(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081417
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】底面給水式植木鉢及び底面給水式植木鉢用給水装置
(51)【国際特許分類】
A01G 27/00 20060101AFI20240611BHJP
A01G 27/02 20060101ALI20240611BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20240611BHJP
【FI】
A01G27/00 504B
A01G27/00 502G
A01G27/02 B
A01G9/02 101W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195035
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 隆
(72)【発明者】
【氏名】竹川 秀人
(72)【発明者】
【氏名】松畑 大樹
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327NC56
2B327UA15
2B327VA20
(57)【要約】
【課題】水位センサの取り外し及びメンテナンスが容易である底面給水式植木鉢を提供する。
【解決手段】鉢本体10と、鉢本体10に着脱可能であり、鉢本体10内に装着することによって鉢本体10の内部空間を土壌槽Bと貯水槽Cに分ける中底板12と、貯水槽Cに貯えられている水の水位を検知する水位センサ16と、鉢本体10の開口Aから貯水槽Cに亘って水位センサ16が配置される空間Dと土壌槽Bとを仕切る仕切管14と、を備える底面給水式植木鉢100とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉢本体と、
前記鉢本体に着脱可能であり、前記鉢本体内に装着することによって前記鉢本体の内部空間を土壌槽と貯水槽に分ける中底板と、
前記貯水槽に貯えられている水の水位を検知する水位センサと、
前記鉢本体の開口から前記貯水槽に亘って前記水位センサが配置される空間と前記土壌槽とを仕切る仕切管と、
を備えることを特徴とする底面給水式植木鉢。
【請求項2】
請求項1に記載の底面給水式植木鉢であって、
前記仕切管は、前記開口から前記貯水槽へ水を供給する給水管を兼ねていることを特徴とする底面給水式植木鉢。
【請求項3】
請求項2に記載の底面給水式植木鉢であって、
前記仕切管内の空間を、前記水位センサが配置される空間と前記給水管となる空間とを仕切るカバーを設けたことを特徴とする底面給水式植木鉢。
【請求項4】
請求項1に記載の底面給水式植木鉢であって、
前記仕切管は、前記中底板に設けられた切り欠き部又は穴に装着されることによって固定されることを特徴する底面給水式植木鉢。
【請求項5】
請求項1に記載の底面給水式植木鉢であって、
前記水位センサによって検知された検知水位値を表示する水位レベル表示部を備えることを特徴とする底面給水式植木鉢。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の底面給水式植木鉢を搭載して自走が可能な底面給水式植木鉢用給水装置であって、
前記水位センサによって検知された検知水位値に応じて給水部に自走で移動し、前記給水部から給水を受けることを特徴とする底面給水式植木鉢用給水装置。
【請求項7】
請求項6に記載の底面給水式植木鉢用給水装置であって、
前記検知水位値が基準低水位値以下となった場合に前記給水部から給水を開始し、前記検知水位値が基準高水位値以上となった場合に前記給水部からの給水を停止することを特徴とする底面給水式植木鉢用給水装置。
【請求項8】
請求項6に記載の底面給水式植木鉢用給水装置であって、
人感センサを備え、
前記人感センサによって人体が検知されている場合、前記検知水位値に応じて当該人体に対して給水を要求し、
前記人感センサによって人体が検知されていない場合、前記検知水位値に応じて前記給水部に自走で移動して給水を行うことを特徴とする底面給水式植木鉢用給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面給水式植木鉢及び底面給水式植木鉢用給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉢を据え置く鉢置部の上に、不織布、スポンジ、起毛布等から成る保水性マットを敷き、鉢置部の下側に設けた貯水部の貯留水を毛細管作用を有する水吸上材を介して保水性マットに補給し、その吸蔵水を鉢の底孔を通して培養土に吸い上げさせる植物への自動給水方法が開示されている(特許文献1)。
【0003】
また、鉢部、鉢部の下方に配置された給水タンク部、給水タンク部より鉢部へ水を供給する手段、鉢部に供給された水を給水タンク部へ戻す手段を備えた自動給水鉢において、給水タンク部に複数の電極を設置して水を介して導通度を検知することにより水位検知をできるようにすると共に、自動給水を行っている時と水位確認のためスイッチを押した時だけ複数の電極に通電するようにした自動給水鉢が開示されている(特許文献2、3)。
【0004】
また、水を貯水するための水タンク、貯水室、および給水タンクが備えられており、水位センサで水を検知し、必要に応じて制御部で電動ポンプをコントロールして水が給水される給水鉢が開示されている(特許文献4~6)。
【0005】
また、貯水タンクの上面に密閉性が高く着脱自在のキャップを持つ水の補給口を設け、下面には、弁装置により開閉する給水口を設け、キャップを締めたときに給水口が開き、キャップをはずしたときに給水口が閉じて、給水を調節する植木鉢が開示されている(特許文献7)。
【0006】
また、窓を設けた外鉢、外鉢に挿入が容易なライナ-、水位により浮くフロ-ト、土壌プラットフォーム、配水路からなり、水面でフロ-トが上下して水位を視覚化できる底面給水鉢が開示されている(特許文献8)。
【0007】
また、植物が植え込まれた鉢本体内の水位センサ等で水位等の異常時に音声メッセージ等を発生させて報知する報知器と、各種センサからの検出信号に基づいて報知器を作動制御する制御機構とから成る音声発生装置を、鉢本体に一体に組み込んだ音声発生装置を備えた植木鉢が開示されている(特許文献9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-267019号公報
【特許文献2】実開平04-91653号公報
【特許文献3】実開平04-088252号公報
【特許文献4】特開2004-008169号公報
【特許文献5】特開2002-119142号公報
【特許文献6】特開平04-229109号公報
【特許文献7】特開2003-259735号公報
【特許文献8】米国特許第5,921,025号公報
【特許文献9】特開平02-200123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、鉢底の貯水部の水を検知する機能がない構造では、水が無くなっているのに気が付かず、植物にダメージを与えてしまう可能性がある。また、鉢の内部にセンサの電極部を固定した構造では、センサの電極部を鉢から容易に取り外すことができず、センサに対するメンテナンスが容易ではない。
【0010】
鉢の内部に電動ポンプや電気制御部を設けた構成では、鉢自体の内部の構造が複雑になり、鉢の重量も増大する。また、水タンク、貯水室、および給水タンクに備えられた水位センサの取り出しも難しい構造になっており、水位センサの劣化した場合等においてユーザによるセンサの取り換えが容易ではない。
【0011】
また、水位の表示がフロート式である構造では、水位を人が確認しなければ水の有無がわからず、水を自動で給水することができない。また、水位の異常を音声で発信する構成としても、人がいなければ給水が行われることはない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの態様は、鉢本体と、前記鉢本体に着脱可能であり、前記鉢本体内に装着することによって前記鉢本体の内部空間を土壌槽と貯水槽に分ける中底板と、前記貯水槽に貯えられている水の水位を検知する水位センサと、前記鉢本体の開口から前記貯水槽に亘って前記水位センサが配置される空間と前記土壌槽とを仕切る仕切管と、を備えることを特徴とする底面給水式植木鉢である。
【0013】
ここで、前記仕切管は、前記開口から前記貯水槽へ水を供給する給水管を兼ねていることが好適である。
【0014】
また、前記仕切管内の空間を、前記水位センサが配置される空間と前記給水管となる空間とを仕切るカバーを設けたことが好適である。
【0015】
また、前記仕切管は、前記中底板に設けられた切り欠き部又は穴に装着されることによって固定されることが好適である。
【0016】
また、前記水位センサによって検知された検知水位値を表示する水位レベル表示部を備えることが好適である。
【0017】
本発明の別の態様は、上記の底面給水式植木鉢を搭載して自走が可能な底面給水式植木鉢用給水装置であって、前記水位センサによって検知された検知水位値に応じて給水部に自走で移動し、前記給水部から給水を受けることを特徴とする底面給水式植木鉢用給水装置である。
【0018】
ここで、前記検知水位値が基準低水位値以下となった場合に前記給水部から給水を開始し、前記検知水位値が基準高水位値以上となった場合に前記給水部からの給水を停止することが好適である。
【0019】
また、人感センサを備え、前記人感センサによって人体が検知されている場合、前記検知水位値に応じて当該人体に対して給水を要求し、前記人感センサによって人体が検知されていない場合、前記検知水位値に応じて前記給水部に自走で移動して給水を行うことが好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、水位センサの取り外し及びメンテナンスが容易である底面給水式植木鉢及び底面給水式植木鉢用給水装置を提供することができる。また、当該水位センサによる水位の検知に応じて人による給水又は自動の給水を行うことができる底面給水式植木鉢用給水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態における底面給水式植木鉢の構成を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態における底面給水式植木鉢の構成を示す断面構造図である。
【
図3】本発明の実施の形態における底面給水式植木鉢の構成を示す上面図である。
【
図4】本発明の実施の形態における仕切管、水位センサ及びカバーの構成を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態における仕切管及び水位センサの構成例を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態における底面給水式植木鉢用給水システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】本発明の実施の形態における底面給水式植木鉢用給水システムを構成する底面給水式植木鉢及び底面給水式植木鉢用給水装置を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態における底面給水式植木鉢用給水システムを構成する底面給水式植木鉢用給水装置及び給水部を示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態における底面給水式植木鉢用給水装置の水位レベル表示部と音声発信部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態における底面給水式植木鉢100は、
図1の分解斜視図に示すように、鉢本体10、中底板12及び仕切管14を含んで構成される。
図2は、底面給水式植木鉢100の内部構造を示す。
図3は、底面給水式植木鉢100を上面からみた内部構造を示す。
図4は、仕切管14と共に配置される水位センサ16a及びカバー18を示す分解斜視図である。
【0023】
鉢本体10は、上面に開口Aを有し、植物を植栽するために土壌を入れるための内部空間を有する容器である。鉢本体10の材質、形状及びサイズは特に限定されるものではない。
【0024】
中底板12は、脚部12aを備えた板状部12bを備えた部材である。中底板12は、鉢本体10の内部空間を土壌槽Bと貯水槽Cとに仕切るために用いられる。鉢本体10内において脚部12aを支えとして中底板12を配置することで、板状部12bによって鉢本体10の内部空間が土壌槽Bと貯水槽Cとに仕切られる。このとき、板状部12bは、脚部12aによって支えられた位置において板状部12bの外周が鉢本体10の内周に沿った状態となる形状及び大きさとすることが好適である。土壌槽Bは、貯水槽Cより上部に設けられ、植物を植栽するための土壌が入れられる。貯水槽Cは、土壌槽Bに対して供給される水を蓄える。本実施の形態では、4つの脚部12aが設けられた例を示したが、脚部12aの個数は特に限定されるものではなく、板状部12bを安定して支えられればよい。
【0025】
脚部12aは、板状部12bから突き出した中空の窪みをもった構造を有する。脚部12aには、中空部分まで貫通した給水穴12cが設けられる。給水穴12cは、土壌槽Bに入れられた土壌に対して貯水槽Cから水を供給するために用いられる。具体的には、土壌は、例えば、土壌槽Bの容積の80%~90%まで入れることが好適である。このとき、土壌槽Bから脚部12aの窪みに給水穴12cを通過できない大きさの小石を入れた後、土壌槽Bに土壌を入れることが好適である。例えば、給水穴12cは、幅3mm以上10mm以下を有するスリット穴とすることが好適である。この場合、脚部12aの窪みには当該スリット穴を通過しない大きさの小石、例えば5mm以上15mm以下の小石を入れることが好適である。これによって、土壌槽Bに土壌を入れても、給水穴12cを通じて土壌は貯水槽Cに入りにくくされ、貯水槽Cに土壌が入らない状態で鉢本体10の内部空間を中底板12によって土壌槽Bと貯水槽Cに仕切ることができる。また、給水穴12cを介して貯水槽Cに貯えられた水を土壌槽Bの土壌に供給することができる。
【0026】
また、中底板12には、仕切管14を取り付けるための切り欠き部12dが設けられる。切り欠き部12dは、中底板12の外周部の一部を除去した部分である。
【0027】
仕切管14は、鉢本体10の開口Aから貯水槽Cに亘って水位センサ16aが配置される空間Dと土壌槽Bとを仕切る部材である。本実施の形態では、仕切管14は、鉢本体10の開口Aから貯水槽Cに亘る長さを有する管の一部を軸方向に沿って除去した半管形状を有する。なお、仕切管14の一部が貯水槽Cへ突き出すような構成としてもよい。
【0028】
仕切管14の端部14aは、鉢本体10内に配置された中底板12の切り欠き部12dに開口A側から貯水槽C側へ向けて押し込まれる。これによって、鉢本体10に仕切管14が固定される。半管形状の仕切管14の側面は鉢本体10の内壁に沿う形状とされており、仕切管14の側面と鉢本体10の内壁によって土壌槽Bから仕切られた管状の空間Dが形成される。空間Dには水位センサ16aが配置される。また、空間Dは、貯水槽Cへ水を供給するための給水管としても利用される。なお、仕切管14の開口A側の端部に爪状の係止部14bを設け、鉢本体10の開口Aの縁に対して係止部14bを引っ掛けることによって鉢本体10に対して仕切管14を係止させてもよい。
【0029】
水位センサ16aは、水位センサ16a、満水位センサ16b及びコネクタ16cを含んで構成される。水位センサ16aは、貯水槽Cに貯えられた水の水位を検知して検知水位値として出力する。水位センサ16aは、コネクタ16cを介して信号線に接続される。水位センサ16aは、一対の電極棒(例えば、長さ50~100mm)で構成され、電極棒の下端が貯水槽Cの底に触れる位置に配置される。このように、貯水槽Cに貯えられた水位が0の状態から水に浸かる部分が長くなるほど、水位センサ16aの電極棒の電気伝導度が上がる(抵抗値が下がる)ため、電極棒で貯水槽Cの水位のセンシングが可能である。満水位センサ16bは、貯水槽Cに貯えられた水の水位が予め定められた満水位に到達した場合に満水検知信号を出力する。満水位センサ16bは、中底板12の上面に合わせて電極棒(例えば、長さ10mm)が設置され、中底板12の上面の満水位まで水面が達すると急激に抵抗値が下がり、水位が満水に到達したことを検知する。
【0030】
図5は、仕切管14の内部に水位センサ16aを配置した構成例を示す。水位センサ16aは、仕切管14によって土壌槽Bから仕切られた空間Dに配置される。
【0031】
カバー18は、空間Dにおいて水位センサ16aが配置された部分を覆い、他の部分と仕切る部材である。カバー18によって仕切られた空間Dの水位センサ16aが配置されていない残りの部分は、開口Aから貯水槽Cへ水を供給する給水管として利用することができる。すなわち、開口A側から仕切管14に対して水を注入すると、中底板12の切り欠き部12dを通じて貯水槽Cへ水を供給することができる。このとき、カバー18によって空間Dを水位センサ16aが配置された空間と給水管として利用する空間を仕切っておくことによって、水を注入する際に水が水位センサ16a及び満水位センサ16bに接触して誤動作することを防ぐことができる。
【0032】
また、仕切管14には、土壌槽Bと空間Dとを繋ぐ通気口14cを設けることが好適である。貯水槽Cに水が溜まってくると、仕切管14とカバー18との間にも水が浸入してくるので、通気口14cを設けることによって内部の空気を排気することができる。
【0033】
このように、仕切管14によって土壌槽Bから仕切られた空間Dに水位センサ16aを配置することによって、カバー18を外すだけで鉢本体10の開口A側から水位センサ16aを容易に着脱することが可能である。したがって、水位センサ16aの取り外し、メンテナンス及び交換を容易にすることができる。
【0034】
なお、本実施の形態では、カバー18を用いて仕切管14の内部を水位センサ16aの空間と給水管の空間とに仕切ったが仕切管14と給水管を別に設ける構成としてもよい。また、仕切管14を半管形状としたが、完全な管形状としてその内部空間に水位センサ16aを配置する構成としてもよい。この場合、仕切管14には、切り欠き部12dの代わりに中底板12に穴を空けて、当該穴に仕切管14を差し込んで固定するようにしてもよい。
【0035】
図6は、本発明の実施の形態における底面給水式植木鉢用給水システムの機能ブロック図を示す。底面給水式植木鉢用給水システムは、
図7に示すように、底面給水式植木鉢100を搭載する底面給水式植木鉢用給水装置200を含んで構成される。また、底面給水式植木鉢用給水システムは、
図8に示すように、底面給水式植木鉢100へ水を供給する給水部300を含んで構成される。
【0036】
底面給水式植木鉢用給水装置200は、
図7に示すように、底面給水式植木鉢100を搭載するための装着部50を備える。装着部50は、底面給水式植木鉢100の外形に沿って窪んだ形状とすることが好適である。底面給水式植木鉢100は、底面給水式植木鉢用給水装置200の装着部50に装着される。
【0037】
制御部20は、底面給水式植木鉢用給水装置200を統合的に制御する手段を含む。制御部20は、メモリ等の記憶手段にアクセス可能なコンピュータで構成することができる。制御部20は、底面給水式植木鉢100の水位センサ16a及び満水位センサ16bによって得られる検知水位値及び満水検知信号に応じて底面給水式植木鉢用給水装置200を制御する。
【0038】
また、底面給水式植木鉢用給水装置200は、搭載した底面給水式植木鉢100を移動させるための動力部26を備える。すなわち、底面給水式植木鉢用給水装置200は、制御部20による移動制御によって底面給水式植木鉢100を搭載した状態で自走して移動することができる。
【0039】
底面給水式植木鉢用給水装置200の制御部20は、底面給水式植木鉢100に設けられた水位センサ16a及び満水位センサ16bからそれぞれ検知水位値及び満水検知信号を受信し、検知水位値及び満水検知信号に応じて底面給水式植木鉢用給水装置200の移動及び給水部300から底面給水式植木鉢100への給水を制御する。具体的には、制御部20は、配線を通して底面給水式植木鉢100の水位センサ16a及び満水位センサ16bの電極の電気伝導度の値に応じて貯水槽Cに貯えられた水の水位を示す検知水位値及び満水を示す満水検知信号を検知する。
【0040】
制御部20は、検知水位値に応じて水位レベル表示部22に現在の水位を表示させる。例えば、水位を0から満水位まで多段階に表示させることが好適である。
図9では、5つのランプを設けておき、当該5つのランプを順に点灯させることによって0から満水位までを5段階で提示する水位レベル表示部22を例示している。ただし、水位レベル表示部22の表示態様は、これに限定されるものではなく、水位を数値で表示したり、水位を色で表示したり検知された検知水位値をユーザが認識できる表示態様であればよい。
【0041】
また、制御部20は、動力部26の車輪の回転量、人感・撮像部28による撮像情報、距離情報取得部30による物体からの距離情報等に基づいて底面給水式植木鉢用給水装置200が設置された空間内の地図情報を作成する。人感・撮像部28は、底面給水式植木鉢用給水装置200の周囲の人を検知したり、周囲を撮像したりする手段を含む。人感・撮像部28は、既存の人感センサ、カメラ、ビデオとすることができる。
【0042】
地図情報は、当該空間内において底面給水式植木鉢用給水装置200を移動させる際に障害となる障害物の配置や給水部300の位置情報を含む。具体的には、地図情報は、自己位置推定部32によって推定された底面給水式植木鉢用給水装置200の自己位置の推定と地図情報の作成とを同時に実行するSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術によって作成することができる。すなわち、動力部26によって底面給水式植木鉢用給水装置200を移動させつつ、動力部26の車輪の回転量、人感・撮像部28による撮像情報、距離情報取得部30による物体からの距離情報等に基づいて空間内の基準点に対する底面給水式植木鉢用給水装置200の相対的な位置(空間内の座標や方位)を自己位置として推定する。同時に、人感・撮像部28による空間内を撮影した画像や距離情報取得部30による物体からの距離情報に基づいて障害物や給水部300の位置を取得して地図情報としてマッピングする。地図情報は、制御部20からアクセス可能な地図保管部34に記憶される。なお、地図情報を作成する技術は、上記の態様に限定されるものではない。例えば、SLAM技術として、レーザSLAMやビジュアルSLAM等を適用してもよい。制御部20は、作成された地図情報に基づいて動力部26を制御して、室内において障害物等を避けて底面給水式植木鉢用給水装置200を移動させることができる。
【0043】
制御部20は、検知水位値が基準低水位値以下となると給水処理を実行する。制御部20は、人感・撮像部28によって底面給水式植木鉢用給水装置200から所定の範囲内に人が存在するか否かを検知し、人が存在すれば動力部26を制御して当該人の近傍まで底面給水式植木鉢用給水装置200を自律移動させ、音声発信部24によって水が欠乏していることを示す音声を発信する。
【0044】
これによって、底面給水式植木鉢用給水装置200の周囲にいる人に底面給水式植木鉢100への給水を要求し、給水を誘導することができる。
【0045】
また、制御部20は、検知水位値が基準低水位値以下となってから所定時間が過ぎても人感・撮像部28によって人が検知できなければ、給水部300を目標位置として動力部26を制御して、地図情報に応じて障害物を避けつつ底面給水式植木鉢用給水装置200を給水部300まで自律移動させる。
【0046】
なお、制御部20が動力部26を制御して底面給水式植木鉢用給水装置200を移動させる際に、人感・撮像部28によって移動方向の障害物をリアルタイムで検知して、当該障害物を避けるように底面給水式植木鉢用給水装置200の移動を制御してもよい。
【0047】
底面給水式植木鉢用給水装置200は、給水部300まで自律移動すると、
図8に示すように、給水部300と合体する。合体後、底面給水式植木鉢用給水装置200の通信部36と給水部300の通信部40との間で通信が開始される。制御部20は、通信部36及び通信部40を介して、給水部300の制御部42へ給水開始信号を出力する。制御部42は、給水開始信号を受信すると、底面給水式植木鉢100に設けられた仕切管14に対して給水管44から給水を自動的に開始する。これによって、仕切管14を給水管として、底面給水式植木鉢100の開口A側から貯水槽Cへ水が供給される。
【0048】
制御部20は、満水位センサ16bによって底面給水式植木鉢100の貯水槽Cが基準高水位値(例えば、満水位)以上になったことを検知すると、通信部36及び通信部40を介して給水部300の制御部42へ給水停止信号が出力する。通信部40は、給水停止信号を受信すると、給水管44からの給水を停止させる。給水が終了すると、制御部20は、底面給水式植木鉢用給水装置200を元の位置に自律移動させる。
【0049】
これによって、底面給水式植木鉢用給水装置200において人が検知できなかった場合であっても、底面給水式植木鉢用給水装置200を給水部300まで自律移動させて底面給水式植木鉢100へ自動的に給水を行うことができる。
【0050】
[本願発明の構成]
[構成1]
鉢本体と、
前記鉢本体に着脱可能であり、前記鉢本体内に装着することによって前記鉢本体の内部空間を土壌槽と貯水槽に分ける中底板と、
前記貯水槽に貯えられている水の水位を検知する水位センサと、
前記鉢本体の開口から前記貯水槽に亘って前記水位センサが配置される空間と前記土壌槽とを仕切る仕切管と、
を備えることを特徴とする底面給水式植木鉢。
[構成2]
構成1に記載の底面給水式植木鉢であって、
前記仕切管は、前記開口から前記貯水槽へ水を供給する給水管を兼ねていることを特徴とする底面給水式植木鉢。
[構成3]
構成2に記載の底面給水式植木鉢であって、
前記仕切管内の空間を、前記水位センサが配置される空間と前記給水管となる空間とを仕切るカバーを設けたことを特徴とする底面給水式植木鉢。
[構成4]
構成1~3のいずれか1項に記載の底面給水式植木鉢であって、
前記仕切管は、前記中底板に設けられた切り欠き部又は穴に装着されることによって固定されることを特徴する底面給水式植木鉢。
[構成5]
構成1~4のいずれか1項に記載の底面給水式植木鉢であって、
前記水位センサによって検知された検知水位値を表示する水位レベル表示部を備えることを特徴とする底面給水式植木鉢。
[構成6]
構成1~5のいずれか1項に記載の底面給水式植木鉢を搭載して自走が可能な底面給水式植木鉢用給水装置であって、
前記水位センサによって検知された検知水位値に応じて給水部に自走で移動し、前記給水部から給水を受けることを特徴とする底面給水式植木鉢用給水装置。
[構成7]
構成6に記載の底面給水式植木鉢用給水装置であって、
前記検知水位値が基準低水位値以下となった場合に前記給水部から給水を開始し、前記検知水位値が基準高水位値以上となった場合に前記給水部からの給水を停止することを特徴とする底面給水式植木鉢用給水装置。
[構成8]
構成6又は7に記載の底面給水式植木鉢用給水装置であって、
人感センサを備え、
前記人感センサによって人体が検知されている場合、前記検知水位値に応じて当該人体に対して給水を要求し、
前記人感センサによって人体が検知されていない場合、前記検知水位値に応じて前記給水部に自走で移動して給水を行うことを特徴とする底面給水式植木鉢用給水装置。
【符号の説明】
【0051】
10 鉢本体、12 中底板、12a 脚部、12b 板状部、12c 給水穴、12d 切り欠き部、14 仕切管、14a 端部、14b 係止部、14c 通気口、16a 水位センサ、16b 満水位センサ、16c コネクタ、18 カバー、20 制御部、22 水位レベル表示部、24 音声発信部、26 動力部、28 人感・撮像部、30 距離情報取得部、32 自己位置推定部、34 地図保管部、36 通信部、40 通信部、42 制御部、44 給水管、50 装着部、100 底面給水式植木鉢、200 底面給水式植木鉢用給水装置、300 給水部。