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特開2024-81330グランドコンタクト接続部材、コネクタ、およびコネクタ組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081330
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】グランドコンタクト接続部材、コネクタ、およびコネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/08 20060101AFI20240611BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20240611BHJP
【FI】
H01R31/08 Z
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194864
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(72)【発明者】
【氏名】姜 明
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB26
5E223AB45
5E223AB60
5E223AB67
5E223AC13
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CB84
5E223CD01
5E223CD25
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB25
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA03
5E223EA33
(57)【要約】
【課題】同電位とされる複数のコンタクトに安定して接触可能な導電部材、コネクタ、およびコネクタ組立体を提供すること。
【解決手段】並列的に第1方向xに沿って配置される第1列R1、および第1列R1に対して第2方向yに隣接する第2列R2のそれぞれの一部のコンタクト10に相当するグランドコンタクト群GGに接触するグランドコンタクト接続部材70は、コネクタハウジング30の設置部33に第1方向xに沿って設けられる支持部71と、支持部71から第1列R1側または第2列R2側へと延びてグランドコンタクト群GGに接触する複数の接触梁72と、を備える。接触梁72は、グランドコンタクト群GGのコンタクト10に対して、第1方向xおよび第2方向yの両方に対して交差する第3方向zに押圧される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列的に第1列(R1)および第2列(R2)をなして所定の第1方向(x)に沿って配列される複数のコンタクト(10)のうち、前記第1列(R1)の一部の前記コンタクト(10)と、前記第1列(R1)に対して第2方向(y)に隣接する前記第2列(R2)の一部の前記コンタクト(10)とに相当するグランドコンタクト群(GG)に接触するグランドコンタクト接続部材(70)であって、
前記コンタクト(10)を保持するコネクタハウジング(30)の設置部(33)に前記第1方向(x)に沿って設けられる支持部(71)と、
前記支持部(71)から前記第1列(R1)側または前記第2列(R2)側へと延びて前記グランドコンタクト群(GG)に接触する複数の接触梁(72)と、を備え、
前記接触梁(72)は、前記グランドコンタクト群(GG)の前記コンタクト(10)に対して、前記第1方向および前記第2方向(y)の両方に対して交差する第3方向(z)に押圧される、
グランドコンタクト接続部材(70)。
【請求項2】
前記支持部(71)は、
前記第1方向(x)と前記第2方向(y)とに前記接触梁(72)の固定端(72A)を連結する連結部(711)と、
前記連結部(711)に設けられ、前記設置部(33)に対して前記第3方向(z)に圧入される少なくとも1つの圧入部(712)と、を含む、
請求項1に記載のグランドコンタクト接続部材(70)。
【請求項3】
前記圧入部(712)は、前記第2方向(y)における前記連結部(711)の片側で折り曲げられた折り曲げ片である、
請求項2に記載のグランドコンタクト接続部材(70)。
【請求項4】
前記コンタクト(10)は、前記コネクタハウジング(30)に保持される可動保持部(10C)と、前記コネクタハウジング(30)とは別体の固定ハウジング(20)に保持される固定保持部(10B)と、を備え、
前記固定保持部(10B)と前記可動保持部(10C)との間には、第1湾曲部(C1)および第2湾曲部(C2)が形成され、
前記接触梁(72)は、前記グランドコンタクト群(GG)をなしている前記コンタクト(10)の前記第2湾曲部(C2)に前記可動保持部(10C)の近傍で接触する、
請求項1に記載のグランドコンタクト接続部材(70)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のグランドコンタクト接続部材(70)と、
前記複数のコンタクト(10)と、
前記コネクタハウジング(30)と、
前記コネクタハウジング(30)と共に前記コンタクト(10)を保持するとともに、前記コンタクト(10)を介して前記コネクタハウジング(30)を支持する固定ハウジング(20)と、を備える、
コネクタ(1)。
【請求項6】
前記複数のコンタクト(10)は、前記第1方向(x)と、前記第2方向(y)とを含む基準面(61A)に配置されて接合対象(61)に接合され、
前記接触梁(72)は、前記基準面(61A)に対向する前記設置部(33)と前記基準面(61A)との間に配置され、前記グランドコンタクト群(GG)をなしている前記コンタクト(10)における前記設置部(33)に隣接する部位(C2)に前記基準面(61A)側から接触する、
請求項5に記載のコネクタ(1)。
【請求項7】
請求項5に記載のコネクタとしての第1コネクタ(1)と、
前記第1コネクタ(1)の前記コネクタハウジング(30)と嵌合される第2コネクタ(4)と、を備える、
コネクタ組立体(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクト群を同電位にするための手段、当該手段を備えるコネクタ、およびコネクタを備えるコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電子機器に備わる構成部品間の機械的接続および電気的接続のために、所謂フローティング式(浮動式)のコネクタ組立体を使用することができる。かかるコネクタ組立体は、例えば、特許文献1に記載されているように、第1回路基板に接合されるコンタクトを含む第1コネクタと、第2回路基板に接合されるコンタクトを含む第2コネクタとを備えている。
寸法形状や加工、組立の公差に起因して第1回路基板と第2回路基板との組立に支障が出ないように、第1コネクタおよび第2コネクタは、所定の形状に曲げられたコンタクトが弾性変形することにより、所定の浮動範囲(フローティング・レンジ)内で相対的に位置ずれしていても嵌合可能に構成されている。
【0003】
特許文献1に記載のソケットコネクタは、下部シェルと、下部シェルの内側に上方から挿入される上部シェルと、下部シェルおよび上部シェルに保持される複数のソケットコンタクトとを備え、プラグコネクタと嵌合される。
ソケットコンタクトはそれぞれ、複数の湾曲部を有した形状に成形され、下部シェルと上部シェルとに保持されている。上部シェルは、金具と係合することで、下部シェルに組み付けられる。その金具は、ソケットコンタクトと回路基板との接合を補強するために回路基板に接合されている。
【0004】
特許文献1に記載のソケットコネクタは、複数のコンタクトのうちの一部のコンタクトに接触する導電体を備えている。この導電体は、接触したコンタクトを同電位にする。導電体は、矩形断面を有する細長い部材であり、両側面には、複数の突起が等間隔に形成されている。この導電体を上部シェルの下端部に収容すると、上部シェルに形成された溝から突起が露出して各コンタクトと接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許公開第113346285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の構造によると、複数の突起が形成された導電体を上部シェルに組み付け、かつ上部シェルの溝から露出した突起がコンタクトに確実に接触するように、寸法形状、加工、および組立の公差を厳密に管理する必要がある。しかしながら、電子機器の構造の複雑化、およびコンタクトピッチの細密化に伴い、公差管理は困難化しており、導電体の複数の突起をそれぞれコンタクトに安定して接触させることが難しい。
【0007】
本発明は、同電位とされる複数のコンタクトに安定して接触可能な導電部材、それを備えるコネクタ、およびそのコネクタを備えるコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、並列的に第1列および第2列をなして所定の第1方向に沿って配列される複数のコンタクトのうち、第1列と、第1列に対して第2方向に隣接する第2列の一部のコンタクトとに相当するグランドコンタクト群に接触するグランドコンタクト接続部材であって、コンタクトを保持するコネクタハウジングの設置部に第1方向に沿って設けられる支持部と、支持部から第1列側または第2列側へと延びてグランドコンタクト群に接触する複数の接触梁と、を備える。
接触梁は、グランドコンタクト群のコンタクトに対して、第1方向および第2方向の両方に対して交差する第3方向に押圧される。
【0009】
本発明のコネクタは、上述のグランドコンタクト接続部材と、複数のコンタクトと、コネクタハウジングと、コネクタハウジングと共にコンタクトを保持するとともに、コンタクトを介してコネクタハウジングを支持する固定ハウジングと、を備える。
【0010】
本発明のコネクタ組立体は、上述のコネクタとしての第1コネクタと、第1コネクタの可動ハウジングと嵌合される第2コネクタと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
グランドコンタクト接続部材を用いることで、グランドコンタクト群が同電位とされることにより、後述する解析結果にも示すように、SI(Signal Intensity)性能を向上させることができる。
グランドコンタクト接続部材をコネクタハウジングに設置すると、各接触梁が撓んでグランド用のコンタクトに対して第3方向に押圧される。そのため、各第1コンタクトの位置が第3方向にばらついていたとしても、接触梁をグランドコンタクト群の第1コンタクトに安定して接触させることができる。そして、第1コンタクトに安定して接触される接触梁を備えた部材によりグランド用の第1コンタクトが同電位とされることを通じて、SI性能を安定させることができる。
【0012】
また、第1コンタクトに対する信号用/グランド用の割り当てのパターンに応じてグランドコンタクト接続部材の形状をカスタマイズすることで、グランドコンタクト接続部材を種々の製品に対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は、本発明の実施形態に係るコネクタ組立体を示す斜視図である。コネクタ組立体は、第1コネクタおよび第2コネクタを備える。(b)は、(a)のIb-Ib線断面図である。
図2】(a)は、第1コネクタを示す斜視図である。(b)は、図2(a)のIIb-IIb線断面図である。
図3】第1コネクタの分解斜視図である(グランドコンタクト接続部材を除く)。
図4】グランドコンタクト接続部材の斜視図である。
図5】第1コネクタの固定ハウジングを示す斜視図である。
図6】(a)は、第1コネクタの可動ハウジングを示す斜視図である。(b)は、ガイド突起の部分拡大正面図である。(c)は、ガイド突起の部分拡大側面図である。
図7図1(a)のVII-VII線断面図であって、第1方向における固定ハウジングと可動ハウジングとの間に設定される第1間隙を示す図である。
図8図1(a)のVIII矢印の向きから示す底面図であって、第2方向における固定ハウジングと可動ハウジングとの間に設定される第2間隙を示す図である。グランドコンタクト接続部材の図示は省略されている。
図9】(a)は、第1コンタクトの側面図である。(b)は、第1コンタクトの斜視図、(c)は、第1コンタクトの正面図である。
図10】(a)は、図1(a)のXa矢印の向きから示す底面図である。(b)は、グランドコンタクト接続部材を(a)のXb矢印の向きから示す正面図である。
図11】グランドコンタクト接続部材および第1コンタクトの底面図である。
図12】(a)は、信号用/グランド用の割り当てパターンの一例を示す模式図である。(b)は、(a)のグランド用コンタクトの位置に合わせて配置された接触部を備えるグランドコンタクト接続部材を示す斜視図である。
図13】(a)は、図13(a)とは異なる信号用/グランド用の割り当てパターンの一例を示す模式図である。(b)は、(a)のグランド用コンタクトの位置に合わせて配置された接触部を備えるグランドコンタクト接続部材を示す斜視図である。
図14】グランドコンタクト接続部材による利点を説明するためのグラフである。
図15】(a)は、第2コネクタの一部破断斜視図である。(b)は、(a)の横断面図である。
図16】第2コネクタの分解斜視図である。
図17】嵌合前における第1コネクタと第2コネクタとを示す断面図である。
図18】第1コネクタと第2コネクタとの嵌合時にコンタクトが第1方向に弾性変形した状態を示す断面図である。
図19】第1コネクタと第2コネクタとの嵌合時にコンタクトが第1方向および第2方向に弾性変形した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
〔全体構成〕
図1(a)および(b)に示すコネクタ組立体100は、互いに嵌合される第1コネクタ1および第2コネクタ4を備え、種々の電子機器に備わる回路基板間の機械的接続および電気的接続のために使用される。
まず、第1コネクタ1および第2コネクタ4の概略の構成を説明する。
第1コネクタ1は、複数の第1コンタクト10と、複数の第1コンタクト10を保持する固定ハウジング20および可動ハウジング30とを備えている。複数の第1コンタクト10は、接合対象としての第1回路基板61に接合される。
第1コンタクト10は、所定の第1方向xに沿って並列的に第1列R1および第2列R2をなして配置され、第1回路基板61の第1実装面61Aに配置される。
【0015】
第2コネクタ4は、複数の第2コンタクト40と、複数の第2コンタクト40を保持するハウジング50とを備えている。複数の第2コンタクト40は、第2回路基板62に接合される。
第2コンタクト40も、第1コンタクト10と同様に、並列的に第1列r1および第2列r2をなして配置され、第2回路基板62の第2実装面62Aに配置される。第1コネクタ1と第2コネクタ4とが嵌合されると、第1列R1の第1コンタクト10が第1列r1の第2コンタクト40に個別に電気的に接続されるとともに、第2列R2の第1コンタクト10が第2列r2の第2コンタクト40に個別に電気的に接続される。
【0016】
第1コネクタ1と第2コネクタ4とは、第1回路基板61と第2回路基板62とが平行に配置された状態で、第1実装面61Aおよび第2実装面62Aに対して直交する嵌合方向zに嵌合される。第1実装面61Aは、第1方向xと、第1方向xおよび嵌合方向zに対して直交する第2方向yとを含む。第2実装面62Aも同様である。
【0017】
本明細書では、嵌合方向z(第3方向)における第1回路基板61側を下側、嵌合方向zにおける第1回路基板61とは反対側を上側と称する。
【0018】
本実施形態の第1コネクタ1は、後述するように、固定ハウジング20と可動ハウジング30との間に第1方向xおよび第2方向yにそれぞれ設定される間隙の寸法に応じたフローティング・レンジに亘り、第1回路基板61と第2回路基板62との間の相対変位を許容する。
【0019】
〔第1コネクタの構成〕
図2(a)、(b)、および図3に示すように、第1コネクタ1は、複数の第1コンタクト10と、固定ハウジング20と、固定ハウジング20に対して相対変位可能に配置される可動ハウジング30とを備えている。
また、第1コネクタ1は、固定ハウジング20を第1回路基板61に接合するハウジング接合部材15と、一部のコンタクト10に接触するグランドコンタクト接続部材70(図4)とを備えていることが好ましい。
なお、一部の図面ではグランドコンタクト接続部材70の図示が省略されている。
【0020】
第1列R1の第1コンタクト10および第2列R2の第1コンタクト10はそれぞれ、第1方向xに等しいピッチで配置され、第2方向yに隣接して配置されている。本実施形態において、第1列R1の第1コンタクト10と第2列R2の第1コンタクト10とは、第1方向xにおける位置が一致するように配列されている。これに限らず、第1列R1の第1コンタクト10と第2列R2の第1コンタクト10とが、ピッチの1/2の寸法だけ第1方向xにシフトして配列されていてもよい。
【0021】
固定ハウジング20は、絶縁性の樹脂材料を用いて射出成形により一体に形成されている。可動ハウジング30も同様である。
【0022】
(固定ハウジング)
固定ハウジング20は、図5に示すように、複数の第1コンタクト10を囲み、第1実装面61Aに配置される側壁21,22および部分壁23,24と、部分壁23,24の外側へ第1方向xに突出するように、第1方向xにおける固定ハウジング20の両側に形成される拡張壁25と、ハウジング接合部材15を保持する接合部材保持部26と、第1回路基板61に形成されている図示しない孔に挿入される位置決め用のボス27と、第1実装面61Aに配置される脚部28とを備えている。
なお、一部の図面ではボス27の図示が省略されている。
【0023】
側壁21,22は、第1コンタクト10が配列される第1方向xに延在し、第2方向yに対向している。側壁21,22に対して直交する部分壁23,24は、側壁21,22間における第2方向yの両側に配置され、拡張壁25と連続している。
壁21~24の内側には、第1コンタクト10が配置される平面視で矩形状の空間が形成されている。
脚部28は、壁21~24がなしている4つの角の下端に形成されている。
【0024】
側壁21,22および部分壁23,24は、それぞれの下端(例えば21A)から、第1コンタクト10を若干超える上端(例えば21B)まで、実装面61Aに対して立ち上がっている。壁21~24の下端と第1実装面61Aとの間には隙間G(図1(b))が形成されている。
【0025】
側壁21の内側の下端付近には、第1列R1の第1コンタクト10が圧入される保持溝211が第1コンタクト10と同じピッチで形成されている。
同様に、側壁22の内側の下端付近には、第2列R2の第1コンタクト10が圧入される保持溝221が第1コンタクト10と同じピッチで形成されている。
【0026】
側壁21の内側における保持溝211よりも上側には、第1コンタクト10と固定ハウジング20との干渉を避けるために、面取り部212が形成されている。面取り部212は、保持溝221よりも上方の位置から、側壁21の上端21B付近の位置までに亘り形成されている。面取り部212は、固定保持部10Bから第1湾曲部C1に近づくにつれて第1コンタクト10の第1区間101に対して第2方向yに離れる向きに、嵌合方向zに対して傾斜している。
側壁22の内側には、面取り部212と同様の面取り部222が形成されている。
【0027】
拡張壁25は、下端25Aから、上端25Bまで嵌合方向zに立ち上がる壁により、平面視において矩形状に形成されている。上端25Bは、側壁21の上端21Bおよび可動ハウジング30の上端31Bよりも低い。
拡張壁25は、第1方向xにおける固定ハウジング20の両側で、可動ハウジング30および第2コネクタ4のそれぞれの一部を内側に受け入れつつ、固定ハウジング20と可動ハウジング30との組み付けに寄与する。また、拡張壁25は、固定ハウジング20と可動ハウジング30との間に間隙を設定することでフローティング・レンジを設定する。
拡張壁25は、壁21~24を間に挟んで、第1方向xに対称に形成されていることが好ましい。
【0028】
拡張壁25には、図7および図8に示すように、固定ハウジング20の内側で、第1実装面61Aに向けて対向して配置される対向部251が形成されている。対向部251は、固定ハウジング20と可動ハウジング30との間に第1方向xの第1間隙G1を設定する。
対向部251は、第1方向xおよび第2方向yに延在して板状に形成され、拡張壁25の壁に支持されている。
本実施形態の対向部251は、図5から理解されるように、平面視において略C字状に形成されている。第1方向xの一端側の対向部251と他端側の対向部251との間には、所定の寸法x1が与えられている。
【0029】
拡張壁25の内側の対向部251よりも上方には、第2コネクタ4のハウジング50が配置される。
拡張壁25の対向部251よりも下側は、固定ハウジング20と可動ハウジング30との間に第2方向yの第2間隙G2を設定する下部領域252(図5)に相当する。
下部領域252は、対向部251よりも下側で、第1方向xと嵌合方向zとに延在する側壁252A,252Bを備えている。
【0030】
接合部材保持部26は、第1方向xにおける固定ハウジング20の両側で拡張壁25に設けられ、図3に示されるハウジング接合部材15を保持する。
ハウジング接合部材15は、第1回路基板61に図示しないはんだにより接合される接合部151と、両側に突起152Aを有した圧入部152とを備えている。
接合部材保持部26には、上方から圧入されるハウジング接合部材15を保持する一対の溝261が嵌合方向zに沿って形成されている。
【0031】
拡張壁25における対向部251よりも下側でかつ一対の溝261の間には、開口253が形成されている。なお、拡張壁25に開口253は形成されていなくてもよい。
【0032】
固定ハウジング20は、図2(b)および図3に示すように、2つのピン状のボス27を備えている。2つのボス27は、側壁21,22または部分壁23,24の下端から嵌合方向zに突出し、第1方向xおよび第2方向yのいずれにおいても互いに離間している。これらのボス27の径の大きさは相違している。そのため、2つのボス27を第1回路基板61の孔に挿入可能な正しい向きで第1コネクタ1を第1回路基板61に取り付けることができる。
【0033】
(可動ハウジング)
可動ハウジング30は、図2(a)、(b)、および図6(a)に示すように、固定ハウジング20の内側を第1列R1側と第2列R2側とに区分し、固定ハウジング20と共に第1列R1の第1コンタクト10および第2列R2のコンタクト10を保持する。
可動ハウジング30は、列R1,R2の長さに相応の長さで第1方向xに延在し、第1コンタクト10を保持する保持領域31と、第1方向xにおける保持領域31の両側に連なり、第2コネクタ4に対する位置決め、固定ハウジング20との組み付け、およびフローティング・レンジの設定に関わる拡張領域32とを備えている。
【0034】
保持領域31は、第1列R1の第1コンタクト10と第2列R2の第1コンタクト10とを保持するために必要な幅(第2方向yの寸法)および高さ(嵌合方向zの寸法)が与えられている。保持領域31の第1列R1側の側面311と第2列R2側の側面312とには、第1コンタクト10がそれぞれ配置される複数の溝310が嵌合方向zに沿って形成されている。
保持領域31の上端31Bにおける第1列R1側および第2列R2側には、第2コネクタ4の第2コンタクト40に対して可動ハウジング30を第2方向yに位置決めするため、ガイド斜面31Cが形成されている。
【0035】
溝310は、第1コンタクト10が圧入される保持溝310Aを含み、溝310の全体として、側面311,312の高さの全体に亘り連続している。溝310は、一定のピッチで第1方向xに配列されている。溝310の深さ(第2方向yの寸法)は、図2(b)に示すように、嵌合方向zにおいて変化している。
保持溝310Aは、保持領域31の下端33の近傍に形成されている。下端33は、第1実装面61Aに対向する。
【0036】
保持領域31の下端33には、グランドコンタクト接続部材70が圧入されるグランド保持溝31D(図2(b))が形成されている。保持領域31には、下端33から上方に向けて窪む複数のグランド保持溝31Dが第1方向xに点在している。
【0037】
拡張領域32は、側面311,312の上端31Bよりも上方に配置されるガイド突起321が形成された上部320と、固定ハウジング20の対向部251よりも下側に配置される下部322とを備えている。拡張領域32は、保持領域31を間に挟んで、第1方向xに対称に形成されていることが好ましい。
【0038】
拡張領域32には、対向部251に対応する位置で第1方向xに窪む凹部323が形成されている。上部320と下部322とは、凹部323により区分されている。
凹部323の内側の嵌合方向zの寸法は、対向部251の板厚と同等か、それよりも大きい。可動ハウジング30と固定ハウジング20との相対位置によっては、対向部251が凹部323の内側に挿入される。対向部251の端面251Aが凹部323の奥の面323Aに突き当てられるまでを限度として、対向部251を凹部323に受け入れ可能である。
【0039】
ガイド突起321は、ガイド斜面31Cが第2コネクタ4のハウジング50または第2コンタクト40に接触するよりも先にハウジング50と接触し、ハウジング50の位置に追従して可動ハウジング30を第1方向xおよび第2方向yに案内する。そのため、ガイド突起321には、yz面に対して傾斜している斜面321Aと、xz面に対して傾斜している斜面321Bとが形成されている。
【0040】
図6(b)に示すように、ガイド突起321の斜面321Bには、斜面321Bによる案内により可動ハウジング30が第2方向yに変位可能なガイドレンジy1が設定されている。ガイドレンジy1は、ガイド斜面31Cによる案内により可動ハウジング30が第2方向yに変位可能なガイドレンジy2よりも広い。
また、図6(c)に示すように、ガイド突起321の斜面321Aには、斜面321Aによる案内により可動ハウジング30が第1方向xに変位可能なガイドレンジx3が設定されている。
【0041】
上部320の第1方向xにおける寸法x0(図6(a))は、両側の対向部251間の寸法x1(図5)に対して小さい。一方、下部322の第1方向xにおける寸法x2(図6(a))は、両側の対向部251間の寸法x1(図5)に対して大きい。
そのため、図7に示すように、対向部251の下面251Bに下部322が突き当てられるまで、固定ハウジング20の内側に下方から可動ハウジング30を挿入することができる。このとき上部320は、対向部251を上側に超える位置まで固定ハウジング20に収容される。上部320は、第2コネクタ4のハウジング50と嵌合される。ハウジング50は、固定ハウジング20の内側で、上部320を囲むように配置される。
【0042】
第1コンタクト10およびハウジング接合部材15が第1回路基板61に接合されることで固定ハウジング20が第1回路基板61に固定されると、下部322は、対向部251と第1回路基板61の第1実装面61Aとの間に配置される。下部322が対向部251と第1回路基板61とにより嵌合方向zに挟まれているため、可動ハウジング30は、上側へも下側へも離脱しない状態に固定ハウジング20および第1回路基板61に組み付けられている。そのため、第1コネクタ1は、可動ハウジング30、固定ハウジング20、および第1回路基板61を組み付けるための固定金具等を備えている必要がなく、こうした固定金具等により可動ハウジング30と固定ハウジング20とが拘束されない。
【0043】
図7に示すように、第1方向xにおける第1コネクタ1の両側でそれぞれ、対向部251の端面251Aと、凹部323の奥の面323Aとの間には所定の寸法の第1間隙G1が設定されている。
図7には、第1方向xにおける固定ハウジング20および可動ハウジング30のそれぞれの中心が一致している状態が示されている。この状態から、固定ハウジング20に対する図7の右側あるいは左側への可動ハウジング30の第1方向xの相対変位は、第1間隙G1の寸法分を限度に許容される。例えば、第1間隙G1が1mmである場合、第1コネクタ1には、第1方向xに±1mmのフローティング・レンジが与えられている。
【0044】
また、図8に示すように、下部322の側壁322Aと、下部領域252の側壁252Aの内面との間、および、下部322の側壁322Bと、下部領域252の側壁252Bの内面との間にそれぞれ、第2間隙G2が設定されている。
図8には、第2方向yにおける固定ハウジング20および可動ハウジング30のそれぞれの中心が一致している状態が示されている。この状態から、固定ハウジング20に対する図8の上側あるいは下側への可動ハウジング30の第2方向yの相対変位は、第2間隙G2の寸法分を限度に許容される。例えば、第2間隙G2が1mmである場合、第1コネクタ1には、第2方向yに±1mmのフローティング・レンジが与えられている。
【0045】
第1方向xおよび第2方向yに可動ハウジング30と固定ハウジング20とが相対変位可能であることから、可動ハウジング30は、固定ハウジング20に対してxy面内における回転方向へも位置自由度を有する。第1コネクタ1には、xy面内における回転方向へ所定角度のフローティング・レンジが与えられている。
【0046】
可動ハウジング30と固定ハウジング20とが拘束されていないため、第1コンタクト10の最大の弾性変形量を限度として、十分に大きい間隙G1,G2に相応のフローティング・レンジを実現することができる。
【0047】
(第1コンタクト)
図9(a)~(c)に示す第1コンタクト10の形状や各部位の機能等の構成を説明する。図9(a)~(c)には、負荷が加えられていない状態の第1コンタクト10が示されている。
【0048】
第1コンタクト10は、第1実装面61Aにはんだで接合される接合部10Aと、固定ハウジング20に圧入により保持される固定保持部10Bと、可動ハウジング30に圧入により保持される可動保持部10Cと、第2コンタクト40に接触する接続部10Eとを備え、第1方向xおよび第2方向yに弾性変形可能に湾曲した形状が与えられている。
【0049】
第1実装面61Aに対して平行に配置される接合部10Aと、固定保持部10Bとは、側面視でL字状をなしている。
固定保持部10Bと可動保持部10Cとの間には、第1湾曲部C1および第2湾曲部C2が形成されている。第1コンタクト10の頂部としての第1湾曲部C1は、側面視で逆U字の形状をなしている。第2湾曲部C2は、側面視で略V字の形状をなしている。第2湾曲部C2の下端は、接合部10Aよりも上方に位置している。
接続部10Eは、側面視で略C字状をなしている。接続部10Eの上端は、第1湾曲部C1の上端よりも下方に位置している。
第1コンタクト10は、全体の概略形状としては、略N字状に曲げられている。
【0050】
第1コンタクト10は、銅合金等の金属材料から形成された板素材を直線的な細長い形状に打ち抜き、さらに曲げ加工を施すことで成形されている。
フローティング・レンジは、第1方向x、第2方向y、およびxy面内の回転方向のいずれの方向についても、第1コンタクト10の弾性域の範囲内に設定される。そのため、フローティング・レンジを大きくする観点から、第1コンタクト10の材料としては、銅合金の中でもばね性の良好な材料を用いることが好ましい。
【0051】
第1コンタクト10は、長さ方向の大部分に亘り一定の板厚が与えられている。第1コンタクト10の板厚tは、例えば0.1~0.5mmの範囲内に決められる。接続部10Eの板厚は、他の部分の板厚よりも小さい。
【0052】
第1コンタクト10を安定して成形するため、第1コンタクト10の幅wは、少なくとも板厚t以上の値に、例えば、0.1~0.5mmの範囲内に決められる。第1コンタクト10の幅wは、第1コンタクト10の長さ方向において変化している。
例えば、第1コンタクト10の接合部10Aから接続部10Eまでの全長の中で、接合部10Aおよび接続部10Eの幅は、撓み易くして第1実装面61Aや第2コンタクト40への追従性を高めるため、最も狭い。
第1コンタクト10の可動保持部10Cよりも上側の領域には、可動保持部10Cの幅よりも狭い幅が与えられている。当該領域は、可動ハウジング30の保持溝310Aに下方からスムーズに挿入される。
【0053】
第1コンタクト10は、第1湾曲部C1および第2湾曲部C2に設定されている最大の幅wを超える一定ピッチPで、隣接する第1コンタクト10間に隙間gがあいた状態に配置される。ピッチPは、例えば0.3~0.5mmであり、第1コンタクト10は細密に配置されている。隙間gは、0.15mm以上であることが好ましい。
第1コンタクト10はいずれも、xz面に対して平行に配置される。第1列R1の第1コンタクト10と、第2列R2の第1コンタクト10とは、嵌合方向zに対して平行な軸に関して線対称に配置される。
【0054】
第1コンタクト10は、第1区間101と、第2区間102と、第3区間103とを備えている。
第1区間101は、固定保持部10Bから、第1実装面61Aとは反対側(上側)に向けて第1湾曲部C1まで延びている。
第2区間102は、上方に向けて凸に湾曲している第1湾曲部C1から第1実装面61Aに向けて延び、第2湾曲部C2を介して可動保持部10Cに連なっている。
第3区間103は、可動保持部10Cから、第1実装面61Aとは反対側に向けて、第2コンタクト40に接続される接続部10Eまで延びている。
【0055】
第1区間101には、第2区間102に向けて凸の形状に形成される第1屈曲部B1が形成されている。
第2区間102には、嵌合方向zにおける第1屈曲部B1の位置よりも第1実装面61Aから遠い位置に、第1区間101に向けて凸の形状に形成される第2屈曲部B2が形成されている。
【0056】
図9(b)および(c)に示すように、固定保持部10Bは、幅方向(第1方向xに相当)の両側に上下方向二段に亘り形成される2つの圧入突起10B1と、幅方向の片側に形成される突起10B2とを含む。
圧入方向における突起10B2の後方(下方)には、固定保持部10Bの圧入時に図示しない治具が押圧する押し部10B3が、中心線Lに対して垂直に形成されている。
【0057】
可動保持部10Cは、固定保持部10Bの圧入突起10B1、突起10B2、および押し部10B3と同様の圧入突起10C1、位置決め突起10C2、および押し部10C3を含む。位置決め突起10C2が、第1コンタクト10の幅方向の中心線Lから第1方向xへ突出している寸法は、圧入突起10C1が中心線Lから第1方向xへ突出している寸法よりも大きい。
【0058】
(グランドコンタクト接続部材)
図4、および図10図14を参照して、グランドコンタクト接続部材70について説明する。
第1列R1を構成している第1コンタクト10の一部は、第1回路基板61および第2回路基板62を含む電子回路の信号電位に対応しており、残りは当該電子回路におけるグランド電位に対応している。
同様に、第2列R2を構成している第1コンタクト10の一部は、当該電子回路における信号電位に対応しており、残りは当該電子回路におけるグランド電位に対応している。
第1コンタクト10に対する信号用/グランド用の割り当ては、適宜に設計される。信号用/グランド用の割り当てには、製品に応じて種々のパターンが存在する。
【0059】
例えば、図12(a)は、信号用/グランド用の割り当てパターンの一例を示す。「S」が信号用のコンタクトを意味し、「G」がグランド用のコンタクトを意味している。図13(a)は、信号用/グランド用の割り当てパターンの他の一例を示す。図12(a)における第1列R1の「S」および「G」の配置と、図13(a)における第1列R1の「S」および「G」の配置とは相違している。また、図12(a)における第2列R1の「S」および「G」の配置と、図13(a)における第2列R1の「S」および「G」の配置とは相違している。
【0060】
図4図10(a)、および図11に示すように、グランドコンタクト接続部材70は、全ての第1コンタクト10のうち、グランド用に割り当てられる複数の第1コンタクト10からなるグランドコンタクト群GGのみに接触する。グランドコンタクト接続部材70が接触した第1コンタクト10のいずれも同電位となる。
図11では、図示の都合上、GGの符号が4箇所に分けて示されている。図10(a)では、グランドコンタクト群GGの一部の第1コンタクト10のみをGGで指し示している。
グランドコンタクト群GGは、グランドコンタクト接続部材70の全体として、グランド電位に対応する一群の第1コンタクト10に相当し、そのグランドコンタクト群GGは、第1列R1の一部の第1コンタクト10と、第2列R2の一部の第1コンタクト10とに相当する。
【0061】
グランドコンタクト接続部材70は、可動ハウジング30の下端33(設置部)に設けられて第1方向xに延在する支持部71と、グランドコンタクト群GGに第1実装面61A側から接触する複数の接触梁72とを備えている。各接触梁72は、支持部71から第1列R1側または第2列R2側へと延びている。各接触梁72は、下端33と第1実装面61Aとの間に配置される。
【0062】
支持部71は、下端33に沿って第1方向xに細長く延びている連結部711と、連結部711に設けられ、下端33に保持される保持部712とを備えている。
連結部711は、接触梁72の固定端72Aを第1方向xおよび第2方向yに連結している。
【0063】
保持部712における第1方向xの両側には、圧入突起712Aが形成されている。本実施形態の連結部711には、複数の保持部712が設けられている。それらの保持部712は、可動ハウジング30のグランド保持溝31Dにそれぞれ圧入される。
【0064】
グランドコンタクト接続部材70は、銅合金等の金属板材に対して打ち抜きおよび曲げの加工を施すことにより成形することができる。保持部712は、連結部711の幅方向(第2方向y)における片側で垂直に折り曲げられた折り曲げ片であることが好ましい。保持部712は、下端33に対して嵌合方向zに圧入される。
保持部712は、連結部711の幅方向の両側に接触梁72が形成される箇所(例えば、図4のx4)を除いて、第1方向xにおける任意の箇所に形成することができる。
【0065】
接触梁72は、連結部711から垂直に、第1列R1のグランド用コンタクト10に向けて、または第2列R2のグランド用コンタクト10に向けて、第2方向yへ突出している。本実施形態において、連結部711から第1列R1側に延びる接触梁72の長さと、連結部711から第2列R2側に延びる接触梁72の長さとは相違しているが、同じであってもよい。
本実施形態のグランドコンタクト接続部材70は、図10(b)に示すように、保持部712に対して第2方向yに線対称に形成されている。
【0066】
接触梁72の幅(第1方向xの寸法)は、第1コンタクト10の接触梁72と接触する箇所における幅(第1方向xの寸法)よりも狭い。接触梁72の幅は、第1コンタクト10の接合部10Aや接続部10Eと同等であってもよい。
【0067】
グランドコンタクト接続部材70が設置される可動ハウジングの下端33は、第1コンタクト10の第2湾曲部C2の下端よりも上方に位置している。下端33には、第1コンタクト10の第2湾曲部C2が隣接している。
保持部712がグランド保持溝31Dに所定の深さまで圧入されると、各接触梁72が板厚方向に撓んでグランド用の第1コンタクト10の第2湾曲部C2に対して嵌合方向zに押圧される。
【0068】
第1コンタクト10の第2湾曲部C2は、可動ハウジング30に保持されている可動保持部10Cの近傍に位置しているため、可動ハウジング30に追従して変位する。そのため、第1コネクタ1と第2コネクタ4との嵌合時に第1コンタクト10の第1湾曲部C1を弾性変形させつつ可動ハウジング30が固定ハウジング20および第2コネクタ4のハウジング50に対して変位しても、第2湾曲部C2と可動ハウジング30との距離はほぼ変わらない。そうすると、接触梁72が第2湾曲部C2に接触していても、固定ハウジング20に対して可動ハウジング30がフローティング・レンジ内で変位する挙動には影響を与えない。
【0069】
本実施形態の接触梁72は、図4および図10(b)に示すように、連結部711と同一平面上に延在し、平坦な板状に形成されている。これに限らず、接触梁72は、図12(b)および図13(b)に示すグランドコンタクト接続部材70-1,70-2に備わる接触梁72のように、板厚方向の段差721を有していてもよい。段差721により、接触梁72の自由端72Bの位置は、固定端72Aの位置よりも第1実装面61Aから離間している。接触梁72には、下端33、第2湾曲部C2、および接触梁72の相対距離、あるいは接触梁72と第2湾曲部C2との間に必要な接触圧力等に応じて、適宜な形状を与えることができる。
【0070】
図12(a)および図13(a)に一例を示したように、信号用/グランド用の割り当てには、製品に応じて種々のパターンが存在する。図12(b)に示すグランドコンタクト接続部材70-1は、図12(a)に示す割り当てパターンに対応している。図13(b)に示すグランドコンタクト接続部材70-1は、図13(a)に示す割り当てパターンに対応している。
本実施形態の第1コネクタ1は、グランド用の第1コンタクト10を同電位とする手段を第1コンタクト10とは別体のグランドコンタクト接続部材70として備えている。そのため、信号用/グランド用の割り当てのパターンに応じて接触梁72および保持部712の位置をカスタマイズすることにより、グランドコンタクト接続部材70を種々の製品に対応させることができる。
カスタマイズによる保持部712の位置の変更に対応するため、可動ハウジング30の成形用の金型におけるグランド保持溝31Dに対応する部分を入れ子とすることで、グランド保持溝31Dの位置が異なる可動ハウジング30を生産可能であることが好ましい。
【0071】
グランドコンタクト接続部材70を用いることで、例えば図14に挿入損失(IL;Insertion Loss)の周波数特性の解析結果を示すように、SI(Signal Intensity)性能を向上させることができる。
図14の破線は、第1コネクタ1がグランドコンタクト接続部材70を備えていない場合の挿入損失周波数特性を示し、実線は、グランドコンタクト接続部材70を備えている場合の挿入損失周波数特性を示している。一点鎖線は、要求される仕様を模式的に示している。図14から、グランドコンタクト接続部材70を用いることにより共振周波数のピークが周波数の高い側へとシフトすることがわかる。これに伴い、要求仕様に対する設計マージンがM1からM2へと拡大する結果、SI性能は向上する。
【0072】
〔第2コネクタ〕
図15(a)、(b)および図14を参照し、第2コネクタ4のより具体的な構成を説明する。
第2コネクタ4は、複数の第2コンタクト40と、それらを保持するハウジング50と、接合部材45とを備え、可動ハウジング30と嵌合される。
第1列r1の第2コンタクト40と、第2列r2の第2コンタクト40とは、第1コンタクト10と同様に第1方向xに一定のピッチPで配置され、第2方向yに隣接している。
【0073】
第2コンタクト40は、銅合金等の金属材料から形成された板素材を直線的な細長い形状に打ち抜き、さらに曲げ加工を施すことで成形されている。
第2コンタクト40は、第2回路基板62に接合される接合部40Aと、ハウジング50に保持される保持部40Bと、第1コンタクト10に電気的に接続される接続部40Cとを備えている。
【0074】
本実施形態の第2コンタクト40は、接合部40Aに対して垂直に延びる区間401を有し、全体としてL字状に形成されている。区間401には保持部40Bおよび接続部40Cが含まれている。保持部40Bは、圧入突起40B1および突起40B2を含み、区間401における接合部40Aの近傍に形成されている。区間401における保持部40Bよりも下側の領域が接続部40Cに相当する。
第1列r1の接続部40Cと第2列r2の接続部40Cとの間には、図1(b)に示すように、第1列R1の第1コンタクト10の接続部10Eと、第2列R2の第1コンタクト10の接続部10Eとが挿入される。
【0075】
ハウジング50は、第1列r1および第2列r2の第2コンタクト40を四方から囲み、第2実装面62Aに配置される壁51~54と、接合部材45を保持する接合部材保持部56と、第2回路基板62の図示しない孔に挿入される位置決め用の2つのボス57(図1(a))と、第2実装面62Aに配置される脚部58とを備えている。
【0076】
側壁51および側壁52は、列r1,r2の長さに相応の長さで第1方向xに延在し、第2方向yに対向している。側壁51の内側には、第1列r1の第2コンタクト40がそれぞれ配置される溝511が嵌合方向zに沿って形成されている。溝511は、第2コンタクト40が圧入される保持溝511Aを含む。
側壁52の内側にも、第2列r2の第2コンタクト40がそれぞれ配置され、保持溝521Aを含む溝521が嵌合方向zに沿って形成されている。
【0077】
側壁51の下端における内側には、第1コネクタ1の可動ハウジング30とハウジング50とを第2方向yにおいて相対的に位置決めするために、ガイド斜面512が形成されている。
側壁52の下端における内側にも、同様のガイド斜面522が形成されている。ガイド斜面512,522は、第2方向yにおいて対称に形成されている。
【0078】
第2コンタクト40が接続部40C側からハウジング50の溝511,521にそれぞれ挿入され、保持溝511A,521Aに圧入されると、図15(b)に示すように、接続部40Cの先端がガイド斜面512,522に隣接して配置される。接合部40Aは、溝511,521の外側に配置される。接合部40Aは、脚部58の位置よりも僅かに上方に位置している。
【0079】
第1列r1の第2コンタクト40の接続部40Cと、第2列r2の第2コンタクト40の接続部40Cとの第2方向yの距離d1は、第1列R1の第1コンタクト10の接続部10Eの頂点と、第2列R2の第1コンタクト10の接続部10Eの頂点との第2方向yの距離d2(図2(b))よりも小さい。図1(b)に示すように第1コネクタ1と第2コネクタ4とが嵌合されると、第1列R1の第1コンタクト10の接続部10Eは、第1列r1の第2コンタクト40と可動ハウジング30との間に押圧されつつ、頂点にて第2コンタクト40の接続部40Cに接触する。第2列R2の第1コンタクト10の接続部10Eも同様である。
第2コンタクト40の接続部40Cは、嵌合方向zに直線的に形成されているので、第1コンタクト10と第2コンタクト40との嵌合方向zの位置がずれているとしても、接続部40Cと接続部10Eとを安定して接触させることができる。
【0080】
壁53,54は、側壁51,52の第1方向xにおける両端に設けられ、第1方向xに対向している。壁53,54の第2実装面62Aからの高さは、側壁51,52の第2実装面62Aからの高さよりも高い。
【0081】
壁51~54の第1方向xの両端には、yz面に対して傾斜している第1ガイド斜面55が形成されている。壁51~54の四隅には、xz面に対して傾斜している第2ガイド斜面59が形成されている。これらのガイド斜面55,59は、側壁51,52の下端51A,52Aよりも下方に配置されている。第1ガイド斜面55は、第1方向xにおいて対称に形成されている。第2ガイド斜面59は、第2方向yにおいて対称に形成されている。
【0082】
第1ガイド斜面55は、側壁51,52のガイド斜面512,522が可動ハウジング30のガイド斜面31Cに接触するよりも先に可動ハウジング30のガイド突起321の斜面321Aと接触し、ハウジング50の位置に追従して可動ハウジング30を第1方向xに案内する。これと同時に、第2ガイド斜面59は、側壁51,52のガイド斜面512,522が可動ハウジング30のガイド斜面31Cに接触するよりも先に可動ハウジング30のガイド突起321の斜面321Bと接触し、ハウジング50の位置に追従して可動ハウジング30を第2方向yに案内する。
第1ガイド斜面55は、yz面に対して傾斜している。第2ガイド斜面59は、xz面に対して傾斜している。
【0083】
第1ガイド斜面55には、可動ハウジング30のガイド突起321の斜面321Aと同等のガイドレンジx3(図15(a))が設定されている。ガイドレンジx3は、第1間隙G1の寸法よりも大きいことが好ましい。
第2ガイド斜面59には、可動ハウジング30のガイド突起321の斜面321Bと同等のガイドレンジy1(図15(b))が設定されている。ガイドレンジy1は、第2間隙G2の寸法よりも大きいことが好ましい。
【0084】
接合部材45は、第2回路基板62に接合される接合部451と、両側に突起452Aを有した圧入部452とを備えている。
接合部材保持部56は、壁53,54の外側に設けられている。接合部材保持部56には、接合部材45が下方から圧入される保持溝56Aが形成されている。
【0085】
〔コネクタ組立体の組立、および本実施形態の効果〕
以下、コネクタ組立体100を組み立てる手順について説明しつつ、本実施形態により得られる主な効果をも説明する。
まず、第1コネクタ1を組み立てる手順の一例を説明する。
固定ハウジング20の両側の拡張壁25にそれぞれ設けられている一対の溝261にそれぞれ、上方からハウジング接合部材15を圧入する(図2(a))。
また、固定ハウジング20の内側に下方から可動ハウジング30を配置する(図2(b)、図7)。
【0086】
その後、図示しない治具を使用しながら、固定ハウジング20と可動ハウジング30とに下方から複数の第1コンタクト10を装着することができる。
例えば、第1治具により固定ハウジング20および可動ハウジング30を所定位置に支持するとともに、第2治具により第1コンタクト10を第1列R1と第2列R2とに整列させつつ、押し部10B3に接触させた第3治具と、押し部10C3に接触させた第3治具とによって、第1列R1および第2列R2の第1コンタクト10を上方に向けて押す。
【0087】
そうすると、各列R1,R2の第1コンタクト10は、第1湾曲部C1および接続部10E側から固定ハウジング20と可動ハウジング30との間に挿入される。そして、図2(b)に示すように、第1列R1の第1コンタクト10の固定保持部10Bが固定ハウジング20の保持溝211に圧入されるとともに、第1列R1の第1コンタクト10の可動保持部10Cが可動ハウジング30の第1列R1側の保持溝310Aに圧入される。同時に、第2列R2の第1コンタクト10の固定保持部10Bが固定ハウジング20の保持溝221に圧入されるとともに、第2列R2の第1コンタクト10の可動保持部10Cが可動ハウジング30の第2列R2側の保持溝310Aに圧入される。
【0088】
固定保持部10Bおよび可動保持部10Cが圧入されたとき、可動ハウジング30は、第1列R1の第1コンタクト10の第2湾曲部C2と、第2列R2の第1コンタクト10の第2湾曲部C2とによって支持されている。このとき、可動ハウジング30の下端33は固定ハウジング20の脚部28よりも上方に位置している。第2湾曲部C2は、可動ハウジング30の下端33よりも下方に位置し、かつ、脚部28よりも上方に位置している。
コンタクト10の接合部10Aは、固定ハウジング20の脚部28よりも僅かに下側に位置している。
【0089】
第1コンタクト10の装着後、保持部712をグランド保持溝31Dに圧入することでグランドコンタクト接続部材70を可動ハウジング30に装着する。保持部712がグランド保持溝31Dに所定の深さまで圧入されると、各接触梁72が板厚方向に撓んでグランド用の第1コンタクト10の第2湾曲部C2に対して嵌合方向zに押圧される。そのため、各第1コンタクト10の第2湾曲部C2の位置が嵌合方向zにばらついていたとしても、接触梁72をコンタクト群GGに安定して接触させることができる。
こうして、第1コンタクト10に安定して接触される接触梁72を備えた部材70によりグランド用のコンタクト10が同電位とされることを通じて、SI性能を安定させることができる。
【0090】
以上により、第1コネクタ1の組み立てが完了する(図2(a)、(b))。可動ハウジング30は、第1列R1の第1コンタクト10および第2列R2の第1コンタクト10の弾性変形により、第1方向x、第2方向y、およびxy面内の回転方向へフローティング・レンジに亘り位置自由度のある状態で支持されている。
【0091】
図1(b)に示すように第1コネクタ1を第1回路基板61に配置して実装する際には、固定ハウジング20の2つのボス27をそれぞれ第1回路基板61の図示しない孔に挿入し、脚部28を第1実装面61Aに接触させる。
その状態で、各第1コンタクト10の接合部10Aを第1実装面61Aに形成されている図示しない端子部にはんだで接合するとともに、ハウジング接合部材15の接合部151を第1実装面61Aにはんだで接合する。ハウジング接合部材15が用いられることで、第1回路基板61と第1コネクタ1との接合強度が高められている。
【0092】
第1コンタクト10およびハウジング接合部材15の接合により固定ハウジング20が第1回路基板61に固定されると、図7に示すように、可動ハウジング30の下部322が固定ハウジング20の対向部251と第1回路基板61との間に配置されるから、可動ハウジング30、固定ハウジング20、および第1回路基板61が互いに組み付けられる。
【0093】
一方、第2コネクタ4(図15および図14)を組み立てる際は、例えば、図示しない治具を使用して、第2コンタクト40を第1列r1および第2列r2にそれぞれ配列させつつハウジング50の溝511,521に上方から挿入し、第2コンタクト40を保持溝511A,521Aに圧入する。また、接合部材45を接合部材保持部56に圧入する。以上により、第2コネクタ4の組み立てが完了する。
【0094】
第2コネクタ1を第2回路基板62に配置して実装する際には、ハウジング50のボス57を第2回路基板62の図示しない孔に挿入し、脚部58を第2実装面62Aに接触させる。
その状態で、各第2コンタクト40の接合部40Aを第2実装面62Aにはんだで接合するとともに、接合部材45の接合部451を第2実装面62Aにはんだで接合する。
【0095】
第1回路基板61および第1コネクタ1を含む構造と、第2回路基板62および第2コネクタ4を含む構造とを組み立てる際には、部材の寸法形状や加工、組立の公差等の累積公差に起因して、必ずしも、図17に示すように第1コネクタ1と第2コネクタ4とのそれぞれの第2方向yの位置が一致しているとは限らない。
しかしながら、第1コネクタ1と第2コネクタ4とのそれぞれの位置が第1方向xおよび第2方向yの少なくとも一方にずれていたとしても、第1コネクタ1の構成に基づき、第1コネクタ1と第2コネクタ4とを嵌合させてコネクタ組立体100を得るとともに、第1回路基板61と第2回路基板62とを組み立てることができる。
【0096】
可動ハウジング30、固定ハウジング20、および第1回路基板61が組み立てられている状態において、可動ハウジング30は、第1コンタクト10を介して固定ハウジング20に支持されている。つまり、可動ハウジング30は、第1コンタクト10を第1方向xおよび第2方向yへと弾性変形させて変位可能に支持されている。
このとき可動ハウジング30と固定ハウジング20との直接的な関係としては、可動ハウジング30の下部322と固定ハウジング20の対向部251とが嵌合方向zに対向しており、下部322を含む可動ハウジング30と、対向部251を含む固定ハウジング20との第1方向xおよび第2方向yの相対変位が、可動ハウジング30と固定ハウジング20との間に設定された間隙G1,G2に相応のフローティング・レンジの範囲内で可能である。
ここで、下部322が対向部251と第1回路基板61との間に配置されることで可動ハウジング30と固定ハウジング20とが組み付けられているから、可動ハウジング30と固定ハウジング20とは、組み付け用の金具等により拘束されていない。可動ハウジング30と固定ハウジング20との間の相対変位が、こうした金具により妨げられていないため、間隙G1,G2の全体に亘り、十分にフローティング・レンジを確保することができる。そのため、本実施形態によれば、例えば±1mm以上の規模にまでフローティング・レンジを拡大可能な第1コネクタ1、およびコネクタ組立体100を提供することができる。
【0097】
例えば、第2方向yの位置ずれが発生している第1コネクタ1と第2コネクタ4とを嵌合させるとき、図18に示すように、可動ハウジング30は、ハウジング50の位置に追従して、第1コンタクト10を第2方向yに弾性変形させつつ、固定ハウジング20に対して第2方向yに変位する。
上述したように、第1コンタクト10に接触するグランドコンタクト接続部材70は、可動ハウジング30の挙動には影響を与えないので、グランドコンタクト接続部材70の設置によりフローティング・レンジは変化しない。
【0098】
第1コネクタ1と第2コネクタ4とには、第1間隙G1および第2間隙G2に基づく第1方向x、第2方向y、およびxy回転方向への所定のフローティング・レンジに相応の位置ずれ量が許容される。
第1コネクタ1と第2コネクタ4との嵌合時に、可動ハウジング30は、ガイド突起321の斜面321Bと、ハウジング50の第2ガイド斜面59との作用により第2方向yにガイドされることで、第2方向yにおける大略の位置が決まり、その後に、ガイド斜面31Cとガイド斜面512,522との作用によりハウジング50に対して第2方向yに位置決めされる。そのため、可動ハウジング30とハウジング50とをスムーズに嵌合させることができる。
【0099】
また、図19は、第1方向xおよび第2方向yの両方向に第1コネクタ1と第2コネクタ4との位置ずれが発生している状態を示している。この場合でも、フローティング・レンジの範囲内で、ガイド突起321の斜面321A,321Bとガイド斜面55,59との作用に続き、ガイド斜面31Cとガイド斜面512,522との作用により可動ハウジング30が固定ハウジング20およびハウジング50に対して変位する。これに伴い各第1コンタクト10が第1方向xおよび第2方向yに弾性変形する。
【0100】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
第1コンタクト10が接合される接合対象は、必ずしも回路基板には限定されない。同様に、第2コンタクト40の接合対象も、必ずしも回路基板には限定されない。
固定ハウジング20に形成される対向部251、および、対向部251と接合対象の基準面(第1実装面61A)との間に配置される可動ハウジング30の一部は、上記実施形態には限らず、適宜に構成することができる。
また、第1間隙G1は、上記実施形態のように対向部251と凹部323との間に設定されるばかりではなく、対向部251および凹部323から離れた位置で可動ハウジング30と固定ハウジング20との間に設定されていてもよい。
第2間隙G2も、上記実施形態のように拡張領域32の側壁322A,322Bと、拡張壁25の側壁252A,252Bとの間に設定されるばかりではなく、拡張領域32および拡張壁25から離れた位置で可動ハウジング30と固定ハウジング20との間に設定されていてもよい。
【0101】
〔付記〕
以上の開示により、以下の構成が把握される。
〔1〕並列的に第1列および第2列をなして所定の第1方向に沿って配列される複数のコンタクトのうち、前記第1列の一部の前記コンタクトと、前記第1列に対して第2方向に隣接する前記第2列の一部の前記コンタクトとに相当するグランドコンタクト群に接触するグランドコンタクト接続部材であって、
前記コンタクトを保持するコネクタハウジングの設置部に前記第1方向に沿って設けられる支持部と、
前記支持部から前記第1列側または前記第2列側へと延びて前記グランドコンタクト群に接触する複数の接触梁と、を備え、
接触梁は、グランドコンタクト群のコンタクトに対して、第1方向および第2方向の両方に対して交差する第3方向に押圧される、
グランドコンタクト接続部材。
【0102】
〔2〕前記支持部は、
前記第1方向と前記第2方向とに前記接触梁の固定端を連結する連結部と、
前記連結部に設けられ、前記設置部に対して前記第3方向に圧入される少なくとも1つの圧入部と、を含む、
〔1〕項に記載のグランドコンタクト接続部材。
【0103】
〔3〕前記圧入部は、前記第2方向における前記連結部の片側で折り曲げられた折り曲げ片である、
〔2〕項に記載のグランドコンタクト接続部材。
【0104】
〔4〕前記コンタクトは、前記コネクタハウジングに保持される可動保持部と、前記コネクタハウジングとは別体の固定ハウジングに保持される固定保持部と、を備え、
前記固定保持部と前記可動保持部との間に第1湾曲部および第2湾曲部が形成され、
前記接触梁は、前記グランドコンタクト群をなしている前記コンタクトの前記第2湾曲部に前記可動保持部の近傍で接触する、
〔1〕項に記載のグランドコンタクト接続部材。
【0105】
〔5〕〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載のグランドコンタクト接続部材と、
前記複数のコンタクトと、
前記コネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングと共に前記コンタクトを保持するとともに、前記コンタクトを介して前記コネクタハウジングを支持する固定ハウジングと、を備える、
コネクタ。
【0106】
〔6〕前記複数のコンタクトは、前記第1方向と、前記第2方向とを含む基準面に配置されて接合対象に接合され、
前記接触梁は、前記基準面に対向する前記設置部と前記基準面との間に配置され、前記グランドコンタクト群をなしている前記コンタクトにおける前記設置部に隣接する部位に前記基準面側から接触する、
〔5〕項に記載のコネクタ。
【0107】
〔7〕〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載のコネクタとしての第1コネクタと、
前記第1コネクタの前記コネクタハウジングと嵌合される第2コネクタと、を備える、
コネクタ組立体。
【符号の説明】
【0108】
1 第1コネクタ(コネクタ)
4 第2コネクタ
10 第1コンタクト(コンタクト)
10A 接合部
10B 固定保持部
10B1 圧入突起
10B2 突起
10B3 押し部
10C 可動保持部
10C1 圧入突起
10C2 位置決め突起
10C3 押し部
10E 接続部
15 ハウジング接合部材
20 固定ハウジング
21,22 側壁
21B 上端
23,24 部分壁
25 拡張壁
25A 下端
25B 上端
26 接合部材保持部
27 ボス
28 脚部
30 可動ハウジング(コネクタハウジング)
31 保持領域
31B 上端
31C ガイド斜面
31D グランド保持溝
32 拡張領域
33 下端(設置部)
40 第2コンタクト
40A 接合部
40B 保持部
40B1 圧入突起
40B2 突起
40C 接続部
45 接合部材
50 ハウジング(相手ハウジング)
51,52 側壁
51A,52A 下端
53,54 壁
55 第1ガイド斜面
56 接合部材保持部
56A 保持溝
57 ボス
58 脚部
59 第2ガイド斜面
61 第1回路基板(接合対象)
61A 第1実装面(基準面)
62 第2回路基板
62A 第2実装面
70 グランドコンタクト接続部材
71 支持部
72 接触梁
72A 固定端
72B 自由端
100 コネクタ組立体
101 第1区間
102 第2区間
103 第3区間
151 接合部
152 圧入部
152A 突起
711 連結部
712 保持部(圧入部)
712A 圧入突起
721 段差
211 保持溝
212 面取り部
221 保持溝
222 面取り部
251 対向部
251A 端面
251B 下面
252 下部領域(領域)
252A,252B 側壁
253 開口
261 溝
310 溝
310A 保持溝
311,312 側面
320 上部
321 ガイド突起
321A,321B 斜面
322 下部(一部)
322A,322B 側壁
323 凹部
323A 面
401 区間
451 接合部
452 圧入部
452A 突起
511,521 溝
511A,521A 保持溝
512,522 ガイド斜面
B1 第1屈曲部
B2 第2屈曲部
C1 第1湾曲部
C2 第2湾曲部
d1,d2 距離
G,g 隙間
G1 第1間隙
G2 第2間隙
GG グランドコンタクト群
L 中心線
P ピッチ
R1,r1 第1列
R2,r2 第2列
t 板厚
w 幅
x 第1方向
x0,x1,x2 寸法
x3 ガイドレンジ
y 第2方向
y1,y2 ガイドレンジ
z 嵌合方向(第3方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19