(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008134
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】チェックバルブユニット
(51)【国際特許分類】
F16K 15/04 20060101AFI20240112BHJP
F16H 7/08 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F16K15/04 Z
F16H7/08 B
F16K15/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109730
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】石川 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】松下 奨吾
【テーマコード(参考)】
3H058
3J049
【Fターム(参考)】
3H058AA04
3H058BB29
3H058CC05
3H058CD05
3H058EE03
3H058EE12
3J049AA08
3J049BB02
3J049BB26
3J049BB35
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、シートリリーフをプランジャ穴の取付部に確実に固定できるとともに、部品点数を増加させることなく、製造を容易化し、プランジャの変形を抑制できるチェックバルブユニットを提供すること。
【解決手段】チェックバルブユニット100であって、シートリリーフ120と、キャップ部材110とを有し、プランジャPは、プランジャPの内外を連通する外部リリーフ孔Psを取付部Pdに有し、キャップ部材110は、キャップ天面111と、キャップ天面111を貫通するオイルリーク部113と、スカート壁112とを有し、スカート壁112は、外方接触凸面112aと、内方接触凸面112bとを有し、複数の外方接触凸面112aの外接円Caの半径は、取付部Pdの内径よりも大きく、複数の内方接触凸面112bの内接円Cbの半径は、被嵌合部121の外径よりも小さいこと。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンショナの高圧リリーフバルブのプランジャに内蔵されるチェックバルブユニットであって、
前記チェックバルブユニットは、チェックバルブを内包して前記プランジャに設けられたプランジャ穴内に挿入されるシートリリーフと、前記シートリリーフの前記プランジャ穴への挿入方向側に設けられた被嵌合部に被さるキャップ部材とを有し、
前記プランジャは、前記プランジャの内外を連通する外部リリーフ孔を前記プランジャ穴の取付部に有し、
前記キャップ部材は、平板状のキャップ天面と、前記キャップ天面を貫通する孔状のオイルリーク部と、前記キャップ天面から垂下するスカート壁とを有し、
前記スカート壁は、半径方向外方に突出した複数の外方接触凸面と、半径方向内方に突出した複数の内方接触凸面とを有し、
前記チェックバルブユニットが前記プランジャに内蔵される前の、前記複数の外方接触凸面の外接円の半径は、前記プランジャ穴の取付部の内径よりも大きく、
前記キャップ部材が前記被嵌合部に被さる前の、前記複数の内方接触凸面の内接円の半径は、前記被嵌合部の外径よりも小さいことを特徴とするチェックバルブユニット。
【請求項2】
前記外方接触凸面と前記内方接触凸面とは、滑らかに接続され、
前記スカート壁は、半径方向外方に突出する複数の中間凸面をさらに有し、
前記複数の中間凸面の外接円の半径は、前記複数の外方接触凸面の外接円の半径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブユニット。
【請求項3】
前記キャップ部材は、金属材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブユニット。
【請求項4】
前記シートリリーフの最外径は、前記プランジャ穴の取付部の内径よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブユニット。
【請求項5】
前記チェックバルブはバルブボールと前記バルブボールを付勢するリリーフスプリングとを有し、
前記キャップ部材は、前記キャップ天面から垂下する棒状のストッパを有し、
前記ストッパは、前記リリーフスプリングに挿通可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブユニット。
【請求項6】
前記キャップ天面には、前記キャップ天面の外周から前記オイルリーク部まで連通するキャップ連通溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブユニット。
【請求項7】
前記シートリリーフの前記キャップ天面と密着する端面である密着端面には、前記密着端面の外周から前記シートリリーフに密着した前記キャップ天面の前記オイルリーク部まで連通するシートリリーフ連通溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブユニット。
【請求項8】
テンショナの高圧リリーフバルブのプランジャに内蔵されるチェックバルブユニットのキャップ部材であって、
前記キャップ部材は、平板状のキャップ天面と、前記キャップ天面を貫通する孔状のオイルリーク部と、前記キャップ天面から垂下するスカート壁とを有し、
前記スカート壁は、半径方向外方に突出した複数の外方接触凸面と、半径方向内方に突出した複数の内方接触凸面と、前記外方接触凸面と前記内方接触凸面とを滑らかに接続する複数の接続面とを有し、
前記複数の外方接触凸面の外接円の半径は、前記プランジャに設けられたプランジャ穴の内径よりも大きく、
前記複数の内方接触凸面の内接円の半径は、前記チェックバルブユニットの外径よりも小さいことを特徴とするチェックバルブユニットのキャップ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンショナの高圧リリーフバルブのプランジャに内蔵されるチェックバルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チェックバルブユニットをプランジャに内蔵したテンショナとして、引用文献1に記載のテンショナが公知である。
この特許文献1に記載のテンショナは、プランジャ穴122内の奥の取付部にチェックバルブユニット(リリーフバルブユニット151)を挿入するものであり、チェックバルブユニット(リリーフバルブユニット151)は、チェックバルブ(バルブボール153、スプリング160、ストッパ部材155)を内包したシートリリーフ(シート部材152)と、シートリリーフ(シート部材152)のプランジャ穴122への挿入方向側に設けられた被嵌合部(係合凹部174)に被さるキャップ部材156とを有している。
このテンショナのチェックバルブユニット(リリーフバルブユニット151)は、シートリリーフ(シート部材152)の側面の最外径がプランジャ穴122の内径とほぼ同一に形成され、シートリリーフ(シート部材152)はプランジャ穴122に圧入嵌合されることで取付部に固定されるものである。
【0003】
また、チェックバルブユニットをプランジャに内蔵したテンショナとして、引用文献2に記載のテンショナも公知である。
この特許文献2に記載のテンショナは、プランジャ穴122内の奥の取付部にチェックバルブユニット(リリーフバルブユニット151)を挿入するものであり、チェックバルブユニット(リリーフバルブユニット151)は、チェックバルブを内包したシートリリーフ(シート部材152)と、シートリリーフ(シート部材152)のプランジャ穴122の挿入方向側に設けられた被嵌合部に被さるキャップ部材156とを有している。
このテンショナは、チェックバルブユニット(リリーフバルブユニット151)を取付部に固定する樹脂製の固定部材180をさらに有しており、これによって、シートリリーフ(シート部材152)の最外径やプランジャ穴122の内径をシートリリーフ(シート部材152)の圧入寸法に精密に加工する必要がなく、加工コストを削減できるものである。
また、固定部材180は樹脂製であることから、プランジャ穴122に固定部材180を圧入しても、プランジャ120が変形することがなく、プランジャ120の形状精度を確保できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-113178号公報
【特許文献2】特開2019-157974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献で公知のテンショナのチェックバルブユニットには、未だ改善の余地があった。
【0006】
すなわち、特許文献1で公知のテンショナのチェックバルブユニットは、シートリリーフをプランジャ穴に圧入嵌合することで取付部に固定するため、シートリリーフの外径やプランジャ穴の内径を精密に加工する必要があり、加工コストが増加する虞があった。
また、プランジャ穴にシートリリーフを圧入することでプランジャが変形し、プランジャの形状精度を確保するための追加工等による加工コストが増加する虞があった。
また、特許文献2で公知のテンショナのチェックバルブユニットは、シートリリーフやキャップ部材を固定するために別部材の固定部材を新たに設ける必要があるため、部品点数の増加に伴い製造コストが増加する虞があった。
また、固定部材は樹脂製のため、プランジャ穴への圧入の際、固定部材が削れる可能性がある等の観点から細心の注意を払う必要があった。
【0007】
本発明はこれらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、シートリリーフをプランジャ穴の取付部に確実に固定できるとともに、部品点数を増加させることなく、製造を容易化し、プランジャの変形を抑制できるチェックバルブユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチェックバルブユニットは、テンショナの高圧リリーフバルブのプランジャに内蔵されるチェックバルブユニットであって、前記チェックバルブユニットは、チェックバルブを内包して前記プランジャに設けられたプランジャ穴内に挿入されるシートリリーフと、前記シートリリーフの前記プランジャ穴への挿入方向側に設けられた被嵌合部に被さるキャップ部材とを有し、前記プランジャは、前記プランジャの内外を連通する外部リリーフ孔を前記プランジャ穴の取付部に有し、前記キャップ部材は、平板状のキャップ天面と、前記キャップ天面を貫通する孔状のオイルリーク部と、前記キャップ天面から垂下するスカート壁とを有し、前記スカート壁は、半径方向外方に突出した複数の外方接触凸面と、半径方向内方に突出した複数の内方接触凸面とを有し、前記チェックバルブユニットが前記プランジャに内蔵される前の、前記複数の外方接触凸面の外接円の半径は、前記プランジャ穴の取付部の内径よりも大きく、前記キャップ部材が前記被嵌合部に被さる前の、前記複数の内方接触凸面の内接円の半径は、前記被嵌合部の外径よりも小さいことにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係るチェックバルブユニットによれば、キャップ部材のスカート壁は、半径方向外方に突出した複数の外方接触凸面と、半径方向内方に突出した複数の内方接触凸面とを有し、チェックバルブユニットが前記プランジャに内蔵される前の、複数の外方接触凸面の外接円の半径は、プランジャ穴の取付部の内径よりも大きく、前記キャップ部材が前記被嵌合部に被さる前の、複数の内方接触凸面の内接円の半径は、被嵌合部の外径よりも小さいため、被嵌合部に被さった状態でチェックバルブユニットをプランジャ穴の取付部の奥まで挿入することで、キャップ天面はプランジャ穴の奥面に密着してキャップ天面とプランジャ穴の奥面との間を閉塞し、スカート壁が柔軟に弾性変形しながら取付部と外方接触凸面とを密着させるとともに、スカート壁の弾性変形に伴う反発力によって、被嵌合部と内方接触凸面とを密着させ、チェックバルブユニットを取付部に強固に締結できる。
これによって、シートリリーフの外径をプランジャ穴に圧入させるような寸法に精密に設計・加工しなくてもよく、製造を容易化し、製造コストを削減できる。
【0010】
請求項2に記載の構成によれば、スカート壁は、半径方向外方に突出する複数の中間凸面をさらに有し、複数の中間凸面の外接円の半径は、複数の外方接触凸面の半径よりも小さいため、チェックバルブユニットを取付部に挿入した際のスカート壁の弾性変形に伴う反発力をより一層強くでき、チェックバルブユニットを取付部により一層強固に締結できる。
請求項3に記載の構成によれば、キャップ部材は、金属材料で構成されているため、樹脂材料で構成されているものに比べて劣化しにくく、チェックバルブユニットの取付部への締結力を長期間維持することができる。
【0011】
請求項4に記載の構成によれば、シートリリーフの最外径は、プランジャ穴の内径よりも小さく形成されているため、チェックバルブユニットを取付部に固定する際、プランジャ穴とシートリリーフとの接触を最小限に留めることができ、プランジャの変形を抑制できる。
また、シートリリーフとプランジャ穴との間のクリアランスを調整することで、チェックバルブ閉弁時のオイルリーク量を調整することもできる。
請求項5に記載の構成によれば、チェックバルブは、バルブボールとバルブボールを付勢するリリーフスプリングとを有し、キャップ部材は、キャップ天面から垂下する棒状のストッパを有し、ストッパは、リリーフスプリングに挿通可能に構成されているため、ストッパを挿通されたリリーフスプリングは中心軸のずれを抑制でき、バルブボールを確実に適正な位置から適正な方向へ押圧できる。
【0012】
請求項6に記載の構成によれば、キャップ天面には、キャップ天面の外周からオイルリーク部まで連通するキャップ連通溝が形成されているため、キャップ天面とプランジャ穴の奥面との間にキャップ連通溝を流路としたオイルリーク通路が形成でき、キャップ連通溝の数や大きさを調整することで、チェックバルブ閉弁時のオイルリーク量を調整できる。
請求項7に記載の構成によれば、密着端面には、密着端面の外周からシートリリーフに密着したキャップ天面のオイルリーク部まで連通するシートリリーフ連通溝が形成されているため、キャップ天面と密着端面との間にシートリリーフ連通溝を流路としたオイルリーク通路が形成でき、シートリリーフ連通溝の数や大きさを調整することで、チェックバルブ閉弁時のオイルリーク量を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100を装着したプランジャPの正面断面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100を装着したプランジャPの正面断面拡大図。
【
図3】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100を装着したプランジャPのA-A’断面図。
【
図4】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100のキャップ部材110の斜視図。
【
図5】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100のキャップ部材110の上面図。
【
図6】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100のキャップ部材110の下面図。
【
図7】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100のシートリリーフ120の斜視図。
【
図8】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100のストッパー130の斜視図。
【
図9】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100を装着可能なプランジャPの正面断面図。
【
図10】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニットのキャップ部材210を示す斜視図。
【
図11】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニットのシートリリーフ220を示す斜視図。
【
図12】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニットのキャップ部材310を示す斜視図。
【
図13】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニットを装着したプランジャPの正面断面図。
【
図14】本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニットを装着したプランジャPのB-B’断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100について、図面に基づいて説明する。
チェックバルブユニット100は、
図1乃至
図3に示すように、テンショナの高圧リリーフバルブのプランジャPに内蔵され、チェックバルブを構成するスプリングSおよびバルブボールBを内包してプランジャPに設けられたプランジャ穴Phに挿入されるシートリリーフ120と、シートリリーフ120のプランジャ穴Phへの挿入方向側に設けられた被嵌合部121に被さるキャップ部材110と、スプリングSの位置ずれを防止するストッパ130とを有している。
なお、少なくともキャップ部材110、シートリリーフ120は金属材料で構成されている。
【0015】
キャップ部材110は、
図4乃至
図6に示すように、平板状のキャップ天面111と、キャップ天面111を貫通する孔状のオイルリーク部113と、キャップ天面111からテーパ面111aを介して垂下するスカート壁112とを有し、
スカート壁112は、半径方向外方に突出した3つの外方接触凸面112aと、半径方向内方に突出した6つの内方接触凸面112bと、半径方向外方に突出して3つの外方接触凸面112aの外接円Caよりも小さい半径の外接円Ccを有する3つの中間凸面112cとを有した波型に形成されている。
また、外方接触凸面112aの外接円Caの半径は、プランジャPの取付部Pdの内周面の半径よりも大きく且つプランジャ穴Phの内周面の半径よりも小さく、内方接触凸面112bの内接円Cbの半径は、シートリリーフ120の被嵌合部121の外周面の半径よりも小さい。
【0016】
シートリリーフ120は、
図2および
図7に示すように、被嵌合部121と、被嵌合部121の下部から半径方向外方に突出形成されたリング状のフランジ部122と、フランジ部よりも下方に形成されたバルブ収容部123とを有し、被嵌合部121の上部からバルブ収容部123までは孔状に貫通され、バルブ収容部123側の端部には連通孔124が、被嵌合部121側の端部には装着孔125が形成されている。
また、フランジ部122の外周面の半径はプランジャPの装着孔125の内周面の半径よりも小さく、連通孔124の内周面の半径はバルブボールBの半径よりも小さく、装着孔125の内周面の半径はバルブボールBの半径よりも大きく形成されている。
【0017】
ストッパ130は、
図2および
図8に示すように、棒状の挿通突起131と、挿通突起131の上部に形成された壁状の装着壁部132と、装着壁部132を貫通するオイル通過部133とを有している。
また、装着壁部132の外周面の半径は装着孔125の内周面の半径以下になるように形成されている。
【0018】
プランジャPは、
図1、
図2、
図9に示すように、プランジャPの下方側を開放するプランジャ穴Phと、プランジャ孔Phの上部に接続する取付部Pdと、取付部Pdの上部に接続しプランジャPの上方側を開放する外部リリーフ孔Psとを有している。
また、取付部Pdの内周面の半径はプランジャ穴Phの内周面の半径よりも小さく、外部リリーフ孔Psの内周面の半径よりも大きく形成されている。
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係るチェックバルブユニット100の、プランジャPへの装着手順について、
図1乃至
図3を用いて説明する。
まず、シートリリーフ120の装着孔125から、バルブボールBを入れ、さらにスプリングSを入れる。
このとき、バルブボールBの半径は連通孔124の内周面の半径よりも大きいため、バルブボールは連通孔124を塞ぐようにシートリリーフ120内に収まる。
【0020】
さらに、スプリングSの内部に挿通突起131を進入させるようにストッパ130を入れる。
このとき、装着壁部132の外周面の半径は装着孔125の内周面の半径以下のため、シートリリーフ内に進入したストッパ130は装着孔125によって位置ずれを防止でき、挿通突起131が進入したスプリングSの位置ずれも抑制できる。
これによって、バルブボールBとスプリングSとの位置関係を適正なものに保つことができる。
【0021】
さらに、被嵌合部121の上面がキャップ天面111の下面に密着するように、被嵌合部121にキャップ部材110を被せる。
このとき、6つの内方接触凸面112bの内接円Cbの半径は被嵌合部121の外周面の半径よりも小さいが、スカート壁112は波型に形成されているため、弾性変形しながら拡径して被嵌合部121に被さる。
【0022】
以上のように組み立てたチェックバルブユニット100を、プランジャPのプランジャ穴Phの開口部から挿入する。
このとき、3つの外方接触凸面112aの外接円Caの半径およびフランジ部122の外周面の半径はプランジャ穴Phの内周面の半径よりも小さいため、チェックバルブユニット100はプランジャ穴Phと特に干渉することはなく、取付部Pdまで移動することができる。
また、3つの外方接触凸面112aの外接円Caの半径は取付部Pdの内周面の半径よりも大きく、フランジ部122の外周面の半径は取付部Pdの内周面の半径よりも小さいため、シートリリーフ120は直接取付部Pdに接触することなく、キャップ部材110が波型のスカート壁112を弾性変形させながら取付部Pd内に進入する。
【0023】
チェックバルブユニット100は、取付部Pdの奥にキャップ天面111を密着させる位置まで進入する。
これによって、チェックバルブユニット100のオイルリーク部113とプランジャPの外部リリーフ孔が連通するとともに、取付部Pdとキャップ天面111との間は閉塞されるため、プランジャP内のオイルは、バルブボールBが連通孔124から離脱した際のみ通過可能となる。
【0024】
また、スカート壁112は、外方接触凸面112aが取付部Pdによって弾性変形し、内方接触凸面112bが被嵌合部121によって弾性変形しているため、スカート壁112の反発力は強くなり、取付部Pd内にチェックバルブユニット100を強固に締結することができる。
これによって、チェックバルブユニット100を圧入する必要がなく、チェックバルブユニット100を装着したプランジャPの変形を抑制でき、キャップ部材110やシートリリーフ120を高精度に加工する必要がない。
すなわち、キャップ部材110やシートリリーフ120を製造する際のコストアップを抑制できる。
また、キャップ部材110およびシートリリーフ120は金属材料で構成されているため、樹脂材料に比べて劣化しにくく、特に、キャップ部材110の反発力を強固且つ長期間保つことができる。
また、プランジャ穴Phへの挿入の際に、金属材料で構成されたキャップ部材110およびシートリリーフ120が削れる虞がない。
【0025】
さらに、スカート壁112は、中間凸面112cを有しているため、チェックバルブユニット100を取付部Pdに挿入した際のスカート壁112の弾性変形に伴う反発力をより一層強くでき、チェックバルブユニット100を取付部Pdにより一層強固に締結できる。
【0026】
なお、キャップ部材110、シートリリーフ120、ストッパ130の形態はこれに限定されず、例えば、
図10に示すように、キャップ部材110と同様の形状を有したキャップ部材210のキャップ天面211の上面に、オイルリーク部213からスカート壁212まで連通するキャップ連通溝214を設けることで、チェックバルブユニット100を取付部Pdに挿入した際、取付部Pdとキャップ天面211とが密着していてもキャップ連通溝214がオイルリーク通路となる。
これによって、キャップ連通溝214の大きさや数を調整することで、チェックバルブ閉弁時のオイルリーク量を簡単に調整できる。
【0027】
また、例えば、
図11に示すように、シートリリーフ120と同様の形状を有したシートリリーフ220の被嵌合部221の上面に、装着孔225と被嵌合部221の外周面とを連通するシートリリーフ連通溝226を設けることで、キャップ部材110のキャップ天面111の下面とシートリリーフ120の被嵌合部221の上面とが密着していてもシートリリーフ連通溝226がオイルリーク通路となる。
これによって、シートリリーフ連通溝226の大きさや数を調整することで、チェックバルブ閉弁時のオイルリーク量を簡単に調整できる。
【0028】
また、例えば、
図12乃至
図14に示すように、キャップ部材110と同様の形状を有したキャップ部材310のキャップ天面311に、オイルリーク部313の周縁から下方に延びる装着壁部316と、装着壁部316を貫通するオイル通過部315と、装着壁部316の下端から下方に延びる挿通突起317を設けることで、ストッパ130を使用せずにスプリングSの位置ずれを防止することができる。
また、部品点数を削減できるため、製造をより一層容易化できる。
【0029】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0030】
なお、上述した実施形態では、スプリングは挿通突起に挿入されるものとして説明したが、スプリングの配置はこれに限定されず、例えば、挿通突起を設けずに、シートリリーフの内周面をスプリングの外径に近づけることで位置ずれを防止してもよい。
また、上述した実施形態では、スカート壁には、3つの外方接触凸面と、6つの内方接触凸面と、3つの中間凸面とを有するものとして説明したが、スカート壁の構成はこれに限定されず、例えば、中間凸面がなくてもよく、外方接触凸面と内方接触凸面とがそれぞれ4つ以上ずつ設けられていてもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、キャップ天面の上面にキャップ連通溝を設けるものとして説明したが、キャップ連通溝の配置はこれに限定されず、例えば、キャップ天面の下面に設けてもよい。
また、上述した実施形態では、オイルリーク流路をキャップ天面や被嵌合部の上面にキャップ連通溝やシートリリーフ連通溝を形成することで設けるものとして説明したが、オイルリーク流路の配置や形成方法はこれに限定されず、例えば、被嵌合部を貫通する孔状に形成してもよい。
【0032】
また、上述した実施形態では、キャップ天面の中央にオイルリーク部が設けられているものとして説明したが、オイルリーク部の数や配置はこれに限定されず、例えば、キャップ天面にオイルリーク部が複数設けられていてもよい。
また、上述した実施形態では、キャップ天面とスカート壁との間には、テーパ面が設けられているものとして説明したが、キャップ部材の構成はこれに限定されず、例えば、テーパ面を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0033】
100 ・・・ チェックバルブユニット
110、210、310 ・・・ キャップ部材
111、211、311 ・・・ キャップ天面
111a、211a、311a ・・・ テーパ面
112、212、312 ・・・ スカート壁
112a、212a、312a ・・・ 外方接触凸面
112b、212b、312b ・・・ 内方接触凸面
112c、212c、312c ・・・ 中間凸面
113、213、313 ・・・オイルリーク部
214 ・・・ キャップ連通溝
120 ・・・ シートリリーフ
121、221 ・・・ 被嵌合部
122、222 ・・・ フランジ部
123、223 ・・・ バルブ収容部
124 ・・・連通孔
125、225 ・・・装着孔
226 ・・・ シートリリーフ連通溝
130 ・・・ ストッパ
131、317 ・・・ 挿通突起
132、316 ・・・ 装着壁部
133、315 ・・・ オイル通過部
Ca ・・・ 外方接触凸面の外接円
Cb ・・・ 内方接触凸面の内接円
Cc ・・・ 中間凸面の外接円
S ・・・ スプリング
B ・・・ バルブボール
P ・・・ プランジャ
Pd ・・・ 取付部
Ph ・・・ プランジャ穴
Ps ・・・ 外部リリーフ孔