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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081347
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ショッピングカート
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20240611BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20240611BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B62B5/00 Z
B62B3/00 F
G07G1/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194901
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】杉上 礼士
(72)【発明者】
【氏名】澤田 八郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 克也
(72)【発明者】
【氏名】安野 正浩
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 勝亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晃夫
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智則
(72)【発明者】
【氏名】武田 拓樹
(72)【発明者】
【氏名】中司 文雄
(72)【発明者】
【氏名】大谷 優奈
【テーマコード(参考)】
3D050
3E142
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050BB05
3D050CC02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3E142AA01
3E142BA08
3E142FA41
3E142GA02
3E142GA22
3E142GA41
(57)【要約】
【課題】多くの商品を購入する際の登録処理または決済処理に対応できるショッピングカートを提供する。
【解決手段】商品の登録処理または決済処理に使用される電子機器6を有し、カート本体2の上段と下段に商品の載置部5a,5bが設けられたショッピングカート1であって、カート本体2は、上段の載置部5bと下段の載置部5aに置かれた商品の存在を検知可能な検知装置7を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の登録処理または決済処理に使用される電子機器を有し、カート本体の上段と下段に商品の載置部が設けられたショッピングカートであって、
前記カート本体は、前記上段の載置部と前記下段の載置部に置かれた商品の存在を検知可能な検知装置を備えていることを特徴とするショッピングカート。
【請求項2】
前記検知装置は、ストレンゲージと起歪体とを用いた荷重センサを有することを特徴とする請求項1に記載のショッピングカート。
【請求項3】
前記起歪体は、長手方向の一方端が前記カート本体に接続され、他方端に前記上段の載置部の下部に固定された荷重受本体部が接続されており、前記下段の載置部は前記荷重受本体部から下方に延設された吊支部により吊支されていることを特徴とする請求項2に記載のショッピングカート。
【請求項4】
前記起歪体は、前記カート本体の前後方向に長手を有し、前方端部が前記カート本体に接続され、後方端部に前記荷重受本体部が接続されていることを特徴とする請求項3に記載のショッピングカート。
【請求項5】
前記下段の載置部は、前記カート本体に対して後方に開放されて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のショッピングカート。
【請求項6】
前記検知装置は、前記カート本体の左右にそれぞれ前記荷重受本体部を備え、前記下段の載置部が左右の前記吊支部により吊支されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のショッピングカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にスーパーマーケットやショッピングモールなどの店舗で利用されるショッピングカートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやショッピングモールなどの店舗においては、店舗内に設けられたレジにて、店員または来店客により決済処理が行われるため、例えば、繁忙時間帯などでは決済待ちの来店客がレジに集中し、来店客を長時間待たせてしまうだけでなく、商品を登録する商品登録処理または登録された商品の決済を行う決済処理を行う店員の作業負荷が大きいという問題がある。
【0003】
そこで、ショッピングカートに、商品情報を読取り可能な読取装置や、決済情報等を表示可能な表示装置などの電子機器と、これら電子機器に電力を供給するバッテリーとを搭載し、来店客が商品を選択した際に商品情報をその場で読取ることで、レジに行かなくても決済処理を行うことができるシステムが提案されている。
【0004】
この種のシステムに用いるショッピングカートにおいては、商品情報を読み取る読取装置と、商品の載置部に設置された検知装置とを備えている。ショッピングカートは、読取装置が商品に付されたバーコードなどを読み取った際に、データベースから同商品の値段などの情報を取得する。そして、検知装置により載置部に何かしらの物品が置かれたことを検知した場合には、載置部に置かれた商品の数量の総計に加算し、読取不良や利用者による読取忘れを防ぎ、商品の決済処理を正確に行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-32815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるショッピングカートは、上段の載置部にのみ検知装置を備えており、下段の載置部に置かれた商品の計量を行うことができない。そのため、下段の載置部は、ショッピングカート上で決済処理を行う商品の置き場として使用することができず、多くの商品を一度に商品を登録する場合、または決済する場合に対応できなかった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、多くの商品を購入する際の登録処理または決済処理に対応できるショッピングカートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のショッピングカートは、
商品の登録処理または決済処理に使用される電子機器を有し、カート本体の上段と下段に商品の載置部が設けられたショッピングカートであって、
前記カート本体は、前記上段の載置部と前記下段の載置部に置かれた商品の存在を検知可能な検知装置を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、検知装置により上段の載置部と下段の載置部のいずれに置かれた商品も、その存在を検知することができるため、上下段の載置部をいずれも有効に活用して、多くの商品を購入する際の登録処理または決済処理に対応することができる。
【0009】
前記検知装置は、ストレンゲージと起歪体とを用いた荷重センサを有することを特徴としている。
この特徴によれば、簡素な構成で上段の載置部と下段の載置部に置かれた商品の存在を統合的に検知することができる。
【0010】
前記起歪体は、長手方向の一方端が前記カート本体に接続され、他方端に前記上段の載置部の下部に固定された荷重受本体部が接続されており、前記下段の載置部は前記荷重受本体部から下方に延設された吊支部により吊支されていることを特徴としている。
この特徴によれば、上段の載置部の荷重と下段の載置部の荷重がどちらも荷重受本体部を介して荷重センサを構成する起歪体に直接かかることになり、簡素な構成で上段の載置部と下段の載置部に置かれた商品の存在を統合的に検知することができる。
【0011】
前記起歪体は、前記カート本体の前後方向に長手を有し、前方端部が前記カート本体に接続され、後方端部に前記荷重受本体部が接続されていることを特徴としている。
この特徴によれば、起歪体がカート本体の左右に張り出さないことから、検知装置をコンパクトに構成できるとともに、ショッピングカート同士を前後にネスティングする際に、荷重受本体部の下方に後続するショッピングカートの起歪体を侵入させることができ、検知装置がショッピングカート同士のネスティングに影響しにくい。
【0012】
前記下段の載置部は、前記カート本体に対して後方に開放されて配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、読み取った商品をショッピングカートの後方、すなわち利用客側から下段の載置部に投入し易い。
【0013】
前記検知装置は、前記カート本体の左右にそれぞれ前記荷重受本体部を備え、前記下段の載置部が左右の前記吊支部により吊支されていることを特徴としている。
この特徴によれば、荷重受本体部をカート本体の左右に配置させたことで、カート本体同士のネスティングに影響しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例におけるショッピングカートを前方側から見た斜視図である。
図2】ショッピングカートを後方側から見た斜視図である。
図3】ショッピングカートを示す側面図である。
図4】検知装置における荷重受本体部を示す分解斜視図である。
図5】検知装置における吊支部を示す分解斜視図である。
図6】ショッピングカート同士を前後にネスティングした状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のショッピングカートを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0016】
以下、本実施例に係るショッピングカートについて、図1図6を参照して説明する。尚、以下においては、図1の左斜め下方をショッピングカートの前方とし、ショッピングカートを正面側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
【0017】
図1図2に示されるように、ショッピングカート1(以下、カートと略称する)は、例えば、スーパーマーケットやショッピングモール等において来店客が使用するカートである。カート1は、カート本体2と、カート本体2の下部に設けられる複数(例えば、4個)のキャスタ3と、利用者が操作するハンドル部4と、商品を収容可能なバスケット(図示略)を載置可能な上下2つの載置部5a、5bと、利用者が購入する対象の商品として登録する登録処理、または、この登録処理により登録された商品の決済処理に使用される電子機器6と、電子機器6に電力を供給可能なバッテリーと、電力を受けるための受電部40と、電力を送るための送電部41と、を主に有し、後述するように、前後方向にネスティング可能とされている。
【0018】
カート本体2は、床面に沿うように配置される平面視略二股状の本体下部2aと、本体下部2aの前端側に立設される板状の本体上部2bと、から主に構成されている。本体下部2a前後端下部にはキャスタ3が取付けられており、床面を移動可能とされている。
【0019】
本体下部2aの根本側のベース部21の前面には受電部40が設けられ、ベース部21の後面には送電部41が設けられ、受電部40に供給された電力は図示しないバッテリーと送電部41とに供給可能とされており、ネスティングされて自身の送電部41に接続された相手側のカート1の受電部40に対し電力を供給することができる。本体下部2aの二股状を成すサイドフレーム部22a、22bは、互いに左右に離間して設けられ、後側に向けて離間寸法が漸次長寸となるように平面視略ハの字形に配置されている。
【0020】
バッテリーは、配線により電子機器6と、受電部40及び送電部41と、後述する検知装置7のセンサ10と、電気的にそれぞれ接続されて電力を供給している。この配線は、特に詳細な図示はしないがカート本体2の本体上部2bのカバー部材32により覆われた空間部内に収納されている。
【0021】
本体上部2bは、根本側のベース部21に互いに左右に離間して立設される図示しない2本のフレーム部材と、これらフレーム部材の外側を覆うように設けられる筒状のカバー部材32と、から板状に構成され、ベース部21の上面から前上方に向けて延びる第1フレーム部33aと、第1フレーム部33aの上端から後上方に向けて延びる第2フレーム部33bと、第2フレーム部33bの上端から後上方に向けて延びる第3フレーム部33cと、を有する。本体上部2b内には、図示しないバッテリーが内蔵されている。
【0022】
また、第1フレーム部33aの後側かつ第2フレーム部33bの下方に配置される下段の載置部5a及び第3フレーム部33cの前側かつ第2フレーム部33bの上方に配置される上段の載置部5bは、線状部材を折り曲げることにより上方が開口する箱状に形成されている。
【0023】
下段の載置部5aは、後方に向けて下方に傾斜するように設けられるとともに、第2フレーム部33bは後方に向けて上方に傾斜するように設けられており、これにより第2フレーム部33bと本体下部2aとの上下方向の離間幅寸法が後側に向けて広くなることで、来店客がカート1の後側から載置部5aに置かれたバスケット(図示略)に商品を入れやすくなっている。
【0024】
本実施例では、電子機器6として、カート1の利用客が選択した商品の情報を読み取るためのリーダーなどの読取装置6aと、該読取装置6aにて読み取った商品情報を表示したり、種々の操作が可能な情報端末6bとが設けられている。尚、来店客が選択した商品の登録処理、決済処理、または登録処理かつ決済処理、に使用される上記以外の他の機器が設けられていてもよい。
【0025】
上段の載置部5bと下段の載置部5aとは、検知装置7を介して第2フレーム部33bに取り付けられている。詳しくは、検知装置7は、左右にそれぞれ配置される左右対称形状の第1検知装置7aと第2検知装置7bとが連結杆8により上端で連結されて構成されている。
【0026】
次いで、図1から図5を用いて第2検知装置7bを説明する。尚、左右対称形状であるため、第1検知装置7aの詳細な構成の説明は省略する。第2検知装置7bは、後述するセンサ10を有する荷重受本体部9と、荷重受本体部9から下方に延設された吊支部11とを備えて主に構成されている。
【0027】
図4に示されるように荷重受本体部9は、センサ10と、センサ10と第2フレーム部33bとを接続する接続基部12と、センサ10に対して上段の載置部5bを接続する支持基部13と、接続基部12を覆うカバー部材14と、を備えて主に構成されている。
【0028】
センサ10は、カート本体2の前後方向に向けて長手を有して配置される起歪体15と起歪体15に貼着された図示しないストレンゲージとで構成されている荷重センサである。起歪体15は前方端部15aが接続基部12により第2フレーム部33bに固定されている。
【0029】
図4に示されるように、接続基部12は、金属製の板材を屈曲させて形成された上部材12aと下部材12bとにより構成されている。上部材12aと下部材12bの前方端側は起歪体15の前方端部15aの上面と下面とにそれぞれ固定され、上部材12aと下部材12bの後方端側は、それぞれ第2フレーム部33bの上面と下面とにそれぞれ固定されている。
【0030】
支持基部13は、起歪体15の後方端部15bの上面に固定される固定板部16と、この固定板部16の上方に固定されて上段の載置部5bと接続される接続部17と、を有している。
【0031】
接続部17は、正面視では下向きコ字状を成し、左右の側板部17aが前方下端でそれぞれ固定板部16に溶接固定されている。上板部17bには、上段の載置部5bを構成するワイヤフレームが固定されている。また、接続部17の側板部17aは、接続部17の上端部である上板部17bが固定板部16よりも後方に位置するように延出し、側板部17aの後方側の下部は後方から前方に向かって下方に傾斜する傾斜部17c(図3参照)となっており、上板部17bの下方の空間が確保されている。また、側板部17aの前方側の上部は傾斜部17cと略並行な傾斜部17dとなっており、固定板部16の上方の空間が確保されている。
【0032】
図5に示されるように、吊支部11は、正面視で内向きコ字状を成す接続部18と接続部18に上端が固定されて下方に延びる管状のフレーム19とを有している。接続部18は、上面部18aが接続部17の傾斜部17d(図4参照)に溶接固定されている。
【0033】
接続部18の側板部18bには吊支部11の上端部が固定されている。吊支部11の下端部には、下部接続部材が接続されている。下部接続部材20は、側面視で外形が三角形を成し内側に三角形の貫通孔を有す金属製の板材よりなり、三角形の底辺を構成する下端部20aの一部が内側に折り込まれ、下段の載置部5aを構成するワイヤフレームが固定されている。
【0034】
上述したように、上段の載置部5bは荷重受本体部9を介して第2フレーム部33bの上方に離間した状態で支持されており、下段の載置部5aは荷重受本体部9と吊支部11とによりカート本体2の本体下部2aの上方に離間した状態で第2フレーム部33bに吊支されている。
【0035】
センサ10を構成する起歪体15は弾性変形可能な厚板状の金属製の部材であり、カート本体2の前後に長手を有して配置されている(図4参照)。そして、起歪体15の略中央には、図示しないストレンゲージが貼着され、起歪体15が弾性変形すると、起歪体15に貼着したストレンゲージの抵抗値が変化するようになっている。ストレンゲージは図示しない配線により情報端末6bに接続され、この抵抗値を検知情報として情報端末6bに送信するようになっている。
【0036】
上段の載置部5bと下段の載置部5aとは、いずれも起歪体15の後方端部15bに荷重が掛かる態様となっており、載置部5bまたは載置部5aに商品が直接載置されるまたは、載置部5b及び載置部5aに載置されたバスケット(図示せず)内に商品が投入されると、その商品の重さにより起歪体15が弾性変形、詳しくは前方端部15aを基点とする片持ち梁状の起歪体15が弾性変形することになる。また、反対に載置部5bまたは載置部5aから商品が取り出されると、商品の重さの分減少したことにより起歪体15が弾性復帰し、抵抗値が変化することになる。
【0037】
上段の載置部5bと下段の載置部5aのいずれかに商品の荷重がかかる、または商品の荷重がなくなると、検知装置7は、左右にそれぞれ配置される第1検知装置7aのストレンゲージと第2検知装置7bのストレンゲージの両方の抵抗値が変化し、情報端末6bには両方のストレンゲージから抵抗値が送信される。情報端末6bでは、両方のストレンゲージから受信したそれぞれの抵抗値の変化を利用して、上段の載置部5bと下段の載置部5aのいずれかにおける商品の存在状況の変化を検知する。
【0038】
利用客により読取装置6aにて商品の情報を読み取られると、情報端末6bは商品の登録処理を開始するとともに、ストレンゲージから受信した抵抗値の変化を監視する処理を行う。そして、ストレンゲージから受信した抵抗値の変化、ここでは荷重の増大が検知できた場合には、当該商品の登録処理を完了する。反対に、荷重の増大が検知できなかった場合には、当該商品の登録処理を中断し、エラー表示などを行う。このように、情報端末6bはストレンゲージから受信した抵抗値を利用して各種演算処理を行うことから、検知装置7を一部構成しているといえる。
【0039】
上記したように、本発明のショッピングカート1のカート本体2は、上段の載置部5bと下段の載置部5aに置かれた商品の存在を統合的に検知可能な検知装置7を備えているため、検知装置7により上段の載置部5bと下段の載置部5aのいずれに置かれた商品も、その存在を検知することができるため、上段の載置部5bと下段の載置部5aをいずれも有効に活用して、多くの商品を購入する際の登録処理または決済処理に対応することができる。
【0040】
また、検知装置7は、ストレンゲージを用いたセンサ10を用いることで、簡素な構成で上段の載置部5bと下段の載置部5aに置かれた商品の存在を統合的に検知することができる。
【0041】
また、起歪体15は、長手方向の一方端がカート本体2の第2フレーム部33bに接続され、他方端に上段の載置部5bの下部に固定された荷重受本体部9が接続されており、下段の載置部5aは荷重受本体部9から下方に延設された吊支部11により吊支されている。これによれば、上段の載置部5bと下段の載置部5aの荷重が荷重受本体部9と吊支部11とを介してセンサ10を構成する起歪体15に直接かかることになり、簡素な構成で上段の載置部5bと下段の載置部5aに置かれた商品の存在を統合的に検知することができる。
【0042】
また、下段の載置部5aは、カート本体2に対して後方に開放されて配置されているため、カート本体2の後方、すなわち利用客側に配置された読取装置6aにて読み取った商品を利用客側から下段の載置部5aに簡便に投入することができる。
【0043】
カート1は、例えば、店舗内の所定の位置に設置されるカート収納置場に複数収納可能とされている。そして、カート収納置場などにて、図6に示されるように前後にカート1,1’同士をネスティングすることができる。
【0044】
図では詳述しないが、前側のカート1の本体下部2aの左右のハの字状に開いたサイドフレーム部22a,22b間に形成された後側に開放する平面視略台形状の空間に、後続のカート1’の本体下部2aが侵入する。このとき、前側のサイドフレーム部22a,22bの内面に後続のサイドフレーム部22a,22bが案内されるため、ネスティングされた前後のカート1,1’は、左右位置が相互に位置決めされる。
【0045】
図1図2に示されるように、載置部5a、5b各々の左右方向の中央位置には、他のカート1の本体上部2bを受け入れ可能とする受入部5cが前後方向に延設されている。電子機器6及び検知装置7はバッテリーに電気的に接続され、バッテリーから電力が供給される。また、受電部40と送電部41とバッテリーとは図示しない電気回路にて電気的に接続されており、受電部40に供給された電力をバッテリーと送電部とに供給可能とされている。そして、例えば、バッテリーの残量等の状況に応じて、受電部40に供給された電力によりバッテリーを充電したり、送電部41を介して前後にネスティングされた他のカート1の受電部40に電力を供給(送電)することができるようになっている。
【0046】
図1から図3に示されるように、起歪体15はカート本体2の前後方向に長手を有し、前方端部15aがカート本体2に接続され、後方端部15bに荷重受本体部9が接続されている。これによれば、起歪体15がカート本体2の左右に張り出さないことから、検知装置7をコンパクトに構成できるとともに、カート1,1’同士を前後にネスティングする際に、荷重受本体部9の下方に後続するカート1’の起歪体15を侵入させることができ、検知装置7がカート1,1’同士のネスティングに影響しにくい。言い換えると、カート1,1’同士を近接させてネスティングでき、複数のカート1をコンパクトに収納することができる。
【0047】
また、検知装置7は、カート本体2の第2フレーム部33bを挟んで左右にそれぞれ配置される第1検知装置7aと第2検知装置7bとにより構成されている。つまり、荷重受本体部9はカート本体2の第2フレーム部33bを挟んで左右に配置され、下段の載置部5aを左右の吊支部11により吊支しており、荷重受本体部9と吊支部11とが、ネスティングされたカート1,1’の第2フレーム部33b,33b間に位置することがなく、カート本体2の第2フレーム部33bを挟んだ左右両側にてネスティングされたカート1,1’の第1検知装置7a同士及び第2検知装置7b同士が近接するため、これらカート1,1’同士のネスティングに影響しにくい。
【0048】
加えて、カート本体2の第2フレーム部33bを挟んで左右にそれぞれ配置される第1検知装置7aと第2検知装置7bとは、連結杆8により連結されているため、左右のセンサ10で検知された検知情報は、相互に影響し合う関係となり、左右のセンサ10によりそれぞれ検知された検知情報を補完し合うことで、上下段の載置部5a,5bの左右方向に偏在する商品についても、精度良く検知することができる。
【0049】
また、荷重受本体部9の支持基部13を構成する接続部17は、上段の載置部5bの前後方向の略中央に固定されており、下部接続部材20の下端部20aは、下段の載置部5aの前後方向の略中央に固定されているため、上下段の載置部5a,5bの前後方向に偏在する商品についても、精度良く検知することができる。
【0050】
また、起歪体15の前方端部15aに固定される接続基部12は、第2フレーム部33bの前方端側に固定されている。つまり接続基部12を有する荷重受本体部9はカート本体2の前方寄りに配置されているため、下段の載置部5aへの商品の投入の邪魔になりにくい。
【0051】
また、接続部17の側板部17aは、接続部17の上端部である上板部17bが固定板部16よりも後方に位置するように延出し、側板部17aの後方側の下部は傾斜部17c(図3参照)となっており、上板部17bの下方の空間が確保されている。そして、カバー部材14は接続部17の上端部である上板部17bよりも下方に位置しており、図5に示されるように、ネスティング時には、傾斜部17cの後方側かつ上板部17bの下方に後続するカート1’のカバー部材14が侵入するようになっている。このように、検知装置7の一部が上下に重なるようにネスティングされるようにしたことで、精密な検知を可能にするのに十分な起歪体15の長さ寸法を確保しながら、カート1,1’同士を近接させてネスティングすることができる。
【0052】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0053】
例えば、前記実施例では、カートとして、前後方向にネスティング可能、かつ、商品の登録処理、決済処理、または登録処理かつ決済処理、に使用される電子機器6を備えるカート1を前提として説明した。しかしながら、カート1は、必ずしも電子機器6を備える必要は無く、例えば、電子機器6を着脱可能に備えることが可能なカートであってもよい。この場合、カート1は、電子機器6、またはスマートフォン等の携帯端末もしくはタブレット端末等をカート本体2に着脱可能に設けることが可能な取付部材や、これら端末をバッテリーに電気的に接続するための接続端子等を有していることが好ましい。
【0054】
また、検知装置7における上下段の載置部5a,5bに置かれた商品の存在を検知可能な検知手段としては、前記実施例のようなストレンゲージを用いた荷重センサに限らず、例えば、フォトセンサや赤外線センサなどであってもよい。
【0055】
また、検知装置7の荷重受本体部9はカート本体2の左右に2つ配置される構成でなくてもよく、例えば1つの荷重受本体部すなわち1つのセンサが上段の載置部5bの下方等に配置される構成であってもよい。
【0056】
また、前記実施例において検知装置7は、カート本体2の前方寄りに配置されているが、これに限らず、カート本体2の前後方向の設置位置は限定されない。
【0057】
また、前記実施例では、カート1は、平面視略二股状をなす本体下部2aと、本体下部2aの前部から上方に立設される板状の本体上部2bと、からカート本体2が構成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カート本体2の形状は上記のものに限らず、種々の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 ショッピングカート
2 カート本体
2a 本体下部
2b 本体上部
5a 下段の載置部
5b 上段の載置部
6 電子機器
6a 読取装置
6b 情報端末
7 検知装置
7a 第1検知装置
7b 第2検知装置
8 連結杆
9 荷重受本体部
10 センサ(荷重センサ)
11 吊支部
12 接続基部
13 支持基部
14 カバー部材
15 起歪体
17 接続部
17a 側板部
17b 上板部
17c 傾斜部
17d 傾斜部
20 下部接続部材
21 ベース部
22a,22b サイドフレーム部
33a 第1フレーム部
33b 第2フレーム部
33c 第3フレーム部
40 受電部
41 送電部
図1
図2
図3
図4
図5
図6