(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081426
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/155 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B23Q3/155 F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195050
(22)【出願日】2022-12-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】青山 晃久
【テーマコード(参考)】
3C002
【Fターム(参考)】
3C002AA03
3C002BB07
3C002DD06
3C002EE01
3C002FF03
3C002HH01
3C002KK01
(57)【要約】
【課題】 工具交換に要する時間および工数を最小化する。
【解決手段】 工作機械は、複数の工具を格納する工具格納部と、第1位相および第2位相夫々に対応する複数のアームを含み、アームの位相を変更可能な工具搬送部と、複数の工具を第1位相または第2位相により保持可能な複数のホルダを含む刃物台と、工具搬送順を示す搬送スケジュールを生成するスケジュール生成部と、搬送スケジュールに従って工具搬送部を制御することにより、刃物台における工具の保持位置を変更する工具搬送制御部と、加工プログラムに従って、刃物台に保持される工具の動作を制御し、ワークを加工する加工制御部とを備え、スケジュール生成部は、第1位相のホルダを対象として工具交換を行う場合において、工具交換の実行対象となるアームが第2位相にあるときにはアームの位相を第2位相から第1位相に変更した上で工具交換を実行させる処理を含む搬送スケジュールを生成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工具を格納する工具格納部と、
第1位相および第2位相それぞれに対応する複数のアームを含み、アームの位相を変更可能な工具搬送部と、
複数の工具を前記第1位相または前記第2位相により保持可能な複数のホルダを含む刃物台と、
工具搬送順を示す搬送スケジュールを生成するスケジュール生成部と、
前記搬送スケジュールにしたがって前記工具搬送部を制御することにより、前記刃物台における工具の保持位置を変更する工具搬送制御部と、
加工プログラムにしたがって、前記刃物台に保持される工具の動作を制御し、ワークを加工する加工制御部と、を備え、
前記スケジュール生成部は、前記第1位相のホルダを対象として工具交換を行う場合において、前記工具交換の実行対象となるアームが前記第2位相にあるときには前記アームの位相を前記第2位相から前記第1位相に変更した上で前記工具交換を実行させる処理を含む前記搬送スケジュールを生成する、工作機械。
【請求項2】
前記複数のホルダの各々が前記工具を保持する方向は、3種類の所定方向のうちのいずれかであって、
前記工具搬送部は、前記3種類の所定方向のそれぞれに対応して向きを変更できる、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記スケジュール生成部は、前記工具格納部に格納されている3本以上の工具を前記刃物台に移動させる状況で前記工具搬送部が2本の工具を同時搬送する場合に、それぞれの移動先ホルダの保持方向が同じである工具の組を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記スケジュール生成部は、前記工具の組が複数ある場合に、前記それぞれの移動先ホルダの保持位相が異なる工具の組を優先する、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記スケジュール生成部は、前記刃物台で保持されている工具を空のホルダに移動させる場合に、移動元ホルダの保持方向が前記工具搬送部の現在の向きに対応する工具を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項6】
前記スケジュール生成部は、前記刃物台で保持されている3本以上の工具をそれぞれ空のホルダに移動させる状況で前記工具搬送部が2本の工具を同時移動する場合に、それぞれの移動先ホルダの保持方向が同じである工具の組を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項7】
前記スケジュール生成部は、前記工具の組が複数ある場合に、前記それぞれの移動先ホルダの保持位相が異なる工具の組を優先する、請求項6に記載の工作機械。
【請求項8】
前記スケジュール生成部は、
前記刃物台に配置済みの工具を空きホルダに移動させる第1工程と、
前記工具格納部に格納される工具を前記刃物台の空きホルダに保持させる第2工程と、を実行させる処理を含む前記搬送スケジュールを生成する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項9】
複数の工具を格納する工具格納部と、
工具を第1位相で保持する第1ホルダと工具を第2位相で保持する第2ホルダとを含む複数のホルダを有する刃物台と、
工具を保持するアームを有し、前記第1位相と前記第2位相とに対応して工具を搬送可能な工具搬送部と、
搬送スケジュールを生成するスケジュール生成部と、
前記搬送スケジュールにしたがって前記工具搬送部を制御し、前記刃物台における前記工具の装着位置を変更する工具搬送制御部と、を備え、
前記スケジュール生成部は、前記第1ホルダに装着工具を装着する場合において、前記装着工具を前記第2位相で保持する状態の前記アームを移動させることで、前記装着工具を前記第2位相から前記第1位相で保持する状態に変更した後に、前記装着工具を前記第1ホルダへ装着する処理を含む搬送スケジュールを生成する、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械における工具交換技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、ワークを所望の形状に切削加工する装置や、金属粉末などを積層してワークを作る装置がある。切削加工する工作機械には、回転するワークに切削用の工具を当てることでワークを加工するターニングセンタと、回転する工具をワークに当てることでワークを加工するマシニングセンタ、これらの機能を複合的に備える複合加工機などがある。
【0003】
刃物台を備える工作機械は、刃物台に複数の工具が装着されることがある。工作機械は、あらかじめ用意された加工プログラムにしたがって、刃物台を三次元的に動かしつつ、刃物台に装着される複数の工具からワークに当てる工具を選びながらワークを加工する。
【0004】
工作機械には、多数の工具を格納する工具格納部を有するものもある。工作機械は、必要な工具が刃物台に装着されていないときには、指定された工具を工具格納部から刃物台に装着した上で、ワークの加工を続行する。以下、刃物台に装着される工具を「作業工具」とよび、工具格納部に格納される工具を「予備工具」とよぶ。特に区別しないときには単に「工具」とよぶ(特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-225738号公報
【特許文献2】特開2000-218459号公報
【特許文献3】特開昭62-236642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
刃物台には複数のステーションとよばれる領域が設けられ、ステーションにホルダが取り付けられ、ホルダに工具が取り付けられる。工作機械は、作業工具を随時交換しながらワークを加工する。以下、刃物台に保持される作業工具の組み合わせを「工具パターン」とよぶ。刃物台上において、ある作業工具と別の作業工具の取り付け位置を交換することを「内部交換」、刃物台上の作業工具と工具格納部に格納される予備工具を交換することを「外部交換」とよぶ。
【0007】
このような工作機械において、工具交換に要する時間を短くし、加工に関連する総時間を短くすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様における工作機械は、複数の工具を格納する工具格納部と、第1位相および第2位相それぞれに対応する複数のアームを含み、アームの位相を変更可能な工具搬送部と、複数の工具を第1位相または第2位相により保持可能な複数のホルダを含む刃物台と、工具搬送順を示す搬送スケジュールを生成するスケジュール生成部と、搬送スケジュールにしたがって工具搬送部を制御することにより、刃物台における工具の保持位置を変更する工具搬送制御部と、加工プログラムにしたがって、刃物台に保持される工具の動作を制御し、ワークを加工する加工制御部と、を備える。
スケジュール生成部は、第1位相のホルダを対象として工具交換を行う場合において、工具交換の実行対象となるアームが第2位相にあるときにはアームの位相を第2位相から第1位相に変更した上で工具交換を実行させる処理を含む搬送スケジュールを生成する。
【0009】
本発明の別の態様における工作機械は、複数の工具を格納する工具格納部と、工具を第1位相で保持する第1ホルダと工具を第2位相で保持する第2ホルダとを含む複数のホルダを有する刃物台と、工具を保持するアームを有し、第1位相と第2位相とに対応して工具を搬送可能な工具搬送部と、搬送スケジュールを生成するスケジュール生成部と、搬送スケジュールにしたがって工具搬送部を制御し、刃物台における工具の装着位置を変更する工具搬送制御部と、を備える。
スケジュール生成部は、第1ホルダに装着工具を装着する場合において、装着工具を第2位相で保持する状態のアームを移動させることで、装着工具を第2位相から第1位相で保持する状態に変更した後に、装着工具を第1ホルダへ装着する処理を含む搬送スケジュールを生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、工具の段取り等を含めた加工に関連する総時間を短くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態における工作機械の概略構成を示す平面図である。
【
図3】工具搬送部における移動台の下方部分の斜視図である。
【
図5】ホルダを取り付けた刃物台の外観斜視図である。
【
図6】シャンクの受け入れ口の形状を示す図である。
【
図7】工具搬送部の直進動作を説明するための模式図である。
【
図8】工具搬送部の傾転動作を説明するための模式図である。
【
図9】工具搬送部の旋回動作を説明するための模式図である。
【
図10】工作機械のハードウェア構成と情報処理装置の機能ブロックを示す図である。
【
図11】搬送スケジュールの生成過程を示すフローチャートである。
【
図12】
図11のS32における第1工程の詳細を示すフローチャートである。
【
図13】最初の移動元がAタイプホルダである第1交換条件グループを示す図である。
【
図14】最初の移動元がBタイプホルダである第2交換条件グループを示す図である。
【
図15】最初の移動元がCタイプホルダである第3交換条件グループを示す図である。
【
図16】最初の移動元がDタイプホルダである第4交換条件グループを示す図である。
【
図17】搬送スケジュールの第1例を示す図である。
【
図18】搬送スケジュールの第2例を示す図である。
【
図19】搬送スケジュールの第3例を示す図である。
【
図20】搬送スケジュールの第4例を示す図である。
【
図21】同時搬送する工具の組条件グループを示す図である。
【
図22】搬送スケジュールの第5例を示す図である。
【
図23】搬送スケジュールの第6例を示す図である。
【
図24】搬送スケジュールの第7例を示す図である。
【
図25】搬送スケジュールの第8例を示す図である。
【
図26】搬送スケジュールの第9例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態における工作機械は、ターニングセンタまたは複合加工機である。まず、
図1から
図9に関連して工作機械の構造を中心として説明する。
図10以降に関連して、本実施形態における工具交換制御の詳細を説明する。
本実施形態における「交換」は工具Taのついている第1の場所と別の工具Tbがついている第2の場所の間で工具Taと工具Tbを交換する場合だけでなく、工具Taのついている第1の場所から工具がついていない第3の場所に工具Taを移す場合も含む。
【0013】
図1は、本実施形態における工作機械100の概略構成を示す平面図である。
工作機械100は、制御装置160、加工装置112、工具搬送部114および工具格納部106を備える。工具格納部106は、一般的には「マガジン」ともよばれる。制御装置160は、
図10に関連して後述する情報処理装置118および加工制御部116に対応する。刃物台ベース102や刃物台164は、X、Y、Z軸方向に移動可能である。刃物台ベース102と刃物台164とを含めて刃物台230という場合と、刃物台164のみを刃物台230という場合がある。
図1は、X-Z方向平面に見た場合の平面図である。刃物台164はZ軸を中心として回転可能に刃物台ベース102に設置される。工具格納部106(マガジン)は、刃物台ベース102のZ軸正方向側に設けられる。工具搬送部114は、工具Tを移送する。
【0014】
本実施形態における工作機械100は、2つの主軸104a、104bを有し、2つのワークWを加工する。刃物台164の左側には、左主軸104aがあり、左主軸104aには左側のワークWが取り付けられる。刃物台164の右側には、右主軸104bがあり、右主軸104bには右側のワークWが取り付けられる。工具Tには、左側のワークWを加工するためのもの、右側のワークWを加工するためのもの、両方のワークWを加工できるものがある。詳しくは、
図4に関連して後述する。
【0015】
図2は、工作機械100の斜視図である。
角柱体型の刃物台164には、その外周平面に、工具Tを保持可能に構成される複数のホルダ168を有する。ホルダ168は刃物台164に対して着脱可能に装着される。着脱位置PTのホルダ168に装着される工具Tが着脱対象となる。刃物台164を矢示B-C方向(Z軸が回転軸)に回転させることにより、各ホルダ168を着脱位置PTに割り出すことができる。
【0016】
工具格納部106は、矢示D-E方向(X軸が回転軸)に回転可能に設けられた保持板170と、保持板170の周縁に等間隔に配設された保持ポット174と、保持板170を回転させる駆動モータ176(
図1参照)を備える。保持ポット174は工具Tを保持することができる。保持ポット174は、X軸の負方向に突出する。着脱位置PMの保持ポット174にある工具Tが着脱対象となる。駆動モータ176が保持板170を回転させることにより、各保持ポット174を着脱位置PMに割り出すことができる。
【0017】
工具搬送部114は、刃物台ベース102および工具格納部106よりも、X軸の負方向側に設けられる(
図1参照)。工具搬送部114は、Z軸に沿って設けられた送り機構178と、送り機構178によりZ軸に沿って移動される移動台180と、移動台180に取り付けられた第1アーム182および第2アーム194(
図3参照)などを含む。以下においては、工具搬送部114は、移動台180と、移動台180に取り付けられる第1アーム182および第2アーム194を含み、工具Tを搬送するための機構である。
【0018】
送り機構178は、Z軸に平行に配設されるレール保持台184と、レール保持台184の下面に、Z軸に平行に取り付けられる2本のガイドレールと、各ガイドレールに係合するようにそれぞれ2個ずつ設けられたスライダと、レール保持台184に沿って配設されたボールねじ190と、ボールねじ190に螺合するボールナット192と、ボールねじ190の端部に連結して、ボールねじ190を軸線中心に回転させるサーボモータ196を備える。スライダは移動台180の上面に固設される。
【0019】
図3は、工具搬送部114における移動台180の下方部分の斜視図である。
この図は、刃物台164側から見た工具搬送部114の部分的な構造を示している。移動台180(
図2参照)の下面には、矢示F-G方向(Y軸が回転軸)に回転可能、かつ、X軸方向に移動可能に保持部材198が配設される。保持部材198は、移動シリンダによりX軸方向に駆動される。保持部材198は、ラック&ピニオン機構などの機構を介し、駆動シリンダにより駆動されて、矢示F-G方向に180°の角度範囲で傾転する。すなわち、保持部材198はX-Z方向に平面移動可能であり、かつ、F-G方向に回転可能に構成されている。
図3は、保持部材198の向きが、180°の角度範囲の中間にある状態を示している。この状態から、F方向へ90度回転することができ、G方向へ90度回転することができる。
【0020】
保持部材198には回転軸204が貫通して取り付けられる。回転軸204は、ラック&ピニオン機構などの機構を介し、駆動シリンダ206により駆動されて、矢示J-K方向に180度の角度範囲で回転する。
【0021】
回転軸204の端部には、回転軸204の軸心を中心とした点対称、かつ、上下平行となるように、第1アーム182および第2アーム194が取り付けられる。第1アーム182および第2アーム194は同一構成である。第1アーム182は、工具Tを把持するための一対の把持爪208を有し、把持爪208により工具Tを把持可能である。同様にして、第2アーム194も一対の把持爪210を有し、把持爪210により工具Tを把持可能である。
【0022】
工具TのシャンクSの断面は、三角形の辺を膨らませた形をしている。三角形の角に相当する曲率最大点(突き出ている箇所)が、120°の間隔で3つある。第1アーム182に把持されている工具TのシャンクSの形状は、曲率最大点の1つが最も下に位置する谷型になっている。以下では、この向きを「位相:左」と表す。一方、第2アーム194に把持されている工具TのシャンクSの形状は、曲率最大点の1つが最も上に位置する山型になっている。以下では、この向きを「位相:右」と表す。ここでいう位相とは、工具Tの軸心を中心とする回転の状態を意味する。
【0023】
図4は、ホルダ168と刃物台164の外観斜視図である。
刃物台164は、12角柱形状を有し、その側面には差し込み穴を有する12個のステーション222(端面)が形成される。ステーション222には7種類のホルダ168A~Gのいずれかが取り付けられる。ホルダ168A~Gは、工具TのシャンクSを差し込むための受け入れ口169を有する。シャンクSを受け入れ口169に挿入した状態で、工具Tはホルダ168A~Gに保持される。
【0024】
ホルダ168A~Dには、回転させない工具T(たとえば、バイト)が固定状態で保持される。ホルダ168Aの工具Tは、左側のワークWの内径側を削る。ホルダ168Bの工具Tは、左側のワークWの外径側を削る。ホルダ168Cの工具Tは、右側のワークWの外径側を削る。ホルダ168Dの工具Tは、右側のワークWの内径側を削る。ホルダ168Bは、工具Tを第1位相(位相:左)で保持する第1ホルダの例であり、ホルダ168Cは、工具Tを第2位相(位相:右)で保持する第2ホルダの例である。ホルダ168の位相については、
図6に関連して後述する。
【0025】
ホルダ168E~Gには、回転させる工具T(たとえば、ドリル)が保持される。ホルダ168E~Gは、工具Tを回転させる機構を有する。ホルダ168Eの工具Tは、左側のワークWの側面方向からワークWを削る。ホルダ168Fの工具Tは、左側のワークWの正面方向からワークWを削る。また、この工具Tは、右側のワークWに対しても同様に削ることができる。ホルダ168Gの工具Tは、右側のワークWの側面方向からワークWを削る。
【0026】
図5は、ホルダ168を取り付けた刃物台164の外観斜視図である。
12個のステーション222に、ホルダ168が取り付けられている。ホルダ168A,Eの受け入れ口169の中心線方向を「左方向」とよぶ。左方向は、Z軸の負方向と一致する。ホルダ168B,C,Fの受け入れ口169の中心線方向を「外方向」とよぶ。外方向は、刃物台164の軸線に対して垂直である。特に、着脱位置PTに割り出されたときのホルダ168B,C,Fの受け入れ口169の中心線方向を、「前方向」とよぶ。前方向は、X軸の負方向と一致する。ホルダ168D,Gの受け入れ口169の中心線方向を「右方向」とよぶ。右方向は、Z軸の正方向と一致する。
【0027】
このように、複数のホルダ168の各々が工具Tを保持する方向は、3種類の所定方向(左方向、外方向および右方向)のうちのいずれかである。
【0028】
図6は、シャンクSの受け入れ口の形状を示す図である。
図6の上段は、着脱位置PTのホルダ168A~DをY軸の正方向から見た形状を表す。
図6の下段は、ホルダ168A~Dの受け入れ口169の形状を表す。
【0029】
ホルダ168Aの受け入れ口169は、位相:左におけるシャンクSの形状に合わせた谷型になっている。このように、受け入れ口169の中心線が左方向を向き、その形状が位相:左になっているホルダ168を「Aタイプホルダ」という。ホルダ168Aには、内側に刃部171を有する工具Tが左向きに装着される。図示していないが、ホルダ168EもAタイプホルダである。受け入れ口169の中心線の左方向を「左内径方向」ともよぶ。すなわち、Aタイプホルダは、左内径方向かつ位相:左となる。
【0030】
ホルダ168Bの受け入れ口169は、同様に谷型になっている。このように、受け入れ口169の中心線が前方向を向き、その形状が位相:左になっているホルダ168を「Bタイプホルダ」という。ホルダ168Bには、左側に刃部171を有する工具Tが前向きに装着される。ホルダ168FもBタイプホルダである。受け入れ口169の中心線の前方向を「外径方向」ともよぶ。すなわち、Bタイプホルダは、外径方向かつ位相:左となる。
【0031】
ホルダ168Cの受け入れ口169は、位相:右におけるシャンクSの形状に合わせた山型になっている。このように、受け入れ口169の中心線が前方向を向き、その形状が位相:右になっているホルダ168を「Cタイプホルダ」という。ホルダ168Cには、右側に刃部171を有する工具Tが前向きに装着される。Bタイプホルダは、外径方向かつ位相:右となる。
【0032】
ホルダ168Dの受け入れ口169は、同様に山型になっている。このように、受け入れ口169の中心線が右方向を向き、その形状が位相:右になっているホルダ168を「Dタイプホルダ」という。ホルダ168Dには、内側に刃部171を有する工具Tが右向きに装着される。ホルダ168GもDタイプホルダである。受け入れ口169の中心線の右方向を「右内径方向」ともよぶ。すなわち、Dタイプホルダは、右内径方向かつ位相:右となる。
【0033】
工具搬送部114は「直進」「傾転」「旋回」の3種類の動作が可能である。順に、これらの動作について説明する。
【0034】
図7は、工具搬送部114の直進動作を説明するための模式図である。
「直進」は、工具搬送部114がレール保持台184(Z軸)に沿って直線移動する動作である。工具搬送部114を直線移動させることにより、刃物台164と工具格納部106の間での工具搬送を行うことができる。
【0035】
本実施形態における「搬送」とは、工具搬送部114が実際に工具Tを持ち運ぶ場合だけでなく、工具搬送部114が工具Tを保持しない状態で工具格納部106と刃物台164の間を移動する場合も含む。
【0036】
図示するように、着脱位置PMにおける保持ポット174の受け入れ口175は、位相:右におけるシャンクSの形状に合わせた山型になっている。
【0037】
図8は、工具搬送部114の傾転動作を説明するための模式図である。
「傾転」は、工具搬送部114を矢印G-Fに示す方向に回転させる動作である。つまり、本実施形態においては、工具搬送部114の一部である移動台180に回転軸があり、この回転軸を中心として回転することを「傾転」という。傾転は回転の1種であり、この傾転を第1回転と称してもよい。工具搬送部114は、傾転動作によって、3種類の所定方向(左方向、前方向及び右方向)のそれぞれに対応して向きを変更できる。ここでいう「対応」とは、アームにおける把持空間の中心軸の向きが、所定方向と一致することを意味する。
【0038】
図9は、工具搬送部114の旋回動作を説明するための模式図である。
「旋回」は、保持部材198に回転軸204があり、この回転軸204を中心とした矢印J-Kに示す方向の回転より、第1アーム182と第2アーム194を上下反転させる動作である。この旋回動作も回転の1種であるため、第2回転と称してもよい。
【0039】
図9において、第2アーム194は、第1アーム182よりも上にある。このように、2つのアームのうち上側に位置するアームを「上側アーム」と呼ぶ。上側アームは、位相:右(山型)の状態で工具を把持する。一方、第1アーム182は、第2アーム194よりも下にある。このように、下側に位置するアームを「下側アーム」と呼ぶ。下側アームは、位相:左(谷型)の状態で工具を把持する。工具搬送部114が180°旋回した場合には、反対に第1アーム182が上側アームになり、第2アーム194が下側アームになる。
【0040】
本実施形態においては、第1回転の回転軸と第2回転の回転軸とは、交差する位置関係にある。第1回転の回転軸と第2回転の回転軸は立体交差する構成であってもよい。
【0041】
直進動作、傾転動作、旋回動作にはそれぞれある程度の時間がかかるが、直進動作に要する時間がもっとも長い。本実施形態においては、傾転動作に要する時間は、旋回動作に要する時間よりも長いものとする。
【0042】
各動作に要する時間の長さを指標化した数値としてあらかじめ「時間ポイント」を設定しておいてもよい。この例で、直進動作、傾転動作および旋回動作それぞれの時間ポイントは、「5」「2」「1」である。たとえば、直進動作に要する実測時間が約5秒であるとき、直進動作の時間ポイントを5ポイントとして設定してもよい。時間ポイントは、直進動作、傾転動作および旋回動作それぞれに要する時間の比を示す数値であればよい。各動作回数に時間ポイントを乗じて、合計することによって全体の時間ポイントを算出することができる。後述する搬送スケジュールを比較する場合に、全体の時間ポイントが小さい方が、短時間で動作を完了できることを意味する。
【0043】
さらに、工具搬送部114は、工具Tの取り外し動作を行う。保持ポット174、Aタイプホルダ~Dタイプホルダのいずれに保持されている工具Tを取り外すときも、基本的な動作は同じである。まず、工具Tのグリップ部に対して横方向からアームを入れ込み、アームで工具Tを把持する。次に、アームを受け入れ口169,175から離して、工具Tを取り出す。
【0044】
保持ポット174の場合には、Z軸に沿った上側アームを用いる。上側アームは、工具Tを把持する位置に対して第1所定長(グリップ部の径×2ぐらい)だけZ軸の負方向寄りに構える。次に上側アームは、Z軸の正方向に移動し、把持位置で工具Tを挟む。最後に、上側アームはX軸の負方向へ移動し、工具Tを取り出す。
【0045】
Aタイプホルダの場合には、左方向に対応する下側アームを用いる。下側アームは、把持位置に対してX軸の負方向寄りに構える。次に下側アームは、X軸の正方向に移動し、把持位置で工具Tを挟む。最後に、下側アームはZ軸の負方向へ移動し、工具Tを取り出す。
【0046】
Bタイプホルダの場合には、前方向に対応する下側アームを用いる。下側アームは、把持位置に対してZ軸の正方向寄りに構える。次に下側アームは、Z軸の負方向に移動し、把持位置で工具Tを挟む。最後に、下側アームはX軸の負方向へ移動し、工具Tを取り出す。
【0047】
Cタイプホルダの場合には、前方向に対応する上側アームを用いる。上側アームは、把持位置に対してZ軸の負方向寄りに構える。次に上側アームは、Z軸の正方向に移動し、把持位置で工具Tを挟む。最後に、上側アームはX軸の負方向へ移動し、工具Tを取り出す。
【0048】
Dタイプホルダの場合には、右方向に対応する上側アームを用いる。上側アームは、把持位置に対してX軸の負方向寄りに構える。次に上側アームは、X軸の正方向に移動し、把持位置で工具Tを挟む。最後に、上側アームはZ軸の正方向へ移動し、工具Tを取り出す。
【0049】
さらに、工具搬送部114は、工具Tの装着動作を行う。保持ポット174、Aタイプホルダ~Dタイプホルダのいずれに対して工具Tを装着するときも、基本的な動作は同じである。まず、アームで把持している工具TのシャンクSを受け入れ口169,175に挿入させて、アームから工具Tを解放する。そして、アームを横方向へ抜き去る。
【0050】
保持ポット174の場合には、Z軸に沿った上側アームを用いる。上側アームは、工具を解放する位置に対して第2所定長(シャンクSの長さ×1.5ぐらい)だけX軸の負方向寄りに構える。次に上側アームは、X軸の正方向に移動し、シャンクSを受け入れ口175に挿入させた位置で工具Tを解放する。最後に、上側アームはZ軸の負方向へ移動する。
【0051】
Aタイプホルダの場合には、左方向に対応する下側アームを用いる。工具を把持している下側アームは、解放位置に対してZ軸の負方向寄りに構える。次に下側アームは、Z軸の正方向に移動し、シャンクSを受け入れ口169に挿入させた位置で工具Tを解放する。最後に、下側アームはX軸の負方向へ移動する。
【0052】
Bタイプホルダの場合には、前方向に対応する下側アームを用いる。工具を把持している下側アームは、解放位置に対してX軸の負方向寄りに構える。次に下側アームは、X軸の正方向に移動し、シャンクSを受け入れ口169に挿入させた位置で工具Tを解放する。最後に、下側アームはZ軸の正方向へ移動する。
【0053】
Cタイプホルダの場合には、前方向に対応する上側アームを用いる。工具を把持している上側アームは、解放位置に対してX軸の負方向寄りに構える。次に上側アームは、X軸の正方向に移動し、シャンクSを受け入れ口169に挿入させた位置で工具Tを解放する。最後に、上側アームはZ軸の負方向へ移動する。
【0054】
Dタイプホルダの場合には、右方向に対応する上側アームを用いる。工具を把持している上側アームは、解放位置に対してZ軸の正方向寄りに構える。次に上側アームは、X軸の負方向に移動し、シャンクSを受け入れ口169に挿入させた位置で工具Tを解放する。最後に、上側アームはX軸の負方向へ移動する。
【0055】
アームの位置と向きを変える動作は、工具搬送部114の直進動作、傾転動作および旋回動作によって行われる。ただし、刃物台164を移動させることによって、刃物台164に対するアームの相対位置を変えるようにしてもよい。たとえば、上側アームを用いる場合に、刃物台164をY軸の正方向へ移動させると、受け入れ口169とシャンクSの高さ(Y軸の位置)を合わせることができる。
【0056】
図10は、工作機械100のハードウェア構成と情報処理装置118の機能ブロックを示す図である。
工作機械100は、情報処理装置118、加工制御部116、加工装置112、工具搬送部114および工具格納部106を含む。数値制御装置として機能する加工制御部116は、加工プログラムにしたがって加工装置112に制御信号を送信する。加工装置112は、加工制御部116からの指示にしたがって刃物台ベース102を動かしてワークを加工する。また、加工制御部116は、工具管理部130(後述)から刃物台164に保持させるべき工具Tの組み合わせを示す「工具パターン」を取得する。加工制御部116は、情報処理装置118から指示された工具パターンにしたがって、工具搬送部114に工具交換を実行させる。
【0057】
情報処理装置118は、加工制御部116を制御する。本実施形態においては、情報処理装置118は作業者にユーザインタフェース機能を提供するとともに工具パターンを管理する。工具格納部106は予備工具を格納する。工具搬送部114は移動台180を含む機構であり、いわゆるATC(Automatic Tool Changer)に対応する。工具搬送部114は、加工制御部116からの交換指示にしたがって、工具格納部106から予備工具を取り出し、刃物台164の交換位置にある作業工具と予備工具を交換する。
【0058】
情報処理装置118の機能ブロックについて説明する。
情報処理装置118の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサ(co-processor)などの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0059】
なお、加工制御部116の各構成要素も、プロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され演算器に処理命令を供給するソフトウェアにより実現されてもよい。加工制御部116は、情報処理装置118とは別個の装置として構成されてもよい。
【0060】
情報処理装置118は、ユーザインタフェース処理部120、データ処理部122およびデータ格納部124を含む。
ユーザインタフェース処理部120は、ユーザからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。データ処理部122は、ユーザインタフェース処理部120により取得されたデータおよびデータ格納部124に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部122は、ユーザインタフェース処理部120およびデータ格納部124のインタフェースとしても機能する。データ格納部124は、各種プログラムと設定データを格納する。
【0061】
ユーザインタフェース処理部120は、入力部126および出力部128を含む。
入力部126は、タッチパネルあるいはハンドル等のハードデバイスを介してユーザからの入力を受け付ける。出力部128は、画像表示あるいは音声出力を介して、ユーザに各種情報を提供する。
【0062】
データ処理部122は、工具管理部130、スケジュール生成部132および工具搬送制御部134を含む。工具管理部130は、刃物台164が保持すべき作業工具の組み合わせを示す工具パターンを管理する。スケジュール生成部132は、工具パターンの変更に際して、工具搬送部114の「直進」「傾転」「旋回」「取り外し」「装着」の5動作を組み合わせて工具交換の処理過程を示す「搬送スケジュール」を生成する(後述)。工具搬送制御部134は、搬送スケジュールにしたがって、加工制御部116に工具搬送部114の制御を指示し、工具搬送部114(移動台180)に工具交換を実行させる。
【0063】
データ格納部124は、加工プログラムごとの工具パターンを保存する。加工制御部116は、加工プログラムの実行時において、工具搬送制御部134からの指示にしたがって工具交換を適宜実行する。このほか、データ格納部124は、工具格納部106に格納される予備工具の種類および状態(使用可否)に関する予備工具情報も保存する。データ格納部124は、各工具Tの使用回数の情報も保存する。
【0064】
図11は、搬送スケジュールの生成過程を示すフローチャートである。
刃物台164において、ある工具パターンP1から別の工具パターンP2に変更するとき、工具交換が発生する。工具交換は、「直進」、「傾転」、「旋回」、「取り外し」および「装着」の5動作を組み合わせにより実現される。本実施形態においては、刃物台164における変更前の工具パターン(以下、「現在パターン」とよぶ)から変更後の工具パターン(以下、「目標パターン」とよぶ)に工具配置を変更するときの工具交換時間を最小化するために、スケジュール生成部132は、工具交換をする前に搬送スケジュールを生成する。現在パターンは工具交換実行前の工具Tの配置を示す「事前配置情報」であり、目標パターンは工具交換実行後の工具Tの配置を示す「目標配置情報」である。
【0065】
事前配置情報としての現在パターンは、刃物台230における各ステーション222、工具搬送部114の第1アーム182と第2アーム194および工具格納部106における工具Tの取付位置である保持ポット174それぞれにおける工具Tの配置状態を示す。これら複数の取付位置において工具Tが取り付けられているか否か、どの工具Tが取り付けられているかも事前配置情報の一種として取り扱われる。工具Tの代わりにキャップ部材が配置されるか否かも事前配置情報の一部として取り扱われる。目標配置情報としての目標パターンについても同様であるが、詳細は
図17以降に関連して後述する。
【0066】
より具体的には、工具管理部130は、ワークの加工工程のうち、加工工程1では工具パターンP1を設定し、次の加工工程2では工具パターンP2を設定することをあらかじめ工具管理情報としてデータ格納部124に登録しておく。すなわち、実際にワークを加工する前に、工具管理部130は加工工程ごとの工具パターンP1、P2、P3・・・を定義しておく。
【0067】
スケジュール生成部132は、ある工具パターンP1(現在パターン)から別の工具パターンP2(目標パターン)に変化させるときの工具交換時間(作業工数および作業時間)を最小化するための工具搬送順を後述の方法により定めておき、これを搬送スケジュールとしてデータ格納部124に登録しておく。たとえば、工具パターンP1から工具パターンP2に変更するときの搬送スケジュールQ(P1,P2)、工具パターンP2から工具パターンP3に変更するときの搬送スケジュールQ(P2,P3)・・・をスケジュール生成部132はあらかじめ作成しておく。
【0068】
工具パターンP1から工具パターンP2へ変更するときには、工具搬送制御部134は搬送スケジュールQ(P1,P2)にしたがって工具搬送部114の制御を加工制御部116に指示することにより、工具交換が実行される。
【0069】
スケジュール生成部132は、以下に示す第1工程から第5工程のシミュレーションを行った上で、工具交換時間のなるべく短い搬送スケジュールを確定させる。スケジュール生成部132は、まず、あるステーション222(ホルダ168)に取り付けられる工具Tを、工具Tが取り付けられていない別のステーション222(以下、「空ST」と表記する)に移動させる第1工程について工具搬送順を決定する(S10)。第1工程の詳細は、
図12から
図20に関連して後述する。なお、ここでいう空STは空きホルダと同義である。
【0070】
次に、スケジュール生成部132は、工具格納部106に格納される予備工具を、刃物台164の空ST、すなわち、工具Tが保持されていない空きホルダに移動させる第2工程について工具搬送順を決定する(S12)。第2工程の詳細は、後述する。
【0071】
第1工程と第2工程の順番は、逆でもよい。つまり、スケジュール生成部132は、第2工程を先に行い、次に第1工程を行ってもよい。
【0072】
続いて、スケジュール生成部132は、刃物台164に取り付けられる工具T同士を内部交換する第3工程について工具搬送順を決定する(S14)。第3工程の詳細は、後述する。
【0073】
更に、スケジュール生成部132は、刃物台164上の作業工具と工具格納部106の予備工具を外部交換する第4工程について工具搬送順を決定する(S16)。第4工程の詳細は、後述する。
【0074】
最後に、スケジュール生成部132は、第1工程から第4工程を経て作成した搬送スケジュールを最適化するための第5工程を実行する(S18)。第5工程の詳細は、後述する。なお、事前配置情報としての現在パターンおよび目標配置情報としての目標パターンによっては、第1工程から第4工程の一部はスキップされる場合もある(後述)。
【0075】
第5工程の終了後、搬送スケジュールが確定する。スケジュール生成部132は、確定した搬送スケジュールをメモリ上に一時的に記憶し、あるいはデータ格納部124に保存する(S20)。ここで、工具搬送に関する以下の処理過程について整理しておく。スケジュール生成は、以下に示すように「工具搬送指令の度に」実行される。
(1)加工プログラムからの工具搬送指令の検出
(2)現状認識(
図17などに関連して説明する各ステーション、アーム、ポットの取り付け方向、位相、取り付けられた工具データなど、自動工具交換に必要な機械情報の収集)
(3)目標設定(ステーションごとにどの工具を配置するかを決定する。その結果「現状と同じ(工具搬送しない)」となる場合もあり得る)
(4)スケジュール生成(工具を並べ替えるための処理を生成する)
(5)工具搬送(生成されたスケジュールに基づいて工具搬送する)
【0076】
第1工程(S10)の処理過程について説明する。
ここでは、事前配置情報を示す工具パターンである現在パターンから目標配置情報を示す別の工具パターンである目標パターンへの変更を想定して説明する。まず、現在パターンにおいて空STが存在するとき(S30のY)、第1工程が実行される(S32)。空STが存在しないときには(S30のN)、第1工程はスキップされる。
【0077】
図12は、
図11のS32における第1工程の詳細を示すフローチャートである。
現在パターンと目標パターンが所定の交換条件に該当する場合に、その交換条件に適した交換処理を採用する。第1工程で用いられる交換条件は、4つの交換条件グループからなる。交換条件グループは、最初に取り外される工具Tのホルダ168のタイプによって分類される。
【0078】
第1交換条件グループ(
図13参照)は、第1交換条件の集まりである。第1交換条件は、最初の移動元がAタイプホルダである工具交換の条件である。同様に、第2交換条件グループ(
図14参照)は、最初の移動元がBタイプホルダである第2交換条件の集まりである。第3交換条件グループ(
図15参照)は、最初の移動元がCタイプホルダである第3交換条件の集まりである。第4交換条件グループ(
図16参照)は、最初の移動元がDタイプホルダである第4交換条件の集まりである。交換条件グループは、それぞれの交換条件に関して優先順位を定めている。各交換条件グループについては、
図13~
図16に関連して後述する。
【0079】
最初に、スケジュール生成部132は、現在の工具搬送部114の向きに基づいて、交換条件グループの参照順を決める(S34)。参照順は、最初に取り外しを行うための傾転の角度によって決まる。傾転の角度は、現在の工具搬送部114の向きと、移動元のホルダ168のタイプとによって決まる。
【0080】
現在の工具搬送部114が左方向に対して向き合う状態(左向きの工具Tを着脱可能な姿勢)のとき、Aタイプホルダ(左内径方向、位相:左)から最初に取り外しを行うようにすれば、傾転の必要がない。反対に、Dタイプホルダ(右内径方向、位相:右)から最初に取り外しを行う場合は、180°の傾転が必要なる。したがって、傾転の角度が小さい順に、第1交換条件グループ(移動元ホルダ:Aタイプホルダ)、第2交換条件グループ(移動元ホルダ:Bタイプホルダ)、第3交換条件グループ(移動元ホルダ:Cタイプホルダ)、第4交換条件グループ(移動元ホルダ:Dタイプホルダ)が参照される。
【0081】
工具搬送部114が右方向に対して向き合う状態(右向きの工具Tを着脱可能な姿勢)のときには、第4交換条件グループ、第3交換条件グループ、第2交換条件グループ、第1交換条件グループの順に参照される。工具搬送部114が前方向に対して向き合う状態(前向きの工具Tを着脱可能な姿勢)のときは、第2交換条件グループ、第3交換条件グループ、第1交換条件グループ、第4交換条件グループの順に参照される。前方向に関しては、第2交換条件グループと第3交換条件グループの順番が逆でもよく、第1交換条件グループと第4交換条件グループの順番が逆でもよい。このように、最初の傾転に要する時間がより短くなるように、交換条件グループが選択される。
【0082】
スケジュール生成部132は、上述のとおり順次参照する交換条件グループを決める(S36)。そして、参照される交換条件グループが決まると、スケジュール生成部132は、その交換条件グループにおける優先順位に従って、交換条件を1つずつ特定し(S38)、現在パターンと目標パターンがその交換条件に該当するかを判定する(S40)。
【0083】
交換条件に該当する場合には(S40のY)、スケジュール生成部132は、その交換条件に適した交換処理を採用する(S42)。このとき現在パターンが更新される。その後、S34の処理へ戻る。S34では、その時点の工具搬送部114の向きに基づいて再び参照順を決める。
【0084】
一方、交換条件に該当しない場合に(S40のN)、優先順位に従って次の交換条件(
図13~16における1つ下の行の条件)の判定に移る。そのため、次の交換条件があれば(S44のY)、スケジュール生成部132は、S38の処理に戻る。最後の交換条件まで判定した場合には(S44のN)、スケジュール生成部132は、次の交換条件グループの参照処理(S36)へ移る。
たとえば、第1優先順位の交換条件が成立するときには、第1優先順位の交換条件にしたがって現在パターンを更新する。第1優先順位の交換条件が成立しないときには、第2優先順位の交換条件にしたがって現在パターンを更新する。第2優先順位の交換条件も成立しない場合には、第3優先順位の交換条件の成否を判定する。S36にて選択した交換条件グループに含まれるいずれの交換条件も成立しないときには、別の交換条件グループが検査対象となる。
【0085】
最後の交換条件グループを参照し終えた段階で(S46のN)、スケジュール生成部132は、移動先となるべき空STが残っているかを判定する(S48)。移動先となるべき空STが残っていれば(S48のN)、スケジュール生成部132は、S34の処理に戻る。更新後の現在パターンにおいて作業工具のいずれかを空STに移動させる必要がなくなれば(S48のY)、第1工程の処理を終える。
【0086】
なお、工具搬送部114が左方向に対して向き合う状態のときにAタイプホルダから工具Tを取り外すことを優先すると説明したとおり、スケジュール生成部132は、刃物台164で保持されている工具を空のホルダに移動させる場合に、移動元ホルダの保持方向が工具搬送部の現在の向きに対応する工具を優先する。これにより、傾転回数を減らせる。
上述したように、スケジュール生成部132は、工具搬送部114の現在の向きに基づいて交換条件グループを選択し、選択した交換条件グループに含まれる複数の交換条件のいずれかに該当する交換条件があるかを優先順位にしたがって検査する。いずれかの交換条件が成立するときには、その交換条件にしたがって現在パターンを更新する。このとき、工具搬送部114の向きも変更になる可能性がある。スケジュール生成部132は、工具搬送部114の現在の向きに基づいて工具交換グループを再び選択し、同様の処理を続ける。いずれの交換条件グループのいずれの交換条件も成立しないときには、第1工程は終了する。
【0087】
図13は、最初の移動元がAタイプホルダである第1交換条件グループを示す図である。
図6に関連して説明したように、Aタイプホルダは、左方向を向いて、左側のワークWの内径側を削る工具Tを保持するホルダであり、位相:左に対応する。したがって、Aタイプホルダを「内径←」と表わす。ここで「←」は左方向を意味する。Bタイプホルダは、前方向を向いて、左側のワークWの外径側を削る工具Tを保持するホルダであり、位相:左に対応する。したがって、Bタイプホルダを「外径↓(左)」と表わす。Cタイプホルダは、前方向を向いて、右側のワークWの外径側を削る工具Tを保持するホルダであり、位相:右に対応する。したがって、Cタイプホルダを「外径↓(右)」と表わす。Dタイプホルダは、右方向を向いて、右側のワークWの内径側を削る工具Tを保持するホルダであり、位相:右に対応する。したがって、Dタイプホルダを「内径→」と表わす。「→」は右方向を意味する。
【0088】
上述したとおり、第1交換条件グループは、最初の移動元がAタイプホルダ「内径←」である第1交換条件の集まりである。したがって、図示したように、第1交換条件グループは、1本目の工具TをAタイプホルダ(左内径方向、位相:左)から取り外すための12個の第1交換条件を含む。これらの第1交換条件には、優先順位が定められている。上位の第1交換条件から順次判定して、該当する第1交換条件があった場合にその第1交換条件に適した交換処理を採用する。
【0089】
優先順位:1の第1交換条件は、いずれかのAタイプホルダから、別の空きのAタイプホルダへ移動させる作業工具が存在するときの工具交換方法を定義する。すなわち、Aタイプホルダ「内径←」にある工具Tを、空いている別のAタイプホルダに移動させる必要があるとき、優先順位:1の第1交換条件にしたがって工具搬送スケジュールが設定される。工具搬送部144が左方向(左内径方向)に対して向き合う状態のときに優先順位:1の第1交換条件が成立する場合、工具搬送部144が取り外し対象となる工具Tと向き合っているので傾転の必要はない。また、移動先ホルダと移動元ホルダの受け入れ口169は、同じ位相(位相:左)である。この第1交換条件に合致する作業工具が1本でもあれば、その1本の作業工具を移動させる動作を最優先にて行う。図示した「0°」は、傾転が必要ないことを表す。また、「同」は、移動先の位相が同じあることを表す。
【0090】
優先順位:2の第1交換条件は、いずれかのAタイプホルダ(左内径方向、位相:左)から、空きのCタイプホルダ「外径↓(右)」へ移動させる作業工具が存在し、さらに別のAタイプホルダから、空きのBタイプホルダ「外径↓(左)」へ移動させる作業工具が存在することを示している。優先順位:1の第1交換条件が成立せず、かつ、優先順位:2の第1交換条件が成立する場合に、Cタイプホルダ(外径方向、位相:右)へ移動させるものを1本目の工具Tとし、Bタイプホルダ(外径方向、位相:左)へ移動させるものを2本目の工具Tとする。1本目の工具Tは左内径方向から外径方向に傾転させる必要がある。また、移動先ホルダと移動元ホルダは逆位相である。2本目の工具Tも左内径方向から外径方向に傾転させる必要がある。移動先ホルダと移動元ホルダは同じ位相(位相:左)である。図示した「90°」は、90°の傾転が必要であることを表す。
【0091】
優先順位:3~7の第1交換条件は、2つのAタイプホルダに、図示した1本目の所定タイプ(「外径↓(左)」など)の空きホルダへ移動させる作業工具と、2本目の所定タイプ(「外径↓(左)」など)の空きホルダへ移動させる作業工具とが存在することを示している。優先順位:1と優先順位:2の第1交換条件が成立せず、優先順位:3の第1交換条件に合致する場合には、図示したとおり、1本目の工具Tと2本目の工具Tを定める。優先順位:3と優先順位:4の第1交換条件については、1本の工具Tずつ交換動作を行うようにしてもよい。その場合には、1本目の工具を移動した後に、2本目の工具を移動させる。図示した「180°」は、180°の傾転が必要であることを表す。
【0092】
優先順位:8の第1交換条件は、180°傾転の途中で2本目の工具Tを取り外す動作を伴う。この条件は、Aタイプホルダから空きのDタイプホルダ「内径→」へ移動させる作業工具と、Cタイプホルダ「外径↓(右)」から空きのDタイプホルダへ移動させる作業工具が存在することを示している。この第1交換条件に合致する場合に、図示したとおり、1本目の工具Tと2本目の工具Tを定める。2本目の工具T「外径↓(右)」は、90°傾転(前方向)したときに取り外される。優先順位:9の交換条件も、途中で2本目の工具Tを取り外す動作を伴う。
【0093】
優先順位:10~12の第1交換条件は、1本の作業工具に関する条件だけで定まり、その作業工具だけが移動する。
【0094】
優先順位:2~5の第1交換条件に示したように、スケジュール生成部132は、刃物台164で保持されている3本以上の工具Tをそれぞれ空のホルダに移動させる状況で工具搬送部114が2本の工具Tを同時移動する場合に、それぞれの移動先ホルダの保持方向が同じである工具Tの組(優先順位:2~4の「前方向と前方向」など)を優先する。これによって、傾転回数が少なくなる。また、これらの条件のうち、スケジュール生成部132は、それぞれの移動先ホルダの保持位相が異なる工具の組(「外径↓(右)」と「外径↓(左)」)である優先順位:2の第1交換条件を最優先する。この条件では、1回目の装着と2回目の装着の間で、旋回する必要がない。
優先順位:1の交換条件の場合、傾転も旋回も不要であるため、もっとも移動時間を短くできる。優先順位:2~4の交換条件の場合には、90°の傾転が1回必要となるので、優先順位:1の場合に比べて傾転1回分の時間だけ長く動作する。このように、動作種類(「直進」、「傾転」、「旋回」)毎の回数に基づいて特定される動作時間がより短い条件を優先するように、優先順位が定められている。上述した時間ポイントの合計によって動作コストを表すことが可能であり、動作コストがより小さい交換条件が優先されている。したがって、優先順位が高い交換条件を実行すれば、より早く動作を終えることができる。
【0095】
図14は、最初の移動元がBタイプホルダである第2交換条件グループを示す図である。
上述したとおり、第2交換条件グループは、最初の移動元がBタイプホルダ「外径↓(左)」である第2交換条件の集まりである。スケジュール生成部132は、工具搬送部114の空いているアームが外径方向に対して向き合い、かつ位相:左であるときには、第2交換条件グループに含まれる複数の第2交換条件を優先して搬送スケジュールを決める。優先順位:1の第2交換条件は、いずれかのBタイプホルダに、空きのBタイプホルダへ移動させる作業工具が存在することを示している。そのままの向きで装着するので、傾転は必要ない。移動先ホルダと移動元ホルダの受け入れ口169は、同じ位相(位相:左)である。この第2交換条件に合致する作業工具が1本でもあれば、その1本の作業工具を移動させる動作を行う。
【0096】
優先順位:2の第2交換条件では、Bタイプホルダの作業工具を空きのCタイプホルダ「外径↓(右)」へ移し、別のCタイプホルダの作業工具を別の空のBタイプホルダへ移す。BタイプホルダとCタイプホルダは同じ向き(前向き)なので、この交換動作において傾転の必要はない。
【0097】
優先順位:3、9、10の第2交換条件は、1本の作業工具に関する条件だけで定まり、その作業工具だけが移動する。
【0098】
優先順位:4、7,8の第2交換条件では、1本目の工具Tを取り外した後に、別のタイプホルダ(Cタイプホルダ「外径↓(右)など」)の2本目の工具Tを取り外す。そのあと傾転して、同じタイプの移動先ホルダ(Aタイプホルダ「内径←」など)にそれぞれの工具Tを装着させる。
【0099】
優先順位:5、6の第2交換条件は、Bタイプホルダ「外径↓(左)」にある2本の作業工具を、同じタイプの移動先ホルダ(Aタイプホルダ「内径←」など)に移動させることを示している。
【0100】
図15は、最初の移動元がCタイプホルダ「外径↓(右)」である第3交換条件グループを示す図である。この第3交換条件は、
図14の場合と左右対称の関係である。
【0101】
図16は、最初の移動元がDタイプホルダ「内径→」である第4交換条件グループを示す図である。この第4交換条件は、
図13の場合と左右対称の関係である。
【0102】
図17は、搬送スケジュールの第1例を示す図である。
Aタイプホルダ「内径←」の工具T2本を、それぞれBタイプホルダ「外径↓(左)」とDタイプホルダ「内径→」へ移動させる例である。現在パターンと目標パターンに示すように、工具:T5をステーション:ST1からステーション:ST5へ移動させ、工具:T11をステーション:ST2からステーション:ST11へ移動させる。これらの工具Tは、いずれも第1工程の対象である。なお、図示していないステーション222の状態は変化しない。他の搬送スケジュールについても、状態が変化するステーション222のみを図示する。
【0103】
現在の工具搬送部114は、工具格納部106側(マガジン側)に待機し、前方向に対して向き合う状態であるものとする。図中、工具搬送部114の状態に関して、前方向に対して向き合う状態(前向きの工具Tを着脱可能な姿勢)を「外径↓」と表し、左方向に対して向き合う状態(左向きの工具Tを着脱可能な姿勢)を「内径←」と表し、右方向に対して向き合う状態(右向きの工具Tを着脱可能な姿勢)を「内径→」と表す。
【0104】
スケジュール生成部132は、上述した参照順(傾転の角度が小さいものを優先する)に従って、現在の状態(前方向)で1本目の工具Tを取り外し可能な第2交換条件グループ(移動元ホルダ:Bタイプホルダ「外径↓(左)」、
図14)と第3交換条件グループ(移動元ホルダ:Cタイプホルダ「外径↓(右)」、
図15)について判定するが、いずれの交換条件にも合致しない。次に、スケジュール生成部132は、第1交換条件グループ(移動元ホルダ:Aタイプホルダ「内径←」、
図13)について判定を行う。スケジュール生成部132は、優先順位:6の第1交換条件に合致すると判定する。工具:T11が1本目の工具Tに相当し、工具:T5が2本目の工具Tに相当する。
【0105】
優先順位:6の第1交換条件における基本的な交換処理は、以下のように定められている。
・STEP1で、工具搬送部114は、刃物台164側へ移動(直進)する。
・STEP2で、工具搬送部114は、1本目の工具Tの移動元ホルダの方向を向くように傾転する。
・STEP3で、1本目の工具Tと同じ位相のアームは、1本目の工具Tを取り外す。
・STEP4で、工具搬送部114は、180°旋回する。
・STEP5で、2本目の工具Tと同じ位相のアームは、2本目の工具Tを取り外す。
・STEP6で、工具搬送部114は、2本目の工具の移動先ホルダの方向を向くように傾転する。
・STEP7で、2本目の工具Tを保持するアームは、2本目の工具Tを装着する。
・STEP8で、工具搬送部114は、1本目の工具Tの移動先ホルダの方向を向くように傾転する。
・STEP9で、1本目の工具Tを保持するアームは、1本目の工具Tを装着する。
・STEP10で、工具搬送部114は、前方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP11で、工具搬送部114は、工具格納部106側へ移動する。
【0106】
この基本的な交換処理に従って、以下の搬送スケジュールが生成される。なお、これ以外の交換条件に関しても、それぞれの基本的な交換処理に従って搬送スケジュールが生成される。
・STEP1で、工具搬送部114は、刃物台164側へ移動(直進)する。
・STEP2で、工具搬送部114は、左方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP3で、下側の第2アーム194は、ステーション:ST2の工具:T11をホルダ168から取り外す。
・STEP4で、工具搬送部114は、180°旋回する。
・STEP5で、下側の第1アーム182は、ステーション:ST1の工具:T5をホルダ168から取り外す。
・STEP6で、工具搬送部114は、前方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP7で、下側の第1アーム182は、工具:T5をステーション:ST5のホルダ168に装着する。
・STEP8で、工具搬送部114は、右方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP9で、上側の第2アーム194は、工具:T11をステーション:ST11のホルダ168に装着する。
・STEP10で、工具搬送部114は、前方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP11で、工具搬送部114は、工具格納部106側へ移動(直進)する。
【0107】
優先順位:6の第1交換条件の場合には、工具搬送部114は、1本目の工具T(工具:T11)と2本目の工具T(工具:T5)を2つのアームで同時に移動させる。このように動作することによって、工具搬送部114の動作時間はより短くなる。具体的には、旋回が1回行われ、傾転が4回行われ、直進が2回行われる。
【0108】
なお、STEP4は、「第1位相のホルダを対象として工具交換を行う場合において、工具交換の実行対象となるアームが第2位相にあるときにはアームの位相を第2位相から第1位相に変更した上で工具交換を実行させる処理」の例である。この例で、位相:左が「第1位相」に相当し、位相:右が「第2位相」に相当する。STEP5で工具:T5を取り出されるステーション:ST1のホルダ168が「第1位相のホルダ」に相当し、第1アーム182が「工具交換の実行対象となるアーム」に相当する。STEP4で、第1アーム182を位相:右から位相:左へ変更している。その上で、STEP5における工具:T5の取り外し動作を行う。
【0109】
図18は、搬送スケジュールの第2例を示す図である。
図17と同じ現在パターンと目標パターンに対して、別の処理が採用された参考例を示す。この例では、工具搬送部114は、工具:T5を移動させた後に、工具:T11を移動させる。このように動作することによって、工具搬送部114の動作時間はより長くなる。具体的には、旋回が1回行われ、傾転が6回行われ、直進が2回行われる。第2例は、第1例よりも傾転が2回多く行われるので、その分動作時間が長い。
【0110】
図17に示したように、同じタイプのホルダ168(Aタイプホルダ「内径←」)の工具T2本を、別のタイプのホルダ168(Bタイプホルダ「外径↓(左)」とDタイプホルダ「内径→」)へ移動させる場合、1本ずつ運ぶのではなく、2本一緒に運ぶ方が早く終わる。
【0111】
図19は、搬送スケジュールの第3例を示す図である。
Aタイプホルダ「内径←」の工具TとBタイプホルダ「外径↓(左)」の工具Tを、それぞれDタイプホルダ「内径→」へ移動させる例である。現在パターンと目標パターンに示すように、工具:T11をステーション:ST2からステーション:ST11へ移動させ、工具:T12をステーション:ST5からステーション:ST12へ移動させる。これらの工具Tは、いずれも第1工程の対象である。他に、工具:T1を工具格納部106の保持ポット:MG1からステーション:ST1へ移動させる。この工具Tは、第2工程の対象である。
【0112】
以下の搬送スケジュールが生成される。この例では、先に第2工程の処理を行うものとする。まず、第2工程の処理による交換処理が生成される。
・STEP1で、上側の第1アーム182は、工具格納部106の保持ポット:MG1から工具:T1を取り外す。
・STEP2で、工具搬送部114は、刃物台164側へ移動(直進)する。
・STEP3で、工具搬送部114は、左方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP4で、工具搬送部114は、180°旋回する。
・STEP5で、下側の第1アーム182は、工具:T1をステーション:ST1のホルダ168に装着する。
【0113】
続いて、第1工程の処理を行う。上述した参照順に従って、スケジュール生成部132は、現在の状態(左方向に対して向き合っている)で1本目の工具Tを取り外し可能な第1交換条件グループ(移動元ホルダ:Aタイプホルダ「内径←」、
図13)について判定を行う。スケジュール生成部132は、優先順位:1~8の第1交換条件に該当せず、優先順位:9の第1交換条件に合致すると判定する。工具:T11が1本目の工具Tに相当し、工具:T12が2本目の工具Tに相当する。そして、以下に示す第1工程の処理による交換処理が追加される。
・STEP6で、下側の第1アーム182は、ステーション:ST2の工具:T11をホルダ168から取り外す。
・STEP7で、工具搬送部114は、前方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP8で、工具搬送部114は、180°旋回する。
・STEP9で、下側の第2アーム194は、ステーション:ST5の工具:T12をホルダ168から取り外す。
・STEP10で、工具搬送部114は、右方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP11で、上側の第1アーム182は、工具:T11をステーション:ST11のホルダ168に装着する。
・STEP12で、工具搬送部114は、180°旋回する。
・STEP13で、上側の第2アーム194は、工具:T12をステーション:ST12のホルダ168に装着する。
・STEP14で、工具搬送部114は、前方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP15で、工具搬送部114は、工具格納部106側へ移動(直進)する。
【0114】
優先順位:9の第1交換条件の場合には、工具搬送部114は、1本目の工具T(工具:T11)と2本目の工具T(工具:T12)を2つのアームで同時に移動させる。このように動作することによって、工具搬送部114の動作時間はより短くなる。具体的には、旋回が3回行われ、傾転が4回行われ、直進が2回行われる。
【0115】
図20は、搬送スケジュールの第4例を示す図である。
図19と同じ現在パターンと目標パターンに対して、別の処理が採用された参考例を示す。STEP1~STEP5の処理は、
図19の場合と同様である。この例では、工具搬送部114は、工具:T11を移動させた後に、工具:T12を移動させる。このように動作することによって、工具搬送部114の動作時間はより長くなる。具体的には、旋回が3回行われ、傾転が6回行われ、直進が2回行われる。第4例は、第3例よりも傾転が2回多く行われるので、その分動作時間が長い。
【0116】
図19に示したように、異なるタイプのホルダ168(Aタイプホルダ「内径←」とBタイプホルダ「外径↓(左)」)にある工具T2本(T11とT12)を、同じタイプのホルダ168の2か所(Dタイプホルダ「内径→」)へ移動させる場合、1本ずつ運ぶのではなく、2本一緒に運ぶ方が早く終わる。
【0117】
図11のS12に示した第2工程の処理過程について説明する。
ここでは、第1工程の実行後、または、第1工程のスキップ後の現在パターンにおいて空STが存在するとき(S60のY)、第2工程が実行される(S62)。空STが存在しないときには(S60のN)、第2工程はスキップされる。
【0118】
スケジュール生成部132は、刃物台164において2以上の空STが存在するときには(S70のY)、工具格納部106から2本の工具Tを取り出して搬送した上で工具Tを刃物台164に取り付ける(S72)。この処理で、組条件グループ(
図21参照)を参照する。組条件グループについては、後述する。工具装着後、スケジュール生成部132は現在パターンを更新し、処理はS70に戻る。
【0119】
スケジュール生成部132は、刃物台164において1本だけ空STが存在するときには(S70のN、S74のY)、工具格納部106から1本の工具Tを取り出して搬送した上で外部交換を実行する(S76)。工具Tの装着後、スケジュール生成部132は現在パターンを更新し、処理はS34に戻る。刃物台164に空STが残っていないときには(S74のN)、第2工程は終了する。
【0120】
図21は、同時搬送する工具Tの組条件グループを示す図である。
工具格納部106に格納されている2本以上の予備工具をそれぞれの移動先ホルダに移動させることを前提としている。特に、3本以上の予備工具を移動させる場合には、同時搬送する予備工具の組が複数通り想定されるので、優先順位に基づく判定を行う。
【0121】
組条件グループは、同時搬送する予備工具の組について10個の条件を含む。予備工具の組に関する条件を「組条件」という。1本目の工具Tは、最初に取り外される予備工具であり、2本目の工具Tは、次に取り外される予備工具である。上位の条件から順次判定して、該当する条件があった場合にその条件に合致した2本の予備工具に関する同時搬送の処理を採用する。
【0122】
優先順位:1の組条件は、Bタイプホルダ「外径↓(左)」へ移動させる予備工具と、Cタイプホルダ「外径↓(右)」へ移動させる予備工具とがあることを示している。優先順位:2の条件は、Bタイプホルダへ移動させる予備工具が2本あることを示している。以下、図示したとおり、2つの移動先ホルダのタイプに関する組条件が定められている。
【0123】
優先順位:1~3の組条件のように、スケジュール生成部132は、工具格納部106に格納されている3本以上の工具を刃物台164に移動させる状況で工具搬送部114が2本の工具を同時搬送する場合に、それぞれの移動先ホルダの保持方向が同じ(前方向など)である工具の組を優先する。これによって、傾転回数が少なくなる。また、これらの条件のうち、スケジュール生成部132は、それぞれの移動先ホルダの保持位相が異なる工具の組(「外径↓(左)」と「外径↓(右)」)である優先順位:1の組条件を最優先する。この条件では、1回目の装着と2回目の装着の間で、旋回する必要がない。
【0124】
図22は、搬送スケジュールの第5例を示す図である。
工具格納部106の予備工具4本を、Bタイプホルダ「外径↓(左)」の2か所とCタイプホルダ「外径↓(右)」の2か所へ移動させる例である。現在パターンと目標パターンに示すように、工具格納部106の保持ポット:MG1~4にある工具:T5、T7、T9、T10をステーション:ST5、ST7、ST9、ST10へ移動させる。これらの工具Tは、いずれも第2工程の対象である。
【0125】
第2工程の処理において、スケジュール生成部132は、組条件グループ(
図21)の優先順位:1の組条件に合致すると判定する。工具:T5が1本目の工具Tに相当し、工具:T9が2本目の工具Tに相当する。以下の交換処理が生成される。
・STEP1で、上側の第1アーム182は、工具格納部106の保持ポット:MG1から工具:T5を取り外す。
・STEP2で、工具搬送部114は、180°旋回する。
・STEP3で、上側の第2アーム194は、工具格納部106の保持ポット:MG3から工具:T9を取り外す。
・STEP4で、工具搬送部114は、刃物台164側へ移動(直進)する。
・STEP5で、下側の第1アーム182は、工具:T5をステーション:ST5のホルダ168に装着する。
・STEP6で、上側の第2アーム194は、工具:T9をステーション:ST9のホルダ168に装着する。
【0126】
第2工程の処理において、スケジュール生成部132は、再び組条件グループ(
図21)を参照し、優先順位:1の組条件に合致すると判定する。工具:T7が1本目の工具Tに相当し、工具:T10が2本目の工具Tに相当する。以下の交換処理が生成される。
・STEP7で、工具搬送部114は、工具格納部106側へ移動(直進)する。
・STEP8で、上側の第2アーム194は、工具格納部106の保持ポット:MG2から工具:T7を取り外す。
・STEP9で、工具搬送部114は、180°旋回する。
・STEP10で、上側の第1アーム182は、工具格納部106の保持ポット:MG4から工具:T10を取り外す。
・STEP11で、工具搬送部114は、刃物台164側へ移動(直進)する。
・STEP12で、下側の第2アーム194は、工具:T7をステーション:ST7のホルダ168に装着する。
・STEP13で、上側の第1アーム182は、工具:T10をステーション:ST10のホルダ168に装着する。
・STEP14で、工具搬送部114は、工具格納部106側へ移動(直進)する。
【0127】
このように優先順位:1の組条件による交換処理を2回繰り返す場合には、刃物台164側での旋回が必要なく、動作時間がより短くなる。具体的には、旋回が2回行われ、直進が4回行われる。
【0128】
図23は、搬送スケジュールの第6例を示す図である。
図22と同じ現在パターンと目標パターンに対して、別の処理が採用された参考例を示す。この例では、Bタイプホルダ「外径↓(左)」の2か所へ工具Tを運んだ後に、Cタイプホルダ「外径↓(右)」の2か所へ工具Tを運ぶ。この動作は、組条件グループ(
図21)の優先順位:2の組条件(上側)と優先順位:2の組条件(下側)の交換処理に相当する。刃物台164側での旋回が必要になるので、工具搬送部114の動作時間はより長くなる。具体的には、旋回が4回行われ、直進が4回行われる。第6例は、第5例よりも旋回が2回多く行われるので、その分動作時間が長い。
【0129】
図22に示したように、優先順位:1の組条件と優先順位:2の組条件の両方に該当する場合、優先順位:1の組条件による交換動作を行う方が早く終わる。
【0130】
図24は、搬送スケジュールの第7例を示す図である。
工具格納部106の予備工具3本を、Aタイプホルダ「内径←」、Cタイプホルダ「外径↓(右)」およびDタイプホルダ「内径→」へ移動させる例である。現在パターンと目標パターンに示すように、工具格納部106の保持ポット:MG1~3にある工具:T1、T9、T11をステーション:ST1、ST9、ST11へ移動させる。これらの工具Tは、いずれも第2工程の対象である。他に、ステーション:ST2のホルダ168にある工具:T12とステーション:ST12のホルダ168にある工具:T2を内部交換する。これらの工具Tは、第3工程の対象である。
【0131】
第2工程の処理において、スケジュール生成部132は、組条件グループ(
図21)の優先順位:4の組条件(上側)に合致する。工具:T1が1本目の工具Tに相当し、工具:T9が2本目の工具Tに相当する。以下の交換処理が生成される。
・STEP1で、上側の第1アーム182は、工具格納部106の保持ポット:MG1から工具:T1を取り外す。
・STEP2で、工具搬送部114は、180°旋回する。
・STEP3で、上側の第2アーム194は、工具格納部106の保持ポット:MG2から工具:T9を取り外す。
・STEP4で、工具搬送部114は、刃物台164側へ移動(直進)する。
・STEP5で、上側の第2アーム194は、工具:T9をステーション:ST9のホルダ168に装着する。
・STEP6で、工具搬送部114は、左方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP7で、下側の第1アーム182は、工具:T1をステーション:ST1のホルダ168に装着する。
【0132】
さらに第2工程の処理において、スケジュール生成部132は、残った工具:T11について交換処理を追加する。
・STEP8で、工具搬送部114は、前方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP9で、工具搬送部114は、工具格納部106側へ移動(直進)する。
・STEP10で、上側の第2アーム194は、工具格納部106の保持ポット:MG3から工具:T11を取り外す。
・STEP11で、工具搬送部114は、刃物台164側へ移動(直進)する。
・STEP12で、工具搬送部114は、右方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP13で、上側の第2アーム194は、工具:T11をステーション:ST11のホルダ168に装着する。
【0133】
第2工程の処理を終え、第3工程の処理に移る。スケジュール生成部132は、工具:T2と工具:T12に関する内部交換の処理を追加する。
・STEP14で、上側の第2アーム194は、ステーション:ST12の工具:T2をホルダ168から取り外す。
・STEP15で、工具搬送部114は、前方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP16で、工具搬送部114は、左方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP17で、下側の第1アーム182は、ステーション:ST2の工具:T12をホルダ168から取り外す。
・STEP18で、工具搬送部114は、180°旋回する。
・STEP19で、下側の第2アーム194は、工具:T2をステーション:ST2のホルダ168に装着する。
・STEP20で、工具搬送部114は、前方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP21で、工具搬送部114は、右方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP22で、上側の第1アーム182は、工具:T12をステーション:ST12のホルダ168に装着する。
・STEP23で、工具搬送部114は、前方向に対して向き合うように傾転する。
・STEP24で、工具搬送部114は、工具格納部106側へ移動(直進)する。
【0134】
このように工具:T1と工具:T9を同時に運んだ後に、工具:T11を運ぶ場合には、旋回が2回行われ、傾転が8回行われ、直進が4回行われる。
【0135】
図25は、搬送スケジュールの第8例を示す図である。
図24と同じ現在パターンと目標パターンに対して、別の処理が採用された参考例を示す。工具:T11と工具:T9を同時に運んだ後に、工具:T1を運ぶ。第3工程については、第7例の場合と同様である。この場合、旋回が4回行われ、傾転が8回行われ、直進が4回行われる。第8例は、第7例よりも旋回が2回多く行われるので、その分動作時間が長い。
【0136】
図26は、搬送スケジュールの第9例を示す図である。
図24と同じ現在パターンと目標パターンに対して、さらに別の処理が採用された参考例を示す。工具:T1と工具:T11を同時に運んだ後に、工具:T9を運ぶ。この場合、旋回が2回行われ、傾転が10回行われ、直進が4回行われる。第9例は、第7例よりも傾転が2回多く行われるので、その分動作時間が長い。
【0137】
このように3本以上の予備工具を刃物台164へ移す場合に、組条件グループ(
図21)の中で優先順位が高い組条件による交換処理を行う方が、早く終わる。
【0138】
図11のS14に示した第3工程の処理過程について説明する。
ここでは、第2工程の実行後、または、第2工程のスキップ後における工具パターンにおいて内部交換の必要があるとき(S80のY)、すなわち、あるステーションAに取り付けられる工具Aと別のステーションBに取り付けられる工具Bを位置交換する必要があるとき、第3工程が実行される(S82)。内部交換の必要性がないときには(S80のN)、第3工程はスキップされる。
【0139】
内部交換の処理では、一方のアームAがステーションAのホルダ168から工具Aを取り外し、他方のアームBがステーションBのホルダ168から工具Bを取り外す。そして、アームAが工具AをステーションBのホルダ168に装着し、アームBが工具BをステーションAのホルダ168に装着する。この間に、必要な傾転及び旋回の動作が行われる。
【0140】
図11のS16に示した第4工程の処理過程について説明する。
ここでは、第3工程の実行後、または、第3工程のスキップ後の工具パターンにおいて外部交換の必要があるとき(S90のY)、すなわち、あるステーションAに取り付けられる工具Aと工具格納部106の格納される工具Bの交換が必要であるとき、第4工程が実行される(S92)。外部交換の必要性がないときには(S90のN)、第4工程はスキップされる。
【0141】
外部交換の処理では、一方のアームAがステーションAのホルダ168から工具Aを取り外し、工具格納部106側へ運ぶ。他方のアームBが工具格納部106の保持ポット174から工具Bを取り外し、アームAが工具Aをその保持ポット174に装着する。アームBが工具Bを刃物台164側へ運び、ステーションAのホルダ168に装着する。この間に、必要な傾転及び旋回の動作が行われる。あるいは、工具格納部106側の工具Bを先に運び、その後で刃物台164の工具格納部106の工具Aを運ぶようにしてもよい。
【0142】
第1工程から第4工程について上記アルゴリズムにて搬送スケジュールを生成したあと、スケジュール生成部132は更に搬送スケジュールを最適化可能か判断するための第5工程を実行する。最適化条件は任意に設定可能である。たとえば、直進動作(工具Tの運搬)に際しては、可能な限り工具Tを2本まとめて運搬する、刃物台164から不要な工具を取り出すことを優先する、などが考えられる。
【0143】
[総括]
以上、実施形態に基づいて、工作機械100の工具交換について説明した。
搬送スケジュールの生成に際しては、スケジュール生成部132は第1工程および第2工程を実行し、第2工程の実行後に刃物台164に空STが残らないように工具搬送順をつくる。第3工程は内部交換なので、工具搬送部114を刃物台164側に位置させる必要がある。第2工程の終了時点において、工具搬送部114は刃物台164側にあるため、第3工程の開始時に工具搬送部114を刃物台164側に移動させる必要がない。一方、第4工程は外部交換なので、工具搬送部114を工具格納部106側に位置させる必要がある。以上の理由により、第1工程、第2工程の後は第4工程ではなく第3工程を実行することが望ましい。
【0144】
現在パターンにおいて刃物台164に空STが存在しない場合には、スケジュール生成部132は第1工程、第2工程をスキップして、第3工程以降のアルゴリズムに基づいて搬送スケジュールを生成すればよい。この場合には、スケジュール生成部132は第4工程を第3工程より先に実行してもよい。
【0145】
スケジュール生成部132は、現在パターンと目標パターンに基づいて、どの工具Tから移動させるか、どのステーション222から先に工具Tを移動させるか、といったさまざまな組み合わせについて総当りで工具搬送順を計算してもよい。たとえば、第1工程においても、現在パターンおよび目標パターンの組み合わせに基づいてさまざまな工具搬送順をつくることが可能である。スケジュール生成部132はこのようにして生成された多数の工具搬送順からもっとも作業効率のよい工具搬送順を採用すればよい。
【0146】
スケジュール生成部132は、特に、工具格納部106への仮退避、刃物台164への仮設置が生じないように搬送スケジュールを組むことで、工具交換に要する作業工数を減らすことができる。
【0147】
また、スケジュール生成部132は、複数の工具交換のステップ数が同一となるときは、運搬動作、傾転動作および旋回動作それぞれに要する時間を指標化した時間ポイントに基づいて、どの搬送順がもっとも作業効率がよいかを判定できる。
【0148】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0149】
これまでの説明の通り、本発明によれば、工具Tの段取り等を含めた加工に関連する総時間を短くできる。そのため、省エネ性を高めた工作機械等の提供が可能になる。
【0150】
[変形例]
ホルダ168は、タイプホルダA~Dの例に限られない。また、受け入れ口169の中心線方向は任意であり、互いに直交しない場合も考えられる。
【0151】
回転させない工具T(たとえば、バイト)と回転させる工具T(たとえば、ドリル)を例示したが、回転させないで使用でき、さらに回転させて使用できる工具Tもある。このような工具Tの場合には、ホルダ168A~Gのすべてにおいて共用することも可能である。
【0152】
事前配置情報としての現在パターンおよび目標配置情報としての目標パターンによっては、すべてのステーション222が空STである状態から、工具Tを所定本数、たとえば、1本だけ取り付ける状況もあり得る。たとえば、工具格納部106から所定本数の工具Tを搬送し、12箇所の空STの全部または一部に工具Tを取り付ける場合も考えられる。
【0153】
あるいは、すべてのステーション222に工具Tが取り付けられている状態から、所定本数、たとえば、1本の工具Tを取り外す場合もあり得る。たとえば、刃物台230から12本未満の所定本数の工具Tを搬送し、工具格納部106にこれらの工具Tを格納する場合も考えられる。
【0154】
このように、ステーション222の一部または全部が空STとなっている状態から工具交換が開始されることも権利範囲として想定可能であることは当業者には理解されるところである。
【0155】
[不使用工具の内部交換]
工具Tには、使用回数などの制限がある。この制限を超えると、寿命が尽きたとしてその工具Tは使えなくなる。このように使えなくなった工具Tを「不使用工具」とよぶ。
【0156】
たとえば、Aタイプホルダ「内径←」の1箇所、Bタイプホルダ「外径↓(左)」の2箇所、Cタイプホルダ「外径↓(右)」の1箇所、およびDタイプホルダ「内径→」の2箇所に、同じ仕様の工具Tが7個保持されていたとする。Aタイプホルダの工具Tが不使用工具になった場合には、その工具Tを用いた加工ができなくなる。そのため、Aタイプホルダの不使用工具を、使用可能な工具T(同じ仕様に限る)と交換する必要がある。
【0157】
工具格納部106に同じ仕様の予備工具があれば、それと外部交換を行う。工具格納部106に予備工具が無い場合には、刃物台にある別の工具Tと内部交換することが考えられる。上述の例では、Bタイプホルダに保持されている2本の工具Tのうち1本は余剰なので、交換可能である。Dタイプホルダについても同様である。ただし、Cタイプホルダについては、1本しかないので交換できない。
【0158】
このように、不使用工具の内部交換において交換候補の工具Tが複数ある場合、どちらの工具Tと交換するかが問題となる。原則的には、寿命が長い方(使用可能な回数が多い方)を交換対象とする。もし寿命の条件が同じであれば、工具交換の動作時間が短い方を選ぶようにしてもよい。
【0159】
上述の例で、Dタイプホルダの工具Tと交換する場合、工具Tを取り外してからAタイプホルダに向けるために180°の傾転が必要になる。一方、Bタイプホルダの工具Tと交換するとすれば、工具Tを取り外してからAタイプホルダに向けるために90°の傾転で足りる。したがって、Bタイプホルダの工具Tを交換した方が動作効率がよい。
【0160】
このように、工具取り外し後の傾転の角度を基準として、交換対象の工具Tを選定するようにしてもよい。Aタイプホルダの不使用工具を内部交換する場合は、Bタイプホルダの工具T又はCタイプホルダの工具Tを優先する。Dタイプホルダの不使用工具を内部交換する場合も、Bタイプホルダの工具T又はCタイプホルダの工具Tを優先する。
【0161】
Bタイプホルダの不使用工具を内部交換する場合は、Cタイプホルダの工具Tを優先する。Cタイプホルダの不使用工具を内部交換する場合は、Bタイプホルダの工具Tを優先する。このようにすれば、工具取り外し後の傾転が必要ないので、動作時間が短くなる。
【符号の説明】
【0162】
100 工作機械、102 刃物台ベース、106 工具格納部、112 加工装置、114 工具搬送部、116 加工制御部、118 情報処理装置、120 ユーザインタフェース処理部、122 データ処理部、124 データ格納部、126 入力部、128 出力部、130 工具管理部、132 スケジュール生成部、134 工具搬送制御部、160 制御装置、164 刃物台、168 ホルダ、169 受け入れ口、170 保持板、171 刃部、174 保持ポット、175 受け入れ口、176 駆動モータ、178 送り機構、180 移動台、182 第1アーム、184 レール保持台、190 ボールねじ、192 ボールナット、194 第2アーム、196 サーボモータ、198 保持部材、204 回転軸、206 駆動シリンダ、208 把持爪、210 把持爪、220 カートリッジ、222 ステーション、230 刃物台
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を取り付けた際の前記工具の向きを示す第1位相または第2位相で、前記工具を保持可能な刃物台と、
前記第1位相に工具を把持する第1位置と、前記第1位相とは異なる前記第2位相に工具を把持する第2位置と、に移動可能なアームを複数有し、前記アームが工具を把持し工具を搬送する工具搬送部と、
工具搬送順を示す搬送スケジュールを生成するスケジュール生成部と、
前記搬送スケジュールにしたがって前記工具搬送部を制御することにより、前記刃物台における工具の保持位置を変更する工具搬送制御部と、
加工プログラムにしたがって、前記刃物台に保持される工具の動作を制御し、ワークを加工する加工制御部と、を備え、
前記スケジュール生成部は、前記第1位相になる工具の工具交換を行う場合において、前記工具交換の実行対象となるアームが前記第2位置にあるときには前記アームの位置を前記第2位置から前記第1位置に変更した上で前記工具交換を実行させる処理を含む前記搬送スケジュールを生成する、工作機械。
【請求項2】
前記刃物台は、複数のホルダを含み、
前記複数のホルダの各々が前記工具を保持する方向は、3種類の所定方向のうちのいずれかであって、
前記工具搬送部は、前記3種類の所定方向のそれぞれに対応して向きを変更できる、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
複数の工具を格納する工具格納部を備え、
前記スケジュール生成部は、前記工具格納部に格納されている3本以上の工具を前記刃物台に移動させる状況で前記工具搬送部が2本の工具を同時搬送する場合に、それぞれの移動先ホルダの保持方向が同じである工具の組を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記スケジュール生成部は、前記工具の組が複数ある場合に、前記それぞれの移動先ホルダの保持位相が異なる工具の組を優先する、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記スケジュール生成部は、前記刃物台で保持されている工具を空のホルダに移動させる場合に、移動元ホルダの保持方向が前記工具搬送部の現在の向きに対応する工具を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項6】
前記スケジュール生成部は、前記刃物台で保持されている3本以上の工具をそれぞれ空のホルダに移動させる状況で前記工具搬送部が2本の工具を同時移動する場合に、それぞれの移動先ホルダの保持方向が同じである工具の組を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項7】
前記スケジュール生成部は、前記工具の組が複数ある場合に、前記それぞれの移動先ホルダの保持位相が異なる工具の組を優先する、請求項6に記載の工作機械。
【請求項8】
複数の工具を格納する工具格納部を備え、
前記刃物台は、複数のホルダを含み、
前記スケジュール生成部は、
前記刃物台に配置済みの工具を空きホルダに移動させる第1工程と、
前記工具格納部に格納される工具を前記刃物台の空きホルダに保持させる第2工程と、を実行させる処理を含む前記搬送スケジュールを生成する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項9】
工具を取り付けた際の前記工具の向きを示す第1位相または第2位相で、前記工具を保持可能な刃物台と、
前記第1位相に工具を把持する第1位置と、前記第1位相とは異なる前記第2位相に工具を把持する第2位置と、に移動可能なアームを複数有し、前記アームが工具を把持し工具を搬送する工具搬送部と、
搬送スケジュールを生成するスケジュール生成部と、
前記搬送スケジュールにしたがって前記工具搬送部を制御し、前記刃物台における前記工具の装着位置を変更する工具搬送制御部と、を備え、
前記スケジュール生成部は、前記刃物台に前記第1位相になる装着工具を装着する場合において、前記第2位相に対応する前記第2位置にて前記装着工具を把持する前記アームを移動させることで、前記第2位相に対応する前記第2位置から前記第1位相に対応する前記第1位置に前記装着工具を位置変更した後に、前記装着工具を前記刃物台へ装着する処理を含む搬送スケジュールを生成する、工作機械。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を取り付けた際に、一つのホルダの軸に交差する向きに突き出た前記工具の右に突き出した第1姿勢と、一つのホルダの軸に交差する向きに突き出た前記工具の左に突き出した姿勢である第2姿勢と、に前記工具が取付可能で、かつ、前記工具を取り付けるホルダを備える刃物台と、
前記第1姿勢にて工具を把持する第1位置と、前記第2姿勢にて工具を把持する第2位置と、に移動可能なアームを複数有し、前記アームが工具を把持し工具を搬送する工具搬送部と、
工具搬送順を示す搬送スケジュールを生成するスケジュール生成部と、
前記搬送スケジュールにしたがって前記工具搬送部を制御することにより、前記刃物台における工具の保持位置を変更する工具搬送制御部と、
加工プログラムにしたがって、前記刃物台に保持される工具の動作を制御し、ワークを加工する加工制御部と、を備え、
前記スケジュール生成部は、前記第1姿勢で前記刃物台に取り付けられている工具の工具交換を行う場合において、前記工具の前記工具交換の実行対象となるアームが前記第2位置にあるときに前記アームの位置を前記第2位置から前記第1位置に変更した上で前記工具の前記工具交換を実行させる処理を含む前記搬送スケジュールを生成する、工作機械。
【請求項2】
前記刃物台は、複数のホルダを含み、
前記複数のホルダの各々が前記工具を保持する方向は、3種類の所定方向のうちのいずれかであって、
前記工具搬送部は、前記3種類の所定方向のそれぞれに対応して向きを変更できる、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
複数の工具を格納する工具格納部を備え、
前記スケジュール生成部は、前記工具格納部に格納されている3本以上の工具を前記刃物台に移動させる状況で前記工具搬送部が2本の工具を同時搬送する場合に、それぞれの移動先ホルダの保持方向が同じである工具の組を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記スケジュール生成部は、前記工具の組が複数ある場合に、前記それぞれの移動先ホルダの保持位相が異なる工具の組を優先する、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記スケジュール生成部は、前記刃物台で保持されている工具を空のホルダに移動させる場合に、移動元ホルダの保持方向が前記工具搬送部の現在の向きに対応する工具を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項6】
前記スケジュール生成部は、前記刃物台で保持されている3本以上の工具をそれぞれ空のホルダに移動させる状況で前記工具搬送部が2本の工具を同時移動する場合に、それぞれの移動先ホルダの保持方向が同じである工具の組を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項7】
前記スケジュール生成部は、前記工具の組が複数ある場合に、前記それぞれの移動先ホルダの保持位相が異なる工具の組を優先する、請求項6に記載の工作機械。
【請求項8】
複数の工具を格納する工具格納部を備え、
前記刃物台は、複数のホルダを含み、
前記スケジュール生成部は、
前記刃物台に配置済みの工具を空きホルダに移動させる第1工程と、
前記工具格納部に格納される工具を前記刃物台の空きホルダに保持させる第2工程と、を実行させる処理を含む前記搬送スケジュールを生成する、請求項1に記載の工作機械。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を取り付けた際に、前記工具の刃部が一つのホルダの軸に交差する右向きに突き出た第1姿勢と、前記工具の刃部が一つのホルダの軸に交差する左向きに突き出た第2姿勢と、に前記工具が取付可能で、かつ、前記工具を取り付けるホルダを備える刃物台と、
前記第1姿勢にて工具を把持する第1位置と、前記第2姿勢にて工具を把持する第2位置と、に移動可能なアームを複数有し、前記アームが工具を把持し工具を搬送する工具搬送部と、
工具搬送順を示す搬送スケジュールを生成するスケジュール生成部と、
前記搬送スケジュールにしたがって前記工具搬送部を制御することにより、前記刃物台における工具の保持位置を変更する工具搬送制御部と、
加工プログラムにしたがって、前記刃物台に保持される工具の動作を制御し、ワークを加工する加工制御部と、を備え、
前記スケジュール生成部は、前記第1姿勢で前記刃物台に取り付けられている工具の工具交換を行う場合において、前記工具の前記工具交換の実行対象となるアームが前記第2位置にあるときに前記アームの位置を前記第2位置から前記第1位置に変更した上で前記工具の前記工具交換を実行させる処理を含む前記搬送スケジュールを生成する、工作機械。
【請求項2】
前記刃物台は、複数のホルダを含み、
前記複数のホルダの各々が前記工具を保持する方向は、3種類の所定方向のうちのいずれかであって、
前記工具搬送部は、前記3種類の所定方向のそれぞれに対応して向きを変更できる、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
複数の工具を格納する工具格納部を備え、
前記スケジュール生成部は、前記工具格納部に格納されている3本以上の工具を前記刃物台に移動させる状況で前記工具搬送部が2本の工具を同時搬送する場合に、それぞれの移動先ホルダの保持方向が同じである工具の組を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記スケジュール生成部は、前記工具の組が複数ある場合に、前記それぞれの移動先ホルダの保持位相が異なる工具の組を優先する、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記スケジュール生成部は、前記刃物台で保持されている工具を空のホルダに移動させる場合に、移動元ホルダの保持方向が前記工具搬送部の現在の向きに対応する工具を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項6】
前記スケジュール生成部は、前記刃物台で保持されている3本以上の工具をそれぞれ空のホルダに移動させる状況で前記工具搬送部が2本の工具を同時移動する場合に、それぞれの移動先ホルダの保持方向が同じである工具の組を優先する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項7】
前記スケジュール生成部は、前記工具の組が複数ある場合に、前記それぞれの移動先ホルダの保持位相が異なる工具の組を優先する、請求項6に記載の工作機械。
【請求項8】
複数の工具を格納する工具格納部を備え、
前記刃物台は、複数のホルダを含み、
前記スケジュール生成部は、
前記刃物台に配置済みの工具を空きホルダに移動させる第1工程と、
前記工具格納部に格納される工具を前記刃物台の空きホルダに保持させる第2工程と、を実行させる処理を含む前記搬送スケジュールを生成する、請求項1に記載の工作機械。