(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081327
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】過給機用コンプレッサハウジングの製造方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/42 20060101AFI20240611BHJP
F02B 39/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F04D29/42 P
F02B39/00 G
F02B39/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194861
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 竜
【テーマコード(参考)】
3G005
3H130
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005FA41
3G005GB85
3G005KA09
3H130AA13
3H130AB07
3H130AB27
3H130AB42
3H130AC14
3H130BA98A
3H130CA21
3H130CA27
3H130DJ08Z
3H130EA02A
3H130ED01A
(57)【要約】
【課題】ダイカストで成型する際の設備費用を低減できる過給機用コンプレッサハウジングの製造方法を提供する。
【解決手段】過給機用コンプレッサハウジングの製造方法は、一体粗材形成工程、分割加工工程及び組付工程を含む。一体粗材形成工程では、ダイカスト金型100を用いて、スクロールピース2の粗材であるスクロールピース粗材2aと、シュラウドピース3の粗材であるシュラウドピース粗材3aとがダイカスト金型100の開閉方向Yに連なってなる一体粗材1aをダイカスト成型する。分割加工工程では、一体粗材1aをスクロールピース粗材2aとシュラウドピース粗材3aとに分割し、スクロールピース粗材2a及びシュラウドピース粗材3aを加工してスクロールピースとシュラウドピースとを形成する。組付工程では、シュラウドピースをスクロールピースに組み付ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサインペラに向けて空気を吸い込む吸気口を形成する吸気口形成部と、
上記コンプレッサインペラを周方向に囲むとともに該コンプレッサインペラに対向するシュラウド面を有するシュラウド部と、
上記コンプレッサインペラの外周側において周方向に形成され、上記コンプレッサインペラから吐出される空気を通過させて圧縮するディフューザ通路を形成するディフューザ部と、
上記ディフューザ通路を通過した圧縮空気を外部へ導くスクロール室を形成するスクロール室形成部と、
を有し、
少なくとも上記吸気口形成部及び上記スクロール室形成部の一部を有するスクロールピースと、少なくとも上記スクロール室形成部の一部、上記ディフューザ部の一部及び上記シュラウド部を有するシュラウドピースとを含む複数のピースからなる過給機用コンプレッサハウジングの製造方法であって、
ダイカスト金型を用いて、上記スクロールピースの粗材であるスクロールピース粗材と、上記シュラウドピースの粗材であるシュラウドピース粗材とが上記ダイカスト金型の開閉方向に連なってなる一体粗材をダイカスト成型する一体粗材形成工程と、
上記一体粗材を上記スクロールピース粗材と上記シュラウドピース粗材とに分割し、上記スクロールピース粗材及び上記シュラウドピース粗材を加工して上記スクロールピースと上記シュラウドピースとを形成する分割加工工程と、
上記シュラウドピースを上記スクロールピースに組み付ける組付工程と、を含む過給機用コンプレッサハウジングの製造方法。
【請求項2】
上記一体粗材において、上記スクロールピース粗材は、上記ダイカスト金型の開閉方向において上記シュラウドピース粗材よりも上記ダイカスト金型の分割位置に近い側に位置している、請求項1に記載の過給機用コンプレッサハウジングの製造方法。
【請求項3】
上記一体粗材における上記シュラウドピース粗材は、上記ダイカスト金型の開閉方向に直交する方向において、上記スクロールピース粗材における上記吸気口形成部の外形の内側に位置している、請求項1又は2に記載の過給機用コンプレッサハウジングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機用コンプレッサハウジングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に備えられる過給機用コンプレッサ(圧縮機)は、インペラを収容可能に構成されていると共に、インペラに向けて空気を吸い込む吸気口と、インペラの外周側において周方向に形成され、インペラから吐き出された空気を導入するスクロール室と、インペラに対向するシュラウド面とを備えたコンプレッサハウジングを有している。例えば、特許文献1には、このようなコンプレッサハウジングとして、スクロールピースとシュラウドピースとを互いに組み付けて構成したものが開示されている。そして、当該構成では、それぞれのピースは成型後の鋳肌粗さが良好となるダイカストにより成型される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、ピースごとに個別のダイカスト金型を用いて成形されているため、トータルの金型費用が高くなる傾向がある。そこで、金型の開閉方向に直交する方向に両ピースを並べて、両ピースに対応する金型を一体化して金型費用の低減を図ることが考えられる。かかる構成では、金型開閉方向における両ピースの投影面積が大きくなることにより、ダイカスト成型する際の鋳造圧により発生する金型開放方向の力が増大する。そのため、ダイカスト成型時の金型の型締め力を増大させる必要があり、ダイカストマシンの大型化を招いて設備費用が上昇するというデメリットがある。
【0005】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたもので、ダイカストで成型する際の設備費用を低減できる過給機用コンプレッサハウジングの製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、コンプレッサインペラに向けて空気を吸い込む吸気口を形成する吸気口形成部と、
上記コンプレッサインペラを周方向に囲むとともに該コンプレッサインペラに対向するシュラウド面を有するシュラウド部と、
上記コンプレッサインペラの外周側において周方向に形成され、上記コンプレッサインペラから吐出される空気を通過させて圧縮するディフューザ通路を形成するディフューザ部と、
上記ディフューザ通路を通過した圧縮空気を外部へ導くスクロール室を形成するスクロール室形成部と、
を有し、
少なくとも上記吸気口形成部及び上記スクロール室形成部の一部を有するスクロールピースと、少なくとも上記スクロール室形成部の一部、上記ディフューザ部の一部及び上記シュラウド部を有するシュラウドピースとを含む複数のピースからなる過給機用コンプレッサハウジングの製造方法であって、
ダイカスト金型を用いて、上記スクロールピースの粗材であるスクロールピース粗材と、上記シュラウドピースの粗材であるシュラウドピース粗材とが上記ダイカスト金型の開閉方向に連なってなる一体粗材をダイカスト成型する一体粗材形成工程と、
上記一体粗材を上記スクロールピース粗材と上記シュラウドピース粗材とに分割し、上記スクロールピース粗材及び上記シュラウドピース粗材を加工して上記スクロールピースと上記シュラウドピースとを形成する分割加工工程と、
上記シュラウドピースを上記スクロールピースに組み付ける組付工程と、を含む過給機用コンプレッサハウジングの製造方法にある。
【発明の効果】
【0007】
上記過給機用コンプレッサハウジングの製造方法によれば、ダイカスト成型する際にスクロールピース粗材とシュラウドピース粗材とがダイカスト金型の開閉方向に連なる一体粗材を成型した後、スクロールピース粗材とシュラウドピース粗材とを分割し、両粗材を加工して得られたスクロールピースとシュラウドピースとを互いに組み付ける。そのため、ピースごとに個別のダイカスト金型を用いる場合に比べて金型費用を低減できる。さらに、ダイカスト金型において、金型開閉方向における両ピースの投影面積が大きくなることを抑制できるため、型締め力を過度に大きくする必要がなく、設備費用の低減を図ることができる。
【0008】
以上のごとく、本発明によれば、ダイカストで成型する際の設備費用を低減できる過給機用コンプレッサハウジングの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1における、過給機用コンプレッサハウジングを備える過給機の断面図。
【
図2】実施例1における、過給機用コンプレッサハウジングの製造方法を示す概念図。
【
図3】実施例1における、過給機用コンプレッサハウジングの製造方法の一体粗材形成工程を説明するダイカスト金型及び一体粗材の断面図。
【
図4】実施例1における、過給機用コンプレッサハウジングの製造方法の分割加工工程での分割前の状態を説明する一体粗材の断面図。
【
図5】実施例1における、過給機用コンプレッサハウジングの製造方法の分割加工工程での分割後の状態を説明する(a)シュラウドピースの断面図、(b)スクロールピースの断面図。
【
図6】実施例1における、過給機用コンプレッサハウジングの製造方法における組付工程を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において「周方向」とはコンプレッサインペラの回転方向、「軸方向」とはコンプレッサインペラの回転軸の方向、「径方向」とは、コンプレッサインペラの回転軸を中心とする仮想円の半径方向であって、径方向外側とは当該仮想円の中心から円周に向かって延びる直線の方向をいうものとする。
【0011】
上記一体粗材において、上記スクロールピース粗材は、上記ダイカスト金型の開閉方向において上記シュラウドピース粗材よりも上記ダイカスト金型の分割面に近い側に位置していることが好ましい。スクロールピース粗材は、シュラウドピース粗材よりも体格が大きいため、上記の配置にすることで、一体粗材においてスクロールピース粗材とシュラウドピース粗材との間にアンダーカットが生じないようしやすくなり、ダイカスト成型が容易となる。
【0012】
上記一体粗材における上記シュラウドピース粗材は、上記ダイカスト金型の開閉方向に直交する方向において、上記スクロールピース粗材における上記吸気口形成部の外形の内側に位置していることが好ましい。この場合は、ダイカスト金型の開閉方向において、シュラウドピース粗材の全体がスクロールピース粗材と重なることとなるため、金型開閉方向における一体粗材の投影面積をスクロールピース粗材の投影面積と同等することができ、設備費用の低減を一層図ることができる。
【実施例0013】
(実施形態1)
以下、上記過給機用コンプレッサハウジングの製造方法の実施形態について、
図1~
図6を用いて説明する。
【0014】
1.過給機用コンプレッサハウジング1の構成
図1に示すように、過給機用コンプレッサハウジング1には、コンプレッサインペラ13が収容され、吸気口形成部10、シュラウド部20、ディフューザ部30、スクロール室形成部120が備えられる。
吸気口形成部10は、コンプレッサインペラ13に向けて空気を吸い込む吸気口11を形成している。
シュラウド部20は、コンプレッサインペラ13を周方向に囲むとともにコンプレッサインペラ13に対向するシュラウド面22を有する。
ディフューザ部30は、コンプレッサインペラ13の外周側において周方向に形成され、コンプレッサインペラ13から吐出される圧縮空気を通過させるディフューザ通路15を形成している。
スクロール室形成部120は、ディフューザ通路15を通過した圧縮空気を外部へ導くスクロール室12を形成している。
そして、過給機用コンプレッサハウジング1は、スクロールピース2とシュラウドピース3とを含む複数のピースに分割されてなる。
スクロールピース2は、吸気口形成部10及びスクロール室形成部120の一部を少なくとも有する。
シュラウドピース3は、スクロール室形成部120の一部、ディフューザ部30の一部及びシュラウド部20を少なくとも有する。
【0015】
以下、各構成について、詳述する。
【0016】
図1に示すように、過給機用コンプレッサハウジング1は、互いに別部材として形成されたスクロールピース2及びシュラウドピース3により分割形成されている。そして、過給機用コンプレッサハウジング1は、コンプレッサインペラ13が一端に取り付けられたシャフト14を軸受けする軸受機構が収納された軸受ハウジング(図示せず)のフランジ部又は分割構造を採用した場合のシールプレート40に取り付けられる。
【0017】
スクロールピース2は、吸気口形成部10、第1スクロール室形成部121、外周部125、被圧入部23及び第1当接面24を有する。
【0018】
スクロールピース2における吸気口形成部10は筒状をなすとともに軸方向Yに貫通形成されている。第1スクロール室形成部121は、スクロール室12における吸気側Y1の壁面を構成している。外周部125は、第1スクロール室形成部121の吸気側Y1と反対側Y2に位置しており、過給機用コンプレッサハウジング1の外周部125を形成している。そして、外周部125の内側には、シールプレート40が取り付けられている。
【0019】
スクロールピース2における被圧入部23は、吸気口形成部10のY2側に位置して筒状をなしている。スクロールピース2における第1当接面24は、径方向において被圧入部23と第1スクロール室形成部121との間に位置して、径方向に平行な壁面として形成される。
【0020】
次に、シュラウドピース3は、第2スクロール室形成部122、シュラウド部20、圧入部33、第1ディフューザ部35及び第2当接面38を有する。
【0021】
シュラウドピース3における第2スクロール室形成部122は、スクロール室12における内周側の壁面を形成している。シュラウド部20は、コンプレッサインペラ13に対向するシュラウド面22を形成している。第1ディフューザ部35はシュラウド面22からスクロール室12に向かって延びるディフューザ面34を形成している。圧入部33は、シュラウドピース3における吸気側Y1の端部に位置して円筒状をなしている。
【0022】
そして、シュラウドピース3の圧入部33がスクロールピース2の被圧入部23の内側に圧入されて、シュラウドピース3がスクロールピース2に組み付けられる。圧入部33と被圧入部23とは、互いに周方向の全域において当接している。なお、圧入部33と被圧入部23とにおける締め代は、必要な抜け荷重が得られ、かつ破損することがない範囲とすることができる。
【0023】
シュラウドピース3における第2当接面38は、径方向において圧入部33と第2スクロール室形成部122との間に位置して、径方向に平行な壁面として形成される。そして、第2当接面38は、スクロールピース2における第1当接面24に当接している。
【0024】
シールプレート40は、第3スクロール室形成部123と、シールプレート挿入部41と、第2ディフューザ部36とを有する。第3スクロール室形成部123は、スクロール室12における外周側の壁面を構成している。シールプレート挿入部41は、外周部125の内側に挿入されている。第2ディフューザ部36は、第1ディフューザ部35とともに、ディフューザ部30を形成している。第2ディフューザ部36は、第1ディフューザ部35のディフューザ面34と所定距離をおいて対向する対向面37を有する。そして、ディフューザ面34と対向面37との間の空間がディフューザ通路15となっている。
【0025】
なお、
図1に示すように、スクロールピース2における第1スクロール室形成部121とシールプレート40における第3スクロール室形成部123との間には、若干の隙間Cが存在して互いに当接しないように構成されている。これにより、シールプレート40が所定位置まで挿入されて、ディフューザ通路15が所定の幅で形成される。
【0026】
2.製造方法
本実施形態1における過給機用コンプレッサハウジング1の製造方法は、
図2に示すように、一体粗材形成工程S1、分割加工工程S2、組付工程S3を含む。
【0027】
2-1.一体粗材形成工程S1
一体粗材形成工程S1では、
図3に示すように、ダイカスト金型100を用いて、スクロールピース2の粗材であるスクロールピース粗材2aと、シュラウドピース3の粗材であるシュラウドピース粗材3aとがダイカスト金型100の開閉方向Yに連なってなる一体粗材1aをダイカスト成型する。
【0028】
ダイカスト金型100は、上側金型101と下側金型102とを含む。上側金型101と下側金型102とは別体として形成され、図示しない型締め装置により、互いに当接した閉塞状態と互いに離間した開放状態と切り替えて開閉可能となっている。本実施形態では、ダイカスト金型100はY方向を上側金型101と下側金型102との開閉方向としている。ダイカスト金型100は閉塞状態において、上側金型101と下側金型102との間に一体粗材1aの形状に対応した空間が形成される。当該空間に溶融した金属(本実施形態では、アルミニウム合金)を高速・高圧で充填することで、一体粗材1aが成型される。
【0029】
本実施形態では、一体粗材1aにおいて、スクロールピース粗材2aは、ダイカスト金型100の開閉方向Yにおいてシュラウドピース粗材よりも上記ダイカスト金型の分割面103に近い側に位置している。そして、一体粗材1aにおいて、シュラウドピース粗材3aは、ダイカスト金型100の開閉方向Yに直交する方向において、スクロールピース粗材2aにおける吸気口形成部10の外形の内側10aに位置している
【0030】
また、本実施形態では、一体粗材1aにおいて、スクロールピース粗材2aにおけるコンプレッサインペラ13の回転軸13a(
図1参照)に対応する第1仮想軸2bと、シュラウドピース粗材3aにおけるコンプレッサインペラ13の回転軸13aに対応する第2仮想軸3bとが同一直線上に位置している。すなわち、第1仮想軸2b及び第2仮想軸3bは回転軸13aと一致している。
【0031】
2-2.分割加工工程S2
分割加工工程S2では、
図4に示す一体粗材1aを、シュラウドピース粗材3aと、スクロールピース粗材2aとに分割し、スクロールピース粗材2a及びシュラウドピース粗材3aを加工して
図5(a)に示すシュラウドピース3と
図5(b)に示すスクロールピース2とを形成する。
【0032】
本実施形態では、
図4に示すように、一体粗材1aにおいて、スクロールピース粗材2aの吸気口形成部10のY側先端に相当する位置を分割位置Lとし、当該分割位置Lで分割を行う。分割位置Lは、この位置に限定されず、一体粗材1aの成型においてアンダーカットが生じない位置であればよい。なお、一体粗材1aの分割は機械加工で行うことができ、一体粗材1aにおけるスクロールピース粗材2aとシュラウドピース粗材3aとの間に両者を分割する際に除去されることとなる分割代(図示せず)が設けられている。
【0033】
2-3.組付工程S3
組付工程S3では、シュラウドピース3をスクロールピース2に組み付ける。本実施形態では、
図6に示すように、矢印Pで示すように、スクロールピース2の第1仮想軸2bと、シュラウドピース3の第2仮想軸3bとを一致させた状態で、シュラウドピース3をスクロールピース2のY2側からY1方向に向けて軸方向Yに沿ってスクロールピース2の内側に挿入し、シュラウドピース3の圧入部33をスクロールピース2の被圧入部23に圧入する。当該圧入はシュラウドピース3の第2当接面38が、スクロールピース2の第1当接面24に当接するまで行う。これにより、
図1に示す過給機用コンプレッサハウジング1が完成する。
【0034】
3.作用効果
次に、本実施形態の過給機用コンプレッサハウジング1の製造方法による作用効果について詳述する。
本実施形態の過給機用コンプレッサハウジング1の製造方法によれば、ダイカスト成型する際にスクロールピース粗材2aとシュラウドピース粗材3aとがダイカスト金型100の開閉方向に連なる一体粗材1aを成型した後、スクロールピース粗材2aとシュラウドピース粗材3aとを分割し、両粗材を加工して得られたスクロールピース2とシュラウドピース3とを互いに組み付ける。そのため、ピース2、3ごとに個別のダイカスト金型を用いる場合に比べて金型費用を低減できる。さらに、ダイカスト金型100において、金型開閉方向Yにおける両ピース2、3の投影面積が大きくなることを抑制できるため、型締め力を過度に大きくする必要がなく、設備費用の低減を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態では、一体粗材1aにおいて、スクロールピース粗材2aは、ダイカスト金型100の開閉方向Yにおいてシュラウドピース粗材3aよりもダイカスト金型100の分割位置Lに近い側に位置している。スクロールピース粗材2aは、シュラウドピース粗材3aよりも体格が大きいため、上述の配置にすることで、一体粗材1aにおいてスクロールピース粗材2aとシュラウドピース粗材3aとの間にアンダーカットが生じないようしやすくなり、ダイカスト成型が容易となる。
【0036】
また、本実施形態では、一体粗材1aにおけるシュラウドピース粗材3aは、ダイカスト金型100の開閉方向Yに直交する方向において、スクロールピース粗材2aにおける吸気口形成部10の外形の内側10aに位置している。これにより、ダイカスト金型100の開閉方向Yにおいて、シュラウドピース粗材3aの全体がスクロールピース粗材2aと重なることとなるため、金型開閉方向Yにおける一体粗材1aの投影面積をスクロールピース粗材2aの投影面積と同等することができ、設備費用の低減を一層図ることができる。
【0037】
以上のごとく、本実施形態によれば、ダイカストで成型する際の設備費用を低減できる過給機用コンプレッサハウジング1の製造方法を提供することができる。
【0038】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態及び変形形態に適用することが可能である。例えば、本実施形態において、軸受機構に設けられたシールプレート40に替えて、シールプレート挿入部41と同様の形状を有する外周環状ピース挿入部と第3スクロール室形成部123とを有する外周環状ピースを備え、過給機用コンプレッサハウジング1をスクロールピース2、シュラウドピース3及び上記外周環状ピースの3つのピースからなるようにしてもよい。