(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081378
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ベルト用基材及びベルト
(51)【国際特許分類】
B65G 15/38 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B65G15/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194961
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000211156
【氏名又は名称】中興化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】萩原 芳文
(72)【発明者】
【氏名】柴田 晃宜
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】川本 啓司
【テーマコード(参考)】
3F024
【Fターム(参考)】
3F024AA07
3F024BA05
3F024BA09
3F024BA10
3F024CA02
3F024CA04
3F024CB04
(57)【要約】
【課題】
本発明が解決しようとする課題は、高温での耐久性に優れるベルトを実現可能なベルト用基材、及び、当該ベルト用基材を備えるベルトを提供することである。
【解決手段】
本発明の一態様によると、ベルト用基材1が提供される。ベルト用基材1は、耐熱性織布11と、耐熱性織布11の少なくとも一部に形成された耐熱性樹脂12とを含む。耐熱性織布11は、ガラス繊維、シリカ繊維及びアルミナ繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む。耐熱性樹脂12は、ポリイミド及びポリベンゾイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性織布と、前記耐熱性織布の少なくとも一部に形成された耐熱性樹脂とを含み、
前記耐熱性織布は、ガラス繊維、シリカ繊維及びアルミナ繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記耐熱性樹脂は、ポリイミド及びポリベンゾイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1種を含む、ベルト用基材。
【請求項2】
前記耐熱性樹脂はポリベンゾイミダゾールを含む、請求項1に記載のベルト用基材。
【請求項3】
請求項1または2に記載のベルト用基材を備える、ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト用基材及びベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の搬送等に用いられるベルトの基材として、耐熱性織布の表面をフッ素樹脂で被覆した複合シートが用いられている。
【0003】
複合シートの最高使用温度は、複合シートの材料によって決定される。具体的には、複合シートを構成する材料のうち、最高使用温度が最も低い材料の最高使用温度が、複合シートの最高使用温度として採用される。
【0004】
複合シートに含有されるフッ素樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)及びパーフルオロエチレンプロペンコポリマ(FEP)が挙げられる。これらのフッ素樹脂の最高使用温度は、PTFEが260℃、PFAが260℃、FEPが200℃であり、いずれも最高使用温度が260℃以下である。
【0005】
そのため、フッ素樹脂を含む複合シートは、最高使用温度が260℃以下に留まる。よって、フッ素樹脂を含む複合シートは、300℃以上の高温での耐久性に課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-214085号公報
【特許文献2】特開2021-195473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、高温での耐久性に優れるベルトを実現可能なベルト用基材、及び、当該ベルト用基材を備えるベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、ベルト用基材が提供される。ベルト用基材は、耐熱性織布と、耐熱性織布の少なくとも一部に形成された耐熱性樹脂とを含む。耐熱性織布は、ガラス繊維、シリカ繊維及びアルミナ繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む。耐熱性樹脂は、ポリイミド及びポリベンゾイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0009】
本発明の別の態様によると、当該ベルト用基材を備えるベルトが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、高温での耐久性に優れるベルトを実現可能なベルト用基材、及び、当該ベルト用基材を備えるベルトが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るベルト用基材の一例を示す概略断面図。
【
図2】他の実施形態に係るベルトの一例を概略的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について適宜図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
【0013】
本明細書において、ベルト用基材の最高使用温度とは、ベルト用基材を構成する材料のうち、使用可能温度が最も低い材料の使用可能温度をいう。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、ベルト用基材が提供される。
【0015】
ベルト用基材は、耐熱性織布を含む。耐熱性織布は、ガラス繊維、シリカ繊維及びアルミナ繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0016】
ガラス繊維の例としては、Eガラスが挙げられる。Eガラスの使用可能温度は例えば844℃と高い。Eガラスの使用可能温度は、844℃以上であることが好ましい。シリカ繊維(石英繊維)は、使用可能温度が例えば800℃と高い。シリカ繊維の使用可能温度は、800℃以上であることが好ましい。シリカ繊維の使用可能温度は、例えば、1100℃以上にすることができる。アルミナ繊維は、使用可能温度が例えば1500℃と高い。アルミナ繊維の使用可能温度は、1500℃以上であることが好ましい。アルミナ繊維の使用可能温度は、例えば、1700℃以上にすることができる。
【0017】
よって、ガラス繊維、シリカ繊維及びアルミナ繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む耐熱性織布は、耐熱性に優れる。したがって、当該耐熱性織布を含むベルト用基材の最高使用温度を高めることができる。
【0018】
上記耐熱性織布の少なくとも一部に、耐熱性樹脂が形成される。耐熱性樹脂は、ポリイミド及びポリベンゾイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0019】
ポリイミド(PI)の使用可能温度は例えば350℃である。PIの使用可能温度は350℃以上であることが好ましい。ポリベンゾイミダゾール(PBI)の使用可能温度は例えば580℃である。PBIの使用可能温度は580℃以上であることが好ましい。
【0020】
よって、ポリイミド及びポリベンゾイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1種を含む耐熱性樹脂は、耐熱性に優れる。したがって、当該耐熱性樹脂を含むベルト用基材の最高使用温度を高めることができる。
【0021】
第1の実施形態に係るベルト用基材は、ベルト用基材を構成する耐熱性織布及び耐熱性樹脂のいずれも耐熱性に優れるため、最高使用温度が高い。したがって、高温での耐久性に優れるベルトを提供できる。
【0022】
以下、第1の実施形態について、
図1を参照してさらに説明する。
図1は、実施形態に係るベルト用基材の一例を概略的に示す断面図である。
【0023】
X軸方向は、ベルト用基材の厚さ方向と平行な方向である。Y軸方向は、X軸方向と直交する方向である。Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向の双方と直交する方向である。
【0024】
ベルト用基材1は、例えば、耐熱性織布11と、耐熱性織布11の少なくとも一部に形成された耐熱性樹脂12とを含む。耐熱性織布11は、耐熱性繊維13を含む。
【0025】
ベルト用基材1の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば0.050mm以上1.0mm以下の範囲内にありうる。
【0026】
耐熱性織布11は、耐熱性繊維13を織った織布である。耐熱性織布11の形状は特に制限されず、帯状であってもよく、無端状あるいは環状であってもよい。耐熱性繊維13は、ガラス繊維、シリカ繊維及びアルミナ繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む。耐熱性繊維13は、1種類または2種類以上の繊維を含んでもよい。耐熱性繊維13は、繊維束によって構成される糸であってもよい。
【0027】
ガラス繊維の例としては、Eガラスなどが挙げられる。Eガラスは、アルカリ(Na2O、K2O)含有率が2.0%以下の組成のガラスである。ガラス繊維は、1種類でもよく、又は2種類以上でもよい。
【0028】
シリカ繊維には、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)を90%以上含有する繊維が挙げられる。シリカ繊維中の二酸化ケイ素の含有率は、95%以上であってもよく、100%であってもよい。
【0029】
アルミナ繊維には、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を72%以上含有する繊維が挙げられる。アルミナ繊維は、酸化アルミニウムを72%以上97%以下、二酸化ケイ素を3%以上28%以下の割合で含んでもよい。
【0030】
図1では一例として、耐熱性繊維を平織にした耐熱性織布の例を説明しているが、耐熱性織布の織り方は平織に限られず、他の織り方により耐熱性織布を形成してもよい。平織の他の織り方の例としては、綾織、朱子織、からみ織、摸紗織、袋織などが挙げられる。メッシュ状の織布は、例えば、綾織、朱子織、からみ織、摸紗織により形成できる。無端状あるいは環状の耐熱性織布(シームレスクロス)は、例えば、袋織により形成できる。無端状あるいは環状の耐熱性織布を備えるベルト用基材は、後述する接合を経ずに、ベルトを形成することができる。
【0031】
耐熱性繊維を織って形成した耐熱性織布は、柔軟性が高い。よって、当該耐熱性織布を含むベルト用基材の柔軟性を高くできる。柔軟性が高いベルト用基材は、曲げに対する追従性が良好である。よって、当該ベルト用基材によれば、例えばロールに取り付けて使用する際にもロールに追従でき、かつ耐熱性が高いベルトを提供できる。
【0032】
耐熱性樹脂12の形状は、耐熱性織布の形状に沿って変化し得る。すなわち、耐熱性織布が貫通孔を有する目の粗い織布である場合、耐熱性樹脂は、耐熱性織布の貫通孔を完全に塞ぐように存在していてもよく、貫通孔の一部を塞ぐように存在していてもよい。
【0033】
第1の実施形態に係るベルト用基材は、例えば、以下の方法で作製される。
【0034】
まず、耐熱性織布に耐熱性樹脂を形成するための塗工液を準備する。塗工液は、耐熱性樹脂と、溶媒と、任意に添加剤とを含む。塗工液としては、市販のワニスを用いることができる。
【0035】
次に、塗工液に耐熱性織布を浸漬させた後、塗工液内から耐熱性織布を取り出すことによって、耐熱性織布に塗膜を形成する。塗膜の形成は、耐熱性織布の片面又は両面に、塗工液を塗布することによって行ってもよい。塗工液の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ダイコート法、ディッピングなどの公知の方法を用いることができる。塗膜の形成後、スペーサーを用いて塗膜が所望の膜厚となるように調整してもよい。
【0036】
次いで、塗膜を形成した耐熱性織布を乾燥させ、塗工液中の溶媒を除去する。乾燥の後、熱処理に供することにより、耐熱性織布の少なくとも一部に耐熱性樹脂を形成する。熱処理条件は、耐熱性樹脂の種類及び塗膜の厚さに応じて調整する。
【0037】
かくして、実施形態に係るベルト用基材を得る。
【0038】
(第2の実施形態)
第2の実施形態によれば、ベルトが提供される。
【0039】
ベルトは、第1の実施形態に係るベルト用基材を、無端状あるいは環状に形成したものである。ベルト用基材を無端状あるいは環状に形成する方法としては、例えば、帯状のベルト用基材の長さ方向の端部どうしを接合する方法がある。
【0040】
接合は、例えば、縫製、編み込み、金具接合法、樹脂接合により行うことができる。
【0041】
縫製は、例えば、ベルト用基材の長さ方向の端部どうしを重ね合わせた部分を、耐熱性繊維を含む糸で縫うことにより行うことができる。
【0042】
編み込みは、例えば、経糸(タテ糸)と緯糸(ヨコ糸)とを備えるベルト用基材において、一方の端部と他方の端部とを互いに絡み合わせて接合する方法である。一例として、一方の端部に位置する経糸を他方の端部に編み込み、且つ、他方の端部に位置する経糸を一方の端部に編込むことにより、接合部を構成できる。編み込みは、メッシュ状の織布を含むベルト用基材の端部どうしを接合するのに好適である。
【0043】
金具接合法は、例えば、ベルト用基材の長さ方向の端部に設けた金具によって、端部どうしを接合する方法である。一例として、ベルト用基材の長さ方向の両端部に、長さ方向に沿って突出する輪(ループ)を有する金具を設ける。一方の端部に設けられたループと、他方の端部に設けられたループとが、長さ方向と略直交する方向に沿って交互に配列するように噛み合わせる。このようにして構成された連通口に、棒状のピンを挿入することによって、ベルト用基材の端部どうしを接合できる。
【0044】
樹脂接合は、例えば、ベルト用基材の端部の耐熱性樹脂を未反応状態にしておき、ベルト用基材を重ね合わせた状態で反応させることにより、行うことができる。このようにすると、ベルト用基材の端部同士が重ね合わせた部分で耐熱性樹脂が硬化するため、ベルト用基材の端部どうしを接合できる。
【0045】
図2は、第2の実施形態に係るベルトが、ロール2に取り付けられた状態を概略的に示す斜視図である。
【0046】
なお、ベルト10の進行方向は、
図2に矢印Pで示す方向に限られず、矢印Pで示す方向と反対方向であっても良い。
【0047】
図2では、ベルト用基材の長さ方向の一方の端部1aと、他方の端部1bとを重ね合わせて接合した状態を示すが、ベルト用基材の端部どうしの接合の形態はこれに限られない。他の接合の形態としては、例えば、上述の編み込み、金具接合法が挙げられる。
【0048】
第2の実施形態に係るベルトは、第1の実施形態のベルト用基材を備える。そのため、ロールへの追従性が良好で、かつ高温での耐久性に優れ、耐熱性が高いベルトを提供することができる。
【実施例0049】
実施例及び比較例に係るベルト用基材について説明する。
【0050】
実施例に係るベルト用基材は、耐熱性織布と、耐熱性織布上に形成された耐熱性樹脂とからなる。表1に、実施例に係るベルト用基材について、耐熱性織布の耐熱性繊維の種類及び使用可能温度、耐熱性織布上に形成された耐熱性樹脂の種類及び使用可能温度、ベルト用基材の最高使用温度を示す。
【0051】
耐熱性繊維としては、ガラス繊維、シリカ繊維及びアルミナ繊維について示す。また、耐熱性樹脂としては、PI及びPBIについて示す。
【0052】
比較例に係るベルト用基材は、織布と、織布上に形成された樹脂とからなる。表2に、織布の繊維の種類及び使用可能温度、織布上に形成された樹脂の種類及び使用可能温度、ベルト用基材の最高使用温度を示す。
【0053】
繊維としては、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維及びアラミド繊維について示す。また、樹脂としては、PI、PBI、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)及びパーフルオロエチレンプロペンコポリマ(FEP)について示す。
【0054】
なお、アラミド繊維は、例えば、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド(テクノーラ(登録商標))、ポリパラフェニレンテレフタラミド(ケブラー(登録商標))、トワロン(登録商標)、変性ポリフェニレンエーテル(ザイロン(登録商標))などである。
【0055】
アラミド繊維の使用可能温度は、270℃~300℃の範囲内にある。コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドは、使用可能温度が約500℃であり、250℃において常温の半分以上の強度を示し、200℃においては長時間使用することができる。
【0056】
上述の通り、いずれのアラミド繊維も200℃で長時間使用できることから、アラミド繊維の使用可能温度は200℃とした。
【0057】
実施例に係るベルト用基材の最高使用温度としては、各実施例のベルト用基材が含む耐熱性樹脂及び耐熱性繊維の使用可能温度のうち、低い方を表1に示す。比較例に係るベルト用基材の最高使用温度としては、各比較例のベルト用基材が含む樹脂及び繊維の使用可能温度のうち、低い方を表2に示す。
【0058】
【0059】
【0060】
表1及び表2に示す通り、ベルト用基材の最高使用温度は、実施例1~3は350℃、実施例4~6は580℃と、比較例1~19と比較して高い。
【0061】
使用可能温度が高いPIまたはPBIが織布上に形成されているベルト用基材であっても、織布の繊維としてアラミド繊維またはカーボン繊維を含む比較例16~19は、最高使用温度が低い。
【0062】
使用可能温度が高いガラス繊維、シリカ繊維及びアルミナ繊維からなる群から選択される少なくとも1種を織布の繊維として含むベルト用基材であっても、PTFE、PFA又はFEPが織布上に形成されている比較例1~3,6~8,11~13は、最高使用温度が低い。
【0063】
また、ガラス繊維製の耐熱性織布を含む実施例1と4を比較すると、PBIが耐熱性織布上に形成されている実施例4は、PIが耐熱性織布上に形成されている実施例1よりも最高使用温度が高い。シリカ繊維製の耐熱性織布を含む実施例2と5を比較すると、PBIが耐熱性織布上に形成されている実施例5は、PIが耐熱性織布上に形成されている実施例2よりも最高使用温度が高い。アルミナ繊維製の耐熱性織布を含む実施例3と6を比較すると、PBIが耐熱性織布上に形成されている実施例6は、PIが耐熱性織布上に形成されている実施例3よりも最高使用温度が高い。よって、耐熱性樹脂としてPBIが耐熱性織布上に形成されているベルト用基材は、耐熱性により優れる傾向にあることが明らかとなった。
【0064】
実施例及び比較例の比較より、ガラス繊維、シリカ繊維及びアルミナ繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む耐熱性織布と、PI及びPBIからなる群から選択される少なくとも1種を含む耐熱性樹脂とを組み合わせたベルト用基材であると、ベルト用基材の最高使用温度を高め、耐熱性を向上でき、高温での耐久性に優れることが明らかとなった。
【0065】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。