(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081390
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】調整装置
(51)【国際特許分類】
E04G 25/00 20060101AFI20240611BHJP
B66F 3/00 20060101ALI20240611BHJP
E04G 21/18 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
E04G25/00 E
B66F3/00
E04G21/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194987
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】横山 博之
(72)【発明者】
【氏名】稲森 純二
【テーマコード(参考)】
2E150
2E174
【Fターム(参考)】
2E150JE11
2E150JE21
2E174AA03
2E174CA04
2E174CA17
2E174CA21
2E174DA58
(57)【要約】
【課題】簡単な構成の調整装置を提供する。
【解決手段】調整装置100は、第1ベース部材10、第2ベース部材12、楔部材14a,14b、第1連結部16、および第2連結部18を備える。第1連結部16は、第1方向Xにおいて楔部材14a,14bが互いに近接および離隔できるように楔部材14a,14bを連結している。第2連結部18は、第1ベース部材10と第2ベース部材12とを連結している。第2連結部18は、第2方向Yにおいて楔部材14a,14bを挟む板状部材32,34を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ベース部材と、
前記第1ベース部材の上方に設けられる第2ベース部材と、
前記第1ベース部材と前記第2ベース部材との間に設けられる一対の楔部材と、
上下方向に直交する第1方向において前記一対の楔部材が互いに近接および離隔できるように、前記一対の楔部材を前記第1方向に移動可能に連結する第1連結部と、
前記第1ベース部材と前記第2ベース部材とを連結する第2連結部と、を備え、
前記第2連結部は、上下方向と前記第1方向とに直交する第2方向において前記一対の楔部材に対向する、調整装置。
【請求項2】
前記第2連結部は、前記第2方向において前記一対の楔部材を挟むように設けられる一対の板状部材を含む、請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記第2方向に延びる第1棒状部材によって前記一対の板状部材の下部および前記第1ベース部材が連結されている、請求項2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記第2方向に延びる第2棒状部材によって前記一対の板状部材の上部および前記第2ベース部材が連結されている、請求項2または3に記載の調整装置。
【請求項5】
前記板状部材の上部に、上下方向に延びる長孔が形成されており、
前記第2棒状部材は、前記長孔に沿って前記板状部材に対して上下方向に移動できるように前記長孔に挿入されている、請求項4に記載の調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設構造物の高さを調整する調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁等のコンクリート構造物を建設する際には、型枠および型枠を下方から支持する仮設構造物(例えば、支保工)が用いられている。コンクリート構造物の建設においては、型枠を設計通りの位置に配置することが重要である。そこで、支保工と地面との間、および/または支保工と型枠との間に、型枠の高さを調整するために調整装置(ジャッキ)が取り付けられる場合がある。この場合、調整装置(ジャッキ)の高さを調整することによって、型枠の位置を調整することができる。
【0003】
上記のような調整装置(ジャッキ)として、例えば、特許文献1には、基台と、基台の上方に設けられる受台と、基台および受台の間に設けられる一対の可動体と、一対の可動体を貫通するボルトと、ボルトに螺装されるナットとを備えたジャッキが開示されている。基台の上端側および受台の下端側にはそれぞれ、傾斜面が形成されている。一対の可動体は、基台の傾斜面および受台の傾斜面に沿って、上下に移動する。一対の可動体の位置は、ボルトおよびナットによって調整することができる。特許文献1のジャッキでは、一対の可動体を接近させることによって受台の位置を高くすることができ、一対の可動体を離すことによって受台の位置を低くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなジャッキでは、各部品が分離することを防止する必要がある。そこで、特許文献1のジャッキでは、基台と一対の可動体とが、蟻継ぎ構造(凹部および凸部の噛み合い構造)によって接続されている。同様に、受台と一対の基台とが、蟻継ぎ構造によって接続されている。これにより、基台および受台に対して、一対の基台を摺動させつつ、基台および受台から一対の基台が分離することを防止することができる。
【0006】
しかしながら、上記のような蟻継ぎ構造を利用する場合には、機械加工によって凹部および凸部を高精度に形成する必要にあり、ジャッキの製造コストが高くなる。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構成の調整装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の調整装置を要旨とする。
【0009】
(1)第1ベース部材と、
前記第1ベース部材の上方に設けられる第2ベース部材と、
前記第1ベース部材と前記第2ベース部材との間に設けられる一対の楔部材と、
上下方向に直交する第1方向において前記一対の楔部材が互いに近接および離隔できるように、前記一対の楔部材を前記第1方向に移動可能に連結する第1連結部と、
前記第1ベース部材と前記第2ベース部材とを連結する第2連結部と、を備え、
前記第2連結部は、上下方向と前記第1方向とに直交する第2方向において前記一対の楔部材に対向する、調整装置。
【0010】
(2)前記第2連結部は、前記第2方向において前記一対の楔部材を挟むように設けられる一対の板状部材を含む、上記(1)に記載の調整装置。
【0011】
(3)前記第2方向に延びる第1棒状部材によって前記一対の板状部材の下部および前記第1ベース部材が連結されている、上記(2)に記載の調整装置。
【0012】
(4)前記第2方向に延びる第2棒状部材によって前記一対の板状部材の上部および前記第2ベース部材が連結されている、上記(2)または(3)に記載の調整装置。
【0013】
(5)前記板状部材の上部に、上下方向に延びる長孔が形成されており、
前記第2棒状部材は、前記長孔に沿って前記板状部材に対して上下方向に移動できるように前記長孔に挿入されている、上記(4)に記載の調整装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単な構成の調整装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る調整装置を示す正面図である。
【
図3】
図3は、第1ベース部材、第2ベース部材および楔部材の形状を示す図である。
【
図5】
図5は、調整装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る調整装置について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る調整装置の正面図であり、
図2は、調整装置の左側面図である。なお、
図1には、上下方向に直交する一方向が矢印Xで示されている。以下、矢印Xで示す方向を、第1方向Xと記載する。また、
図2には、上下方向と第1方向Xとに直交する方向が矢印Yで示されている。以下、矢印Yで示す方向を、第2方向Yと記載する。
【0017】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る調整装置100は、第1ベース部材10と、第2ベース部材12と、一対の楔部材14a,14bと、第1連結部16と、第2連結部18とを備えている。
【0018】
図3は、第1ベース部材10、第2ベース部材12および楔部材14a,14bの形状を示す図である。具体的には、
図3は、第2連結部18を取り外した状態の調整装置100を示す正面図である。また、
図4は、
図1のA-A部分を示す断面図である。
【0019】
図1~
図4に示すように、第1ベース部材10は、板状の支持部20と、支持部20から上方に突出するガイド部22と、支持部20から上方に突出する複数(本実施形態では、4つ)のリブ24とを有している。
図4に示すように、本実施形態では、複数のリブ24は、上方から見て、ガイド部22から放射状に延びるように形成されている。なお、
図2においては、各リブ24の一部および後述する各リブ30の一部の図示を省略している。
【0020】
図1~
図3に示すように、ガイド部22の上面は、傾斜面22a,22bを含む。傾斜面22a,22bは、第1方向Xにおける互いの距離が下方ほど大きくなるように、上下方向に対して傾斜している。
図2および
図3に示すように、傾斜面22aの下方および傾斜面22bの下方にそれぞれ、ガイド部22を第2方向Yに貫通する孔23が形成されている。
【0021】
図1~
図3に示すように、第2ベース部材12は、第1ベース部材10の上方に設けられている。本実施形態では、第2ベース部材12は、第1ベース部材10を上下反転させた構成を有している。具体的には、第2ベース部材12は、板状の支持部26と、支持部26から下方に突出するガイド部28と、支持部26から下方に突出する複数(本実施形態では、4つ)のリブ30とを有している。
【0022】
ガイド部28の下面は、傾斜面28a,28bを含む。傾斜面28a,28bは、第1方向Xにおける互いの距離が上方ほど大きくなるように、上下方向に対して傾斜している。
図2および
図3に示すように、傾斜面28aの上方および傾斜面28bの上方にそれぞれ、ガイド部28を第2方向Yに貫通する孔29が形成されている。
【0023】
楔部材14a,14bは、第1ベース部材10と第2ベース部材12との間に設けられている。
図1および
図3に示すように、楔部材14a,14bは、第1方向Xにおいて対向するように設けられている。
【0024】
楔部材14aの下部において第1方向Xにおける一方側に傾斜面15aが設けられ、楔部材14aの上部において第1方向Xにおける一方側に傾斜面17aが設けられている。傾斜面15a,17aは、上下方向における互いの距離が第1方向Xにおける他方側ほど大きくなるように、上下方向に対して傾斜している。本実施形態では、楔部材14aの傾斜面15aは、ガイド部22の傾斜面22aに摺動可能に支持されている。また、ガイド部28の傾斜面28aは、楔部材14aの傾斜面17aに摺動可能に支持されている。
【0025】
図1~
図3に示すように、楔部材14aを第1方向Xに貫通するように、孔19aが形成されている。楔部材14aにおいて、第1方向Xにおける他方側の側面140には、一対の突出部142,144が設けられている。
図2に示すように、第1方向Xから見て、突出部142は、孔19aの上方に設けられ、突出部144は、孔19aの下方に設けられている。本実施形態では、突出部142,144は、後述するボルト16aの回転を防止する回転防止部として機能する。
【0026】
図1および
図3に示すように、楔部材14bの下部において第1方向Xにおける他方側に傾斜面15bが設けられ、楔部材14bの上部において第1方向Xにおける他方側に傾斜面17bが設けられている。傾斜面15b,17bは、上下方向における互いの距離が第1方向Xにおける一方側ほど大きくなるように、上下方向に対して傾斜している。本実施形態では、楔部材14bの傾斜面15bは、ガイド部22の傾斜面22bに摺動可能に支持されている。また、ガイド部28の傾斜面28bは、楔部材14bの傾斜面17bに摺動可能に支持されている。楔部材14aの孔19aと同様に、楔部材14bを第1方向Xに貫通するように、孔19bが形成されている。孔19aおよび孔19bは、第1方向Xにおいて互いに対向するように形成されている。
【0027】
第1ベース部材10および第2ベース部材12は、楔部材14a,14bが第1方向Xに一体的に移動しないように、楔部材14a,14bを上下から挟んでいる。本実施形態では、第2方向Yから見て、楔部材14a,14bの傾斜面15a,15bの間にガイド部22の上部が差し込まれるように、かつ楔部材14a,14bの傾斜面17a,17bの間にガイド部28の下部が差し込まれるように、第1ベース部材10および第2ベース部材12が配置されている。
【0028】
詳細は後述するが、第1連結部16は、第1方向Xにおいて楔部材14a,14bが互いに近接および離隔できるように、楔部材14a,14bを第1方向Xに移動可能に連結している。本実施形態では、第1連結部16は、楔部材14a,14bを第1方向Xに貫通するボルト16aと、ボルト16aに取り付けられたナット16bとを有している。本実施形態では、第1方向Xにおいて、楔部材14a,14bの他方側から孔19a,19bにボルト16aが差し込まれ、楔部材14a,14bの一方側からボルト16aにナット16bが取り付けられている。また、本実施形態では、第1方向Xにおいてナット16bの一方側に抜け止め16cが設けられている。ナット16bがボルト16aから抜け落ちることは、抜け止め16cによって防止されている。
【0029】
第2連結部18は、第1ベース部材10と第2ベース部材12とを連結している。
図2および
図4に示すように、本実施形態では、第2連結部18は、一対の板状部材32,34を有する。板状部材32,34は、第2方向Yにおいて楔部材14a,14bを挟むように設けられている。
【0030】
図1および
図2に示すように、板状部材32の下部には、板状部材32を貫通するように、一対の孔32aが形成されている。本実施形態では、孔32aは、円形状を有している。また、一対の孔32aは、第2方向Yにおいてガイド部22の一対の孔23(
図3参照)に対向するように形成されている。
【0031】
図1および
図2に示すように、板状部材32の上部には、板状部材32を貫通するように、一対の長孔32bが形成されている。長孔32bは、上下方向に延びるように形成されている。長孔32bの上下方向の長さは、調整装置の高さ調整代よりも大きい。また、一対の長孔32bは、第2方向Yにおいてガイド部28の一対の孔29(
図3参照)に対向するように形成されている。本実施形態では、長孔32bの上下方向の長さは、孔29の上下方向の長さよりも5mmから10mm程度大きい。
【0032】
板状部材34は板状部材32と同様の構成を有している。具体的には、
図2に示すように、板状部材34の下部には、一対の孔34a(
図2においては一つの孔34aのみ図示)が形成されている。孔34aは、孔32aと同様に、円形状を有している。また、各孔34aは、第2方向Yにおいてガイド部22の各孔23に対向するように形成されている。
【0033】
板状部材34の上部には、板状部材34を貫通するように、一対の長孔34b(
図2においては一つの長孔34bのみ図示)が形成されている。長孔34bは、長孔32bと同様に、上下方向に延びるように形成されている。また、各長孔34bは、第2方向Yにおいてガイド部28の各孔29に対向するように形成されている。
【0034】
図1、
図2および
図4に示すように、板状部材32の下部、第1ベース部材10のガイド部22および板状部材34の下部を第2方向Yに貫通するように、2本のボルト36が設けられている。
図1および
図4に示すように、2本のボルト36は、第1方向Xに並ぶように設けられている。本実施形態では、
図2に示すように、第2方向Yにおいて板状部材32の一方側から孔32a、孔23および孔34aにボルト36が差し込まれている。これにより、板状部材32,34と第1ベース部材10(ガイド部22)とが連結されている。また、第2方向Yにおいて板状部材34の他方側からボルト36にナット38が取り付けられている。これにより、ボルト36が板状部材32,34およびガイド部22から抜け落ちることを防止することができる。
【0035】
図1および
図2に示すように、板状部材32の上部、第2ベース部材12のガイド部28および板状部材34の上部を第2方向Yに貫通するように、2本のボルト40が設けられている。
図1に示すように、2本のボルト40は、第1方向Xに並ぶように設けられている。本実施形態では、
図2に示すように、第2方向Yにおいて板状部材32の一方側から長孔32b、孔29および長孔34bにボルト40が差し込まれている。これにより、板状部材32,34と第2ベース部材12(ガイド部28)とが連結されている。また、第2方向Yにおいて板状部材34の他方側からボルト40にナット42が取り付けられている。これにより、ボルト40が板状部材32,34およびガイド部28から抜け落ちることを防止することができる。本実施形態では、ボルト36,40が棒状部材に対応する。また、ボルト36が第1棒状部材に対応し、ボルト40が第2棒状部材に対応する。
【0036】
本実施形態では、板状部材32,34は、ボルト36,40およびナット38,42で締め込まず、第2ベース部材12が上下移動し、楔部材14a,14bが左右(第1方向X)に移動できるよう取り付けられる。なお、ボルト36およびナット38は板状部材32,34の左右(第1方向Xにおける一方側および他方側)に設けられるよう複数用いるのが望ましいが、中央部に1本のボルト36および1つのナット38を設けるだけでもよく、板状部材32,34を介して第1ベース部材10(ガイド部22)と第2ベース部材12(ガイド部28)とが連結され、また、板状部材32,34が第2方向Yにおいて楔部材14a,14bを挟み込むことができるように、ボルト36およびナット38を設ければよい。ボルト40およびナット42についても同様である。なお、本実施形態では、棒状部材の一例としてボルトを用いる場合について説明しているが、ボルト以外の棒状部材を用いてもよい。この場合、棒状部材が抜け落ちることを防止するために、ナットの代わりに棒状部材の先端部に抜け止め部材を設ければよい。また、ボルトの代わりに、抜け止め機構を有する抜け止めピン(公知の固定ピン等)を用いてもよい。
【0037】
本実施形態に係る調整装置100では、楔部材14a,14bが第1方向Xにおいて近接するように移動することによって、第2ベース部材12が上昇する。また、楔部材14a,14bが第1方向Xにおいて離隔するように移動することによって、第2ベース部材12が下降する。以下、図面を用いて具体的に説明する。
【0038】
図5は、調整装置100の動作を説明するための図であり、(a)は、調整装置100を示す正面図であり、(b)は、(a)に示す調整装置100から第2連結部18を取り外した状態を示す正面図である。
【0039】
まず、
図1および
図3に示す状態の調整装置100から、楔部材14a,14bが離隔する方向に移動する場合について説明する。なお、
図1および
図3には、楔部材14a,14bが最も近接した状態の調整装置100が示されている。具体的には、
図1および
図3に示す状態では、ボルト16aの頭部およびナット16bによって締め付けられることによって、楔部材14aと楔部材14bとが接触しており、第2ベース部材12が最も上昇している状態である。
【0040】
図1および
図3に示す状態から、ナット16bを緩めると、ボルト16aの頭部とナット16bとの距離が大きくなる。この状態で、ガイド部28から楔部材14a,14bに対して力が加わると、
図5に示すように、楔部材14a,14bは、第1方向Xにおいて互いに離れる方向に移動する。具体的には、楔部材14a,14bの傾斜面17a,17bがガイド部28の傾斜面28a,28bによって、第1方向Xにおいて互いに離れる方向に押される。これにより、楔部材14a,14bの傾斜面15a,15bがガイド部22の傾斜面22a,22bに対して摺動しつつ、楔部材14a,14bが第1方向Xにおいて互いに離れる方向に移動する。その結果、ガイド部22に対して楔部材14a,14bが下降するとともに、楔部材14a,14bに対してガイド部28が下降する。これにより、第1ベース部材10に対して第2ベース部材12が下降する。
【0041】
一方、
図5に示す状態からナット16bを締め付けると、楔部材14a,14bは、ボルト16aの頭部とナット16bとによって挟み込まれることによって、第1方向Xにおいて互いに近付く方向に移動する。具体的には、楔部材14a,14bの傾斜面15a,15bがガイド部22の傾斜面22a,22bに対して摺動しつつ、楔部材14a,14bが第1方向Xにおいて互いに近付く方向に移動する。その結果、ガイド部22に対して楔部材14a,14bが上昇するとともに、楔部材14a,14bの傾斜面17a,17bによってガイド部28の傾斜面28a,28bが押し上げられる。これにより、第1ベース部材10に対して第2ベース部材12が上昇する。
【0042】
なお、
図1および
図5(a)に示すように、第2ベース部材12が昇降する際に、一対のボルト40は、一対の長孔32bおよび一対の長孔34b(
図2参照)に沿って上下方向に移動する。
【0043】
本実施形態に係る調整装置100は、コンクリート構造物等を建設する際に用いることができる。例えば、支保工と型枠との間、または支保工と地面との間に調整装置100を用いることができる。この場合には、ナット16bを回転させて第2ベース部材12を昇降させることによって、仮設構造物の高さを調整することができる。
【0044】
なお、例えば、型枠の高さを調整するために、支保工と型枠との間にハンドル回転式のジャッキ(ハンドルを回すことによって高さ調整するジャッキ)が設けられる場合がある。この場合、ハンドルを回転させることによってジャッキの高さを調整し、型枠の高さを調整することができる。一方で、ハンドル回転式の従来のジャッキでは、コンクリートの荷重が軸部(ねじ部)に作用するため、コンクリート荷重が大きい場合には、ハンドルをスムーズに回転させることが難しい。このような場合に、本実施形態に係る調整装置100を用いることによって、ハンドル回転式のジャッキに作用する荷重を小さくすることができる。具体的には、調整装置100をハンドル回転式のジャッキと型枠との間に設ける。この場合、調整装置100(第2ベース部材12)を用いることにより、コンクリート硬化後に調整装置100の高さを低くすることによって、上記ジャッキに作用する荷重を小さくすることができる。これにより、ジャッキのハンドルをスムーズに回転させることができるようになるので、型枠の取り外しが容易になる。
【0045】
なお、本実施形態に係る調整装置100では、楔部材14a,14bに傾斜面15a,15b,17a,17bが設けられている。これにより、第2ベース部材12に与えられた下向きの力(コンクリート荷重)が、傾斜面15a,15b,17a,17bで分散して、楔部材14a,14bを第1方向Xに離隔しようとする横向きの力が作用し、ボルト16aおよびナット16bで拘束されている。この場合、コンクリート荷重が傾斜面で分散されずに軸部(ねじ部)に与えられる従来のハンドル回転式のジャッキに作用する下向きの力に比べて、ナット16bに作用する横向きの力の方が小さくなるので、ナット16bを容易に回転させることができる。ナット16bを回転させることができれば、第2ベース部材12を容易に下降させることができる。したがって、ハンドル回転式のジャッキと型枠との間に本実施形態に係る調整装置100を設ける場合には、ナット16bを回転させ第2ベース部材を少し下降させるだけで、ジャッキに作用する力を十分に低下させることができる。その結果、ジャッキのハンドルを容易に回転させることができ、型枠を容易に取り外すことができる。このように、本実施形態に係る調整装置100は、ハンドル回転式のジャッキに作用する荷重を解除する荷重解除装置として好適に利用することができる。なお、調整装置100の使用方法は上記の例に限定されず、種々の仮設構造物において利用することができる。
【0046】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る調整装置100においては、第1ベース部材10と第2ベース部材12とが板状部材32,34を介して連結されている。また、板状部材32,34は、第2方向Yにおいて楔部材14a,14bに対向するように設けられている。このため、本実施形態に係る調整装置100では、板状部材32,34によって、第1ベース部材10と第2ベース部材12とが分離することを防止しつつ、第1ベース部材10と第2ベース部材12との間から楔部材14a,14bが第2方向Yに抜け落ちることを防止することができる。この場合、第1ベース部材10および第2ベース部材12に対する楔部材14a,14bの第2方向Yへの移動を蟻継ぎ構造によって防止する場合に比べて、第1ベース部材10、第2ベース部材12および楔部材14a,14bを簡単に構成することができる。これにより、調整装置100の製造コストを抑制することができる。
【0047】
特に、本実施形態では、第2方向Yにおいて楔部材14a,14bを挟むように板状部材32,34が設けられている。これにより、第1ベース部材10と第2ベース部材12との間から楔部材14a,14bが第2方向Yに抜け落ちることを確実に防止することができる。
【0048】
なお、凹部および凸部の噛み合い(蟻継ぎ構造)によって、第1ベース部材または第2ベース部材と楔部材とを接続する場合、噛み合いの状態によっては、第1ベース部材および第2ベース部材に対して楔部材を円滑に移動させることができない場合がある。この場合、第2ベース部材の高さを円滑に調整できない。一方、本実施形態に係る調整装置100では、上記のように蟻継ぎ構造を設ける必要がないので、第1ベース部材10および第2ベース部材12に対して、楔部材14a,14bを円滑に移動させることができる。これにより、第2ベース部材12の高さ調整を容易に行うことができる。
【0049】
本実施形態に係る調整装置100では、板状部材32,34と第1ベース部材10(ガイド部22)とを連結する2本のボルト36は、第1方向Xに並ぶように設けられている。この場合、第1ベース部材10(ガイド部22)に対して板状部材32,34がボルト36を回転中心として回転することを防止することができる。これにより、調整装置100においてがたつきが発生することを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る調整装置100では、板状部材32,34と第2ベース部材12(ガイド部28)とを連結する2本のボルト40は、第1方向Xに並ぶように設けられている。この場合、板状部材32,34に対して第2ベース部材12(ガイド部28)がボルト40を回転中心として回転することを防止することができる。これにより、調整装置100においてがたつきが発生することを十分に抑制することができる。
【0051】
本実施形態では、第2ベース部材12(ガイド部28)と板状部材32,34とを連結するボルト40は、板状部材32,34に形成された長孔32b,34bに沿って上下方向に移動する。これにより、ボルト40を円滑に上下動させることができる。この場合、第2ベース部材12が第1方向Xに揺動することを防止することができるので、第2ベース部材12を円滑に上下動させることができる。
【0052】
(変形例)
上述の実施形態では、ガイド部22の上端部およびガイド部28の下端部がそれぞれ、第1方向Xにおいて楔部材14aと楔部材14bとに挟まれるように、第1ベース部材10、第2ベース部材12および楔部材14a,14bが設けられている。しかしながら、楔部材14a,14bが一体的に第1方向Xに移動することを防止できるのであれば、第1ベース部材10、第2ベース部材12および楔部材14a,14bの形状は上述の例に限定されない。例えば、第1ベース部材10のガイド部22と楔部材14a,14bとが、上下方向に垂直な面で互いに接触していてもよい。この場合でも、楔部材14a,14bの第1方向Xにおける距離を調整することによって、傾斜面17a,17bと傾斜面28a,28bとによって、第2ベース部材12を昇降させることができる。また、例えば、第2ベース部材12のガイド部28と楔部材14a,14bとが、上下方向に垂直な面で互いに接触していてもよい。この場合でも、楔部材14a,14bの第1方向Xにおける距離を調整することによって、傾斜面22a,22bと傾斜面15a,15bとによって、第2ベース部材12を昇降させることができる。
【0053】
上述の実施形態では、2本のボルト36および2本のボルト40によって、第1ベース部材10、第2ベース部材12および板状部材32,34を連結しているが、第1ベース部材10、第2ベース部材12および板状部材32,34を連結するための棒状部材(本実施形態ではボルト)の数は、2、3、または5以上であってもよい。
【0054】
上述の実施形態では、2つの板状部材32,34によって楔部材14a,14bの第2方向Yへの移動を規制しているが、板状部材の数は上述の例に限定されない。例えば、
図6に示す調整装置100aのように、U字状の板状部材35によって楔部材14a,14bを挟むことによって、楔部材14a,14bの第2方向Yへの移動を規制してもよい。なお、調整装置100aにおいては、第1ベース部材10の支持部20に、板状部材35を下方から挿通するための貫通孔が形成されている。なお、調整装置100aにおいては、板状部材35を介して第1ベース部材10の支持部20と第2ベース部材12のガイド部28とが連結される。このため、板状部材35とガイド部22とは、棒状部材(ボルト)によって連結されていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、円滑な高さ調整が可能な簡単な構成の調整装置が得られる。
【符号の説明】
【0056】
10 第1ベース部材
12 第2ベース部材
14a,14b 楔部材
16 第1連結部
18 第2連結部
32,34,35 板状部材
36,40 ボルト
100,100a 調整装置