IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 永大産業株式会社の特許一覧

特開2024-81412フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法
<>
  • 特開-フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法 図1
  • 特開-フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法 図2
  • 特開-フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法 図3
  • 特開-フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法 図4
  • 特開-フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法 図5
  • 特開-フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法 図6
  • 特開-フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法 図7
  • 特開-フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法 図8
  • 特開-フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081412
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/82 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
E06B3/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195028
(22)【出願日】2022-12-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 4年 6月20日及び 8月 1日に、永大産業株式会社のウェブサイトにて公開 https://prosite.eidai-sangyo.co.jp/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&catalogCategoryId=&catalogId=177240200000&pageGroupId=1&volumeID=GAZOU&keyword=&designID=&designConfirmFlg= https://prosite.eidai-sangyo.co.jp/iportal/CatalogDetail.do?method=initial_screen&volumeID=GAZOU&categoryID=315580000&catalogID=178575880000&type=mc&position=6&sortKey=CatalogMajor9930000&sortOrder=DESC 令和 4年 8月19日に、永大産業株式会社大阪事業所大阪ファクトリーギャラリー展示場にて公開 令和 4年8月26日~同月27日に、第43回ジャパン建材フェアにて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】塚本 晃久
(72)【発明者】
【氏名】葭葉 司
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA10
2E016LA01
2E016LC02
2E016MA03
2E016NA04
2E016NA05
(57)【要約】
【課題】美観を向上させることができるフラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】本開示に係るフラッシュパネル1は、芯材2と、一面が前記芯材2に向くようにして該芯材2を覆っている表面材3とを備えるフラッシュパネル1において、前記表面材3の湾曲若しくは屈曲により、前記表面材3の他面に凹部(凹条11)又は凸部がシームレスに設けられていることを特徴とする。凹部(又は凸部)は人目を引くが、凹部(又は凸部)にて互いに隣り合う部材間に隙間が生じる虞がないので、フラッシュパネル1の美観を向上させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、
一面が前記芯材に向くようにして該芯材を覆っている表面材と
を備えるフラッシュパネルにおいて、
前記表面材の湾曲若しくは屈曲により、前記表面材の他面に凹部又は凸部がシームレスに設けられていることを特徴とするフラッシュパネル。
【請求項2】
前記凹部又は前記凸部は、前記表面材の一方向の全長にわたることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュパネル。
【請求項3】
夫々が前記表面材の前記一方向の全長にわたる複数の溝が前記表面材の前記一面に形成されており、
前記表面材は前記溝の形成位置で湾曲又は屈曲していることを特徴とする請求項2に記載のフラッシュパネル。
【請求項4】
前記表面材の前記他面に前記凹部が設けられており、
前記芯材の前記表面材に覆われている部分に第2の凹部が設けられており、
該第2の凹部は前記表面材の前記凹部に厚さ方向に対向していることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のフラッシュパネル。
【請求項5】
前記芯材の前記表面材に覆われている部分は、前記第2の凹部の内面も含めて前記表面材の前記一面に接着されていることを特徴とする請求項4に記載のフラッシュパネル。
【請求項6】
表面材の一面を芯材に向け、前記表面材が屈曲又は湾曲するようにして、前記表面材で芯材を覆い、
前記表面材の屈曲又は湾曲により、前記表面材の他面に凹部又は凸部をシームレスに設けることを特徴とするフラッシュパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の框組風フラッシュ建具は矩形板状をなす。框組風フラッシュ建具の両面夫々には、複数本の凹条が設けられている。複数本の凹条は框組風フラッシュ建具の短辺に沿う方向(以下、短手方向という)に並設されている。各凹条は框組風フラッシュ建具の長辺に沿う方向(以下、長手方向という)の全長にわたる。凹条の存在により、框組風フラッシュ建具の意匠性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-167101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の框組風フラッシュ建具は、芯材、表面材、及び縦框材を備える。芯材は矩形状をなす。表面材は板材であり、芯材の短手方向の中央部を、長手方向の全長にわたって覆う。縦框材は板材であり、芯材の短手方向の一端部を、長手方向の全長にわたって覆う。
芯材には凹条に対応する凹部が設けられている。表面材の縁部が、芯材の短手方向の中央部側から芯材の凹部に進入しており、凹条の内底面及び一内側面を構成している。また、縦框材の縁部が、芯材の短手方向の一端部側から芯材の凹部に進入しており、凹条の他内側面を構成している。
【0005】
つまり、凹条は複数の部材によって構成されており、部材が不連続な部分(例えば部材同士の継ぎ目)が凹条に存在する。凹条は人目を引くので、凹条にて互いに隣り合う部材間に隙間が生じると、美観が損なわれる。このような問題は、特許文献1に記載の框組風フラッシュ建具のような、凹条が設けられており、建具として用いられるフラッシュパネルに限定されず、起こり得る。
【0006】
本開示の目的は、美観を向上させることができるフラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るフラッシュパネルは、芯材と、一面が前記芯材に向くようにして該芯材を覆っている表面材とを備えるフラッシュパネルにおいて、前記表面材の湾曲若しくは屈曲により、前記表面材の他面に凹部又は凸部がシームレスに設けられていることを特徴とする。
【0008】
本開示にあっては、表面材の一面が芯材に向くようにして、表面材が芯材を覆う。
表面材の湾曲若しくは屈曲により、表面材の他面には凹部(又は凸部)がシームレスに設けられる。凹部(又は凸部)は人目を引くが、凹部(又は凸部)にて互いに隣り合う部材間に隙間が生じる虞がないので、フラッシュパネルの美観を向上させることができる。
【0009】
本開示に係るフラッシュパネルは、前記凹部又は前記凸部は、前記表面材の一方向の全長にわたることを特徴とする。
【0010】
本開示にあっては、凹部(又は凸部)が表面材の一方向の全長にわたるので、凹部(又は凸部)を容易に設けることができる。
【0011】
本開示に係るフラッシュパネルは、夫々が前記表面材の前記一方向の全長にわたる複数の溝が前記表面材の前記一面に形成されており、前記表面材は前記溝の形成位置で湾曲又は屈曲していることを特徴とする。
【0012】
本開示にあっては、表面材の一方向の全長にわたる溝を、表面材の一面に形成することにより、溝の形成位置で表面材を簡単に湾曲又は屈曲させることができる。表面材に凹条又は凸条が設けられる場合、一方向に直交する方向に、3本以上の溝が並設される。表面材に凹部又は凸部が設けられる場合、一方向に直交する方向に、2本以上の溝が並設される。
【0013】
本開示に係るフラッシュパネルは、前記表面材の前記他面に前記凹部が設けられており、前記芯材の前記表面材に覆われている部分に第2の凹部が設けられており、該第2の凹部は前記表面材の前記凹部に厚さ方向に対向していることを特徴とする。
【0014】
本開示にあっては、表面材の他面に凹部が設けられる。故に、表面材の一面には、表面材の他面の凹部に対応する凸部が生じる。
芯材には第2の凹部が設けられる。芯材の第2の凹部は、表面材に覆われている部分に位置している。また、芯材の第2の凹部は、表面材の他面の凹部に、フラッシュパネルの厚さ方向に互いに対向する。従って、芯材の第2の凹部は、表面材の他面の凹部に対応する凸部の逃げとなることが可能である。
【0015】
本開示に係るフラッシュパネルは、前記芯材の前記表面材に覆われている部分は、前記第2の凹部の内面も含めて前記表面材の前記一面に接着されていることを特徴とする。
【0016】
本開示にあっては、芯材の、表面材に覆われている部分は、表面材の一面に接着されるので、表面材を補強することができる。第2の凹部の内面も表面材の一面に接着されるので、表面材の凹部が設けられている部分も補強することができる。
【0017】
本開示に係るフラッシュパネルの製造方法は、表面材の一面を芯材に向け、前記表面材が屈曲又は湾曲するようにして、前記表面材で芯材を覆い、前記表面材の屈曲又は湾曲により、前記表面材の他面に凹部又は凸部をシームレスに設けることを特徴とする。
【0018】
本開示にあっては、本開示に係るフラッシュパネルを簡単に製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示のフラッシュパネル及びフラッシュパネルの製造方法によれば、フラッシュパネルの美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1に係るフラッシュパネルの正面図である。
図2】フラッシュパネルの平面図である。
図3】芯材の正面図である。
図4図3におけるIV-IV線による断面図である。
図5】表面材の製造手順の説明図である。
図6】表面材の製造手順の説明図である。
図7】フラッシュパネルの製造手順の説明図である。
図8】実施の形態2に係るフラッシュパネルの正面図である。
図9図8におけるIX-IX線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施の形態について説明する。
【0022】
実施の形態 1.
図1は実施の形態1に係るフラッシュパネルの正面図である。
図中1はフラッシュパネルであり、フラッシュパネル1は一方向に長い矩形状をなす。以下では、フラッシュパネル1の長手方向が上下に向き、短手方向が左右に向き、厚さ方向が前後に向くものとして説明する。
フラッシュパネル1は上下対称、左右対称、且つ前後対称の構成を有する。フラッシュパネル1は、取っ手又は支持脚等が取り付けられることにより、建具又は衝立等として用いられる。
【0023】
図2はフラッシュパネル1の平面図である。
図1及び図2に示すように、フラッシュパネル1の前面には凹条11(凹部)が設けられている。凹条11は、フラッシュパネル1の左右方向の中央部に配されており、フラッシュパネル1の上下方向の全長にわたって延びている。凹条11の横幅(左右方向の長さ)は、例えばフラッシュパネル1の横幅(左右方向の長さ)の長さの1/3程度である。凹条11の深さ(前後方向の長さ)は、例えばフラッシュパネル1の厚さの1/5~1/4程度である。凹条11の内底面11aは、上下左右に延びる平面である。凹条11の左内側面11b及び右内側面11c夫々は、内底面11aに比べて凹条11の開口が左右に広くなる方向に傾斜している凹曲面である。
同様に、フラッシュパネル1の後面にも凹条11が設けられている。
【0024】
フラッシュパネル1は芯材2及び2つの表面材3を備える。
図3は芯材2の正面図である。
芯材2は枠体4を備える。枠体4は矩形枠であり、夫々が上下に延びる左右2本の縦枠41と、夫々が左右に延びる上下2本の横枠42を備える。図2及び図3に示すように、縦枠41及び横枠42夫々は矩形断面を有する棒体である。2本の縦枠41と2本の横枠42とは、縦勝ちになるようにして互いに固定されている。縦枠41の前面(及び後面)は、隣り合う横枠42の前面(及び後面)と面一である。
【0025】
横枠42の前面及び後面夫々には凹部421(第2の凹部)が設けられている。凹部421は、凹条11の内底面11aに対応する平面と、左内側面11bに対応する凹曲面と、及び右内側面11cに対応する凹曲面とを有する。凹部421の位置と寸法とは凹条11の位置と寸法とに対応する。
【0026】
図3に示すように、芯材2は2本の縦桟21と27本の横桟22とを更に備える。縦桟21及び横桟22は枠体4の内側にて直接的又は間接的に枠体4に固定されている。縦桟21及び横桟22は枠体4を補強する。
2本の縦桟21は左右に並設されている。各縦桟21は上下に延び、2本の横枠42にわたり、これらに固定されている。
【0027】
図4図3におけるIV-IV線による断面図である。
図3及び図4に示すように、縦桟21は概ね矩形の断面を有する棒体である。縦桟21の前面及び後面夫々には凹部211(第2の凹部)が設けられている。左側の縦桟21に設けられている凹部211について、凹部211は、凹条11の内底面11aの左縁部に対応する平面と、左内側面11bに対応する凹曲面とを有する。また、凹部211の位置と寸法とは、凹条11の左内側面11b及び内底面11aの左縁部の位置と寸法とに対応する。同様に、右側の縦桟21に設けられている凹部211は、凹条11の内底面11aの右縁部に対応する平面と右内側面11cに対応する凹曲面とを有する。
【0028】
前側(及び後側)の凹部211の内面を含む縦桟21の前面(及び後面)は、前側(及び後側)の凹部421の内面を含む横枠42の前面(及び後面)と面一である。
【0029】
各横桟22は矩形断面を有する棒体であり、左右に延びる。27本の内、9本の横桟22夫々は、左側の縦桟21と左側の縦枠41とにわたり、これらに固定されている。同様に、他の9本の横桟22夫々は、右側の縦桟21と右側の縦枠41とにわたり、これらに固定されている。更に他の9本の横桟22夫々は、2本の縦桟21にわたり、これらに固定されている。
縦桟21と縦枠41との間にある横桟22の前後方向の長さは、縦桟21の前後方向の最大長さ以下であればよい。一方、2本の縦桟21の間にある横桟22の前後方向の長さは、縦桟21の前後方向の最小長さに等しく、2本の縦桟21の間にある横桟22の前面(及び後面)は、前側(及び後側)の凹部421の内底面と面一である。
【0030】
図2に示すように、2つの表面材3は芯材2を覆っている。図の見易さのために、図2に示す表面材3の厚さは誇張されている。
2つの表面材3の内、一方の表面材3は、芯材2の前面を全体的に前側から覆っていると共に、芯材2の左右両端面夫々の前縁部を全体的に左右両側から覆っている。この表面材3は、前側の凹部421の内面を含む枠体4の前面と、枠体4の左右両端面夫々の前縁部と、前側の凹部211を含む縦桟21の前面と、2本の縦桟21の間にある横桟22の前面とに接着されている。
同様に、他方の表面材3は、芯材2の後面を後側から覆うと共に、芯材2の左右両端面夫々の後縁部を左右両側から覆っており、芯材2の後面と芯材2の左右両端面夫々の後縁部とに接着されている。
【0031】
芯材2の左端面において、前側の表面材3と後側の表面材3との間には見切り材12が介在している。見切り材12は、芯材2の上下方向の全長にわたって延びる棒材である。芯材2の左端面には、上下方向の全長にわたるようにして嵌め込み溝23が設けられている。嵌め込み溝23に見切り材12の右半分が嵌め込まれることにより、見切り材12は芯材2の左端面に固定されている。見切り材12の左側面は、表面材3の左側面と面一であるか、表面材3の左側面よりも左側に突出した位置にあることが望ましい。
同様に、芯材2の右端面において、前側の表面材3と後側の表面材3との間に見切り材12が介在している。
【0032】
図4にも表面材3が示されている。図の見易さのために、図4においては表面材3が芯材2から離れており、表面材3の厚さは誇張されている。
以下では、2つの表面材3の内、前側の表面材3を例示して説明する。後側の表面材3の構成は、前側の表面材3の構成と前後対称である。
【0033】
表面材3は矩形板31及び2つの帯板32を一体に備える。矩形板31及び各帯板32夫々の長手方向は上下に向く。矩形板31は、芯材2の前面を全体的に前側から覆っている部分であり、2つの帯板32は、芯材2の左右両端面夫々の前縁部を全体的に左右両側から覆っている部分である。
左側(右側)の帯板32は、矩形板31の左辺(右辺)から後向きに突出している。即ち表面材3は、矩形板31と2つの帯板32夫々との境界部分において直角に屈曲している。
【0034】
表面材3は、各1枚の板本体3a及び化粧シート3bで構成されている。板本体3aは木材製であり、例えばMDF(中密度繊維板)である。板本体3aの厚さは、例えば2.5mmである。化粧シート3bは板本体3aの一面に接着されている。化粧シート3bは、例えば木目柄が印刷された防湿紙であり、板本体3aの一面を全体的に化粧している。防湿紙製の化粧シート3bは板本体3aの反りを抑制する。化粧シート3bの厚さは、例えば0.2mmである。
【0035】
以下では、化粧シート3b側の面を化粧面といい、化粧面の裏面を非化粧面という。芯材2は表面材3の非化粧面に接着されている。
表面材3の非化粧面において、矩形板31と各帯板32との境界部分には、上下に延びる溝33が設けられている。溝33は、表面材3の上下方向の全長にわたる。表面材3は、溝33の形成位置で、溝33の開口の横幅が狭まるようにして90°に屈曲している。
溝33の深さ(矩形板31の厚さ方向の長さ)は、例えば2.3mmである。
【0036】
表面材3の矩形板31の湾曲により、表面材3の前面に凹条11が設けられている。一方、表面材3の後面には、凹条11に対応する凸条が生じている。各縦桟21の前側の凹部211は、凹条11に前後方向に対向しており、各縦桟21の前側の凹部211の内面は、凹条11の外面(凹条11の内面の裏面)に接着されている。同様に、2本の縦桟21の間にある各横桟22の前面は、凹条11の外面に接着されている。各横枠42の前側の凹部421の内面は、凹条11の外面に接着されている(図2参照)。
【0037】
芯材2の、表面材3に覆われている部分は、表面材3の非化粧面に接着されるので、表面材3を補強することができる。しかも、縦桟21、2本の縦桟21の間にある横桟22、及び横枠42は、表面材3の凹条11が設けられている部分を特に補強することができる。
【0038】
凹条11の外底面(内底面11aの裏面)と左外側面(左内側面11bの裏面)との境界部分には溝34が設けられている。凹条11の左外側面には、2本の溝35が左右に並設されている。凹条11の左外側面と表面材3の後面との境界部分には溝36が設けられている。つまり溝34,35夫々は凹条11の内面に対応する位置に設けられており、溝36は凹条11の内外の境界に対応する位置に設けられている。溝34~36夫々は溝33と同様の構成である。表面材3は、溝34,35夫々の開口の横幅が広がり、溝36の開口の横幅が狭まるようにして、湾曲している。
【0039】
以上のようなフラッシュパネル1の場合、凹条11の内面は全体的に連続しており、且つ、表面材3の前面に連続している。つまり、凹条11には、部材同士の継ぎ目のような、部材が不連続な部分は存在しない。換言すれば、凹条11はシームレスに設けられている。凹条11は人目を引くが、凹条11にて互いに隣り合う部材間に隙間が生じる虞がないので、フラッシュパネル1の美観を向上させることができる。
表面材3の化粧面における矩形板31と帯板32との境界部分にも、部材が不連続な部分は存在しない。
【0040】
以上の結果、特に木目柄が化粧シート3bに印刷されている場合、使用者には、フラッシュパネル1が、一面に凹条11が彫り込まれた無垢板であるかのように見える。故に、フラッシュパネル1の意匠性を向上させることができる。
【0041】
次に、フラッシュパネル1の製造手順を説明する。
作業者は、2本の縦桟21、27本の横桟22、2本の縦枠41、及び2本の横枠42を準備する。各縦桟21には2つの凹部211が予め設けられている。各横枠42には2つの凹部421が予め設けられている。作業者は2本の縦枠41及び2本の横枠42を用いて枠体4を組み立て、枠体4に2本の縦桟21を固定し、縦枠41と縦桟21との間、及び2本の縦桟21の間に計27本の横桟22を固定することによって、芯材2を形成する(図3参照)。
【0042】
図5及び図6は表面材3の製造手順の説明図である。
作業者は、一方向に長い矩形状の板本体3aの一面に化粧シート3bを接着することによって、表面材30を形成する(図5A参照)。以下では、板本体3aの長手方向が上下に向き、短手方向が左右に向き、厚さ方向が前後に向くものとして説明する。
【0043】
表面材30の形成後、作業者は表面材30の非化粧面に合計10本の溝33~36を、例えばVカット加工によって形成する(図5B参照)。溝33~36の形成時に、作業者は溝33~36夫々が上下方向の全長にわたるようにし、溝33~36が左右対称に配されるようにする。左側(右側)の溝34~36は例えば等配される。溝33~36夫々の横幅は、例えば2~3mmである。左側(右側)の溝34と左側(右側)の溝36との離隔距離は、例えば50mmである。
【0044】
溝33~36の形成後、作業者は、溝33~36を利用して表面材30を屈曲及び湾曲させることにより、表面材3を形成する(図6参照)。具体的には、作業者は、表面材30を溝33の形成位置で屈曲させることにより、表面材30の左右方向の中央部分を矩形板31となし、表面材30の左右方向の両縁部分を2つの帯板32となす。また、作業者は、表面材30の溝34から溝36までの範囲を湾曲させることにより、凹条11を形成する。
作業者は、1つの芯材2に対して2つの表面材3を形成する。
【0045】
表面材3の厚さ、溝33~36夫々の深さ及び横幅、溝35の本数、並びに溝34と溝36との離隔距離等の数値は、上述の例に限定されない。
ただし、表面材3の厚さに対して溝33~36夫々の深さが大きすぎる場合、溝33~36夫々の底部が薄くなりすぎるので、表面材3の機械的強度が低下する。一方、表面材3の厚さに対して溝33~36夫々の深さが小さすぎる場合、溝33~36夫々の底部が厚くなりすぎるので、表面材3が湾曲又は屈曲しにくくなる。
【0046】
溝33~36夫々の横幅は、例えば溝33~36夫々を形成するために用いられる切断用具の寸法(例えば丸鋸の刃厚)以上であればよい。これらの横幅が狭すぎれば表面材3が湾曲又は屈曲しにくく、広すぎれば表面材3の機械的強度が低下する。
左側(右側)の溝34,36間に設けられる溝35の本数が多いほど、凹条11の左内側面11b(右内側面11c)を滑らかな凹曲面にすることができるが、表面材3の機械的強度が低下する。
左側(右側)の溝34,36間の長さが短いほど、凹条11の左内側面11b(右内側面11c)の曲率を大きくすることができるが、表面材3の機械的強度が低下する。
【0047】
芯材2及び2つの表面材3の形成後、作業者は、芯材2の両面及び左右両端面と、各表面材3の非化粧面とに接着剤を塗布する。表面材3の非化粧面に対する接着剤の塗布時には、表面材3の屈曲及び湾曲を解消して表面材3を一時的に表面材30の状態に戻すことが望ましい。
なお、表面材30への溝33~36の形成後、表面材30の非化粧面に接着剤を塗布してから表面材30を屈曲及び湾曲させて表面材3を形成してもよい。
また、接着剤の塗布は、芯材2及び表面材3の一方のみに行なわれてもよい。
【0048】
図7はフラッシュパネル1の製造手順の説明図である。
接着剤の塗布後、作業者は、2つの表面材3の内、一方の非化粧面を芯材2に向け、矩形板31で芯材2の前面を覆い、2つの帯板32で芯材2の左右両端面の前縁部を覆う。また、作業者は、他方の非化粧面を芯材2に向け、矩形板31で芯材2の後面を覆い、2つの帯板32で芯材2の左右両端面の後縁部を覆う。
【0049】
2つの表面材3で芯材2を覆った後、作業者は、プレス機を用いて前後左右から表面材3を芯材2に押し付けることにより、各表面材3を芯材2に接着する。このとき、作業者は、芯材2及び表面材3を前後両側から2つの治具51で挟み、左右両側から2つの治具52で挟む。
各治具51は芯材2の一面を全体的に覆うことが可能な板状をなし、治具51の一面には、凹条11に対応する凸条511が設けられている。凸条511の外径は凹条11の内径に等しい。2つの治具51で芯材2及び表面材3を挟む場合、作業者は凸条511を凹条11に挿入する。
各治具52は芯材2の左端面(又は右端面)を全体的に覆うことが可能な板状をなす。
【0050】
芯材2に対する表面材3の圧締の際はコールドプレスが行われるが、ホットプレスが行われてもよい。プレス機による圧締は、例えばプレス圧力3トン、プレス時間30分という条件で行なわれる。
2つの表面材3を芯材2に接着した後、作業者は、芯材2の各嵌め込み溝23の内面に接着剤を塗布して、嵌め込み溝23に見切り材12を嵌め込む。
【0051】
以上のようなフラッシュパネル1の製造方法の場合、表面材30の非化粧面に溝34~36を形成することにより、表面材30の溝34から溝36までの範囲を湾曲させて、凹条11を簡単に設けることができる。
なお、凹条11の形成は溝34~36の形成によるものに限定されない。例えば、表面材30を加熱して湾曲させることにより、凹条11が形成されてもよい。
【0052】
凹条11の外面に縦桟21の凹部211及び横枠42の凹部421夫々の内面が接着されるので、表面材30に対する加圧時に、凹条11に対応する凸条を、縦桟21及び横枠42によって支持することができる。故に、凹条11の歪み、位置ずれ等を防止することができる。
凹条11の外面と縦桟21の凹部211及び横枠42の凹部421夫々の内面とが接着されない場合、凹部211,凹部421は、凹条11に対応する凸条の逃げとして用いられてもよい。
【0053】
なお、フラッシュパネル1は上下対称、左右対称、又は前後対称に限定されない。凹条11の形成位置はフラッシュパネル1の左右方向の中央部に限定されない。例えば前側の凹条11は左右方向の中央部よりも左側に位置し、後側の凹条11は左右方向の中央部よりも右側に位置してもよい。凹条11の本数は1本に限定されない。凹条11の長手方向は上下方向に限定されない。また、2つの表面材3の内の一方のみに凹条11が設けられてもよい。凹条11の左内側面11b及び右内側面11c夫々は、凹曲面に限定されず、凸曲面、平坦な傾斜面、又は内底面11aに垂直な平面等でもよい。例えば凹条11の左内側面11bが平坦な傾斜面、又は内底面11aに垂直な平面である場合、2本の溝35は不要である。即ち、表面材3の湾曲も屈曲もしない部分に溝を設ける必要はない。
【0054】
表面材3には凹条11に替えて、凸条が設けられてもよい。この場合、表面材3は、例えば溝34,35夫々の開口の横幅が狭まり、溝36の開口の横幅が広がるようにして、湾曲する。表面材3の後面には凸条に対応する凹条が生じるので、縦桟21及び横枠42には、凹部211,421に替えて、凹条に挿入される凸部が設けられることが望ましい。
表面材3には凹条11に替えて、段状の凹部が設けられてもよい。段状の凹部は、例えばフラッシュパネル1の長辺に沿って設けられる。本実施の形態のフラッシュパネル1の場合、左右方向の両縁部に1つずつ段状の凸部が設けられている、とも言える。
【0055】
表面材3の反りを更に抑制するために、表面材3の非化粧面にも防湿紙が接着されていることが望ましい。
化粧シート3bは防湿紙に限定されず、オレフィンシート又は突板等でもよい。
表面材3は板本体3a及び化粧シート3bで構成されるものに限定されず、例えば板本体3aの一面に塗装が施されたものでもよい。
芯材2において、縦桟21の本数は2本に限定されず、横桟22の本数は27本に限定されない。芯材2の各部材は木材製(無垢材製又は木質材製)でも非木材製(金属製又は合成樹脂製等)でもよい。芯材2には木材製の部材と非木材製の部材とが混在していてもよい。
【0056】
実施の形態 2.
図8は実施の形態2に係るフラッシュパネル1の正面図である。
フラッシュパネル1には、2つの嵌め殺し窓13が設けられている。図の見易さのために、図8に示す嵌め殺し窓13にはハッチングが施されている。2つの嵌め殺し窓13は凹条11の左右両側に位置している。各嵌め殺し窓13は矩形状をなし、フラッシュパネル1の上下方向の全長にわたって延びている。嵌め殺し窓13の存在により、フラッシュパネル1は採光性を有し、フラッシュパネル1の意匠性が向上する。
【0057】
フラッシュパネル1は、パネルユニット14、2つのパネルユニット15、及び2枚の透光板16を備える。
パネルユニット14は一方向に長い矩形板状をなし、長手方向が上下に向き、短手方向が左右に向く。パネルユニット14は、実施の形態1のフラッシュパネル1に類似する構成を有する。
【0058】
図9図8におけるIX-IX線による断面図である。
図8及び図9に示すように、パネルユニット14は、実施の形態1のフラッシュパネル1とは異なり、縦桟21と縦枠41とにわたる横桟22、及び見切り材12を備えていない。また、枠体4の横幅は、実施の形態1の枠体4の横幅よりも短い。
芯材2は2つの挟持体24を備える。2つの挟持体24は枠体4の左右両端面に1つずつ固定されている。各挟持体24は前後2つの挟持用部材241を備える。挟持用部材241は棒材であり、上下に延びる。
2つの表面材3は、2つの挟持体24も含めて芯材2を前後左右から覆っている。
【0059】
各パネルユニット15は帯板状をなし、長手方向の長さ及び厚さがパネルユニット14の上下方向の長さ及び厚さに等しい。2つのパネルユニット15は、長手方向が上下に向き、短手方向が左右に向くようにして、パネルユニット14の左右両側に配されている。
パネルユニット15は、枠体4、挟持体24、及び表面材151を備える。枠体4の横幅は、パネルユニット14の枠体4の横幅よりも更に短い。枠体4の2本の縦枠41の内、パネルユニット14に近い方の縦枠41に、嵌め込み溝23が設けられており、且つ、挟持体24が固定されている。表面材151は表面材30と同様の構成の板材を4ヶ所で屈曲させたものであり、挟持体24も含めて枠体4を前後左右から覆っている。
【0060】
各透光板16は帯板状をなし、長手方向の長さがパネルユニット14の上下方向の長さに等しく、厚さがパネルユニット14の厚さよりも小さい。透光板16の長手方向は上下に向き、短手方向は左右に向く。2枚の透光板16の内、一方がパネルユニット14の左端面と左側のパネルユニット15の右端面との間に介在し、他方がパネルユニット14の右端面と左側のパネルユニット15の左端面との間に介在している。
【0061】
透光板16の左右方向の両縁部には嵌め込み具161が取り付けられている。透光板16は、左右2つの嵌め込み具161がパネルユニット14,15夫々の嵌め込み溝23に嵌め込まれ、左右両縁部夫々が挟持体24の2つの挟持用部材241に前後から挟み持たれることにより、互いに隣り合うパネルユニット14,15に固定されている。互いに隣り合うパネルユニット14,15の間にて、透光板16は嵌め殺し窓13の窓ガラスとして機能する。なお、透光板16はガラス製に限定されない。
【0062】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。更に、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 フラッシュパネル
11 凹条(凹部)
2 芯材
211 凹部(第2の凹部)
3 表面材
30 表面材
33~36 溝
421 凹部(第2の凹部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9