄積してしまう。そこで、本実施形態によるシステム100は、患者の体内水分量を監視し、体内水分量Aの増加量Iが増加量閾値It1以上となった場合に、患者に対して報知を行う。これにより、患者は、自身の体内水分量Aの増加量Iが増加量閾値It1以上となったことを知ることができる。この結果、患者は、報知があった場合に、水分の摂取量を抑制することができる(患者の行動を変化させることができる)ので、患者の体内水分量Aが増加し過ぎないように、体内水分量Aの増加量Iを管理することができる。
【0018】
(体内水分量管理システム100の各部の構成)
図1に示すように、システム100は、検出装置10と、情報端末20とを備える。また、システム100は、医療機関端末30と、サーバ装置40と、関係者端末50と通信可能に構成されている。
【0019】
〈検出装置の構成〉
本実施形態では、検出装置10は、生体電気インピーダンス法を用いて、体内水分量を検出する。すなわち、検出装置10は、患者に電流を流した際のインピーダンスを検出し、当該インピーダンスに基づいて体内水分量Aを取得する。例えば、検出装置10は、ウェアラブル端末として構成されている。例えば、検出装置10は、患者の手首に装着される端末として構成されている。
【0020】
図2は、検出装置10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、検出装置10は、検出部11と、制御部12と、表示部13と、通信部14と、を含む。検出部11は、患者に接触し患者に電流を流す電極と、患者のインピーダンスを検出する電気回路とを含む。制御部12は、制御回路を含み、患者のインピーダンスに基づいて体内水分量Aを算出する。表示部13は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。表示部13は、算出された体内水分量A等を表示する。通信部14は、算出された体内水分量Aを、情報端末20に送信する。通信部14は、例えば、所定の無線通信規格(例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LANなど)に準拠した通信インタフェースとして構成されている。なお、通信部14は、光により情報を伝達させる発光部として構成されてもよい。
【0021】
〈情報端末の構成〉
本実施形態では、情報端末20は、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、又はタブレット端末として構成されている。情報端末20は、例えば、患者により所持(携帯)されている。
図3は、情報端末20の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、情報端末20は、制御部21と、通信部22と、タッチパネルディスプレイ23(以下、「タッチパネル23」という)と、記憶部24と、スピーカー25と、振動駆動部26とを備える。制御部21は、情報端末20における各制御処理を実行するように構成されている。制御部21は、記憶部24に記憶されたプログラム24aを実行することにより制御処理を実行するプロセッサを含む。通信部22は、検出装置10と無線通信する通信インタフェースと、ネットワークNに無線または有線接続可能に構成されている通信インタフェースと、を含む。通信部22は、ネットワークNを介して、医療機関端末30と、サーバ装置40と、関係者端末50との間で、データを送受信可能に構成されている。また、通信部22は、無線基地局と無線通信することにより、他の端末と音声通信(電話)が可能に構成されている。タッチパネル23は、制御部21の指令に基づいて、文字情報、画像および動画を表示するとともに、操作者(患者または医療スタッフ)からタッチ操作を受け付けるように構成されている。なお、情報端末20は、タッチパネル23の代わりに表示パネル及び操作部(操作ボタンなど)を備えてもよい。
【0022】
図3に示すように、記憶部24には、制御部21のプロセッサに制御処理を実行させるプログラム24aが記憶されている。プログラム24aは、後述する体内水分量の管理に関する構成に示す制御処理と、
図10、
図11、
図13、及び
図15~
図20の表示とを情報端末20に実行させるアプリケーションプログラムである。また、
図4に示すように、記憶部24には、情報端末20を使用する患者の通院日又は通院曜日が記憶されている。
図4に示す例では、週のうち、通院曜日として月曜・水曜・金曜が、通院時間として午前10時に通院することが記憶部24に記憶されている。また、記憶部24に、情報端末20を使用している患者の識別情報(ID)が記憶されている。例えば、通信部22からデータ(体内水分量Aや、後述する報知・警告情報)が医療機関端末30又はサーバ装置40に送信される際に、データに患者のIDが関連付けられた状態で送信される。医療機関端末30又はサーバ装置40は、患者のIDに基づいて、受信したデータがどの患者のデータであるかを特定する。
【0023】
スピーカー25は、制御部21の指令に応じて、音声又はブザー音を出力する。振動駆動部26は、モータ等を含み、制御部21の指令に応じて、情報端末20を振動させる。
【0024】
(医療機関端末、サーバ装置、及び関係者端末の構成)
医療機関端末30は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット端末として構成されている。医療機関端末30は、例えば、医師が患者を診察する際に用いられる端末である。
図5は、医療機関端末30の構成を示すブロック図である。医療機関端末30は、制御部31と、通信部32と、表示部33と、操作部34とを備える。制御部31は、医療機関端末30における各制御処理を実行するプロセッサを含む。通信部32は、ネットワークNに無線または有線接続可能に構成されている通信インタフェースを含む。通信部32は、ネットワークNを介して、情報端末20及びサーバ装置40との間で、データを送受信可能に構成されている。表示部33は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイであり、制御部31の指令に応じて画像を表示する。操作部34は、例えば、キーボード及びマウス等を含み、医師による入力操作を受け付ける。
【0025】
サーバ装置40は、例えば、患者が通院する医療機関が管理するサーバ装置である。
図6は、サーバ装置40の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、サーバ装置40は、制御部41と、記憶部42と、通信部43とを含む。制御部41は、サーバ装置40における各制御処理を実行するプロセッサを含む。記憶部42は、RAM及びROMからなる記憶回路を含む。記憶部42には、例えば、
図7に示すように、患者の情報、患者の疾病情報、透析治療の内容、体内水分量の記録が、患者のIDに関連付けられたデータベース42aが構築されている。患者の情報とは、例えば、患者の氏名・年齢・性別等である。患者の疾病情報とは、患者が患っている疾病の種類を記録したものである。患者の疾病情報には、例えば、心疾患の情報が含まれる。透析治療の内容には、例えば、除水量、及び流量などが含まれる。体内水分量の記録には、情報端末20から受信した体内水分量A及び増加量Iの情報、及び情報端末20から受信した報知・警告情報(例えば、増加量Iが増加量閾値It1以上となり「注意域」の状態であること)が含まれる。通信部43は、ネットワークNを介して、情報端末20及び医療機関端末30との間で、データを送受信可能に構成されている。なお、サーバ装置40は、電子カルテサーバと一体的に構成されてもよい。また、サーバ装置40は、病院等の医療施設内に配置された、オンプレミスサーバとして構成されていてもよいし、複数のサーバ群からなるクラウド上に構成される仮想サーバ(クラウドサーバ)により構成されていてもよい。
【0026】
関係者端末50は、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、又はタブレット端末として構成されている。関係者端末50は、患者の関係者により所持(携帯)されている。「関係者」とは、例えば、患者の家族、介助者、同居人、患者が居住している施設のスタッフなど、患者の生活を補助する者である。また、「関係者」とは、例えば、患者に供給する水分量を調節することができる者である。
図8は、関係者端末50の構成を示すブロック図である。関係者端末50は、制御部51と、通信部52と、タッチパネル53とを備える。制御部51は、関係者端末50における各制御処理を実行するプロセッサを含む。通信部52は、ネットワークNに無線または有線接続可能に構成されている通信インタフェースとを含む。通信部52は、ネットワークNを介して、情報端末20との間で、データを送受信可能に構成されている。なお、関係性端末50には、タッチパネル53ではなく、タッチ検出機能を有さない表示部(ディスプレイ)と操作部(スイッチ、マウス、キーボードなど)とが設けられていてもよい。
【0027】
(体内水分量の管理に関する構成)
図9~
図20を参照して、本実施形態によるシステム100による体内水分量の管理に関する構成について説明する。
【0028】
図9は、制御部21の機能ブロック図である。
図9に示すように、情報端末20の制御部21は、プログラム24aを実行することにより、プロセッサを増加量決定部21a、報知制御部21b、基準値設定部21c、閾値設定部21d、水分量決定部21e、送信制御部21f、及び増加率決定部21gとして機能させる。なお、
図9は、制御部21を機能ブロックとして図示しているが、機能ごとに別個の制御回路を構成してもよい。
【0029】
情報端末20は、検出装置10により検出された体内水分量Aを受信する。増加量決定部21aは、体内水分量Aの受信を、所定の時間間隔(例えば、数秒毎、又は数時間毎)で繰り返し行う。すなわち、情報端末20は、患者の体内水分量Aを、継続的(経時的)にモニタリングしている。
【0030】
ここで、患者の体内水分量Aは、透析治療の直後が最も低く、次の透析治療までの期間に徐々に増加するので、患者の体内水分量Aの増加量の管理は、透析治療の直後から次の透析治療までの期間、行う必要がある。そこで、基準値設定部21cは、患者に対して透析治療が行われた後に、増加量決定部21aにより最初に取得された体内水分量A(すなわち、検出装置10により最初に検出された体内水分量A)を、基準値Rに設定する。これにより、基準値Rを都度設定する手間を省くことができる。なお、この例に限られず、医師が指定した値を、医師、医療スタッフ、又は患者が情報端末20に入力操作を行うことにより、基準値設定部21cは、入力された値を基準値Rとして設定してもよい。また、医師が指定した値を、医師、又は医療スタッフが、医療機関端末30に入力し、その値の情報が、医療機関端末30から情報端末20に送信され、情報端末20において受信した当該値を、基準値設定部21cは、基準値Rとして設定してもよい。
【0031】
また、基準値設定部21cは、例えば、「患者に対して透析治療が行われた後」であるか否かの判断を、患者、又は医療スタッフ(医師、看護師など)による入力操作の有無により判断する。例えば、
図10に示すように、基準値設定部21cは、タッチパネル23に、「体内水分量の管理を開始する」等のメッセージの画像P0を表示する。そして、患者又は医療スタッフは、透析治療の完了後に、タッチパネル23の画像P0に対する操作を行う。基準値設定部21cは、画像P0に対する操作の直後に検出された体内水分量Aを基準値R(増加量Iのゼロ点)として設定する。例えば、患者がドライウエイトの状態で、基準値Rが設定される。「ドライウエイト」とは、臨床的に浮腫などがなく、透析によって最大限体液量を減少させた(除水した)時の体重で、それ以上、除水すれば、血圧低下やショックが起きるような体重である。すなわち、増加量Iは、ドライウエイトにおける体内水分量からの増加量である。
【0032】
増加量決定部21aは、体内水分量Aと基準値Rとの差分値を求め、当該差分値を増加量Iとする。増加量決定部21aは、記憶部24に、増加量Iを取得した日時とともに記憶する。
【0033】
増加率決定部21gは、所定の時間当たり(例えば、1時間当たり)の増加量Iを算出し、算出された値を、体内水分量の増加率Bとして決定する。
【0034】
ここで、
図11に示すように、情報端末20により報知を行う基準となる増加量閾値It1、及び後述する警告閾値It2及び増加率閾値Btは、患者ごとに疾病の有無などに応じて設定されるのが望ましく、医師がこれらの値を決定する。本実施形態では、医師が各閾値を決定する際に、医療機関端末30は、増加量閾値It1、警告閾値It2、及び増加率閾値Btを設定しようとする対象の患者のIDに基づいて、サーバ装置40から、当該患者の疾病情報を取得する。患者のIDは、例えば、医師又は医師以外の医療スタッフにより医療機関端末30に入力される。そして、
図12に示すように、医療機関端末30の表示部33には、患者の疾病情報が表示される。医師は、例えば、患者の疾病情報を参考して、増加量閾値It1、警告閾値It2及び増加率閾値Btを決定する。なお、警告閾値It2は、増加量閾値It1よりも高い値である。なお、
図11では、増加率閾値Btの単位の例として、「mL/h」を記載しているが、「%」であってもよい。
【0035】
例えば、
図11に示すように、閾値設定部21dは、タッチパネル23に、増加量閾値It1を入力するための入力欄Q1、警告閾値It2を入力するための入力欄Q2、及び増加率閾値Btを入力するための入力欄Q3を表示する。そして、医師により決定された値が、医師、医師以外の医療スタッフ、又は患者によって、入力欄Q1~Q3に入力される。閾値設定部21dは、入力欄Q1~Q3に入力された値を、増加量閾値It1、警告閾値It2及び増加率閾値Btとして設定する。なお、
図11の例では、タッチパネル23に入力欄Q1~Q3が表示される例を示しているが、医療機関端末30の表示部33に入力欄Q1~Q3を表示して、入力欄Q1~Q3に対して入力された値を、医療機関端末30から情報端末20に送信し、情報端末20において受信した値(入力欄Q1~Q3に入力された値)を、閾値設定部21dは、増加量閾値It1、警告閾値It2及び増加率閾値Btとして設定してもよい。
【0036】
閾値設定部21dは、増加量閾値It1及び警告閾値It2を設定した後、基準値Rを設定した時点から次回の透析治療の時点までの期間において、基準値Rを設定した時点からの経過時間が短い程、増加量閾値It1及び警告閾値It2を低い値に設定する。例えば、
図13に示すように、閾値設定部21dは、入力欄Q1及びQ2に入力された値を、次回の透析治療の時点における増加量閾値It1及び警告閾値It2に設定する。そして、閾値設定部21dは、次回の透析治療の時点における増加量閾値It1及び警告閾値It2よりも、基準値Rを設定した時点からの経過時間が短い程、増加量閾値It1及び警告閾値It2が徐々に小さくなるように設定する。これにより、経過時間が短い時点で増加量Iが大きい場合に、より早い時点に増加量Iが大きいことを患者が知ることができる。この結果、患者は、次の透析治療までの期間、増加量Iが増加量閾値It1以上とならないように水分摂取量を控えることにより、次の透析治療の時点で体内水分量が多くなりすぎるのを防止することができる。なお、次回の透析治療の時点よりも前の時点における増加量閾値It1又は警告閾値It2も、医師が決定してもよい。この場合、医師、医療スタッフ、又は患者が情報端末20又は医療機関端末30に決定された値を入力し、閾値設定部21dが、入力された値を、次回の透析治療の時点よりも前の時点における増加量閾値It1又は警告閾値It2として設定してもよい。
【0037】
また、閾値設定部21dは、記憶部24に記憶された通院日又は通院曜日と、通院時間とに基づいて、上記の「次回の透析治療の時点」を設定する。例えば、閾値設定部21dは、記憶部24に記憶された通院曜日が月曜・水曜・金曜であり、通院時間が午前10時の場合で、基準値Rを設定した時点が金曜である場合、次回の透析治療の時点を、月曜の午前10時に設定する。
【0038】
水分量決定部21eは、増加量閾値It1と増加量Iとの差分値を、次回の透析治療までに摂取可能な水分量である摂取可能水分量Wとして設定する。この例に限られず、水分量決定部21eは、増加量閾値It1と増加量Iとの差分値に対して、所定の定数を乗算したものを摂取可能水分量Wとして設定するように構成されてもよい。
【0039】
送信制御部21fは、通信部22を介して、体内水分量A及び増加量I、及び報知・警告情報を患者のIDに関連付けた状態で、医療機関端末30に送信する。例えば、
図14に示すように、医療機関端末30の表示部33には、受信した体内水分量A及び増加量I、及び報知・警告情報が表示される。報知・警告情報には、例えば、情報端末20により報知又は警告が行われた日時、及び報知又は警告の内容が含まれる。これにより、医師は、患者に対する診察時に、体内水分量A及び増加量I、及び報知・警告情報を確認することができる。そして、医師は、患者に対して、栄養指導、献立の提案、及び生活習慣の改善を提案することができる。また、この例に限られず、送信制御部21fは、通信部22を介して、体内水分量A及び増加量I、及び報知・警告情報を患者のIDに関連付けた状態で、サーバ装置40に送信してもよい。サーバ装置40は、データベース41a内に、体内水分量A及び増加量I、及び報知・警告情報を記憶する。
【0040】
〈報知に関する構成〉
報知制御部21bは、タッチパネル23における表示の制御、スピーカー25による音声又はブザー音の出力の制御、及び、振動駆動部26による振動の制御を行う。本実施形態では、報知制御部21bは、増加量決定部21aにより取得された増加量Iが増加量閾値It1以上になった場合に、タッチパネル23における表示により、報知を行う。また、増加量Iが警告閾値It2以上になった場合に、タッチパネル23における表示と、スピーカー25による音声出力、振動駆動部26による振動により、報知(警告)を行う。
【0041】
例えば、
図15に示すように、報知制御部21bは、タッチパネル23に増加量Iの経時的変化、増加量閾値It1、及び警告閾値It2をグラフとして表示する。また、報知制御部21bは、タッチパネル23に増加量閾値It1未満の領域を「正常域」(例えば、緑色の背景の画像)として表示し、増加量閾値It1以上でかつ警告閾値It2未満の領域を「注意域」(例えば、黄色の背景の画像)として表示し、警告閾値It2以上の領域を「警告域」(例えば、赤色の背景の画像)として表示する。このグラフを患者が視認することにより、次の透析治療までの期間の水分の増加量Iを患者が自身で予測することができる。そして、患者が、グラフを確認し、次の透析治療までに、増加量Iが増加量閾値It1以上となる可能性が高いと判断すれば、水分摂取量を自身で抑制することができる。なお、ディスプレイ(グラフ)を視認するのは、患者以外のユーザであってもよく、グラフの結果に応じて、当該ユーザが患者に対して水分摂取量を調整してもよい。
【0042】
そして、
図13に示すように、報知制御部21bは、増加量Iが増加量閾値It1未満の場合、タッチパネル23に、例えば、増加量Iが増加量閾値It1未満であることを示す画像P1aと、メッセージ画像P2aとを表示させる。画像P1aは、現時点の増加量Iが、現時点の増加量閾値It1未満であることを、グラフの値の上下の位置により表す。また、画像P1aは、例えば、増加量Iが増加量閾値It1未満であることを、現時点の増加量Iを示す画像(グラフの先端)が「正常域」内に位置することにより表す。メッセージ画像P2aは、例えば、「正常域です」というメッセージを含む。
【0043】
そして、
図15に示すように、報知制御部21bは、増加量Iが増加量閾値It1以上でかつ警告閾値It2未満の場合、タッチパネル23に、例えば、増加量Iが増加量閾値It1以上であることを示す画像P1bと、メッセージ画像P2bとを表示させる。画像P1bは、現時点の増加量Iが、現時点の増加量閾値It1以上であることを、グラフの値の上下の位置により表す。また、画像P1bは、例えば、増加量Iが増加量閾値It1以上であることを、現時点の増加量Iを示す画像(グラフの先端)が「注意域」内に位置することにより表す。メッセージ画像P2bは、例えば、「注意域です」というメッセージと、「水分の取り過ぎに注意してください」というメッセージとが表示される。
【0044】
これにより、増加量Iが増加量閾値It1以上になった場合に、タッチパネル23に報知が行われるので、患者は自身の増加量Iが大きいことを知ることができる。この結果、患者は、報知の有無に応じて、水分の摂取量を調整することができるので、患者の体内水分量Aの増加量Iの管理することができる。
【0045】
そして、
図16に示すように、報知制御部21bは、増加量Iが警告閾値It2以上での場合、タッチパネル23に、例えば、増加量Iが警告閾値It2以上であることを示す画像P1cと、メッセージ画像P2cとを表示させる。画像P1cは、現時点の増加量Iが、現時点の警告閾値It2以上であることを、グラフの値の上下の位置により表す。また、画像P1cは、例えば、増加量Iが警告閾値It2以上であることを、現時点の増加量Iを示す画像P3bが「警告域」内に位置することにより表す。メッセージ画像P2cは、例えば、「警告域です」というメッセージと、「水分摂取は控えてください」というメッセージとが表示される。さらに、報知制御部21bは、スピーカー25により音声出力を行い、振動駆動部26により情報端末20を振動させる。
【0046】
さらに、
図17に示すように、報知制御部21bは、タッチパネル23に、例えば、ポップアップ表示として、「息苦しさ、胸の痛みはありませんか?」などの症状を確認するためのメッセージP4aと、「いいえ/ない」という画像P4bと、「はい/ある」という画像P4cとを表示させる。そして、送信制御部21fは、「はい/ある」という画像P4cが患者などによって選択されると、通信部22を介して、医療機関端末30に、患者のIDと、症状が悪化している旨の情報とを、送信する。また、送信制御部21fは、「はい/ある」という画像P4cが患者などによって選択されると、通信部22を介して、救急電話通報(日本の場合、119番通報)を行うように構成されてもよい。
【0047】
また、
図18に示すように、報知制御部21bは、増加率決定部21gにより取得された増加率Bが増加率閾値Bt以上になった場合に、報知を行う。例えば、報知制御部21bは、タッチパネル23にメッセージ画像P5を表示させる。メッセージ画像P5には、「短時間に多くの水分が摂取されました。今後の水分の取り過ぎに注意しましょう」などの水分の取り過ぎの注意を促すメッセージが含まれる。これにより、患者が、増加量Iが増加量閾値It1以上となっていない場合でも、短い時間に多くの水分摂取を行った場合に、注意を促すことができる。
【0048】
また、
図19に示すように、報知制御部21bは、水分量決定部21eにより算出された摂取可能水分量Wを、タッチパネル23に表示する。例えば、報知制御部21bは、摂取可能水分量Wが600mLである場合に、タッチパネル23に「残り600mL、目安:コップ3杯」というメッセージを表示する。また、報知制御部21bは、例えば、タッチパネル23にコップのイラストの画像を表示させる。これにより、患者は、タッチパネル23を見ることにより、摂取可能水分量を知ることができるので、摂取可能水分量を超えた水分摂取を控えることができる。この結果、患者の体内水分量が増えすぎるのを防止することができる。
【0049】
また、
図20に示すように、報知制御部21bは、記憶部24に記憶された増加量Iに基づいて、過去1週間の増加量Iをタッチパネル23に表示させる。なお、タッチパネル23に表示される画面の切り替えは、情報端末20を操作する者(患者)の任意の入力操作により行われる。
【0050】
また、
図13、
図15~
図19に示した画面例は、関係者端末50のタッチパネル53にも、表示されてもよい。これにより、患者の関係者が、患者の体内水分量の状態を把握することができる。
【0051】
[変形例]
以上、上述した実施形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。よって、本開示は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0052】
(1)上記実施形態では、検出装置10として、生体電気インピーダンス法により体内水分量を検出するウェアラブル端末を例として示したが、本開示はこれに限られない。例えば、
図21に示す第1変形例による体内水分量管理システム200のように、体重計210が設けられていてもよい。体重計210により測定された患者の体重の増加量を、体内水分量の増加量とみなして、上記実施形態の制御処理を行ってもよい。この場合、体重計210から情報端末20に、体重の情報を送信し、情報端末20が、受信した体重の増加量を体内水分量Aの増加量Iとして取得する。
【0053】
また、検出装置10のように患者の手首ではなく、患者の脇に挟んだ状態で、患者の体内水分量を検出可能なように検出装置を構成してもよい。また、患者に、両手でそれぞれ電極を把持させることにより、患者の体内水分量を検出可能なように検出装置を構成してもよいし、患者に、片手で検出装置を把持させることにより、患者の体内水分量を検出可能なように検出装置を構成してもよい。
【0054】
また、生体電気インピーダンス法ではなく、近赤外分光法を用いて患者の体内水分量を検出するように検出装置を構成してもよいし、超音波の反射率又は透過率を用いて患者の体内水分量を検出するように検出装置を構成してもよい。
【0055】
(2)上記実施形態では、検出装置10と情報端末20とを別の装置として構成する例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、情報端末に、患者の体内水分量を検出する機能が設けられていてもよい。また、情報端末20はネットワークNに接続されていなくてもよく、情報端末20に検出する機能が設けられている場合、他機器との通信を行わない自己完結型のデバイスであってもよい。
【0056】
(3)上記実施形態では、増加量閾値It1と警告閾値It2とが経過時間が短い程、小さく設定する例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、増加量閾値It1と警告閾値It2とがそれぞれ一定の値であってもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、報知の方法として、増加量Iが増加量閾値It1以上となった場合に、タッチパネル23への表示を行い、増加量Iが警告閾値It2以上となった場合に、タッチパネル23への表示、音声出力、及び振動を行う例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、タッチパネル23への表示をせずに、音声出力、又は振動のみで、増加量Iが増加量閾値It1又は警告閾値It2以上となったことを報知してもよい。
【0058】
(5)上記実施形態では、
図15に示すように、増加量Iを線グラフとして表示する例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、増加量Iを数値として表示してもよいし、
図19の摂取可能水分量の例と同様に、増加量Iを円グラフ、又は
図20の例と同様に、棒グラフとして表示してもよい。また、増加量Iは基準値Rから次の治療時や翌日までの累積増加量Iwでもよく、基準値Rから指定時間dtまでの時間帯ごとの増加量Ieでもよい。時間帯ごとの増加量Ieの場合、基準値設定部21cにより基準値Rは指定時間dtを迎える度にR1、R2…と設定され、マイルストーンとして複数の基準値Rを記録しながら、例えば、
図20の例にあるような棒グラフで増加量を表示する。これにより、食事など水分量が増加しやすいタイミング(時間帯や曜日)を視覚化しやすく、より体内の水分量を増加することを防ぐことが出来る。また、
図22に示す第2変形例による情報端末300のように、タッチパネル323に、針とメータとを組み合わせた画像P11aを表示させることにより、増加量Iと増加量閾値It1及び警告閾値It2との関係を示してもよい。また、
図23に示す第3変形例による情報端末400のように、タッチパネル423に、人を模した画像内に水の量を表示させることにより、摂取可能水分量を示してもよい。
【0059】
(6)上記実施形態では、増加量Iに対する閾値を、増加量閾値It1と警告閾値It2との2段階設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、閾値として、増加量閾値It1のみであってもよいし、3段階以上の閾値を設けてもよい。
【0060】
(7)上記実施形態では、増加率決定部21gが所定時間あたりの増加量Iを算出し、算出された値を体内水分量の増加率Bとして決定しているが、ある所定時間あたりの増加量I1に対する、ある所定時間よりも後の時間である別の所定時間あたりの増加量I2を算出し、算出された値に基づいて(I2-I1)/I1×100で計算される値を体内水分量の相対増加率C(%)として決定してもよい。この場合、医師は、例えば、患者の疾病情報を参考して、増加量閾値It1、警告閾値It2及び相対増加率閾値Ct(%)を決定してもよい。この場合、制御部21は、相対増加率Cが相対増加率閾値Ct以上となった場合に、報知を行う。
【0061】
(8)上記実施形態では、情報端末20を患者自身が所持する例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、情報端末20を関係者(患者の家族、介助者など)が所持してもよい。
【0062】
(9)上記実施形態では、記憶部24に通院曜日が記憶される例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、記憶部24に、通院日(年月日)が記憶されてもよい。
【0063】
(10)上記実施形態では、情報端末20による制御処理を、情報端末20のアプリケーションプログラム(プログラム24a)により実行される例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、情報端末に、専用のアプリケーションソフトウェアではなく、ブラウザ用ソフトウェア(例えば、Webブラウザ)がインストールされていてもよい。そして、情報端末がサーバ装置にアクセスすることにより、サーバ装置が提供する情報及び画像を取得するように、本開示のシステムを構成してもよい。
【0064】
(11)上記実施形態では、情報端末20の制御部21の動作を制御するプログラム24aが、情報端末20の記憶部24に記憶されている態様を例示した。しかし、情報端末の動作を制御するためのプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体(プログラム記憶媒体)や、無線または有線の通信回線を通じて伝送されるプログラム(プログラム製品)も、実施形態に含まれる。
【0065】
(12)上記実施形態では、体内水分管理するためのシステム100の例を示したが、情報端末20の増加量決定部21aにおいて検出装置10により検出された体内水分量Aを受信出来ない場合、報知制御部21bにより報知を行うプログラムを有していても良い。この場合、例えば患者から意図しない検出装置10の脱離や無線通信に問題が発生した場合に患者の経時的な水分量の記録が出来ず、正しい体内水分量Aの増加量Iを患者や医師等に伝達出来ない不慮の事故を防止することが出来る。また、報知制御部21bに限らず検出装置10や医療機関端末30に報知制御部を設けてもよく、スピーカーまたは振動駆動部を設けても良い。
【0066】
(13)上記実施形態では、増加量I、増加率B、及び摂取可能水分量Wを、制御部21により算出する例を示したが、本開示はこれに限らない。例えば、記憶部24に、「体内水分量」と「基準値」と「増加量」とが関連付けられたテーブルを予め記憶しておいてもよい。そして、制御部を、体内水分量Aと基準値Rとを取得した後、テーブルを参照することにより、算出することなく増加量Iを求めるように構成してもよい。また、制御部を、所定の期間における最初の時点を0として、当該期間の最後の時点の増加量を増加率Bとして決定するように構成してもよい。また、記憶部24に、「増加量閾値」と「増加量」と「摂取可能水分量」とが関連付けられたテーブルを予め記憶しておいてもよい。そして、制御部を、増加量閾値It1と増加量Iとを取得した後、テーブルを参照することにより、算出することなく摂取可能水分量Wを求めるように構成してもよい。
【0067】
なお、本開示は以下のように説明することもできる。
【0068】
第1の構成に係るプログラムは、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量を、治療時以外の時期に取得する水分量取得処理と、体内水分量と、体内水分量の基準値とに基づいて、体内水分量の増加量を求める増加量決定処理と、増加量と、体内水分量の増加量に関する閾値とに基づいて、患者の体内水分量の増加に関する報知を行う報知処理と、をコンピュータのプロセッサに実行させる(第1の構成)。
【0069】
上記第1の構成によれば、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量の増加量が、治療時以外の時期に閾値以上になった場合に、患者の体内水分量の増加に関する報知が行われるので、治療時以外の時期において、患者は自身の体内水分量の増加量が大きいことを知ることができる。この結果、患者は、報知の有無に応じて、水分の摂取量を調整することができるので、患者の体内水分量の増加量を、治療時以外の時期に管理することができる。
【0070】
第1の構成において、治療は、透析治療であってもよい。プログラムは、透析治療が行われた後に水分量取得処理で最初に取得された体内水分量を、基準値に設定する処理を、コンピュータのプロセッサにさらに実行させるように構成されてもよい(第2の構成)。
【0071】
ここで、透析治療を受けている患者(以下、「透析患者」という)の体内水分量は、透析治療の直後が最も低く、次の透析治療までの期間に徐々に増加する。そして、透析患者の体内水分量の増加量の管理は、透析治療の直後から次の透析治療までの期間、行う必要がある。そこで、上記第2の構成によれば、患者に対して透析治療が行われた後に、検出部により最初に検出された患者の体内水分量が基準値に設定されるので、基準値を設定する手間を省くことができる。
【0072】
第2の構成において、プログラムは、基準値を設定した時点からの経過時間が短い程、閾値を低い値に設定する処理を、コンピュータのプロセッサにさらに実行させるように構成されてもよい(第3の構成)。
【0073】
ここで、透析患者は、透析治療を行った後、次の透析治療までの期間、水分の増加量が制限されているため、計画的に水分摂取する必要がある。そこで、上記第3の構成によれば、基準値を設定した時点からの経過時間が短い程、閾値が低い値に設定されるので、経過時間が短い時点で増加量が大きい場合により早い時点に、増加量が大きいことを透析患者が知ることができる。この結果、透析患者は、次の透析治療までの期間、増加量が閾値以上とならないように水分摂取量を控えることにより、次の透析治療の時点で体内水分量が多くなりすぎるのを防止することができる。
【0074】
第3の構成において、プログラムは、閾値の経時的変化と増加量の経時的変化とをグラフとしてディスプレイに表示させる処理を、コンピュータのプロセッサにさらに実行させるように構成されてもよい(第4の構成)。また、第4の構成において、プログラムは、患者の通院日又は通院曜日と、現在の日又は現在の曜日とに基づいて、次回の透析治療日を設定する処理を、コンピュータのプロセッサにさらに実行させるように構成されてもよい。グラフは、次回の透析治療日までの閾値の経時的変化と増加量の経時的変化とを示すように構成されてもよい(第5の構成)。
【0075】
上記第4の構成によれば、透析患者は、ディスプレイを視認することにより、過去から現在における閾値及び増加量の変化を確認することができる。そして、上記第5の構成によれば、次の透析治療までの期間の水分の増加量を予測することができる。そして、透析患者が、グラフを確認し、次の透析治療までに、増加量が閾値以上となる可能性が高いと判断すれば、水分摂取量を自身で抑制することができる。なお、ディスプレイ(グラフ)を視認するのは、透析患者以外のユーザであってもよく、グラフの結果に応じて、当該ユーザが透析患者に対して水分摂取量を調整してもよい。
【0076】
第2~第5の構成のいずれか1つにおいて、プログラムは、閾値と増加量とに基づいて次回の透析治療までに摂取可能な水分量である摂取可能水分量を決定し、患者へ摂取可能水分量を報知する処理、をコンピュータのプロセッサにさらに実行させるように構成されてもよい(第6の構成)。
【0077】
上記第6の構成によれば、患者は、摂取可能水分量を知ることができるので、摂取可能水分量を超えた水分摂取を控えることができる。この結果、患者の体内水分量が増えすぎるのを防止することができる。
【0078】
第1~第6の構成のいずれか1つにおいて、プログラムは、増加量に基づいて、所定の時間当たりの増加量である体内水分量の増加率を求める処理と、増加率と、増加率の閾値とに基づいて、体内水分量の増加率に関する報知を実行させる処理と、をコンピュータのプロセッサにさらに実行させるように構成されてもよい(第7の構成)。
【0079】
ここで、増加量が増加量に関する閾値以上となっていない場合でも、短い時間に多くの水分摂取が行われている場合は、後に増加量が増加量に関する閾値以上となる(体内水分量が多くなりすぎる)可能性が高くなる。そこで、上記第7の構成によれば、患者が、増加量が増加量に関する閾値以上となっていない場合でも、短い時間に多くの水分摂取を行った場合に、注意を促すことができる。この結果、患者の体内水分量が多くなりすぎるのを防止することができる。
【0080】
第1~第7の構成のいずれか1つにおいて、プログラムは、水分量取得処理において取得された体内水分量と、増加量決定処理において求められた増加量との少なくとも一方を、患者が通院する医療機関の端末である医療機関端末に送信する処理、をコンピュータのプロセッサにさらに実行させるように構成されてもよい(第8の構成)。
【0081】
上記第8の構成によれば、検出部により検出された体内水分量及び増加量の少なくとも一方が医療機関端末に送信されるので、体内水分量及び増加量の少なくとも一方の情報を、医療機関と患者とで共有させることができる。
【0082】
第1~第8の構成のいずれか1つにおいて、プログラムは、報知処理は、増加量が増加量に関する閾値以上となった場合に、患者に水分摂取に対する注意を促す報知を行う処理を含み、増加量が増加量に関する閾値よりも高い警告閾値以上となった場合に、注意を促す報知とは異なる態様で、患者に水分摂取を防止させるための警告を行う処理、をコンピュータのプロセッサにさらに実行させるように構成されてもよい(第9の構成)。
【0083】
上記第9の構成によれば、増加量が警告閾値以上となった場合に、患者に対してより強力に水分摂取を防止させるように報知することができる。
【0084】
第10の構成に係る体内水分量管理システムは、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量を、治療時以外の時期に取得する水分量取得部と、体内水分量と、体内水分量の基準値とに基づいて、体内水分量の増加量を求める増加量決定部と、増加量と、体内水分量の増加量に関する閾値とに基づいて、患者の体内水分量の増加に関する報知を行う報知部と、を備える(第10の構成)。
【0085】
上記第10の構成によれば、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量の増加量を、治療時以外の時期に管理することが可能な体内水分量管理システムを提供することができる。
【0086】
第10の構成において、体内水分量管理システムは、閾値を設定するための入力操作を受け付ける入力操作部と、患者が通院する医療機関の端末である医療機関端末と、患者の疾病情報が登録された疾病情報記憶部と、入力操作部により入力操作を受け付ける際に、疾病情報を医療機関端末に表示する疾患表示制御部と、をさらに備えてもよい(第11の構成)。
【0087】
上記第11の構成によれば、患者の疾患や体調に合わせた閾値を、医師が入力して設定することができる。この結果、患者の疾患や体調に合わせた閾値を設定することができる。そして、閾値を入力する際に、医師は、患者の疾病情報を確認することができる。
【0088】
第12の構成に係る体内水分量管理方法は、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量を、治療時以外の時期に取得し、体内水分量と、体内水分量の基準値とに基づいて、体内水分量の増加量を求め、増加量と、体内水分量の増加量に関する閾値とに基づいて、患者の体内水分量の増加に関する報知を行う(第12の構成)。
【0089】
上記第12の構成によれば、体内水分量を調整する治療を受けている患者の体内水分量の増加量を、治療時以外の時期に管理することが可能な体内水分量管理方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0090】
10…検出装置、11…検出部、20,300,400…情報端末、21…制御部、21a…増加量決定部、21b…報知制御部、21c…基準値設定部、21d…閾値設定部、21e…水分量決定部、21f…送信制御部、21g…増加率決定部、22…通信部、23,323,423…タッチパネル、24…記憶部、24a…プログラム、25…スピーカー、26…振動駆動部、30…医療機関端末、100,200…体内水分量管理システム、210…体重計