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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008138
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】パージ材処理装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109735
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 信太郎
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206JA07
4F206JF06
4F206JL01
4F206JL03
4F206JL04
4F206JQ86
(57)【要約】
【課題】リサイクル性に優れるパージ材処理装置を提供する。
【解決手段】射出成形機1において第1樹脂から第2樹脂への樹脂替えの際に射出成形機1の排出部3より紐状に排出されるパージ材50を巻き取る巻取部を備えるパージ材処理装置1であって、巻取部は、第1樹脂のパージ材50Aを巻き取る第1巻取部12と、第1巻取部12の回転軸13に沿う方向に並んで設置され、第2樹脂のパージ材50Bを巻き取る第2巻取部22と、第1巻取部12および第2巻取部22を排出部3に対して回転軸13,23に沿う方向に相対的にスライド移動させるスライド移動部33と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機において第1樹脂から第2樹脂への樹脂替えの際に前記射出成形機の排出部より紐状に排出されるパージ材を巻き取る巻取部を備えるパージ材処理装置であって、
前記巻取部は、前記第1樹脂の前記パージ材を巻き取る第1巻取部と、
前記第1巻取部の回転軸に沿う方向に並んで設置され、前記第2樹脂の前記パージ材を巻き取る第2巻取部と、
前記第1巻取部および前記第2巻取部を前記排出部に対して前記回転軸に沿う方向に相対的にスライド移動させるスライド移動部と、を備えるパージ材処理装置。
【請求項2】
前記第1巻取部および前記第2巻取部の間に、前記第1樹脂および前記第2樹脂が混合した前記パージ材を受ける貯留部を備える請求項1に記載のパージ材処理装置。
【請求項3】
前記排出部から排出される前記パージ材の色を認識可能な色認識センサーを備え、
前記第1巻取部および前記第2巻取部は、前記色認識センサーの検知信号に基づいて、前記排出部に対して前記回転軸に沿う方向に前記スライド移動部により相対的にスライド移動する請求項1または請求項2に記載のパージ材処理装置。
【請求項4】
前記第1巻取部および前記第2巻取部に巻き取られた紐状の前記パージ材を当該パージ材の長さ方向と交差する方向に切断する横切断部を備える請求項1または請求項2に記載のパージ材処理装置。
【請求項5】
前記第1巻取部および前記第2巻取部に巻き取られた紐状の前記パージ材を当該パージ材の長さ方向に沿って分離する縦分離部を備える請求項1または請求項2に記載のパージ材処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、パージ材処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形における色変えおよび材料変えの際には、シリンダー内に残留する樹脂をパージ材として排出している。パージ材は射出成形機より専用の容器に排出され、放置冷却されて、ブロック状に硬化する。
【0003】
ブロック状に硬化したパージ材は分厚く硬いため、粉砕機で粉砕することができない。このため、再利用することができず、処理メーカーまで搬送してリサイクル処理されていた。
【0004】
このような問題を解決するべく、特許文献1には、パージ材を一対の成形ロールにより圧延し、薄いシート状にした後、細かく細断する技術が提案されている。また、特許文献2には、パージ材を射出成形機から紐状に排出し、巻き取る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-142055号公報
【特許文献2】特開2001-300982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来技術には樹脂替え前後の樹脂を分別することについては開示されておらず、リサイクル性をより高める技術が求められている。
【0007】
本明細書に開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、よりリサイクル性に優れるパージ材処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される技術は、射出成形機において第1樹脂から第2樹脂への樹脂替えの際に前記射出成形機の排出部より紐状に排出されるパージ材を巻き取る巻取部を備えるパージ材処理装置であって、前記巻取部は、前記第1樹脂の前記パージ材を巻き取る第1巻取部と、前記第1巻取部の回転軸に沿う方向に並んで設置され、前記第2樹脂の前記パージ材を巻き取る第2巻取部と、前記第1巻取部および前記第2巻取部を前記排出部に対して前記回転軸に沿う方向に相対的にスライド移動させるスライド移動部と、を備える。
【0009】
上記構成によれば、第1樹脂のパージ材と第2樹脂のパージ材とを、それぞれ個別に回収することができる。しかも、紐状とされた各パージ材は、各巻取部により巻き取られた状態とされるから、従来のように塊とされる状態と比較して後処理が容易である。
【0010】
前記第1巻取部および前記第2巻取部の間に、前記第1樹脂および前記第2樹脂が混合した前記パージ材を受ける貯留部を備えていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、パージ材が第1樹脂から第2樹脂に替わる途中の混合樹脂を、第1樹脂および第2樹脂とは別に回収することができる。つまり、第1樹脂のパージ材および第2樹脂のパージ材を、各樹脂の純度が高い状態で回収することができる。
【0012】
前記排出部から排出される前記パージ材の色を認識可能な色認識センサーを備え、前記第1巻取部および前記第2巻取部は、前記色認識センサーの検知信号に基づいて、前記排出部に対して前記回転軸に沿う方向に前記スライド移動部により相対的にスライド移動してもよい。
【0013】
前記第1巻取部および前記第2巻取部に巻き取られた紐状の前記パージ材を当該パージ材の長さ方向と交差する方向に切断する横切断部を備えていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、紐状とされたパージ材を短く分断することができるから、パージ材の再利用が容易になる。
【0015】
前記第1巻取部および前記第2巻取部に巻き取られた紐状の前記パージ材を当該パージ材の長さ方向に沿って分離する縦分離部を備えていてもよい。
【0016】
上記構成によれば、巻取部に巻き取られて重なり合い、互いに付着した状態のパージ材を長さ方向に沿って分離することができるから、パージ材の再利用が容易になる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に開示される技術によれば、リサイクル性に優れるパージ材処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態のパージ材処理装置の回収部を示す斜視図
図2】回収部において第1巻取部にパージ材を巻き取っている状態を示す平面図
図3】回収部において貯留部にパージ材を貯留している状態を示す平面図
図4】回収部において第2巻取部にパージ材を巻き取っている状態を示す平面図
図5】回収部での巻取りが完了した状態を示す斜視図
図6】回収部および破断部を組み付けた状態を示す斜視図(第1巻取部にカッターを設置した状態)
図7】第1巻取部においてパージ材を破断している状態を示す平面図
図8】受け部においてパージ材を破断している状態を示す平面図
図9】第2巻取部にカッターを設置した状態を示す斜視図
図10】第2巻取部においてパージ材を破断している状態を示す平面図
図11】第2巻取部においてパージ材を破断している状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
一実施形態を図1から図11によって説明する。パージ材処理装置10は、射出成形機1において第1樹脂から第2樹脂への樹脂替えの際にシリンダ2のノズル(排出部の一例)3より排出されるパージ材50を処理するためのものであって、回収部11と破断部40とを備えて構成されている。パージ材50は、シリンダ2から水平方向に延びるノズル3の先端より紐状に排出され、放物線状のパージ材排出軌道Rを描きながら落下する。
【0020】
回収部11は、射出成形機1から排出されたパージ材50を回収する部分であって、例えば図1から図5に示すように、第1樹脂のパージ材50Aを巻き取る第1巻取部12と、第2樹脂のパージ材50Bを巻き取る第2巻取部22と、貯留部32と、レール33と、色認識センサー34と、を備えている。なお、本実施形態においてパージ材50と表記した場合には、パージ材50の種類を区別しないものとする。
【0021】
第1巻取部12および第2巻取部22は、それぞれ、水平方向に延在する平坦な受け面12A,22Aを有するベルトコンベア状をなしている。第1巻取部12および第2巻取部22は、それぞれ、平行に配された一対の回転軸を有しており、第1巻取部12の一対の第1回転軸13と第2巻取部22の一対の第2回転軸23とは、同軸上に配置されている。つまり、第1巻取部12および第2巻取部22は、例えば図2に示すように、受け面12A,22Aの進行方向に対して横並びの状態で配置されている。本実施形態において、第1回転軸13と第2回転軸23とは同方向に回転しており、上側に配される受け面12A,22Aは図1の右から左に向けて進行している。
【0022】
第1巻取部12および第2巻取部22の間には、当該第1巻取部12および第2巻取部22に沿って延びる角柱状の支持部31が受け面12A,22Aから上方に突出する形で設けられており、この支持部31の上面に、第1樹脂および第2樹脂が混合された状態のパージ材50Cを貯留可能な樋状の貯留部32が設置されている。貯留部32の長さ寸法(図2の左右方向の寸法)は、第1巻取部12および第2巻取部22の長さ寸法よりもやや長い寸法に設定されている。
【0023】
上述した第1巻取部12、貯留部32、および第2巻取部22は一体に組付けられており、図示しないスライド駆動部によって、回転軸13,23に沿って延びるレール(スライド移動部の一例)33により一体的にスライド移動可能とされている。つまり、第1巻取部12、貯留部32、および第2巻取部22は、回収部11の上方に配置されるノズル3に対して回転軸13,23に沿った方向に相対的にスライド移動可能とされている。
【0024】
また回収部11は、ノズル3から排出されたパージ材50が描くパージ材排出軌道Rに隣接して、パージ材50の色を認識するための色認識センサー34を備えている。上述したスライド駆動部は、色認識センサー34により検知されたパージ材50の色情報(検知信号)に基づいて駆動し、ノズル3に対する第1巻取部12、貯留部32、および第2巻取部22の位置を決定するように設定されている。
【0025】
射出成形機1において第1樹脂から第2樹脂へ樹脂替えを行う際には、まず、ノズル3の下方のパージ材排出軌道R上に第1巻取部12を配置するとともに一対の第1回転軸13を駆動させ、ノズル3から連続的に紐状に排出される第1樹脂のパージ材50Aをベルトコンベア状の第1巻取部12の受け面12Aで受けつつ、第1巻取部12に巻き取る。この時ノズル3から排出された溶融状態のパージ材50Aは落下中にある程度冷却され、回転中の第1巻取部12の受け面12Aに付着するように紐状に巻き付きつつ保持される(図1および図2参照)。
【0026】
なお、このようにして回収されるパージ材50Aの径は、1.8~3.8mm程度が好ましい。パージ材50Aの径は、ノズル3から排出するパージ材50Aの流速および第1巻取部12の回転速度により調整可能である。
【0027】
また、この巻き取り途中において第1巻取部12は、スライド駆動部により、第1回転軸13に沿って徐々にスライド移動する。これにより、紐状の第1樹脂のパージ材50Aが第1巻取部12の受け面12Aにおいて横方向に並びつつ巻き付いた状態とされる。
【0028】
第1樹脂がシリンダ2内から排出され、次第に第2樹脂に入れ代わる際には、第1樹脂および第2樹脂の混合樹脂のパージ材50Cが排出される。この時、上述した色認識センサー34がパージ材50の色の変化を検知し、この検知信号に基づいて、パージ材排出軌道R上に貯留部32が配置されるように、組付け状態の第1巻取部12、貯留部32、および第2巻取部22の全体が横方向にスライド移動する。混合樹脂のパージ材50Cは、貯留部32に塊となって貯留される(図3参照)。
【0029】
さらに、混合樹脂がシリンダ2内から排出され、第2樹脂の濃度が高いパージ材50Bが排出されるようになると、再び色認識センサー34がパージ材50の色の変化を検知し、この検知信号に基づいて、パージ材排出軌道R上に第2巻取部22が配置されるように、第1巻取部12、貯留部32、および第2巻取部22の全体がスライド移動する。これにより、ノズル3から連続的に紐状に排出される第2樹脂のパージ材50Bを、第2巻取部22の受け面22Aで受けつつ巻き取る。この時も、上述した第1樹脂の場合と同様に、第2巻取部22はスライド移動部により、第2回転軸23に沿って横方向に徐々にスライド移動する。これにより、紐状の第2樹脂のパージ材50Bが第2巻取部22の受け面22Aにおいて横方向に並びつつ巻き付いた状態とされる(図4および図5参照)。
【0030】
このようにして、第1樹脂のパージ材50Aが第1巻取部12に巻き取られ、混合樹脂のパージ材50Cが貯留部32に貯留され、第2樹脂のパージ材50Bが第2巻取部22に巻き取られる。すなわち、第1樹脂と、混合樹脂と、第2樹脂とがそれぞれ個別に回収される。
【0031】
上述したように第1樹脂のパージ材50Aおよび第2樹脂のパージ材50Bを第1巻取部12および第2巻取部22により個別に回収した回収部11は、その後破断部40と組み合わされる(図6参照)。なお本実施形態において、貯留部32に貯留された混合樹脂の塊は、回収部11と破断部40との組付け前に処分される。
【0032】
破断部40は、第1巻取部12に巻き取られた第1樹脂のパージ材50Aおよび第2巻取部22に巻き取られた第2樹脂のパージ材50Bを充分に冷却した後、ペレット状に破断する部分である。破断部40は、図6に示すように、横カッター(横切断部の一例)41と、受板部42と、縦カッター(縦分離部の一例)46とを備えて構成されている。
【0033】
なお、破断部40において、横カッター41および縦カッター46の、第1樹脂のパージ材50Aに対して行われる動作と、第2樹脂のパージ材50Bに対して行われる動作とは同様であるため、以下、第1樹脂のパージ材50Aに対する動作のみを説明し、第2樹脂のパージ材50Bに対する動作については説明を省略する。
【0034】
横カッター41は、回収部11と破断部40とが組み合わされた状態において、まず、ベルトコンベア状の第1巻取部12の上方に配置される。横カッター41は、第1巻取部12の進行方向(図7の左右方向)に対してほぼ垂直に交差する方向(図7の上下方向)に延びる超音波カッターである。
【0035】
横カッター41は、回転状態の第1巻取部12に対して上下方向に反復駆動され、これにより、第1巻取部12の受け面12Aに複数周巻き付いた状態の紐状の第1樹脂のパージ材50Aを、その延び方向と交差する方向に一括に、且つ複数に切断可能とされている。切断時の長さは、3~6mm程度が好ましい。横カッター41により短く切断されたパージ材50Aは、それらの一部または全部が、横方向や積層方向において互いに接するパージ材50Aと付着して連なった状態とされている(図7参照)。
【0036】
なお、第1巻取部12の上側の受け面12Aのうち横カッター41に対応する部分の裏側には、横カッター41を受けるための板状の受板部42が設置されている。受板部42により、ベルトコンベア状の第1巻取部12、および第1樹脂のパージ材50Aの撓みが抑制され、パージ材50Aが確実に切断される。
【0037】
第1巻取部12の上側の受け面12Aの進行方向における先端側(図6の左端)の端部には、引掻部43が設置されている。引掻部43は、先端側が爪状に屈曲した熊手状をなしており(図9および図11参照)、第1巻取部12の受け面12Aにおいて横カッター41により短く切断されて先端側に搬送された第1樹脂のパージ材50Aを、受け面12Aの先端部分で引っ掻いて下方にこそぎ落とすものである。引掻部43によりこそぎ落とされた横切断状態の第1樹脂のパージ材50Aは、第1巻取部12の同先端部に近接した位置から下方に向けて垂れ下がるように設置されたシート状の案内部44により受け部45の受け面45Aに案内されつつ落下する。
【0038】
受け部45は、第1巻取部12および第2巻取部22と同様に、平坦な受け面45Aを有するベルトコンベア状をなしている。受け部45は、第1樹脂のパージ材50Aを破断する際には、第1巻取部12の下方に配置される。受け面45Aの進行方向は、第1巻取部12及び第2巻取部22の受け面12A,22Aの進行方向の逆方向とされている。つまり、受け部45の上側の受け面45Aに落下した第1樹脂のパージ材50は、図6の右方に搬送される。
【0039】
受け部45の上方には、縦カッター(縦分離部の一例)46が配置されている。縦カッター46は、受け部45の進行方向(図8の左右方)に沿った方向に延びる超音波カッターである。縦カッター46は、回転状態の受け部45に対して横方向(図8の上下方向)にスライド移動可能とされている、縦カッター46は、受け部45に対して僅かにスライド移動しつつ上下方向に反復駆動され、第2巻取部22の受け面22A上で横方向に連なった短尺な紐状の第1樹脂のパージ材50Aを互いに分離可能としている(図8参照)。
【0040】
なお、受け部45の上側の受け面45Aのうち縦カッター46に対応する部分の裏側には、縦カッター46を受けるための板状の受板部42が設置されている。受板部42により、ベルトコンベア状の受け部45および第1樹脂のパージ材50Aの撓みが抑制され、パージ材50Aが確実に分離される。
【0041】
このように、第1巻取部12に紐状に巻き取られた第1樹脂のパージ材50Aは、横カッター41により横方向に切断され、その後縦カッター46により延び方向に分離されることにより、細かいペレット状とされる。
【0042】
第1樹脂のパージ材50Aの破断が済んだ後、回収部11をレール33に沿って破断部40に対して相対的に横方向に移動させ、横カッター41を第2巻取部22の上方に配置させる(図9参照)。そして、上述した第1樹脂のパージ材50Aの切断時と同様に、第2樹脂のパージ材50Bに対する破断動作を行う(図10および図11参照)。
【0043】
このようにして、第1樹脂のパージ材50Aと第2樹脂のパージ材50Bとが個別に破断され、ペレット状とされる。
【0044】
次に、作用効果について説明する。本実施形態のパージ材処理装置10は、射出成形機1において第1樹脂から第2樹脂への樹脂替えの際にノズル3より紐状に排出されるパージ材50を巻き取る巻取部を備え、巻取部は、第1樹脂のパージ材50Aを巻き取る第1巻取部12と、第1巻取部12の第1回転軸13に沿う方向に並んで設置され、第2樹脂のパージ材50Bを巻き取る第2巻取部22と、第1巻取部12および第2巻取部22をノズル3に対して回転軸13,23に沿う方向に相対的にスライド移動させるレール33と、を備える。
【0045】
上記構成によれば、第1樹脂のパージ材50Aと第2樹脂のパージ材50Bとを、それぞれ個別に回収することができる。しかも、紐状とされた各パージ材50A,50Bは、各巻取部12,22により巻き取られた状態とされるから、従来のように塊とされる状態と比較して後処理が容易である。
【0046】
またパージ材処理装置10は、第1巻取部12および第2巻取部22の間に、第1樹脂および第2樹脂が混合したパージ材50Cを受ける貯留部32を備えている。
【0047】
上記構成によれば、第1樹脂から第2樹脂に替わる途中の混合樹脂のパージ材50Cを、第1樹脂および第2樹脂のパージ材50A,50Bとは別に回収することができる。つまり、第1樹脂のパージ材50Aおよび第2樹脂のパージ材50Bを、各樹脂の純度が高い状態で回収することができる。
【0048】
またパージ材処理装置10の回収部11は、ノズル3から排出されるパージ材50の色を認識可能な色認識センサー34を備え、第1巻取部12および第2巻取部22は、色認識センサー34の検知信号に基づいて、ノズル3に対して回転軸13,23に沿う方向にレール33により相対的にスライド移動する。
【0049】
第1巻取部12および第2巻取部22に巻き取られた紐状のパージ材50を当該パージ材50の長さ方向と交差する方向に切断する横カッター41を備える。
【0050】
上記構成によれば、紐状とされたパージ材50を短く分断することができるから、パージ材50の再利用が容易になる。
【0051】
また、第1巻取部12および第2巻取部22に巻き取られた紐状のパージ材50を当該パージ材50の長さ方向に沿って分離する縦カッター46を備える。
【0052】
上記構成によれば、巻取部12,22に巻き取られて重なり合い、互いに付着した状態のパージ材50を長さ方向に沿って分離することができるから、パージ材50の再利用が容易になる。
【0053】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0054】
(1)上記実施形態では、回収部11にレール33を設け、巻取部12,22を横方向にスライド移動可能な構成としたが、射出成形機1側に設けたスライド移動部により、射出成形機1のノズル3と回収部11とを相対的に移動させる構成としてもよい。
【0055】
(2)上記実施形態で示した第1樹脂および第2樹脂は、同一材料で樹脂の色が異なるものでもよく、樹脂自体の種類が異なるものでもよい。樹脂の種類としては、例えばポリプロピレンを例示することができる。
【0056】
(3)貯留部や色認識センサー、破断部を備えないパージ材処理装置も、技術的範囲に含まれる。
【0057】
(4)回収部の横方向への移動機構は上記実施形態に限るものでない。
【0058】
(5)上記実施形態では、パージ材を横方向に切断した後、縦方向に分離する方法を示したが、パージ材を縦方向に分離した後、横方向に切断する形態とすることもできる。
【符号の説明】
【0059】
1:射出成形機、2:シリンダ、3:ノズル(排出部)、10:パージ材処理装置、11:回収部、12:第1巻取部、13:第1回転軸、22:第2巻取部、23:第2回転軸、32:貯留部、33:レール(スライド移動部) 、34:色認識センサー、40:破断部、41:横カッター(横切断部)、43:引掻部、45:受け部、46:縦カッター(縦分離部)、50:パージ材、50A:第1樹脂のパージ材、50B:第2樹脂のパージ材、50C:混合樹脂のパージ材、R:パージ材排出軌道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11