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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081368
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】衣料用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20240611BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20240611BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20240611BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20240611BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/14
C11D1/29
C11D3/04
C11D3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194944
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】府川 育矢
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】今中 秀和
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB27
4H003AB31
4H003BA12
4H003DA01
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA12
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB14
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA06
(57)【要約】
【課題】審美性に優れ、且つ無機汚れによる再汚染防止性に優れた衣料用液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】下記(a)成分を5質量%以上30質量%以下、(b)成分を0.01質量%以上5質量%以下、(c)成分を1質量%以上20質量%以下、及び水を含有し、30℃におけるpHが9以下である衣料用液体洗浄剤組成物。
(a)成分:界面活性剤(ただし(b)成分は除く)
(b)成分:パール剤
(c)成分:水溶性無機金属塩
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分を5質量%以上30質量%以下、(b)成分を0.01質量%以上5質量%以下、(c)成分を1質量%以上20質量%以下、及び水を含有し、30℃におけるpHが9以下である衣料用液体洗浄剤組成物。
(a)成分:界面活性剤(ただし(b)成分は除く)
(b)成分:パール剤
(c)成分:水溶性無機金属塩
【請求項2】
(a)成分として、アニオン性界面活性剤を含有する請求項1に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(a)成分中、アニオン性界面活性剤の割合が、60質量%以上100質量%以下である請求項1または2に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩から選ばれる請求項2または3に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
(b)成分を0.1質量%以上3質量%以下含有する請求項1~4の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
(c)成分が水溶性ナトリウム塩、水溶性マグネシウム塩及び水溶性アルミニウム塩から選ばれる一種または二種以上である請求項1~5の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
(c)成分が硫酸塩である請求項1~6の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
(c)成分を1質量%以上15質量%以下含有する請求項1~7の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項9】
(a)成分と(c)成分との質量比である、(a)/(c)が、0.5以上30以下、更に27以下である請求項1~8の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項10】
(b)成分と(c)成分との質量比である、(b)/(c)が、0.01以上0.8以下である請求項1~9の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項11】
下記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び水を含む衣料用液体洗浄剤組成物の製造方法であって、原料として(a)成分を5質量%以上30質量%以下、(b)成分を0.01質量%以上5質量%以下、(c)成分を1質量%以上20質量%以下、及び水を混合し、30℃におけるpHが9以下である衣料用液体洗浄剤組成物の製造方法。
(a)成分:界面活性剤(ただし(b)成分は除く)
(b)成分:パール剤
(c)成分:水溶性無機金属塩
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の衣料用液体洗浄剤組成物を用いる衣料の洗浄方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料用液体洗浄剤組成物には、当該組成物の洗浄能力のみならず審美性が良いことも求められる。
【0003】
衣料用液体洗浄剤組成物の審美性を向上させるために、例えばパール光沢を付与することが行われている。パール光沢は、パール剤を液体洗浄剤組成物に混合させ、懸濁させることによって得ることができる。パール剤としては、雲母、オキシ塩化ビスマス、二酸化チタン等の無機物質や、魚のうろこ、高級脂肪酸類、脂肪酸グリコールエステル、脂肪酸アルカノールアミドの金属塩、ケトスルホネート等の有機化合物が知られているが、近年では、脂肪酸グリコールエステルが一般的である。
【0004】
例えば脂肪酸グリコールエステルのパール剤は、常温で固体の微粒子であるため、経時的に懸濁液や液体洗浄剤組成物から分離する傾向がある。この問題の解決策として、例えば、乳化剤(特許文献1、2)、ベタイン、アルキル及び/又はアルケニルオリゴグリコシド(特許文献3)、レオロジー変性剤(特許文献4)を洗浄剤組成物に加えた組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63-150214号公報
【特許文献2】特表2002-544325号公報
【特許文献3】特表2001-503439号公報
【特許文献4】特表2009-530481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パール剤を液体洗浄剤組成物に配合すると、光沢等の審美性が不十分であり、カーボンなどの無機汚れによる再汚染を防止する効果も低下することが見いだされた。
本発明は、審美性に優れ、且つ無機汚れによる再汚染防止性に優れた衣料用液体洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(a)成分を5質量%以上30質量%以下、(b)成分を0.01質量%以上5質量%以下、(c)成分を1質量%以上20質量%以下、及び水を含有し、30℃におけるpHが9以下である衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
(a)成分:界面活性剤(ただし(b)成分は除く)
(b)成分:パール剤
(c)成分:水溶性無機金属塩
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、審美性に優れ、且つ無機汚れによる再汚染防止性に優れた衣料用液体洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、界面活性剤と特定のパール剤と水溶性無機塩とを組み合わせて用いることにより、審美性に優れ、且つ無機汚れによる再汚染防止性に優れた衣料用液体洗浄剤組成物が得られることを見いだした。この理由は明らかではないが、これらの成分を組み合わせることで、パール剤の分離が大幅に抑制され、パール剤が均一に吐出され、高濃度で衣類へ付着しないため、カーボンなどの無機汚れに対する再汚染防止能も良好になるものと推察される。
【0010】
<(a)成分>
(a)成分は界面活性剤である(ただし(b)成分は除く)。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分を一種又は二種以上含有することができる。(a)成分の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。好ましくはアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤から選択される一種以上の界面活性剤が好ましく、より好ましくはアニオン性界面活性剤から選択される一種以上の界面活性剤である。
【0011】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、審美性及び無機汚れによる再汚染防止性の観点から、(a)成分としてアニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。
【0012】
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミン、アルキル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンジスチレン化エーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸アルキルモノアミドジナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、α-スルホステアリン酸メチルエステルナトリウムとα-スルホパルミチン酸メチルエステルナトリウム等のスルホン酸塩;が例示できる。中でも、アルキル硫酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩から選ばれるアニオン性界面活性剤が好ましい。
【0013】
アルキル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩のアルキル基の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩のエチレングリコール部分の平均付加モル数は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、より更に好ましくは1以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下である。
【0014】
審美性及び再汚染防止の観点から、(a)成分中、アニオン性界面活性剤の割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは 80質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。この割合は、100質量%であってもよい。
【0015】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、審美性がよく、良好な再汚染防止効果が得られる観点から、(a)成分を5質量%以上、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、30質量%以下、好ましくは27質量%以下、より好ましくは25質量%以下含有する。
【0016】
<(b)成分>
本願の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b)成分を一種又は二種以上含有することができる。
パール剤としては、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレンテレフタレート-ポリメチルメタクリレート積層フィルム、ポリエチレンテレフタレート-ポリオレフィン積層フィルム等の有機化合物であるパール剤、酸化チタン、マイカ、酸化チタン被覆マイカ、ホウケイ酸、ケイ酸、オキシ塩化ビスマス、フルオロフロゴパイト(合成マイカ)、アルミナ、窒化ホウ素等の無機化合物であるパール剤、アルミナ-エポキシ等の有機-無機複合化合物であるパール剤が例示できる。
【0017】
衣料用液体洗浄剤組成物として用いる点で、パール剤としては、有機化合物であるエチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、無機化合物である酸化チタン、マイカが好ましい。
【0018】
ポリエチレングリコールモノステアレート及びポリエチレングリコールジステアレートは、ポリエチレングリコール部分の平均重合度が、例えば、2以上、そして、500以下、更に100以下、更に50以下であってよい。
【0019】
(b)成分は、固体粒子として組成物中に存在していてもよい。(b)成分の平均粒径は、例えば、0.001μm以上、更に0.1μm以上、そして、1000μm以下、更に500μm以下であってよい。この平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定の方法で測定されたものである。
【0020】
(b)成分が有機化合物であるパール剤の場合、衣料用液体洗浄剤組成物の製造時に添加して、加熱融解後、冷却して結晶として組成物内に析出させることもできる。更に、予め、(b)成分を水に溶解又は分散させた溶液や分散液を、衣料用液体洗浄剤組成物の成分に混合して用いることもできる。
【0021】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、審美性及び無機汚れによる再汚染防止性の観点から、(b)成分を0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上、そして、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下含有する。
【0022】
<(c)成分>
(c)成分は水溶性無機金属塩である。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(c)成分を一種又は二種以上含有することができる。(c)成分について水溶性とは、20℃での水100gに対する溶解度が10g以上であることを指す。
【0023】
水溶性無機金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム等の三価の典型金属や、鉄等の遷移金属を例示することができる。パール剤の分離抑制の観点から、水溶性無機金属塩の金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、三価の典型金属が好ましく、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウムが更に好ましい。
【0024】
水溶性無機金属塩の対陰イオンとしては、硫酸イオン、亜硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、セスキ炭酸イオン、塩化物イオンや臭化物イオン等のハロゲン化物イオン、ケイ酸イオン、トリポリリン酸イオン、硝酸イオン、ホウ酸イオン等が例示できる。製造適性の観点から、水溶性無機金属塩の対陰イオンは、硫酸イオンが好ましい。
【0025】
(c)成分は、硫酸塩が好ましい。(c)成分は、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩及び三価金属の硫酸塩から選ばれる一種または二種以上の水溶性無機金属塩が好ましい。(c)成分は、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム及び硫酸アルミニウムから選ばれる一種または二種以上の水溶性無機金属塩が好ましい。また、これらは水和物であってもよい。
【0026】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、審美性がよく、良好な再汚染防止効果が得られる観点から、(c)成分を1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、そして、20質量%以下、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有する。
【0027】
<水>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、水を含有する。水の含有量は、組成物全体の組成を100質量%とする量であってよい。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、例えば、水を、40質量%以上、更に50質量%、そして、95質量%以下、更に90質量%以下含有することができる。
【0028】
<任意成分、物性等>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、審美性及び無機汚れによる再汚染防止性の観点から、(a)成分と(c)成分との質量比である、(a)/(c)が、例えば、0.5以上、更に1.0以上、そして、30以下、更に27以下であってよい。
【0029】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、審美性及び無機汚れによる再汚染防止性の観点から、(b)成分と(c)成分との質量比である、(b)/(c)が、例えば、0.01以上、更に0.02以上、そして、1.0以下、更に0.8以下であってよい。
【0030】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、任意成分として、例えば、pH調整剤、増泡剤、消泡剤、安定化剤、防腐剤、溶剤、酵素、蛍光染料、香料、色素などを含有することができる。
pH調整剤としては、通常の衣料用液体洗浄剤で用いられる、酸性物質及びアルカリ性物質を用いることができる。酸性物質としては、例えば、クエン酸、アクリル酸系ポリマー、高級脂肪酸等を例示することができる。アルカリ性物質としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ゼオライト等を例示することができる。また、所望のpHに調整するため、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。
【0031】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物のpHとしては、30℃で、9.0以下、8.8以下、8.6以下、8.4以下が好ましく、そして、3.0以上、5.0以上、6.0以上、7.0以上、7.5以上、8.0以上、が好ましい。
【0032】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、衣類、タオル、寝具、寝具用の繊維製品(シーツ、枕カバーなど)などの衣料の洗浄に用いられる。これら以外の洗濯が可能な繊維製品も本発明では衣料として洗浄の対象とすることができる。
【0033】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分を5質量%以上30質量%以下、(b)成分を0.01質量%以上5質量%以下、(c)成分を1質量%以上20質量%以下、及び水を含む原料を混合して得られるものであってよい。
【0034】
本発明は、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び水を混合する衣料用液体洗浄剤組成物の製造方法であって、(a)成分を、前記組成物の原料中、5質量%以上30質量%以下、(b)成分を、前記組成物の原料中、0.01質量%以上5質量%以下、(c)成分を、前記組成物の原料中、1質量%以上20質量%以下の割合で混合する、衣料用液体洗浄剤組成物の製造方法を提供する。
【実施例0035】
実施例及び比較例で使用した成分を以下に示す。
<(a)成分>
(a-1)AES-Na(2)、ポリオキシエチレン(平均付加モル数2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
(a-2)AES-Na(1)、ポリオキシエチレン(平均付加モル数1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
(a-3)AS-Na、ラウリル硫酸エステルのナトリウム塩
【0036】
<(b)成分>
(b-1)エチレングリコールジステアレート
(b-2)エチレングリコールモノステアレート
(b-3)ポリエチレングリコールモノステアレート(ポリエチレングリコール部分の平均重合度2)
(b-4)酸化チタン(富士フィルム和光純薬(株)製、5μm以下)
(b-5)マイカ(富士フィルム和光純薬(株)製、5μm以下)
【0037】
<(c)成分>
(c-1)硫酸ナトリウム
(c-2)硫酸マグネシウム
(c-3)硫酸アルミニウム
【0038】
<pH調整剤>
モノエタノールアミン
クエン酸
【0039】
<評価>
表1に示す成分を用いて実施例、比較例の衣料用液体洗浄剤組成物を製造した。得られた衣料用液体洗浄剤組成物について、以下の方法で審美性とカーボン再汚染防止能の評価を行った。
<審美性の評価>
ガラス規格瓶(No.6規格、石田容器株式会社)にサンプルの衣料用液体洗浄剤組成物を50g充填し、40℃で2か月静置した。保存後の外観の審美性を官能評価した。5名のパネラーが以下の基準で判定を行なった。5人の合計点から平均値を求め、表1に示した。
5:パール剤の光沢が良好である。
4:パール剤の光沢はあるが、5よりも若干弱い又は若干強い。
3:パール剤の光沢はあるが、4よりも弱い又は強い。
2:パール剤の光沢はあるが、3よりも弱い又は強い。
1:パール剤の光沢が全く無い。
【0040】
なお、審美性は、パール剤の光沢が良好である評価5を基準とし、評価5と比較して光沢が強すぎる場合、弱すぎる場合、のいずれも点数が下がるように評価している。従って、パネラーにより評価5よりも光沢が強い、弱いが混在することもあり得るが、このようなケースは稀であり、ほとんどの場合は評価5よりも光沢が強すぎるか、弱すぎるかのどちらか一方に偏る。
【0041】
<カーボン再汚染防止性の評価>
(1)評価に使用する水
塩化カルシウム2水和物(富士フィルム和光純薬工業(株)製)92.25g及び塩化マグネシウム6水和物(富士フィルム和光純薬工業(株)製)54.56gを1Lのイオン交換水で溶解させた原液を調製した(カルシウム/マグネシウム=7/3(モル比))。得られた原液をイオン交換水1Lに対して1mL加えることで、ドイツ硬度5°dHに調整し硬度水とした。以下の評価では特に断りがない限り、水はこの硬度水を用いた。
【0042】
(2)カーボン再汚染防止性の評価
ガラス規格瓶(No.6規格、石田容器株式会社)にサンプルの衣料用液体洗浄剤組成物を50g充填し、40℃で2か月静置した。ガラス規格瓶内の衣料用液体洗浄剤組成物を上部からサンプリングし、ポリエステルジャージ布(6cm×6cm、谷頭商店)1枚につき衣料用液体洗浄剤組成物0.25gを直接塗布した。上記硬度水1Lに、衣料用液体洗浄剤組成物を塗布した布4枚を入れ、カーボンブラック(平均粒径150nm、旭カーボン株式会社)0.15gを加えて、ターゴトメーターを用いて、洗浄時間10分、回転速度100rpm、水温30℃の条件下で洗浄した。
汚染前の原布、及び洗浄前後の布の、550nmにおける反射率を、それぞれ、測色色差計(日本電色株式会社製 SE2000)を用いて測定し、次式によってカーボン再汚染防止率(%)を求めた。結果を表1に示した。
カーボン再汚染防止率(%)=100×[(洗浄後の反射率/洗浄前の反射率)]
【0043】
【表1】
【0044】
表1から明らかなように、実施例1~11の組成物は、審美性が良好で、且つカーボン再汚染防止率も高い。
【0045】
一方、(a)成分の界面活性剤の含有量が5質量%よりも少ない比較例1では、カーボン再汚染防止率が67%と低かった。(b)成分のパール剤を5質量%よりも多く含む比較例3では、光沢が強すぎ(審美性が評価2)、カーボン再汚染防止率が59%と低かった。更に(c)成分の水溶性無機金属塩の含有量が1質量%に満たない比較例4では、カーボン再汚染防止率が72%と低かった。さらに、pHが9.7の比較例5及びpH9.2の比較例6では、審美性の評価が低かった。なお、パール剤を含まない比較例2では、またカーボン再汚染防止率は91%と高いものの、光沢はみられなかった。
【0046】
以上の結果から、(a)成分の界面活性剤、(b)成分のパール剤及び(c)成分の水溶性無機金属塩を所定条件で含有することにより、良好な光沢を示し、カーボン再汚染防止率の高い衣料用液体洗浄剤組成物を提供できることが示された。